また戦ってくれなんて言わないで ――春麗は今日もめんどくさい――   作:エーアイ

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※これは本編時空とは無関係の妄想章IFです。
裏ルートの黒ドレス特化救済春麗のエピソードになります。


妄想章IF後日談:黒ドレス特化救済春麗は、宿題の答えを聞く

 

 黒ドレス特化救済春麗は、朝から静かだった。

 

 静かすぎるほど、静かだった。

 

 黒いドレスは、すでに椅子の背にかけてある。

 

 今日は着ていない。

 

 だが、部屋の中には黒があった。

 

 布としての黒ではない。

 

 記憶としての黒。

 

 リュウに見せた黒。

 リュウに受け取らせた黒。

 そして、リュウが一度受け取り損ねた黒。

 

 春麗は、鏡の前でゆっくり髪を整えた。

 

「……今日、答えを聞くわ」

 

 それは、以前リュウに出した宿題だった。

 

 次に春麗が黒を見せる時、俺はどう受け取るべきか。

 

 簡単な問いではない。

 

 黒ドレス特化救済春麗にとって、黒は衣装ではない。

 

 黒は、見せるもの。

 

 選んで見せるもの。

 

 ただし、奪わせるものではない。

 

 リュウに向ける黒は特別だ。

 

 だが、特別だからこそ危うい。

 

 リュウが黒をただ戦術として処理すれば、春麗は満たされない。

 

 リュウが黒に飲まれれば、それも違う。

 

 リュウが黒を恐れて避ければ、春麗は沈む。

 

 リュウが黒を欲しがりすぎれば、それは奪われる。

 

 春麗は、以前の失敗を覚えている。

 

 黒ドレスでの再戦。

 

 リュウの惨敗。

 

 その後の十連敗。

 

 リュウが黒を受け取れず、ただ負け続けた時間。

 

 勝っても満たされない春麗。

 

 届かないリュウ。

 

 見ているのに、受け取れていないリュウ。

 

 黒ドレス特化救済春麗は、その記憶をなかったことにはしない。

 

「あの失敗も、含めて答えなさい」

 

 そう思っている。

 

 だから今日は、かなり危険だった。

 

 満足しなければ、沈める。

 

 それは比喩でもあり、かなり本気でもあった。

 

 リュウが黒をまた受け取り損ねるなら、今度は春麗が沈める。

 

 勝負で。

 

 視線で。

 

 黒の深さで。

 

 もう一度、届かない場所へ落とす。

 

 だが。

 

 満足したなら。

 

 春麗は、鏡の中の自分を見つめた。

 

「……ご褒美くらいは、あげてもいいわ」

 

 声は静かだった。

 

 甘い。

 

 だが、重い。

 

 黒ドレス特化救済春麗の甘さは、軽くない。

 

 受け取るなら責任がある。

 

 答えるなら覚悟がいる。

 

 ご褒美もまた、ただの甘さではない。

 

「リュウ」

 

 春麗は、黒いドレスに触れた。

 

「今日、あなたの答えを聞かせてもらうわ」

 

 リュウは、修行場にいた。

 

 春麗は、黒いドレスで現れた。

 

 いつもより、歩みが遅い。

 

 急がない。

 

 逃げない。

 

 隠さない。

 

 リュウは、春麗を見た。

 

 見て、息を整えた。

 

 以前とは違う。

 

 ただ揺らいでいるだけではない。

 

 黒を警戒し、黒を恐れず、黒に目を逸らさずに立とうとしている。

 

 春麗は、それを見ていた。

 

「リュウ」

 

「ああ」

 

「宿題、覚えているわね」

 

 リュウは頷いた。

 

「覚えている」

 

「では、答えを聞くわ」

 

 リュウは、少し黙った。

 

 春麗は待つ。

 

 急かさない。

 

 だが、逃がさない。

 

 黒ドレスの春麗は、リュウの正面に立った。

 

