また戦ってくれなんて言わないで ――春麗は今日もめんどくさい――   作:エーアイ

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※これは本編時空とは無関係の妄想章IFです。


妄想章IF:自覚前春麗は、過去バトルログを開示される

 

 春麗会議室に、いつもと違う音が響いた。

 

 ぱらり。

 

 紙のめくれる音だった。

 

 本編春麗が顔を上げる。

 

 自覚前春麗が、すぐに警戒する。

 

 黒ドレス特化救済春麗は目を細める。

 

 通常救済版春麗は、穏やかに首を傾げる。

 

 行き遅れに恐怖する春麗は、少し不安そうに周囲を見回した。

 

 グランドフィナーレ済み春麗は、静かに机の中央を見ていた。

 

 そこには、一冊の冊子が置かれていた。

 

 見覚えがある。

 

 以前、IF表記の説明で出てきたもの。

 

 春麗会議室 利用説明書

 

 だった。

 

 ただし、今日は表紙に赤い付箋がついている。

 

 そこには、こう書かれていた。

 

 機能アップデートのお知らせ

 

 自覚前春麗は、椅子から半歩引いた。

 

「……嫌な予感がするわ」

 

 本編春麗は、説明書を手に取った。

 

「奇遇ね。私も少しするわ」

 

 黒ドレス特化救済春麗が微笑む。

 

「でも、読むのでしょう?」

 

「もちろん」

 

 本編春麗は説明書を開いた。

 

 すると、会議室中央の記録板が自動的に点灯した。

 

 白い文字が浮かび上がる。

 

 春麗会議室 機能アップデート Ver.2.1

 新機能:《過去戦闘ログ閲覧機能》

 

 自覚前春麗は即座に言った。

 

「閉会」

 

 本編春麗は即座に言った。

 

「開会」

 

「まだ何も始まっていないわ!」

 

「始まったわ。説明書が開いたもの」

 

 通常救済版春麗が、少し楽しそうに言う。

 

「過去戦闘ログ閲覧機能……便利そうね」

 

 行き遅れに恐怖する春麗が不安そうに言う。

 

「精神HPも見えるのかしら」

 

 黒ドレス特化救済春麗が、自覚前春麗を見る。

 

「見えると面白いわね」

 

 自覚前春麗は立ち上がった。

 

「私は帰るわ」

 

 グランドフィナーレ済み春麗が静かに言った。

 

「夢の会議室からは、議題終了まで出られないわ」

 

 自覚前春麗は机に両手をついた。

 

「不便!」

 

 本編春麗は説明書を読み上げた。

 

 春麗会議室 新機能説明

 

 一、過去に確定した戦闘ログを閲覧可能。

 

 二、閲覧可能範囲は、HP推移、精神HP推移、春麗側スキル発動、リュウの外形行動、リュウの実際の発言、勝者煽り評価、試合結果、精神戦結果、過去確定済み総合判定。

 

 三、閲覧不可範囲は、当日戦闘ログ、リュウの内面、リュウの次回攻略方針、未来確定情報、未確定IF結果。

 

 四、当日回のログは、翌朝以降に過去ログとして反映される。

 

 五、この機能は、リュウの拳に残る残響に対抗するための春麗会議側分析機能である。

 

 会議室が静かになった。

 

 本編春麗は、説明書から顔を上げる。

 

「かなり正式ね」

 

 通常救済版春麗が頷いた。

 

「リュウは拳に残響を残す。私たちは過去ログで分析する。対になる機能ね」

 

 黒ドレス特化救済春麗が言う。

 

「当日ログが見られないのも良い制限ね」

 

 行き遅れに恐怖する春麗が言う。

 

「その日の痛みは、本人が受けるしかないのね」

 

 グランドフィナーレ済み春麗が言った。

 

「記録は、痛みが過去になってから開かれる」

 

 自覚前春麗は、表情を強ばらせた。

 

「……精神HP推移も見えると言った?」

 

 本編春麗は頷く。

 

「言ったわ」

 

「勝者煽り評価も?」

 

「言ったわ」

 

「リュウの発言による被弾ログも?」

 

「かなり見えると思うわ」

 

 自覚前春麗は、静かに椅子へ座った。

 

