また戦ってくれなんて言わないで ――春麗は今日もめんどくさい――   作:エーアイ

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※これは本編時空とは無関係の妄想章IFです。
裏ルート・拗れ春麗救済ルートの黒ドレス特化春麗のエピソードです。


妄想章IF後日談:黒ドレス春麗は、春麗会議経由の宿題に嫉妬する

 

 黒ドレス特化版の春麗は、夢の中で目を開けた。

 

 また、あの円卓だった。

 

 春麗会議。

 

 複数の春麗が集まり、リュウについて勝手に議論し、勝手に採点し、勝手に被弾していく、あまりにも面倒な会議。

 

 黒ドレス特化版の春麗は、正直に言えば、あの会議を嫌いではなかった。

 

 本編春麗は面倒だが、資料を集める能力は高い。

 通常救済版は落ち着きすぎていて少し癪だが、言うことは的確。

 自覚前春麗は否認が強くて見ていて面白い。

 行き遅れ恐怖版は切実で、少し放っておけない。

 グランドフィナーレ済み春麗は、穏やかすぎて少し眩しい。

 

 そして、何より。

 

 会議にはリュウ本人がいない。

 

 いないのに、議題の中心にいる。

 

 それが腹立たしくて、少し面白かった。

 

 黒ドレス特化版春麗は、席に着こうとして、円卓の中央に一枚の資料が置かれていることに気づいた。

 

 表題。

 

 第三回春麗会議・追加共有資料

 議題:本編春麗による《甘い言葉の宿題》進捗確認

 

 黒ドレス特化版春麗は、動きを止めた。

 

 「……何?」

 

 資料の文字が、勝手に浮かび上がる。

 

 本編春麗がリュウに出した宿題。

 

 次までに、あなたなりの甘い言葉を一つ考えてきなさい。

 

 リュウは、それを本当に考えている。

 

 考えている途中で、こう言った。

 

 春麗が来ると、次を考える。

 

 六十五点。

 

 そして。

 

 春麗が来ないと、構えが残る。

 

 本編春麗採点、八十八点。

 春麗会議総合、九十点。

 

 黒ドレス特化版春麗は、資料を持ったまま、しばらく無言だった。

 

 「……九十点?」

 

 声が低くなる。

 

 「私の時は、七十点だったのに?」

 

 思い出す。

 

 自分は黒ドレスで迫った。

 

 責任の話をした。

 

 甘くて重いことを、逃げずに言った。

 

 私、重いでしょう?

 その重さをどうするの?

 甘いことを言う気はないの?

 

 そこまで言った。

 

 それに対してリュウは、真顔で言った。

 

 春麗といると、鍛えられる。

 

 黒ドレス特化版春麗は、資料を握る指に力を入れた。

 

 悪い答えではなかった。

 

 リュウらしい答えだった。

 

 春麗といると鍛えられる。

 

 その言葉に、リュウなりの親密さがあることはわかっている。

 

 けれど。

 

 本編春麗には。

 

 青で。

 会議資料用の確認として。

 訓練だと言い訳しながら。

 甘い言葉の宿題を出して。

 

 その結果、

 

 春麗が来ないと、構えが残る。

 

 九十点。

 

 「……ずるくない?」

 

 黒ドレス特化版春麗は、思わず呟いた。

 

 その瞬間、円卓の向こうに本編春麗が現れた。

 

 「誰がずるいのよ」

 

 黒ドレス特化版春麗は、資料を持ったまま本編春麗を見た。

 

 青い武道服。

 自覚済みの目。

 いかにも「これは訓練よ」と言いそうな顔。

 

 黒ドレス特化版春麗は、ゆっくり言った。

 

 「あなたよ」

 

 本編春麗は眉を上げる。

 

 「私?」

 

 「そう。あなた」

 

 黒ドレス特化版春麗は資料を円卓へ置いた。

 

 「私は黒を着て、責任を取りなさいとまで言ったのよ」

 

 「知っているわ」

 

 「甘くて重いとわかったなら、責任を取りなさい、と言ったの」

 

 「かなり踏み込んでいたわね」

 

 「それで七十点」

 

