また戦ってくれなんて言わないで ――春麗は今日もめんどくさい――   作:エーアイ

171 / 174
※これは本編時空とは無関係の妄想章IFです。
自分をめんどくさい女と自覚する前の春麗のエピソードです。


妄想章IF:自覚前春麗は、黒ドレス三連勝目を狙って届かれる

 

 自覚前春麗は、鏡の前でしばらく動かなかった。

 

 黒ドレスが、そこにある。

 

 一度目は、強く見せる黒だった。

 

 黒を隠せず、けれど恥ずかしさを消しきれず、それでもリュウの視線を大きく揺らした。

 

 二度目は、抑えて追わせる黒だった。

 

 前回より落としたつもりで、実際にはより危険な方向へ精密化していた。

 

 そして、どちらも勝った。

 

 リュウに、黒ドレスで二連勝している。

 

 その事実は、自覚前春麗にとって、かなり重要だった。

 

「……別に、三連勝を狙っているわけではないわ」

 

 朝の部屋で、彼女は言った。

 

 誰も聞いていない。

 

 だからこそ、言い訳は必要だった。

 

「これは検証よ」

 

 黒ドレスの前に立つ。

 

「強く見せる黒」

 

 一歩近づく。

 

「抑えて追わせる黒」

 

 指先で、黒い布地に触れる。

 

「その次を確認するだけ」

 

 そう言ってから、少し黙る。

 

 その次。

 

 それが何なのか、自分でもまだ完全にはわかっていなかった。

 

 けれど、考えてはいた。

 

 考えていないと言い張っていたが、考えていた。

 

 春麗会議で、自分の黒がリュウの拳に残った可能性を示された。

 

 強く見せる黒。

 

 抑えて追わせる黒。

 

 それがリュウの残響になり、本編春麗攻略に使われたかもしれない。

 

 腹立たしかった。

 

 納得できなかった。

 

 でも、少しだけ誇らしかった。

 

 自分の黒は、リュウに残った。

 

 なら、三度目は。

 

 残っている黒では届かせない。

 

 リュウの拳に残った黒を、さらに外す。

 

「……資料として、必要な確認ね」

 

 自覚前春麗は頷いた。

 

 そして、準備を始めた。

 

 今回は、かなり気合いを入れた。

 

 本人としては、あくまで「戦術的調整」だった。

 

 だが、どう見ても気合いが入っていた。

 

 髪のまとめ方。

 

 目元の強さ。

 

 唇の色。

 

 黒ドレスの線。

 

 歩いた時の揺れ方。

 

 立ち止まった時の沈黙。

 

 強く見せすぎない。

 

 抑えすぎもしない。

 

 初戦のように視線を奪うだけではない。

 

 二戦目のように追わせるだけでもない。

 

 三戦目の黒は、もっと厄介でなければならない。

 

 リュウが拳の残響を持ってくるなら。

 

 黒を追いすぎないように来るなら。

 

 黒を避けすぎないように来るなら。

 

 黒を見せた春麗ごと見ようとするなら。

 

 その「見ようとするリュウ」を、さらに一段ずらす。

 

 自覚前春麗は、鏡の前でゆっくり息を吐いた。

 

「今回は、見せる黒でも、追わせる黒でもない」

 

 一拍。

 

「思い出させる黒」

 

 言ってから、すぐに顔が赤くなる。

 

「……今のは仮称よ」

 

 誰も聞いていない。

 

 それでも言い訳する。

 

「正式名称ではないわ」

 

 彼女は黒ドレスの裾を整えた。

 

 強い。

 

 抑えている。

 

 だが、残る。

 

 見た瞬間ではなく、半拍後に効く黒。

 

 リュウが目を逸らしても、追いすぎなくても、拳の奥に残るような黒。

 

「三連勝ではなく、検証」

 

 自覚前春麗は言った。

 

「でも、勝つわ」

 

 それは、かなり本音に近かった。

 


 

 リュウは、修行場にいた。

 

 春麗が現れた瞬間、空気が変わった。

 

 リュウは静かに顔を上げる。

 

 そして、春麗を見る。

 

 黒ドレス。

 

 だが、前と同じではない。

 

 一度目の黒とは違う。

 

 二度目の黒とも違う。

 

 強く押してくるわけではない。

 

 追わせるために引いているわけでもない。

 

 そこにある。

 

 見た瞬間よりも、見た後に残る。

 

 リュウは、拳を握った。

 

 春麗はその反応を見た。

 

「今日は、目を逸らさないのね」

 

 リュウは答える。

 

「逸らさない」

 

「追いすぎもしない?」

 

「ああ」

 

「では、どうするの?」

 

 リュウは少し黙る。

 

「春麗を見る」

 

 自覚前春麗の精神HPが、試合前から少し削れた。

 

