アフェクション・ランブル   作:咎煮

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今までのを混ぜ合わせてカオス。

少しアフェクション・ランブルの説明を変えました。


プロローグ

令和十年四月一日。彼の職場に爆破メールが届いた。

 

「ーーおはよう。申し送り事項だが……つい先程脅迫メールが届いたと本部より連絡を受けた。内容は『この建物に爆弾を仕掛けた。今日の午後6時までに知事が記者会見を開き謝罪しろ、さもなくば皆吹き飛ばす』……だそうだ。我々は業務を一部変更し、厳戒体制をとるようにとの指示を受けている」

 

司令の言葉に、場の空気が凍りつく。

 

現在時刻は午前八時。

 

「(全く……上番して今日も代わり映えのない日々を過ごしていけたらと思った矢先にこれだよ。というかエイプリルフールだけに質が悪いなおい……)」

 

彼は胸中で悪態をつくに留めた。

 

「……議会棟前の立哨か(……どうか何もなく、終わりますように! あー、早く帰ってゲームやりてえ……)」

 

 

「……暇だ」

 

 立哨を始めてから時は経ち、彼の体感時間は一時間だったが現実は無情。まだ十分も経っていなかった……

 

「ふあぁ……やっぱり何も起きないな……エイプリルフールでテロとか本気にする人居るのかねぇ」

 

 時刻は午後五時半。間もなくタイムリミットだ。しかし知事が記者会見を開いたという連絡はない。彼は気を緩めて明日は休みだし、積みゲーやるかと考えていた。

 

「……よし、カウントダウン開始だ。3、2……i」

 

 1と言い切る前に爆発音がして彼は衝撃で尻餅をついたが、直ぐに立ち上がると焦燥感を顕にして無線のプレストークボタンに手を伸ばす。

 

「105から101へどうぞ」

 

彼がつけている無線の番号から本部を表す番号で呼び掛けたが応答はない。

 

「……応答なし、会議棟から爆発音を確認。これより現場へ急行する、以上105」

 

部下としては褒められた行動ではないが知った事かとばかりに一方的に連絡を済ませるとプレストークボタンから指を離して走り出す。

 

「……105から101へ、爆発音がした会議棟へ到着。火災を確認、至急警察機関への連絡をお願いします」

 

現場につき、再度無線連絡を試みたが結果は変わらず応答なし。彼は苛立たしげに髪を掻き乱すと胸中で始末書書かされたらキレるからな!? と叫ぶと会議棟の内部へと飛び込んだ。

 

「あっつ! 誰か居ますかー! 警備です!」

 

 火の勢いは増していく。黒煙で視界不良の中、彼は会議室使用表を思い返して第六会議室が使用中である事に気づいて二階の突き当たりに位置する第六会議室に向けて駆け出す。

 

「見えた! 第六会議室!」

 

 残留者が居ない事を祈りながら彼は扉を蹴破る。その瞬間、轟音とともに爆発が起きて彼の意識を――

 

「っ、気合い! 根性ぉう!」

 

奪おうとしたが必死に繋ぎ止めて再び走り出す。そこからは無我夢中だった。残留者は居たのか、居たとして無事だったのか……彼には知る由もない。だが、夜のニュースで明らかとなった。

 

 

――次のニュースです。本日午後6時ごろ、○○県庁で爆発がありました。

 

警察によりますと、事件の前に「建物に爆弾を仕掛けた」とする脅迫メールが届いていましたが、エイプリルフールの悪質な悪戯とみられ、対応が後手に回った可能性があるということです。

 

この爆発で○○警備会社に勤務する警備員○名が重傷を負い、残留者の確認に当たっていた警備員○○さんが殉職しました。

 

命を救われた職員の一人は「彼がいなければ私は生きていなかった」と涙ながらに感謝の言葉を述べています。続いてはーー

ーー◆ーー

 

「…………ん?」

 

体を揺さぶる振動に目を開けた彼は吊り皮を掴んだ状態で立っており、周囲にある物を見て電車の中に居る事に首を傾げた。そして少しずつ自分の身に何が起きたのかを把握し、肩を竦めた。

 

「あの爆発を受けて生きてはいないだろうな……いや、人間無理をすれば意外と何とかなるもので……あれがifでないなら職員を救えてたが果たして……まあ、俺は遅かれ早かれ死んでいた訳だが……」

 

ぶつぶつと独り言、此処に誰かが居たら気持ち悪い又は心配そうに見られていたが車内には彼以外誰も居ないので問題はない。

 