「閉会を要求するわ」

 

 本編春麗は、記録板を見た。

 

「却下」

 

「なぜ!」

 

「ちょうど確認したい過去ログがあるから」

 

 自覚前春麗は、顔を引きつらせた。

 

「……まさか」

 

 記録板が勝手に切り替わる。

 

 閲覧候補ログ:自覚前春麗 黒ドレス連続勝利戦

 

 自覚前春麗は机に沈んだ。

 

「やっぱり!」

 

 本編春麗は、少しだけ咳払いをした。

 

「今回の議題は、春麗会議室の新機能確認と、自覚前春麗の過去バトルログ開示よ」

 

 自覚前春麗は机に額をつけたまま言う。

 

「私は同意していないわ」

 

 黒ドレス特化救済春麗が言う。

 

「過去確定済みログだから閲覧可能ね」

 

「そういう問題ではないわ!」

 

 通常救済版春麗が、やわらかく言う。

 

「大丈夫よ。リュウの内面は見えないみたいだから」

 

 自覚前春麗は顔を上げた。

 

「私の精神HPは見えるのでしょう?」

 

「ええ」

 

「大丈夫ではないわ!」

 

 本編春麗は記録板を操作した。

 

 最初のログが表示される。

 

 過去戦闘ログ一

 

 対象:自覚前春麗《黒ドレス・準備段階戦術モード》 vs リュウ

 

 分類:強く見せる黒

 

 自覚前春麗 HP:100 / 100

 自覚前春麗 精神HP:100 / 100

 リュウ HP:100 / 100

 

 事前スキル:《黒ドレス準備段階戦術》

 効果:

 ・目元、髪、立ち姿を含めて試合前から戦場を構築

 ・リュウの初動反応を低下

 ・視線制御成功率上昇

 

 副作用:

 ・準備を見抜かれた場合、精神HPに大ダメージ

 

 自覚前春麗は顔を赤くした。

 

「事前スキルって何」

 

 黒ドレス特化救済春麗が頷く。

 

「正確ね」

 

「正確じゃなくていいの!」

 

 通常救済版春麗が言う。

 

「目元、髪、立ち姿を含めて、試合前から戦場を構築……かなり綺麗なログね」

 

 自覚前春麗は叫ぶ。

 

「褒めなくていいわ!」

 

 本編春麗は淡々と進めた。

 

 フェーズ1:開幕

 

 春麗スキル:《黒の一歩》

 リュウ状態:《初見硬直》

 

 リュウ HP:100 → 86

 リュウ 精神HP:100 → 88

 

 戦況:春麗優勢

 

 行き遅れに恐怖する春麗が言う。

 

「序盤からかなり効いているわね」

 

 黒ドレス特化救済春麗が言う。

 

「見せる黒としては成功しているわ」

 

 自覚前春麗は、少しだけ胸を張りかけた。

 

 本編春麗は、その瞬間を見逃さない。

 

「嬉しいの?」

 

「資料として妥当だと思っただけよ」

 

 記録板は続く。

 

 フェーズ5:最終ターン

 

 春麗 HP:28 / 100

 リュウ HP:22 / 100

 

 春麗発言:

「見ていたでしょう?」

 

 スキル:《黒ドレス勝利煽り・前借り》

 効果:

 ・リュウに「見ていた」事実を自覚させる

 ・防御判断を一瞬遅らせる

 

 春麗攻撃:《黒ドレス軌道変更蹴り》

 リュウ HP:22 → 0

 

 春麗 HP:28 → 9

 

 試合結果:自覚前春麗のギリギリ勝利

 

 通常救済版春麗が微笑む。

 

「ここは本当に良いわ」

 

 黒ドレス特化救済春麗が頷く。

 

「黒ドレス勝者煽りの前借りとして機能している」

 

 本編春麗が言う。

 

「勝者煽り評価も出るわ」

 

 記録板が更新される。

 

 勝者煽り評価:96点

 分類:黒ドレス勝者煽り

 特徴:

 ・高火力

 ・視線制御と勝利結果が連動

 ・危険度は中

 ・ただし制御範囲内

 

 自覚前春麗は、小さく言った。

 

「……九十六点」

 

