また戦ってくれなんて言わないで ――春麗は今日もめんどくさい―― 作:エーアイ
裏ルート・拗れ春麗救済ルートの黒ドレス特化春麗のエピソードです。
黒ドレス特化救済EDの後、春麗はしばらく穏やかだった。
黒を脱いでも、黒は消えない。
リュウはそれを忘れない。
黒いドレスの春麗も。
女として見せる春麗も。
格闘家として沈める春麗も。
黒を脱いだ後の春麗も。
リュウは覚えている。
そこまでは、もう確認済みだった。
だからこそ、春麗はある日、妙な違和感を覚えた。
鏡の前で黒いドレスを見ていた時だった。
「……おかしいわね」
黒いドレスは椅子にかけられている。
救済後の黒。
もう逃げ道ではない。
リュウを惑わせるだけの衣装でもない。
春麗が自分で選び、自分で脱げる黒。
そのはずなのに、胸の奥にひとつだけ空白がある。
本編春麗が経験した、黒ドレス発勁でのギリギリ勝利。
発勁が入る。
リュウが落ちる。
倒れ込む。
春麗が支えようとして、支えきれず、押し倒されるような形になる。
さらに、自覚前春麗までもが同じ状況を再現してしまった。
本編春麗は事故だった。
自覚前春麗は記憶に引っ張られた再現だった。
では、黒ドレス特化救済EDの自分は?
黒ドレスの決定版であるはずの自分が、その構図を体験していない。
「……それは、少しおかしいわ」
春麗は静かに呟いた。
おかしい。
黒ドレス特化版として、黒を最も深く扱う春麗として。
その状況を、事故としてではなく、自分の意思で扱えないのはおかしい。
本編春麗は、勝利後に動揺した。
自覚前春麗は、否認しながら同じ事故へ流れた。
なら、自分は。
黒ドレス特化救済EDの春麗は、その構図を選べるはずだ。
事故ではなく。
否認でもなく。
黒の最終確認として。
「……リュウ」
鏡の中の春麗は、少しだけ笑った。
「今日は、あなたを落とすわ」
黒いドレスに袖を通す。
甘くて重い黒。
でも、逃げない黒。
責任を取らせるだけではなく、自分でも責任を持って選ぶ黒。
「倒れてきてもいいわ」
春麗は黒い裾を整える。
「ただし」
一拍。
「私が、そうさせる」
リュウは修行場にいた。
春麗が黒で現れると、リュウはいつものように顔を上げた。
視線が止まる。
黒を見る。
春麗を見る。
そして、目を見る。
春麗はその視線を受け止めた。
もう、そこで揺れるだけの自分ではない。
揺れる。
もちろん揺れる。
リュウに見られることは、今でも効く。
だが、その揺れすら黒の中に戻せる。
「リュウ」
「春麗」
「今日は、確認したいことがあるわ」
リュウは少しだけ構えを緩めた。
「確認」
「ええ」
春麗は一歩近づく。
黒いドレスの裾が揺れる。
「本編の私と、自覚前の私が経験したことを、私だけが経験していない」
リュウは当然、何のことかわからない顔をした。
「何の話だ」
「深く考えなくていいわ」
「そうか」
「ただ、今日は発勁を使う」
「ああ」
「かなり近い間合いで」
「ああ」
「あなたはたぶん落ちる」
リュウは静かに聞いている。
「落ちたら、倒れる」
「ああ」
「私は支える」
春麗はそこで、少しだけ目を細めた。
「支えきれるかどうかは、別問題だけれど」
リュウは少し考えた。
「危なくないか」
「危なくないようにやるわ」
「ならいい」
春麗は少しだけ笑った。
「本当に、あなたはそういうところよ」
「何がだ」
「私が危なくないようにやると言えば、信じるところ」
リュウは答えた。
「春麗だからな」
春麗の胸が、静かに鳴った。
やはり効く。
だが今日は止まらない。
「……八十点」
「何がだ」
「何でもないわ」
春麗は構えた。
「来なさい」
リュウも構える。
「わかった」
黒と白が、夜の修行場で向かい合った。
戦いは、静かに始まった。
春麗は最初から黒を強くは使わなかった。
