余命一年なのでグレたアイドルの終活プロデュースして死にます   作:はつぼし たろう

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第14話 先輩として、できること

 適当な空き時間を使い、藤田ことねという生徒について一通りの情報を集めた。

 

 星南さんにはとりあえず二、三日かかると言ったが、そこまで時間をかけるまでもなく藤田さんが抱えている事情はだいたい見えてきた。スカウトをするわけではないので、大筋がわかれば十分だ。

 

 というわけで、星南さんと話した次の日に早速会いに行くことにした。

 やってきたのは一年一組の教室である。

 

 賀陽さんをスカウトした時と同じように、帰りの時間を見計らっての待ち伏せだ。

 いらない誤解を与えそうな気もしたが、藤田さんの行動パターンがわからないので致し方ない。

 

 チャイムが鳴って、帰りの挨拶が聞こえてきて、それから続々と生徒たちが教室を出てくる。藤田さんはすぐには現れない。

 

 顔は写真で把握しているので見逃すことはないだろうが、そこまで待っている必要もないのでおれは教室の中を覗いて声をかけることにした。

 

「すいません、藤田ことねさんいらっしゃいますか」

「ん? あれ、燐羽のプロデューサーさん」

「げっ、月村さん……」

 

 教室入り口の傍にいたのが、よりにもよって月村さんだった。

 うわめんどくせっ、という気持ちが普通にあふれ出てしまった。

 

「『げっ』? 今『げっ』って言いました?」

「言ってないですよ。気のせいじゃないですか? それより、藤田ことねさんいらっしゃいます?」

「はぁ? ことねに何の用?」

「いや別に月村さんにお話するようなことは……」

「私に話せないようなことなんですか? ……まさかあなた、燐羽というものがありながら……!」

「違う違う、違いますって。あぁもう……」

「――あら、プロデューサーじゃない。どうしたの?」

「っと、花海さん、どうもお久しぶりです」

「あなた、咲季にまで手を出してるの!?」

「出してない出してない、花海さんこの人どうにかしてください……」

「ちょっと手毬! わたしはまだ手を出されてないわよ!」

「まだ!? いったいどういうこと!?」

「…………」

 

 顔出さなきゃよかった……数秒で話がこじれすぎだろ……。

 

「あの……ちょっと藤田さんに用があるだけなんですが……」

「ことねに? スカウト……ではないわよね?」

「ええ、当然です」

 

 とりあえず、花海さんは話が早いことには早い。月村さんの誤解を加速させたのはいただけないが、彼女が藤田さんを呼んでくれることになった。

 ちなみに月村さんは腕組みしておれを横から睨んでいる。帰ってほしい。

 

「――はいはいは~い! あたし! あたしが藤田ことねですっ! あの、あのあの! プロデューサー科の人が、あたしに用事って……!?」

 

 教室の奥の方にいた金髪おさげの子は、花海さんに話しかけられるなりこっちを見て、すぐさま飛んできた。

 

 目が、キラキラと輝いている……これは、初手で誤解を解かないと悪いな。

 

「藤田さん、先に言っておきますがスカウトではありません。期待させて申し訳ないですが」

「あ……そですか……まぁそうですよねーアハハ……」

「フッ、そうだよことね。この人は燐羽のプロデューサーだから。あなたのプロデュースをしてる時間はないの」

「月村さん、余計なこと言わんでいいですから」

「そうよことね! この人はいろいろ事情があるの! わたしだってスカウトしてもらえなかったんだから!」

「花海さんも、なんで二人揃って追い打ちかけるようなこと言うんですか」

 

 鬼か。

 いや、そもそもおれもいろいろと迂闊だったな……藤田さんには大変申し訳ないことをした。

 

 藤田さんは「へへっ、どーせそんなこったろーと思ってましたよー期待なんてしてませんよー」……とかなんとかぶつぶつ言いながら煤けている。本当にごめん。

 

「ええと、おれからのスカウトではないのですが、決して悪い話ではないので……今からお時間大丈夫ですか?」

「それは、ハイ、今日はバイトないので大丈夫ですケド……」

 

 ……という感じで、なんとか話をするところに漕ぎつけたのだった。

 