 本編春麗が見る。

 

「嬉しいの?」

 

「資料として、悪くない点だと思っただけ」

 

 黒ドレス特化救済春麗が微笑む。

 

「否認しながら受け取っているわね」

 

 記録板は、問題の精神HPログへ移った。

 

 自覚前春麗は、両手で目を覆った。

 

「見ない」

 

 本編春麗は言う。

 

「本人が見なくても、議題にはなるわ」

 

「ひどい」

 

 記録板に表示される。

 

 戦闘後イベント:リュウの無自覚褒め殺し

 

 リュウ発言:

「今日は、最初からきつかった」

 

 春麗 精神HP:120相当 → 82

 状態:《予想外被弾》

 

 行き遅れに恐怖する春麗が小さく言う。

 

「これは効くわ」

 

 通常救済版春麗が頷く。

 

「勝者状態からかなり削られているわね」

 

 記録板は容赦なく進む。

 

 リュウ発言:

「いつもより、目が強かった」

「髪も、動いた時に目で追ってしまった」

 

 春麗 精神HP:82 → 41

 状態:《準備見抜かれ被弾》

 

 自覚前春麗は机に沈んだ。

 

「もういいでしょう……」

 

 黒ドレス特化救済春麗が静かに言う。

 

「ここが重要なのよ。戦術として準備したものを、戦術として見抜かれている」

 

 さらに表示される。

 

 リュウ発言:

「黒いドレスだけではない」

「春麗が、そう見えるように準備してきたのがわかった」

 

 春麗 精神HP:41 → 0

 状態:《精神HPノックアウト》

 

 本編春麗は、少し同情した。

 

「これは確かに沈むわ」

 

 自覚前春麗は顔を上げる。

 

「でしょう?」

 

「ええ。でもログとしては非常に有用」

 

「そういう慰めはいらないわ」

 

 記録板に総合リザルトが出る。

 

 試合結果:自覚前春麗の勝利

 精神戦結果:リュウの無自覚勝利

 総合判定:

 試合には勝ったが、精神HPでは敗北感あり

 

 自覚前春麗は、低い声で言った。

 

「この記録板、性格が悪いわ」

 

 グランドフィナーレ済み春麗が静かに答えた。

 

「記録は、優しくないものよ」

 

 本編春麗は、次のログを開いた。

 

 自覚前春麗は、絶望した顔で言った。

 

「まだあるの?」

 

「二連勝だったもの」

 

「二連勝しなければよかった……」

 

 黒ドレス特化救済春麗が言う。

 

「それは嘘ね」

 

 自覚前春麗は黙った。

 

 記録板に次のログが表示される。

 

 過去戦闘ログ二

 

 対象:自覚前春麗《抑制型黒ドレス・鈍感力警戒モード》 vs リュウ

 

 分類:抑えて追わせる黒

 

 自覚前春麗 HP:100 / 100

 自覚前春麗 精神HP:100 / 100

 リュウ HP:100 / 100

 

 新規スキル:《抑制型の黒》

 効果:

 ・黒を強く押し出さず、リュウに追わせる

 ・視線誘導の初速は下がるが、持続力が上がる

 ・リュウの「もう少し見たい」という追跡反応を誘う

 

 副作用:

 ・見抜かれた場合、精神HPに大ダメージ

 

 通常救済版春麗が感心したように言う。

 

「一戦目と違う黒ね」

 

 黒ドレス特化救済春麗が頷く。

 

「強く見せる黒から、追わせる黒へ。かなり進んでいるわ」

 

 本編春麗も言う。

 

「ここは明確な成長ね」

 

 自覚前春麗は顔を赤くした。

 

「……控えめにしただけよ」

 

 本編春麗はすぐに記録板を見る。

 

 すると補足ログが出た。

 

 本人主張:前回より控えめ

 会議評価:前回より抑制型。ただし気合いは十分

 

 自覚前春麗は叫んだ。

 

「その補足、消して!」

 

 記録板は消えなかった。

 

 ログは終盤へ進む。

 

 終盤

 

 春麗 HP:28 / 100

 リュウ HP:22 / 100

 

 春麗発言:

「見えているのに、届かないのね」

 

