また戦ってくれなんて言わないで ――春麗は今日もめんどくさい――   作:エーアイ

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※これは本編時空とは無関係の妄想章IFです。
自分をめんどくさい女と自覚する前の春麗のエピソードになります。


妄想章IF:自覚前春麗は、青でギリギリ勝つ快感を否認する

 

 自覚前春麗は、最近、少しだけ落ち着かない。

 

 理由はわかっている。

 

 春麗会議だ。

 

 正式メンバーにされた。

 

 本人は認めていない。

 

 断じて認めていない。

 

 だが、春麗会議の資料にはこう記録されている。

 

 自覚前春麗。

 役職:否認部門代表。

 本人注記:本人はまだ認めていない。

 

「……ふざけているわ」

 

 鏡の前で、春麗は呟いた。

 

 青い武道服がそこにある。

 

 黒ではない。

 

 黒ドレスではない。

 

 甘くて重い黒ではない。

 

 青。

 

 戦うための青。

 

 踏み込むための青。

 

 蹴るための青。

 

 そして、最近の本編春麗がリュウにギリギリで負けた青。

 

 春麗は、その記録を覚えていた。

 

 本編春麗は、青でリュウと戦った。

 

 会議でもなく、資料でもなく、宿題でもなく。

 

 ただ春麗として戦った。

 

 そして、ギリギリで負けた。

 

 その敗北を、本編春麗は悔しがりながら、どこか嬉しそうに受け取っていた。

 

 会議では、試合内容九十九点。

 

 リュウの言葉。

 

 今日は、会議ではなく、春麗が来た。

 

 本編春麗は、それを九十八点とした。

 

 自覚前春麗は、その時、資料として聞いていた。

 

 資料として。

 

 ただの資料として。

 

 だが、心のどこかで思ってしまった。

 

 青で、ギリギリまでリュウと戦う。

 

 勝つか負けるかわからない場所で、身体ごとぶつかる。

 

 そして、もし自分が勝てたら。

 

 リュウに、ギリギリで。

 

 青で。

 

 正面から。

 

「……違うわ」

 

 春麗は鏡に向かって言った。

 

「私は、そういう快感に目覚めたわけではない」

 

 言い方がすでに危ない。

 

 目覚めた、という言葉が危ない。

 

 春麗は咳払いした。

 

「これは確認よ」

 

 いつもの逃げ道が出た。

 

「本編春麗が青でギリギリ負けた。なら、私は青でギリギリ勝った場合の心理反応を確認する必要がある」

 

 それは資料だ。

 

 研究だ。

 

 比較検証だ。

 

 本編春麗が負けたなら、自覚前春麗は勝った場合を検証する。

 

 当然だ。

 

 別に、リュウに勝ちたいわけではない。

 

 いや、勝ちたい。

 

 勝負だから勝ちたい。

 

 それは普通だ。

 

 そこに甘さはない。

 

 面倒さもない。

 

「私は、めんどくさい女じゃない」

 

 春麗は青い袖を通した。

 

「ただ、勝つだけよ」

 

 一拍。

 

「ギリギリで」

 

 言ってから、春麗は少し顔を赤くした。

 

 それが一番まずいのだと、もう自分でもわかっていた。

 

 リュウは、修行場にいた。

 

 春麗が青で現れると、静かに顔を上げた。

 

「春麗」

 

「リュウ」

 

「今日は青か」

 

「ええ」

 

「戦うのか」

 

 春麗は即答した。

 

「戦うわ」

 

 リュウは構えた。

 

 その反応が少し早い。

 

 春麗は目を細めた。

 

「ずいぶん自然に構えるのね」

 

「ああ」

 

「どうして?」

 

「春麗が、戦う顔をしている」

 

 春麗は一瞬止まりかけた。

 

 だが、止まらない。

 

 止まったら負けだ。

 

「……そう」

 

「違ったか」

 

「違わないわ」

 

 春麗は構えた。

 

「でも、今日は本編の私とは違う」

 

 リュウは首を傾げる。

 

「本編?」

 

「何でもないわ」

 

「そうか」

 

「深く考えないで」

 

「ああ」

 

 春麗は、青い袖を軽く払った。

 

「今日は、会議でも資料でもない」

 

「そうか」

 

「宿題でもない」

 

「ああ」

 

「ただの試合よ」

 

「ああ」

 

「ただし」

 

 春麗は一歩、踏み込む。

 

「私は勝つわ」

 

 リュウの目が少し変わった。

 

「ああ」

 

「ギリギリで」

 

 言ってしまった。

 

 春麗は内心で顔を覆いたくなった。

 

 リュウは静かに聞いている。

 

「ギリギリで勝ちたいのか」

 

「……勝負なら、当然でしょう」

 

「そうか」

 

「そうよ」

 

「なら、俺もギリギリまで行く」

 

 春麗の胸が鳴った。

 

 これは危険だ。

 

 非常に危険。

 

「……言い方」

 

「何か変だったか」

 

「変ではないわ」

 

「なら」

 

「効くのよ」

 

 リュウは少しだけ黙った。

 

 春麗はその沈黙に腹を立てた。

 

「何?」

 

「効くなら、言わない方がいいのか」

 

「違うわ」

 

「違うのか」

 

「違うわよ。今のは戦闘前の心理揺さぶりとして有効だから、むしろ認めるべきなの」

 

「そうか」

 

「そうよ」

 

 リュウは真面目に頷いた。

 

「なら、行く」

 

 春麗は構えを深くした。

 

「来なさい」

 

