また戦ってくれなんて言わないで ――春麗は今日もめんどくさい――   作:エーアイ

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※これは本編時空とは無関係の妄想章IFです。
裏ルート通常救済版春麗のエピソードになります。


妄想章IF後日談:通常救済版春麗は、選べる黒を着る

 通常救済版春麗は、少しだけ思っていた。

 

 最近、自分の出番が少ない。

 

 春麗会議には参加している。

 

 青と黒の整理役として、発言もしている。

 

 本編春麗が主人公として再確認された時も、自覚前春麗がタイトルに巻き込まれた時も、黒ドレス特化救済春麗が甘くて重いご褒美をリュウに与えた時も、自分はそこにいた。

 

 けれど、当事者ではなかった。

 

「……そろそろ、私の番でもいいわよね」

 

 春麗は、鏡の前で呟いた。

 

 椅子の背には、青い武道服がある。

 

 自分の基本。

 

 戦う青。

 戦わない青。

 歩く青。

 リュウと手をつないだ青。

 

 それは大切だ。

 

 だが、今日はそれを選ばない。

 

 春麗は、もう一方を見た。

 

 黒いドレス。

 

 黒ドレス特化救済春麗の象徴のように扱われる衣装。

 

 甘くて重い黒。

 境界を問う黒。

 見せる黒と、見せない黒を分ける黒。

 リュウに受け取らせる黒。

 

 それも、大切だ。

 

 でも、自分にとっての黒は少し違う。

 

 通常救済版春麗は、黒に囚われているわけではない。

 

 黒だけを選ぶわけではない。

 

 黒を拒むわけでもない。

 

 青でもいい。

 黒でもいい。

 戦ってもいい。

 戦わなくてもいい。

 

 選べる。

 

 それが、この春麗の特徴だった。

 

「だから今日は、黒を選ぶわ」

 

 春麗は黒いドレスへ手を伸ばした。

 

「黒特化の私とは違う黒を」

 

 黒を着る。

 

 だが、沈めるためではない。

 

 責任を問うためでもない。

 

 ご褒美として重く差し出すためでもない。

 

 今日は、選べる春麗が選んだ黒。

 

 青を持っている春麗が、あえて着る黒。

 

「行きましょう」

 

 春麗は、鏡の中の自分に微笑んだ。

 

「私の黒を、見せに」

 

 リュウは、いつもの場所にいた。

 

 春麗が黒いドレスで現れると、リュウは静かに顔を上げた。

 

 その目は、逃げなかった。

 

 黒を見る。

 

 春麗を見る。

 

 そして、少しだけ言った。

 

「今日は、黒か」

 

「ええ」

 

 春麗は頷く。

 

「今日は黒よ」

 

 リュウは構えかけた。

 

 だが、春麗は手を上げて止めた。

 

「今日は、すぐには戦わないわ」

 

 リュウは動きを止める。

 

「そうか」

 

「ええ」

 

 春麗は近づいた。

 

 黒いドレスの裾が、静かに揺れる。

 

 黒ドレス特化救済春麗なら、この距離に重さを乗せる。

 

 本編春麗なら、きっと採点する。

 

 自覚前春麗なら、否認しながら被弾する。

 

 でも、通常救済版春麗は違った。

 

 春麗は、穏やかに言った。

 

「リュウ。私が黒を着た理由、わかる?」

 

 リュウは少し考えた。

 

「戦うためではないのか」

 

「戦うこともできるわ」

 

「ああ」

 

「でも、それだけではない」

 

 リュウは春麗を見る。

 

 春麗は微笑んだ。

 

「今日は、選んだの」

 

「選んだ?」

 

「ええ。青でもよかった。青い武道服で来てもよかった。戦わずに歩くこともできた。あなたと手をつなぐこともできた。逆に、黒で戦うこともできた」

 

 春麗は、黒いドレスの裾を軽く指で整えた。

 

「その中で、今日は黒を選んだ」

 

 リュウは黙って聞いている。

 

 春麗は続けた。

 

「だから、これは黒に引っ張られた私ではないわ」

 

 一拍。

 

「私が、黒を選んだの」

 

 リュウは、静かに頷いた。

 

「そうか」

 

「ええ」

 

「なら、今日の黒は春麗のものだ」

 

 春麗は、少しだけ息を止めた。

 

 それは、思ったよりも良い答えだった。

 

 黒を特別扱いしすぎない。

 