誘いすぎない。
惑わせすぎない。
ただ、リュウの視界に黒を置く。
リュウは見る。
止まらない。
だが、ほんの少し呼吸が変わる。
春麗はその一拍に掌底を入れる。
リュウは受ける。
重い。
だが崩れない。
「見たわね」
「ああ」
「止まらない」
「ああ」
「なら、次」
春麗は一歩踏み込む。
黒い裾が遅れて揺れる。
リュウの視線が追う。
その一瞬に蹴り。
リュウが腕で受ける。
春麗はすぐに引く。
今日は急がない。
倒すための戦いではある。
だが、ただ勝つためではない。
決定版として回収するための戦い。
発勁で落とす。
倒れ込ませる。
支える。
その状況を、自分の意思で扱う。
春麗は、ゆっくり呼吸を整えた。
「リュウ」
「何だ」
「あなたは、黒い私を忘れていないわね」
「ああ」
「女としての私も」
「ああ」
「格闘家としての私も」
「ああ」
「黒を脱いだ私も」
「ああ」
春麗は、少しだけ声を低くした。
「では今日は、黒で勝つ私も覚えておきなさい」
リュウは静かに頷く。
「ああ」
「それと」
春麗は踏み込む。
「黒で、あなたを受け止める私も」
リュウの拳が返る。
春麗は受ける。
肩に痛み。
だが、軸は崩さない。
まだ。
まだ早い。
中盤、リュウが押し返してきた。
黒に惑わされながらも、止まらない。
拳が近い。
春麗の肩に一撃。
脇に一撃。
黒いドレスの揺れを見ながら、それでも重心を読む。
リュウは、以前より強い。
いや、正確には、春麗を以前より深く見ている。
黒だけではない。
黒の中の発勁。
発勁のための沈み。
沈みの前の呼吸。
そこまで見る。
春麗は少しだけ嬉しくなった。
そして、少し腹が立った。
「リュウ」
「何だ」
「今の私は、何?」
リュウは拳を受けながら答えた。
「黒い春麗」
「それだけ?」
「違う」
リュウは踏み込む。
「何かを決めている春麗」
春麗の動きが、一瞬だけ止まりかけた。
本当に。
妙なところだけ鋭い。
「……そう」
春麗は笑った。
「ええ。今日は決めているわ」
掌底。
リュウが受ける。
春麗は近い距離で言う。
「あなたを落とす」
「ああ」
「それから」
一拍。
「受け止める」
リュウの目がわずかに変わった。
「俺を?」
「ええ」
「なぜ」
「私がそうしたいから」
言った。
言ってしまった。
だが、黒ドレス特化救済EDの春麗は、その言葉から逃げなかった。
本編春麗なら訓練と言う。
自覚前春麗なら事故防止と言う。
自分は違う。
「私が、黒で勝って、あなたを受け止める」
リュウは静かに見る。
「そうか」
「そうよ」
「なら、行く」
春麗の胸が熱くなる。
リュウが踏み込む。
春麗も踏み込む。
終盤。
二人の呼吸は荒い。
リュウはかなり削れている。
春麗も無傷ではない。
しかし、春麗の黒は乱れていない。
今日は違う。
動揺していないのではない。
動揺ごと、黒の中に置いている。
リュウが倒れ込むことを想像している。
それを避けようとしていない。
それを期待していることも否定しない。
ただし、欲しがっているだけではない。
自分が勝つ。
自分が発勁を通す。
自分が受け止める。
その順番だけは譲らない。
「リュウ」
「何だ」
「最後よ」
「ああ」
「本気で来なさい」
「行く」
その言葉で、春麗の掌が開いた。
発勁。
近い。
リュウの拳も届く。
リュウは踏み込む。
春麗も踏み込む。
リュウの拳が春麗の肩を押す。
重い。
軸が揺れる。
しかし、春麗はその揺れを利用した。
後ろへ逃げない。
一歩、沈む。
掌をリュウの胸へ添える。
外から叩くのではなく、内へ通す。
「はっ!」
発勁が入った。
リュウの身体が止まる。
呼吸が抜ける。
目がわずかに揺れる。
意識が落ちる。
春麗は理解した。
勝った。
ここまでは同じ。