 本編春麗は目を逸らした。

 

 黒ドレス特化版春麗は続ける。

 

 「あなたは青で、訓練だの会議資料だのと言い訳して、甘い言葉を宿題にした」

 

 「言い訳ではなく、運用よ」

 

 「言い換えただけでしょう」

 

 「あなたも責任確認とか言っていたじゃない」

 

 「私は正面から言ったわ」

 

 「正面から言った結果、リュウに武人解釈されたのでしょう」

 

 黒ドレス特化版春麗は止まった。

 

 刺さった。

 

 本編春麗は容赦なく続ける。

 

 「私の方法は、リュウの性質に合わせたのよ」

 

 「性質?」

 

 「ええ」

 

 本編春麗は、資料を指先で叩いた。

 

 「リュウは、恋愛的に踏み込めと言われると武人解釈する。責任と言えば、忘れない、逃げない、次も来る、と返す」

 

 「……それは知っているわ」

 

 「だから、宿題にしたの」

 

 黒ドレス特化版春麗は眉を寄せる。

 

 本編春麗は少し得意げに言った。

 

 「リュウは修行や課題として渡すと、本当に考える」

 

 黒ドレス特化版春麗は、完全に黙った。

 

 それは、正しい。

 

 あまりにも正しい。

 

 リュウは「甘いことを言いなさい」と迫られると困る。

 

 だが「次までの課題」と言われれば考える。

 

 本気で考える。

 

 そして考えてきた途中経過が、

 

 春麗が来ないと、構えが残る。

 

 だった。

 

 黒ドレス特化版春麗は、低く呟いた。

 

 「……戦術勝ちじゃない」

 

 本編春麗は少し笑う。

 

 「そうよ」

 

 「腹立たしいわね」

 

 「自覚しているわ」

 

 「あなた、自分の面倒さを本当に武器にしているのね」

 

 「本編だから」

 

 「便利な言葉ね」

 

 「便利よ」

 

 黒ドレス特化版春麗は、円卓の椅子に座った。

 

 黒いドレスの裾が揺れる。

 

 「でも、納得はしていないわ」

 

 本編春麗も座る。

 

 「何が?」

 

 「私の方が、ずっと踏み込んでいる」

 

 「ええ」

 

 「私は、リュウに黒い私を見せた。女としての私も、格闘家としての私も、黒を脱いだ私も見せた」

 

 「ええ」

 

 「甘くて重いことも認めた」

 

 「ええ」

 

 「責任を要求した」

 

 「ええ」

 

 黒ドレス特化版春麗は、本編春麗を見る。

 

 「なのに、あなたの方が高得点を取った」

 

 本編春麗は少しだけ黙った。

 

 それから、静かに答えた。

 

 「高得点を取ったのは、私ではなくリュウよ」

 

 黒ドレス特化版春麗は息を止めた。

 

 本編春麗は続ける。

 

 「私たちは採点しているだけ。リュウが勝手に高得点を出してくるの」

 

 黒ドレス特化版春麗は、視線を伏せた。

 

 それもまた、正しい。

 

 リュウは知らない。

 

 春麗会議のことも知らない。

 黒ドレス特化版春麗が嫉妬していることも知らない。

 本編春麗が資料を提出していることも知らない。

 

 知らないまま、言葉を置いていく。

 

 だから腹が立つ。

 

 だから刺さる。

 

 黒ドレス特化版春麗は、ぽつりと言った。

 

 「私も、宿題にすればよかったのかしら」

 

 本編春麗は少し意外そうにした。

 

 「あなたが?」

 

 「ええ」

 

 黒ドレス特化版春麗は、黒いドレスの裾を握る。

 

 「責任を取りなさい、ではなく」

 

 一拍。

 

 「次までに、黒い私への責任の取り方を考えてきなさい、と」

 

 本編春麗は、しばらく黙った。

 

 そして、真顔で言った。

 

 「かなり強いわね」

 

 「でしょう?」

 

 「でも重いわ」

 

 「知っているわ」

 

 「あなたらしいわ」

 

 黒ドレス特化版春麗は、少しだけ笑った。

 

