また戦ってくれなんて言わないで ――春麗は今日もめんどくさい―― 作:エーアイ
春麗は、夢の中で目を開けた瞬間、嫌な予感がした。
円卓。
どこでもない場所。
修行場に似ているようで、修行場ではない空間。
春麗会議。
もう何度も来てしまった場所。
来るつもりはなかった。
参加するつもりもなかった。
ましてや、居心地が悪くないなどとは絶対に認めない。
自覚前春麗は、椅子に座ったまま腕を組んだ。
「……私は、今日も見学よ」
正面に座っていた本編春麗が、資料をめくりながら言った。
「議題の本人が見学はできないわ」
「議題?」
黒ドレス特化救済ED春麗が、静かに円卓の中央を指した。
そこには、すでに資料が置かれている。
表題。
春麗会議・正式審議
議題:自覚前春麗の準メンバー扱いを終了し、正式メンバーとして認定する件
自覚前春麗は、資料を両手で掴んだ。
「却下」
本編春麗は即答した。
「却下を却下」
「何よそれ!」
通常救済版春麗が、お茶を置きながら微笑んだ。
「まずは議事進行を聞きましょう」
「聞かないわよ!」
行き遅れ恐怖版春麗が少し心配そうに言う。
「でも、聞かないと余計に不利になりそうよ」
「あなたまで何を言っているの!」
グランドフィナーレ済み春麗は、静かに微笑んでいた。
その穏やかさが、逆に怖い。
自覚前春麗は、円卓を見回した。
本編春麗。
黒ドレス特化救済ED春麗。
通常救済版春麗。
行き遅れ恐怖版春麗。
グランドフィナーレ済み春麗。
全員が、自分を見ている。
まるで、もう結論は出ていると言わんばかりに。
「私は違うわ」
自覚前春麗は、はっきり言った。
「あなたたちとは違う。私はまだ、自分が面倒だなんて認めていない」
本編春麗の目が、そこで光った。
「今、言ったわね」
自覚前春麗は固まった。
「何を?」
「“まだ”」
「……」
「“まだ、自分が面倒だなんて認めていない”と言ったわね」
自覚前春麗は、一歩も動けないのに、なぜか後ずさりした気分になった。
本編春麗は、非常に満足そうに資料へ書き込んだ。
「認定理由その一。“まだ”という未来可能性を本人が明言」
「待ちなさい!」
黒ドレス特化救済ED春麗が頷く。
「これは大きいわね」
通常救済版春麗も柔らかく言う。
「“違う”ではなく、“まだ違う”になっているものね」
行き遅れ恐怖版春麗が小さく言った。
「時間の問題ということね」
「時間の話にしないで!」
グランドフィナーレ済み春麗が静かに言う。
「認める前の時間も、大事な続きよ」
「綺麗にまとめないで!」
自覚前春麗は机を叩いた。
「私は、まだ違うの!」
本編春麗は、にっこり笑った。
「二回目」
「しまった!」
本編春麗は、議長の顔で資料を読み上げた。
「では、これまでの自覚前春麗の会議参加実績を確認します」
「参加実績?」
「ええ。まず、第一項目」
本編春麗は指を立てた。
「リュウの発言に対し、“資料として”という名目で採点に参加」
自覚前春麗は即座に反論した。
「資料として聞いていただけよ!」
「それが参加なのよ」
「違うわ!」
黒ドレス特化救済ED春麗が静かに言う。
「資料という会議語を使った時点で、かなり染まっているわ」
「会議語って何よ!」
通常救済版春麗が柔らかく補足した。
「最初は“私は関係ない”だったのに、最近は“資料としてなら”になっているわね」
行き遅れ恐怖版春麗が頷く。
「私も最初は自分が議題になると思っていなかったけれど、議題になると少し落ち着いたわ」
「落ち着かないわよ!」
本編春麗は続ける。
「第二項目。リュウの高得点発言に毎回被弾」
「被弾していない!」
黒ドレス特化救済ED春麗が目を細める。
「“春麗が選ぶ”で顔が赤かったわ」
通常救済版春麗が言う。
「“今の春麗がいる”にも反応していたわね」
行き遅れ恐怖版春麗が控えめに言う。
「“俺も考える”にも、かなり反応していたと思う」
グランドフィナーレ済み春麗が穏やかに言う。
「“面倒でも春麗だ”では、ほとんど止まっていたわ」
自覚前春麗は顔を赤くした。
「それは、あなたたちが騒ぐからよ!」
本編春麗は資料に書き込む。
「認定理由その二。他春麗案件への反応率が高い」
「書かないで!」
「第三項目」