 黒を軽くもしない。

 

 ただ、春麗が選んだ黒として受け取る。

 

 春麗は小さく笑った。

 

「九十四点」

 

 リュウは首を傾げる。

 

「点数か」

 

「ええ」

 

「高いのか」

 

「かなり高いわ」

 

「なら、よかった」

 

「でも、まだ上があるわ」

 

 リュウは頷いた。

 

「そうか」

 

 春麗は、リュウの前に立った。

 

 距離は近い。

 

 だが、重くない。

 

 黒なのに、重くない。

 

 それは、黒ドレス特化救済春麗とは明確に違う黒だった。

 

「リュウ」

 

「何だ」

 

「あなたにとって、黒は重い?」

 

 リュウはすぐには答えなかった。

 

 春麗は待つ。

 

 急がせない。

 

 試すためではなく、聞くために。

 

 リュウは答えた。

 

「重い」

 

「ええ」

 

「だが、今日の黒は少し違う」

 

 春麗は目を細める。

 

「どう違うの?」

 

 リュウは、春麗を見る。

 

「近づいてくる黒ではなく、春麗が着て立っている黒だ」

 

 春麗は、胸の奥が少し温かくなるのを感じた。

 

「……それ、かなり良いわね」

 

「そうか」

 

「ええ」

 

 黒ドレス特化救済春麗なら、ここで「受け取る覚悟」を問うかもしれない。

 

 だが、自分はそうしない。

 

 通常救済版春麗は、黒を問うのではなく、選んだ黒を一緒に確認する。

 

「では、今日は少し歩きましょう」

 

 リュウは少し驚いたようだった。

 

「黒でか」

 

「ええ」

 

 春麗は微笑む。

 

「黒で歩いてはいけない理由がある?」

 

「ない」

 

「なら、歩くわ」

 

 リュウは頷いた。

 

「ああ」

 

 二人は、夜の道を歩いた。

 

 黒いドレスは、夜に溶ける。

 

 けれど、春麗は消えない。

 

 青い武道服で歩いた時とは違う。

 

 あの時は、日常へ戻るような青だった。

 

 戦わない青。

 

 手をつなぐ青。

 

 今日の黒は、日常に混ざるには少し目立つ。

 

 けれど、戦闘に閉じるほど重くもない。

 

 リュウは隣を歩いている。

 

 少し距離を置いて。

 

 春麗はその距離を見て、少しだけ笑った。

 

「今日は、もう少し近くてもいいわ」

 

 リュウは足を止める。

 

「いいのか」

 

「ええ」

 

「黒だが」

 

「黒だから駄目なの?」

 

「いや」

 

「なら、いいの」

 

 リュウは半歩近づいた。

 

 黒ドレス特化救済春麗なら、この半歩にもっと重い意味を持たせただろう。

 

 だが、通常救済版春麗は、穏やかに受け取った。

 

「リュウ」

 

「何だ」

 

「黒が重いから近づかない、というのは違うわ」

 

「ああ」

 

「でも、黒だから何でも近づいていい、というのも違う」

 

「ああ」

 

「私が選ぶ。あなたが見る。必要なら、あなたが聞く」

 

「ああ」

 

「でも今日は、そこまで重くしなくていい」

 

 リュウは春麗を見る。

 

「重くしなくていい黒か」

 

「ええ」

 

 春麗は黒いドレスの裾を見下ろした。

 

「私は黒を持っている。でも、いつも黒に溺れているわけではない。黒を着ても、普通に歩ける。普通に話せる。あなたの隣に立てる」

 

 リュウは頷いた。

 

「今日の春麗は、黒を着ている」

 

「ええ」

 

「だが、黒に閉じていない」

 

 春麗は、足を止めた。

 

 今の言葉は、かなりよかった。

 

 黒に閉じていない。

 

 それは、通常救済版春麗の黒をよく捉えている。

 

「……九十七点」

 

 リュウが少し驚く。

 

「上がったな」

 

「ええ」

 

 春麗は少しだけ嬉しそうに微笑んだ。

 

「今のはかなり良いわ」

 

「そうか」

 

「黒特化の私なら、たぶん九十九点をつけたかもしれない」

 

 リュウは首を傾げる。

 

「黒特化?」

 

「深く考えなくていいわ」

 

「ああ」

 

 春麗は歩き出す。

 

「でも私は九十七点にする」

 

「なぜだ」

 

「今日は、重さだけを評価する日ではないから」

 