 青が動いた。

 

 序盤、春麗は速かった。

 

 黒のように視線を奪う必要はない。

 

 青は、直接前に出る。

 

 踏み込む。

 

 蹴る。

 

 回る。

 

 掌底を入れる。

 

 リュウは受ける。

 

 だが、半拍遅い。

 

 春麗はその半拍を逃さない。

 

「そこ」

 

 低い蹴り。

 

 リュウの足が止まる。

 

「次」

 

 掌底。

 

 リュウが腕で受ける。

 

 腕が落ちる。

 

 春麗はさらに踏み込む。

 

 青い袖が、夜気の中で鋭く揺れた。

 

 リュウが一歩下がる。

 

 春麗は追う。

 

「どう?」

 

 リュウは息を吐く。

 

「速い」

 

「それだけ?」

 

「強い」

 

 春麗の胸が少し熱くなる。

 

「当然よ」

 

「今日は、迷いが少ない」

 

 春麗は止まりかけた。

 

「……少ない?」

 

「ああ」

 

「ない、ではなく?」

 

「少ない」

 

「そこは、ないと言いなさい」

 

「嘘になる」

 

 春麗は一瞬だけ睨んだ。

 

「あなた、本当に余計なところで正直ね」

 

「そうか」

 

「そうよ」

 

 だが、効いた。

 

 迷いが少ない。

 

 完全にないわけではない。

 

 その通りだった。

 

 春麗は勝ちたい。

 

 ギリギリで。

 

 その言葉を自分で意識してしまっている。

 

 リュウに勝ちたい。

 しかも、ただ圧勝ではなく、ギリギリで勝ちたい。

 勝敗の境目でリュウを上回りたい。

 

 それは、気持ちいいのではないか。

 

 本編春麗が負けて嬉しそうだったのなら、自分が勝ったらどうなるのか。

 

「……違う」

 

「何がだ」

 

「何でもないわ」

 

 春麗は踏み込んだ。

 

 蹴り。

 

 掌底。

 

 回し蹴り。

 

 リュウが受ける。

 

 重い拳が返る。

 

 肩に浅く当たる。

 

 春麗の身体がわずかに沈む。

 

 だが、止まらない。

 

 今日は止まらない。

 

「リュウ」

 

「何だ」

 

「もっと来なさい」

 

 リュウの目が変わる。

 

「ああ」

 

 その返事で、試合の温度が上がった。

 

 中盤。

 

 リュウが押し返してきた。

 

 青の速度に慣れてきたのだ。

 

 春麗の蹴りの軌道を読む。

 掌底の前の肩を見る。

 踏み込みの中心を外してくる。

 

 春麗の脇に拳が入る。

 

 浅い。

 

 だが、痛い。

 

「っ……」

 

 春麗は下がらず、逆に踏み込む。

 

 リュウの拳の戻りに合わせて、掌底を入れる。

 

 リュウの胸に当たる。

 

 効いた。

 

 リュウが半歩下がる。

 

 春麗は追う。

 

 楽しい。

 

 そう思ってしまった。

 

 勝つために削っている。

 

 削られている。

 

 次の一撃で逆転されるかもしれない。

 

 それでも前に出る。

 

 リュウが本気で来る。

 

 自分も本気で返す。

 

 これが、楽しい。

 

「……違うわ」

 

 春麗はまた呟いた。

 

 リュウが聞く。

 

「何が違う」

 

「楽しいわけではない」

 

 言ってから、春麗は固まった。

 

 リュウは真面目に言った。

 

「楽しくないのか」

 

 春麗は少し黙った。

 

 否認したい。

 

 否認部門代表として、ここは否定するべきだ。

 

 でも、戦闘中に嘘をつくと身体が鈍る。

 

 それは嫌だ。

 

「……楽しくない、わけではない」

 

 リュウは頷いた。

 

「そうか」

 

「でも、変な意味ではないわ」

 

「変な意味」

 

「つまり、リュウとギリギリで戦うことに変な快感を覚えているわけではないという意味よ」

 

 言ってしまった。

 

 完全に言ってしまった。

 

 リュウは少し考える。

 

「ギリギリで戦うのは、悪くない」

 

 春麗の胸が跳ねた。

 

「あなたが言うと、全部危なくなるのよ」

 

「そうか」

 

「そうよ」

 

 リュウの拳が来る。

 

 春麗は外す。

 

 踏み込む。

 

 蹴り。

 

 リュウが受ける。

 

 春麗は笑っていた。

 

 自分で気づいて、少し焦った。

 

 笑っている。

 

 戦闘中に。

 

 しかも、かなり自然に。

 

「……私は」

 

 春麗は低く言う。

 

「めんどくさい女じゃない」

 

 リュウは拳を受けながら言った。

 

「そうなのか」

 

「そうよ」

 

「なら、何だ」

 

 春麗は、一瞬答えに詰まった。

 

 何だ。

 

 自分は何なのか。

 

 まだ面倒だとは認めていない。

 

 黒の春麗でもない。

 

 青で戦わない春麗でもない。

 

 終わった春麗でもない。

 

 時間を怖がる春麗でもない。

 

 自分は。

 

「私は」

 

 春麗は踏み込んだ。

 

「勝つ春麗よ」

 

 リュウが構える。

 

「そうか」

 

「ええ」

 

「なら、止める」

 

 春麗の胸が熱くなる。

 

「止められるなら」

 

「行く」

 

 リュウが来た。

 

 終盤。

 

 二人のHPは、ほとんど残っていなかった。

 