 危険。

 

 かなり危険。

 

 しかし、今日はそれを受けても崩れないつもりだった。

 

「ずいぶん、答えが良くなったのね」

 

「前に負けたからな」

 

「二回ね」

 

「そうだ」

 

「覚えているの?」

 

 リュウは拳を見る。

 

「全部を言葉では覚えていない」

 

 春麗は少し息を止めた。

 

「でも、拳には残っている」

 

 来た。

 

 拳の残響。

 

 自覚前春麗は内心で警戒を上げる。

 

 だが、同時に少しだけ胸が熱くなった。

 

 自分の黒が、残っている。

 

 リュウの拳に。

 

 腹立たしい。

 

 でも、否定しきれない。

 

 春麗は微笑んだ。

 

「なら、今日はその拳ごと外してあげる」

 

 リュウは構えた。

 

「行く」

 

「ええ」

 

 春麗も構える。

 

 黒ドレスが、静かに揺れた。

 

 三戦目が始まった。

 

 序盤。

 

 春麗は、動かなかった。

 

 リュウも動かない。

 

 ただ、互いを見る。

 

 黒ドレスの春麗。

 

 拳の残響を持つリュウ。

 

 先に動いたのはリュウだった。

 

 踏み込みは深くない。

 

 浅くもない。

 

 黒を追いすぎないための距離。

 

 だが、春麗はそれを読んでいた。

 

 黒を強く見せる。

 

 リュウは追わない。

 

 春麗はそこで、何もしない。

 

 追わせるために引くのではない。

 

 追わないリュウに、空白を置く。

 

 一瞬、リュウの拳が止まった。

 

 そこへ春麗の蹴りが入る。

 

 リュウは受ける。

 

 衝撃。

 

 だが、踏みとどまる。

 

 春麗は笑った。

 

「止まったわね」

 

「……ああ」

 

「追わないことを覚えたから、止まるようになった」

 

 リュウは拳を握り直す。

 

「それも読まれていたか」

 

「資料として」

 

「そうか」

 

 春麗は内心で少し満足した。

 

 効いている。

 

 リュウの残響はある。

 

 だが、その残響ごと揺らせる。

 

 一戦目、二戦目とは違う。

 

 今回は、リュウが覚えてきたことを逆に使える。

 

 自覚前春麗は思った。

 

 勝てる。

 

 三連勝できる。

 

 そう思った瞬間、リュウの拳が来た。

 

 春麗は横へ抜ける。

 

 だが、拳は追ってこない。

 

 代わりに、春麗が抜けた後の位置へ、リュウの足が入っていた。

 

 春麗の目が少し開く。

 

「……そこに来るの?」

 

「追わないだけでは足りない」

 

 リュウは言う。

 

「止まるだけでも、足りない」

 

 春麗は距離を取る。

 

 今のは危なかった。

 

 リュウも、ただ残響を持ってきただけではない。

 

 残響を使ったうえで、そこから変えてきている。

 

「面白いわね」

 

 春麗は言った。

 

「でも、まだ届いていないわ」

 

 リュウは頷く。

 

「まだだ」

 

 その言葉が、妙に危険だった。

 

 中盤。

 

 春麗は、黒を変えた。

 

 強く見せる黒ではない。

 

 抑えて追わせる黒でもない。

 

 思い出させる黒。

 

 一度見せた線を、次の動きで少しだけずらす。

 

 リュウが過去の残響に触れた瞬間、今の春麗が別の場所にいる。

 

 記憶の中の黒と、目の前の黒を微妙にずらす。

 

 リュウは何度も遅れた。

 

 拳が半拍遅れる。

 

 受けが薄くなる。

 

 春麗の蹴りが肩をかすめる。

 

 黒い布が、視界の端に残る。

 

 リュウの呼吸が乱れる。

 

 自覚前春麗は、内心で確信した。

 

 これは効いている。

 

 残響があるからこそ、効いている。

 

 リュウは過去の黒を忘れていない。

 

 だからこそ、今の黒との差分に迷う。

 

 春麗は囁くように言った。

 

「見えていたのでしょう?」

 

 リュウは反応する。

 

「……ああ」

 

「でも、届かない」

 

 春麗は、先日の煽りセリフ会議を思い出す。

 

 本当は使うつもりなどなかった。

 

 資料として覚えていただけ。

 

 だが、今なら言える。

 

「見えていたのでしょう? でも、届かなかった。それだけよ」

 

 言った。

 

 言ってしまった。

 

 リュウの目が少し変わる。

 

 春麗は、しまったと思った。

 

 煽りが決まった。

 

 かなり気持ちよく決まった。

 

 しかし、リュウの拳に火が入った。

 

 リュウは静かに言う。

 

