「復讐のアーカイブ」   作:蛙先輩

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第22話「先生として」

 動乱の渦中にあるアビドス砂漠。そこにシロコ*テラーが顕現した。

 

 異界の狼が目の前の異形に向かって眼を細める。

 

「貴方だったんだね。先生の初めての生徒」

 

「お前とは初対面のはずだが」

 

「うん。もう一人の先生も同じだったから」

 先生は眼を見開いた。なんと別世界のシロコも彼の存在を知っていたのだ。

 

「ああ、そうか。お前、別時間軸の……まあいい。恩師の元に送ってやる」

 ユドルが敵意とともに数発の銃弾を放って来た。

 

 シロコ*テラーが躱して、すぐに間合いを詰めた。

 

 至近距離での銃撃戦。あまりの壮絶さに息するのを忘れそうになったが、ヒナとホシノに駆け寄った。

 

「二人とも大丈夫かい!?」

 

「なんとかね。さっきのはおじさんでも本気で危なかったよ」

 

「ならあの子に加勢しましょう」

 

「オーケー」

 ホシノとヒナが弾を装填して、拮抗する龍虎の元に駆け出した。銃弾と闘気。それらが入り混じり、その場は混沌を極めていた。

 

 シロコ*テラーが軽やかな身のこなしでユドルの体に銃弾を撃ち込んでいく。

 

「おじさん達も忘れられちゃあ困るよ」

 ホシノとヒナが後方に下がったユドルの背後から銃撃を仕掛けた。

 

 シロコ*テラーが加勢した事により、先ほどよりも彼を追い詰められるようにはなっている。

 

 その時、ユドルの目が鋭くなったのが見えた。

「三人とも!」

 

 先生が三人の名前を叫んだ瞬間、緑の柱が三つ空に向かって伸びた。ユドルの蛇を光線を放ったのだ。

 

 三人は見事な危機察知能力で攻撃を回避した。ユドルの方をよく見ると蛇の頭は一つから三つに増えていた。

 

「図にのるな」

 ユドルが彼女達を睨みつけると、再び、蛇の口が緑色に輝き始めた。動揺する間も無く、蛇の口から勢いよくビームが放たれた。

 

 当たれば重傷を免れないビームを三人は華麗に交わした。そこから三人が一斉に彼に銃を放った。対する彼は翼で身を覆うようにして守り、集中砲火を防ぎはじめた。

 

 キヴォトス屈指の実力者が三人いても、彼を戦闘不能に追い込むには火力が足りない。それどころか、さっきよりも動きが速くなっている。

 

「先生! 色彩があの人の肉体に侵食し始めています! このままでは戻れなくなります!」

 アロナの言葉に先生の手に汗が滲んだ。長期戦に持ち込んではいけない。

 

 彼も戻れなくなる上に生徒達も全滅する。やがてキヴォトスの滅亡は避けられなくなる。

 

「ああああああああああああ!」

 ユドルが血を吐き出しそうな勢いで叫び続ける。彼の体から放出されたエネルギーで空気が揺れて、後ろに吹き飛ばされそうになる。

 

 同時に口から緑色の光を放ってきた。轟音とともに素早く放たれた光線は三人に接触こそしなかったが、触れた箇所が焦土と化していた。

 

 こんなもの撃たれ続けたらキヴォトスが更地になるのも時間の問題だ。なんとか人工ヘイローを外さなければいけない。

 

「こうなったら」

 先生は懐から一枚のカードを抜いた。『大人のカード』彼のみが使える最強の切り札。

 

 このカードを使えば、凄まじい効果を発揮するとともに代償を払うことになるが、今の彼には関係ない。

 

「みんな力を貸して!」

 カードを頭上に高く掲げた。彼の願いに応えるようにカードが眩い光を放ち始めた。周囲の光が消えると彼の隣には三人の生徒の姿があった。

 

「やっほ〜先生!」

 

「よお、先生!」

 

「せ、先生!」

 そこには失敗作の激闘を終えた聖園ミカ、美甘ネル。剣崎ツルギ。キヴォトス屈指の強者が集った。

 

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