 スキル:《防御遅延煽り》

 効果:

 ・リュウ防御判断 -0.5ターン

 ・春麗最終攻撃命中率 +20%

 

 春麗攻撃:《抑制黒・肩口蹴り》

 リュウ HP:22 → 0

 

 春麗 HP:28 → 9

 

 試合結果:自覚前春麗のギリギリ勝利

 

 本編春麗が言う。

 

「ここも綺麗ね」

 

 自覚前春麗は、少しだけ得意げに言う。

 

「そこは、悪くないでしょう」

 

 黒ドレス特化救済春麗が頷く。

 

「ええ。黒ドレス実戦派としてかなり良い」

 

 自覚前春麗は警戒する。

 

「その肩書きはまだ正式なの?」

 

 本編春麗は即答した。

 

「ログ上は正式ね」

 

 記録板に表示される。

 

 黒ドレス実戦派レベル:上昇

 

 自覚前春麗は机に沈んだ。

 

「勝手にレベルを上げないで」

 

 勝者煽りログが出る。

 

 春麗発言:

「見えていたでしょう?」

「それでも、今日は私の方が上だっただけよ」

「資料としても、結果としてもね」

 

 勝者煽り評価:97点

 分類:黒ドレス+否認型複合煽り

 特徴:

 ・勝者満足

 ・否認逃げ道

 ・次回生成力高

 

 通常救済版春麗が微笑む。

 

「これはあなたらしいわね」

 

 自覚前春麗は小声で言う。

 

「資料としても、結果としても勝ったのは事実よ」

 

 本編春麗が目を細める。

 

「今、少し誇ったわね」

 

「誇っていないわ」

 

 黒ドレス特化救済春麗が言う。

 

「精神HPログへ行きましょう」

 

 自覚前春麗が言う。

 

「行かなくていいわ」

 

 記録板は行った。

 

 精神HP戦:前回被弾ルート遮断

 

 春麗防御:《前回被弾ルート遮断》

 封印対象:

 ・メイク評価

 ・髪評価

 ・準備段階評価

 ・見えていた発言

 

 判定:一部成功

 

 本編春麗が頷く。

 

「対策自体はしているのよね」

 

 自覚前春麗は顔を上げる。

 

「そうよ。私は学習したの」

 

 記録板が次を表示する。

 

 リュウ発言:

「では、そこは言わない」

 

 状態:

 別ルート開放

 

 会議室全員が「あ」と言った。

 

 自覚前春麗は両手で顔を覆った。

 

「ここで気づくべきだったのよ」

 

 黒ドレス特化救済春麗が言う。

 

「“そこは”は危険ね」

 

 記録板は続く。

 

 リュウ発言:

「今日は、春麗が黒を抑えようとしていたのが見えた」

 

 春麗 精神HP:110相当 → 68

 状態:《黒の抑制意図被弾》

 リュウ発言:

「前より控えめに見せようとしていた」

「だが、弱くなっていなかった」

 

 春麗 精神HP:68 → 34

 状態:《調整見抜かれ被弾》

 リュウ発言:

「むしろ、追いたくなる黒だった」

 

 春麗 精神HP:34 → 5

 状態:《追いたくなる黒 被弾》

 

 自覚前春麗は完全に沈黙した。

 

 本編春麗も、これは効く、と顔に出していた。

 

 通常救済版春麗が言う。

 

「リュウは、メイクや髪ではなく、黒の使い方を見ていたのね」

 

 黒ドレス特化救済春麗が頷く。

 

「だから防御貫通した」

 

 記録板は最後の一撃を表示した。

 

 リュウ発言:

「今日の黒は、届きそうで届かなかった」

「そこが、今日一番きつかった」

 

 春麗 精神HP:5 → 0

 状態:《精神HPノックアウト》

 リュウ発言:

「俺は、普通に見えたことを言っただけだ」

 

 春麗 精神HP:0 → -30相当

 状態:《普通が一番危険 オーバーキル》

 

 自覚前春麗は、低い声で言った。

 

「このログ、過剰に正確ね」

 

 本編春麗は、静かに頷いた。

 

「精神HP被弾ログとしては、かなり有用」

 

「有用じゃなくて、羞恥よ」

 