 春麗は肩で息をしていた。

 

 青い袖が汗で肌に張りつく。

 

 リュウも呼吸が荒い。

 

 だが、目は落ちていない。

 

 春麗は思った。

 

 これだ。

 

 本編春麗が欲しがったもの。

 

 ギリギリの勝負。

 

 勝つか負けるかわからない場所。

 

 自分が今、その場所に立っている。

 

 そして。

 

 勝ちたい。

 

 どうしても勝ちたい。

 

 本編春麗は負けた。

 

 なら、自分は勝つ。

 

 別に対抗意識ではない。

 

 資料として、比較検証として。

 

 そう言いたい。

 

 でも、違う。

 

 勝ちたい。

 

 リュウに勝ちたい。

 

 ギリギリで。

 

 その快感を知りたい。

 

 春麗は、そこで顔が熱くなった。

 

「……最悪」

 

 リュウが構える。

 

「春麗」

 

「何?」

 

「今日は、よく前に出る」

 

「そうね」

 

「勝ちたいのか」

 

「勝ちたいわ」

 

 即答だった。

 

 否認しなかった。

 

 そのことに、自分が一番驚いた。

 

 リュウは、静かに頷いた。

 

「なら、俺も勝ちに行く」

 

 春麗の胸が鳴る。

 

「ええ」

 

 一歩。

 

「そうでなくちゃ」

 

 最後の交差。

 

 春麗は青の蹴りを選んだ。

 

 発勁ではない。

 

 黒の重さでもない。

 

 青の速度。

 

 本編春麗が負けた青。

 

 自分が勝つ青。

 

 リュウの拳が来る。

 

 春麗はその拳の下へ潜る。

 

 蹴り。

 

 リュウの腕が下がる。

 

 春麗は踏み込む。

 

 ここだ。

 

 掌底ではない。

 

 今回は、もう一歩踏み込んで、リュウの軸を完全に崩す。

 

 リュウは春麗の踏み込みを読む。

 

 肩内側への拳。

 

 本編春麗を負かした読み。

 

 だが、自覚前春麗は、それを知っていた。

 

 春麗会議で見た。

 

 本編春麗が負けた理由。

 

 青の踏み込み中心を読まれたこと。

 

 だから、半歩ずらした。

 

 リュウの拳が、春麗の肩をかすめる。

 

 浅い。

 

 今度は中心を外されない。

 

 春麗の掌が、リュウの胸ではなく、肩の下へ入る。

 

 軸を抜く。

 

 リュウの体勢が崩れる。

 

 春麗は最後の蹴りを、寸前で止めた。

 

 リュウの喉元の前。

 

 青い足先が、止まっている。

 

 リュウの拳は、春麗の頬の横で止まっていた。

 

 届いていない。

 

 春麗の蹴りは、届いている。

 

 勝敗は、紙一重。

 

 春麗の勝ちだった。

 

 沈黙。

 

 春麗は、動けなかった。

 

 リュウも動かない。

 

 春麗はゆっくり足を下ろす。

 

 呼吸が荒い。

 

 胸がうるさい。

 

 勝った。

 

 ギリギリで。

 

 青で。

 

 リュウに。

 

「……私の勝ちね」

 

 リュウは、静かに頷いた。

 

「ああ」

 

「本当にギリギリだった」

 

「ああ」

 

「あなた、本編の私と同じ読みを使ったわね」

 

 リュウは少し首を傾げる。

 

「本編」

 

「何でもない」

 

「そうか」

 

「でも、読めていたわ」

 

「ああ」

 

「私は、それをさらに読んだ」

 

「ああ」

 

「だから、私の勝ち」

 

 リュウは言った。

 

「強かった」

 

 春麗の胸が大きく鳴った。

 

「……負けた相手に言われると、効くわね」

 

「効くのか」

 

「効くわよ」

 

 リュウは静かに春麗を見る。

 

「今日は、勝ちに来た春麗だった」

 

 春麗は息を止めた。

 

 その言葉は危険だった。

 

 本編春麗が言われた、

 

 今日は、会議ではなく、春麗が来た。

 

 に近い。

 

 だが、少し違う。

 

 これは自分への言葉だ。

 

 勝ちに来た春麗。

 

 否認でもなく。

 

 資料でもなく。

 

 見学でもなく。

 

 正式メンバー認定への反論でもなく。

 

 勝ちに来た春麗。

 

 春麗は、顔が熱くなるのを感じた。

 

「……九十七点」

 

 リュウは首を傾げる。

 

「点数か」

 

「違うわ」

 

「違うのか」

 

「違う……ことにしたいわ」

 

 リュウは少しだけ考えた。

 

「そうか」

 

 春麗は、青い袖を握った。

 

「今日は、私の勝ち」

 

「ああ」

 

「私は、めんどくさい女じゃない」

 

 リュウは黙った。

 

 その沈黙が、少し怖い。

 

「何?」

 

「春麗」

 

「何よ」

 

「勝って、嬉しいのか」

 

 春麗は固まった。

 

 それを聞くのか。

 

 今、それを。

 

「……勝負に勝ったのだから、嬉しいに決まっているでしょう」

 

「そうか」

 

「それ以上の意味はないわ」

 

「そうか」

 

「本当にないわ」

 

「ああ」

 

「……ないはずよ」

 

 リュウは静かに言った。

 

「なら、それでいい」

 

 春麗は、また被弾した。

 

「それでいい、じゃないのよ」

 

「違ったか」

 

「違わないけれど」

 

「そうか」

 