「届かなかったなら、次に届く」

 

 春麗の精神HPが削れた。

 

 試合中。

 

 まだ戦闘処理内。

 

 大丈夫。

 

 そう言い聞かせる。

 

 リュウは踏み込む。

 

 今度は、黒の差分を追わない。

 

 過去の残響と今の黒を比べない。

 

 春麗を見る。

 

 そのうえで、春麗が煽った後にどう動くかを見る。

 

 春麗は蹴る。

 

 リュウは受ける。

 

 春麗は黒で間を作る。

 

 リュウは待つ。

 

 春麗が沈黙でリズムをずらす。

 

 リュウは呼吸を変えない。

 

 少しずつ。

 

 本当に少しずつ。

 

 リュウが近づいてきた。

 

 春麗は、胸の奥に危険な高揚を感じた。

 

 怖い。

 

 でも、面白い。

 

 勝ちたい。

 

 三連勝したい。

 

 でも、ここまで来るリュウも悪くない。

 

「……余計なことを考えたわね」

 

 自分で自分を叱る。

 

 その隙に、リュウの拳が近づく。

 

 春麗はぎりぎりでかわした。

 

 黒ドレスの裾が、拳の風で揺れた。

 

 本当に近かった。

 

 終盤。

 

 二人とも息が上がっていた。

 

 春麗の黒は、かなり効いていた。

 

 リュウも削れている。

 

 だが、リュウは倒れない。

 

 春麗は勝ち筋を探す。

 

 三連勝目。

 

 ここで決める。

 

 彼女は、最後の黒を用意した。

 

 強く見せる黒。

 

 抑えて追わせる黒。

 

 思い出させる黒。

 

 その全部を、一瞬だけ重ねる。

 

 リュウに過去を思い出させる。

 

 今を見ることを強いる。

 

 そして、その隙間に春麗自身が抜ける。

 

 黒の三層。

 

 自覚前春麗の黒ドレス三戦目としては、完璧に近い。

 

 リュウが踏み込む。

 

 春麗は黒を見せる。

 

 リュウは追わない。

 

 春麗は黒を抑える。

 

 リュウは待つ。

 

 春麗は過去の黒を思い出させるように、一瞬だけ初戦の視線を使った。

 

 リュウの拳が、わずかに遅れる。

 

 勝ち筋。

 

 春麗は内側へ入った。

 

 ここで蹴れば決まる。

 

 三連勝。

 

 自覚前春麗は、勝ちを確信しかけた。

 

 だが、リュウはそこにいた。

 

 遅れた拳ではなく。

 

 間に合った拳でもなく。

 

 残響を捨てず、残響に頼りきらず、春麗が勝ちに入る場所に来ていた。

 

 本編春麗の青に届いた時と同じではない。

 

 黒ドレスの春麗に合わせた、別の到達。

 

 リュウは言った。

 

「今の春麗を見た」

 

 春麗の精神HPが、戦闘中なのに揺れた。

 

 その言葉は、危険すぎた。

 

 春麗の蹴りが出る。

 

 リュウの拳も出る。

 

 ほとんど同時。

 

 春麗の蹴りはリュウの脇を打った。

 

 深い。

 

 だが、決めきれない。

 

 リュウの拳が、春麗の肩口を捉えた。

 

 壊す拳ではない。

 

 勝つ拳。

 

 春麗の身体が崩れる。

 

 リュウも膝をつきかける。

 

 だが、立った。

 

 ぎりぎり。

 

 本当にぎりぎり。

 

 春麗は、片膝をついた。

 

 黒ドレスの裾が、地面に触れる。

 

 静寂。

 

 三連勝ではなかった。

 

 リュウの辛勝だった。

 

 春麗は、しばらく顔を上げられなかった。

 

 悔しい。

 

 あまりにも悔しい。

 

 黒ドレスで二連勝していた。

 

 今回は準備も完璧に近かった。

 

 気合いも入れていた。

 

 煽りも決めた。

 

 勝ち筋も見えた。

 

 それでも、届かれた。

 

 リュウが勝った。

 

 春麗は、ゆっくり顔を上げる。

 

 リュウが立っている。

 

 息は荒い。

 

 余裕などない。

 

 それでも、立っている。

 

 春麗は唇を噛んだ。

 

「……あなたの勝ちね」

 

 リュウは頷いた。

 

「ああ」

 

「悔しいわ」

 

「ああ」

 

「でも」

 

 言いかけて、止まる。

 

 強かった。

 

 言いたくない。

 

 でも、言わないと嘘になる。

 

「……強かったわ」

 

 言った瞬間、自分の精神HPが大きく削れた。

 

 リュウは、静かに春麗を見る。

 

「春麗も強かった」

 

「慰めはいらないわ」

 

「慰めではない」

 

