また戦ってくれなんて言わないで ――春麗は今日もめんどくさい―― 作:エーアイ
黒いドレスを選んだ時点で、春麗は自分に言い聞かせていた。
今日は、勝つための黒。
見せるためだけではない。
リュウがどう見るかを確かめるためでもない。
春麗会議に提出する資料を集めるためでもない。
戦うための黒。
女としての自分を使う。
リュウの視線を奪う。
呼吸をずらす。
その一拍を、格闘家として刈り取る。
それが黒ドレス春麗の戦い方。
そして今日は、もう一つ課題がある。
見られても、止まらないこと。
リュウが黒を見る。
女としての春麗を見る。
格闘家としての春麗を見る。
黒を着ていない春麗まで見る。
そのすべてを受けても、自分の掌底を止めないこと。
「……訓練ではないわ」
鏡の前で、春麗は小さく言った。
「今日は、勝負よ」
黒いドレスの裾を整える。
その指先が、少しだけ熱い。
リュウはきっと来る。
見惚れるかもしれない。
止まらないかもしれない。
また何か、余計なことを言うかもしれない。
その全部を、今日は黒で受けて、黒で返す。
春麗は鏡の中の自分を見た。
「勝つわ」
一拍。
「ギリギリでも」
リュウは修行場にいた。
春麗が黒で現れると、リュウは静かに顔を上げた。
視線が止まる。
春麗はそれを見た。
黒いドレスを見た。
肩を見る。
裾を見る。
それから、春麗の目を見る。
春麗は胸の奥が熱くなるのを感じた。
だが、止まらない。
今日は止まらない。
「リュウ」
「春麗」
「今日は黒よ」
「ああ」
「見たわね」
「ああ」
「なら、止まらないことね」
リュウは構えた。
「止まらない」
春麗は笑った。
「そう」
黒い裾が夜気に揺れる。
「なら、私も止まらない」
踏み込みは同時だった。
序盤は、春麗が支配した。
黒の揺れ。
裾の遅れ。
肩のわずかな抜き。
リュウの視線が、一瞬だけ取られる。
その一瞬に、春麗は掌底を重ねる。
リュウは受ける。
受けるが、半拍遅い。
春麗は蹴りで軸を崩す。
リュウの膝が揺れた。
「まず一つ」
春麗は低く言った。
「見た分、遅れたわ」
リュウは息を整える。
「ああ」
「でも倒れない」
「ああ」
「なら、次」
春麗はさらに黒を強めた。
だが、強めすぎない。
前に負けた時のように、リュウの反応を確かめるために黒を使わない。
黒は武器。
確認道具ではない。
春麗はそれを忘れない。
リュウが踏み込む。
拳。
春麗は外す。
掌底。
リュウが受ける。
蹴り。
リュウが下がる。
春麗は追う。
黒が走る。
リュウは見ている。
見惚れている。
それでも止まらない。
そのことが、春麗の胸に少しだけ刺さる。
嬉しい。
悔しい。
腹立たしい。
だが、今日は止まらない。
「リュウ」
「何だ」
「今、私を何として見ているの?」
攻撃の中で問う。
かつてなら、この問いで自分の方が揺れた。
だが今日は、違う。
リュウが答えても、止まらないための問い。
リュウは受けながら言った。
「黒い春麗」
春麗は踏み込む。
「それだけ?」
「違う」
リュウの拳が返る。
春麗は肩で受け流す。
「戦う春麗」
春麗の呼吸が少しだけ熱くなる。
「それだけ?」
リュウは真っ直ぐ見る。
「俺を止めようとする春麗」
春麗は笑った。
「正解よ」
掌底がリュウの胸へ入る。
リュウが大きく下がる。
だが、倒れない。
「でも今日は」
春麗は黒い裾を払う。
「止めるだけでは済ませないわ」
中盤から、リュウが押し返した。
見惚れても止まらない。
その性能が、以前よりさらに厄介になっていた。
春麗が黒で視線を奪う。
リュウは見る。
