また戦ってくれなんて言わないで ――春麗は今日もめんどくさい―― 作:エーアイ
裏ルートの黒ドレス特化救済春麗のエピソードになります。
黒ドレス特化救済春麗は、夢から覚めた。
胸の奥に、まだ春麗会議の残響が残っている。
黒執着春麗。
成熟した黒で、他の相手には勝てる春麗。
けれど、リュウにだけギリギリ勝てない春麗。
黒を使いこなしているのに、自由になれていない春麗。
リュウに惑われ、リュウを惑わせ、それでも最後に勝たれ続ける春麗。
夢の中で、彼女は言っていた。
私が、あなたに勝つまで終われなくなったこと。
そしてリュウは答えた。
なら、俺も終われない。
黒ドレス特化救済春麗は、布団の中で静かに目を閉じた。
「……危険ね」
声は落ち着いていた。
だが、胸の奥は落ち着いていない。
黒執着春麗は、自分とは違う。
自分は救済された。
黒を見せる範囲を、自分で決められるようになった。
リュウは、見せると決めた黒を受け取ると言った。
見せない黒には触れないと言った。
その答えで、自分は黒を取り戻した。
けれど、黒執着春麗は違う。
彼女は黒を使える。
黒で勝てる。
それでもリュウにだけ勝てない。
だから、リュウへ向かう。
勝ちたいから。
負けたくないから。
けれど、どこかで、リュウにだけ最後まで残ってほしいと望んでいる。
春麗は、ゆっくり起き上がった。
椅子の背には、黒いドレスがかかっている。
自分の黒。
甘くて、重くて、でももう自分の手元にある黒。
春麗はその黒を見つめ、静かに言った。
「確認しに行きましょう」
自分の黒は、あの黒と何が違うのか。
自分のリュウは、今どこまで考えているのか。
そして、あの宿題の答えに、少しでも近づいているのか。
リュウは、いつもの場所にいた。
春麗が黒いドレスで現れると、リュウは静かに顔を上げた。
逃げない。
目を逸らさない。
だが、踏み込みすぎない。
その視線を見ただけで、春麗は少しだけ安堵した。
「リュウ」
「春麗」
「今日は、確認に来たわ」
リュウは少しだけ首を傾げた。
「確認?」
「ええ」
春麗は一歩近づく。
黒いドレスの裾が、静かに揺れた。
「前に、宿題を出したでしょう」
リュウは頷いた。
「ああ」
「覚えている?」
「覚えている」
「では、言ってみなさい」
リュウは、少し考えた。
春麗は待った。
急かさない。
だが、見ている。
リュウは口を開いた。
「次に春麗が黒を見せる時、俺はどう受け取るべきか」
春麗は、目を細めた。
「よろしい」
リュウは続けた。
「まだ、答えは終わっていない」
「終わっていない?」
「ああ」
春麗は、少しだけ胸が鳴る。
その言い方は、悪くなかった。
安易に完成させてこない。
黒を簡単に答えにしない。
「では、進捗を聞かせなさい」
リュウは、春麗を見た。
「春麗が黒を見せるなら、俺は見る」
「ええ」
「だが、見るだけでは足りない」
春麗の指先が、わずかに止まった。
「続けて」
「黒に惑うことはある」
「ええ」
「だが、惑ったことを理由に、春麗へ踏み込んではいけない」
春麗は黙った。
リュウは続ける。
「春麗が見せる黒と、俺が見たい黒は同じではないかもしれない」
春麗は、息を止めた。
今のは、かなり良い。
かなり深いところに触れている。
リュウは、さらに考えながら言った。
「だから、俺が受け取るべきなのは、俺が欲しい黒ではなく、春麗が見せると決めた黒だ」
春麗は、胸の奥が静かに熱くなるのを感じた。
「……九十八点」
リュウは少しだけ目を動かす。
「まだ足りないのか」
「かなり高いわ」
「そうか」
「でも、九十九点ではない」