「……これ、何処に向かってるんだ? 車窓から見える景色は黒一色……三途の川を渡ってるとしたら創作で見られた景色は所詮、想像でしかなかったと……やれやれだ…………ん? というか車窓に映る俺の容姿……」

 

独り言に加えて独り劇場を始めてしまう彼は何かに気づいたのか車窓に映る自身を見て思案顔になる。

 

「黒髪に髭なし、やや鋭い黒目に無愛想なデフォルト表情……赤ジャケットに黒シャツ……灰色ズボンに黒ショートソックス、ファンタジー的な靴……これ、トウヤじゃね?」

 

キャラメイクシステムがあるゲームにおいて彼は感情移入しやすいように、というよりぶっちゃけゲームキャラ=自分と認識していた。故にキャラメイクしたトウヤというのは彼そのものともいえる。まあ、目付きを和らげたりといったカスタマイズはしているが。

 

「……取り敢えず、警備員の俺は死んだ。もう居ない……今から俺はただのトウヤだ!」

 

それで良いのかと思うかもしれないが……彼は未練は無いとばかりに自分はトウヤになったのだと何処か嬉しそうに宣言した。

 

「……ただ、創作でよくあるゲームに異世界転生的な奴だとしたら……どうなるんだ? トウヤをキャラメイクしたゲーム……もうサ終したし、まさかの全滅エンドだったんだよな」

 

大抵のソシャゲはサ終する場合、ユーザーの怒りを買わないようにする為か戦争をしてたら和平エンド、冒険をしてたら俺たちの戦いはこれからだという所謂打ちきりエンド……etc. まあ、賛否両論はあるが納得のいく終わり方をするのが普通だ。しかしこのトウヤをキャラメイクした『アフェクション・ランブル』というゲームは百人中百人が人の心は無いのか! 運営は死ね! 俺の嫁がぁ!と罵詈雑言が飛び交う終わり方をしたのだ。

 

 

「キャラが死ぬのはまあ、ありといえばありだが……まさかのプレイヤーまで死ぬという……しかも蘇生不可」

 

今まで和気藹々としていたのにサ終が決まったと同時に開催されたラストイベントが多くのプレイヤーを地獄の底に叩き落としたのだ。余りにもキャラに対する人の心は無いのかという仕打ちにサ終を待たずに退会者が続出。サ終の日にログインしていたのは彼一人だけだった。

 

「……取り敢えず座るか」

 

警備員の業務に立哨がある為、長時間立っている事は慣れてはいるが座れるなら座りたいとばかりにトウヤは吊り皮から手を離すと優先座席に腰を下ろす。誰も居ないからこそ出来る行為である。

 

「……さて、この電車は何処まで走るんだろうな…………ね、む……」

 

座った事で気が抜けたのか、うつらうつらと舟を漕ぎ始めてしまうトウヤは迫る睡魔に逆らう事はせず、そのまま意識を手放した。

 

 

ーー◆ーー

 

ーー私の 選択は間違っていま(ミスで)した。

 

ーー良かれと思ってした決断は多くの嘆きと血を流す結末を生んだ。

 

ーー自分(ルルゥ)は……ただ守りたかっただけなのに。

 

ーー憧れて憧れ続けて、頑張ったけどあの人みたいにはなれなかった。

 

ーー俺達では無理だった……だけど誰もが諦めた中で諦めなかった君ならきっと……

 

『最善の結末を掴みとれる』

 

ーー◆ーー

 

「…………? 何か夢を見てたような」

 

 心地好い揺れが収まり、欠伸をしながら席を立つトウヤは夢を見ていた気がするが思い出せない事に少しモヤモヤとした物を感じながら……停車したからか開いているドアを潜る。

 

「…………ん?」

 

一歩踏み出して違和感。有るべき地面の感触が靴から伝わらない。チラッと視線を下に向けるーー地面がない。

 

「銀河鉄道ってかああぁ!?」

 

空を走る電車だけに、そう叫びながらトウヤは自然落下を始める。

 

「うーん、このままだと潰れたトマト一直線だろうな……」

 

落下を始めてから数十秒。叫んでも状況は好転しないのと無駄に体力を使うべきではないと判断したのか冷静になっていたトウヤ。更に数十秒後ーー巨大な池に落ちた。




途中の夢はブルアカ風ですが、一人ではなく代わる代わるで語りかけてます。所謂バッドエンドを迎えたヒロイン達。
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