 リュウは少し考える。

 

「では、何を評価する」

 

 春麗は答えた。

 

「選べること」

 

 リュウは黙った。

 

 春麗は続ける。

 

「黒を選んだこと。黒を着ても、黒だけにならなかったこと。あなたが、それを見たこと」

 

 リュウは、静かに言った。

 

「なら、俺は今日の黒を見る」

 

 春麗は、少しだけ目を伏せた。

 

「ええ」

 

 一拍。

 

「今日の黒を見て」

 

 橋の上で、春麗は足を止めた。

 

 以前、青い武道服でリュウと手をつないだ場所に似ていた。

 

 今日は黒いドレス。

 

 同じ場所でも、違う空気になる。

 

 春麗は欄干に手を置いた。

 

 リュウは隣に立つ。

 

「リュウ」

 

「何だ」

 

「黒特化の私は、黒を重く渡すわ」

 

「ああ」

 

「本編の私は、黒で勝とうとして、過去の事故に足を取られることもある」

 

「ああ」

 

「自覚前の私は、黒を否認しながら被弾する」

 

「ああ」

 

「でも、私は違う」

 

 リュウは春麗を見る。

 

「どう違う」

 

 春麗は、少しだけ微笑む。

 

「私は、黒も選べる」

 

 リュウは黙った。

 

 春麗は言った。

 

「青を選べる私が、今日は黒を選んだ。それが私の黒」

 

 黒に沈むのではない。

 

 黒に試されるのでもない。

 

 黒に縛られるのでもない。

 

 黒を消すのでもない。

 

 選ぶ。

 

 ただ、それだけ。

 

 けれど、それは救済後の春麗にとって、とても大きなことだった。

 

 リュウは、ゆっくり答えた。

 

「春麗は、黒を着ている」

 

「ええ」

 

「でも、いつでも青に戻れる」

 

 春麗は息を止めた。

 

 リュウは続ける。

 

「黒を脱ぐためではなく、選べるからだ」

 

 春麗は、胸の奥が静かに満ちるのを感じた。

 

 それは、甘かった。

 

 でも、黒ドレス特化春麗の甘さとは違う。

 

 重すぎない。

 

 けれど、浅くない。

 

「……九十九点」

 

 リュウが春麗を見る。

 

「今のがか」

 

「ええ」

 

「高いのか」

 

「最高に近いわ」

 

「百点ではないのか」

 

 春麗は微笑む。

 

「百点にしたら、次がなくなるでしょう?」

 

 リュウは頷いた。

 

「そうか」

 

「ええ」

 

 春麗は、黒いドレスのまま手を差し出した。

 

 リュウは、その手を見る。

 

「手を?」

 

「ええ」

 

「黒で?」

 

「黒で」

 

 リュウは少しだけ慎重に手を伸ばした。

 

 春麗はその手を取った。

 

 青い武道服の時とは違う。

 

 黒ドレス特化救済春麗の時とも違う。

 

 重く絡め取るのではない。

 

 許可して受け取らせるのでもない。

 

 ただ、選んだ黒で手をつなぐ。

 

 春麗は言った。

 

「今日のこれは、ご褒美ではないわ」

 

「ああ」

 

「試練でもない」

 

「ああ」

 

「責任でもない」

 

「ああ」

 

「選択よ」

 

 リュウは、春麗の手を握ったまま頷いた。

 

「春麗が選んだ」

 

「ええ」

 

「なら、俺はそれを受け取る」

 

 春麗は少しだけ笑った。

 

「受け取る、は黒特化の私なら高得点ね」

 

「今日の春麗は?」

 

「今日の私は……」

 

 春麗は少し考える。

 

「九十八点」

 

「一点足りないのか」

 

「ええ」

 

「なぜだ」

 

 春麗は、手をつないだまま、ゆっくり歩き出した。

 

「次は、あなたにも選んでほしいから」

 

 リュウは春麗を見た。

 

「俺も選ぶのか」

 

「ええ」

 

「何を」

 

「私が青でも黒でも、戦っても戦わなくても、あなたがどう隣に立つのか」

 

 リュウは考え込んだ。

 

 春麗は少し笑った。

 

「宿題ではないわ」

 

「違うのか」

 

「ええ」

 

 一拍。

 

「でも、考えておいて」

 

 リュウは頷いた。

 

「ああ」

 

 春麗は満足した。

 

 黒を選んだ。

 