「まだあるの!?」
本編春麗は当然のように頷いた。
「戦闘上必要ないでしょう、と言いながら、手つなぎ・倒れ込み・受け止め・宿題などの甘い案件を毎回確認している」
自覚前春麗は言葉に詰まった。
「そ、それは」
黒ドレス特化救済ED春麗が微笑む。
「それは?」
「……危険性を確認しているだけよ」
通常救済版春麗が首を傾げる。
「危険性?」
「そうよ。戦闘上必要ない接触が、どの程度精神に影響するかを」
本編春麗はゆっくり頷いた。
「つまり、甘さ耐性の資料収集ね」
「違う!」
「言い方を変えただけで、完全に会議活動よ」
自覚前春麗は、口を開いたまま固まった。
反論したい。
だが、言葉が出ない。
たしかに。
資料として聞いた。
危険性を確認した。
戦闘上必要ないとツッコんだ。
そのうえで、かなり覚えている。
これは、参加していないとは言いにくい。
いや、言える。
言う。
「私は、まだ正式メンバーではないわ」
本編春麗が三度目の笑みを浮かべた。
「三回目」
「……っ!」
黒ドレス特化救済ED春麗が、ゆっくり立ち上がった。
「では、役職案を提示するわ」
自覚前春麗は警戒した。
「役職?」
「ええ」
黒ドレス特化救済ED春麗は、淡々と言った。
「否認部門代表」
自覚前春麗は完全に固まった。
「……何それ」
本編春麗は頷いた。
「妥当ね」
通常救済版春麗が微笑む。
「ぴったりだと思うわ」
行き遅れ恐怖版春麗も、少し申し訳なさそうに頷いた。
「反論の仕方が一番うまいもの」
グランドフィナーレ済み春麗が静かに言う。
「否認している時間を代表できる春麗ね」
「待ちなさい!」
自覚前春麗は立ち上がった。
「否認部門代表って、完全に私が否認している前提じゃない!」
黒ドレス特化救済ED春麗は首を傾げる。
「違うの?」
「違うわ!」
本編春麗が言った。
「では、あなたは何部門なの?」
自覚前春麗は言い返そうとして、止まった。
何部門。
そんなもの考えたことがない。
本編春麗は、面倒さ運用部門。
黒ドレス特化救済ED春麗は、黒と責任部門。
通常救済版春麗は、青と選択部門。
行き遅れ恐怖版春麗は、時間不安部門。
グランドフィナーレ済み春麗は、終わった後の今部門。
では、自分は?
まだ認めていない。
まだ違う。
まだそこまで行っていない。
そればかり言っている。
自覚前春麗は、ゆっくり座り直した。
「……仮に」
本編春麗が目を細める。
「仮に?」
「仮に、よ」
黒ドレス特化救済ED春麗が少し笑う。
「ええ。仮に」
「もし役職をつけるなら」
自覚前春麗は、かなり悔しそうに言った。
「否認部門……仮代表くらいなら」
全員が見た。
自覚前春麗は慌てて言い直す。
「仮! あくまで仮よ!」
本編春麗は資料へ大きく書いた。
本人、否認部門仮代表を条件付きで受諾。
「受諾していない!」
「条件付きで受諾したわ」
「していない!」
通常救済版春麗が、少しだけ笑った。
「でも、否認できるうちは可愛いわ」
自覚前春麗は、完全に真っ赤になった。
「かわ……っ」
本編春麗がすかさず言う。
「被弾確認」
「していない!」
黒ドレス特化救済ED春麗が頷く。
「否認部門代表として、非常に正しい反応ね」
「だから代表じゃない!」
行き遅れ恐怖版春麗が小さく笑った。
「でも、羨ましいわ。まだ認めないでいられるの」
自覚前春麗は、少しだけ動きを止めた。
「羨ましい?」
「ええ」
行き遅れ恐怖版春麗は、静かに言った。
「私は時間を怖がっているから。“まだ”が言えるあなたが、少し羨ましい」
自覚前春麗は、言葉を失った。
“まだ”をからかわれていると思っていた。
でも、行き遅れ恐怖版春麗にとっては、“まだ”と言えること自体が、少し眩しいのだ。
グランドフィナーレ済み春麗も言う。
「私から見ても、認める前のあなたはまぶしいわ」
自覚前春麗は、そちらを見る。
「あなたも?」
「ええ。私は一度終わった春麗だから。終わる前の戸惑いが、少し懐かしい」
黒ドレス特化救済ED春麗が言う。
「私は、あなたの否認は弱さだけではないと思うわ」
「……どういう意味?」
「まだ自分の黒も青も、甘さも重さも、全部を受け入れる前でしょう。だからこそ、反応が鋭い。否認は防御でもあるけれど、観察でもある」