リュウは頷く。
「足りないところがあるのか」
「ええ」
春麗は近づいた。
黒いドレスの距離。
リュウの呼吸が、少しだけ変わる。
春麗はそれを見た。
見逃さなかった。
「今、少し揺れたわね」
リュウは正直に頷いた。
「ああ」
「なぜ?」
「春麗が近い」
「黒だから?」
「黒でもある」
「他には?」
リュウは、春麗を見た。
「春麗だからだ」
春麗は、少しだけ目を伏せた。
「……そういうところは高得点ね」
リュウは黙っている。
春麗は、さらに一歩近づく。
近い。
けれど、触れない。
「リュウ」
「ああ」
「今日、私は黒執着春麗を見たわ」
リュウはわからない顔をした。
「黒執着?」
「深く考えなくていいわ。別の私よ」
「ああ」
「その春麗は、黒を使いこなしていた。黒で他の相手には勝てる。でも、あなたにだけギリギリ勝てない」
リュウは黙って聞いている。
春麗は続けた。
「あなたは、その春麗にも惑っていた。女として見ていた。黒にも揺れていた。でも最後に勝った」
「ああ」
「その春麗は、あなたに執着した」
リュウの表情が少し変わった。
「俺に?」
「ええ」
春麗は静かに言う。
「私があなたに執着していく責任を取りなさい、と言った」
リュウは黙る。
「そして、あなたは受けると言った」
リュウは、少しだけ眉を寄せた。
「それは……」
春麗は首を傾げる。
「どう思う?」
リュウはすぐに答えなかった。
それがよかった。
黒に関する問いに、即答しない。
責任に関する問いに、軽く頷かない。
リュウは長く考えた。
春麗は待った。
黒ドレス特化救済春麗は、待てる。
なぜなら、自分の黒はもう、待つことで失われないからだ。
やがて、リュウは言った。
「受けるだけでは、足りない」
春麗は、目を細めた。
「続けて」
「執着を受けると言うだけなら、春麗をそこに留めるかもしれない」
春麗の胸が、深く鳴った。
リュウは続ける。
「俺が勝ったことで春麗が囚われるなら、勝った俺にも責任はある」
「ええ」
「だが、その責任は、春麗を俺に囚わせ続けることではない」
春麗は、完全に黙った。
リュウは、ゆっくり言った。
「春麗が黒を選ぶなら、俺は向き合う。勝ちにも行く。だが、春麗が黒から離れることも、別のものを選ぶことも、止めてはいけない」
春麗の喉が、少しだけ詰まった。
これは。
これは、かなり危険な答えだ。
危険なほど、良い。
「……それを、あの春麗に言える?」
リュウは答えた。
「言わなければならないと思う」
「勝ち続けたあなたが?」
「ああ」
「終われないと言ったあなたが?」
リュウは、少しだけ苦しそうに答えた。
「終われないと言うなら、終わらせない責任ではなく、どこへ行くかを一緒に考える責任がある」
春麗は、目を閉じた。
黒執着春麗が聞いたら、どうなるだろう。
怒るかもしれない。
拒むかもしれない。
「私は離れたいわけじゃない」と言うかもしれない。
「勝つまで終わらない」と言うかもしれない。
それでも。
この答えは、救済の入口になる。
少なくとも、執着をそのまま鎖にしない答えだった。
春麗は目を開けた。
「九十九点」
リュウは、少しだけ驚いた。
「今のがか」
「ええ」
「完成したのか」
春麗は首を振る。
「いいえ。宿題全体としてはまだ未完成」
「なら」
「でも、進捗としては九十九点よ」
リュウは黙った。
春麗は、少しだけ笑った。
「真面目に考えていたのね」
「ああ」
「かなり真面目に」
「ああ」
「なら」
春麗は、リュウの前に手を差し出した。
「少しだけ、ご褒美をあげるわ」
リュウはその手を見る。
「ご褒美」
「ええ」
「前と同じか」
