混沌とした砂漠の中、もう三人の戦士が降り立った。彼女達は遠くで起こっている戦闘に目を向けていた。
「あの人が先生が言っていた人だね」
「思った以上にやばいことになっているじゃねえか」
ネルが眉間にシワを寄せて、ため息をこぼした。
「ツルギも呼び出してごめんね」
「い、いえ。もう自治区のオルトロスは排除したので。あの男の弱点か何かをご存知ですか?」
「彼の頭部に浮かんでいるヘイローのような物体。あれを壊せば自体は収束する。だから人手が必要だ。だから三人とも頼んだ」
「了解!」
三人が彼の想いに応えるように一気に戦地に飛び出した。三人が砂を蹴り、猛スピードでホシノ達の元にかけていく。
そして、防戦一方になっていた彼女の間に割って入った。
「選手交代だ! 下がってな!」
「一旦、私達が抑えるから」
突然の増援にホシノ達が目を大きくしていたが、言う通りに引き下がった。
「キャハハハッ!」
ツルギが先生と話している時とは違い、狂気的な笑みでユドルに喰ってかかった。トリニティの戦略兵器と呼ばれた彼女の俊敏な動きとネルの小柄な体を生かした動きが彼を翻弄していく。
ユドルが彼女達に意識を向けている間にミカがユドルのヘイローに向かって発砲した。しかし、尾骶骨から生えた蛇によって、防がれてしまった。
「そう簡単にはいかないよね」
ミカがそう漏らした瞬間、ユドルが砂を蹴って、目を疑うような速度で距離を詰めた。彼女が対応をする間も無く、腹部に強烈な拳を打ち込んだ。その勢いのまま彼女が地面に叩きつけられた。
「失せろ。魔女」
ユドルがミカに銃を向けた時、右目辺りからオレンジ色の髪の少女の殺意が伝わった。
遅れて左からツルギが顔を出した。トリニティの戦略兵器の異名を持つ彼女の猛攻は目を見張るものがあった。
「オラオラオラ!」
ネルが止まらない勢いで龍が刻まれた二丁拳銃から発砲を続けた。
「潰す! 潰す!」
ツルギもそれに続くように銃撃を仕掛けていく。血で血を洗うような死闘。先生は様子を見ながらも息を飲むことしかできなかった。
ネルとツルギが跳ね除けられて、地面に転がった。
「次から次へとコバエどもが」
ユドルが武器を構える彼女達を睥睨する。そして、尾の蛇から禍々しい色の光を放った。
「みんな! 避けて!」
先生の声とともにミカ、ツルギ、ネルが光線の軌道から逸れた。ユドルが追撃しようとした後、横からいくつも銃弾が飛んできた。
先ほど引き下がったホシノ、ヒナ、シロコ*テラーだった。休憩を終えて、先ほどより動きが良くなった三人がユドルに銃弾の雨を浴びせていく。
「払っても払っても消えないな! 貴様らは!」
ユドルが彼女達に憤りを露わにしながら、銃弾を放っていく。
「あああああああ!」
突然、ユドルが絶叫し始めた。人工ヘイローの周りに重苦しい空気が流れていく。
「先生! 人工ヘイローに集まったエネルギーが漏洩し始めています!」
「このままでは侵食が……」
アロナとプラナが彼に警告を促した。
「殺す! 殺す! 殺す!」
ユドルが目から血を流しながら、先生を睨みつけてきた。色彩の影響か、彼の挙動は狂気を帯び始めていた。
「お前の目の前で生徒達を皆殺しにした後、絶望に沈んだお前の首をこの手で撥ねる。それでようやく僕の復讐は完成する!」
ユドルの尾骶骨からさらにもう三匹の蛇の頭が出て来た。計六つの頭が先生と
彼女達を睨みつけている。
「失せろ!」
彼の尾骶骨から顔を出した六つの蛇が口から光を放った。ホシノ達が先ほどと同じく躱したが、威力も速度も明らかに上がっている。どうする。
先生は思考を巡らせていると、シッテムの箱に通知が入った。彼は目を見開いた。同時にこの現状を終わらせる策を思いついた。
先生は六人がユドルから距離を開けた後、インカムを繋げた。
「みんな。話がある」
先生はインカム越しに一縷の希望を乗せて、作戦を告げた。