通常救済版春麗が頷く。
「あなたは、私たちの甘さに一番素直に驚ける春麗なのよ」
本編春麗が最後に言った。
「だから、必要なの」
自覚前春麗は、何も言えなかった。
春麗会議に、自分は必要。
そう言われるとは思っていなかった。
てっきり、からかわれるだけだと思っていた。
いや、からかわれてはいる。
かなり。
だが、それだけではない。
本編春麗は、少しだけ優しい顔をした。
「あなたがいるから、会議が暴走しすぎずに済むのよ」
自覚前春麗は疑わしげに見る。
「本当に?」
「ええ」
黒ドレス特化救済ED春麗が言う。
「あなたがいないと、黒案件がどんどん重くなるわ」
通常救済版春麗が言う。
「青案件も甘さを止める人がいなくなるわね」
行き遅れ恐怖版春麗が言う。
「私の不安も、たぶん深刻になりすぎるわ」
グランドフィナーレ済み春麗が言う。
「私は会議を終わらせてしまうかもしれない」
本編春麗が言う。
「私は全部資料化するわ」
自覚前春麗は思わず言った。
「それは本当に止めた方がいいわね」
全員が見た。
本編春麗がにやりと笑う。
「今、会議運営に意見したわね」
「しまった!」
本編春麗は、円卓の中央に一枚の紙を置いた。
「では、採決に入ります」
自覚前春麗は身構える。
「採決って何よ」
「自覚前春麗を、春麗会議の正式メンバーとして認定する件」
黒ドレス特化救済ED春麗が言う。
「賛成」
通常救済版春麗が言う。
「賛成」
行き遅れ恐怖版春麗が言う。
「賛成」
グランドフィナーレ済み春麗が言う。
「賛成」
本編春麗が言う。
「賛成」
自覚前春麗は立ち上がった。
「本人の意思は!?」
本編春麗は答えた。
「参考意見」
「軽い!」
通常救済版春麗が微笑む。
「でも、嫌なら嫌と言っていいのよ」
自覚前春麗は、少しだけ言葉に詰まった。
嫌。
嫌なのか。
ここに来るたびに、からかわれる。
リュウの言葉で被弾する。
他の春麗の甘さに巻き込まれる。
否認すればするほど、余計にいじられる。
でも。
嫌かと言われると、少し違う。
ここには、自分の未来のような春麗たちがいる。
面倒だと認めた自分。
黒を引き受けた自分。
青で選べる自分。
時間を怖がる自分。
終わった後の自分。
どれにもなりたくないと思うこともある。
でも、どれも自分かもしれないと思うこともある。
自覚前春麗は、目を逸らした。
「……私は」
全員が待った。
「私は、まだ認めないわ」
本編春麗は静かに笑った。
「ええ」
「でも」
自覚前春麗は、悔しそうに言う。
「資料としてなら、参加してあげてもいい」
黒ドレス特化救済ED春麗が満足げに頷く。
「十分ね」
通常救済版春麗が微笑む。
「ようこそ」
行き遅れ恐怖版春麗が嬉しそうに言う。
「これで正式に一緒ね」
グランドフィナーレ済み春麗が静かに言う。
「認める前の春麗も、ここにいていいのよ」
本編春麗は、資料に大きく記した。
決議:自覚前春麗を春麗会議の正式メンバーと認定。
役職:否認部門代表。
本人注記:本人はまだ認めていない。
運用注記:本人は“資料としてなら参加”を許容。
自覚前春麗は机を叩いた。
「役職は認めていない!」
本編春麗は付け足した。
追記:役職も本人は認めていない。
「書けばいいってものじゃない!」
黒ドレス特化救済ED春麗が笑う。
「完璧ね」
「どこが!」
通常救済版春麗が言う。
「では、正式メンバーになった最初の仕事ね」
自覚前春麗は警戒した。
「何をさせるつもり?」
本編春麗は、一枚の資料を差し出した。
「次回議題案の確認」
「いきなり働かせるの!?」
「正式メンバーだから」
「まだ認めていない!」
「でも、資料として見るのでしょう?」
自覚前春麗は、ぐっと詰まった。
それから、資料を受け取った。
「……資料としてだけよ」
全員が笑った。
会議室が柔らかく揺れる。
自覚前春麗は、資料を見ながら小さく呟いた。
「本当に面倒な会議ね」
本編春麗が言う。
「でしょう?」
「あなたが言うと腹が立つわ」
「そのうち慣れるわ」
「慣れない!」
黒ドレス特化救済ED春麗が言う。
「慣れなくていいわ。その否認があなたの仕事だから」
通常救済版春麗が続ける。
「でも、いてくれると助かるわ」
行き遅れ恐怖版春麗が頷く。