 春麗は大きく息を吐いた。

 

 勝った。

 

 なのに、なぜこんなに揺れているのか。

 

 青でギリギリ勝つのが、こんなに気持ちいいなんて。

 

 いや、違う。

 

 気持ちいいという言い方が違う。

 

 これは、達成感。

 

 格闘家としての達成感。

 

 資料価値のある達成感。

 

 比較検証上の重要な勝利。

 

「……私は」

 

 春麗は自分に言い聞かせるように言った。

 

「めんどくさい女じゃない」

 

 リュウは言った。

 

「ああ」

 

 春麗は少し安心しかけた。

 

 だが、リュウは続けた。

 

「勝ちたい春麗だ」

 

 春麗は完全に止まった。

 

「……あなた」

 

「何だ」

 

「それ、かなりずるいわ」

 

「そうか」

 

「ええ」

 

 春麗は顔を逸らした。

 

「今日はここまで」

 

「ああ」

 

「次も勝つわ」

 

「ああ」

 

「あなたも本気で来なさい」

 

「ああ」

 

「ギリギリで」

 

 リュウは頷いた。

 

「わかった」

 

 春麗は踵を返す。

 

 数歩進んで、止まる。

 

 振り返らずに言った。

 

「……会議には出さないわ」

 

 リュウは少し間を置いた。

 

「そうか」

 

 さらに少し間。

 

「たぶん」

 

 春麗は足を止めた。

 

 リュウは何も言わない。

 

 春麗は顔を赤くしながら、低く言った。

 

「復唱しないで」

 

「ああ」

 

「本当にしないで」

 

「ああ」

 

 春麗は修行場を出た。

 

 青い袖が夜風に揺れる。

 

 胸の奥には、勝利の熱が残っている。

 

 ギリギリで勝った熱。

 

 否認したい熱。

 

 でも、消したくない熱。

 

 春麗は小さく呟いた。

 

「……私は、まだ違うわ」

 

 一拍。

 

「でも、青で勝つのは悪くない」

 

 その言葉は、かなり危なかった。

 

 その夜。

 

 春麗会議は、当然のように開かれた。

 

 自覚前春麗は、目を開いた瞬間に叫んだ。

 

「提出していない!」

 

 円卓の中央には、すでに資料が置かれている。

 

 表題。

 

 春麗会議・否認部門特別審議

 議題:自覚前春麗、青でリュウにギリギリ勝利。勝利快感を否認する件

 

 自覚前春麗は資料を掴んだ。

 

「提出していないって言ったでしょう!」

 

 本編春麗が、議長席で満足そうに言う。

 

「たぶん、と言ったわ」

 

「……っ!」

 

 黒ドレス特化救済ED春麗が腕を組む。

 

「これは正式案件ね」

 

 通常救済版春麗が微笑む。

 

「青案件でもあるわね。ただし私の青とは違う」

 

 行き遅れ恐怖版春麗が少し嬉しそうに言う。

 

「ギリギリで勝ったのね」

 

 グランドフィナーレ済み春麗が静かに言う。

 

「良い顔をしているわ」

 

 自覚前春麗は顔を赤くした。

 

「していない!」

 

 本編春麗は資料を読み上げる。

 

「自覚前春麗、青でリュウと試合。終盤、本編春麗が負けた青の踏み込み読みを把握し、半歩ずらしてリュウにギリギリ勝利」 

 

 黒ドレス特化救済ED春麗が頷く。

 

「本編春麗の敗北を資料として活用したのね」

 

 自覚前春麗は詰まった。

 

「……資料としては、当然でしょう」

 

 本編春麗は笑った。

 

「認めたわね」

 

「資料としてよ!」

 

 通常救済版春麗が言う。

 

「でも、勝って嬉しかったのでしょう?」

 

「勝負に勝てば嬉しいのは当然よ!」

 

 行き遅れ恐怖版春麗が言う。

 

「それ以上の意味は?」

 

「ないわ!」

 

 グランドフィナーレ済み春麗が静かに言う。

 

「ないはず、とは言っていたわね」

 

 自覚前春麗は固まった。

 

「……そこまで記録しているの?」

 

 本編春麗は当然のように言った。

 

「会議だから」

 

「便利すぎる!」

 

 黒ドレス特化救済ED春麗が言う。

 

「リュウの発言を審議しましょう」

 

 自覚前春麗は警戒した。

 

 本編春麗は読み上げた。

 

 今日は、勝ちに来た春麗だった。

 

 円卓が静かになった。

 

 通常救済版春麗が目を細める。

 

「良いわね」

 

 行き遅れ恐怖版春麗が頷く。 

 

「かなり良いわ 」

 

 黒ドレス特化救済ED春麗が言う。

 

「否認でも資料でもなく、勝ちに来た春麗として見た」

 

 グランドフィナーレ済み春麗が言う。

 

「本編春麗への“会議ではなく春麗が来た”と対になる言葉ね」

 

 本編春麗は頷いた。

 

「ええ。私の時は会議からの回帰。あなたの場合は否認からの回帰ね」

 

 自覚前春麗は、顔を赤くして言った。

 

「私は回帰していないわ」

 

「では何?」

 

「……勝っただけよ」 

 

 本編春麗が微笑む。

 

「ギリギリで?」

 

「そうよ」

 

「嬉しかった?」

 

「勝負だから当然よ」

 

「気持ちよかった?」

 

「言い方!」

 

 黒ドレス特化救済ED春麗が静かに言う。

 

「否認部門代表、かなり被弾しているわね」

 