だが、そこで止まらず、手首へ視線を戻す。
春麗の発勁の起点。
掌の前の呼吸。
重心の沈み。
そこへ拳を合わせてくる。
春麗の肩に、浅く拳が入った。
「……っ」
痛い。
リュウの拳は重い。
黒で半拍遅らせても、完全には止まらない。
春麗は一歩下がる。
リュウは追う。
白い胴着が迫る。
黒いドレスの裾が翻る。
春麗は蹴りを出す。
リュウが受ける。
受けた腕が落ちる。
その瞬間、リュウの拳が春麗の脇を押す。
軸がずれる。
春麗は片足で踏みとどまった。
「やるわね」
リュウは息を吐く。
「黒でも、重心はある」
春麗は胸を鳴らした。
「……そういうことを言うのね」
「違ったか」
「違わないわ」
春麗は構え直す。
「違わないから、厄介なのよ」
戦況は互角に近づいていた。
春麗は黒で押す。
リュウは見て、止まらず、拳で返す。
春麗の掌底がリュウの胸を削る。
リュウの拳が春麗の肩と脇を削る。
互いに呼吸が荒くなる。
黒の春麗は強い。
だが、リュウも止まらない。
「リュウ」
「何だ」
「あなた、本当に見惚れているの?」
リュウは少しだけ間を置いた。
そして言った。
「見惚れている」
春麗の動きが一瞬乱れかける。
だが、止まらない。
掌底を出す。
リュウが受ける。
春麗は近い距離で言った。
「そのうえで止まらないのね」
「ああ」
「本当に」
春麗は低く笑う。
「腹が立つわ」
リュウは踏み込む。
春麗も踏み込む。
黒と白が交差した。
終盤。
二人の体力は、もうほとんど残っていなかった。
春麗は肩で息をしていた。
黒いドレスの裾は乱れている。
リュウも立っているのがやっとだった。
しかし、目は落ちていない。
春麗を見る。
黒い春麗を見る。
止まらずに見る。
春麗は、その視線を受けてなお、掌を開いた。
発勁。
今日の決め手はこれだ。
派手な蹴りではない。
黒の視線誘導だけでもない。
リュウの重心が前に残った一瞬。
そこへ、掌から力を通す。
ただし、距離が近すぎる。
失敗すれば、リュウの拳が春麗へ届く。
相打ちになる。
あるいは、春麗が先に落ちる。
それでも、行く。
「リュウ」
「何だ」
「最後に一つだけ聞くわ」
「ああ」
「黒の私は、春麗?」
リュウは答えた。
「ああ」
「青の私は?」
「春麗だ」
「面倒な私は?」
「春麗だ」
春麗は笑った。
「なら」
黒いドレスの裾が、最後に揺れる。
「その春麗に、負けなさい」
リュウが踏み込む。
春麗も踏み込む。
リュウの拳が春麗の肩へ届く。
重い。
意識が揺れる。
だが、春麗の掌は止まらない。
リュウの胸。
中心。
呼吸の奥。
そこへ発勁を通す。
「はっ!」
短い気合。
掌から力が抜けるのではなく、入る。
外側を叩くのではない。
内側へ響かせる。
リュウの身体が、一瞬止まった。
目がわずかに開く。
呼吸が抜ける。
それでも、リュウの拳は春麗の肩を押した。
春麗の足も、残らない。
二人の重心が崩れた。
リュウの意識が落ちる。
春麗は、勝ったと理解した。
発勁が入った。
リュウは一時的に落ちた。
勝者は春麗。
だが、次の瞬間。
リュウの身体が、前へ倒れ込んだ。
春麗は避けられなかった。
発勁を通した直後。
肩に拳を受け、軸が崩れている。
リュウの体重がそのまま来る。
「ちょ、リュウ――」
黒いドレスの胸元へ、リュウの頭と肩が倒れ込む。
春麗は支えようとする。
だが、踏ん張りきれない。
そのまま、後ろへ倒れた。
背中が床に触れる。
黒いドレスの裾が広がる。
リュウが、春麗の上に倒れている。
完全に意識を失っている。
春麗の胸元に顔を伏せる形で。