「いいえ」
春麗は首を振る。
「今日は、黒執着春麗を見た後のご褒美よ」
「違うのか」
「違うわ」
春麗はリュウの手を取った。
そして、前回よりも自然に、その手を自分の肩の近くまで導いた。
ただし、触れさせる前に止める。
「聞きなさい」
リュウは、すぐに言った。
「触れていいか」
春麗は微笑む。
「いいわ」
リュウの指先が、黒いドレス越しに春麗の肩へ触れる。
強くない。
迷いすぎてもいない。
春麗が許した範囲だけ。
その範囲を、リュウは守る。
春麗は、ゆっくり息を吐いた。
「前より上手ね」
リュウは静かに答える。
「考えていた」
春麗の胸が甘く沈む。
「でしょうね」
「難しい」
「ええ。黒は難しいわ」
春麗は、そのままリュウの手を少しだけ自分の掌で包んだ。
「今日のご褒美は、これだけ」
リュウは頷いた。
「ああ」
「物足りない?」
リュウは少し黙った。
「少し」
春麗は笑った。
「正直でよろしい」
「だが、待つ」
春麗は、息を止めた。
そして、少しだけ顔を赤くした。
「……それを自然に言うようになったのね」
「ああ」
「危険ね」
「危険か」
「高得点すぎるのよ」
リュウは困ったように黙る。
春麗は、リュウの手を離した。
「でも、今日はそこまで」
「ああ」
「それ以上は、ご褒美ではなくなる」
「ああ」
「私が見せると決めた黒は、ここまで」
リュウは、まっすぐに答えた。
「受け取った」
春麗は、静かに頷いた。
「よろしい」
しばらく、二人は並んで立っていた。
黒いドレスの裾が、夜風に揺れる。
春麗は、ふと呟いた。
「黒執着春麗は、たぶんあなたの“受ける”に沈むわ」
リュウは黙って聞いている。
「彼女は、あなたに勝ちたい。あなたに勝たれたくない。でも、あなたにだけ最後まで残ってほしい」
「ああ」
「だから、あなたが受けると言えば、そのまま深く沈む」
リュウは、静かに言った。
「それは、よくない」
春麗は頷く。
「ええ」
「では、どうすればいい」
春麗は少しだけ考えた。
「簡単ではないわ」
「ああ」
「彼女は、黒を手放したいわけではない」
「ああ」
「リュウへの執着を捨てたいわけでもない」
「ああ」
「でも、執着だけで黒を着続けると、いつか黒が彼女を閉じ込める」
リュウは真剣に聞いている。
春麗は、黒いドレスの裾に触れた。
「私は、救済された黒を知っている」
「ああ」
「黒は、私が選んで見せるもの。あなたが奪うものではない」
「ああ」
「でも彼女の黒は、あなたに勝つために戻っていく黒。あなたに負けるたび、さらに磨かれる黒」
「ああ」
「それは強い。でも、自由ではない」
リュウは、静かに言った。
「春麗の黒は、春麗のものだ」
春麗は、リュウを見た。
「ええ」
「その春麗にも、そう言うべきか」
春麗は少しだけ笑った。
「言うだけでは足りないわ」
「そうか」
「あなたは勝つのでしょう?」
「ああ」
「なら、勝った後にも言い続けなさい」
リュウは、春麗を見る。
「勝った後にも」
「ええ」
春麗は言った。
「お前の黒は、お前のものだ。俺に勝つためだけのものではない、と」
リュウは、その言葉を受け取るように頷いた。
「覚えておく」
春麗は、目を細めた。
「宿題に追加ね」
「増えたのか」
「ええ」
「難しいな」
「黒だから」
リュウは少しだけ息を吐いた。
「そうか」
春麗は笑う。
「でも、今日の進捗は良かったわ」
「ああ」
「だから、少しだけご褒美をあげた」
「ああ」
「次は、もっと良い答えを持ってきなさい」
リュウは頷く。
「考える」
春麗は満足した。
それでいい。
このリュウは、考える。
