ジョジョの奇妙な冒険part10 CLOCK WORK VALUE 作:アマのしゃちほこ
第5話『道を切り開くための罠②』
鉄の山。
それは山というより――ただの暴力だった。
壊れた鉄骨。
折れた柱。
潰れた機械。
積み上がったそれらは、もはや地形の一部になっている。
そこに――
ジョシュア・ジョバーナの体が叩きつけられていた。
ドゴォン!!
鈍い衝撃音。
「いってぇなぁ……こんちくしょー……」
鼻を押さえる。
血は出ていないが、骨に響く痛みが残っている。
ゆっくりと周囲を見る。
「……小屋には入ったぞーー!!」
大声。
山のようなガラクタに反響する。
だが、すぐに返ってくる声。
「話をちゃんと聞け」
カイの声だった。
冷静で、無駄がない。
ジョシュアは顔をしかめる。
「うるせえな……」
鼻から手を離す。
「仕方ねえ……もう一回やるか」
ゆっくりと元の方向へ歩く。
鉄の地面を踏むたびに、カン、カン、と乾いた音が響く。
そして――
元の位置。
ジョシュアは深く息を吐く。
「よし」
踏み出す。
ドコォォン!!
「ぐっ……!!」
また鉄の山にぶつかる。
全身に衝撃が走る。
「いっっっってぇぇぇ……!!」
地面に手をつく。
息が荒い。
視界が揺れる。
「またぶつかっちまった……」
だが止まらない。
立ち上がる。
また歩く。
またぶつかる。
ドゴォン!!
「くそが……!!」
繰り返し。
ぶつかる。
倒れる。
立つ。
そのうちに――
空が赤くなる。
夕暮れ。
鉄の山は、影を濃くしていく。
ジョシュアは肩で息をしていた。
額から汗が落ちる。
「……ていうかよォ……」
荒い息のまま、言う。
「俺の能力は“止まらねえ”んだよ……」
拳を握る。
「こんなピッタリ止まれって言われてもできるわけがねえっつうの……」
そこで言葉が止まる。
「……?」
ジョシュアの目が細くなる。
(俺は今、なにで止まった?)
視線を上げる。
鉄の山。
ぶつかるたびに止まっている。
(そうだ……鉄の山にぶつかったから止まった)
拳を見つめる。
(止まらない能力なのに……止まってる?)
ゆっくりと視線を動かす。
小屋。
崩れかけた建物。
(でも小屋にぶつかったときは……)
(止まらなかった)
思考が絡む。
その時。
「考えてる暇あるか?」
声。
目の前。
カイ・ツキシマが立っていた。
「うわぁぁ近えよぉ!!」
反射的に後ろへ倒れる。
ガッ、と尻もちをつく。
カイはそれを見ても表情を変えない。
「もう日が暮れる」
淡々とした声。
「次がラストだ」
ジョシュアの目が動く。
カイの顔は、少しだけ冷たい。
「お前が成長しないなら……もう終わりだ」
その言葉に、空気が沈む。
ジョシュアは、ゆっくり立ち上がる。
「……あぁ?」
「終わり?」
鼻で笑う。
「ふざけんなよ」
胸を叩く。
「そうだ」
「俺も今思ってたところだ」
「あと一回で終わらせられるってな」
カイの目がわずかに動く。
ジョシュアは歩き出す。
スタート地点へ。
鉄の地面を踏む音。
カン、カン。
(俺は今まで何度も動いていた)
(だが全部……止まってた)
ゆっくりと息を吸う。
(つまり――)
目が鋭くなる。
(“止まらない”にも限界がある)
(今回の場合……)
(鉄の山みたいな“絶対に止まるもの”にぶつかったからだ)
拳が震える。
(だったら)
(俺が止まる場所は……)
顔を上げる。
小屋。
(あそこだ)
ジョシュアは踏み出す。
だが――
真っ直ぐではない。
小屋の正面ではなく、斜め。
「行くぞ……」
加速。
ドンッ!!
体が走り出す。
止まらない。
だが今度は“ぶつかる場所”を見ている。
曲がった鏡板。
ガキィン!!
ぶつかる。
だが止まらない。
反射で軌道が変わる。
「おおっ……!!」
さらに走る。
鉄柱。
ドゴッ!!
ぶつかる。
だが流れるように進む。
体が回転する。
反転。
視界がひっくり返る。
それでも――止まらない。
「止まれよッ……!」
しかし動きは続く。
小屋の方向へ。
さらに――
地面。
斜面を滑るように走る。
角度が変わる。
“下”へ。
「地面まで走れェェェッ!!」
ジョシュアの体が――空中に浮く。
反転したまま。
世界が逆さまになる。
それでも進む。
そして――
ドンッ!!
小屋の“下側”。
地面に直撃。
沈黙。
砂埃。
風。
ジョシュアの体は止まっていた。
小屋の位置で。
「……止まった……」
呟く。
一拍。
「止められたぞォォォッ!!」
鼻血を垂らしながら笑う。
カイがゆっくり歩いてくる。
そして一言。
「合格だ」
静かに言う。
ジョシュアの呼吸が止まる。
「さて」
カイは続ける。
「教えてやろうか」
「ジョシュアが成り上がる方法を」
ジョシュアの目が細くなる。
「……あぁ?」
カイは空を見上げる。
夕暮れ。
ガラクタ森が赤く染まる。
「バリュークロック」
「スタンド使いだけの戦場だ」
風が吹く。
世界が、少しだけ変わる音がする。
#■to be continue
ジョシュア・ジョバーナ
スタンド名『ドント・ストップ』
パワー A
スピード B
射程距離 B
持続力 A
精密動作性 D
成長性 A
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