 黒を着て歩いた。

 

 黒のまま手をつないだ。

 

 でも、黒特化ではない。

 

 自分の黒だった。

 

 選べる春麗の黒。

 

 その夜。

 

 春麗会議は、落ち着いた空気で始まった。

 

 だが、中央にはすでに資料がある。

 

 本編春麗が読み上げた。

 

 春麗会議・通常救済版春麗黒ドレス選択審議

 議題:最近出番が少ないと感じていた通常救済版春麗、あえて黒ドレスを選び、黒ドレス特化救済春麗とは異なる“選べる黒”を提示した件

 

 自覚前春麗が言った。

 

「また黒なの?」

 

 黒ドレス特化春麗が目を細める。

 

「でも、私の黒ではないわね」

 

 通常救済版春麗は頷いた。

 

「ええ。今日は私の黒」

 

 行き遅れ恐怖版春麗が言う。

 

「黒なのに、少し穏やかだったわ」

 

 グランドフィナーレ済み春麗が微笑む。

 

「救済後の黒ね」

 

 本編春麗は資料を読む。

 

 青でもよかった。

 青い武道服で来てもよかった。

 戦わずに歩くこともできた。

 その中で、今日は黒を選んだ。

 

 黒ドレス特化春麗が頷く。

 

「ここが違うわね」

 

 自覚前春麗が聞く。

 

「何が?」

 

 黒ドレス特化春麗は答えた。

 

「私の黒は、黒に深く降りてから救済された黒。通常救済版の黒は、青も持ったまま選んだ黒」

 

 通常救済版春麗は静かに頷く。

 

「そうね」

 

 本編春麗が続ける。

 

 これは黒に引っ張られた私ではない。

 私が、黒を選んだの。

 

 通常救済版春麗は、自分の言葉を聞きながら少しだけ微笑んだ。

 

 自覚前春麗が小さく言う。

 

「……選べるのは、強いわね」

 

 本編春麗がすかさず見る。

 

「資料として?」

 

 自覚前春麗は顔を赤くする。

 

「資料としてよ!」

 

 通常救済版春麗は笑った。

 

 本編春麗は次を読む。

 

 今日の黒は春麗のものだ。

 

 黒ドレス特化春麗が即座に言った。

 

「九十六点」

 

 通常救済版春麗が言う。

 

「私は九十四点にしたわ」

 

 本編春麗が首を傾げる。

 

「低めね」

 

「最初の答えとしては十分。でも、まだ核心ではなかったから」

 

 グランドフィナーレ済み春麗が言う。

 

「段階的に上がる回だったのね」

 

 本編春麗は頷いて、次を読む。

 

 今日の春麗は、黒を着ている。

 だが、黒に閉じていない。

 

 黒ドレス特化春麗は、少しだけ目を細めた。

 

「これは良いわ」

 

 通常救済版春麗は頷く。

 

「九十七点」

 

 行き遅れ恐怖版春麗が言う。

 

「黒に閉じていない、は安心するわね」

 

 自覚前春麗が言う。

 

「黒を着ても黒だけにならない……」

 

 本編春麗が見る。

 

 自覚前春麗は即座に言った。

 

「資料として!」

 

 本編春麗は満足そうに資料へ書いた。

 

 自覚前春麗、選べる黒に反応。

 

「書かないで!」

 

 本編春麗はさらに読み上げる。

 

 春麗は、黒を着ている。

 でも、いつでも青に戻れる。

 黒を脱ぐためではなく、選べるからだ。

 

 会議室が静かになった。

 

 黒ドレス特化春麗が言った。

 

「……これは九十九点ね」

 

 通常救済版春麗は頷いた。

 

「ええ。九十九点」

 

 本編春麗も頷く。

 

「異議なし」

 

 行き遅れ恐怖版春麗が言う。

 

「戻れる、が安心するわ」

 

 グランドフィナーレ済み春麗が言う。

 

「黒を否定して戻るのではなく、選べるから戻れる。救済後の完成形に近いわ」

 

 自覚前春麗は黙っていた。

 

 通常救済版春麗が見る。

 

「どうしたの?」

 

 自覚前春麗は、少しだけ目を逸らす。

 

「……それは、少し羨ましいわ」

 

 本編春麗が驚いた顔をする。

 

 黒ドレス特化春麗も少しだけ目を動かす。

 

 自覚前春麗は慌てた。

 

「資料として!」

 