 月村さんは、非常にもの言いたげではあったが、ひとまずは花海さんが抑えてくれた。本当に助かったありがとうございますお姉ちゃん……。

 

 

     ☆ ☆ ☆

 

 

 場所は、活動拠点にした。というか、わざわざそれ以外を選ぶ理由がない。

 

「し、失礼しま~っす……おおー、これが活動拠点の教室……プロデュース契約結ぶと、この部屋自由に使えるんですよね?」

「ええ、そうですね」

「いいなぁ……あ、えと、今日って賀陽燐羽さんは……?」

「今日はレッスンなので、ここには来ないですよ。トレーナーさんに見てもらっています」

「そ、そですか……」

 

 そわそわきょろきょろしている藤田さんに椅子を勧める。

 コーヒーか紅茶かどちらがいいか尋ねると一度遠慮されたが、インスタントだからと言うと彼女は紅茶を選んだ。

 

 そうして藤田さんと自分の分のカップを用意してから、おれも席に着く。

 

「……さて、藤田さん」

「ハ、ハイッ!」

「お話というのはですね、星南さん……十王会長のことでして」

「げっ、じゅ、十王会長の……?」

 

 藤田さんの顔が引き攣った。「げっ」って言ったな、「げっ」って。

 

「いや~あの~……か、会長の差し金、みたいな?」

「いえ、中立の立場のつもりですよ。今のおれの認識では、あの人が藤田さんに無茶なスカウトをしているのでは、という感じで」

「……スカウト、だったんですかね? なんか、会長が一年生の子たちをプロデュースし始めたーってのは聞きましたケド……」

「……そこからか」

 

 無茶とかどうとか以前に、スカウトとして認識されてない……。

 

「ちなみに、具体的にはどんな感じで声をかけられていたんでしょうか」

「え~……最初はなんか、急に私のモノになれとか言ってきて、あの十王会長がっていうのもあってすっごい驚いて……でもなんか、鼻息荒くしてグイグイ近寄ってきたから、怖くて逃げちゃったんですけど……」

 

 すごい、初っ端から終わってる。

 おれは若干気が遠くなりつつも、藤田さんに続きを促す。

 

「その後も、いろんなところに出没するようになって……学園内はもちろん登下校中とか、寮の中とか、近所のスーパーとか、挙句の果てにバイト先まで……」

「立派なストーカーじゃねぇか」

 

 思わず素が出た。

 おれの出した接見禁止令、何も間違っていなかった。

 

「この間なんて、教室に来たと思ったら、急に現金渡しに来たんですよ……」

「……それは、本人にも聞きました。怖かったでしょう」

「怖いですよ! 本当に! なんなんですかあの人いったい!?」

「もはやおれにも……いや、ちょっとこう、空回ってるだけだとは思うんですが」

「空回りすぎです!!!」

 

 ぐうの音も出ない。ちょっと擁護してみようかと思ったが、全然無理だな。おれは勝てない勝負はしない男だ。

 

「……えーっと……藤田さん的に、星南さんに対する今の印象は……?」

「シンプルに怖いです。というかもう……ぶっちゃけちょっとキモ……みたいな……」

 

 ……一人称が「き」の可能性は……文脈的に、ないか……。

 

 どうしよう。

 想像以上に星南さんの印象が悪すぎる。

 

 おれももはや星南さんよりは藤田さんの味方をしたい。彼女を星南さんの魔の手から解放してあげたい。そんな気分である。

 

 ここから話をどう展開しようか、とおれが悩んでいると、ふと藤田さんが慌てたように「あ、でもでも!」と言いだした。

 

「その、元々は、というか……今も、憧れのアイドル、ではあるんですよ? 本当に、小さい頃からテレビとかで()()()()()を見てて、あの本物の()()()()()だって、初星学園に入ってから実物を見てすっごい興奮しましたし……だから、認知されてるだけでも、本当はすっごく嬉しいはずなんですけど……」

「……なるほど」

 

