また戦ってくれなんて言わないで ――春麗は今日もめんどくさい―― 作:エーアイ
裏ルートでグランドフィナーレを迎えた春麗の話になります。
グランドフィナーレを迎えた春麗は、静かな朝を知っていた。
黒に沈む必要もない。
青で前へ進むことを急ぐ必要もない。
リュウが来るかどうかを恐れる必要もない。
言葉を取り違えて、何度も拗れる必要もない。
終わったのだ。
救済は届いた。
言葉は間に合った。
リュウは見た。
春麗は受け取った。
物語としては、綺麗に閉じた。
だからこそ、春麗は時々、遠くを見る。
春麗会議の残響。
本編春麗が、まだ訓練と言い張っている。
自覚前春麗が、まだ面倒ではないと否定している。
黒ドレス特化救済ED春麗が、黒の決定版を更新している。
通常救済版春麗が、青いドレスでリュウと歩いている。
行き遅れ恐怖版春麗が、リュウが来るかどうかに胸を揺らしている。
どの春麗も、まだ続いていた。
勝ったり、負けたり。
発勁で落としたり。
押し倒されたり。
手をつないだり。
宿題を出したり。
会議資料にされたり。
忙しい。
面倒で、騒がしくて、少し馬鹿みたいで。
そして、まぶしい。
「……いいわね」
春麗は、小さく呟いた。
終わっていない春麗たちは、まだ次を作れる。
次の訓練。
次の確認。
次の宿題。
次の会議。
次の言葉。
グランドフィナーレを迎えた春麗には、決着の美しさがある。
けれど、決着した物語には、続きの騒がしさがない。
それを寂しいと言うのは、少し贅沢かもしれない。
でも、春麗はそう思ってしまった。
「私にも、続きがあっていいのかしら」
黒でもない。
青でもない。
救済後の、ただの春麗として。
リュウは、川沿いの道にいた。
春麗は、黒いドレスでも、青いドレスでもなかった。
いつもの武道服でもない。
白に近い、淡い色の服。
動きやすいが、戦うためだけではない。
飾っているわけでもない。
けれど、何も選んでいないわけではない。
黒ではない。
青でもない。
終わった後の春麗。
リュウは春麗を見ると、静かに言った。
「春麗」
「リュウ」
「今日は、戦うのか」
春麗は首を横に振った。
「今日は戦わないわ」
リュウは少しだけ考えた。
「歩くのか」
春麗は微笑んだ。
「それも違うわ」
「では、何をする」
春麗は少しだけ迷った。
黒の春麗なら、責任を問う。
青の春麗なら、歩きましょうと言う。
本編春麗なら、訓練と名目をつける。
自覚前春麗なら、否定しながら近づく。
でも、今の自分は違う。
グランドフィナーレを迎えた春麗。
終わった春麗。
だからこそ、言えることがある。
「座りましょう」
「座る」
「ええ」
春麗は川沿いの石段を指した。
「今日は、ただ隣に座るの」
リュウは頷いた。
「ああ」
それだけで、リュウは隣に来た。
近すぎず、遠すぎず。
いつもの距離。
春麗は少しだけ笑った。
「もう少し近くてもいいわ」
リュウは春麗を見る。
「いいのか」
「ええ」
「戦わないからか」
「違うわ」
春麗は、ゆっくり言った。
「終わったからよ」
リュウは黙った。
春麗もそれ以上は説明しなかった。
二人は石段に座った。
川の音がする。
風が吹く。
黒のような重さもない。
青のような進む力もない。
ただ、横にいる。
春麗は、静かに息を吐いた。
「リュウ」
「何だ」
「私、少し羨ましいの」
「何がだ」
「他の私たちが」
リュウはわからない顔をした。
当然だ。
春麗会議のことを、リュウは知らない。
別ルートの春麗たちも知らない。
それでも、春麗は話した。
「黒でまだ戦っている私がいる。青で歩いている私がいる。自分が面倒だと知って、それでもあなたに向かっていく私がいる。まだ認めない私もいる」
リュウは静かに聞いている。
「みんな、まだ続いているの」
春麗は川を見た。
「私は、終わったわ」
リュウは少しだけ眉を動かした。
「終わったのか」
「ええ。物語としては」
「そうか」
「綺麗に終わったと思う。救われたし、あなたも見てくれた。私は受け取れた」