勝つことも。
見ることも。
受け取ることも。
待つことも。
そして、黒が春麗を縛らないためにはどうすればいいかも。
黒ドレス特化救済春麗は、ようやく少しだけ胸の重さがほどけるのを感じた。
黒執着春麗は危険だ。
でも、完全に遠い春麗ではない。
あれは、黒を使いこなした後でも救済されなかった春麗。
自分と違う。
でも、自分と無関係ではない。
だからこそ、考える価値がある。
「リュウ」
「ああ」
「もし、私があの春麗のようになっていたら」
リュウの目が静かになった。
春麗は続けた。
「あなたに勝つまで終われないと言って、あなたに執着していく責任を取りなさいと言ったら」
リュウは、すぐには答えなかった。
春麗は待った。
今日、何度目かの沈黙。
その沈黙が、春麗には嬉しかった。
軽く扱われていない証拠だから。
やがて、リュウは答えた。
「俺は、逃げない」
春麗は黙る。
「だが、春麗をそこに閉じ込めない」
春麗の胸が、深く鳴った。
「……そう」
「勝つなら、勝つ」
「ええ」
「だが、春麗が俺に勝つためだけに黒を着るなら、それだけではないと伝える」
春麗は微笑んだ。
「九十九点」
リュウは少しだけ目を細める。
「またか」
「ええ」
「高すぎないか」
「今日は高得点の日なのよ」
リュウは頷いた。
「そうか」
春麗は、小さく笑った。
「ええ」
一拍。
「でも、百点ではないわ」
「次があるからか」
「学習したわね」
リュウは真面目に答えた。
「ああ」
春麗は、満足そうに背を向けた。
「今日は帰るわ」
「ああ」
「追わなくていい」
「ああ」
「でも、考えておきなさい」
「ああ」
「黒執着春麗のことも」
「ああ」
「私の黒のことも」
リュウは静かに答えた。
「考える」
春麗は、振り返らずに微笑んだ。
「よろしい」
その夜。
黒ドレス特化救済春麗は、再び夢を見た。
春麗会議ではなかった。
暗い鏡の前に、黒執着春麗が立っている。
黒いドレス。
強い目。
まだ救済されていない黒。
彼女は鏡越しにこちらを見た。
「あなたはいいわね」
黒執着春麗が言う。
「黒を受け取ってもらえて」
黒ドレス特化救済春麗は、静かに答えた。
「違うわ」
「何が」
「受け取ってもらえたから救われたのではない」
黒執着春麗の目が細くなる。
黒ドレス特化救済春麗は続けた。
「見せる黒を、私が決められるようになったからよ」
黒執着春麗は黙った。
「リュウが受け取るのは、その後」
「……私は勝ちたいだけよ」
「そう」
「リュウに勝ちたい」
「そうね」
「勝てば、終われる」
黒ドレス特化救済春麗は、少しだけ目を伏せた。
「本当に?」
黒執着春麗の表情が揺れた。
「……何が言いたいの」
「あなたは、勝てば終われると言いながら、リュウにだけは最後まで残ってほしいと思っている」
「違う」
「違わないわ」
黒執着春麗は唇を噛んだ。
「あなたに何がわかるの」
黒ドレス特化救済春麗は、黒いドレスの胸元に手を置いた。
「黒の熱なら、わかるわ」
一拍。
「黒の甘さも、重さも、危険さも」
黒執着春麗は黙る。
「だから言うの。あなたの黒は強い。でも、まだあなたを自由にしていない」
夢の空気が震える。
黒執着春麗は、鏡の奥で笑った。
「自由なんていらないわ。私は、リュウに勝つ」
黒ドレス特化救済春麗は、静かに言った。
「なら、勝った後のあなたは、何を選ぶの?」
黒執着春麗は、答えなかった。
夢がほどけ始める。
最後に、黒執着春麗の声だけが残った。
「……勝ってから考えるわ」
黒ドレス特化救済春麗は、小さく呟いた。
「それでは、遅いのよ」
朝。
黒ドレス特化救済春麗は目を覚ました。