本編春麗とも。
自覚前春麗とも。
だが、次が違う。
リュウの身体が前へ倒れる。
春麗は避けない。
待っていた。
倒れてくるリュウを、正面から受け止める。
両腕を回す。
胸元にリュウの重さが来る。
重い。
想像より、やはり重い。
だが、春麗は足を引かなかった。
黒いドレスの裾が床を擦る。
肩が軋む。
発勁直後の反動で、膝が揺れる。
それでも、支える。
「……っ」
一瞬、耐えた。
だが、完全には耐えきれない。
リュウの体重と自分の反動が重なる。
春麗は後ろへ倒れる。
ただし、無防備ではない。
片腕でリュウの肩を支え、もう片方の手で床を受ける。
倒れる角度を殺す。
黒いドレスが床に広がる。
リュウは春麗の胸元に倒れ込む。
春麗も背を床につける。
押し倒された形。
けれど、今回は事故ではない。
春麗が、そうなるとわかって選んだ。
リュウの呼吸が近い。
意識は落ちている。
春麗は、しばらくそのまま天井を見た。
胸は高鳴っている。
顔も熱い。
けれど、取り乱してはいなかった。
「……回収完了」
小さく呟く。
「黒ドレス決定版として、これで不足なしね」
何を言っているのか、と自分でも思う。
だが、本当にそう思った。
本編春麗は事故で止まった。
自覚前春麗は否認しながら再現した。
自分は、選んだ。
黒で勝ち。
発勁で落とし。
倒れてくるリュウを受け止め。
支えきれずに倒れながらも、状況を自分の黒の中に収めた。
春麗はリュウの肩に手を置く。
乱暴には動かさない。
呼吸を確認する。
問題ない。
意識はすぐ戻る。
「……リュウ」
返事はない。
「あなた、また私に宿題を増やしたわね」
もちろん、リュウにそのつもりはない。
だからこそ困る。
春麗は少しだけ笑った。
「でも、今日の宿題は私が出したものね」
リュウの呼吸が深くなる。
意識が戻りかけている。
春麗は静かに言った。
「起きるなら、慎重に」
リュウの目がゆっくり開いた。
焦点が合うまで、少し時間がかかる。
「……春麗」
「ええ」
「俺は」
「負けたわ」
「ああ」
「発勁で落ちた」
「ああ」
「そして、倒れた」
リュウはようやく状況に気づく。
春麗の上に倒れている。
黒いドレス。
近い距離。
リュウの身体が固まった。
春麗は、逃げなかった。
「今回は事故ではないわ」
リュウは春麗を見る。
「違うのか」
「ええ」
春麗はリュウの肩に置いた手に、少しだけ力を込めた。
「私がそうなるようにした」
リュウは黙った。
「あなたを落として、倒れてくるあなたを受け止める」
一拍。
「それを、私が選んだ」
リュウは静かに聞いている。
「なぜ」
春麗は少しだけ笑った。
「黒ドレスの決定版だから」
リュウは理解したような、していないような顔をした。
「そうか」
「そうよ」
「重くなかったか」
春麗は目を細めた。
その問いは、少しおかしい。
リュウの身体が重かったか、という意味だろう。
でも、春麗には別の意味にも聞こえた。
黒の重さ。
責任の重さ。
この状況を自分で選んだ重さ。
春麗は答えた。
「重かったわ」
リュウは身を起こそうとする。
春麗は止めた。
「まだ急がない」
「だが」
「呼吸を整えなさい。発勁を受けた直後よ」
「ああ」
「それに」
春麗は少しだけ声を落とす。
「今日は、私が受け止めると決めたの」
リュウは動きを止めた。
春麗は自分の顔が熱くなっているのを感じた。
だが、言い直さない。
黒ドレス特化救済EDの春麗は、言った言葉を黒の中に戻せる。
「……春麗」
「何?」
「強かった」
「当然よ」
「黒も」
「ええ」
「発勁も」
「ええ」
「受け止めるところも」
春麗は、少しだけ目を伏せた。
その言葉は、やはり効く。
本編春麗なら八十何点をつけるだろう。
自覚前春麗なら否認するだろう。
自分は。