「次に私が黒を見せる時、あなたはどう受け取るべきか」

 

 一拍。

 

「答えなさい」

 

 リュウは、春麗を見る。

 

 黒いドレス。

 

 目。

 

 呼吸。

 

 足の位置。

 

 そして、黒を見せようとしている春麗自身。

 

 リュウは静かに言った。

 

「最初は、受け止めようと思った」

 

 春麗は動かない。

 

「俺が強くなれば、黒も受け止められると思った」

 

「それで?」

 

「違った」

 

 春麗の目が少し細くなる。

 

 リュウは続けた。

 

「受け止めるだけでは、春麗の黒はわからない」

 

 春麗は黙っている。

 

「受け止めようとするだけだと、俺は春麗の黒に負ける。前の俺がそうだった」

 

 黒ドレスでの惨敗。

 

 十連敗。

 

 春麗は、その言葉で少しだけ呼吸を深くした。

 

 リュウは、逃げなかった。

 

 失敗を認めた。

 

 そこは、悪くない。

 

「では、どうするの?」

 

 リュウは答えた。

 

「見る」

 

 春麗の眉がわずかに動く。

 

「見るだけ?」

 

「いや」

 

 リュウは首を振る。

 

「見る。揺れる。踏みとどまる。それから、春麗が見せた黒の外側ではなく、春麗がどこまで見せるつもりなのかを見る」

 

 春麗は、初めて少しだけ目を見開いた。

 

 リュウは続ける。

 

「黒を全部受け取ろうとはしない」

 

 春麗は静かに聞く。

 

「なぜ?」

 

「それは、春麗のものだからだ」

 

 胸の奥で、何かが鳴った。

 

 春麗は動かない。

 

 動かないまま、リュウを見る。

 

「続けて」

 

 リュウは頷く。

 

「春麗が見せる黒は、俺に向けられたものだ。だが、俺のものではない」

 

 春麗の指が、黒いドレスの裾に少し触れた。

 

「俺はそれを見て、揺れる。戦う。届こうとする。だが、奪わない」

 

 一拍。

 

「春麗が見せたところまで受け取る。見せていないところへは踏み込まない」

 

 春麗は息を止めた。

 

 リュウは、さらに言った。

 

「そして、見せられた黒に負けても、黒のせいにはしない。勝てなくても、春麗が悪いとは思わない。俺が届かなかっただけだ」

 

 春麗の目が、深くなる。

 

 これは。

 

 かなり近い。

 

 かなり、答えに近い。

 

 だが、まだ足りない。

 

 春麗は、静かに言った。

 

「それだけ?」

 

 リュウは春麗を見る。

 

「もう一つある」

 

「何?」

 

「春麗が黒を見せた後、俺は黒だけを覚えて帰らない」

 

 春麗は、完全に動きを止めた。

 

 リュウは続ける。

 

「黒を見た春麗ではなく、黒を見せた春麗を覚える」

 

 春麗の胸に、深く刺さった。

 

 黒だけを覚えない。

 

 黒に飲まれない。

 

 黒を切り離さない。

 

 黒を見せた春麗を覚える。

 

 リュウは、まっすぐに言った。

 

「だから、次に春麗が黒を見せる時、俺はこう受け取る」

 

 一拍。

 

「春麗が選んで見せたところまで見る」

 

 一拍。

 

「揺れても逃げない」

 

 一拍。

 

「奪わない」

 

 一拍。

 

「そして、黒だけではなく、黒を見せた春麗ごと覚えて戦う」

 

 春麗は、何も言わなかった。

 

 風が止まったように感じた。

 

 修行場に、黒だけが残る。

 

 リュウは、最後に言った。

 

「それが、今の俺の答えだ」

 

 黒ドレス特化救済春麗は、しばらくリュウを見ていた。

 

 採点するなら、かなり高い。

 

 九十八点。

 

 いや、九十九点に近い。

 