「ああ」
「でもね」
春麗は、少しだけ笑った。
「続いている私たちが、少しだけまぶしいの」
リュウは黙っていた。
考えている。
春麗は、その沈黙を待った。
今日は急がない。
答えを採点するつもりもない。
会議資料にするつもりも――少しはあるかもしれない。
リュウは言った。
「終わっても、春麗はここにいる」
春麗の胸が、静かに鳴った。
「……そうね」
「なら、終わっていないのではないか」
春麗はリュウを見る。
リュウはいつもの顔だった。
真面目で、鈍くて、時々ひどく真っ直ぐな顔。
「どういう意味?」
「俺には、今の春麗がいる」
春麗は、少し息を止めた。
リュウは続けた。
「黒でも、青でもない春麗が、隣にいる」
春麗は動かなかった。
その言葉は、黒でも青でもない自分に届いた。
黒でもない。
青でもない。
終わった後の春麗。
それを、リュウは見ていた。
春麗は小さく笑った。
「……あなた、そういうことを何気なく言うのね」
「何か違ったか」
「違わないわ」
春麗は視線を落とす。
「違わないから、少し困るの」
リュウは黙った。
春麗は、そっと手を動かした。
リュウの手が近くにある。
青の春麗は、橋の上で手をつないだ。
黒の春麗は、倒れてくるリュウを受け止めた。
本編春麗なら、これは訓練だと言うだろう。
自覚前春麗なら、戦闘上必要ないと否定するだろう。
でも今の春麗は、どちらでもない。
だから、春麗はただ言った。
「手を貸して」
リュウは手を見る。
「手?」
「ええ」
「支えるのか」
「違うわ」
春麗は少しだけ笑った。
「今日は、支えない。倒れない。戦わない」
「なら」
「ただ、触れるだけ」
リュウは少し黙った。
それから、ゆっくり手を差し出した。
春麗はその手に、自分の指を重ねた。
握るほどではない。
手をつなぐというほど強くもない。
ただ、触れている。
指先だけ。
それだけなのに、春麗は胸の奥が温かくなるのを感じた。
黒ほど熱くない。
青ほどまぶしくない。
もっと静かで、柔らかい。
「……これも、続きかしら」
春麗が言うと、リュウは答えた。
「ああ」
「そう思う?」
「ああ」
「なぜ?」
リュウは、春麗の指先を見てから言った。
「今、しているからだ」
春麗は目を伏せた。
あまりにも単純な答え。
でも、今の春麗にはそれで十分だった。
終わった物語にも、今がある。
今があるなら、続いている。
春麗は、リュウの指先に少しだけ力を込めた。
「リュウ」
「何だ」
「私、黒でも青でもないわ」
「ああ」
「戦ってもいない」
「ああ」
「宿題も出していない」
「ああ」
「訓練でもない」
「ああ」
「会議資料でもない」
リュウは少しだけ首を傾げた。
「会議」
「深く考えないで」
「ああ」
春麗は小さく笑う。
「ただ、あなたの隣にいるだけ」
リュウは言った。
「それでいい」
春麗は、目を閉じた。
それでいい。
その言葉は、穏やかだった。
強くない。
重くない。
派手でもない。
でも、終わった後の春麗には、深く届いた。
「……九十点」
つい、呟いてしまった。
リュウがこちらを見る。
「点数か」
春麗は笑った。
「今のは、言わないつもりだったのに」
「高いのか」
「かなり高いわ」
「そうか」
リュウは、少しだけ安心したようだった。
春麗は、その顔を見て思った。
ああ。
終わっていない。
グランドフィナーレを迎えても、まだこんなふうに次がある。
戦わない次。
黒でも青でもない次。
ただ隣にいる次。
春麗は、指先を離さなかった。
「もう少し、このままでいて」
リュウは答えた。
「ああ」
「何もしなくていいわ」
「ああ」
「見ていなくてもいい」
リュウは少し考えた。
「見る」
春麗は息を止めかけた。
「……そう」
「春麗がいるからな」
春麗は額に手を当てたくなった。
本当に、この男は。
終わった後でも、こういうことを言う。
春麗は、困ったように笑った。
「九十二点」
「上がったのか」
「ええ」
「そうか」