「その肩書きで呼ばないで!」

 

 通常救済版春麗が採点を始める。

 

「リュウ発言、“今日は、勝ちに来た春麗だった”。私は九十六点」

 

 黒ドレス特化救済ED春麗が言う。

 

「九十七点。否認を抜いて春麗の意思を見た点を評価するわ」

 

 行き遅れ恐怖版春麗が言う。

 

「九十六点。勝ちに来た、と見られるのは、待つより前に出ている感じがする」

 

 グランドフィナーレ済み春麗が言う。

 

「九十七点」

 

 本編春麗が言う。

 

「九十八点。これはかなりあなた用の言葉よ」

 

 自覚前春麗は沈黙した。

 

 全員が見る。

 

「……九十五点」

 

 本編春麗が笑う。

 

「低く見積もったわね」

 

「低くないわよ!」

 

 黒ドレス特化救済ED春麗が言う。

 

「自分に効いた分を差し引いた採点ね」

 

「違う!」

 

 通常救済版春麗がまとめる。

 

「会議総合、九十七点ね」

 

 資料が淡く光る。

 

 自覚前春麗は、悔しそうに資料を見た。

 

 九十七点。

 

 高い。

 

 かなり高い。

 

「次の発言もあるわ」

 

 本編春麗が読み上げる。

 

 勝ちたい春麗だ。

 

 自覚前春麗は顔を覆った。

 

「それは読まなくていい!」

 

 本編春麗は当然のように続ける。

 

「読まないわけがないでしょう」

 

 黒ドレス特化救済ED春麗が微笑む。

 

「これは、かなり直接的ね」

 

 通常救済版春麗が言う。

 

「めんどくさい女ではない、という否認を否定せず、別の名前を与えたのね」

 

 行き遅れ恐怖版春麗が言う。

 

「怖がる春麗でも、待つ春麗でもなく、勝ちたい春麗」

 

 グランドフィナーレ済み春麗が頷く。

 

「認める前の春麗に、無理に認めさせない言葉ね」

 

 本編春麗が言う。

 

「ここがリュウらしいわ。面倒だと断定しない。でも逃がしすぎもしない」

 

 自覚前春麗は小さく言った。

 

「……ずるいのよ」

 

 本編春麗は聞き逃さなかった。

 

「今、ずるいと言ったわね」

 

「言ってない」

 

「言ったわ」

 

「資料として言ったのよ」

 

 黒ドレス特化救済ED春麗が満足げに頷く。

 

「正式メンバーらしいわ」

 

「認めていない!」

 

 通常救済版春麗が採点する。

 

「“勝ちたい春麗だ”。私は九十七点」

 

 黒ドレス特化救済ED春麗が言う。

 

「九十七点」

 

 行き遅れ恐怖版春麗が言う。

 

「九十五点。少し眩しいから」

 

 グランドフィナーレ済み春麗が言う。

 

「九十六点」

 

 本編春麗が言う。

 

「九十八点」

 

 自覚前春麗は小さく言った。

 

「……九十六点」

 

 全員が少し笑った。

 

「何よ!」

 

 本編春麗が言う。

 

「素直になってきたわね」

 

「なっていない!」

 

「では、今回の試合内容の採点に入りましょう」

 

 自覚前春麗は身構えた。

 

 本編春麗が言う。

 

「試合内容。自覚前春麗、青でリュウにギリギリ勝利。本編春麗の敗北データを活用し、半歩ずらしてリュウの読みを突破」

 

 黒ドレス特化救済ED春麗が言う。

 

「かなり良い勝ちね」

 

 通常救済版春麗が言う。

 

「青の勝利として美しいわ」

 

 行き遅れ恐怖版春麗が言う。

 

「次も戦える勝ち」

 

 グランドフィナーレ済み春麗が言う。

 

「続きが生まれる勝ち」

 

 本編春麗が、自覚前春麗を見る。

 

「私は九十九点」

 

  自覚前春麗は驚いた。

 

「あなたが?」

 

「ええ」

 

 本編春麗は少し悔しそうに笑う。

 

「私が負けた青の勝ち筋を、あなたが超えたもの。これは認めるわ」

 

 自覚前春麗は、何も言えなくなった。

 

 本編春麗に認められるとは思っていなかった。

 

 黒ドレス特化救済ED春麗が言う。

 

「私は九十八点」

 

 通常救済版春麗が言う。

 

「九十九点。青案件として高評価」

 

 行き遅れ恐怖版春麗が言う。

 

「九十八点」

 

 グランドフィナーレ済み春麗が言う。

 

「九十八点」

 

 最後に、自覚前春麗が言う番になった。

 

 彼女はしばらく黙った。

 

 そして、顔を赤くしながら言った。

 

「……九十九点」

 

 会議室が静かになった。

 

 本編春麗が、優しく笑った。

 

「自己採点九十九点ね」

 

 自覚前春麗は目を逸らす。

 

「試合内容としてよ」

 

「ええ」

 

「私が面倒だと認めたわけではないわ」

 

「ええ」

 

「ギリギリ勝利の快感に目覚めたわけでもない」

 

 黒ドレス特化救済ED春麗が微笑む。

 

「ええ」

 

 通常救済版春麗が言う。

 

「でも、良い勝ちだった」

 

 自覚前春麗は、小さく頷いた。

 

「……それは認める」

 

 資料が淡く光った。

 