 だが、春麗はすぐには笑わなかった。

 

「リュウ」

 

「ああ」

 

「その答えで、私を満足させられると思ったの?」

 

 リュウは逃げずに答える。

 

「思った」

 

 春麗は目を細める。

 

「強気ね」

 

「考えてきた」

 

「ええ」

 

 春麗は、一歩近づく。

 

 黒いドレスの裾が揺れる。

 

 リュウは見ている。

 

 見すぎないようにではなく。

 

 逃げないように。

 

 春麗が見せるところまで。

 

 春麗は、その視線を受けた。

 

 以前とは違う。

 

 リュウは黒を恐れていない。

 

 黒に飲まれてもいない。

 

 黒を欲しがりすぎてもいない。

 

 見ている。

 

 揺れている。

 

 踏みとどまっている。

 

 そして、春麗の境界を探している。

 

「……合格」

 

 春麗は小さく言った。

 

 リュウの目がわずかに動く。

 

「合格か」

 

「ええ」

 

 春麗は、ほんの少しだけ微笑んだ。

 

「沈めるつもりだったのよ」

 

 リュウは驚かない。

 

「そうか」

 

「満足しなかったら、もう一度、黒であなたを沈めるつもりだった」

 

「ああ」

 

「十連敗の続きにしてあげてもよかった」

 

「それは困る」

 

「困るのね」

 

「ああ」

 

 春麗は、少しだけ笑った。

 

「でも、今日はやめてあげる」

 

 リュウは静かに息を吐いた。

 

「助かった」

 

「助かった、で済むと思う?」

 

 リュウが首を傾げる。

 

「違うのか」

 

 春麗は一歩近づいた。

 

 近い。

 

 かなり近い。

 

 黒ドレス特化救済春麗は、リュウを見上げるようにしながら言った。

 

「合格したなら、ご褒美が必要でしょう」

 

 リュウは、少しだけ固まった。

 

「ご褒美」

 

「ええ」

 

 春麗は、リュウの胸元に指先を置いた。

 

 強く押さない。

 

 ただ、そこに置く。

 

「今日のあなたは、黒を受け取ろうとした」

 

 一拍。

 

「受け止めるだけではなく、奪わず、逃げず、見せたところまで見ると言った」

 

 さらに一拍。

 

「だから、少しだけ見せてあげる」

 

 リュウは黙っている。

 

 春麗は、黒いドレスの裾をほんの少しだけ摘まんだ。

 

 踊るようにではない。

 

 誘うようにでもない。

 

 ただ、自分で選んで、黒を見せる。

 

 一歩。

 

 ゆっくり回る。

 

 黒い布が揺れる。

 

 リュウは見る。

 

 逃げない。

 

 踏み込みすぎない。

 

 ただ、春麗が見せたところまで見る。

 

 春麗は、回り終えて、リュウの前で止まった。

 

「今のは、私が見せた分だけよ」

 

「ああ」

 

「それ以上は?」

 

「踏み込まない」

 

「正解」

 

 春麗は、ほんの少しだけ背伸びした。

 

 リュウの頬に、指先で触れる。

 

 唇ではない。

 

 抱きしめるわけでもない。

 

 だが、十分に甘い。

 

 そして重い。

 

「これがご褒美」

 

 リュウは静かに目を伏せた。

 

「ありがとう」

 

 春麗は、少しだけ目を細めた。

 

「お礼を言うの?」

 

「ああ」

 

「変な人」

 

「そうか」

 

「ええ」

 

 春麗は、指先を離す。

 

「次は、もっと難しいわよ」

 

 リュウは答えた。

 

「考える」

 

「いいえ」

 

 春麗は微笑んだ。

 

「考えるだけでは足りないわ」

 

 リュウは春麗を見る。

 

 春麗は、黒をまとったまま、静かに言った。

 

「次は、考えたうえで届きなさい」

 