「でも、今日は採点しない日だったのに」
「している」
「そうね」
春麗は、リュウの手に少しだけ寄りかかった。
肩ではない。
胸元でもない。
ただ、指先。
「……まあ、いいわ」
風が吹いた。
川の水面が揺れる。
黒でも青でもない春麗が、リュウの隣にいた。
終わった物語の後にある、静かな続きとして。
その夜、春麗会議は当然のように開催された。
グランドフィナーレ済み春麗が目を開くと、円卓の中央にはすでに資料が置かれていた。
臨時春麗会議・特別審議
議題:グランドフィナーレ済み春麗、黒でも青でもない姿でリュウと甘いことをする
本編春麗が、資料を見て眉を寄せた。
「黒でも青でもない案件?」
黒ドレス特化救済ED春麗が腕を組む。
「最近、青案件が来たと思ったら、今度は無色案件ね」
通常救済版春麗が微笑む。
「無色というより、素の春麗案件では?」
自覚前春麗は、すでに顔を赤くしている。
「甘いことって、何をしたの?」
行き遅れ恐怖版春麗は、資料を抱えている。
「続きがあるのね。グランドフィナーレ後でも」
グランドフィナーレ済み春麗は、少しだけ困ったように笑った。
「大げさにしなくていいわ。ただ、隣に座っただけよ」
本編春麗が資料を読む。
「手を貸して」
自覚前春麗が顔を覆った。
「もう甘い」
黒ドレス特化救済ED春麗が目を細める。
「ただ触れるだけ、か」
通常救済版春麗が静かに言う。
「青の手つなぎより、もっと静かね」
行き遅れ恐怖版が小さく言う。
「いいな……」
本編春麗は読み上げた。
「リュウ発言。“俺には、今の春麗がいる”。黒でも、青でもない春麗が、隣にいる」
円卓が静かになった。
黒ドレス特化救済ED春麗が、低く言う。
「強いわね」
通常救済版春麗が頷く。
「強いわ」
自覚前春麗は小声で言う。
「それは……かなり……」
本編春麗が見る。
「何?」
「何でもないわ。資料として」
本編春麗は笑った。
「便利でしょう、それ」
「便利じゃない!」
グランドフィナーレ済み春麗は、少しだけ目を伏せた。
「私には、かなり効いたわ」
本編春麗が頷く。
「でしょうね」
「あなた、意外と素直に認めるのね」
「これは認めるわ。終わった後のあなたに、“今の春麗がいる”はかなり高得点よ」
黒ドレス特化救済ED春麗が言う。
「採点しましょう」
自覚前春麗が抗議する。
「何でも採点するのね」
本編春麗が即答する。
「春麗会議だから」
「万能すぎる!」
通常救済版春麗が微笑んだ。
「私は九十五点」
黒ドレス特化救済ED春麗が言う。
「九十六点」
行き遅れ恐怖版が小さく言う。
「九十七点……終わっても今があるって、安心するから」
本編春麗が言う。
「私は九十六点」
自覚前春麗は迷った。
「……九十四点」
全員が見る。
自覚前春麗は慌てた。
「資料として!」
グランドフィナーレ済み春麗は、穏やかに笑った。
「では、会議総合九十六点ね」
本編春麗は次の資料を読む。
「次。リュウ発言。“それでいい”。ただ隣にいるだけ、に対して」
通常救済版春麗が目を細める。
「青案件にも近いけれど、もっと静か」
黒ドレス特化救済ED春麗が言う。
「黒では足りないわね。これは黒の重さではなく、終わった後の軽さ」
本編春麗が少し悔しそうに言う。
「訓練にもできないわ」
自覚前春麗が小声で言う。
「しなくていいでしょう」
本編春麗は自覚前春麗を見た。
「あなた、たまに正論を言うわね」
「たまにって何よ」
行き遅れ恐怖版春麗は、資料を見つめていた。
「“それでいい”って、かなりいいわね」
「ええ」
グランドフィナーレ済み春麗は頷いた。
「私は、もう何かしなければ続きにならないと思っていたのかもしれない。でも、ただ隣にいるだけでいいと言われた」
通常救済版春麗が静かに言う。
「それは救済後の続きね」
グランドフィナーレ済み春麗は微笑む。
「そう。終わった後の続き」
本編春麗は資料に書き込むような仕草をした。
「会議総合、九十四点」
黒ドレス特化救済ED春麗が頷く。
「妥当」
