おじさん(真) in 牢屋敷   作:ちょっと待って!

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 マジ遅れました…ホント申し訳ない。

 書きたいものをほんのり思いついたのでゆるゆる書いてたんですけど、今までの書いてたものを見直したら酷い出来だなって思ってちょっと止まっちゃってました…。

 二次創作ってそういうもんかと思い直せたので投稿します。

 あと単純に他の人の初見まのさば見てやる気が湧きました。
 第二章突入した時の反応が面白すぎる。


おじさんのDIY①

 あの後抱きついた姿勢のまま寝てしまったアンアンを抱え、ヒロと男は二人…ないし三人で地下牢へ向かっていた。

 医務室でも良かったし、むしろそっちの方がいい気がしたが──

 

「先生…貴方は自分の立場を理解しているのか?傲らないというのは確かに長所たりえるが、自身を正しく理解できていないのなら話は変わってくる。この屋敷にただ一人の男性という立場、ミリアと以前から知り合いであり、とどめにシェリーとの例の騒動……忘れたとは言ってほしくないな。あの騒動の鎮火にどれほどの時間がかかったか貴方は見ていたと思うが、自身がどれだけ浮いた話の格好の的か、ということをそれで理解はできなかったか?もし理解できたと言うなら…そんな貴方がわざわざ少女たちの多く集まる医務室にアンアンを抱いて運んでくる、という状況が何を表してしまうのか分からないはずがない、というのは買い被りか?」

 

 ──という風に論破されてしまった。

 弁護士として不甲斐ない限りではあるが、にしたって口論が強すぎやしないだろうか。

 若干の私情が入っている気がするが…今まで風紀を守っていたヒロからすれば、他意はない(と主張している)が風紀を乱しているこちらは目の敵だろう。

 むしろ思いっきり態度に出さないだけ素晴らしいとすら思う。

 まだ中学校を卒業したばかりだというのに、むしろ大人顔負けまであるかもしれない。

 

 

 …自分が中学を卒業していた時は何をしていただろうか。

 勉強をして、時たま友人と遊んで。

 ちょっとばかり利口なだけの子供らしい子供だったと思う。

 

 翻って、ここにいる子達はどうか。

 

 皆普通の子供だ。

 ここに閉じ込められたのだって、ただ魔法が使えたからというだけだ。

 非なんてものは1ミリたりともない。

 帰りたいという気持ちもあるだろう。

 友人ができても、どこか寂しくなる日もあるだろう。

 

 だから、この島に訪れた時どんな扱いをされても受け入れる気でいた。

 当たり散らかされても仕方がないし信頼関係を築くのには時間がかかるか、もしくは不可能だと思っていた。

 それでも責務を全うしなければならないと覚悟していた。

 

 だというのに。

 

 

 

 皆いい子すぎない???

 

 何ぃ?!何でぇ?!?!普通急に誘拐されて閉じ込められたら取り乱して怒るものじゃない?!

 いやまぁおじさんは何にも関与してないから怒っても仕方がないというのは理屈の上では分かるかもしれないが、かもしれないが…!

 

 屋敷から出たくない子が多数派なのかと思えば、過ごしてみた感じだと外に出たい子も多いようだし、本当に訳が分からなくなる。

 

 それにおかしいことはもっとある。

 

 彼女たちがここに連れてこられてからまだそこまで長い時間は経ってないはずなのだが…。

 どうにも皆仲がいいし、ここでの生活に慣れている感じがする。

 

 閉鎖空間で団結した、人間は慣れる生き物、などと言われればそれで説明がついてしまうが…やはり変だ、という感覚は拭えない。

 

 先ほどアンアンちゃんが言っていたが、今までに一度劇をしようとして頓挫したらしい。

 しかもヒロちゃんの助けがあったとはいえ一度台本まで書き上げていたらしい。

 閉じ込められてから今までに、だ。

 時系列がどうもしっくりこない。

 

 ……しかし、踏み込んでもいいものか。

 

 多少なりとも信頼関係は構築できたし、皆のプライバシーに踏み込むような話題でもないはずだ。

 だとして、聞くとしたら誰に?どのように?

 

 時系列がおかしくない?とでも言うのか?

 別にありえない話でもないのに?

 そんなことヒロちゃんに言ったら「おかしいのは貴方の頭では?」とか言われてしまうのでは?

 

「今、何か失礼なことを考えなかったか?」

 

「か、考えてないよぉ?!」

 

「……はぁ、階段があるから足元に気をつけるように」

 

 そう言って先導して地下牢へと向かっていくヒロちゃんを追いながら、考える。

 

うーん…うーーーん…。

 

 …聞いてみてもいいんじゃないか?