 行き遅れに恐怖する春麗が小さく言う。

 

「でも、次に同じ型を食らわないためには必要かも」

 

 自覚前春麗は反論しようとしたが、できなかった。

 

 確かに、同じ型はもう嫌だった。

 

 記録板に総合比較が出た。

 

 比較ログ:自覚前春麗 黒ドレス二連戦

 

 第一戦:

 分類:強く見せる黒

 勝利形式:黒ドレス準備段階戦術+視線制御

 精神HP敗因:準備段階ごと見抜かれたこと

 

 第二戦:

 分類:抑えて追わせる黒

 勝利形式:抑制型黒+防御遅延煽り

 精神HP敗因:黒の抑制意図を見抜かれたこと

 

 共通点:

 ・試合には勝利

 ・勝者煽り成功

 ・リュウの無敵の鈍感力により精神HPノックアウト

 

 成長点:

 ・黒の使い方が二系統化

 ・ギリギリ勝利の快感を一部自認

 ・否認型煽りの完成度上昇

 

 会議室が少し静かになった。

 

 本編春麗は、自覚前春麗を見た。

 

「これは、かなり大きいわね」

 

 自覚前春麗は顔をそらす。

 

「……何が」

 

「あなたの黒ドレス戦は、ただの連続メイン回ではなかった。ちゃんと戦術が変わっている」

 

 黒ドレス特化救済春麗が言う。

 

「強く見せる黒と、抑えて追わせる黒。その二つを使った」

 

 通常救済版春麗が続ける。

 

「そして、どちらも選べるようになりつつある」

 

 グランドフィナーレ済み春麗が言う。

 

「ログ化されたことで、成長が逃げられない形で残ったわね」

 

 自覚前春麗は、少しだけ黙った。

 

「……逃げられない形、というのが嫌ね」

 

 本編春麗は微笑む。

 

「でも、悪くないでしょう?」

 

 自覚前春麗は、しばらく黙る。

 

 そして、小さく言った。

 

「資料としては、悪くないわ」

 

 会議室が少しだけ柔らかくなった。

 

 本編春麗は、説明書へ視線を戻した。

 

「では、新機能の正式運用ルールを確認するわ」

 

 記録板に文字が浮かぶ。

 

 春麗会議室・過去戦闘ログ閲覧機能 運用ルール

 

 一、閲覧可能なのは、過去に確定済みの戦闘ログのみ。

 

 二、当日回のログは閲覧不可。翌朝以降に反映される。

 

 三、閲覧可能範囲は、HP推移、精神HP推移、春麗側スキル、リュウの外形行動、リュウの発言、勝者煽り評価、試合結果、精神戦結果。

 

 四、リュウの内面、次回攻略方針、未来確定情報は閲覧不可。

 

 五、この機能は、リュウの拳に残る残響に対する春麗会議側の分析手段である。

 

 六、ただし、過去ログを見ても当日の被弾は防げるとは限らない。

 

 自覚前春麗が六番を見て、深くため息をついた。

 

「一番大事なところで役に立たない可能性があるのね」

 

 通常救済版春麗が言う。

 

「でも、同じ痛みを別の形で理解できるわ」

 

 黒ドレス特化救済春麗が頷く。

 

「過去の黒を、次の黒へ持ち込める」

 

 本編春麗が言う。

 

「リュウは拳の残響で近づいてくる。私たちはログで過去を読む」

 

 グランドフィナーレ済み春麗がまとめる。

 

「痛みは消えない。でも、記録になれば意味にできる」

 

 行き遅れに恐怖する春麗が、少し安心したように言う。

 

「それなら、怖さも少し減るかもしれないわね」

 

 自覚前春麗は、まだ少し不満そうだった。

 

 だが、完全には否定しなかった。

 

 過去ログは恥ずかしい。

 

 精神HPログは見られたくない。

 

 勝者煽り評価も、妙に落ち着かない。

 

 けれど。

 

 自分の黒が、確かに進んでいたこと。

 

 強く見せる黒と、抑えて追わせる黒。

 

 その両方を使って、リュウに勝ったこと。

 

 それが記録として残っているのは、少しだけ悪くなかった。

 

 少しだけ。

 