自覚前春麗が呟く。
「高得点ばかり……」
本編春麗は言う。
「今回は仕方ないわ。強いもの」
そして、最後の項目。
本編春麗が読み上げる。
「リュウ発言。“見る。春麗がいるからな”」
円卓が、また静かになった。
黒ドレス特化救済ED春麗が、少しだけ息を吐いた。
「これは、ずるいわね」
通常救済版春麗が頷く。
「黒でも青でも見る、の後に来る言葉ね」
行き遅れ恐怖版春麗が胸元を押さえる。
「いるから見る……」
自覚前春麗は、真っ赤になって黙っている。
本編春麗は、少しだけ唇を尖らせた。
「グランドフィナーレ済みのあなたに、そんな高得点を出すのはずるいわ」
グランドフィナーレ済み春麗は、静かに言った。
「私も、少しずるいと思ったわ」
黒ドレス特化救済ED春麗が笑った。
「認めるのね」
「ええ」
グランドフィナーレ済み春麗は、柔らかく笑う。
「終わった私にも、まだ被弾する余地があったのね」
その言葉に、本編春麗が少しだけ目を伏せた。
「それ、良いわね」
「そう?」
「ええ。終わっても、まだ被弾できる。続いている証拠じゃない」
グランドフィナーレ済み春麗は、少し驚いたように本編春麗を見た。
それから、ゆっくり微笑んだ。
「あなたが言うと、少し嬉しいわ」
本編春麗は顔を逸らす。
「別に」
自覚前春麗が小さく言う。
「照れている」
「照れていない」
「照れているわ」
本編春麗は睨んだ。
自覚前春麗は慌てて視線を逸らした。
黒ドレス特化救済ED春麗が言う。
「採点。私は九十八点」
通常救済版春麗が言う。
「九十七点」
行き遅れ恐怖版春麗が言う。
「九十八点」
本編春麗は少し考えた。
「九十七点」
自覚前春麗は小声で言った。
「……九十六点」
グランドフィナーレ済み春麗は、少しだけ困ったように笑った。
「高すぎない?」
本編春麗が即答した。
「高いわ。でも妥当」
通常救済版春麗がまとめる。
「会議総合、九十七点ね」
資料が淡く光った。
グランドフィナーレ済み春麗は、その光を見つめる。
春麗会議に、また新しい議題が加わった。
黒案件。
青案件。
そして、黒でも青でもない案件。
本編春麗が言った。
「結論をまとめましょう」
黒ドレス特化救済ED春麗が頷く。
「黒は、責任と重さ」
通常救済版春麗が言う。
「青は、選択と静けさ」
グランドフィナーレ済み春麗が言う。
「黒でも青でもない私は、終わった後の今」
行き遅れ恐怖版春麗が言う。
「続きがあるって、いいわね」
自覚前春麗が小さく言う。
「何もしなくても続きになるのは……少し、いいと思う」
全員が見る。
自覚前春麗は慌てる。
「資料として!」
本編春麗は笑った。
「はいはい」
グランドフィナーレ済み春麗は、最後に言った。
「私は終わったと思っていた。でも、終わった後にも、隣に座る時間があった」
一拍。
「それを、今日知ったわ」
会議室が薄れていく。
夢が終わろうとしている。
消える前に、本編春麗が言った。
「あなたの案件、かなり強かったわ」
黒ドレス特化救済ED春麗も頷く。
「黒でも青でもないのに、重かったわ」
通常救済版春麗が微笑む。
「でも、柔らかかった」
行き遅れ恐怖版春麗が言う。
「安心した」
自覚前春麗は、小声で言った。
「……少し羨ましい」
グランドフィナーレ済み春麗は、目を閉じた。
「ありがとう」
そして、夢はほどけた。
朝。
グランドフィナーレ済み春麗は目を覚ました。
胸の奥に、静かな温度が残っている。
黒ではない。
青でもない。
ただ、リュウの隣にいた時間。
終わった物語の後にできた、小さな続き。
春麗は窓の外を見た。
今日、リュウに会うかはわからない。
でも、もし会ったら。
戦わなくてもいい。
歩かなくてもいい。
宿題を出さなくてもいい。
倒れ込ませなくてもいい。
ただ隣に座ってもいい。
春麗は静かに微笑んだ。
「終わった後にも、春麗はいる」
それは、リュウがくれた答えだった。
そして今は、春麗自身の答えでもあった。
Q:今回の妄想章IF後日談について解説して?
