永世が永世であるための物語 作:すてら @ジョジョ 死亡遊戯
楽しみにしてくれてる人はいるか分かりませんが、(いないであろう)本当にすみません……
謝罪からの始まりとなってしまいましたが、どうか。
あなたの時間をいただけると幸いです。
永世は、重い足を引きずって馬に乗った。
(1)
「痛った……」
ここまで強烈な痛みを身体が記憶したのは、初めてのことだった。
昔から運動神経は良かった方なのだが…いや、だからこそ、か。
良かったからこそ、こんな痛みはなかった。
初めて乗馬した時も、馬から落ちたり、蹴られたりすることもなく華麗に乗って見せた。
馬に乗って、進む。
身体的にも、気分的にもあまりスピードを上げる気にはなれなかったので、ゆっくり。
自身の失態に対する恥ずかしさで心はいっぱいだった。
今、攻撃でもされていたら────────────
ああ、考えるだけでぞっとする。
(2)
永世は、3つの〈鉄球〉を所持していた。
私を襲ってきた3人組から奪ったものである。
そして、ひとつの〈宝〉。
今回のキーアイテムである。
それの見た目はまさしく〈右腕〉。
なんとなくだが、私はそれを〈遺体〉と呼んでいる。
(3)
そろそろ身体の痛みが引いてきたところで、永世は馬のスピードをあげた。
〈鉄球〉のうち2つが、〈当たり〉だった。
ひとつは〈左脚〉、またひとつは〈胴と頭部〉。
なぜ首のところはぶった切られていないのかは不思議であったが、どうでも良いことなので脳内からそれは切り捨てることにした。
(4)
余計なことは切り捨て、冴えきった頭で、永世は覚悟を決めた。
このイレギュラーの中、クリアしきってみせる。
この辺で、死んでられるか。
「後、2つ。」
(5)
極度の集中。
残り2つの遺体。
今回限りは、受動的な戦いはやめよう。
〈能動的に〉、戦いを仕掛ける。
永世は辺りを見渡す。
限りなく澄み切った視界で見つけたものは……
〈遺体〉を持っているプレイヤー。
完璧に〈冴えている〉。
なんでも、〈ミニチュアの骸骨の右脚〉が見えるんだぞ?
(6)
馬を爆速で走らせる。
見間違いじゃないなら、そこに〈いる〉。
どうだろう。どの程度だったかは分かりかねるが、間違いなく、私の顔が満面の笑みに変わったのは理解していた。
それは、〈右脚〉。
殺るしかない……!
あ、勝った。
無意識にそう思った。
なんでだろう。
音を聞いて、気づく。
理由は分からないが、〈足音が一切しなかった〉。
馬なのにだぞ?
しかし、この状況を利用させてもらおう。
死角へ回り込み、鉄球を叩きつける。よろめいた隙に、〈遺体〉を奪って、死角へ走り去る。
顔は見せていない。逆襲なんてこともないだろう。
(7)
よく見たら、それぞれの〈遺体〉にジョイントが付いている。
組み合わせて見ると、左腕だけがない骸骨ができた。
ちょうどそれはシャンクs…
(8)
立ち止まっていた永世。
横からくる足音に気付かず────────────────
永世の身体を、冷たい風が撫でた。
(9)
そう、それはちょうど、〈幽霊〉に……いや、鬼……
〈幽鬼〉に、撫でられたような……
目の前に、1人女の子が佇んでいた。
顔は帽子でよく見えなかった。
その女の子が言う。
「あなた……今、〈宝〉。4つも持ってましたよね」
「ください」
無論、あげれるわけもない。
「ダメに決まってるじゃないですか」
と言葉を発想とした次の瞬間。
その娘は、私の目の前にいた。
(10)
いつの間に……!?
何とか避けはした。
避けはできたのだが、ちと、実力差が……
ああ……違うだろ。
また受動だ……
相手が臨戦態勢を見せたから、こちらは戦う。
それで今回はミスをしたろう?
再び、極度の集中へと入る。
すると、その娘のちょうど左上に……
ビジョンのようなものが見えた。
(11)
なんだ、あれ?
あの娘は見えてないのか?
私だけ?
時間がゆっくりになっていることに、今気づく。
これは……極度の集中による、〈覚醒〉か……?
少し厨二病っぽくなってしまったなと思いつつ、ビジョンに目をやる。
あの娘は見えていないみたいだ。
ビジョンが左に動く。
少し身構えるが、体感……
つまり、動きが遅くなっている世界の中での、体感5秒程で、相手もその方向に動いた。
あ……
ビジョンが右に動く。
その娘も右に動く。
体感5秒。
〈そういうこと〉か。
予測、などというレベルでは無い。
これは予知だ。
勝った。
相手の動きを先に見て、こちらも動く。
相手が接近してくるようなら、こちらは離れる。
しかしそこで不意に。
急接近をする。
すると相手はぎよっとしたような気配を出して。
そのまま、〈左腕を奪った〉。
やった!!
だが先にやらないといけないことがある。
このまま戦うのは意味が無い。
全力で走る。
いや、走らせる。
その途中で、器用に〈遺体〉を組み立てる。
瞬間──────────────────
(12)
ゲームが終わった。
永世が次に目を覚ましたのは、自宅の自室であった。
あれ、どうやってゲームは終わったのだろうか……?
少し考えるが、考えても無駄と思ったのでやめておいた。
かすり傷が少し痛む。
痛い。
しかしそれは、なんだか、今回のゲームを無事クリアした実感を、私の中にふつふつと湧かせていた。
隣には今回の衣装。
どっと、永世を眠気が襲った。
永世のくせだ。
ゲームが終わったら寝かせられるにも関わらず、すぐに眠くなるのだ。
永世には特に、ゲーム後の〈ルーティン等はないので〉すぐに目を瞑った。
すると、さっきとは比べ物にはならないくらいの眠気が来て────────────────────
寝た。