永世が永世であるための物語 作:すてら @ジョジョ 死亡遊戯
「転機」。それをチャンスとできるか、モノにできるかが、運命を別つ。
(0)
「人生は先約の連続である。」
そういう言葉があったはずだ。
永世は概ね賛成である。
しかし、破綻がないだろうか?
この世には、「選択できないこと」も無論ある。
それは「死」であり、いずれくるものである。
生きているうちは死ぬも生きるも自由であるが、やはり最後の最後には死が待ち構えている。
〈ゲーム〉でもそう。
生きるか死ぬか。選択の余地もなく殺される。
そんな娘たちをたくさん見てきた。
いずれ「間違いなく」くるものが、「選択」と言えるだろうか。
それが、永世がたびたび思うことであった。
(1)
予知夢、というものだろうか。
そういう類のものを永世は最近みるようになっていた。
その夢は決まって〈ゲーム〉に関するものであり、次のゲームの情報が夢に出てくる。
どんなゲームか、どんな陣営、役職か。
基本的にはそれらのことをみる。
それが現れたのは、30回目、〈レース・ウィズ・ザ・スティールボール〉
以来だった。
正直どうでも良いことではあるのだが、私自身、勝手にそのゲームで得た、敵にビジョンが見えて相手の動きを先読みすることができる超感覚を身につけたものからの影響だと考えている。
私は、「納得」を何よりも優先する性格なので、結論として、いわば「相手の未来をみる」能力が、睡眠時、意識という箍が外されることで暴走しているからだというものと考えている。
まあ、分かったところでではあるのだが。
(2)
「『納得』を優先する性格なので」。
(3)
夢から覚めた。
それはのちに行われる〈ワンファインデイ〉の夢であった。
いつにある、などは今回は不明のため、待つしかなかった。
それは思った時より早く。
次の日に、迎えが来た。
永世は48回目のゲーム、〈ワンファインデイ〉を楽々クリアした。
(4)
これほどまでに、頗る好調な時期はなかった。
自論だが、この世界の幸運と不幸はバランスが取れている。
いいことがあった後は必ず悪いことがあるし、悪いことがあった後にはいいことがある。
好調。
すなわち、それより後に、どんな形をしてかは分からないが。
私に不幸が降りかかるだろう。
なぜここまで好調なのか。
理由は求めなかった。
(5)
「『納得』を優先する性格なので」。
(6)
今このとき。
永世に転機が訪れた。
それは、当たり前かのように「悪い意味」として。
簡単なことだ。
「なぜ好調なのか」ということに対して、永世は「納得」を求めなかった。
なぜだろう。
ふとしたことだとしても、永世はとにかく納得したがる。
好調。
理由は簡単なはずだろう。
ビジョンが見えているから。
ただ、それだけだったはずなのに。
なぜ、「納得」を求めようとしなかったのだろう?
(7)
時は〈クラウディビーチ〉。
死に際。
今際の際。
〈ゲーム〉に、〈死亡遊戯〉に、殺される時が来た。
ここで永世は「納得」を求める。
そうだな。
あの人の弟子なんだもんな。
他のプレイヤーのように回数のみで測ってはならない。
あの人には、そんなプレイヤーを育てるに足る実力と技量がある。
万全な私とあの人がやり合ったとして、どんなにあの人がプレイヤー続行不可の傷を負っていたとしても。
技量で補ってくる。
それでして、私が負ける。
も少し…
もう少しだけ、考えさせてくれ。
白士。
95回を誇るもとベテランプレイヤー。
私、そして幽鬼が師を乞うた人。
いつの間にか師匠を侮っていた。
私なら勝てると。
幽鬼。
私を下したプレイヤー。
回数こそ下だが、先にも言った通り、あの人の弟子。
悔いはない。
もう、いいだろう。
意識よ。
ああ、そうだ、一つ、幽鬼に、言いたいことがあったんだ。
聞こえるはずもない、か細い声を、生涯最期の渾身で。
「『幸運』を…死にゆく者より…」
「『呪い』だから…私を殺したからには、死んでもらったら困る…」
死にゆく者より──────────────────────
敬服を。