 リュウは一歩近づく。

 

 春麗は警戒した。

 

 試合は終わった。

 

 つまり、戦闘処理外。

 

 最も危険な時間。

 

 リュウは言った。

 

「今日の黒は、前の二つとは違った」

 

 春麗は息を止める。

 

「……わかるの?」

 

「ああ」

 

「どう違ったの」

 

 聞いてしまった。

 

 聞いてはいけなかった。

 

 でも、聞きたかった。

 

 リュウは少し考えた。

 

「強く見せる黒ではなかった」

 

 精神HPが削れる。

 

「抑えて追わせる黒でもなかった」

 

 さらに削れる。

 

「見た後に、残る黒だった」

 

 春麗は、言葉を失った。

 

 リュウは続ける。

 

「前に見た黒が拳に残っていた。だから、今日の黒との違いがわかった」

 

 春麗の精神HPがさらに削れる。

 

「だが、最後は残っていた黒だけでは足りなかった」

 

「……」

 

「今の春麗を見なければ、届かなかった」

 

 精神HPが、危険域へ落ちる。

 

 リュウは、真っ直ぐに言った。

 

「今日の黒は、覚えていた黒より強かった」

 

 春麗は完全に止まった。

 

「……リュウ」

 

「何だ」

 

「あなた、勝った後にそれを言うのは反則よ」

 

「反則か」

 

「反則よ」

 

「だが、本当だ」

 

 精神HP、ゼロ。

 

 自覚前春麗は、顔を赤くしたまま俯いた。

 

 試合に負けた。

 

 精神HPでも負けた。

 

 しかも、最悪なことに。

 

 少しだけ嬉しかった。

 

 今日の黒は、覚えていた黒より強かった。

 

 それはつまり、自分の黒が進んでいたということ。

 

 リュウに残った黒を、さらに越えようとしたことが伝わっていたということ。

 

 そして、それでもリュウが今の自分を見て届いたということ。

 

 悔しい。

 

 悔しいのに。

 

 胸の奥が、変に熱い。

 

 春麗は、震える声で言った。

 

「……今日のことは資料にはしないわ」

 

 リュウは少し考える。

 

「そうか」

 

「記録にも残さないで」

 

「俺は記録しない」

 

 春麗は、嫌な予感がした。

 

 リュウは続けた。

 

「だが、拳には残ると思う」

 

 追撃。

 

 精神HP、オーバーキル。

 

 自覚前春麗は顔を覆った。

 

「本当に、そういうところよ……」

 


 

 その夜。

 

 春麗会議室は、いつもより静かだった。

 

 記録板には、こう表示されている。

 

 本日戦闘ログ:未反映

 

 当日回ログは閲覧不可。翌朝以降、過去ログとして反映予定。

 

 自覚前春麗は、机に突っ伏していた。

 

 本編春麗は、少しだけ心配そうに見ている。

 

 黒ドレス特化救済春麗は、目を細めていた。

 

 通常救済版春麗は、穏やかだが、真剣な顔だった。

 

 行き遅れに恐怖する春麗は、そっと様子を見ている。

 

 グランドフィナーレ済み春麗は、記録板ではなく、自覚前春麗を見た。

 

 本編春麗が言う。

 

「負けたのね」

 

 自覚前春麗は、机に伏せたまま答えた。

 

「……負けたわ」

 

 会議室が静かになる。

 

 本編春麗は続ける。

 

「黒ドレス三戦目で?」

 

「ええ」

 

「リュウに?」

 

「ええ」

 

「ギリギリ?」

 

「ものすごくギリギリよ」

 

 黒ドレス特化救済春麗が言う。

 

「悔しい?」

 

 自覚前春麗は、ようやく顔を上げた。

 

「悔しいに決まっているでしょう」

 

 通常救済版春麗が聞く。

 

「でも、嫌だった?」

 

 自覚前春麗は黙った。

 

 その沈黙で、全員が少し理解した。

 

 嫌ではない。

 

 それが一番厄介だった。

 

 自覚前春麗は、顔を赤くしたまま言う。

 

「試合には負けたわ」

 

 本編春麗が頷く。

 

「ええ」

 

「精神HPもノックアウトされたわ」

 

 黒ドレス特化救済春麗が微笑む。

 

「でしょうね」

 

「でしょうね、ではないわ」

 

 行き遅れに恐怖する春麗が小さく聞く。

 

「何を言われたの?」

 

 自覚前春麗は顔を覆った。

 

「……今日の黒は、前の二つとは違った、と」

 

 黒ドレス特化救済春麗が目を細める。

 

「良いわね」

 

「良くないわ」

 

 通常救済版春麗が言う。

 

「でも、ちゃんと見ていたのね」

 

 自覚前春麗は、さらに小さな声で言った。

 