A:
はい。執筆者として見ると、今回の妄想章IFはかなり美しい回です。
これは単なる「グランドフィナーレ後の春麗が甘いことをする話」ではなく、“終わった物語にも、まだ現在がある”ことを証明する回です。
一言で言うなら、
黒でも青でもない春麗が、戦闘でも救済でも確認でもなく、ただリュウの隣にいることで、“グランドフィナーレ後の続き”を発見する話
です。
今回の核は「終わった後にも春麗はいる」
グランドフィナーレ済み春麗は、他の春麗たちと違って、物語としては一度完結しています。
黒の救済も終わっている。
リュウの言葉も届いている。
春麗も受け取っている。
拗れも一度ほどけている。
だから、この春麗には「決着した春麗」としての静けさがあります。
でも、その静けさには少し寂しさもある。
本編春麗はまだ訓練できる。
自覚前春麗はまだ否認できる。
黒ドレス特化救済ED春麗はまだ黒を更新できる。
通常救済版春麗は青で歩ける。
行き遅れ恐怖版春麗はまだ不安があるからこそ次を欲しがれる。
一方、グランドフィナーレ済み春麗は「綺麗に終わってしまった」春麗です。
今回の話は、その春麗が、
終わった後にも、私はリュウの隣にいていいのか。
を確認する話でした。
そしてリュウの答えが、
終わっても、春麗はここにいる。
俺には、今の春麗がいる。
だった。
これは非常に強いです。
黒でも青でもない姿の意味
今回、春麗は黒でも青でもない姿でリュウに会いました。
ここが重要です。
黒は、重さ・責任・女としての春麗・格闘家としての春麗を背負う色です。
青は、選択・静けさ・戦わない親密さを背負う色です。
では、黒でも青でもない春麗とは何か。
それは、救済後に残った“ただの春麗”です。
戦うためでもない。
黒を見せるためでもない。
青として歩くためでもない。
何かを証明するためでもない。
ただ、終わった後にそこにいる春麗。
この「ただいる」という状態が、グランドフィナーレ済み春麗に非常に合っています。
「座る」という選択が良い
通常救済版の青案件では、春麗はリュウと歩きました。
歩くことには、まだ少し「次へ進む」感じがあります。
でも今回、グランドフィナーレ済み春麗は、
座りましょう。
と言います。
これはかなり象徴的です。
歩かない。
戦わない。
進まない。
責任も問わない。
宿題も出さない。
ただ隣に座る。
これは、グランドフィナーレ後の春麗にしかできない甘さです。
まだ物語が動いている春麗たちは、何かを起こそうとします。
でも、この春麗は一度終わっているからこそ、動かなくてもいい。
その静けさが、今回の最大の味です。
リュウの言葉が非常に高得点
今回のリュウは、相変わらず無自覚に強い言葉を出しています。
特に強いのは三つです。
まず、
俺には、今の春麗がいる。
これは、グランドフィナーレ済み春麗に特効です。
過去の物語が終わっても、今ここにいる春麗をリュウが見ている。
救済済みの春麗でも、今の春麗として存在していい。
これは、終わった春麗にとって非常に大きい。
次に、
それでいい。
これは、ただ隣にいるだけの春麗を肯定する言葉です。
戦わなくてもいい。
黒でも青でもなくてもいい。
宿題を出さなくてもいい。
会議資料にしなくてもいい。
ただ隣にいるだけでいい。
これは、グランドフィナーレ後の静けさに合っています。
最後に、
見る。春麗がいるからな。
これは非常に強いです。
黒だから見る。
青だから見る。
戦っているから見る。
拗れているから見る。
そうではない。
春麗がいるから見る。
ここまで来ると、もう黒青の分類を超えています。