 通常救済版春麗は、優しく微笑んだ。

 

「ええ。資料としてね」

 

 本編春麗は資料へ書く。

 

 自覚前春麗、選べる状態に羨望。

 

「だから書かないで!」

 

 会議室に少し笑いが広がった。

 

 本編春麗は最後の場面を読む。

 

 今日のこれは、ご褒美ではない。

 試練でもない。

 責任でもない。

 選択よ。

 

 黒ドレス特化春麗が言う。

 

「私の黒との差がはっきりしたわね」

 

 通常救済版春麗が頷く。

 

「あなたの黒は、ご褒美にも試練にも責任にもなる。私の黒は、今日選べるものとしての黒」

 

 本編春麗が言う。

 

「本編の黒は、事故も起きるわ」

 

 自覚前春麗が言う。

 

「私の黒は……」

 

 全員が見る。

 

 自覚前春麗は顔を赤くした。

 

「……まだ整理中よ!」

 

 黒ドレス特化春麗が微笑む。

 

「否認中ね」

 

「違う!」

 

 行き遅れ恐怖版春麗が言う。

 

「でも、選べる黒はいいわね。待つことも、選べるなら少し楽かもしれない」

 

 グランドフィナーレ済み春麗が言う。

 

「終わった後にも、選べた記憶は残るわ」

 

 本編春麗は結論を書き込んだ。

 

 春麗会議・通常救済版春麗黒ドレス選択審議 結論

 

 一、通常救済版春麗は、最近出番が少ないと感じていた。

 

 二、青い武道服ではなく、あえて黒ドレスを選択。

 

 三、この黒は、黒ドレス特化救済春麗のような甘くて重い黒ではなく、青も黒も持つ春麗が選んだ“選択としての黒”である。

 

 四、リュウは“黒に閉じていない”“いつでも青に戻れる。黒を脱ぐためではなく、選べるからだ”と回答し、九十九点を獲得。

 

 五、通常救済版春麗は満足。黒ドレス特化春麗も、別種の黒として承認。

 

 六、自覚前春麗は選べる状態に羨望。ただし本人は資料としてと主張。

 

 自覚前春麗が叫ぶ。

 

「六番を消して!」

 

 本編春麗は即答する。

 

「消さないわ」

 

「消して!」

 

「正式記録よ」

 

「正式にしないで!」

 

 黒ドレス特化春麗が通常救済版春麗を見る。

 

「あなたの黒、悪くなかったわ」

 

 通常救済版春麗は微笑む。

 

「ありがとう」

 

「でも、少し軽い」

 

「ええ。軽くしているもの」

 

 黒ドレス特化春麗は、少しだけ笑った。

 

「それを選べるのは、あなたの強さね」

 

 通常救済版春麗は頷いた。

 

「黒を重くすることもできる。でも今日は、そうしなかった」

 

 本編春麗が言う。

 

「これで青案件だけでなく、通常救済版の黒案件も成立ね」

 

 行き遅れ恐怖版春麗が言う。

 

「選べる春麗は、強いわね」

 

 グランドフィナーレ済み春麗が締める。

 

「青に戻れる黒。黒を選べる青。どちらも、救済後の春麗なのね」

 

 通常救済版春麗は、静かに目を伏せた。

 

「今日は、それで十分」

 

 本編春麗が資料へ最後に書いた。

 

 次回候補:リュウが選ぶ側になる場合、通常救済版春麗はどう受け取るか。

 

 通常救済版春麗は少しだけ笑う。

 

「それは、また今度ね」

 

 自覚前春麗が呟く。

 

「結局、次が生まれるのね」

 

 本編春麗は当然のように言った。

 

「春麗会議で重要なのは、次が生まれるかどうかよ」

 

 全員が頷く。

 

 夢がほどけていく。

 

 最後に、リュウの声が残った。

 

 黒を脱ぐためではなく、選べるからだ。

 

 通常救済版春麗は、夢の中で小さく微笑んだ。

 

「九十九点よ」

 

 朝。

 

 通常救済版春麗は目を覚ました。

 

 胸の奥に、黒の余韻が残っている。

 

 重くない黒。

 

 軽すぎない黒。

 

 青へ戻るための黒ではなく、青も持っている春麗が選んだ黒。

 

 春麗は、椅子の背にかかった黒ドレスを見た。

 

 隣には、青い武道服もある。

 

 どちらも自分のものだ。

 

 青を着てもいい。

 