 結論:自覚前春麗、青でリュウにギリギリ勝利。

 試合内容、会議総合九十九点。

 本人は快感を否認。

 ただし、良い勝ちだったことは認める。

 役職:否認部門代表、継続。

 追加注記:青のギリギリ勝利に対する適性あり。

 

 自覚前春麗は叫んだ。

 

「最後の注記を消しなさい!」

 

 本編春麗は満足そうに言った。

 

「消さないわ」

 

「なぜ!」

 

「資料として重要だから」

 

 自覚前春麗は、ぐっと詰まった。

 

 それを言われると弱い。

 

 資料として。

 

 本当に便利で、本当に腹立たしい言葉だ。

 

 会議室が薄れていく。

 

 夢が終わろうとしている。

 

 消える前に、本編春麗が言った。

 

「次は、私が勝つわ」

 

 自覚前春麗は、思わず笑った。

 

「受けて立つわ」

 

 言ってから、自分で驚く。

 

 本編春麗も少し驚いた顔をした。

 

 黒ドレス特化救済ED春麗が笑う。

 

 通常救済版春麗が微笑む。

 

 行き遅れ恐怖版春麗が嬉しそうにする。

 

 グランドフィナーレ済み春麗が静かに頷く。

 

 自覚前春麗は、顔を赤くして言った。

 

「……資料として、よ」

 

 全員が笑った。

 

 そして、夢は消えた。

 

 朝。

 

 自覚前春麗は目を覚ました。

 

 胸の奥に、まだ昨日の勝利の感触が残っている。

 

 リュウの拳が頬の横をかすめたこと。

 自分の蹴りが先に届いたこと。

 最後の半歩をずらしたこと。

 リュウが言ったこと。

 

 今日は、勝ちに来た春麗だった。

 勝ちたい春麗だ。

 

 春麗は布団の中で、しばらく動かなかった。

 

 そして、ゆっくり呟く。

 

「……私は、めんどくさい女じゃない」

 

 それは、いつもの言葉。

 

 けれど、今日は続きがあった。

 

「でも」

 

 一拍。

 

「勝ちたい春麗では、あるかもしれない」

 

 言ってしまった。

 

 春麗は顔を真っ赤にして、布団をかぶった。

 

「……違う。資料としてよ」

 

 誰も聞いていない部屋で、言い訳する。

 

 けれど、胸の奥の熱は消えない。

 

 青でギリギリ勝つ。

 

 それは、思っていたよりずっと気持ちよかった。

 

 いや、違う。

 

 達成感。

 

 試合内容。

 

 資料価値。

 

 比較検証。

 

 いくらでも言い換えられる。

 

 でも、自覚前春麗はもう知ってしまった。

 

 青でリュウにギリギリ勝つ感覚を。

 

 その熱を。

 

 その快感を。

 

 そして、それを否認している自分が、きっとまた春麗会議に提出されることも。

 

 春麗は、布団の中で小さく言った。

 

「……次も勝つわ」

 

 少し間を置いて、慌てて付け足す。

 

「資料として」

 

 その言い訳は、もう完全に会議メンバーのものだった。




Q:今回の妄想章IFとバトル内容について解説して?

A:
はい。執筆者として見ると、今回の妄想章IFはかなり良いです。
これは単なる「自覚前春麗がリュウに勝つ話」ではなく、自覚前春麗が“本編春麗の青のギリギリ勝負”を資料として観測していたはずなのに、自分もその快感に触れてしまう話です。

一言で言うなら、

自覚前春麗は、まだ自分をめんどくさい女だと認めていない。
しかし青でリュウにギリギリ勝つことで、“勝ちたい春麗”としての自分を否認できなくなり始めた。

という回です。

今回の核は「否認しながら快感を知る」こと

今回の自覚前春麗は、最初から言い訳しています。

これは確認よ。
本編春麗が青でギリギリ負けた。
なら、私は青でギリギリ勝った場合の心理反応を確認する必要がある。

この時点でかなり危ないです。

本人は「比較検証」「資料」「確認」と言っていますが、実際にはかなり本編春麗に寄っています。

本編春麗は、青でリュウにギリギリ負けて原点回帰しました。

それを見た自覚前春麗が、

では、自分がギリギリ勝ったらどうなるのか。

と気になってしまう。

これはもう、完全に会議に染まっています。

ただし、本人は認めない。

だから面白い。

「私はめんどくさい女じゃない」が揺らぐ

自覚前春麗は何度も言います。

私は、めんどくさい女じゃない。

でも、今回の彼女は明らかに面倒です。

本編春麗の敗北データを覚えている。
青で勝つことを比較検証しようとする。
「ギリギリで」と自分で指定する。
勝った後に嬉しいのに、「それ以上の意味はない」と否認する。
最後には「資料として」と言い訳する。