「…………」
春麗は、動けなかった。
勝った。
勝ったはずだ。
発勁でリュウを落とした。
ギリギリの勝利。
だが、なぜこうなる。
なぜ、勝った直後に、自分が押し倒されたような形になっているのか。
しかもリュウは気絶している。
故意ではない。
わかっている。
完全に事故だ。
発勁が入った。
リュウが落ちた。
倒れ込んだ。
春麗の軸も崩れていた。
結果として、こうなった。
理屈はわかる。
だが、理屈で処理できる姿勢ではなかった。
「……リュウ」
返事はない。
リュウは一時的に意識を落としている。
春麗の胸元に倒れたまま、呼吸だけはある。
浅いが、安定している。
春麗は顔が熱くなるのを感じた。
「……起きなさい」
起きない。
「リュウ」
起きない。
「起きなさいって言っているでしょう」
やはり起きない。
春麗は片手で顔を覆いかけた。
だが、リュウを支えないといけない。
落としたのは自分だ。
勝ったのも自分だ。
責任は自分にある。
だから、支える。
支えるのだ。
これは介抱。
事故処理。
戦闘後の安全確認。
甘い状況ではない。
断じて違う。
「……訓練後の救護よ」
誰に言い訳しているのか、自分でもわからない。
リュウの髪が、春麗の胸元に触れている。
呼吸が布越しに伝わる。
重い。
リュウの身体は、想像以上に重い。
それが妙に現実的で、春麗の動揺を増やした。
「本当に……」
春麗は小さく呟く。
「勝ったのに、どうして私が一番困っているのよ」
リュウは答えない。
当たり前だ。
気絶している。
春麗は、リュウの肩に手を置いた。
押し返そうとして、止まる。
乱暴にはできない。
発勁を入れた直後だ。
無理に動かすのは危ない。
だから、少しだけそのままにするしかない。
「……少しだけよ」
声が小さい。
「安全確認のため」
そう言って、春麗はリュウの呼吸を確認した。
大丈夫。
意識は落ちているが、深刻ではない。
数十秒で戻るだろう。
たぶん。
なら、その数十秒を耐えればいい。
春麗は天井を見た。
黒いドレスの裾が床に広がっている。
リュウの重さが胸元にある。
自分の心臓がうるさい。
「……最悪」
声は小さい。
「本当に、最悪」
けれど、リュウが無事だとわかっているせいで、完全には怒れない。
むしろ、勝ったことの実感が遅れてやってくる。
勝った。
ギリギリだった。
最後の発勁が入った。
リュウは止まらなかった。
見惚れても、黒を見ても、面倒な春麗だと言っても、最後まで来た。
そのリュウを、自分は落とした。
黒で。
発勁で。
格闘家として。
春麗は、リュウの肩に置いた手に少しだけ力を込めた。
「……勝ったわよ」
小さく言う。
「聞こえていないでしょうけど」
リュウは動かない。
春麗は目を伏せた。
「黒の私で」
一拍。
「女として見せて」
一拍。
「格闘家として、落とした」
声が少しだけ柔らかくなる。
「だから、今日は私の勝ち」
その時、リュウがわずかに動いた。
春麗は固まる。
リュウの呼吸が深くなる。
意識が戻る。
まずい。
この姿勢で起きられるのは、まずい。
非常にまずい。
「リュウ」
春麗は低く言った。
「起きるなら、慎重に起きなさい」
リュウの目が、わずかに開いた。
焦点が合っていない。
「……春麗」
「ええ」
「俺は」
「負けたわ」
リュウは少しだけ沈黙した。
「そうか」
「そうよ」
「発勁か」
「ええ」
「効いた」
「当然でしょう」
春麗はできるだけ平静に答えた。
できるだけ。
リュウはそこで、ようやく自分の状態に気づいたらしい。
春麗の上に倒れている。