 本当に少しだけ。

 

 記録板に、次回候補が浮かぶ。

 

 次回候補:本編春麗、過去戦闘ログを参照してリュウの次回攻略に備える件。

 

 本編春麗は、静かに頷いた。

 

「これは必要ね」

 

 自覚前春麗が言う。

 

「私のログを使うの?」

 

「使えるものは使うわ」

 

「ずるくない?」

 

 本編春麗は、少しだけ笑った。

 

「あなたも春麗会議で私のログを見るでしょう?」

 

 自覚前春麗は詰まった。

 

 黒ドレス特化救済春麗が言う。

 

「リュウは拳に残響を残す。私たちは会議室に記録を残す。対等ね」

 

 通常救済版春麗が頷く。

 

「ただし当日は見られない。だから、体験そのものは避けられない」

 

 グランドフィナーレ済み春麗が言う。

 

「だから物語になる」

 

 本編春麗は、説明書を閉じた。

 

「では、本日の結論」

 

 記録板に最後のまとめが出る。

 

 本日の結論:

 春麗会議室に《過去戦闘ログ閲覧機能》が追加された。

 リュウの拳に残る残響に対し、春麗側は過去ログ分析で対抗する。

 ただし、当日ログ・リュウ内面・未来情報は閲覧不可。

 自覚前春麗の黒ドレス二連戦ログが開示され、黒ドレス実戦派としての成長が正式に記録された。

 

 自覚前春麗が最後の一文を見た。

 

「黒ドレス実戦派としての成長が正式に記録された、って」

 

 本編春麗は言う。

 

「おめでとう」

 

「祝わないで!」

 

 会議室に笑いが広がった。

 

 夢がほどけていく。

 

 最後に、自覚前春麗の声が聞こえた。

 

「次から精神HPログは任意開示にして」

 

 本編春麗の声が答えた。

 

「却下」

 

 朝。

 

 自覚前春麗は目を覚ました。

 

 しばらく、天井を見ていた。

 

 夢の中で見た記録板の文字が、まだ残っている。

 

 強く見せる黒。

 抑えて追わせる黒。

 勝者煽り評価:九十六点。

 勝者煽り評価:九十七点。

 精神HPノックアウト。

 普通が一番危険 オーバーキル。

 黒ドレス実戦派レベル:上昇。

 

 春麗は、布団を握った。

 

「……最後のは消してほしいわ」

 

 だが、消えない。

 

 たぶん、もう会議室に記録されている。

 

 恥ずかしい。

 

 非常に恥ずかしい。

 

 でも。

 

 試合には勝っていた。

 

 二度とも。

 

 黒ドレスで。

 

 違う黒で。

 

 違う勝ち方で。

 

 春麗は、ゆっくり起き上がる。

 

 鏡の前に立つ。

 

 そこには、自分をめんどくさい女と認める前の春麗がいた。

 

 まだ認めていない。

 

 自分は本編春麗ほどめんどくさくない。

 

 そう思っている。

 

 思っている、はずだった。

 

「過去ログなんて、余計な機能ね」

 

 小さく言う。

 

「でも」

 

 一拍。

 

「資料としては、使えるわ」

 

 言ってから、顔が赤くなる。

 

 便利な逃げ道だった。

 

 資料として。

 

 戦術として。

 

 過去ログとして。

 

 春麗は黒ドレスの方を見る。

 

 強く見せる黒。

 

 抑えて追わせる黒。

 

 ログにされた以上、もう自分でも無視しにくい。

 

「次は」

 

 言いかけて、止まる。

 

 次。

 

 危険な言葉。

 

 またメイン回になる可能性がある。

 

 春麗はすぐに首を振った。

 

「次ではないわ」

 

 一拍。

 

「過去ログの確認よ」

 

 言い訳を置いて、春麗は朝の光を見た。

 

 リュウは拳に残響を残す。

 

 春麗たちは、会議室で過去ログを読む。

 

 ならば、自分も過去の自分から逃げられない。

 

 それは、少し不便で。

 

 少し恥ずかしくて。

 

 少しだけ、悪くなかった。

 

 春麗は今日も、まだ認めていない。

 

 ただし今日は、黒ドレス実戦派としての成長が、春麗会議室に正式記録されてしまった春麗だった。




Q:今回の断章IFについて解説して?