黒ドレス特化救済EDの春麗は、静かに言った。
「九十点」
リュウは首を傾げる。
「何がだ」
「あなたの途中経過」
「途中経過」
「復唱しない」
「すまない」
「謝らない」
春麗は少しだけ笑った。
春麗会議の残響は、もう自分の中にある。
悪くない。
リュウはようやく慎重に身を起こした。
春麗も上体を起こす。
黒いドレスの裾を整えながら、春麗は言った。
「今日は私の勝ち」
「ああ」
「そして、私の確認も終わった」
「ああ」
「黒ドレス決定版として、不足はなくなったわ」
リュウは少し考える。
「よかったのか」
春麗はリュウを見る。
「ええ」
一拍。
「よかったわ」
その答えは、自分でも少し意外なほど素直だった。
リュウは頷いた。
「そうか」
春麗は立ち上がる。
足元は少し揺れるが、倒れない。
今度は支えきれなかったわけではない。
倒れることまで、自分で選んだ。
だから、乱れていない。
少し熱いだけ。
かなり熱いだけ。
「リュウ」
「何だ」
「次までの宿題よ」
リュウは真面目な顔になる。
「宿題」
「ええ」
春麗は黒いドレスの裾を払った。
「今日、私に受け止められたことを、あなたの言葉で一つ考えてきなさい」
リュウは黙った。
少し考えて、頷いた。
「わかった」
春麗は満足した。
「それでいいわ」
「難しいな」
「当然でしょう」
春麗は少しだけ笑う。
「私は、甘くて重くて、黒いの」
リュウは静かに答えた。
「知っている」
春麗の胸が、また鳴った。
今日は、そこで止まらない。
「なら、忘れないで」
「忘れない」
「次も来なさい」
「行く」
春麗は目を細めた。
「よろしい」
背を向ける。
黒いドレスの裾が夜に揺れる。
春麗は歩き出しながら思う。
春麗会議には、きっと提出される。
本編春麗は驚く。
自覚前春麗は顔を赤くして否認する。
通常救済版は微笑む。
行き遅れ恐怖版は羨ましがる。
グランドフィナーレ済み春麗は静かに頷く。
そして黒ドレス特化版の自分は、こう言うのだ。
事故ではないわ。
私が選んだの。
春麗は、夜道で小さく笑った。
「決定版、更新ね」
その声は、甘くて。
重くて。
そして、黒かった。
Q:今回の妄想章IF後日談とバトル内容について解説して?
A:
はい。執筆者として見ると、今回の妄想章IFは、黒ドレス特化救済ED春麗が「事故として発生した構図」を、自分の意思で“黒ドレス決定版”の完成条件として回収する話です。
一言で言うなら、
本編春麗は事故で押し倒された。
自覚前春麗は記憶に引っ張られて再現した。
黒ドレス特化救済ED春麗は、それを事故ではなく“自分が選ぶ黒”として再現した。
この違いが非常に大きいです。
今回の核は「事故の主導権化」
これまでの発勁押し倒されシチュエーションは、基本的に事故でした。
本編春麗は、発勁で勝った直後にリュウが気絶して倒れ込み、自分も軸が崩れていたため支えきれなかった。
自覚前春麗は、その記憶を意識しすぎた結果、同じ状況を半ば引き寄せてしまった。
でも今回の黒ドレス特化救済ED春麗は違います。
彼女は最初から、
私が黒で勝って、リュウを落として、倒れてくるリュウを受け止める。
と決めています。
つまり、同じ構図でも意味が違う。
本編春麗にとっては「勝利後事故」。
自覚前春麗にとっては「否認しながらの再現」。
黒ドレス特化救済ED春麗にとっては「決定版としての回収」。
ここが今回の一番重要なポイントです。
黒ドレス特化救済ED春麗の完成度が出ている
この春麗は、すでに救済後です。
黒い自分をリュウに見られている。
女としての自分も、格闘家としての自分も見られている。
黒を脱いだ自分も忘れられていない。
甘くて重いことも、自分で受け入れている。
だから、事故的な甘さにも逃げません。