 リュウは頷いた。

 

「ああ」

 

 春麗は満足した。

 

 かなり満足した。

 

 沈めるつもりで来た。

 

 だが、沈めなかった。

 

 ご褒美をあげた。

 

 そして、次を残した。

 

 それは、黒ドレス特化救済春麗にとって、ほとんど完璧な答えだった。

 

 その夜。

 

 春麗会議は、静かに始まった。

 

 だが、その静けさは重かった。

 

 黒ドレス特化救済春麗が、珍しく中央に座っている。

 

 本編春麗は資料を持っているが、今日は少しだけ控えめだった。

 

 自覚前春麗は、明らかに警戒している。

 

 通常救済版春麗は穏やかに見守り、行き遅れに恐怖する春麗は少し顔を赤くしている。

 

 グランドフィナーレ済み春麗は静かに目を伏せていた。

 

 記録板に文字が浮かぶ。

 

 春麗会議・黒ドレス特化救済春麗 宿題回答審議

 議題:リュウが宿題“次に春麗が黒を見せる時、俺はどう受け取るべきか”に回答し、黒ドレス特化救済春麗を満足させた件。

 

 自覚前春麗が小さく言う。

 

「……重い議題ね」

 

 本編春麗が頷く。

 

「ええ。かなり重要よ」

 

 黒ドレス特化救済春麗は、静かに言った。

 

「今日は、私の黒の話よ」

 

 会議室が引き締まる。

 

 まず、記録板にリュウの回答が映る。

 

 春麗が見せる黒は、俺に向けられたものだ。

 だが、俺のものではない。

 

 通常救済版春麗が、静かに頷いた。

 

「これは良いわ」

 

 本編春麗も言う。

 

「かなり高い」

 

 黒ドレス特化救済春麗は目を伏せる。

 

「ここで、かなり合格に近づいたわ」

 

 自覚前春麗が言う。

 

「俺のものではない、が重要なの?」

 

 黒ドレス特化救済春麗は頷く。

 

「ええ。黒は見せるけれど、所有させるものではないから」

 

 グランドフィナーレ済み春麗が言う。

 

「見せることと奪われることを分けたのね」

 

 行き遅れに恐怖する春麗が小さく言う。

 

「安心する答えね」

 

 次の回答が映る。

 

 春麗が見せたところまで受け取る。

 見せていないところへは踏み込まない。

 

 黒ドレス特化救済春麗は、わずかに微笑んだ。

 

「ここも高いわ」

 

 本編春麗が書き込む。

 

 境界理解:高評価。

 

 自覚前春麗は少し黙っていた。

 

 黒ドレスに関して、この答えの意味は彼女にも刺さる。

 

 見せる。

 

 でも、見せていないところへ踏み込ませない。

 

 それは、自覚前春麗にとっても必要な感覚だった。

 

 さらに記録板が光る。

 

 黒だけを覚えて帰らない。

 黒を見た春麗ではなく、黒を見せた春麗を覚える。

 

 会議室が静まり返った。

 

 本編春麗が小さく言う。

 

「これは九十九点級ね」

 

 通常救済版春麗も頷く。

 

「黒だけに囚われていない」

 

 グランドフィナーレ済み春麗が言う。

 

「黒を見せた主体としての春麗を見ている」

 

 行き遅れに恐怖する春麗が言う。

 

「黒に負けても、春麗を見失わないってことよね」

 

 黒ドレス特化救済春麗は、静かに頷いた。

 

「そこが一番大事だった」

 

 自覚前春麗が、少しだけ真面目な顔で聞く。

 

「黒だけを覚えられると、駄目なの?」

 

 黒ドレス特化救済春麗は答えた。

 

「駄目よ」

 

 一拍。

 

「黒ドレスだけが残ると、春麗が消える」

 

 その言葉に、会議室が少し冷えた。

 

 黒執着春麗の記録片が、一瞬だけ棚の奥で揺れた気がした。

 