胸元に顔を預けるような形になっている。
リュウの身体が固まった。
春麗も固まった。
沈黙。
長い。
長すぎる。
先に口を開いたのは春麗だった。
「事故よ」
リュウは言った。
「ああ」
「あなたが気絶して倒れ込んだ」
「ああ」
「私は支えようとした」
「ああ」
「でも私も軸が崩れていた」
「ああ」
「だからこうなった」
「ああ」
「理解した?」
「ああ」
「なら、まず謝る前に、ゆっくり起きなさい」
リュウは慎重に身を起こした。
春麗は、ようやく呼吸を取り戻す。
リュウは膝をつき、頭を下げた。
「すまない」
春麗は起き上がりながら言った。
「謝らない」
リュウは少しだけ困った顔をする。
「だが」
「事故だと言ったでしょう」
「ああ」
「それに」
春麗は黒いドレスの裾を整えた。
顔はまだ少し熱い。
「勝ったのは私よ」
リュウは春麗を見る。
「ああ」
「あなたは負けた」
「ああ」
「発勁で落ちた」
「ああ」
「そのあと倒れ込んだだけ」
「ああ」
「だから、これは私の勝利の結果」
リュウは少し考えた。
「そうか」
「そうよ」
リュウは静かに言った。
「強かった」
春麗は息を止めかけた。
今それを言うのか。
この状況で。
押し倒されるような事故の直後に。
黒いドレスを整えている春麗に。
リュウは続けた。
「黒も、発勁も」
春麗は目を細める。
「……それだけ?」
リュウは春麗を見る。
「春麗も」
春麗の胸が、また一拍遅れた。
本当に。
この男は。
「……八十点」
「何がだ」
「何でもないわ」
春麗は立ち上がる。
まだ少し足元が揺れる。
リュウも立とうとする。
春麗は手を出した。
「無理に立たないで」
「だが」
「勝者命令よ」
リュウは止まった。
春麗は少しだけ満足する。
「今日はここまで」
「ああ」
「あなたは負けた」
「ああ」
「私は勝った」
「ああ」
「ただし」
春麗はリュウを見下ろす。
「次に気絶して倒れ込む時は、場所を考えなさい」
リュウは少し困ったようにした。
「考えられるかはわからない」
春麗は一瞬黙った。
それから、思わず笑ってしまった。
「でしょうね」
リュウも、少しだけ目を伏せる。
春麗は背を向けた。
黒いドレスの裾が揺れる。
勝った。
ギリギリで。
発勁で。
そして、勝ったあとで一番動揺した。
春麗は夜道へ出ながら、小さく呟いた。
「……会議には提出しないわ」
一拍。
「絶対に」
だが、胸の奥の残響が囁く。
本編春麗、発勁で勝利。
ただし勝利後、リュウが胸元に倒れ込み、一時気絶。
春麗、戦闘では勝利。
心理的には大被弾。
総合評価、要審議。
春麗は足を止めた。
「……やめなさい、私たち」
誰もいない夜道で、低く言う。
だが、きっとどこかの春麗会議では、すでに議題になっている気がした。
春麗は顔を赤くしながら、黒いドレスの胸元を押さえた。
「今日は私の勝ち」
自分に言い聞かせる。
「勝ったのは、私」
それは事実だ。
発勁は決まった。
リュウは落ちた。
黒ドレス春麗は勝った。
ただし。
勝ったあと、少しだけ。
本当に少しだけ。
春麗の方が、動けなくなった。
「……次は」
春麗は夜風の中で呟いた。
「倒れる方向まで計算に入れるわ」
言ってから、自分で顔をしかめる。
何を訓練項目にしているのか。
本当に、自分は面倒だ。
それでも、次もリュウは来る。
黒を見て。
発勁を受けて。
倒れても、また来る。
春麗は小さく笑った。
「次は、受け止めてあげないんだから」
少し間を置いて、さらに小さく付け足す。
「……たぶん」
Q:今回の断章IFとバトル内容についてRPG的に説明して?