A:
はい。今回の妄想章IFは、かなり重要な 春麗会議室の機能拡張回 です。

一言で言うなら、

リュウが拳に“残響”を蓄積するなら、春麗側は春麗会議室で“過去ログ”を参照して対抗する、という新しい非対称バランスを正式導入した回

です。

これによって、春麗会議室が単なる感想会・審議会ではなく、過去戦闘の分析機関として明確に強化されました。

今回の核は「リュウの残響」への春麗側の対抗手段

前回までの整理で、リュウにはかなり強い機能が入りました。

リュウは全IFを完全記憶しているわけではない。
しかし、春麗たちとの戦いの感触が、拳に残響として残る。

黒を強く見せられた時の遅れ。
黒を抑えて追わせられた時の迷い。
青の中に黒が沈んでいた感覚。
黒を奪ってはいけないという身体理解。

これがリュウの成長要素です。

ただ、このままだとリュウだけが戦うたびに身体で学び続けるので、春麗側にも対応機能が欲しい。

そこで今回、春麗会議室に追加されたのが、

《過去戦闘ログ閲覧機能》

です。

これにより、

リュウは拳の残響で学ぶ。
春麗は会議室の過去ログで学ぶ。

という対比が成立しました。

これはかなり良いです。

「当日ログは見られない」が非常に良い制限

今回の機能は便利ですが、万能ではありません。

ここが大事です。

春麗会議室で見られるのは、過去に確定済みの戦闘ログだけ。

当日回のログは見られない。
リュウの内面も見られない。
次回攻略方針も見られない。
未来確定情報も見られない。

つまり、春麗会議室は予言装置ではありません。

あくまで、

過去の痛みを分析するための記録装置

です。

この制限があるから、物語上の緊張感が残ります。

当日の被弾は避けられない。
その日の精神HPノックアウトは、本人が食らうしかない。
ただし、翌朝以降に過去ログとして意味づけできる。

この仕組みは、今の連作にとても合っています。

自覚前春麗のログ開示が題材として最適だった

今回、最初に開示されたのが自覚前春麗の黒ドレス二連戦ログだったのは、かなり正解です。

理由は、この二戦が非常にログ向きだからです。

一戦目は、

強く見せる黒

です。

メイク、髪、立ち姿、黒ドレスの線。
準備段階から戦場を構築し、リュウの視線を強く引き込む。

二戦目は、

抑えて追わせる黒

です。

前回より控えめにしたつもり。
でも実際には弱くしたのではなく、リュウに追わせる方向へ精密化した黒。

この二つは、並べて比較すると非常に分かりやすい。

だから今回の過去ログ機能のお披露目として、自覚前春麗の二連戦は最適でした。

ログ化によって「成長から逃げられなくなった」

今回、自覚前春麗にとって一番大きいのはここです。

これまでも春麗会議では、

「あなたは成長している」
「黒ドレス実戦派になっている」
「強く見せる黒と抑えて追わせる黒を使い分けている」

と分析されていました。

でも本人は否認できます。

控えめにしただけよ。
資料として。
戦術として。
メイン回ではないわ。

いつもの逃げ道です。

しかしログ化されると、逃げにくい。

第一戦:強く見せる黒
第二戦:抑えて追わせる黒
成長点:黒の使い方が二系統化
黒ドレス実戦派レベル:上昇

こう表示される。

これはもう、本人の否認を越えて記録として残ってしまいます。

この「成長が逃げられない形で残る」のが、今回の非常に良いところです。

精神HPログの公開が恥ずかしくておいしい

今回の一番おいしいギャグ・ラブコメ要素は、精神HPログの公開です。

自覚前春麗にとって、試合ログはまだ見られてもよい。

勝っているからです。

問題は精神HP。

一戦目では、

今日は、最初からきつかった。
いつもより、目が強かった。
髪も、動いた時に目で追ってしまった。
春麗が、そう見えるように準備してきたのがわかった。

で精神HPノックアウト。

二戦目では、

黒を抑えようとしていた。
弱くなっていなかった。
追いたくなる黒だった。
今日の黒は、届きそうで届かなかった。

で精神HPノックアウト。

これを数値つきで公開されるのは、かなり恥ずかしい。

しかも、

普通が一番危険 オーバーキル