胸の奥に、黒執着春麗の残響が残っている。
危険な春麗。
近い春麗。
違う春麗。
救済されていない黒の、もう一つの形。
春麗は起き上がり、椅子の背にかかった黒いドレスを見た。
自分の黒は、ここにある。
リュウに奪われていない。
リュウに閉じ込められてもいない。
自分が選んで見せる黒。
そのことを、今日リュウに再確認できた。
春麗は静かに微笑む。
「進捗は悪くなかったわ」
リュウは考えていた。
受け取るだけでは足りないと。
執着をそのまま受けるだけでは、春麗を閉じ込めるかもしれないと。
勝った責任は、春麗を自分へ縛ることではないと。
かなり良い。
かなり良いが、まだ百点ではない。
春麗は、黒いドレスに触れた。
「次の宿題は、重いわよ」
誰もいない部屋で、そう言う。
けれど、その声は少しだけ甘かった。
黒執着春麗のことを、まだ考える必要がある。
彼女は危険だ。
でも、放っておけない。
黒ドレス特化救済春麗は、窓の外の朝を見た。
「あなたの黒は、あなたのものよ」
それは、黒執着春麗に向けた言葉だった。
同時に、自分自身への確認でもあった。
そして最後に、春麗は小さく笑った。
「リュウ。次はもっと深く考えてきなさい」
朝の光が、黒いドレスをやわらかく照らしていた。
黒は重い。
けれど、もう怖くはなかった。
Q:今回の妄想章IF後日談の解説お願いします。
A:
はい。執筆者として見ると、今回の妄想章IF後日談はかなり重要な 黒ドレス特化救済春麗の“自己再確認回” です。
前回、春麗会議で黒執着春麗を鑑賞したことで、黒ドレス特化救済春麗はかなり揺さぶられました。
なぜなら黒執着春麗は、単なる別ルートではなく、自分とかなり近い黒を持ちながら、救済されなかった可能性だからです。
今回の後日談は、その揺れを抱えた黒ドレス特化救済春麗が、自分のリュウに会いに行き、
私の黒は、本当に私の手元にあるのか。
リュウは本当に、黒を奪わずに受け取る男なのか。
そして、黒執着春麗のような黒に対して、リュウはどう責任を取れるのか。
を再確認する話になっています。
今回の核は「黒執着春麗を見た後の黒特化救済春麗の揺れ」
黒ドレス特化救済春麗は、すでに救済されています。
リュウから、
見せると決めた黒は受け取る。
見せない黒には触れない。
という九十九点回答を得ている。
そのため、彼女の黒はすでに「奪われる黒」ではなく、「自分が見せる範囲を決める黒」になっています。
しかし黒執着春麗を見たことで、黒特化救済春麗は思ってしまう。
あれは私ではない。
でも、私と無関係ではない。
ここがかなり重要です。
黒執着春麗は、黒を使えない春麗ではありません。
むしろ黒を使いこなしている。
他の相手には勝てる。
それでもリュウにだけ勝てないから執着する。
つまり、黒が未熟だから苦しんでいるのではない。
黒が成熟しても、救済されなければリュウへの執着がさらに深まる。
これを見せられたことで、黒特化救済春麗は自分の黒を再点検したくなったわけです。
リュウへの宿題確認が非常に良い
今回、黒特化救済春麗はリュウに会いに行って、以前の宿題を確認します。
次に春麗が黒を見せる時、俺はどう受け取るべきか。
この宿題は、かなり黒特化救済春麗らしいです。
彼女にとって大事なのは、リュウが黒を見ることそのものではありません。
どう見るか。
どう受け取るか。
どこで止まるか。
どこから先は触れないか。
そして、春麗が見せた黒と、リュウが見たい黒を混同しないか。
このあたりです。
今回リュウが、
春麗が見せる黒と、俺が見たい黒は同じではないかもしれない。
