単発です、続きません
「さて、改めてようこそニビジムへ、俺はジムリーダーのタケシ、先程のジムトレーナーとの勝負は見事だったよ」
「ありがとうございます」
「超音波で混乱させてからのマグネットボム、それだけじゃなくてしっかり混乱したのを確認して動けない所を狙っていたな、接近されそうになったらマグネットボムでの進路妨害…良い判断だったよ」
「練習していたので」
「成程…それは良いことだな、それじゃあ始めるかい?君の一つ目のバッジを賭けたバトルを」
「ではお願いします」
ジムリーダーのタケシが勝負を仕掛けてきた!
「イシツブテ!」
「イシ!」
タケシが繰り出したのはイシツブテ、まだバッジを持っていないトレーナーの相手として手加減に手加減を重ねる事を得意とする個体だ。
「コイル、頼んだ」
「ジジ…」
チャレンジャーが繰り出したのはコイル、この岩タイプを専門とするジムに対して有利な鋼タイプを有するポケモン。
「まずは丸くなる!」
「イッシ!」
本来は防御力を上げる以上に「転がる」の威力を上げる事を目的とした技だ、しかし「体当たり」等のノーマル技をメインにするバッジを持っていない初心者にはとても有効な手、しかしチャレンジャーはイシツブテに殴り合いを仕掛けるつもりは無い。
「超音波」
「ジジジ…」
無音が響く、しかしそれはイシツブテの平衡感覚を狂わせて混乱させた。
「イ、イシ…」
「やはりそう来たか、イシツブテ、いけるか?」
「イッシ!」
「なら体当たりだ!」
しかし強くて固いいしの男のポケモンであるイシツブテは自らが倒れる事を拒否、そのまま岩の身体で突撃を仕掛ける。
「マグネットボム、進路を塞いで離れなさい」
「ジジ」
マグネットボムを使いイシツブテの体当たりを迎撃する、超音波で万全ではないイシツブテには避けられない攻撃だった。
ドン!ドン!
「イシ…!」
体当たりは勢いを無くしてコイルに当たらず、マグネットボムは複数の爆弾での波状攻撃だ、隙は少ない、超音波の影響が抜けていないイシツブテでは尚更である。
効果抜群の技を強い意思で耐えながらもダメージは蓄積していく。
「体当たりを止めてもう一度丸くなる!」
タケシが指示を出した、バッジを持っていない相手に対して使える技は少ない、だがこのまま効果が出ないであろう体当たりを続けようとするよりは遥かにマシだ。
(体当たりと丸くなるしか使えないイシツブテではコイルのスタミナを減らすのが限界か?せめて地ならしが使えれば…いや、相手はまだバッジを所有していない初心者だ)
チャレンジャーの所有するジムバッジに合わせての手加減こそがジムリーダーとしての技量だ、ジムリーダーの役割はただ勝つ事ではない。
「そのまま丸くなる!コイルのスタミナを削ぐぞ!」
「イシ!…ッ!?」
「む…!」
しかし、上手く丸くなれずにマグネットボムが直撃、超音波の影響下で効果抜群の技を受けたのだ、体勢が崩れるのは自然ですらある。
「トドメ、マグネットボム全弾発射」
「ジジ」
当然全て命中、防御体勢も取れなかったイシツブテは倒れた。
「ありがとう、イシツブテ…成程、もう少し後に挑んで欲しかったものだな」
イシツブテをボールに戻しながらチャレンジャーを誉める、バッジ一つ目とはいえ目立ったダメージを受けずに完封するのは珍しい。
「レッドのルートというのも有りますが次からは地面タイプの技も使うでしょう、コイルで突破出来るうちにここで足踏みしてでも一つ目のバッジを取るつもりでした」
「ほう、本来は自分にとって最も相性の悪い相手を相性が良いうちに先に倒そうとしたか、それもまた戦略だ…さて、コイルは戦闘続行かな?」
「はい、今はコイルしか持っていないので、これでダメなら助けを求められる街近くの草むらで相性の良いポケモンを捕まえるつもりです」
「次に何をするかを決めているのは良いことだ、さて、そろそろバトルを再開するとしよう、イワーク!」
「イワー!」
繰り出されたのは巨大ないわへびポケモンのイワーク、その防御力は世界中のポケモンの中でも最上位、つまりは強敵だ。
「さて、来るわよ、コイル」
「ジジ…!」
「イワーク、体当たり!」
「イワワ!」
イワークの巨体が突っ込んでくる、イシツブテは足回りが超音波の影響もあって鈍かったがイワークは地上でもそれなりに動ける種族だ、つまり─未進化ポケモンより明確に速いのだ。
(速い!コイルの移動じゃ躱せない!)
「マグネットボム!爆風で回避!」
「ジジ」
硬さと速さ、どちらもイシツブテとはあらゆる意味で比べ物にならない、物理攻撃では効果抜群の技でなければマトモなダメージは通らないだろう。
「マグネットボム!」
「締め付ける!」
マグネットボムが命中するも強引に硬さと巨体に似合わぬスピードで距離を詰めてきた。
ギリギリ…!