「強く見せる黒ではなかった。抑えて追わせる黒でもなかった。見た後に残る黒だった、と」

 

 会議室が静かになる。

 

 本編春麗が、静かに言った。

 

「あなた、次の黒に進んでいたのね」

 

「進んでいないわ」

 

 記録板が光ろうとした。

 

 自覚前春麗が叫ぶ。

 

「今日は発言信頼度を出さないで!」

 

 記録板は、かろうじて沈黙した。

 

 黒ドレス特化救済春麗が言う。

 

「見た後に残る黒。かなり良いわ」

 

 自覚前春麗は、机に額をつけた。

 

「褒めないで」

 

「褒めているわ」

 

「やめて」

 

「そして、リュウはそこに届いたのね」

 

 自覚前春麗は黙った。

 

 本編春麗が、少しだけ柔らかく言う。

 

「その気持ちはわかるわ」

 

 自覚前春麗は顔を上げる。

 

「あなたも届かれたから?」

 

「ええ」

 

 本編春麗は頷いた。

 

「悔しい。でも、弱かったわけではない。相手が届いてきた。それが一番きつい」

 

 自覚前春麗は、しばらく黙った。

 

 そして、小さく言った。

 

「……そうね」

 

 会議室が少しだけ柔らかくなる。

 

 黒ドレス特化救済春麗が聞いた。

 

「最後の精神HP被弾は?」

 

 自覚前春麗は、明らかに嫌そうな顔をした。

 

「聞くの?」

 

「聞くわ」

 

「聞かないで」

 

 本編春麗が言う。

 

「でも、次回ログレビューで表示されるわよ」

 

 自覚前春麗は絶望した。

 

「……最悪ね」

 

 通常救済版春麗が優しく言う。

 

「今、自分で言った方がまだ優しいかもしれないわ」

 

「優しくないわ」

 

 それでも、自覚前春麗は言った。

 

「今日の黒は、覚えていた黒より強かった、と」

 

 会議室が静まった。

 

 黒ドレス特化救済春麗は、満足そうに目を閉じた。

 

「それは沈むわね」

 

 本編春麗が頷く。

 

「沈むわ」

 

 通常救済版春麗が言う。

 

「過去のあなたではなく、今のあなたを見ている言葉ね」

 

 行き遅れに恐怖する春麗が言う。

 

「しかも、勝った後に」

 

 自覚前春麗は、机に沈んだ。

 

「そうなのよ……」

 

 グランドフィナーレ済み春麗が、静かにまとめる。

 

「リュウは、残響として残っていた黒を持ってきた。しかし最後には、残響だけでは足りないと判断し、今の自覚前春麗を見て勝った」

 

 自覚前春麗は呻く。

 

「言語化しないで……」

 

 本編春麗が少し笑う。

 

「春麗会議室でそれは無理よ」

 

 自覚前春麗は、さらに沈んだ。

 

 記録板が、今日の会議の仮結論を表示する。

 

 当日会議・仮結論

 

 一、自覚前春麗は黒ドレス三連勝目を狙い、非常に気合いを入れて準備した。

 

 二、今回の黒は、強く見せる黒・抑えて追わせる黒の次段階として、“見た後に残る黒”へ進んでいた可能性がある。

 

 三、リュウは拳の残響を持ち込み、過去の黒に頼りすぎず、今の自覚前春麗を見ることで辛勝した。

 

 四、自覚前春麗は試合にギリギリ敗北。

 

 五、試合後のリュウ発言により精神HPもノックアウト。

 

 六、正式なHP・精神HPログは翌朝以降のバトルログレビュー回で確認予定。

 

 自覚前春麗は、二番を見て顔を赤くした。

 

「“見た後に残る黒”って、確定にしないで」

 

 本編春麗が言う。

 

「可能性がある、だからまだ仮よ」

 

「仮でも嫌」

 

 黒ドレス特化救済春麗が言う。

 

「でも、良い名前ね」

 

「やめて」

 

 通常救済版春麗が微笑む。

 

「次回のレビューで確定するかもしれないわね」

 

「しないで」

 

 行き遅れに恐怖する春麗が、少しだけ言う。

 

「でも、負けても進んでいるように見えるわ」

 

 自覚前春麗は、ゆっくり彼女を見る。

 

 行き遅れに恐怖する春麗は少し慌てる。

 

「ごめんなさい。でも、そう見えたの」

 

 自覚前春麗は、しばらく黙る。

 

 そして、小さく言った。

 

「……資料としては、そういう見方もあるかもしれないわ」

 

 本編春麗が微笑む。

 

 黒ドレス特化救済春麗も笑った。

 

 通常救済版春麗は、穏やかに頷いた。

 

 記録板が光る。

 