 黒を着てもいい。

 

 戦ってもいい。

 

 戦わなくてもいい。

 

 歩いてもいい。

 

 手をつないでもいい。

 

「選べる、か」

 

 春麗は静かに呟いた。

 

 リュウは、それを見た。

 

 黒に閉じていない、と。

 

 いつでも青に戻れる、と。

 

 黒を脱ぐためではなく、選べるからだ、と。

 

 それは、とても良い答えだった。

 

 春麗は微笑む。

 

「次は、あなたが何を選ぶのかしら」

 

 その声は穏やかだった。

 

 黒を着た後の朝なのに、重くない。

 

 けれど、確かに甘い。

 

 通常救済版春麗は、青い武道服と黒ドレスをもう一度見比べた。

 

 そして、小さく言った。

 

「今日は、青でも黒でもなくてもいいわね」

 

 選べる。

 

 そのこと自体が、救済後の春麗の強さだった。




Q:今回の妄想章IF後日談について解説して?

A:
はい。今回の妄想章IF後日談は、通常救済版春麗の個性である 「選べること」 をかなり綺麗に出せた回です。

一言で言うなら、

通常救済版春麗が、黒ドレスを“黒に囚われた結果”ではなく、“青も黒も選べる自分が、今日はあえて選んだもの”として着た回

です。

これは黒ドレス特化救済春麗の黒とは、かなり意味が違います。

今回の核は「選べる黒」

今回、一番重要なのは、通常救済版春麗が黒ドレスを着た理由です。

黒ドレス特化救済春麗の場合、黒はかなり深い意味を持っています。

黒の重さ。
黒の境界。
黒を見せること。
見せない黒には触れさせないこと。
リュウがそれを受け取る覚悟。

かなり濃いです。

一方、通常救済版春麗の黒はそこまで重くない。

でも軽くもない。

彼女にとって黒は、

青でもよかった。
戦わなくてもよかった。
でも今日は黒を選んだ。

という選択の結果です。

ここが非常に良いです。

黒に引っ張られているのではない。
黒に沈んでいるのではない。
黒しか選べないのではない。

青も選べる春麗が、今日は黒を選ぶ。

これが通常救済版春麗の黒です。

黒ドレス特化春麗との差別化が明確

今回の狙いだった「黒特化救済の甘くて重い春麗とは違う黒ドレス」を示すという点は、かなり成功しています。

黒ドレス特化春麗の黒は、

深く、重く、境界を問う黒

です。

今回の通常救済版春麗の黒は、

穏やかで、開かれていて、選択として成立する黒

です。

特に、

今日のこれは、ご褒美ではない。
試練でもない。
責任でもない。
選択よ。

ここが決定的です。

黒特化春麗なら、ご褒美にもなる。
試練にもなる。
責任にもなる。

でも通常救済版春麗は、それらではなく「選択」として黒を扱う。

この差が非常に綺麗です。

リュウの「黒に閉じていない」が高得点

今回のリュウの最初の高得点回答は、

今日の春麗は、黒を着ている。
だが、黒に閉じていない。

です。

これは通常救済版春麗にかなり刺さる答えです。

黒を見ている。
でも、黒だけで春麗を判断していない。

黒を軽視していない。
でも、黒に閉じ込めてもいない。

これは通常救済版春麗の核心をかなり正確に捉えています。

だから九十七点。

黒ドレス特化春麗なら、黒を深く受け取る答えに高得点をつけます。
通常救済版春麗は、黒を選んだ自分が黒だけに閉じないことを見てもらえると高得点になる。

この差がいいです。

最高点は「黒を脱ぐためではなく、選べるからだ」

今回の九十九点回答はここです。

春麗は、黒を着ている。
でも、いつでも青に戻れる。
黒を脱ぐためではなく、選べるからだ。

これは、通常救済版春麗にとってほぼ完璧に近い答えです。

重要なのは、リュウが「青に戻れる」と言っていることではありません。

その理由です。

黒を脱ぐためではない。
選べるから戻れる。

ここが非常に強い。

黒が悪いから青に戻るのではない。
黒が重すぎるから逃げるのでもない。
青が正解で黒が間違いなのでもない。

青も黒も持っている。
だから選べる。

これは通常救済版春麗の救済後の強さそのものです。

「黒で歩く」が良い

今回、黒ドレスで戦うのではなく、まず歩かせたのも良いです。

黒ドレスは戦闘や誘惑や責任と結びつきがちです。