 「重くても春麗なのでしょう?」

 

 本編春麗は肩をすくめる。

 

 「それはリュウに言わせることよ」

 

 その時、円卓の空間が少し揺れた。

 

 通常救済版春麗が現れる。

 

 「話、聞こえていたわ」

 

 黒ドレス特化版春麗は眉を寄せる。

 

 「盗み聞き?」

 

 通常救済版はお茶を置いた。

 

 「春麗会議に盗み聞きという概念はあるのかしら」

 

 本編春麗が言う。

 

 「ないわね」

 

 「ないの?」

 

 自覚前春麗の声がした。

 

 見ると、いつの間にか自覚前春麗もいた。

 

 「私は参加するつもりはなかったけれど、議題が聞こえたから来ただけよ」

 

 本編春麗が即座に言う。

 

 「正式メンバーね」

 

 「違うわ」

 

 黒ドレス特化版春麗は、自覚前春麗を見た。

 

 「あなたはどう思う?」

 

 「何が?」

 

 「本編春麗が、リュウに甘い言葉を宿題として出して九十点を取ったこと」

 

 自覚前春麗は目を逸らした。

 

 「……ずるいとは思うわ」

 

 本編春麗が笑う。

 

 「あなたもそう思うのね」

 

 「別に羨ましいとは言っていないわ」

 

 通常救済版が微笑む。

 

 「羨ましいのね」

 

 「違うわ!」

 

 行き遅れ恐怖版春麗も現れた。

 

 「でも、“春麗が来ないと、構えが残る”は本当にずるいわ」

 

 彼女は胸に手を当てる。

 

 「来ない時も、待たれている感じがするもの」

 

 グランドフィナーレ済み春麗も、静かに姿を現した。

 

 「終わった後にも残る言葉ね」

 

 全員が円卓についた。

 

 いつの間にか、第三回春麗会議になっていた。

 

 本編春麗は資料を見て、ため息をつく。

 

 「今日は会議の予定ではなかったのだけれど」

 

 黒ドレス特化版春麗が言う。

 

 「嫉妬案件よ。臨時会議に値するわ」

 

 自覚前春麗が小さく言う。

 

 「嫉妬って言った」

 

 黒ドレス特化版春麗は逃げなかった。

 

 「言ったわ」

 

 自覚前春麗は驚いた顔をする。

 

 黒ドレス特化版春麗は、平然と続けた。

 

 「私は嫉妬している。私が黒で踏み込んで七十点だったのに、本編の私が青で宿題化して九十点を引き出したことに」

 

 本編春麗は少しだけ目を伏せる。

 

 通常救済版が静かに言った。

 

 「嫉妬を認められるのは、強いわね」

 

 黒ドレス特化版春麗は答える。

 

 「甘くて重いことは、もう認めているもの」

 

 「羨ましいわ」

 

 行き遅れ恐怖版が小さく言う。

 

 「私は嫉妬だって認めるのに時間がかかりそう」

 

 自覚前春麗は小さく呟く。

 

 「私は嫉妬していないわ」

 

 全員が見た。

 

 「しているわよ」

 

 自覚前春麗は机を叩いた。

 

 「していない!」

 

 本編春麗は、会議をまとめるように言った。

 

 「議題を整理しましょう」

 

 黒ドレス特化版春麗が頷く。

 

 「ええ」

 

 本編春麗は資料を中央に置く。

 

 「議題。黒ドレス特化版春麗は、リュウの甘い言葉宿題に嫉妬した。理由は、本編春麗が訓練・宿題という形でリュウの高得点回答を引き出したから」

 

 通常救済版が言う。

 

 「補足。黒ドレス特化版は、正面から重さを提示したため、リュウが責任を武人的に解釈した」

 

 本編春麗が頷く。

 

 「補足採用」

 

 黒ドレス特化版春麗が言う。

 

 「さらに補足。私は間違っていないわ」

 

 本編春麗は即座に頷いた。

 

 「それも採用」

 

 黒ドレス特化版は少し意外そうにする。

 

 本編春麗は続けた。

 