本編春麗なら、
これは救護確認よ。
事故よ。
会議には提出しないわ。
と言います。
自覚前春麗なら、
私は期待していない。
私は面倒じゃない。
これは事故防止。
と言います。
でも黒ドレス特化救済ED春麗は、
私がそうなるようにした。
私が選んだ。
と言える。
この開き直りではなく、選択できる強さがこの春麗の完成度です。
「決定版に足りない一手」という発想
今回の春麗が面白いのは、嫉妬や羨望だけで動いていないところです。
本編春麗と自覚前春麗が経験した発勁押し倒され構図を見て、
黒ドレスの決定版である自分が未体験なのはおかしい。
と考えます。
これは非常に黒ドレス特化版らしいです。
普通なら「羨ましい」で終わる。
本編春麗なら会議資料にする。
自覚前春麗なら否定する。
でも黒ドレス特化救済ED春麗は、
その構図も黒の完成に必要なら、自分で回収する。
と判断する。
これは、黒を「受動的に起きるもの」ではなく、「自分で選び取るフォーム」として扱っている証拠です。
リュウに対してかなり正直
今回、春麗はリュウに対してかなり正直です。
私がそうしたいから。
私が黒で勝って、あなたを受け止める。
今回は事故ではないわ。
私がそうなるようにした。
これは、本編春麗や自覚前春麗にはまだ難しい言葉です。
特に、
私がそうしたいから。
が強いです。
この一言で、今回の春麗は完全に主導権を握っています。
リュウに倒れ込まれる状況を、偶然ではなく、自分の選択にしています。
だから、押し倒される形になっても、彼女は壊れない。
動揺はするけれど、取り乱さない。
RPG的バトル解説
初期ステータス
黒ドレス特化救済ED 春麗
HP:100 / 100
心理HP:100 / 100
状態:
・黒ドレス決定版
・救済後安定
・甘さ耐性:高
・重さ受容:高
・主導権保持
バフ:
・黒ドレス制御:極高
・視線誘導:高
・発勁精度:高
・リュウ記憶確認済み
・事故再現耐性
・「私が選ぶ」補正
デバフ:
・本編春麗/自覚前春麗への対抗意識
・黒ドレス決定版としての回収欲
・リュウを受け止めたい欲
リュウ
HP:100 / 100
心理HP:100 / 100
状態:
・通常構え
・黒ドレス春麗への耐性あり
バフ:
・見惚れても止まらない
・不屈
・黒春麗記憶保持
・春麗への信頼
デバフ:
・黒ドレス視線誘導
・発勁被弾リスク
・甘い意味への変換遅延
この時点では、春麗がかなり有利です。
理由は、黒ドレス特化救済ED春麗が「黒を自分のものとして扱えている」からです。
本編春麗や自覚前春麗のように、倒れ込み事故に対して心理的な準備不足があるわけではありません。
フェーズ1:黒の静かな展開
春麗 HP:96 / 100
リュウ HP:82 / 100
戦況:春麗優勢
春麗は最初から黒を全開にしません。
黒を視界の端に置く。
リュウに見せる。
でも、見せすぎない。
これは非常に高い黒制御です。
春麗スキル:《静かな黒》
効果:
・リュウの視線を誘導
・反応速度を微低下
・春麗自身の心理ブレなし
春麗攻撃:《黒掌底》
リュウ HP:100 → 90
春麗攻撃:《黒裾フェイント蹴り》
リュウ HP:90 → 82
序盤は春麗の設計通りです。
リュウは見ています。
しかし止まりません。
それでも春麗は、その「止まらないリュウ」を前提に戦っています。
この余裕が、救済ED後の強さです。
フェーズ2:黒の記憶確認
春麗 HP:88 / 100
リュウ HP:70 / 100
戦況:春麗優勢継続
春麗は戦闘中に確認します。
黒い私を忘れていないわね。
女としての私も。
格闘家としての私も。
黒を脱いだ私も。
リュウは全部に、
ああ。
と答えます。
これは春麗にとって精神バフです。