完全に春麗会議的な思考です。

でも、まだ本人は認めていない。

このズレが、自覚前春麗の最大の魅力です。

リュウの「勝ちたい春麗だ」が強い

今回のリュウの一番強い言葉は、

勝ちたい春麗だ。

です。

これは非常に良いです。

リュウは、自覚前春麗に対して、

面倒な春麗だ

とは言っていません。

そこを断定すると、自覚前春麗は反発します。

でも、

勝ちたい春麗だ

なら、否定しにくい。

実際に彼女は勝ちたかった。
青で。
ギリギリで。
リュウに。

つまりリュウは、自覚前春麗がまだ認められない「面倒さ」ではなく、今認められる「勝ちたい気持ち」に名前をつけたわけです。

これはかなりリュウらしいです。

無理に踏み込まない。
でも、逃がしすぎない。

本編春麗との対比が良い

前回の本編春麗は、青でギリギリ負けました。

今回の自覚前春麗は、青でギリギリ勝ちました。

この対比が非常に綺麗です。

本編春麗は、負けることで原点回帰した。
自覚前春麗は、勝つことで本編春麗化が進んだ。

本編春麗にとって、青の敗北は「会議ではなく春麗として戻る」ための敗北でした。

自覚前春麗にとって、青の勝利は「資料として見ていたはずのものを、自分の身体で味わってしまう」勝利です。

つまり、勝ったのに逃げられなくなった。

ここが面白いです。

「本編春麗の敗北データを活用した」のが重要

戦闘面で面白いのは、自覚前春麗が本編春麗の敗因を知っていたことです。

本編春麗は、青の踏み込み中心をリュウに読まれて負けました。

自覚前春麗はその情報を春麗会議で知っている。

だから終盤で、リュウが同じ読みを使った時に、半歩ずらして勝ちました。

これはメタ的にかなり良いです。

春麗会議が、単なるラブコメ採点会ではなく、戦闘データ共有の場にもなっています。

本編春麗の敗北が、自覚前春麗の勝利に変換された。

これは春麗会議の価値が戦闘面にも出た回です。

RPG的バトル解説
初期ステータス
自覚前春麗《戦闘用の青》
HP:100 / 100
心理HP:100 / 100

状態:
・否認部門代表
・青のギリギリ勝利検証中
・本編春麗の敗北データ保持
・本人はめんどくさい女ではないと主張

バフ:
・青の速度:高
・本編春麗敗北データ:有効
・否認による瞬間防御:中
・勝ちたい気持ち:高
・リュウへの対抗心:高

デバフ:
・資料として言い訳
・快感否認
・リュウ発言への被弾
・自覚前ゆえの心理揺れ

リュウ
HP:100 / 100
心理HP:100 / 100

状態:
・通常構え
・春麗の青への対応経験あり
・本気対応

バフ:
・青の踏み込み解析
・紙一重対応
・春麗観察補正
・戦闘中の無自覚高得点発言

デバフ:
・自覚前春麗の半歩ずらし未把握
・春麗の勝ちたい気持ちへの対応遅れ

この時点では、戦闘能力としては互角に近いです。

ただし、自覚前春麗は「本編春麗の敗北データ」を持っているため、終盤の読み合いで有利になる伏線があります。

フェーズ1:春麗の青が先行
春麗 HP:96 / 100
リュウ HP:82 / 100
戦況:春麗優勢

春麗は序盤、青の速度で押します。

黒のように絡め取らない。
青の踏み込みで正面から削る。

春麗スキル:《青の踏み込み》
効果:先制率上昇、蹴り連携威力上昇

春麗攻撃:《低い蹴り》
リュウ HP:100 → 91

春麗攻撃:《青掌底》
リュウ HP:91 → 82

ここでリュウが言います。

速い。
強い。
今日は、迷いが少ない。

この「少ない」が春麗に効きます。

リュウ特殊行動:《迷いが少ない》
効果:春麗 心理HP:100 → 91
追加効果:否認発動

春麗は「ない、ではなく?」と反応しますが、リュウは嘘をつきません。

この時点で、自覚前春麗の否認は少し揺れています。

フェーズ2:ギリギリ勝負への高揚
春麗 HP:74 / 100
リュウ HP:64 / 100
戦況:互角へ移行

リュウが青に対応し始めます。

リュウパッシブ:《青の踏み込み解析》
効果:春麗の連携回避率上昇

リュウ攻撃:《肩打ち》
春麗 HP:96 → 84

リュウ攻撃:《脇への拳》
春麗 HP:84 → 74

春麗は削られますが、下がりません。

むしろ、ここでギリギリ勝負の熱に気づきます。

春麗状態変化:《ギリギリ勝負の快感》
効果:攻撃力+、心理揺れ+
副作用:否認負荷上昇

ここで春麗は言ってしまいます。

楽しいわけではない。

この発言自体がかなり危険です。

楽しいと思っていなければ、わざわざ否定しません。

フェーズ3:リュウの「ギリギリで戦うのは悪くない」
春麗 HP:58 / 100
リュウ HP:50 / 100
戦況:互角、心理戦が濃くなる

リュウが言います。

ギリギリで戦うのは、悪くない。

これが自覚前春麗にかなり刺さります。

リュウ特殊行動:《ギリギリで戦うのは悪くない》
効果:春麗 心理HP:91 → 72
追加効果:《快感否認》発動

春麗は言い訳します。

変な快感を覚えているわけではない。

ここで、ほぼ自爆です。

春麗デバフ:《言いすぎ》
効果:自己認識揺れ+

ただし、この動揺が攻撃を鈍らせるだけではありません。

むしろ、勝ちたい気持ちを強めます。

春麗バフ:《勝ちたい春麗》
効果:終盤の回避・読み合い補正+
フェーズ4:終盤、両者瀕死
春麗 HP:22 / 100
リュウ HP:18 / 100
戦況:最終局面