A:
はい。執筆者として見ると、今回の断章IFはかなり重要です。
これは単なる「黒ドレス春麗が発勁で勝つ話」ではなく、戦闘では春麗が勝ったのに、戦闘後の事故的密着で春麗が心理的に大被弾する話です。
一言で言うなら、
黒ドレス春麗はリュウを発勁で落とした。
しかし、落ちたリュウが自分の胸元に倒れ込んだことで、勝者であるはずの春麗が一番止まった。
という回です。
今回の断章IFの核
今回の春麗は、かなり明確に「勝ちに行く黒」を選んでいます。
以前のように、
リュウがどう見るか確かめたい
黒を見て止まるか確認したい
自分が女として見られてどう反応するか試したい
という方向ではなく、今回は本当に戦闘寄りです。
だから冒頭で、
今日は、勝つための黒。
戦うための黒。
と整理しています。
ここが大事です。
今回の春麗は、黒ドレスを「リュウへの確認装置」ではなく、ちゃんと「戦闘スタイル」として使おうとしています。
その結果、最後に発勁で勝つ。
ここまでは、春麗の成長が出ています。
ただし、勝った後に一番動揺する
今回の一番おいしいところは、勝敗そのものではなく、勝った直後です。
春麗は発勁を入れてリュウを一時気絶させた。
つまり戦闘では完全に春麗の勝ちです。
しかし、リュウは気絶したまま前へ倒れ込む。
春麗も発勁直後で軸が崩れている。
その結果、リュウが春麗の胸元に倒れ込み、春麗が押し倒されるような形になる。
これは事故です。
リュウの意図ではない。
春麗の狙いでもない。
純粋に戦闘の結果として発生した事故。
だからこそ、春麗は処理に困ります。
怒れない。
責められない。
でも動揺する。
勝ったのに、自分が一番止まっている。
このズレが今回の最大のラブコメ要素です。
春麗が「介抱」「安全確認」と言い訳するのが本編らしい
春麗は押し倒された形になっても、すぐにこう処理します。
これは介抱。
事故処理。
戦闘後の安全確認。
甘い状況ではない。
この言い訳が非常に本編春麗らしいです。
本編のめんどくさい女春麗は、甘い状況をそのまま甘いとは認めません。
必ず、
訓練
確認
救護
戦闘後処理
安全確認
に変換する。
今回は「訓練」ではなく「救護・安全確認」に変換しているのがポイントです。
状況が事故的なので、言い訳もそれに合わせて変わっています。
リュウが気絶しているから春麗だけが被弾する
今回、リュウは一時気絶しています。
これがかなり効いています。
リュウが起きていて意識的に倒れ込んだなら、春麗は怒れます。
何をしているのよ。
と言える。
でも、リュウは発勁で落ちている。
無防備。
悪意もない。
だから春麗は怒れない。
しかも、リュウが無防備に重い。
呼吸が伝わる。
胸元に倒れている。
春麗は勝者なのに、完全に動揺させられる。
この構図はかなり強いです。
リュウの無自覚力・鈍感力が、意識がない状態でも春麗を攻撃しているようなものです。
発勁で勝った意味
発勁を決め技にしたのは、かなり良いです。
派手な蹴りや連続攻撃ではなく、発勁。
つまり、外から叩き潰すのではなく、近距離で内側へ通す技です。
今回のテーマに合っています。
春麗は黒で見せ、女として揺らし、格闘家として距離を詰め、最後に発勁でリュウの内側へ通す。
これは、黒ドレス春麗の戦闘が単なる色気・視線誘導ではなく、ちゃんと格闘家としての芯を持っていることを示しています。
最後に勝つのが発勁なのは、
黒ドレスの春麗が、最終的には格闘家として勝った