リュウ行動:《忘れていない》
効果:
・春麗 心理HP:100 → 96
・小ダメージではあるが、同時に黒安定バフ発動
春麗バフ:《記憶確認済み》
効果:
・黒ドレス制御+
・発勁命中率+
・心理揺れ耐性+
少し刺さりますが、崩れません。
むしろ、リュウが覚えていることを確認したことで、春麗の黒は安定します。
フェーズ3:リュウの反撃と「何かを決めている春麗」
春麗 HP:70 / 100
リュウ HP:54 / 100
戦況:春麗優勢だが、リュウが押し返す
リュウも強いです。
黒に惑わされながらも、春麗の発勁の沈み、呼吸、重心を見ています。
リュウパッシブ:《見惚れても止まらない》
効果:
・黒ドレスによる停止無効
リュウ攻撃:《肩打ち》
春麗 HP:88 → 78
リュウ攻撃:《脇軸崩し》
春麗 HP:78 → 70
そしてリュウが言います。
何かを決めている春麗。
これはかなり強い観測です。
春麗が今日、単なる勝負ではなく、何かを選んでいることを見抜いている。
リュウ特殊行動:《何かを決めている春麗》
効果:
・春麗 心理HP:96 → 84
・動揺発生
・ただし、救済ED安定により行動停止なし
本編春麗ならここでかなり止まる可能性があります。
でも黒ドレス特化救済ED春麗は、
ええ。今日は決めているわ。
と返せる。
これが差です。
フェーズ4:「私がそうしたいから」
春麗 HP:70 / 100
リュウ HP:46 / 100
戦況:心理的主導権、春麗側
春麗は言います。
あなたを落とす。
それから、受け止める。
リュウが問います。
なぜ。
春麗は答えます。
私がそうしたいから。
ここが今回の中心です。
春麗スキル:《私がそうしたいから》
効果:
・主導権確定
・事故再現フラグを事故ではなく選択フラグへ変換
・心理HP回復
春麗 心理HP:84 → 94
この一言によって、倒れ込みイベントの意味が変化します。
本編春麗:事故。
自覚前春麗:再現。
黒ドレス特化救済ED春麗:選択。
この差分が、RPG的にはイベント属性の変化です。
イベント属性変更:
《倒れ込み事故》→《選択された受け止め》
フェーズ5:最終発勁
春麗 HP:32 / 100
リュウ HP:20 / 100
戦況:最終局面
リュウが最後に踏み込みます。
春麗も逃げません。
発勁を選びます。
春麗スキル:《黒発勁・決定版》
効果:
・内部ダメージ大
・リュウに一時気絶付与
・倒れ込みイベント誘発
同時にリュウの拳も入ります。
リュウ攻撃:《不屈の肩打ち》
春麗 HP:32 → 14
状態:軽度軸崩れ
春麗の発勁。
春麗奥義:《黒発勁・決定版》
リュウ HP:20 → 0
追加効果:
・一時気絶
・前方倒れ込み
戦闘結果。
春麗 HP:14 / 100
リュウ HP:0 / 100
勝者:春麗
決まり手:黒発勁・決定版
ここまでは、本編春麗や自覚前春麗と似ています。
しかし、次の処理が違います。
フェーズ6:選択された倒れ込み
戦闘後イベント:
《選択された受け止め》
リュウが前へ倒れます。
春麗は避けません。
待っていた。
支える。
受け止める。
それでも重さと反動で倒れる。
イベント処理:
・リュウが春麗の胸元へ倒れ込む
・春麗が両腕で受け止める
・完全には耐えきれず倒れる
・ただし、倒れる角度を制御
・リュウへの二次ダメージなし
ここが本編春麗との違いです。
本編春麗は、結果として押し倒されました。
自覚前春麗は、記憶に引っ張られて再現しました。
今回の春麗は、倒れる角度まで処理しています。
春麗 心理HP:94 → 62
状態:
・動揺
・顔熱
・黒維持
・主導権保持
心理ダメージはあります。
でも崩壊しません。