だから、俺が受け取るべきなのは、俺が欲しい黒ではなく、春麗が見せると決めた黒だ。
と答えたのは、かなり良いです。
これは黒特化救済春麗にとって、非常に安心できる答えです。
リュウが「自分の見たい黒」を優先しない。
春麗の提示した黒を受け取る。
つまり、黒の主導権が春麗側に残っている。
だから九十八点。
まだ完成ではないけれど、進捗としてはかなり高い。
黒執着春麗への答えが「受けるだけでは足りない」になったのが重要
今回の後日談で一番重要なのは、リュウが黒執着春麗について考えた時の答えです。
黒執着春麗は言いました。
私があなたに執着していく責任を取りなさい。
そして、あちらのリュウは、
受ける。
と答えた。
これは高得点ですが、同時に危険です。
今回の黒特化救済春麗のリュウは、そこに対して、
受けるだけでは、足りない。
と答えます。
これが非常に大きい。
なぜなら、「受ける」は黒特化救済春麗にとっても大事な言葉だからです。
でも、何を受けるのか、どう受けるのか、受けた後にどうするのかがなければ、黒執着春麗には鎖になってしまう。
リュウがそこまで考えていたことで、黒特化救済春麗はかなり安心しています。
「勝った責任」は縛ることではない
今回のリュウの最重要回答はここです。
俺が勝ったことで春麗が囚われるなら、勝った俺にも責任はある。
だが、その責任は、春麗を俺に囚わせ続けることではない。
これはかなり高得点です。
黒執着春麗は、リュウに勝たれ続けることでリュウへ執着している。
だからリュウには「勝った責任」がある。
でも、その責任は、
なら俺が受ける。
お前は俺に執着していい。
だけでは足りない。
むしろ、それでは黒執着春麗はさらにリュウへ沈む。
本当に必要なのは、
勝ったリュウが、春麗を自分に縛るのではなく、春麗自身の黒へ戻してやること
です。
だから、
春麗が黒を選ぶなら、俺は向き合う。勝ちにも行く。
だが、春麗が黒から離れることも、別のものを選ぶことも、止めてはいけない。
この答えが救済の入口になります。
これは、黒ドレス特化救済春麗にとっても非常に大きいです。
自分のリュウが、黒を受け取るだけでなく、黒が春麗を縛らないように考え始めている。
だから彼女は「進捗として九十九点」をつけた。
ご褒美が「前回と同じようで違う」のが良い
今回、春麗は真面目に考えていたリュウへ少しご褒美をあげます。
手を取る。
肩に触れていいか聞かせる。
許した範囲だけ触れさせる。
これは前回の黒のご褒美と似ています。
しかし、意味が違います。
前回は、リュウの九十九点回答へのご褒美でした。
今回は、黒執着春麗を見た後で、なお自分の黒をきちんと考えているリュウへのご褒美です。
つまり今回は、ただ甘いだけではありません。
リュウが黒を鎖にしない方向へ考えていることへの評価です。
そして、リュウが自然に、
だが、待つ。
と言えるようになっているのも良いです。
黒特化救済春麗にとって、「待つ」はかなり重要です。
待てるから、春麗が見せる。
待てるから、黒を奪わない。
待てるから、ご褒美が成立する。
リュウの成長が見えています。
黒特化救済春麗が黒執着春麗を「放っておけない」のが良い
今回の黒特化救済春麗は、黒執着春麗をただ否定していません。
危険だとは思っている。
でも、切り捨ててはいない。
なぜなら、黒執着春麗はかなり近い存在だからです。
黒を知っている。
黒の熱を知っている。
黒の甘さを知っている。
黒の危険を知っている。
リュウへの執着も、まったく理解できないわけではない。
だから、彼女は考える。