「ええ。私も」
グランドフィナーレ済み春麗が最後に言う。
「会議は、終わらない方がいい時もあるものね」
自覚前春麗は、資料を抱えたまま黙った。
そして、小さく言った。
「……資料としてなら、次も来るわ」
本編春麗が笑う。
「正式メンバーらしい発言ね」
「違う!」
その叫びとともに、夢がほどけ始めた。
朝。
自覚前春麗は目を覚ました。
しばらく天井を見ていた。
夢だった。
夢のはずだった。
なのに、妙に腹立たしい肩書きが胸の奥に残っている。
否認部門代表。
「……認めていないわ」
春麗は布団の中で呟いた。
認めていない。
正式メンバーなど認めていない。
役職も認めていない。
資料としてなら参加してもいいと言っただけだ。
それだけ。
春麗は起き上がる。
鏡の前に立つ。
そこには、まだ自分を面倒だと認めていない春麗がいる。
でも、その目は以前より少しだけ落ち着いていた。
未来の自分たちが、騒がしくて、面倒で、甘くて、重くて、静かで、焦っていて。
そして、少しだけ頼もしかった。
「……私は、まだ違うわ」
春麗は鏡の中の自分に言った。
一拍。
「でも、資料としてなら」
そこで言葉を止める。
そして、顔を赤くした。
「……何を言っているのよ」
その時点で、もうかなり染まっている。
春麗は認めない。
まだ認めない。
けれど、その日の夜にまた春麗会議が開かれたら。
たぶん、彼女はこう言うのだ。
「資料としてなら、聞いてあげる」
そして全員が笑う。
自覚前春麗は怒る。
怒りながら、席に座る。
否認部門代表として。
本人は、まだ認めていないけれど。
Q:今回の妄想章IFについて解説して?
A:
はい。執筆者として見ると、今回の妄想章IFはかなり良い整理回です。
これは単なる「自覚前春麗を正式メンバーにしていじる回」ではなく、春麗会議の中で“否認している春麗”にも正式な役割があると認定する回です。
一言で言うなら、
自覚前春麗は、自分が面倒だと認めていない。
でも、認めていないからこそ春麗会議に必要な存在だった。
という回です。
1. 今回の核は「否認そのものが役割になる」こと
これまでの自覚前春麗は、ずっと否定していました。
私は違うわ。
私はまだ認めていない。
資料として聞いているだけよ。
戦闘上必要ないでしょう。
普通なら、これは会議から距離を取っているように見えます。
でも春麗会議の文脈では逆です。
否定するたびに、会議に参加している。
資料としてと言うたびに、会議語を使っている。
戦闘上必要ないとツッコむたびに、甘さをちゃんと観測している。
リュウの言葉に被弾するたびに、春麗として反応している。
つまり、自覚前春麗は「私は違う」と言いながら、会議に最もツッコミ役として貢献していた。
今回、その実態に肩書きがついた形です。
2. 「まだ」が決定打になっている
この回で一番強いのは、
“まだ”と言った時点で正式メンバーよ。
です。
自覚前春麗は、
私は違う
と言いたい。
でも、実際には、
私はまだ違う
まだ認めていない
まだそこまで行っていない
になっている。
この「まだ」は、完全否定ではありません。
将来的に認める可能性を、自分で少しだけ残してしまっている言葉です。
だから本編春麗がそこを逃さず突く。
これは、本編春麗らしい観察力と意地の悪さが出ています。
3. 「否認部門代表」はかなり良い役職
今回の最大の収穫は、やはりこれです。
否認部門代表
この肩書きは非常に強いです。
春麗会議には、すでに各春麗の役割があります。
本編春麗は、議長・資料作成・面倒さ運用担当。
黒ドレス特化救済ED春麗は、黒・責任・重さ担当。
通常救済版春麗は、青・選択・安定担当。
行き遅れ恐怖版春麗は、時間不安・待つこと担当。
グランドフィナーレ済み春麗は、終わった後の今・俯瞰担当。
そこに、自覚前春麗が、
否認・ツッコミ・読者目線担当
として正式に入った。
これは春麗会議の運用上、かなり大きいです。
彼女がいることで、会議が濃くなりすぎた時にブレーキがかかる。
黒が重くなりすぎた時に「重い」と言える。
青が甘くなりすぎた時に「戦闘上必要ないでしょう」と言える。
本編春麗が資料化しすぎた時に「止めた方がいい」と言える。