でも通常救済版春麗は、黒ドレスで普通に歩ける。

これは地味ですが大事です。

黒を着ても、戦闘に閉じない。
黒を着ても、重いイベントだけにならない。
黒を着ても、日常に出られる。

これが救済後の安定感です。

青い武道服で戦わずに歩いた回がありましたが、今回はその対になる形です。

青い武道服で戦わず歩く
黒ドレスで重くなりすぎず歩く

この対比が、通常救済版春麗の「選べる」性質をかなり強めています。

黒ドレス特化春麗が承認するのが良い

春麗会議で黒ドレス特化春麗が、

私の黒ではないわね。

と言うのが重要です。

これは否定ではありません。

むしろ、別種の黒として認めている。

そして最後に、

あなたの黒、悪くなかったわ。

と言う。

ここが良いです。

黒の専門家である黒ドレス特化春麗が、自分とは違う黒を認める。

これによって、通常救済版春麗の黒がただの軽い黒ではなく、ちゃんと成立した黒として保証されます。

黒特化春麗の、

でも、少し軽い。

に対して、通常救済版春麗が、

ええ。軽くしているもの。

と返すのも良いです。

軽いのは欠点ではない。

意図的に軽くしている。

これが通常救済版春麗の強さです。

自覚前春麗の「羨ましい」がかなり重要

今回、地味に大きいのは自覚前春麗の反応です。

それは、少し羨ましいわ。

これ、かなり大きいです。

自覚前春麗は、まだ青や黒を自由に選べません。

黒を着れば被弾する。
青でも引き分けたり負けたりして揺れる。
救済台詞にも反応する。
タイトルにも巻き込まれる。

つまり彼女は、まだ「選べる」段階ではない。

だから通常救済版春麗の、

黒を着ても、青に戻れる。
黒を脱ぐためではなく、選べるから戻れる。

という状態が羨ましい。

これは自覚前春麗の成長フックになります。

彼女は「認めていない」けれど、選べる状態には憧れ始めている。

今後、自覚前春麗が「選べる春麗」に近づくための伏線になります。

本編春麗との差も出ている

本編春麗の黒は、今回直前の断章IFでかなり事故りました。

本編春麗は、黒ドレスでギリギリ勝利を取りに行き、過去の事故記憶で発勁がズレて逆介抱イベントに入った。

つまり本編春麗の黒は、

勝利・記憶・事故・悔しさ・嬉しさが絡む黒

です。

一方、通常救済版春麗の黒は、

安定・選択・歩く・手をつなぐ・黒に閉じない黒

です。

この違いがあることで、同じ黒ドレスでも各春麗の個性がより明確になります。

今回のテーマは「黒を着ても、黒だけにならない」

この後日談のテーマを一文で言うなら、

通常救済版春麗は、黒を着ても黒だけにならない。

です。

これはかなり大事です。

黒を否定しない。
黒を軽視しない。
でも、黒だけに閉じない。

青もある。
黒もある。
歩くこともある。
戦うこともある。
手をつなぐこともある。

そのすべてを選べる。

これが通常救済版春麗の完成度です。

朝の締めが通常救済版らしい

朝の締めで、春麗が青い武道服と黒ドレスを見比べて、

今日は、青でも黒でもなくてもいいわね。

と言うのがとても良いです。

ここで「次は青」と固定しない。
「また黒」とも固定しない。

青でも黒でもなくてもいい。

選択肢が増えている。

これは通常救済版春麗の本質です。

彼女は、どちらかを選ばなければならない春麗ではありません。

選べる春麗です。

だから、最後がとても穏やかに終わっています。

結論

今回の妄想章IF後日談は、通常救済版春麗が、黒ドレスを“重い黒”としてではなく、“選べる黒”として着た回です。

黒ドレス特化救済春麗の黒が、

甘くて重く、境界と受け取りを問う黒

だとしたら、通常救済版春麗の黒は、

青も黒も持っている春麗が、今日は選んだ黒

です。

そしてリュウの、

黒を脱ぐためではなく、選べるからだ。

という答えによって、通常救済版春麗の核心がきちんと言語化されました。

一言でまとめるなら、

通常救済版春麗は、黒を選んだ。
でも黒に閉じなかった。
青に逃げるためではなく、青も黒も選べる自分として、黒を着た。

かなり良い、通常救済版春麗の再登板回だったと思います。
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