だから会議総合九十七点は妥当です。
春麗会議での位置づけ
今回の春麗会議では、新しいカテゴリが追加されました。
これまでの分類はこうでした。
黒案件:責任、重さ、発勁、倒れ込み、受け止める
青案件:選択、静けさ、戦わない親密さ、手をつなぐ
そこに今回、
黒でも青でもない案件:終わった後の今、ただ隣にいること
が加わりました。
これはかなり大きいです。
春麗会議が、黒と青だけの議論ではなくなった。
黒でも青でもない春麗、つまり「分類されない春麗」も議題として成立した。
これにより、春麗というキャラの幅がさらに広がりました。
グランドフィナーレ済み春麗のまぶしさと寂しさ
この春麗は、他の春麗をまぶしく思っています。
なぜなら、他の春麗たちはまだ続いているからです。
本編春麗は、まだ訓練と言い訳できる。
自覚前春麗は、まだ認めないと言える。
黒ドレス特化救済ED春麗は、まだ黒を更新できる。
通常救済版春麗は、青で新しい甘さを見つけられる。
それに対して、自分は終わっている。
その寂しさが、今回の出発点です。
でも最終的に、
終わった後にも、隣に座る時間があった。
と気づく。
これはかなり綺麗です。
グランドフィナーレは終点ではなく、その後の静かな時間を始めるための区切りだった。
これが今回の結論です。
本編春麗が認めるのも良い
春麗会議で、本編春麗が今回の案件をかなり素直に認めています。
これは認めるわ。
終わった後のあなたに、“今の春麗がいる”はかなり高得点よ。
これは本編春麗らしくもあり、少し優しいです。
本編春麗は普段、訓練や採点や会議で騒ぎます。
でも、グランドフィナーレ済み春麗の「終わった寂しさ」にはちゃんと反応できる。
そして、
終わっても、まだ被弾できる。続いている証拠じゃない。
と言う。
これは本編春麗からグランドフィナーレ済み春麗への、かなり良い贈り物です。
「被弾」という言い方が本編春麗らしいのですが、意味としては優しい。
終わってもまだ揺れるなら、あなたの物語は完全には閉じていない。
まだリュウと今を作れる。
そう言っているわけです。
今回の甘さは「静かな甘さ」
今回の甘さは、黒のように重くありません。
黒ドレス特化版の甘さは、
責任を取りなさい。
黒い私を見たことを忘れないで。
私を受け止めなさい。
という重い甘さです。
青の甘さは、
歩きましょう。
手をつなぐ。
選べる。
という穏やかな甘さです。
今回の黒でも青でもない甘さは、
隣に座る。
指先だけ触れる。
ただいる。
それでいい。
という静かな甘さです。
これはグランドフィナーレ済み春麗にしか出せない味です。
派手ではないけれど、非常に深い。
今回の到達点
今回の到達点は、グランドフィナーレ済み春麗がこう気づいたことです。
終わった後にも、春麗はいる。
これは、かなり大きいです。
救済が終わったから物語も終わり、ではない。
グランドフィナーレを迎えた後にも、リュウと隣に座る時間がある。
何もしなくても、今が続きになる。
この発見が、今回の妄想章IFの価値です。
結論
今回の妄想章IFは、グランドフィナーレ済み春麗が、続いている他の春麗たちをまぶしく思いながらも、黒でも青でもない“今の春麗”としてリュウの隣にいる続きを見つける話です。
黒は重さ。
青は選択。
黒でも青でもない春麗は、終わった後の今。
一言でまとめるなら、
グランドフィナーレは、春麗の終わりではなかった。
リュウの隣に座るだけで、終わった後にも続きは生まれる。
今回の回は、春麗会議に「黒」「青」に続く第三の軸、素の春麗/今の春麗を追加した、かなり重要な回だったと思います。