超かぐや姫!~八千代の記憶に棲む者~   作:白豆男爵

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かぐや姫、誕生!

「さっきのヤクモすごかったね!シュババババッ、ザシュッ、ドカーンって!KASSENやってる時の彩葉みたいでカッコよかった!」

「へぇ、かぐやのいた未来にもコレのような技術があるのかい?」

 

ヤクモはそう言って懐から先ほどのベルトを取り出す。

あの戦いを見る限り、かなりのテクノロジーが使われてるみたいだけど...

このウミウシの体と今の環境じゃ解析なんてとても出来ない。

気になりつつも、そのベルトの解析は断念した。

 

「ううん?ヤクモみたいに現実でバチバチやってるのはヤクモだけだよ?彩葉のはゲームの話」

「ゲームか、そこまで派手な動きができるなら、ぜひ見てみたいものだね」

「そういえば、ヤクモって私に憑依出来るんだよね?何でわざわざ私のこと肩に乗せて歩いてるの?」

「何でって、そのほうが移動が早くて合理的だろう?かぐやの移動速度じゃ、すぐに日が暮れちまう」

「...ヤクモは優しいね」

「私がかい?私は自分のためにしか行動しないよ。さっきかぐやを守ったのだって、かぐやに死なれたら都合が悪いからだしね」

「それでも、守ってくれたことには変わりないじゃん。へへっ、ヤクモが守ってくれるなら、何があっても安心だねっ!」 

「そうかい、まあ彩葉ってやつに会うまで付き合ってやるさ」

 

私は確かな安心感を胸に、ヤクモと共に歩みを進める。

彩葉に合うその日まで。

 


 

ゲーミング電柱から赤ちゃんを拾ってからは、怒涛の三連休だった。

翌朝、起きたら前夜よりデカくなってた電柱生まれベイビーのために、朝イチで西竹屋に向かった。

想像を絶するほど高いベビー用品を買って、おもらししたらオムツを変えてあげたり、ミルクを作ってあげたり、抱き上げながらあやして寝かせてあげたり...疲労が限界になったときは時々ヤクモに変わってもらったりしながら、赤ちゃんの世話に時間を費やした。

マジでどんなゲームよりも時間が溶ける。

 

「なぜ私がこんなことを...」

『拾っちまったもんはしょうがないだろう?警察に届けたって、下手したら彩葉は誘拐犯だ。私も手伝ってやってるんだから少しは感謝しな?』

「はいはいありがとうございますヤクモ様~」

 

私はもう、ヤクモとまともにやり取りする気力もなかった。

そして三連休最後の晩、私には更なる波乱が待ち受けていた。

その原因は、目の前でオムライスを頬張っている10歳ほどの少女である。

まさか三日でここまで成長するとは思わなかった。

しかもあろうことか、どこから来たのか、という私の問いに対して、さも当然のように月を指さした。

未来人の次は宇宙人ってわけですかい...

 

「ねーねー、彩葉って二人いるの?」

「はい?私は一人しかいないですけど?」

「だって、明らかに雰囲気とか口調とか違う時あったじゃん」

「あー...出てきていいよ、ヤクモ」

『いいのかい?』

「だって目の前にいるの、電柱生まれの自称宇宙人だよ?今更じゃない?」

『ま、それもそうか』

 

私はそう言って、一時的に体の主導権をヤクモに移す。

 

「あんたの言う、二人目の彩葉ってのは私のことさ。ヤクモって呼びな」

「やくも...ヤクモ!それどうなってるの!?」

 

目の前の少女は目を輝かせてヤクモに質問する。

 

「私はイマジンって種族でね。今は彩葉に憑依してるんだ」

「へぇー!おもろー!」

 

ホントに理解してるのか?こいつ...

そう思いつつ、再び体の主導権を私に戻す。

 

「それで、宇宙人は何しに来たの?侵略?」

「うーん、あんまよく覚えてないけど、毎日ちょーーつまんなくて〜、楽しいところに逃げたーい!って思った気がする」

「逃げんなー」

『典型的な自由人だねぇ』

「ちなみに、これに心当たりは?」

 

私はタブレットにとある物語のページを表示して少女に見せる。

 

「何これ?」

「竹取物語。月からやってきた姫が竹の中から出てきて、翁が育てて、結婚迫られたりとか、いろいろ。まあ、あんたが出てきたのは竹じゃなくて電柱からだったけど」

「じゃあ、彩葉はこのおじいさんなわけ?」

「80年後の姿でも見えちゃってるのかなぁ?違うよぉ!?」

 

まったく、何だこいつは。失礼極まりない。

私はまだ高校生だっつーの...

 

「で?そこからどうなるの?」

「えーと、月から迎えが来て、翁たちが渡すまいと戦うも空しく、姫は羽衣を着せられて、地球のことは忘れる。で、帰る」

「はえー...あれ、続きは?」

「無い。めでたしめでたし」

「えー!?何それ!超バッドエンド〜〜!」

「これはそういうお話なの」

「バッドエンドやだ~!ハッピーなのがいい~!」

 

少女はそう叫びながら床を転げ回る。

やめろ、近所迷惑だろうが。

 

「仕方ないじゃん。暴れたって、歌ったって、決まってることが変わるわけじゃないんだから...」

 

私は駄々をこねる少女に向かって...あるいは、自分に向けて言ったのかもしれない。

 

「受け入れて覚悟するしか...ない」

 

私のその言葉を聞くと少女は呆けた顔で固まってしまった。

そしてしばしの沈黙の後、少女は決然と言い放った、

 

「よし、決めた!自分でハッピーエンドにする!そんで、ハッピーエンドまで、彩葉とヤクモも連れてく!一緒に!」

「...ハッピーエンド要らない。フツーのエンドで結構です」

「うそうそうそ、そんなわけないでしょ〜?」

「うわっ、纏わりつくな!てか寝かしてぇー!!」

 


 

「すまないね、彩葉。少し借りるよ」

 

私は彩葉とかぐやが眠りに落ちたのを確認し、こっそり体の主導権を得る。

彩葉とは契約をしていないため、この状態では実体化することができない。

ゆえに、現実で行動を起こすためには彩葉の体を借りるしかないのだ。

幸い彩葉は寝ているので、この状態になっても気づかない。

何故こんな夜更けに体を借りなければならないのか、その答えは、家から出てきた私の目の前にある。

 

「夜遅くに女児2人の寝込みを襲おうとするなんて、感心しないねぇ」

「貴様、何故ここにいる?あちらのカグヤの護衛をしているのではなかったのか?」

「あんたらじゃもと光る竹(アレ)に傷一つつけられないだろう?ならば、必然的に生まれたてのこっちを狙いに来る。そっちの方が手っ取り早いだろうからね」

「どの時代でも我々の邪魔をする反逆者め。ここで引導を渡してやる」

「あんたらがしつこすぎるんだよ。陰湿なストーカー共」

 

<デュアルソード・フォー厶!>

「変身」

 

私はベルトにパスをかざし、装甲をその身に纏う。

この体に疲労が蓄積してるのは分かってる。

けどごめんね、彩葉。すべてはあんたらを守るためなんだ。

 

「宿主に負担かけたくないんでね。とっとと終わらせてもらうよ!」




補足として、『』で囲まれてるヤクモのセリフは彩葉の脳内に響いているものなのでかぐやには聞こえていません。
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