 よく考えてみれば流石にちょっと気になったことを聞くくらいならヒロちゃんもそこまで辛辣にはならないだろうし…多分、きっと…?

 

 階段を降りきると、一人の少女がこちらに向かってきていた。

 あの子は…。

 

「わぁ、ヒロちゃんとおじさんだ。なにしてるの?」

 

「こんにちは、ノアちゃん」

 

 城ケ崎ノア、少なくとも自分が見る限りではずっと絵を描いている少女。

 アンアンちゃんと同じ屋敷残留組の子だ。

 

「ノアか…アンアンが寝てしまったから、先生に運んでもらっているんだ」

 

「そうなの?…アンアンちゃん、大丈夫…?」

 

「どうやら少し小説…台本?を書いて疲れてしまったみたいでね。特に体調に問題はないから心配しなくて大丈夫だよ」

 

 納得はしたようだが、それでも心配らしい。

 眉を顰めながらアンアンちゃんの顔を覗き込もうとしている。

 

 あんまり背伸びするので倒れそうでこちらも心配になるし、今手が塞がっているから助けられないので程々にしてほしい。

 どうにか止める方法はないだろうか…。

 …あ。

 

「そういえばノアちゃんとアンアンちゃんは同部屋だよね?なら手伝ってくれないかな?ほら、おじさんたちがアンアンちゃんの部屋のものに触れるのも申し訳ないしさ」

 

「…!うん!のあに任せて!」

 

 顔を明るくして自分の部屋へと向かっていく。

 あんまりにも可愛らしい様子につい笑みが溢れる。

 

「四人目…と」

 

「違うからね?!」

 

 なにやらヒロちゃんの中では自分は女誑しクソ野郎として認識されつつあるらしい。

 ミリアちゃんとは関わりがある、という程度の話だしアンアンちゃんは多分父性を求めていて、自分はそれの代替品くらいの認識なのだと思う。

 

「…まぁいい。ノアを待たせるわけにはいかないから、行こうか」

 

「解せないなぁ…」

 

 少なくとも二人に関しては謂れのない罪だ。

 シェリーちゃん?…まぁ、いやぁ…はい……。

 初日以降特に何もないのが、一時の気の迷いだったのか嵐の前の静けさなのか……ちょっと怖い。

 

 何度もため息を吐くヒロちゃんを追いかけて、二人の部屋に向かう。

 

「えっとね、アンアンちゃんのベッドはこっちで…」

 

「おぉ…」

 

「…ノア、君というやつは」

 

 目の前の部屋はものすごく散らかっていた。

 流石に部屋そのものに描かれてはいないが、床には絵が描かれた紙が散乱して足の踏み場に迷う有様だった。

 

「あっ…えっと……ヒロちゃん…?」

 

 恐る恐るという具合にノアちゃんが口を開く。

 ごめんノアちゃん…!目で助けを求められても無理だ…!おじさんも怖い!横目に確認するのですらも怖い…!

 

「はぁ…匂いのあるスプレーでないだけ、いいとしようか」

 

「…!ありがとうヒロちゃん!」

 

「……とはいえ、ここまで散らかっていると問題じゃないかな?これだけ広い屋敷ならどこか、アトリエとかにできる部屋とかないのかい?」

 

 少し質問をしただけなのだが、ヒロちゃんは難しい顔をしていた。

 

「心当たりはあるが…再現性がなくなってしまったというか、今ではどうにもできないというか」

 

「…魔法があれば移動できた、とか?」

 

「似たようなものかな…魔法があればどうにかできたんだが…」

 

「のあが扉を描けなくなっちゃったから…」

 

「うーん…?」

 

 どうやらノアちゃんの魔法が鍵のようなものになっている場所があったらしい。

 過ごしている限りでそれらしきものは見つからなかったが…。

 

「見取り図は見せただろう?二階にある空間だ」

 

「あぁ…」

 

 二階にある謎の空間、気になってはいたがそういうものかと思っていた。

 しかしどうやら魔法の発動によって中に入れる不思議空間だったらしい。

 

「なにか道具でドアを作ったりはできないかな?」

 

「やろうにも力が足りなくてね…シェリーの魔法が健在ならどうにかなったかもしれないが…」

 

「なら、おじさんに任せてほしいかな!少なくとも多分みんなより力はあるし…DIYにはまってた時期もあるんだよー?」

 

「わぁ…もう一回アトリエに入れたら、のあ嬉しいなぁ!」

 

 少なくともノアちゃんは乗り気のようだ。

 誰かが笑顔になる仕事程やりがいがあるというもの。

 

「それなら、私も手伝おう。人手がいたほういいだろうし皆にも声をかけてみようか」

 

「助かるね。おじさん力は多少あっても体力はないから…歳でね……」

 

「…物悲しいな」

 

 同情されてしまった!

