「復讐のアーカイブ」   作:蛙先輩

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第8話「機械竜ラードーン」

 アロナからの連絡を受けて、先生はヴァルキューレの生徒とアリウススクワッドの面々とアビドスに向かっていた。

 

 知らせを受けた時にサオリ達に説明すると、同行を願い出てきた。戦力は多いに越した事もないし、なおかつ彼女達に濡れ衣を着せた存在に天誅を下すことも出来る。

 

「言い忘れていたがアズサの件、ミカから聞いたぞ」

 

「知っていたんだね」

 

「ああ、今は離れてしまったとはいえ、アズサは私の仲間だ。だから……この屈辱。必ず晴らす」

 サオリが目を鋭くして、拳を強く握った。護送車で向かう道中、彼はアビドスの生徒達に連絡を送った。

 

 それと並行して他の学園にも連絡を入れた。アビドスだけではなく、他の学園にも襲撃が起こる可能性を考えていたからだ。

 

 この騒動に蹴りをつけられる。そう思うと胸の鼓動が一気に早まった。

 

 

 

 アビドス地区に着いた時、先生は目を疑った。まず目に入ったのは雪崩のようにこちらに向かってくる市民達だ。悲鳴を上げて、一目散に逃げていく。

 

「これは一体……」

 

「やべえぞ!」

 

「逃げろ逃げろ!」

 市民達が何か恐ろしいものを見たような顔で我先にと横切っていく。不穏と狂気が町全体を覆っているように感じる。

 

「オオオオオオ!」

 突然、耳を劈くような雄叫びが聞こえた。おそらくあの声の主がこの騒動の元凶だ。

 

「みんな。行こう!」

 先生はサオリ達を連れて、人並みに逆らって、騒動の中心へと走った。横転した車。崩壊した建物。そして、その近くには負傷して動けなくなっている市民や生徒達もいた。

 

「思った以上にやばいじゃないっすか。おらお前ら! 公務開始だ!」

 同行していたコノカがヴァルキューレの生徒達に人命救助を開始した。一体、どんな力を持った存在がこの惨劇を生み出したのだ。心臓が鉛のように重くなるのを感じた。

 

 ビルの陰から地鳴りと共にそれは出てきた。全身が鉄で覆われた竜のような姿だった。

 

 銀色の装甲にビルを越すくらいの巨大な体。手と翼が一体化しており、巨大な翼が動くたびにビルがことごとく破壊されている。

 

「あれは!」

 

「知っているのか」

 先生はその姿に見覚えがあった。黒服に渡された資料に載っていた兵器の一つだ。

 

「ああ、機械竜ラードーン!」

 怪物の正体に気付いた瞬間、機械竜が口から緑色の光線が放たれた。光線が直撃した大きなビルが轟音とともに瓦礫の山に変わった。

 

 その威力に言葉を失った。これが直撃すれば自分だけでなく、キヴォトス人ですら無事では済まない。全身から冷や汗が吹き出た。

 

「コノカ! 私とサオリ達であの怪物を意識をそらすから出来るだけ迅速に救助を!」

 

「了解っす!」

 コノカに意図を伝えた後、目の前の怪物に意識を向けた。

 

「アリウススクワッド。出陣だ!」

 サオリの合図とともに彼女達は動き始めた。ラードーンの死角に回り込んで、銃撃を加えていく。

 

「ひいん〜びくともしません」

 

「硬いね」

 ヒヨリとアツコがラードーンの頑丈さに思わず、苦言を呈した。渡された情報通り、かなりの硬度だ。

 

 先生は黒服から回収した情報を改めて、確認した。黒服曰くこれらは失敗作、何かしたら欠陥があるのだ。

 

 ラードーンのファイルを開いて、解析を始めた。

 

「これか」

 先生はラードーンの弱点を見つけた。早速、彼はサオリ達にインカムを繋いだ。

 

「みんな! 奴の手足の関節を狙って見て! 脆いはずだ!」

 

「了解!」

 

「そこ」

 ミサキが冷徹さを帯びた目でラードーンの膝にランチャーを打ち込んだ。放たれた一撃は見事に機械竜の膝を捕らえて、破壊した。

 

「オオオオ!」

 ラードーンがけたたしい雄叫びを上げながら、攻撃された膝を地面に付けた。明らかに効いている。

 

 そこから弱点と思わしき箇所を次々と攻撃していく。しかし、それに腹を立てたのかラードーンがこちらに顔を向けて再び、口に光を集め始めた。

 

「みんな! 来るよ!」

 先生の合図とともにアリウスの面々が近くのビルに隠れた。直後、凄まじい轟音とともに標的を失った光線は闇雲にアスファルトを焼いた。

 

 あまりの威力に肝を冷やしているとシッテムの箱に通知が入った。プラナからだった。

 

「先生、あの兵器は第三者によって特殊な電波によって操られています。そして、発信先もついさっき特定いたしました」

 

「本当かい!? それはどこだい!?」

 

「先生の現在地から南に三百メートル離れた廃ビルの中からです!」

 

「すぐに向かう!」

 先生は先ほどの詳細を隣にいたサオリに伝えた。

 

「なんだと! それは本当か!?」

 

「ああ、マップも届けられた」

 

「だが、あの怪物は」

 

「その心配はない。彼女達が来た」

 彼が呼んだのはアリウスの面々だけではない。

 

「それって一体」

 サオリが聞き出そうとした時、ラードーンのいる方が凄まじい爆発音が聞こえた。

 

「来たかな」

 先生はラードーンの方に目を向けると、機械竜の後頭部に爆炎が上がっていた。機械竜が頭を上げた時、見覚えのあるヘリコプターが見えた。

 

 アビドスを守る女神達が戦場に降り立った。

 

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