ウタハ達の元を去った彼はヴァルキューレ警察学校に来ていた。警察学校の面々に事件の詳細を共有する為だ。生徒の一人に応接室に通されて待っていると扉が開いた。
「先生。こんにちはっす! いやー待たせてすみません!」
アロハシャツを着た白髪の生徒が彼に手を振っていた。ヴァルキューレ警察学校の二年生。志真コノカだ。
「コノカ! お疲れ様。カンナは?」
「今、電話対応に追われているっす。それに今回は私だけじゃないですよ?カモン!」
コノカが陽気に指を鳴らすと奥の部屋から見覚えのある四人が出て来た。
「サオリ、ミサキ、ヒヨリ、アツコ!」
そこにはアリウス分校の精鋭。アリウススクワッドの面々がいた。
「先生。息災で何よりだ」
「みんなも無事だったかい?」
「うん。今のところ」
「誹謗中傷は絶えないですけどね。えへへ」
「それは一旦、無視。キリがないし」
戒野ミサキが卑屈な態度を取った槌永ヒヨリを窘めた。
サオリ達からアリウスの現状を聞いたが、例の事件のせいで批判が殺到しているらしい。
「脅迫!? みんな大丈夫かい!?」
「ああ、アツコが言った通り、実害はないがこれから出てもおかしくはない」
サオリが腕を組んで、ため息を漏らした。ニュースを誤認した一部の連中により、無実のアリウスにもヘイトが向けられている。非常に不味い状態だ。
「一応、アリウスの問題は更生したという扱いだったのにそのあとにアリウスの面々が問題起こしたんすからね。それもあってヴァルキューレもぶったたかれてて、姉御がその対応に追われてますわ」
「でもあれは」
「いや、分かりますよ。先生の言いたいことは。私も同じ気持ちっすから。でもどこかで事実が歪曲されて、アリウスの扮したチンピラから、アリウスの生徒がやったと誤認する人いるんすよ」
コノカが露骨に大きなため息を着いた。
「現に一部の誤報を真に受けた人がアリウスに脅迫状を送りつけている事例も出ているしね」
ミサキが伏し目がちに呟いた。
「最初はアビドス、次はゲヘナ、トリニティ、ミレニアム。キヴォトス三大校だけでは辺境のアビドスも襲撃された。アビドスが気になったんで調べさせてもらいましたけど、暁のホルスとか言うとんでもない人がいたのでこれを潰したいとなると説明がつきます。目的はキヴォトス全体の勢力ダウンって感じすかね」
「なるほど」
「そして、ミレニアムに至って遠隔での爆破。多分これも計画のうちでしょうね。うちの鑑識じゃ暴けないことを知っていた。だからミレニアムに送ることも予想していた。いやーなめられたもんすね」
コノカが乾いた笑い声をあげながら、紙コップの端をゆっくりと噛み締めた。
「なめてんだろ。更生しようとしている人間にこんな濡れ衣を着せようとしてるなんて」
そう語って紙コップを握る彼女の手には筋が浮かんでいた。その時、先生のポケットに入れた携帯から着信音が鳴った。アロナからだった。
「先生! アビドス砂漠から謎のエネルギーを観測しました」