 

~~~

 

 ヒロちゃんは宣言通り少女たちを呼び出し

 

「力作業ですね!張り切っちゃいますよ~!」

 

「ヒロちゃん?」

 

「…すまない、その、気圧された」

 

「あのヒロちゃんが…?!」

 

 堅物の擬人化とでも言うべきヒロちゃんが押し負けたらしい。

 

「シェリーさん、あなたまだ体の不調が治っているわけではないんですのよ!張り切るのは勝手ですけど…無理は禁物、ですわ」

 

「えぇ!大丈夫ですよー!」

 

 お目付け役のハンナちゃんがいるため、無理をする心配はなさそうだが…どうにも異様に張り切っている。

 少し目を向けていると、それに気づいたのかシェリーちゃんもこちらを向く。

 

「…それに、良いところの一つくらい、見せたいじゃないですか?」

 

 少し目を細めて笑みを浮かべながら、こちらに手を振ってくる。

 

「…あなた、マジで隠そうともしませんのね……バカ度胸すぎますわ」

 

「隠す意味あります?」

 

「ミリアさんみたいな方が普通なんですわよ!」

 

 ハンナちゃんはチラリとある方向を見る。

 そこには先ほど話題に上がったミリアちゃんがいた。

 

「うぅ…あたしももう少し積極的に行った方が…!?で、でもぉ…!」

 

 小さな声でぶつぶつと呟いているが、何を言っているかはわからない。

 わざわざ聞くほどでもないだろうと、とりあえずはそっとしておく。

 

「大人気だな?先生」

 

「嫌味かい…?」

 

「そう思うなら、少しくらいは自分の言葉が相手にどう思われるか考えてから発言してほしいものだな?」

 

 ホントに嫌味だったらしい。

 

「ねぇねぇ、どうやってドアを作るの?」

 

「え?あぁ、うんと…そう、だなぁ……」

 

 話を聞いた感じ、昔魔法か何かでこの部屋のドアは隠されてしまったらしい。

 魔法は無くなったと聞いたが…。

 なぜかこの部屋のドアは消えたままらしい。

 そもそも部屋がなくなったことも考えたが…。

 

 少し、壁を叩く。

 

「…多分ありはする、かな」

 

 反響音はするから、部屋自体は存在している。

 とするときっとドアが消えているだけなのだろう。

 

「なら単純に、壁を壊せばいいかな」

 

「うーん…どうやって?」

 

「シェリーではないのだから、拳では到底無理だと思うが…」

 

「魔法がない今のか弱いかわいいシェリーちゃんじゃ無理ですよー」

 

(魔法があればできたんだ…)

 

 工具があれば、どうにでもなるが…。

 

「この屋敷に工具などはないかな?ノコギリとかあれば助かるんだけど」

 

「…あるとしたら、この中だ」

 

 ヒロちゃんは壁をコンコン、と叩く。

 

 …そうなってしまうと…

 

「入るために工具が必要で、工具を得るためには中に入る必要がある…か」

 

「困りましたねー…それ以外の道具でもできないことはないと思いますけど…」

 

「流石に時間と労力がやべーですわ…」

 

 …しかし、やると言った手前諦めるわけにも。

 

「せ、先生?ちょっといいかな」

 

「?どうしたんだい、ミリアちゃん」

 

 おずおずとこちらの手を引いてくる。

 なんだか顔が赤いが、大丈夫だろうか。

 

「中に入るだけなら、なんとかなる…かも?」

 

「えっ、本当かい?!」

 

「?!ちょっ…近っ…!」

 

 興奮して、顔を近づけてしまったらしい。

 手も握り返してしまったし…まずい、セクハラか?

 

「あ…っと、ごめんね?大丈夫?」

 

 すぐに手を離して、距離を取り直す。

 少し顔を赤くしてミリアちゃんはボーッとしている。

 

「…言動に気を付けろ、とあれほど言ったはずだが」

 

「うぐ、申し訳ない…ミリアちゃんも、ホントごめんね…」

 

「うぇ?!い、いやいや全然あたしは大丈夫!…む、むしろ嬉しいって言うか…

 

「…そういえば、ミリアさんさらっと一人称変えてますよね」

「そういうものなんじゃありませんの?あなたがさっき言ったみたいに好きな人には良いところを見せたいものでしょう」

「そうみたいですね〜…これは手強い相手です!」

 

「ミリアちゃん?どうやって中に入るの?のあ、もう魔法でお絵描きできないよ?」

 