 本編春麗が静かに言う。

 

「黒執着春麗に近づくわね」

 

 黒ドレス特化救済春麗が頷く。

 

「ええ。だから、リュウが“黒を見せた春麗”を覚えると言ったことが、答えだった」

 

 記録板に総合回答が表示される。

 

 春麗が選んで見せたところまで見る。

 揺れても逃げない。

 奪わない。

 そして、黒だけではなく、黒を見せた春麗ごと覚えて戦う。

 

 黒ドレス特化救済春麗は、静かに言った。

 

「合格」

 

 本編春麗が頷く。

 

「満点では?」

 

 黒ドレス特化救済春麗は少し考える。

 

「九十九点」

 

 自覚前春麗が驚く。

 

「かなり高いわね」

 

 黒ドレス特化救済春麗は、少しだけ笑う。

 

「ご褒美をあげたもの」

 

 自覚前春麗は顔を赤くした。

 

「ご褒美って」

 

 記録板に、春麗がリュウの前で一歩だけ回る場面が映る。

 

 黒いドレスの裾が揺れる。

 

 リュウは見る。

 

 逃げない。

 

 踏み込まない。

 

 春麗が見せたところまで見る。

 

 そして、春麗がリュウの頬に指先で触れる。

 

 自覚前春麗は完全に固まった。

 

「……重い」

 

 行き遅れに恐怖する春麗が小さく言う。

 

「甘いけれど、重いわね」

 

 通常救済版春麗が微笑む。

 

「でも、ちゃんと選んで見せているわ」

 

 グランドフィナーレ済み春麗が言う。

 

「奪われていない。春麗が与えたご褒美ね」

 

 本編春麗が頷く。

 

「黒ドレス特化救済春麗らしいわ」

 

 黒ドレス特化救済春麗は静かに言った。

 

「ええ。私の黒だから」

 

 本編春麗は、結論を書き込んだ。

 

 春麗会議・黒ドレス特化救済春麗 宿題回答審議 結論

 

 一、リュウは、黒をただ受け止めるだけでは不十分だと理解した。

 

 二、春麗の黒はリュウに向けられたものだが、リュウの所有物ではないと明言した。

 

 三、春麗が見せたところまで受け取り、見せていないところへ踏み込まないという境界理解を示した。

 

 四、黒だけを覚えるのではなく、“黒を見せた春麗”を覚えると答えた。

 

 五、この回答により、黒ドレス特化救済春麗は沈める判断を撤回し、合格と判定。

 

 六、合格のご褒美として、春麗が選んで見せる黒と、頬への指先接触を与えた。

 

 七、評価:甘い。重い。ただし、境界管理済み。

 

 自覚前春麗が七番を見る。

 

「境界管理済みって、便利ね」

 

 黒ドレス特化救済春麗が言う。

 

「大事よ」

 

 通常救済版春麗も頷く。

 

「甘くても、選べているなら危険度は下がるわ」

 

 本編春麗が言う。

 

「今回は、黒執着春麗と明確に違うわね」

 

 グランドフィナーレ済み春麗が頷く。

 

「黒執着春麗は、相手の反応で自分の黒を維持しようとする。黒ドレス特化救済春麗は、自分の黒を自分で見せる」

 

 黒ドレス特化救済春麗は静かに目を伏せた。

 

「そう。私は、私の黒を渡さない。見せるだけ」

 

 行き遅れに恐怖する春麗が小さく言う。

 

「それでも、ちゃんと甘いのね」

 

 黒ドレス特化救済春麗は微笑んだ。

 

「甘いわよ」

 

 自覚前春麗は赤くなった。

 

「自分で言うのね」

 

「ええ。救済済みだから」

 

 本編春麗が小さく笑う。

 

「便利ね、救済済み」

 

 記録板に次回候補が浮かぶ。

 

