荒廃した砂漠の中、銃声がいくつも鳴り響いた。アビドスの生徒達が何度も弾丸を放っていたからだ。
標的はもちろん、事件の元凶であるユドルだ。
「ラードーン!」
ユドルが彼の名前を叫ぶと、機械竜はそれだけで主人の意図を理解したのか、彼から離れた。
「なっ!」
先生は目を見開いた。ラードーンが狙ったのはただ一人。小鳥遊ホシノだった。機械竜が彼女を始末しようと鋭利な牙を向けたが、彼女が愛用する盾で塞がれていた。
「ホシノ!」
「私は大丈夫だから先生はシロコちゃん達を!」
ホシノに駆け寄ろうとしたが、彼女に止められて足が止まった。
何より彼女を信じよう。そう決心して、別の戦場に踵を返した。
「シロコ!セリカ!彼を接近させないように銃撃を!」
先生の指令通り、シロコとセリカがユドルめがけて、銃弾を撃ち込んでいく。しかし、ユドルは容易く、銃撃を躱していく。
「全然当たらない!」
「ん。セリカ落ち着いて」
「任せてください!」
ノノミがガトリングをユドルに放った。そして、装甲車に搭載されたガトリング砲でアヤネが援護射撃を加えた。
しかし、彼はそれらの攻撃を容易く躱していた。その動きは明らかに先生と同じ世界から来た人間の動きではない。おそらくあの人工ヘイローの影響だ。
ユドルがノノミに迫ろうとした時、シロコが彼の後頭部に目がけて、蹴りを打ち込んだ。
「見えているよ?」
ユドルはシロコの足を掴んだ。目を見開いて動揺する彼女を装甲車を運転していたアヤネの操縦席に向かって投げつけた。
投げつけられたシロコが操縦席のアヤネと接触。その勢いでアヤネとシロコは反対側の扉から装甲車の外に落ちた。
操縦者を失った装甲車はそのまま不規則な動きを繰り返して、そのまま横転した。
その近くでは装甲車から叩き出されたシロコとアヤネが痛みが酷いのか、小さく蹲っている。
「シロコちゃん! アヤネちゃん!」
落下したシロコとアヤネにノノミが駆け寄っていく。
「よそ見している場合?」
そんな彼女を笑うようにユドルが後ろから連続で弾を撃ち込んだ。ノノミが力を抜かれたように倒れた。
「よくも!」
その光景に激昂するセリカがユドルに発砲した。しかし、再度躱されて、間合いを詰められた。次の手を打つ間もなく、鳩尾に膝を打ち込んだ。
「がはっ!」
「悪いね。あいつが大切にしている存在は全て壊すと決めているんだ。君達に恨みはないけれど、消えてもらうよ」
その場に蹲ったセリカの頭頂部に銃口を向けた。突然、彼の前にいくつもの弾丸が飛んできた。
「いやーきついねえ。おじさんも歳をとったねー」
銃弾が来た方に怠けた口調で歩く小柄な生徒が向かって来ていた。
「まさか、一人で倒したのか。ラードーンを」
ユドルが彼女の姿を見て、口角を上げた。