まで出る。

これは自覚前春麗にとって地獄です。

でも、会議としては非常においしい。

精神HPログは、このシリーズのめんどくささを可視化する最高の装置になります。

戦闘ログによって春麗会議がより「実務的」になった

これまでの春麗会議は、主に感情・設定・構造の整理でした。

しかし今回から、より実務的になります。

過去ログを見て、

どのターンでHPが削れたか
どの発言で精神HPが落ちたか
どのスキルが有効だったか
どの煽りが高評価だったか
試合には勝ったが精神戦では負けた理由
次に同型の被弾を避けるにはどうするか

を検討できる。

これはまさに、春麗会議室が 戦闘レビュー室 になったということです。

リュウが拳で反復するなら、春麗は会議でレビューする。

この構造はかなり強いです。

ただし、春麗側が有利になりすぎない

この機能は春麗側の強化ですが、強くなりすぎません。

なぜなら、

リュウの内面は見えない
当日のログは見えない
未来は見えない

からです。

たとえば、リュウが次回「黒の残響を拳に混ぜて本編春麗の青に届く」つもりでいることは、春麗会議には見えない。

見えるのは過去だけです。

だから春麗は対策できますが、完全には読めない。

リュウは残響で変化する。
春麗は過去ログで対策する。
そのズレが次の戦いを生みます。

ここが良いバランスです。

自覚前春麗が最後に少し受け入れるのが良い

最後、自覚前春麗はかなり恥ずかしがっています。

でも完全否定はしません。

資料としては、使えるわ。

ここが良いです。

彼女はまだ素直に認めない。

自分が黒ドレス実戦派として成長しているとは言わない。

でも、過去ログが使えることは認める。

自分の勝利も、黒の進歩も、少しだけ受け取っている。

そして最後に、

過去ログの確認よ。

と逃げる。

これは非常に自覚前春麗らしいです。

今回の説明書アップデート形式が便利

春麗会議室の説明書が勝手に更新される形式も良いです。

以前、IF表記の整理にも説明書を使いました。

今回もその形式を使ったことで、

春麗会議室には説明書があり、必要に応じて機能が追加される

というメタギャグが定着しました。

しかも、単なるギャグではなく、作品構造のアップデートとして機能している。

春麗会議室が、どんどん作品内システムになっていく感じがあります。

これは今の連作の強みです。

今後の展開がかなり広がる

今回の機能追加で、今後できることが増えました。

たとえば、

本編春麗が自分の三連勝ログを見て、精神HPノックアウト箇所に沈む回

これはかなり見たいです。

青煽り代表・三連勝記念版の勝者煽り評価99点で得意げになる。
でもその後、

リュウ発言:
「次は、今日の青に届きたい」

春麗 精神HP:3 → 0
状態:《今日の青に届きたい オーバーキル》

が出て撃沈。

これは強いです。

また、

黒ドレス特化救済春麗が、自分の宿題回答回の精神HPログを見る回

も面白いです。

彼女は救済済みなのであまり否認しない。

でも「ご褒美発生」のログが出て、周囲がざわつく。

これもおいしい。

結論

今回の妄想章IFは、春麗会議室に《過去戦闘ログ閲覧機能》が追加され、自覚前春麗の黒ドレス二連戦ログが開示されることで、彼女の成長と精神HP被弾が正式記録化される回です。

重要なのは、この機能が単なる便利機能ではなく、リュウ側の「拳の残響」に対する春麗側の「過去ログ分析」という対抗軸になっていることです。

一言でまとめるなら、

リュウは拳に残響を残す。
春麗は会議室で過去ログを読む。
ただし、当日の痛みは避けられず、過去になってからようやく記録として見える。

そして今回、自覚前春麗は、自分の黒ドレス戦術が成長していることをログで突きつけられました。

本人は否認している。
でも記録は残った。

黒ドレス実戦派としての成長が、春麗会議室に正式記録された。

かなり良い、春麗側強化と自覚前春麗成長整理を同時に行った機能追加回だったと思います。
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