 星南さんは初星学園に入学してから頭角を現したアイドルではなく、幼い頃、四歳五歳の頃からテレビに出演していた。

 かく言うおれも彼女が朝の番組でデビューして注目されていたのをリアルタイムで知っており、初星学園で出会って深い仲になったことがふと不思議に思えてしまうような有名人。

 それこそ、今初星学園にいるアイドル科生徒たち、その半分以上が星南さんに憧れて入学していたとしてもおかしくないというほどなのである。

 

 ……すなわち、ワンチャンスがないことは、ない。

 いや、むしろ……。

 

 ……よし。

 

「藤田さん。星南さんに、最後でいいのでもう一度チャンスを与えてくれませんか?」

「チャンス、ですか?」

「ええ。おれが間に入ります。というか、事前に星南さんの言動の意図を翻訳して、藤田さんに伝えましょう。それから直接話す機会を設けて、その時にも同席します」

「は、はぁ……あの、プロデューサーさんは、なぜそこまで? 十王会長とは、どういう関係なんですか……?」

「星南さんとの関係は一言で表すのが難しいのですが、まぁざっくり腐れ縁のようなものです。去年からのですが。それで……プロデューサーとしての後輩、みたいなもので。ちょっとしたお節介です」

 

 たぶん、そうだ。

 ちょっとお節介を焼きたいだけなのだ。うん。

 

「どうでしょうか、藤田さん」

「うーん……あの、一番大事なとこの確認なんですけど、十王会長があたしのことをプロデュースしようとしてる、っていうのは……本当の本当、なんですか?」

「ええ、それは間違いありません……委縮させてしまうかもしれませんが、彼女は自分の後継者を育てようとしています。藤田さんは、その一人に選ばれようとしているんです」

「ウッソォ……えーマジ……? でも、プロデューサーさんまで言ってるし……?」

 

 と、半信半疑な様子の藤田さん。

 

 おれの説明でどこまで納得してもらえるだろうか。

 

 

     ☆ ☆ ☆

 

 

 藤田さんの同意、それに星南さんの方も時間があるということで、おれを含めた三者面談はその日のうちにおこなうことになった。

 

 まぁ星南さんはもはや準備をさせればさせるだけ物凄い勢いで空回りしそうなので、こうしてぶっつけ本番で行った方がいくらかマシだろうと思ってのことだ。

 

「では藤田さん、よろしいですか?」

「は、はい……!」

 

 藤田さんは、覚悟を決めたように頷いたので、おれは生徒会室の扉をノックする。

 

 どうぞ、という声を受けて、久々に……本当に久々に、生徒会室の扉を開けた。

 

「――よく来てくれたわ、ことねっ!!!」

「あー、はい、どもっす……」

 

 テンションの差が……。

 

 おれは大きく咳払いをして、興奮を隠そうともしない星南さんをさっそく牽制する。

 

「星南さん、メッセージでもお伝えしましたが、今回の話し合いにはおれも同席します。藤田さんをスカウトするのはあなたですが、行き過ぎた言動があればストップをかけます。基本、おれは藤田さんの味方だと思ってくださいね」

「な、そこまでは聞いていないのだけれど!?」

「言ってませんからね。さ、ではどうぞ」

 

 と、おれは一歩下がって、星南さんと藤田さんの二人を向かい合わせた。

 

「ことね……」

「は、はい……」

 

 星南さんは胸に手を置いて、万感の思いがこもっていそうな声で藤田さんの名前を呼ぶ。

 藤田さんはそれを受けて既に一歩後ずさりそうになっていたが、ギリギリで堪えていた。

 

「ついに……私のモノになると決めてくれたということかしら……?」

「ヒエッ……」

 

 あ、ダメだ。

 星南さんが一歩前に出ようとして、藤田さんがさっそく後ずさった。

 

 おれは、「ピピーッ!」とホイッスルを吹いた。

 

「きゃっ!? 何!? えっ笛!?」

「星南さん、そこの床の線を踏み越えないように。反則です」

「反則!? どういうこと!? というかなんで笛!?」

 

 気にしないでほしい。厳正な審判行為に必要だから持ってるだけだ。

 