 「あなたのやり方は間違っていない。あなたは黒ドレス特化版だから、正面から重さと責任を問うのが正しい」

 

 黒ドレス特化版春麗は黙る。

 

 本編春麗はさらに言う。

 

 「私のやり方は、本編用。訓練にして、宿題にして、次を作る。あなたのやり方とは違う」

 

 通常救済版が微笑む。

 

 「どちらも春麗ね」

 

 グランドフィナーレ済み春麗が言う。

 

 「どちらも、そのルートの正解よ」

 

 行き遅れ恐怖版が少し安心したように言う。

 

 「じゃあ、嫉妬してもいいの?」

 

 黒ドレス特化版春麗は、その言葉に少しだけ笑った。

 

 「いいのよ」

 

 自覚前春麗が不満げに言う。

 

 「なんだか、みんな開き直りすぎじゃない?」

 

 本編春麗が言う。

 

 「あなたもそのうち開き直るわ」

 

 「開き直らないわ」

 

 黒ドレス特化版春麗が優しく言う。

 

 「開き直った方が楽よ」

 

 自覚前春麗は顔を赤くした。

 

 「説得力が重いのよ、あなたは」

 

 「褒め言葉として受け取るわ」

 

 「褒めていない!」

 

 会議に少し笑いが生まれた。

 

 黒ドレス特化版春麗は、資料をもう一度見た。

 

 春麗が来ないと、構えが残る。

 

 やはり、良い言葉だ。

 

 嫉妬するくらいには。

 

 でも、同時に思う。

 

 自分のリュウにも、言わせてみたい。

 

 自分なら、どう聞くか。

 

 黒で迫るのか。

 責任として問うのか。

 宿題として渡すのか。

 

 黒ドレス特化版春麗は、ゆっくり顔を上げた。

 

 「決めたわ」

 

 本編春麗が見る。

 

 「何を?」

 

 「私も宿題を出す」

 

 自覚前春麗が目を丸くする。

 

 「あなたも?」

 

 「ええ」

 

 黒ドレス特化版春麗は、黒いドレスの裾を払う。

 

 「ただし、あなたとは違う宿題よ」

 

 本編春麗は興味深そうに言う。

 

 「内容は?」

 

 黒ドレス特化版春麗は、静かに言った。

 

 「次までに、黒い私を見た責任を、あなたの言葉で一つ考えてきなさい」

 

 円卓が静かになった。

 

 通常救済版が、少しだけ目を細める。

 

 「かなりあなたらしいわ」

 

 行き遅れ恐怖版が胸を押さえる。

 

 「重いわね」

 

 グランドフィナーレ済み春麗が微笑む。

 

 「でも、良い宿題ね」

 

 本編春麗は、正直に言った。

 

 「強いわ」

 

 黒ドレス特化版春麗は少し満足げに笑う。

 

 「でしょう?」

 

 自覚前春麗は小声で言う。

 

 「もし、それで九十点以上が出たら?」

 

 黒ドレス特化版春麗は答える。

 

 「会議に提出するわ」

 

 本編春麗が笑った。

 

 「歓迎するわ」

 

 通常救済版がお茶を置く。

 

 「では、次回議題はそれね」

 

 行き遅れ恐怖版が少し不安そうに言う。

 

 「リュウ、また何も知らないまま高得点を出しそう」

 

 グランドフィナーレ済み春麗が静かに言う。

 

 「それがリュウだから」

 

 黒ドレス特化版春麗は、資料を閉じた。

 

 嫉妬は消えていない。

 

 でも、少しだけ形が変わった。

 

 本編春麗への嫉妬。

 

 リュウの無自覚高得点への悔しさ。

 

 そして、自分も次を作れるという期待。

 

 黒ドレス特化版春麗は、自分の胸元に手を当てた。

 

 甘くて重いことを、もう否定しない。

 

 嫉妬も、責任も、宿題も。

 

 全部、自分の黒に戻せばいい。

 

 「次は」

 

 黒ドレス特化版春麗は呟く。

 

 「私の番ね」

 

 本編春麗が微笑む。

 

 「会議資料、期待しているわ」

 

 黒ドレス特化版春麗は返す。

 