イワークの長い身体がコイルを締め付ける、このままではマグネットボムを撃つことが出来ない、しかしタケシのイワークが一つ目のジム戦で「締め付ける」を使って来る事は有名だった、チャレンジャーも対策をしてきたのだ。
「超音波!」
「ジジジ…」
「イワ!?ワワワワワワ!?」
体内に直接超音波が響き渡る、避けることは不可能だ、今現在までコイルを締め付けていたのだから。
「聞こえるかイワーク!直ぐに離れろ!」
「イワ…ワワ…」
「そこ!マグネットボム!」
「ジジジ…!」
ドゴン!ドオン!
そして混乱しているその隙にコイルのマグネットボムが直撃した。
(チャレンジャーは『締め付ける』の対策はしっかりと出来ているか、少し離れた場所からでも相応に効果がある超音波をマトモに食らったんだ、聞こえていないのも無理は無い…だが)
それでもまだイワークはマグネットボムを二度食らっただけだ、その硬さ故にまだ戦闘は可能である。
「さて、聞こえているかはわからないが岩石封じ!」
「イワ…!」
「マグネットボムを地面で爆破して煙幕!余力があったら攻撃!」
イワークが混乱している最中でも岩石封じをコイルに放つ、しかしコイルが起こした煙幕に視界が阻まれ直撃コースに乗る岩は少ない、超音波で平衡感覚がマトモでは無いのも手伝いコイルに命中しなかった。
「超音波で位置を探ってマグネットボム!」
「ジジ!」
「イワーク!岩石封じで迎撃は出来るか?」
「イ…イワ?」
超音波でトレーナーの指示も良く聞こえない上に煙幕で視界も効かないイワークは迂闊には動けない、そして巨体が仇となり全弾命中、効果は抜群だ。
「大丈夫か!?」
「イワワ…イワ!」
「聞こえるようになったか!なら岩石封じを盾にしながら接近しろ!」
「イワー!」
(普通の岩石封じではマグネットボムで迎撃される、だがイワーク自身なら頭の中の磁石でコイルもマグネットボムもある程度だが探知が出来る、マグネットボムの弾速自体は決して速くないから可能な筈だ)
タケシはイワークの身体構造を利用して反撃に出ようとする、これでマグネットボムは確実に迎撃出来る、超音波をしようとすれば構えている岩石封じを解き放つだけだ。
(不味いわね…!)
イワークはコイルより明確に速い、マグネットボムを放っても岩石封じに防がれて体当たりが命中する間合いに入る、そうなれば効果今一つだとしても質量の差で押し負けるだろう、マグネットボムを盾にしても体当たりでボムごとコイルに突っ込んでくればコイルもマグネットボムのダメージを受けてしまう、そうなれば耐久力が高いイワークの有利だ。
(いや、どうせ彼方から近づいて来るのは変わらない!なら前に活路を開け!)
「体当たり!」
「コイル!マグネットボムで煙幕!イワークの懐に飛び込みなさい!」
「ジジジ!」
マグネットボムがフィールドに炸裂して砂煙を撒き散らす、その甲斐あって体当たりをギリギリで回避してイワークの懐に飛び込めた。
「む…!」
(これでイワークの体当たりは封じた!自分ごと岩石封じをしても自分の邪魔になる!締め付けられても超音波を撃ち込める!そして…)
「マグネットボム!」
「全速力で離れろ!マグネットボムは岩石封じで撃ち落とせ!」
「イワー!」
イワークが素早く離れる、しかしマグネットボムは正確な追尾を可能とする技だ、躱すのではなく迎撃を強いられたが、コイルとは距離を取った─筈だった。
「超音波!」
「イワ!?イワワ!?」
イワークが必死に頭を振っている、超音波を受けているようだ、咄嗟にタケシは対応しようとしたが。
(…!?フィールドにコイルがいない!?イワークに速度では追い付けない筈、マグネットボムで攻撃だってしていた、いや違う!)
タケシは普段の糸目を見開いて苦しんでいるイワークを見る、イワークの頭頂部にある突起、その後ろの付け根に銀の玉と磁石が二つ。
(成程!考えたなッ!イワークの頭の磁石に特性の磁力で張り付いて…いやあれだけ接近していればただの生態機能でも十分か)
その位置ならば物理的に締め付けられないし体当たりは受けない、地面に頭を擦り付けようとも突起が邪魔で振り払えない、岩石封じを自らの後頭部にぶつけろという指示も超音波で頭を揺らされているイワークには酷だろう、指示も聞けるかすらわからないのにリスクばかりある効果今一つの技を撃つ程タケシは愚かではない。
「トドメ!マグネットボム!」
「ジジジジー!」
コイルがここで倒せなければそれまでとばかりに後先考えずに全力でマグネットボムを放つ。
ドドドドド!
効果は抜群だ!
「イ…イワ…」
イワークは倒れた!
「戻れ、ありがとう、頑張ってくれたなイワーク」
ジムリーダーのタケシとの勝負に勝った!
「いやはや、見事だったな」
「はい、コイルのお陰で」
「君はこのグレーバッジをゲットするに相応しいトレーナーだ、受け取ってくれ」
「ありがとうございます…取り敢えずポケモンセンターに、コイルを休ませてきます」
「それが良い、コイルの回復が終わったら技マシンを取りに来てくれ」
「そうします、では…ジム戦ありがとうございました」
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