 発言信頼度:中

 

 自覚前春麗は、今回は怒鳴らなかった。

 

 ただ、顔を赤くして目を逸らした。

 

 夢がほどけていく。

 

 最後に、自覚前春麗は呟いた。

 

「次回のログレビュー、見たくないわ」

 

 本編春麗が答える。

 

「でも、見るのでしょう?」

 

「……資料として」

 

 会議室に、少しだけ笑いが広がった。

 


 

 朝。

 

 自覚前春麗は目を覚ました。

 

 身体には、まだ試合の感触が残っている。

 

 肩口。

 

 リュウの拳。

 

 最後に届かれた瞬間。

 

 黒ドレスの裾が地面に触れた感覚。

 

 負けた。

 

 三連勝目はならなかった。

 

 リュウに、ギリギリで負けた。

 

 自覚前春麗は、布団の中で顔を覆う。

 

「……悔しい」

 

 それは本音だった。

 

 黒ドレスでは二連勝していた。

 

 今回は準備もした。

 

 かなり気合いを入れた。

 

 強く見せる黒でも、抑えて追わせる黒でもない、その次を狙った。

 

 それでも負けた。

 

 しかもリュウに言われた。

 

 今日の黒は、覚えていた黒より強かった。

 

 今の春麗を見なければ、届かなかった。

 

 拳には残ると思う。

 

 自覚前春麗は、枕に顔を押しつけた。

 

「……やめて」

 

 思い出すだけで精神HPが削れる。

 

 でも、否定できない。

 

 あの言葉は、悔しいのに嬉しい。

 

 自分の黒が進んでいたと見られた。

 

 過去の黒ではなく、今の黒として見られた。

 

 そのうえで届かれた。

 

 負けた。

 

 それが、どうしようもなく悔しい。

 

 そして、少しだけ熱い。

 

 春麗は起き上がる。

 

 鏡の前に立つ。

 

 そこには、自分をめんどくさい女と認める前の春麗がいた。

 

 黒ドレス三連勝を狙って負けた春麗。

 

 精神HPまでノックアウトされた春麗。

 

 次回のバトルログレビューを恐れている春麗。

 

 そして、自分の黒が次の段階へ進んでいたかもしれないことを、完全には否定できない春麗。

 

「負けたわ」

 

 静かに言う。

 

「でも、弱くなったわけではない」

 

 一拍。

 

「リュウが、届いてきた」

 

 本編春麗みたいなことを言っている。

 

 そう思って、少し顔が赤くなる。

 

「……これは資料としての整理よ」

 

 便利な言葉。

 

 でも、今回は少しだけ震えていた。

 

 春麗は、黒ドレスを見る。

 

 昨日着た黒。

 

 強く見せる黒でも。

 

 抑えて追わせる黒でも。

 

 たぶん、それだけではない黒。

 

「見た後に残る黒」

 

 言ってしまった。

 

 すぐに目を逸らす。

 

「仮称よ」

 

 誰もいない朝に、言い訳が残る。

 

 次回、春麗会議でログが開示される。

 

 HP推移。

 

 精神HP推移。

 

 リュウの勝因。

 

 自分の敗因。

 

 そして、おそらくあの言葉。

 

 今日の黒は、覚えていた黒より強かった。

 

 春麗は深く息を吐いた。

 

「見たくないわ」

 

 一拍。

 

「でも、見るわ」

 

 さらに一拍。

 

「資料として」

 

 朝の光が入る。

 

 自覚前春麗は今日も、まだ認めていない。

 

 ただし今日は、黒ドレス三連勝目を狙ってリュウに辛勝され、自分の黒が次の段階へ進んでいたかもしれないことを、資料として受け取り始めてしまった春麗だった。




Q:今回の妄想章IFとバトル内容について解説して?

A:

はい。今回の妄想章IFは、かなり重要な 自覚前春麗の黒ドレス三戦目・敗北回 です。

一言で言うなら、

黒ドレスでリュウに二連勝していた自覚前春麗が、三連勝目を狙って“見た後に残る黒”まで進化させるが、リュウが拳の残響を使い、最後には今の春麗を見てギリギリ勝利する回