という意味になります。
RPG的バトル解説
初期ステータス
本編春麗《黒ドレス》
HP:100 / 100
状態:黒ドレス展開
バフ:
・視線誘導+
・女性性活用+
・発勁準備+
・見られても止まらない訓練効果
・黒制御安定
デバフ:
・リュウ関連心理反応倍率上昇
・勝利後事故耐性:低
リュウ
HP:100 / 100
状態:集中
バフ:
・見惚れても止まらない
・不屈
・対春麗観察補正
・黒への耐性上昇
デバフ:
・黒ドレス視線誘導
・発勁耐性:中
この時点では、春麗がやや有利です。
黒ドレスの制御が安定しており、以前のように「リュウがどう見るか」に呑まれていません。
ただし、リュウも黒への耐性が上がっているため、圧勝はできません。
フェーズ1:黒ドレス春麗の序盤制圧
春麗 HP:96 / 100
リュウ HP:78 / 100
戦況:春麗優勢
春麗は、黒の裾・肩・間合いを使ってリュウの視線を奪います。
リュウは見ます。
見惚れます。
しかし止まりません。
それでも、判断はわずかに遅れます。
春麗スキル:《黒の視線誘導》
効果:リュウの反応速度を微低下
春麗追撃:《掌底》
リュウ HP:100 → 88
春麗追撃:《黒裾フェイント蹴り》
リュウ HP:88 → 78
序盤は春麗の狙い通りです。
以前の敗北回と違い、春麗はリュウの反応確認に意識を持っていかれていません。
黒をちゃんと武器として使えています。
フェーズ2:リュウの適応
春麗 HP:78 / 100
リュウ HP:61 / 100
戦況:互角寄り。リュウが押し返す
リュウは黒を見ながらも、春麗の手首・重心・発勁の起点を見始めます。
ここでリュウのパッシブが発動します。
リュウ パッシブ:《見惚れても止まらない》
効果:黒ドレスによる行動停止を無効化
リュウ パッシブ:《黒でも重心はある》
効果:春麗の黒ドレス戦術を一部解析
リュウの反撃。
リュウ攻撃:《肩への拳》
春麗 HP:96 → 86
リュウ攻撃:《脇軸崩し》
春麗 HP:86 → 78
状態:軸揺れ
リュウはかなり強いです。
黒に惑わされても、完全には崩れない。
春麗の黒は効いていますが、リュウも確実に適応しています。
フェーズ3:心理問答フェーズ
春麗 HP:72 / 100
リュウ HP:48 / 100
戦況:春麗やや優勢。ただし心理戦が濃くなる
春麗が問いかけます。
今、私を何として見ているの?
リュウは答えます。
黒い春麗。
戦う春麗。
俺を止めようとする春麗。
この回答は春麗に効きますが、今回は止まりません。
リュウ特殊行動:《黒い春麗/戦う春麗》
効果:春麗に心理揺れ
春麗パッシブ:《見られても止まらない》
効果:心理揺れによる行動停止を軽減
このフェーズの重要点は、春麗が成長していることです。
以前なら、リュウの言葉で手が止まっていました。
今回は揺れながらも動けています。
だから春麗は「本当に勝負として黒を運用できている」状態です。
フェーズ4:終盤、両者瀕死
春麗 HP:28 / 100
リュウ HP:21 / 100
戦況:両者瀕死。最後の一撃勝負
ここで春麗は発勁を選びます。
発勁は高威力ですが、近距離でしか打てません。
リュウの拳も届く距離です。
つまり、春麗にとっても危険な選択です。
春麗スキル:《発勁準備》
効果:次の近距離掌撃に内部ダメージ付与
リスク:被弾時、自分の軸も崩れる
春麗の最後の問い。
黒の私は、春麗?
青の私は?
面倒な私は?