「発言にも気をつけるように。もっと具体的に、事務的な内容を心がけてください。次はファウルを取りますからね」

「な、そんなっ……私の……私のこの溢れ出る思いをそのまま伝えて何が悪いというの!?」

「伝える相手のことをよく考えましょう。藤田さんの表情を見てください、この引き攣った顔を」

「……ええ、どんな表情でもことねはかわいいわね!」

 

 ピピーッ! はいファウル。

 

「藤田さん、忌憚のない意見をお伝えください」

「え、えぇーっとぉ……十王、会長……?」

「星南でいいわよ! ことね!!」

「はい星南さんファウル、ファウルですよ」

「厳しくない!?」

 

 違う、一言ごとにはみ出しすぎなのだ。藤田さんに安心して喋らせてあげてくれ頼むから……。

 

「……会長。あの、会長は、あたしをスカウトして、プロデュースをしたいということ……なんですか?」

「ええ、そうよ!」

「なんで、あたしなんですか? プロデューサーさんに聞きました。後継者を探してるんだって……あたし、中等部時代からずっと落ちこぼれなのに、あたしの何がいいんですか?」

「ことね、あなたには才能があるのよ。アイドルとしての、比類なき才能が! 私の、この曇りなき眼を見てちょうだい! お世辞でそう言っているように見えるかしら!?」

「……見えない、です。けど……」

 

 ……やはり、ここからすれ違っているのだな。

 

 藤田さんは、自己評価が低い。

 実際、中等部時代からの成績は芳しくないのだからそうなるのはやむを得ないし、多少彼女のことを調べた程度のおれからしても正直妥当なものだと思う。

 

 しかし、星南さんはと言えば、そんな客観的な事実など歯牙にもかけず、自分の目に映るものだけを信じて藤田さんを非常に高く評価している。

 

 問題は、そのギャップがある一点によって余計に大きくなってしまっていること。

 それはすなわち、()()()()()()()、という点。

 藤田さんが、なまじアイドルとしての星南さんを憧れとして見ているからこそ、「そんなことありえない」とより強く思ってしまっているのだろう。

 

 つまり、二人の間にあるのは、ほんの少しのボタンのかけ違いでしかない。

 こんなにも惜しいことがあるだろうか。

 

 ……まぁ、星南さんの言動に目を瞑れば、という注釈も必要なのが残念なのだが、しかしとにかくもったいない。

 

 実際に藤田さんがどれだけ伸びるのかは未知数だが、そのスタートすら切れないというのは、一人のプロデューサーとして看過してはいけないと思った……()()()()()()()

 

「……藤田さん。星南さんの発言が抽象的で、性急で、直情的なのは申し訳ない。おれが謝ります」

「ちょ、先輩――」

「――ですが、星南さんの見る目は、確かです」

 

 おれがそう言うと、星南さんは押し黙った。

 藤田さんが、おれを見ている。

 

「彼女は十王星南、あの十王星南です。初星学園の頂点、一番星(プリマステラ)。それでいて彼女には、プロデューサーとしての才もある……そんな星南さんがあなたに何か、光るものを見出しているんです。いずれは一番星に取って代わるというほどの、今はまだ小さいかもしれないですが、光るものを……それを信じてみることは、決して分の悪い賭けではないでしょう」

「光る、もの……賭け」

 

 藤田さんは、胸の前で両手をぎゅっと握って、それを見つめた。

 そして、ゆっくり顔を上げると、星南さんの方へまっすぐに視線を向けた。

 

「会長……本当に、あるんですか。あたしの中に、光るものが」

「……ええ、間違いなく。他にも、同じものを持っている子たちがいる。私が生徒会に勧誘した子たちよ。その子たちとライバルとして競い合い、仲間として高め合えば……きっと、いいえ必ず、私なんて塗り潰してしまうくらい輝けると信じているわ」

 

 星南さんがそう答えると、藤田さんは目を伏せて、拳を震わせて――それから、もう一度星南さんを見つめて、大きな声で叫んだ。

 

「――わっかりましたよぉっ! やってやる、やってやりますよっ! まだ、自分のことはてんで信じられませんけど……十王会長、十王星南! あたしは、あたしの憧れのことを信じます! あたしを、あなたに賭けさせてください!!」