「う、うん。魔法じゃなくて…そもそも、この部屋はあるけど、ここにドアがないだけだよね?」

 

「そうだね、おそらくだけど部屋自体はあるよ」

 

「なら、別のところから入ればいいんじゃないかな?」

 

(別のところ…?)

 

 自分は何も思いつかないが、他の子達は何やら思いつくものがあるらしい。

 

「あぁ…確かに、入ること自体は可能なのか」

 

「ですわね、不便ですから普段使いしたくありませんけど」

 

「皆が気づいてるところ申し訳ないんだけど…おじさん分からなくて…」

 

「入ったことないですし、しょうがないかと。あ、私が必要なものを調達してきますね!」

 

「あ、ちょっとシェリーちゃん!」

 

 走り出そうとするシェリーちゃんを呼び止める。

 

「何が必要なんだい?重いものならみんなで運んだ方が…」

 

「…!そうですね!じゃあ来てください!」

 

「え?おわ?!」

 

 手を引っ張られて、連れていかれる。

 細い手ではあるがかなりの力強さを感じる。

 加減ができていないのなら、やはり無理はさせられない。

 少なくとも見ておいた方が良いのは確かだから、とりあえず引っ張られるのを受け入れた。

 

「あ、あわ、あわわわ…!」

「あの人は、もうほんっっっとうに…人の話を聞きませんわね…」

「わぁ〜…シェリーちゃん、大胆だねぇ」

「はぁ…」

 

〜〜〜

 

「じゃじゃん!必要なのは梯子でした!」

 

「…梯子ってよりは脚立じゃないかな?」

 

「高い所に登る物なのは一緒です!本質を見ましょう!」

 

 論破されてしまった。論破かこれ?

 脚立…ないし梯子をシェリーちゃんと一緒に運んできたのは中庭だった。

 

 予想していたのか他のみんなもそこで待っていた。

 

「成程ね、窓から入るのか」

 

「はい!…まぁ窓以外に通じてる場所がなくもないんですけど」

 

「とっても疲れちゃうし、服も汚れちゃうよ?」

 

「まぁ、要は消去法というだけの話だ…それよりも、さっさと工具を取ってしまおうか。作業もしなければならないのだし」

 

 あぁ、そういうことなら…。

 

「おじさんがコレを下で支えておこうか?もし落ちて来そうになっても多分下敷きになったりキャッチできるかもだし」

 

「あぁ、お願いしよう。あの部屋に一番詳しいのは…ノア、行こうか」

 

「うん、わかった〜。おじさん、ちゃんと支えてね?」

 

「任せてほしいな!…それはそれとして、二人とも気をつけてね?」

 

「はーい」「わかっているさ」

 

 登って少し時間が経った後、工具を見つけて2人は降りてきた。

 

 コレで少しは作業が楽になるだろうか、なんて思いながらまた皆で先ほどの部屋の前に戻った。

 

〜〜〜

 

「ん…」

 

 目を覚ますと、そこはわがはい(とノア)の部屋だった。

 心地よかった暖かさはもうなかったが、それでもなんだか残っているものがあるように感じる。

 

 …思い返してみると、随分と恥ずかしいことをした気がする。

 父性を感じて抱きついて、泣いて、疲れて寝る。

 

「…!」

 

 赤子か何かか?という疑問が頭を巡って、枕に顔を埋めてしまう。

 …でも、まぁミリアが好きになる気持ちも少しは分かるのかもしれない。

 

 暖かいのは、安心する。

 きっとミリアもそうなのだろう。

 

 最初は、どこのどいつだ?という気持ちだった。

 ミリアが取られたように感じた。

 

 でも、少し関わってみると。

 ミリアと同じくらい優しくて、暖かな気持ちになれた。

 

 …どうやらシェリーのことも誑かしている様子だが。

 本人にその気がないなら、無罪だろうか。

 それとも、逆にダメなのだろうか。

 

 …まぁ、どちらを選んだとしても、選ばなかったとしても。

 

 あぁ、どうか、どうにか。

 

 

 わがはいの友が幸せになれますように。

 

 

 

「…せめて、友の幸せくらいは、願っていいだろう?」





 少しだけ今までのやつを手直ししたので読みやすくなってたらいいなぁ、と思います。

 読みづらくなってたら申し訳ない。
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