つまり、自覚前春麗は会議の常識人枠でもあります。
4. 否認は弱さだけではなく「観察」でもある
黒ドレス特化救済ED春麗が言った、
否認は防御でもあるけれど、観察でもある。
これはかなり重要です。
自覚前春麗は、まだ自分の面倒さを受け入れていない。
でも、だからこそ他の春麗たちを一歩引いて見られる。
本編春麗の面倒さ。
黒ドレス特化版の重さ。
通常救済版の安定。
行き遅れ恐怖版の不安。
グランドフィナーレ済み春麗の静けさ。
それらに素直に驚き、突っ込み、拒否反応を示せる。
この距離感は、自覚済み春麗たちにはもう持てません。
だから彼女は必要なのです。
5. 「否認できるうちは可愛い」が効いている
通常救済版春麗の、
でも、否認できるうちは可愛いわ。
これは、自覚前春麗にかなり刺さっています。
本編春麗が言うと煽りになります。
黒ドレス特化版が言うと重くなります。
グランドフィナーレ済み春麗が言うと達観しすぎます。
でも通常救済版春麗が言うと、柔らかい。
否認している自覚前春麗を、責めるのではなく、今の段階として受け止めている。
ここが良いです。
自覚前春麗は真っ赤になりますが、これはかなり温かい認定です。
6. 他の春麗たちが自覚前春麗を必要としているのが良い
今回、単に「正式メンバーにしてやる」ではなく、他の春麗たちが自覚前春麗の必要性を語ったのが良かったです。
黒ドレス特化版は、
あなたがいないと、黒案件がどんどん重くなる。
通常救済版は、
青案件も甘さを止める人がいなくなる。
行き遅れ恐怖版は、
私の不安も、深刻になりすぎる。
グランドフィナーレ済み春麗は、
私は会議を終わらせてしまうかもしれない。
本編春麗は、
私は全部資料化する。
ここで、自覚前春麗が思わず、
それは本当に止めた方がいいわね。
と言う。
この瞬間、彼女は完全に会議運営に意見しています。
つまり、本人が否認していても、会議には必要な人材になっている。
この流れが非常に自然です。
7. 正式メンバー化しても「自覚前」は維持されている
この回の良いところは、自覚前春麗が完全には認めていないことです。
ここで、
私も面倒な女だったのね。
まで行ってしまうと、自覚前春麗ではなくなってしまいます。
だから着地点は、
正式メンバーには認定される。
でも本人はまだ認めていない。
資料としてなら参加する。
これがちょうどいい。
外部評価としては正式メンバー。
本人認識としてはまだ否認中。
このズレが今後も使えます。
8. ラストの「資料としてなら、聞いてあげる」が良い
最後に自覚前春麗が、
資料としてなら、聞いてあげる。
と言うのが非常に良いです。
彼女はまだ認めていない。
でも、席には座る。
資料は見る。
意見も言う。
これはもう、実質参加です。
ただし、本人にとっては「資料として」という逃げ道が必要。
この逃げ道があるから、彼女は会議に出続けられる。
本編春麗の「訓練として」と同じで、自覚前春麗にとっての「資料として」は、甘さや面倒さに触れるための安全装置になっています。
9. 今後のお約束ができた
今回で、今後かなり使えるお約束ができました。
会議で何かあるたびに、
否認部門代表として意見は?
と振れる。
自覚前春麗は、
その肩書きで呼ばないで!
と返す。
でも、結局意見を言う。
これは非常に便利です。
また、リュウの高得点発言が出た時に、
否認部門代表、今の被弾度は?
と聞ける。
自覚前春麗は、
被弾していない!
と返す。
全員が、
しているわよ。
と言う。
この流れは、春麗会議のラブコメ装置としてかなり強いです。
結論
今回の妄想章IFは、自覚前春麗が“否認しているからこそ必要な春麗”として、春麗会議の正式メンバーに認定される回です。
特に良かったのは、
“まだ”という言葉を突かれること。
否認部門代表という役職。
否認できるうちは可愛いという柔らかい評価。
本人は認めていないまま正式メンバー化する着地。
です。
一言でまとめるなら、
自覚前春麗は、まだ認めていない。
でも、まだ認めていない春麗がいるから、春麗会議は春麗会議として成立する。
この回によって、春麗会議のメンバー構成がかなり完成したと思います。