です。

今回のポイントは、春麗が弱くて負けたのではないことです。
むしろ、今回の自覚前春麗はかなり強い。準備も完璧に近い。黒も進化している。煽りも決まっている。

それでも、リュウが届いた。

だから今回の敗北は、春麗の格落ちではなく、リュウの到達回です。

今回の核は「黒ドレス三連勝ならず」

自覚前春麗は、黒ドレス戦では二連勝していました。

一戦目は、強く見せる黒。
二戦目は、抑えて追わせる黒。

この二つでリュウに勝っている。

だから今回の三戦目は、彼女にとってかなり大きいです。

本人は、

三連勝を狙っているわけではない。
これは検証。
資料として必要な確認。

と言っていますが、実際はかなり勝つ気でした。

この「勝ちたいのに資料と言い張る」感じが、自覚前春麗らしくて良いです。

しかも今回は、黒ドレスの準備にもかなり気合いが入っています。

髪、目元、唇、立ち姿、歩き方、黒ドレスの揺れ方。
全部が戦術として調整されている。

本人は「戦術的調整」と言い張りますが、どう見ても気合いが入っている。

ここも彼女らしいです。

新しい黒は「見た後に残る黒」

今回の最大の新要素はこれです。

見た後に残る黒。

これは、強く見せる黒でも、抑えて追わせる黒でもありません。

一戦目の黒は、リュウの視線を奪う。
二戦目の黒は、リュウに追わせる。
三戦目の黒は、見た瞬間ではなく、見た後に効く。

つまり、残響対策の黒です。

リュウの拳に、これまでの黒が残っている。
ならば、その残っている黒と、今の黒の差分で揺らす。

これはかなり高度です。

リュウが覚えているからこそ効く。
リュウが拳に残響を持っているからこそ、その残響を逆に利用できる。

つまり今回の自覚前春麗は、リュウの成長を前提にして、その成長ごと罠にかけようとしている。

かなり強いです。

リュウは「残響に頼りすぎない」ことで勝った

今回のリュウも良いです。

リュウは拳の残響を持ってきています。

過去の黒を覚えている。
強く見せられた遅れ。
抑えて追わされた半歩。
届かなかった距離。

でも、今回の勝因は、残響を使ったことだけではありません。

むしろ、最後に重要なのは、

残響だけでは足りないと気づいたこと

です。

自覚前春麗の三戦目の黒は、過去の黒と今の黒をずらしてくる。
だから、リュウが過去の残響だけに頼ると遅れる。

そこでリュウは、残響を捨てない。
でも残響に頼りきらない。
最後には、今の春麗を見る。

この流れが非常に良いです。

だから試合後の、

残っていた黒だけでは足りなかった。
今の春麗を見なければ、届かなかった。

が効きます。

これは完全に、今回のテーマの答えです。

自覚前春麗の煽りが実戦投入されたのも良い

前回の煽りセリフ会議で決めた、

見えていたのでしょう? でも、届かなかった。それだけよ。

これを今回、自覚前春麗が使っています。

しかも「本当は使うつもりなどなかった」「資料として覚えていただけ」と言いながら、実戦で言ってしまう。

これが非常に良いです。

そして、煽りは成功します。

かなり気持ちよく決まります。

ただし、それによってリュウに火が入る。

ここが良いです。

春麗の煽りは、勝敗を終わらせる言葉ではなく、次を生む言葉。

その定義通り、煽りがリュウの次の到達を生んでしまった。

今回、前回の煽り会議の成果がちゃんと物語に接続されています。

精神HPノックアウトの理由

今回、自覚前春麗は試合に負けただけではありません。

精神HPでもノックアウトされています。

理由は、リュウの言葉が彼女の核心を突いているからです。

特に強いのは、

今日の黒は、前の二つとは違った。
強く見せる黒ではなかった。
抑えて追わせる黒でもなかった。
見た後に残る黒だった。

これは、自覚前春麗が自分でも仮称として考えていた「見た後に残る黒」を、リュウに見抜かれた形です。

そしてさらに、

今日の黒は、覚えていた黒より強かった。

これが最大打点です。

これは、春麗にとって非常に困る言葉です。

なぜなら、

自分の黒が進化していたことを、負かした相手に認められてしまった

からです。

勝てなかった。
でも、強くなっていた。
しかも、それをリュウが見ていた。
その上で、リュウが勝った。

これは悔しくて、嬉しくて、どうしようもなく精神HPに来ます。

RPG形式バトル解説
自覚前春麗《黒ドレス三戦目・見た後に残る黒》 vs リュウ《拳の残響・今の春麗を見る者》
戦闘前ステータス
自覚前春麗《黒ドレス三戦目》
HP:100 / 100
精神HP:100 / 100

装備:
・黒ドレス
・気合い入りメイク
・戦術的髪セット
・黒ドレス二連勝の自信
・資料という名の勝利欲

保有スキル:
・《強く見せる黒》
・《抑えて追わせる黒》
・新規候補:《見た後に残る黒》

状態:
・黒ドレスでリュウに二連勝中
・三連勝目を狙っているが「検証」と言い張っている
・拳の残響対策を意識済み
リュウ《拳の残響・黒三戦目対応》
HP:100 / 100
精神HP:100 / 100