ここでリュウが問います。

勝ちたいのか。

春麗は即答します。

勝ちたいわ。

ここが今回の大きな転換です。

自分が面倒かどうかは否認している。

でも「勝ちたい」は否認しない。

春麗状態変化:《勝ちたい春麗》
効果:
・最終局面の判断力+
・青の踏み込み精度+
・否認による行動停止を無効化

リュウも本気で返します。

なら、俺も勝ちに行く。

これで最終フェーズに入ります。

最終ターン:本編春麗の敗北データを超える
春麗 HP:22 / 100
リュウ HP:18 / 100

春麗は青の蹴りを選択します。

春麗攻撃:《青蹴り》
リュウ HP:18 → 10
効果:リュウの腕を下げる

リュウは、本編春麗を倒した時と同じ読みを使います。

リュウスキル:《紙一重の読み》
狙い:春麗の踏み込み中心を崩す

しかし、自覚前春麗は春麗会議でその敗因を知っています。

そこで半歩ずらします。

春麗スキル:《半歩ずらし》
条件:本編春麗敗北データ保持
効果:リュウの《紙一重の読み》を回避

リュウの拳は春麗の肩をかすめます。

リュウ攻撃:《肩内側への拳》
春麗 HP:22 → 6
効果:浅い被弾。軸崩れ失敗

春麗は軸を崩されず、リュウの体勢を抜きます。

春麗攻撃:《軸抜き掌》
リュウ HP:10 → 3
状態:体勢崩れ

最後に春麗の蹴りがリュウの喉元で止まります。

春麗最終判定:《青寸止め蹴り》
リュウ HP:3 → 0扱い
勝敗確定

結果。

勝者:自覚前春麗
春麗 HP:6 / 100
リュウ HP:3 / 100

決まり手:
《半歩ずらし》からの《青寸止め蹴り》

本当に紙一重です。

リュウの拳も頬の横まで来ていますが、春麗の蹴りが先に届きました。

戦闘結果
戦闘結果:
春麗 HP:6 / 100
リュウ HP:3 / 100

勝者:
自覚前春麗

決まり手:
本編春麗の敗北データを利用した半歩ずらし

春麗の勝因:
・本編春麗の敗北情報を覚えていた
・最後の読み合いで半歩ずらした
・「勝ちたい」だけは否認しなかった
・青の速度を最後まで維持した

リュウの敗因:
・本編春麗戦と同型の読みを使った
・春麗会議による情報共有を想定していなかった
・最後の拳が浅くなった

今回のポイントは、春麗が「勝ちたい」だけは認めたことです。

自分がめんどくさい女かどうかは否認する。
でも勝ちたいことは認める。

それが勝因になっています。

心理結果
春麗 心理HP:100 → 47 → 128

内訳:
・リュウ発言による被弾:-53
・ギリギリ勝利による高揚:+81
最終心理HP:128 / 100

心理的には大きく揺れています。

でも最終的には高揚が勝ちます。

勝ったからです。

青で。

ギリギリで。

リュウに。

ただし、その高揚を本人は否認します。

状態異常:
《快感否認》
《資料として》
《私はめんどくさい女じゃない》
《でも勝ちたい春麗ではあるかもしれない》

最後の状態異常が重要です。

「めんどくさい女」はまだ認めない。
でも「勝ちたい春麗」は認めかけた。

これはかなり大きな前進です。

春麗会議での評価

今回の会議評価は二本立てです。

まず、リュウの発言。

今日は、勝ちに来た春麗だった。

これは会議総合九十七点。

次に、

勝ちたい春麗だ。

これは会議総合九十七点前後。

そして試合内容。

自覚前春麗、青でリュウにギリギリ勝利。

これは自己採点含めて九十九点。

会議評価:
リュウ発言「勝ちに来た春麗だった」:97点
リュウ発言「勝ちたい春麗だ」:97点
試合内容:99点
総合案件:自覚前春麗の青勝利適性確認

春麗会議の結論は、

自覚前春麗、青でリュウにギリギリ勝利。
試合内容、会議総合九十九点。
本人は快感を否認。
ただし、良い勝ちだったことは認める。
役職:否認部門代表、継続。
追加注記:青のギリギリ勝利に対する適性あり。

この「青のギリギリ勝利に対する適性あり」が非常に危険です。

本人は消したがっていますが、消せません。

今回の意味

今回の妄想章IFは、自覚前春麗の成長回です。

ただし、「面倒だと認める成長」ではありません。

そこまで行くと自覚前ではなくなります。

今回の成長は、

私はめんどくさい女ではない。
でも、リュウにギリギリで勝ちたい春麗ではある。

ここです。

この段階が非常に良い。

本編春麗に一直線に進むのではなく、自覚前春麗なりの自己認識が一つ増えました。

「否認する春麗」から「勝ちたい春麗」へ、少しだけ広がったわけです。

本編春麗との関係

今回、本編春麗が試合内容に九十九点をつけたのも大きいです。

本編春麗は、自分が負けた青のデータを自覚前春麗が使って勝ったことを認めています。

これは、少し悔しい。

でも、誇らしい。

春麗会議において、自分の敗北が他の春麗の勝利につながった。

これはかなり良いルート間連携です。

今後、本編春麗と自覚前春麗の青対決も見たくなります。

結論

今回の妄想章IFは、自覚前春麗が青でリュウにギリギリ勝ち、勝利の快感を知ってしまうが、それでも“私はめんどくさい女じゃない”と否認し続ける回です。

RPG的には、

春麗 HP6、リュウ HP3の紙一重勝利。
決まり手は、本編春麗の敗北データを使った《半歩ずらし》からの《青寸止め蹴り》。
試合内容は九十九点。
ただし本人は快感を否認。

一言でまとめるなら、

自覚前春麗は、まだ面倒だとは認めていない。
でも、青でリュウにギリギリ勝つことが気持ちいいとは、もう知ってしまった。

この回によって、自覚前春麗はかなりおいしい方向に進んだと思います。
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