なぜなら、本人が選んだ状況だからです。
フェーズ7:リュウ覚醒後の会話
リュウが目を覚まします。
春麗は言います。
今回は事故ではないわ。
私がそうなるようにした。
あなたを落として、倒れてくるあなたを受け止める。
それを、私が選んだ。
これは非常に大きい。
春麗スキル:《事故ではない宣言》
効果:
・心理HP回復
・イベント支配権確定
・黒ドレス決定版フラグ成立
春麗 心理HP:62 → 82
リュウが言います。
重くなかったか。
ここで春麗は、肉体的な重さだけでなく、黒の重さ、責任の重さ、自分で選んだ重さも受け取ります。
リュウ特殊行動:《重くなかったか》
効果:
・春麗 心理HP:82 → 74
・甘さ反応発生
春麗は答えます。
重かったわ。
逃げません。
ここも強いです。
フェーズ8:リュウの「受け止めるところも」
リュウは最後に言います。
強かった。
黒も。
発勁も。
受け止めるところも。
これは今回のリュウの高得点回答です。
リュウ特殊行動:《受け止めるところも》
効果:
・春麗 心理HP:74 → 58
・高得点採点衝動発生
春麗は逃げません。
九十点。
と採点します。
本編春麗なら動揺しながら八十点台。
自覚前春麗なら否認しながら七十八点。
黒ドレス特化救済ED春麗は、堂々と九十点。
これが完成度の差です。
最終ステータス
戦闘結果:
春麗 HP:14 / 100
リュウ HP:0 / 100
勝者:
春麗
決まり手:
黒発勁・決定版
心理結果:
春麗 心理HP:58 / 100
状態:
・黒ドレス決定版更新
・倒れ込み構図回収済み
・主導権保持
・次回宿題発生
心理HPは削られています。
でもこれは敗北ではありません。
甘くて重い状況を選んだ結果、当然発生する反応です。
本編春麗のような大混乱ではなく、黒ドレス特化救済ED春麗は最後まで主導権を維持しています。
今回のバトル評価
春麗 戦闘評価:
黒ドレス制御:95点
発勁精度:93点
リュウ誘導:90点
倒れ込み制御:88点
心理耐性:82点
主導権保持:96点
総合評価:
黒ドレス決定版として極めて高評価
本編春麗・自覚前春麗と比較するとこうです。
本編春麗:
戦闘勝利 ◎
事故耐性 △
心理被弾 大
主導権 途中で喪失
自覚前春麗:
戦闘勝利 ◎
事故再現 △
否認強め
本編春麗化が進行
黒ドレス特化救済ED春麗:
戦闘勝利 ◎
倒れ込みを意図的に選択
心理被弾はあるが制御内
主導権を最後まで保持
今回の物語上の意味
今回の話は、黒ドレス特化救済ED春麗が「黒ドレスの決定版」を更新する話です。
これまで黒ドレス特化救済ED春麗は、
黒い自分を見られた。
女としても格闘家としても見られた。
黒を脱いだ自分も忘れられていない。
責任をリュウに要求できる。
ところまで来ていました。
今回そこに、
発勁でリュウを落とし、倒れてくるリュウを自分で受け止める。
が追加されました。
つまり、黒ドレス春麗の中に、
倒す黒
見せる黒
脱ぐ黒
責任を問う黒
受け止める黒
が揃ったわけです。
この「受け止める黒」が新しい要素です。
結論
今回の妄想章IFは、黒ドレス特化救済ED春麗が、本編春麗と自覚前春麗が事故的に経験した発勁倒れ込み構図を、自分の意思で回収し、黒ドレス決定版を更新する話です。
RPG的には、
春麗はHP14で勝利。
リュウはHP0で一時気絶。
しかし戦闘後イベント《選択された受け止め》により、春麗は心理HP58まで削られつつも主導権を保持。
最終的に《黒ドレス決定版更新》フラグが成立。
です。
一言でまとめるなら、
本編春麗は事故で止まった。
自覚前春麗は否認しながら再現した。
黒ドレス特化救済ED春麗は、同じ構図を自分で選んだ。
これが今回の最大の意味です。