リュウの回答。
春麗だ。
ここで春麗は止まりません。
これが今回の勝因です。
春麗パッシブ:《面倒でも止まらない》
効果:リュウの肯定回答による停止を無効化
最終ターン:発勁決着
春麗 HP:28 / 100
リュウ HP:21 / 100
同時行動。
リュウの拳が春麗の肩へ届きます。
リュウ攻撃:《不屈の踏み込み拳》
春麗 HP:28 → 8
状態:軸崩れ
春麗も発勁を入れます。
春麗奥義:《黒発勁》
リュウ HP:21 → 0
追加効果:一時気絶
結果。
春麗 HP:8 / 100
リュウ HP:0 / 100
勝者:春麗
決まり手:黒発勁
ただし、リュウの拳で春麗も軸を崩しています。
このため、リュウが気絶して前へ倒れた時、春麗は支えきれません。
戦闘後イベント:勝者春麗への心理大ダメージ
戦闘終了後イベント発生:
《倒れ込み事故》
条件:
・リュウ HP 0
・一時気絶
・春麗 HP 8以下
・春麗に軸崩れ状態あり
イベント結果。
リュウが春麗の胸元へ倒れ込む
春麗、支えきれず押し倒される形になる
リュウ、一時気絶
春麗、行動不能
ここで春麗の戦闘HPは残っていますが、心理HPが大きく削られます。
春麗 心理HP:100 → 18
状態異常:
・大動揺
・勝者混乱
・救護と言い訳
・会議提出禁止宣言
このイベントが今回の本番です。
戦闘では春麗が勝った。
しかし、勝利後の事故で心理的には大きく被弾しました。
最終結果
戦闘結果:
春麗 HP:8 / 100
リュウ HP:0 / 100
勝者:春麗
決まり手:
黒発勁
戦闘後心理結果:
春麗 心理HP:18 / 100
リュウ:一時気絶のため心理ダメージなし
総合評価:
春麗、戦闘勝利
リュウ、無自覚倒れ込みにより戦闘後心理戦で大ダメージを与える
今回の勝因
春麗の勝因は三つです。
まず、黒を武器として使い切ったこと。
今回はリュウの反応確認に呑まれず、黒を戦闘用に使えています。
次に、リュウの言葉で止まらなかったこと。
黒の私は春麗?
面倒な私は春麗?
と聞いたうえで、答えを受けても手を止めなかった。
最後に、発勁という格闘家としての決定打を使ったこと。
黒ドレスの勝利ではありますが、最終的には春麗の格闘技で勝っています。
だから今回の勝利は、かなり正統です。
今回の被弾理由
春麗が心理的に被弾した理由は、リュウが無防備だったからです。
リュウが意図的に近づいたなら、春麗は怒れます。
でも今回は気絶。
事故。
だから怒れない。
さらに、自分が発勁で落とした結果なので、春麗側にも責任があります。
だから、
救護
安全確認
事故処理
という名目で受け止めるしかない。
その状態が、春麗にとってかなり厳しい。
勝者なのに逃げ場がない。
これが今回のラブコメ的な強さです。
春麗会議への影響
春麗は最後に、
会議には提出しないわ。絶対に。
と言っています。
これは完全に提出フラグです。
春麗会議において、この件はかなり大きな議題になります。
想定議題はこうです。
議題:
本編春麗、黒発勁でリュウに勝利。
しかし戦闘後、リュウが胸元に倒れ込み一時気絶。
春麗、勝利後に心理大被弾。
評価項目:
・戦闘勝利点
・発勁決着点
・倒れ込み事故耐性
・救護と言い訳の妥当性
・会議提出禁止宣言の信頼性
たぶん、黒ドレス特化版春麗はかなり興味を持ちます。
本編春麗は絶対に嫌がります。
自覚前春麗は真っ赤になって「私は関係ない」と言います。
通常救済版は静かに「でも無事でよかったわ」と言います。
行き遅れ恐怖版は「事故でも羨ましい」と言いかけて止まります。
グランドフィナーレ済み春麗は「勝った後に止まるのも、続いている証拠ね」と言いそうです。
結論
今回の断章IFは、黒ドレス春麗が発勁でギリギリ勝利しながら、勝利直後の倒れ込み事故で心理的に大被弾する回です。
RPG的には、
春麗はHP8で勝利。
リュウはHP0で一時気絶。
しかし戦闘後イベント《倒れ込み事故》により、春麗の心理HPが18まで削られる。
です。
一言でまとめるなら、
春麗は黒で勝った。
発勁で勝った。
でも、勝った後にリュウが倒れ込んできて、一番止まった。
この「戦闘勝利」と「心理敗北に近い大被弾」のズレが、今回の断章IFの魅力だと思います。