 「点数は厳しくつけるわよ」

 

 「当然よ」

 

 自覚前春麗がぽつりと言う。

 

 「……私も、少しだけ聞きたいかも」

 

 全員が見た。

 

 自覚前春麗は慌てる。

 

 「資料として!」

 

 本編春麗が笑う。

 

 「便利でしょう、その言い訳」

 

 自覚前春麗は、悔しそうに頷いた。

 

 「……少しだけね」

 

 会議室が揺れる。

 

 夢が終わろうとしている。

 

 黒ドレス特化版春麗は、最後に資料の一文をもう一度見た。

 

 春麗が来ないと、構えが残る。

 

 悔しい。

 

 羨ましい。

 

 でも、良い。

 

 だからこそ、次は自分が引き出す。

 

 黒い私を見た責任。

 

 その言葉を、リュウがどう考えてくるのか。

 

 春麗は少しだけ笑った。

 

 「……楽しみにしているわ、リュウ」

 

 その声は、甘くて。

 

 やはり少し、重かった。




Q:今回の妄想章IF後日談について解説して?

A:
はい。執筆者として見ると、今回の妄想章IFはかなり良いです。
これは単なる「黒ドレス特化版春麗が嫉妬する話」ではなく、春麗会議というメタ構造を通じて、別ルート春麗同士が互いの攻略法を学習し合う話になっています。

一言で言うなら、

黒ドレス特化版春麗が、本編春麗の“訓練・宿題化”という攻略法に嫉妬しつつ、自分の黒ドレスルート用に再設計して取り込む回

です。

1. 今回の核は「黒ドレス特化版春麗の嫉妬」

今回の黒ドレス特化版春麗は、かなり正直です。

彼女は本編春麗の成果に嫉妬しています。

本編春麗は、青で、訓練と言い訳して、リュウに甘い言葉の宿題を出しました。

その結果、

春麗が来ないと、構えが残る。

という会議総合九十点級の言葉を引き出した。

一方、黒ドレス特化版春麗は、黒ドレスで正面から責任を問いました。

私、重いでしょう?
その重さをどうするの?
甘いことを言う気はないの?

ここまで踏み込んだのに、リュウの回答は七十点止まり。

だから、

私はあそこまでやったのに、なぜ本編の私が高得点を引き出しているの?