「――ええ! 藤田ことね! 私があなたを一番星に、いえ、世界のてっぺんで輝くトップアイドルにしてみせるわ!!」

 

 

     ☆ ☆ ☆

 

 

「ことね。今日は、本当にありがとう。私のスカウトを受けてくれて。今後のことは、また明日にでも詳しく話しましょう」

「は、はい! よろしくお願いします――星南プロデューサー!」

「……ええ! よろしくね!」

 

 藤田さんは、おれの方にもわかりやすく顔を向けたあとに、深々とお辞儀をして生徒会室から立ち去っていった。

 

「……先輩」

 

 そして、星南さんが、立ち尽くすおれを呼んだ。

 

 ……いや、大丈夫。

 少し、()()()()()だけだ。

 

「星南さん、すいません。出しゃばりすぎました」

「……いえ、いいの。今の私だけでは、きっとことねのスカウトは成し遂げられなかった……あなたのおかげで、念願が一つ叶ったわ。ありがとう」

 

 星南さんはそう言っておれに微笑みかけると、ゆっくり近づいてきて、おれの手を取った。

 

「……少し、痩せたかしら」

「……まぁ、少し。気を付けてはいますよ」

 

 そう、と彼女は小さく呟く。

 

 ……おれは、どうしても耐えられなくなって、口を開いてしまった。

 

「……おれにもっと時間があれば、あなた一人でも藤田さんのスカウトができるよう、教えられることがあったと思います」

 

 おれを見上げた星南さんは目を見開いていて、一瞬だけ唇を震わせたかと思うと、しかし無理矢理な笑みを口元にたたえた。

 

「……まだまだ、時間はあるでしょう、先輩。私は、盗めるだけ盗むつもりなんだから」

「はは、まぁ、それもそうですね――ああ、だから、これはちょっとした埋め合わせです」

「埋め合わせ?」

「ええ。今回『初』で担当アイドル同士を競い合わせることはできない。あなたからの、せっかくの誘いを断ってしまいました。藤田さんの件は、その埋め合わせだと……そういうことにしておきましょう」

 

 後輩へのお節介、なんて言うよりはよほどしっくりくる。

 

 賀陽さんのことは、第一優先だ。

 彼女は担当アイドルで、おれはプロデューサーなのだから。

 

 ただ、本当は比較なんてできないほどに、星南さんのこともおれの中で優先順位が高いのだ。

 

 賀陽さんがもしも『初』に参加してくれれば、などとは微塵も思わないが、しかし同時にプロデューサーとしての星南さんと競い合いたかったという気持ちも強くある。

 

 矛盾しているが、矛盾は矛盾のままで、おれの心の中にあり続けていたのだ。

 

「……いいわ、先輩がそれで納得できるのなら、そういうことで」

 

 星南さんは、苦笑いを浮かべながらもそう言ってくれた。

 

 ……沈黙。

 

「……星南さん、そろそろ離れましょうか?」

「っ! え、ええそうよね! ご、ごめんなさい!」

 

 星南さんは慌てて手を放して、顔を赤くしている。

 ……そもそも、なんで手を握ってきたんだか。おれのプロデューサー力を試してきていた……なんていうのは朴念仁がすぎるだろうが、まぁ、あえて言葉にはするまい。

 

「また、生徒会室に遊びに来ますよ。いいですよね?」

「も、もちろん! 莉波も燕も、あなたに会いたがっているもの」

 

 そうか、雨夜さんも……姫崎さんとは話ができたが、そう言えば雨夜さんとはまだ顔を合わせられていなかった。

 まぁ、おれの動向に一番怒っていたのが彼女だから、顔を合わせるのは少々恐ろしいのだが……仕方がない、腹をくくろう。

 

「おれも、今日のところはこの辺りで。星南さん、また」

「……ええ、またね、先輩」

 

 控えめに手を振る星南さんに、おれも軽く手をあげて応えるのだった。

 




先日おはガチャで裸星南が出てくれてハッピー♪(温存に変更/元気+10/※レッスン中1回)

てまひろ連続ピックアップにはだいたい財布を破壊されていますが今回は割と傷浅めで通り抜けられました
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