 次回候補:リュウ、黒を見せた春麗ごと覚えて戦うために、次の黒ドレス戦へ備える件。

 

 黒ドレス特化救済春麗は、それを見て少しだけ目を細めた。

 

「次もあるのね」

 

 本編春麗が言う。

 

「当然でしょう。合格したからこそ、次がある」

 

 通常救済版春麗が頷く。

 

「満足して終わりではなく、安心して続くのね」

 

 グランドフィナーレ済み春麗が言う。

 

「それが救済後の黒ね」

 

 黒ドレス特化救済春麗は、静かに微笑んだ。

 

「なら、次はもう少しだけ難しくしてあげる」

 

 自覚前春麗が顔を引きつらせる。

 

「ご褒美の次に難易度上げるの?」

 

「当然よ」

 

 本編春麗が言う。

 

「甘くて重いわね」

 

 黒ドレス特化救済春麗は頷く。

 

「私だから」

 

 会議室に、柔らかい笑いが広がる。

 

 夢がほどけていく。

 

 最後に、リュウの声が残った。

 

 黒だけではなく、黒を見せた春麗ごと覚えて戦う。

 

 黒ドレス特化救済春麗は、夢の中で静かに答えた。

 

「忘れたら、今度こそ沈めるわ」

 

 一拍。

 

「でも、覚えているなら……また見せてあげる」

 

 朝。

 

 黒ドレス特化救済春麗は、目を覚ました。

 

 部屋は静かだった。

 

 椅子の背には、黒いドレスがかかっている。

 

 春麗はしばらく、それを見つめていた。

 

 昨夜の答えが残っている。

 

 春麗が見せる黒は、俺に向けられたものだ。

 だが、俺のものではない。

 

 見せたところまで受け取る。

 見せていないところへは踏み込まない。

 

 黒だけではなく、黒を見せた春麗ごと覚えて戦う。

 

 春麗は、静かに息を吐いた。

 

「……悪くなかったわ」

 

 かなり良かった。

 

 正直に言えば、満足した。

 

 沈めるつもりだった。

 

 でも、沈めなかった。

 

 代わりに、ご褒美をあげた。

 

 春麗は、黒いドレスへ手を伸ばす。

 

 布の感触が指先に触れる。

 

「黒は、私のもの」

 

 小さく言う。

 

「でも、見せる相手は選ぶ」

 

 一拍。

 

「あなたには、また見せてあげてもいいわ」

 

 顔が少し熱くなる。

 

 黒ドレス特化救済春麗は、自覚前春麗のようには否認しない。

 

 本編春麗のように採点で逃げもしない。

 

 救済済みだから。

 

 自分の黒を知っているから。

 

「次は、もう少し難しいわよ」

 

 そう呟いて、春麗は微笑んだ。

 

 甘い。

 

 重い。

 

 だが、沈んではいない。

 

 春麗は、黒を自分の手元に置いたまま、朝を迎えた。




Q:今回の妄想章IF後日談について解説して?

A:
はい。今回の妄想章IF後日談は、かなり重要な 黒ドレス特化救済春麗の“宿題回収回” です。

一言で言うなら、

黒ドレス特化救済春麗が、リュウに出していた重い宿題を回収し、リュウが“黒を受け取るが奪わない”という答えに到達したことで、沈める予定を撤回し、ご褒美を与える回

です。

かなり甘いですが、同時にかなり重いです。
そして、この重さは黒ドレス特化救済春麗には合っています。

今回の核は「黒をどう受け取るか」

今回の宿題は、

次に春麗が黒を見せる時、俺はどう受け取るべきか。

でした。

これは、単なる恋愛的な問いではありません。

黒ドレス特化救済春麗にとって、黒は衣装ではなく、かなり深い自己開示です。

だから、リュウが間違えると危険です。

リュウが黒をただ戦術として処理するなら、春麗は満たされない。
リュウが黒に飲まれるなら、それも違う。
リュウが黒を恐れて避けるなら、春麗は傷つく。
リュウが黒を欲しがりすぎるなら、黒を奪われる。