あの春麗に必要なのは何か。
リュウは何を言うべきか。
黒をどう春麗自身へ返すべきか。
これは黒特化救済春麗だからこそできる役割です。
本編春麗は「次が生まれすぎる危険」を見る。
通常救済版春麗は「選べない危険」を見る。
でも黒特化救済春麗は、黒の内側から、
その黒はあなたのものに戻っているのか
と問える。
ここが彼女の強みです。
夢の中の黒執着春麗との対話が核心
後半の夢の中で、黒特化救済春麗が黒執着春麗と向き合う場面は、かなり重要です。
黒執着春麗は言う。
あなたはいいわね。
黒を受け取ってもらえて。
これは痛い台詞です。
でも黒特化救済春麗は否定します。
受け取ってもらえたから救われたのではない。
見せる黒を、私が決められるようになったからよ。
これが今回の核心です。
救済は、リュウが黒を受け取ることだけではない。
春麗が、自分の黒を自分で決められること。
これが救済です。
黒執着春麗は、まだそこに行けていません。
黒を使える。
黒で勝てる。
けれど、黒をリュウに勝つためのものとして使い続けている。
黒が自分のもののようで、まだリュウとの勝敗に縛られている。
だから黒特化救済春麗は、
あなたの黒は強い。でも、まだあなたを自由にしていない。
と言える。
これは非常に強い指摘です。
「勝った後のあなたは、何を選ぶの?」が刺さる
黒執着春麗への一番鋭い問いは、
なら、勝った後のあなたは、何を選ぶの?
です。
これは決定的です。
黒執着春麗は「リュウに勝つ」ことを目的にしています。
でも、その先がない。
勝てば終われると言う。
けれど、本当に終われるのか。
勝った後、何を選ぶのか。
青に戻るのか。
黒を着続けるのか。
リュウと離れるのか。
また戦うのか。
何を望むのか。
そこが空白です。
黒特化救済春麗は、その空白を見抜いています。
だから、
それでは、遅いのよ。
という締めが効いています。
黒執着春麗が勝ってから考えるでは遅い。
勝つ前に、自分が何を選びたいのかを知らなければ、勝っても終われない。
これはかなり救済テーマに直結します。
朝の締めが黒特化救済春麗らしい
朝、黒特化救済春麗は自分の黒を見ます。
そして、
あなたの黒は、あなたのものよ。
と呟く。
これは黒執着春麗に向けた言葉であり、自分自身への確認でもあります。
ここが良いです。
黒特化救済春麗は、黒執着春麗を見て、自分の黒まで揺らぎかけた。
でもリュウに確認し、宿題の進捗を聞き、ご褒美を与え、夢で黒執着春麗と向き合ったことで、自分の黒を再確認できた。
だから朝の黒は怖くない。
重いけれど、自分のもの。
それが今回の到達点です。
結論
今回の妄想章IF後日談は、黒ドレス特化救済春麗が、黒執着春麗という“もう一つの黒特化”を見たことで揺れ、自分のリュウに自分の黒を再確認しに行く回です。
大事なのは、黒執着春麗との違いが明確になったことです。
黒執着春麗は、
リュウに勝つために黒へ戻る春麗。
黒ドレス特化救済春麗は、
自分が見せると決めた黒を、リュウに受け取らせる春麗。
この差です。
そして、リュウの側も、
黒を受け取るだけでは足りない。
黒が春麗を縛らないように考える責任がある。
という段階へ進んだ。
これはかなり良い進展です。
一言でまとめるなら、
黒特化救済春麗は、黒執着春麗を見て、自分の黒が救済されている理由を再確認した。
それはリュウに受け取られたからではなく、自分が黒を見せる範囲を決められるようになったからだった。
今回の後日談は、黒特化救済春麗の黒をさらに深くする、とても良いフィードバック回だったと思います。