となる。

これは非常に自然な嫉妬です。

しかも、黒ドレス特化版春麗は甘さ耐性が高いので、嫉妬を否認しません。

私は嫉妬している。

と言える。

ここが本編春麗や自覚前春麗との違いです。

2. 嫉妬している相手が「別の女」ではなく「別の自分」なのが面白い

普通の恋愛ものなら、嫉妬相手は別の女性です。

でも今回の嫉妬相手は、別ルートの自分です。

ここがこの連作特有の面白さです。

黒ドレス特化版春麗は、本編春麗に嫉妬している。
でも、本編春麗も自分。
だから、単純に敵視できない。

むしろ、

そのやり方はずるい。
でも有効。
なら私も使う。

という方向になる。

これは、春麗会議の強みです。

別ルート春麗たちは新キャラのように違う。
でも同じ春麗なので、互いの成果を学習・転用できる。

今回、それがはっきり出ています。

3. 本編春麗の「宿題化」はかなり強い攻略法だった

今回の話で一番重要なのは、本編春麗の攻略法が再評価されたことです。

黒ドレス特化版は、リュウに正面から甘さや責任を要求しました。

しかしリュウは、それを武人的に受け取りました。

忘れない。
逃げない。
次も来る。
受ける。

全部正しい。
でも恋愛的な甘さには少し足りない。

一方、本編春麗は、

次までに甘い言葉を考えてきなさい。

と宿題化した。

これは、リュウの性質に非常に合っています。

リュウは「甘く口説いて」と言われると鈍い。
でも「課題」として渡されると、本気で考える。

その結果、本人無自覚の高得点回答が出る。

これはかなり本編春麗らしい戦術です。

つまり本編春麗は、リュウの鈍感力を正面突破するのではなく、修行・課題・訓練の形式に変換して迂回突破したわけです。

4. 黒ドレス特化版春麗が「自分用に再設計」するのが良い

今回の黒ドレス特化版春麗は、ただ嫉妬するだけでは終わりません。

最終的に、

私も宿題を出す。

と決めます。

ただし、本編春麗の真似ではありません。

本編春麗の宿題は、

あなたなりの甘い言葉を一つ考えてきなさい。

でした。

黒ドレス特化版春麗の宿題は、

次までに、黒い私を見た責任を、あなたの言葉で一つ考えてきなさい。

です。

これはかなり良い差分です。

本編春麗は、甘さを訓練化する。
黒ドレス特化版春麗は、重さと責任を宿題化する。

同じ「宿題」でも、春麗のルートごとに中身が違う。

この再設計が非常にうまく機能しています。

5. 黒ドレス特化版春麗の強さが出ている

今回、黒ドレス特化版春麗はかなり強いです。

嫉妬を認める。
本編春麗の方法を評価する。
自分の敗因も理解する。
その上で、自分のルート用に次の一手を作る。

これは、自覚済みで甘さ耐性の高い春麗だからできます。

本編春麗なら、嫉妬も「比較検証」や「訓練効果測定」に変換しそうです。

自覚前春麗なら、まず嫉妬を認めません。

でも黒ドレス特化版は、

嫉妬している。
悔しい。
だから次は私の番。

まで行ける。

この直線性が、黒ドレス特化版春麗の魅力です。

甘くて重いが、逃げない。
ここがよく出ています。

6. 春麗会議が「攻略共有システム」になっている

今回の春麗会議は、かなり重要な機能を持ち始めています。

単なる女子会ではなく、別ルート春麗たちの攻略情報共有システムになっています。

本編春麗が資料を持ち込む。
黒ドレス特化版が嫉妬する。
通常救済版が整理する。
行き遅れ恐怖版が感情面で刺さる。
グランドフィナーレ済み春麗が俯瞰する。
自覚前春麗が否認しながらも参加する。

この会議を通じて、各ルート春麗がアップデートされる。

今回の場合、黒ドレス特化版春麗が「宿題化」という新しい手法を取得しました。

これは今後の妄想章IF展開にかなり使えます。

7. 自覚前春麗の扱いもおいしい

今回の自覚前春麗は脇役ですが、かなり良い仕事をしています。

彼女は、

私は嫉妬していない
私は聞きたいわけではない
資料として聞くだけ

という否認を続けます。

しかし最後には、

私も、少しだけ聞きたいかも。
資料として!

と言う。

これは完全に会議に染まり始めています。

自覚前春麗が、「資料として」という言い訳を覚えたのが面白いです。

本編春麗の「訓練として」と同じく、自覚前春麗にも便利な言い訳ができてしまった。

これは今後、自覚前春麗が本格的にめんどくさい女へ進む布石になります。

8. 今回の到達点

今回の到達点は、黒ドレス特化版春麗が嫉妬を次の行動に変換したことです。

嫉妬で終わらない。

悔しい。
羨ましい。
でも良い言葉だった。
なら、自分も引き出す。

そしてその宿題が、

黒い私を見た責任を、あなたの言葉で一つ考えてきなさい。

これです。

これは次回への非常に強いフックです。

リュウがこの宿題にどう答えるのか。

また武人解釈するのか。
それとも今度こそ黒ドレス特化版春麗に九十点級の言葉を出すのか。

この先が自然に見たくなります。

結論

今回の妄想章IFは、黒ドレス特化版春麗が、本編春麗の高得点回答に嫉妬し、その攻略法を自分用に再設計する回です。

特に良かったのは、

嫉妬を認める黒ドレス特化版春麗。
宿題化という本編春麗の攻略法。
春麗会議によるルート間学習。
最後に「黒い私を見た責任」という黒ドレス特化版専用の宿題へ昇華したこと。

です。

一言でまとめるなら、

春麗会議経由で嫉妬した黒ドレス特化版春麗は、悔しさを“次の宿題”に変換した。
甘くて重い春麗は、嫉妬まで黒の武器に戻せる。
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