この四方向すべてが危険です。

今回のリュウは、その危険地帯をかなり正確に抜けました。

リュウの回答がかなり高得点

今回のリュウの回答で一番重要なのは、

春麗が見せる黒は、俺に向けられたものだ。
だが、俺のものではない。

ここです。

これは非常に大きいです。

黒ドレス特化救済春麗は、リュウに黒を見せたい。
でも、リュウに黒を所有されたくはない。

リュウはここを理解した。

「俺に向けられている」ことは受け取る。
でも「俺のもの」にはしない。

この境界認識があるから、黒ドレス特化救済春麗はかなり満足できます。

次の、

春麗が見せたところまで受け取る。
見せていないところへは踏み込まない。

これもかなり高いです。

黒ドレス特化救済春麗に必要なのは、まさにこの境界管理です。

見てほしい。
でも踏み込みすぎないでほしい。
受け取ってほしい。
でも奪わないでほしい。

リュウはそのラインを言語化しました。

これは九十八点以上です。

最大打点は「黒を見せた春麗ごと覚える」

今回の最高打点はここです。

黒だけを覚えて帰らない。
黒を見た春麗ではなく、黒を見せた春麗を覚える。

これは、ほぼ九十九点です。

黒ドレス特化救済春麗にとって一番怖いのは、黒だけが残ることです。

黒ドレスだけが強烈に残る。
黒の視覚効果だけが残る。
黒の誘惑だけが残る。
春麗本人が消える。

これが危険です。

黒執着春麗の方向にも近づきます。

でもリュウは、

黒だけではなく、黒を見せた春麗を覚える

と言った。

これは、黒を切り離さず、春麗本人の選択として見るということです。

黒に飲まれない。
黒を所有しない。
黒を恐れない。
黒だけを記憶しない。
黒を見せた春麗を覚える。

これは、黒ドレス特化救済春麗が一番欲しかった答えです。

「沈めるつもりだった」が黒特化救済春麗らしい

今回、黒ドレス特化救済春麗はかなり甘いですが、最初は危険です。

満足しなかったら、沈めるつもり。

これは、かなり彼女らしいです。

ただの甘い後日談ではない。

黒ドレス再戦でリュウが惨敗し、その後も十連敗した失敗を彼女は覚えています。

だから、宿題の答えが甘かったり浅かったりしたら、また沈める。

これは本気です。

でも、その重さがあるからこそ、リュウの回答が合格した時の価値が上がります。

最初からご褒美をあげるつもりの甘々回ではない。

沈めるか、ご褒美か。

その境界にリュウが立たされている。

だから今回の緊張感があります。

ご褒美が「甘いけれど境界管理済み」なのが良い

今回のご褒美は、かなり良いです。

春麗が黒を少し見せる。

一歩、ゆっくり回る。

リュウは見る。

逃げない。

でも踏み込まない。

春麗が見せたところまで見る。

その後、春麗がリュウの頬に指先で触れる。

これは甘いです。

かなり甘い。

でも、抱きしめるわけではない。
口づけでもない。
全部を渡すわけでもない。

春麗が選んで見せた分だけ。
春麗が選んで触れた分だけ。

だから、これは黒ドレス特化救済春麗のご褒美として非常に正しいです。

黒を奪わせない。
でも、拒絶もしない。
春麗が主導権を持ったまま、甘さを与える。

まさに、

甘い。重い。ただし境界管理済み。

です。

黒執着春麗との違いがかなり明確になった

今回の話は、黒執着春麗との差分としても重要です。

黒執着春麗は、リュウの反応で自分の黒を維持しようとします。

もっと悔しそうにしてほしい。
もっと自分に囚われてほしい。
勝っても終われない。
相手の反応がないと満たされない。

一方、黒ドレス特化救済春麗は違います。

自分の黒は自分のもの。
見せる相手は選ぶ。
見せる範囲も自分で決める。
