「復讐のアーカイブ」   作:蛙先輩

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第19話「加勢」

 先生は安堵の目で広げられた二枚の翼を見ていた。その背中から伝わってくる圧倒的なオーラ。

 

「ごめんね。先生。遅れて」

 

「ナイスタイミングだよ。ヒナ」

 先生はヒナに微笑むと彼女は頰を少し赤らめた。

 

「空崎ヒナ。君がここにいるって事はそうか。ケルベロスはやられたのか」

 

「ええ、随分と面倒をかけさせてくれたわね。侵略者」

ヒナの紫色の瞳がユドルを睨んでいる。その出で立ちは魔王を彷彿とさせた。

 

 次の瞬間、ヒナが愛銃の引き金に指をかけた。ものすごい数の銃弾が放たれた。ユドルがすぐさま、近くの建物に身を潜めた。

 

「隠れたか」

 

 ホシノとヒナが背中を合わせて、彼からの奇襲に備える。

 

「二人とも気をつけて!」

 先生は二人に一層警戒する事を促すと二人は静かに頷いた。その時に廃ビルから何かが飛んできた。

 

 消火器だった。同時に消火器に銃弾が撃ち込まれて、中の薬剤が周囲を真っ白に染めた。それと同時に足元に何かが転がってきた。Blue Cubeだった。

 

「ヒナちゃん!」

 ホシノの声とともにヒナが即座にその場から離れた。踏み出したと同時に四角い物体は青色の輝きを放って、爆発した。

 

 消火器の薬剤が爆発で吹き飛んだ後、ユドルから銃弾が飛んできた。ホシノはすぐさま盾で防いで、引き金に指をかけた。ユドルが銃撃を躱し、三つのBlue Cubeを投げ込んできた。

 

「任せて」

 ホシノの近くにいたヒナが自身の銃に指をかけた。幾千にも思える紫色の光がBlue Cubeを即座に破壊した。

 

 そこからさらに銃撃戦が続いた。キヴォトス最高クラスの二人を持ってしても、ユドルを止めきれずにいるのだ。

 

「隙あり!」

 ユドルがヒナの空いた横腹に向けて、発砲した。しかし、その一撃はホシノの盾によって防がれた。ヒナがお返しと言わんばかりに撃ち込んだが、ユドルが容易く躱した。

 

「避けるの上手いね」

 

「君たちと違って、元は銃弾一つで命取りの身。銃弾への警戒度が違うんだよ!」

 ユドルが銃を向けようとした時、突然、歯軋りをしながら、右手で右目を押さえはじめた。

 

「ぐっ!」

 塞いでいる右目から真っ赤な血がドロドロと流れ出ていた。おそらくあの人工ヘイローは使用者の脳に大きな負荷をかけるのだろう。

 

「ちゃんと点検したはずなんだがな……」

ユドルが自嘲気味に呟いた。しかし、疲弊したタイミングをホシノ達は見逃さなかった。

 

 ホシノは一瞬にして間合いを詰めて、引き金に指をかけた。鉛玉がユドルの右肩を掠めて、赤い線を作った。

 

 キヴォトス上位の実力者である二人に追い詰められて、後退していく。鳴り止まない彼女達の銃撃にユドルは徐々に防戦一方となった。

 

「がっ!」

さらに彼の劣勢を決定づけるように右目と鼻から血が出た。

 

 人工ヘイローの副作用が再発したのだ。その隙を彼女は逃さなかった。

 

 ヒナは怯んだ彼に何度も銃弾を撃ち込んだ。紫色の閃光がいくつも彼の体に直撃していく。

 

 彼は何度も地面を転がり、倒れ込んだ。

 態勢を立て直そうとした彼に銃口が二つ突きつけられた。

 

「これで終わり」

 ホシノが冷徹な目を作って、彼に告げる。

 

 

 

 対する彼は勝ち誇ったような笑みを浮かべていた。

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