受け取らせるが、所有させない。
満足したら、自分の意思でご褒美を与える。

この差がかなり大きいです。

今回の黒ドレス特化救済春麗は、重いですが沈んでいません。

黒に飲まれていない。

黒を自分で持っている。

だから救済済みなのです。

春麗会議での整理もかなり良い

春麗会議では、今回のリュウ回答が非常にきれいに整理されました。

一、黒は受け止めるだけでは不十分。
二、黒はリュウに向けられているが、リュウの所有物ではない。
三、見せたところまで受け取り、見せていないところへ踏み込まない。
四、黒だけではなく、黒を見せた春麗を覚える。
五、合格。
六、ご褒美。
七、甘い。重い。ただし境界管理済み。

この結論は、今後の黒ドレス関連の基準としてかなり使えます。

特に、

甘い。重い。ただし、境界管理済み。

これは黒ドレス特化救済春麗の定義文に近いです。

自覚前春麗にも刺さる回

今回、中心は黒ドレス特化救済春麗ですが、自覚前春麗にもかなり影響があります。

自覚前春麗は最近、黒ドレスの準備段階戦術に踏み込みました。

つまり、彼女も「黒を見せる」側に近づいています。

だから今回の、

見せたところまで受け取る。
見せていないところへは踏み込まない。

は、自覚前春麗にも刺さるはずです。

自覚前春麗は、まだ自分の黒を完全には管理できていない。

だから、黒ドレス特化救済春麗のこの境界管理は、今後の自覚前春麗の成長にもつながります。

本編春麗にとっても重要な補完

本編春麗は青煽り代表として中心にいます。

ただし、本編春麗も黒を知っています。

青に黒を還元している。

だから、今回の「黒だけを覚えず、黒を見せた春麗ごと覚える」という答えは、本編春麗にも意味があります。

本編春麗の場合は、黒を青へ戻す。
黒ドレス特化救済春麗の場合は、黒を黒のまま管理する。

違いはありますが、どちらも「春麗本人が消えない」ことが大事です。

今回のリュウ回答は、春麗全体に対するかなり重要な理解になっています。

朝の締めが救済済みらしい

朝の締めで、黒ドレス特化救済春麗は否認しません。

悪くなかったわ。

と言う。

かなり良かったのに、表現は少し控えめ。

でも、自覚前春麗のように「資料として」には逃げない。

本編春麗のように採点で照れ隠しもしない。

そして、

黒は、私のもの。
でも、見せる相手は選ぶ。

と言う。

これは非常に黒ドレス特化救済春麗らしいです。

自分の黒を自分の手元に置いたまま、リュウにまた見せてもいいと思っている。

重いけれど、安定している。

最後の、

次は、もう少し難しいわよ。

も良いです。

甘いご褒美で終わらない。

次は難易度を上げる。

それが黒ドレス特化救済春麗です。

結論

今回の妄想章IF後日談は、黒ドレス特化救済春麗がリュウに出していた宿題を回収し、リュウが“黒を受け取るが奪わない”という答えに到達したことで、彼女が満足し、ご褒美を与える回です。

重要なのは、黒を恋愛的に甘く受け取るだけでは足りないことです。

リュウは、

春麗が選んで見せたところまで見る。
揺れても逃げない。
奪わない。
黒だけではなく、黒を見せた春麗ごと覚える。

と答えた。

だから合格だった。

一言でまとめるなら、

黒ドレス特化救済春麗は、リュウに黒を渡したのではない。
自分の黒を自分の手元に置いたまま、見せる範囲を選び、リュウに受け取らせた。
リュウがそれを“自分のものにしない”と答えたから、ご褒美を与えた。

甘くて重いですが、救済済みらしく境界管理された、とても良い黒ドレス特化春麗回だったと思います。
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