パッシブ:
・《拳の残響》
・《黒を追いすぎない》
・《春麗を見る》
・《無自覚高火力発言》

状態:
・黒ドレス春麗に二連敗中
・過去の黒が拳に残っている
・今回は黒を追いすぎず、避けすぎず、春麗を見る方針
フェーズ1:開幕、追わないリュウを止める黒
春麗 HP:100 / 100
春麗 精神HP:100 / 100
リュウ HP:100 / 100
戦況:春麗やや優勢

春麗は最初、あえて動きません。

春麗スキル:《黒の空白》
効果:
・黒を強く見せる
・リュウが追わないことを前提に、逆に空白を置く
・「追わない」判断そのものを一瞬止める

リュウは黒を追いません。

リュウパッシブ:《黒を追いすぎない》
発動:
・視線を奪われすぎない
・踏み込みを抑える

しかし、春麗はそれを読んでいます。

春麗攻撃:《追わない者への黒蹴り》
リュウ HP:100 → 84

リュウは受けますが、止まります。

リュウ状態:《残響判断停止》
行動遅延:小

春麗の評価。

春麗 精神HP:100 → 104相当
状態:《黒が効いている高揚》

ここでは春麗が優勢です。

リュウの残響を逆に使っています。

フェーズ2:リュウの残響踏み込み
春麗 HP:100 / 100
リュウ HP:84 / 100
戦況:春麗優勢

春麗はさらに黒で揺らします。

ただし、リュウも変化します。

リュウスキル:《追わないだけでは足りない》
効果:
・黒を追わないだけで止まらない
・春麗が抜ける後の位置へ足を入れる

リュウの反撃。

リュウ攻撃:《抜け先への踏み込み》
春麗 HP:100 → 86

春麗は驚きます。

春麗 精神HP:100 → 92
状態:《そこに来るの? 被弾》

ここでリュウは、ただ守るだけではなく、春麗の移動先に入ってきます。

春麗はまだ優勢ですが、リュウが近づいてきている。

フェーズ3:新規黒《見た後に残る黒》
春麗 HP:86 / 100
春麗 精神HP:92 / 100
リュウ HP:84 / 100
戦況:互角寄り春麗優勢

春麗が今回の本命を使います。

春麗新規スキル:《見た後に残る黒》
効果:
・見た瞬間ではなく、半拍後に効く
・リュウの拳に残っている過去の黒との差分を発生させる
・残響を持つ相手ほど迷いやすい

リュウは過去の黒と今の黒の差分に迷います。

リュウ状態:《残響差分迷い》
効果:
・拳の反応が半拍遅れる
・受けが薄くなる
・現在の黒と過去の黒の比較が発生

春麗の連撃。

春麗攻撃:《残る黒・視線遅延蹴り》
リュウ HP:84 → 62

春麗はここで煽ります。

春麗煽り:
「見えていたのでしょう?」
「でも、届かなかった。それだけよ」

煽り効果。

リュウ精神HP:100 → 94
状態:《悔しさ発生》

リュウ戦意:上昇
リュウパッシブ:《次に届く》発動

春麗の煽りは刺さりました。

ただし、それがリュウの到達意志を強めます。

フェーズ4:リュウが残響比較をやめる
春麗 HP:86 / 100
春麗 精神HP:92 / 100
リュウ HP:62 / 100
戦況:春麗優勢だがリュウ接近中

リュウは対策を切り替えます。

リュウスキル:《残響だけで見ない》
効果:
・過去の黒と今の黒を比較しすぎない
・残響は捨てないが、頼りすぎない
・煽った後の春麗の動きを見る

リュウの攻撃。

リュウ攻撃:《今の春麗へ踏み込む拳》
春麗 HP:86 → 64

春麗は高揚します。

春麗 精神HP:92 → 80
状態:《近づいてきたリュウへの危険な高揚》

ここは精神HPダメージでもあり、戦闘の熱でもあります。

春麗は「怖い。でも面白い」と感じています。

フェーズ5:黒の三層構造
春麗 HP:64 / 100
春麗 精神HP:80 / 100
リュウ HP:62 / 100
戦況:完全互角

春麗は最終勝ち筋へ入ります。

春麗奥義:《黒の三層》
構成:
・第一層:《強く見せる黒》
・第二層:《抑えて追わせる黒》
・第三層:《見た後に残る黒》

効果:
・過去の黒を思い出させる
・今の黒との差分で迷わせる
・リュウの残響判断を過負荷にする

リュウは一瞬遅れます。

リュウ状態:《黒三層による残響過負荷》
行動遅延:中

春麗は勝ち筋に入ります。

春麗攻撃準備:《黒ドレス三連勝決着蹴り》
命中時想定:
リュウ HP:62 → 0

ここで春麗は勝ちを確信しかけます。

春麗状態:《三連勝確信》
精神HP:80 → 88

しかし、リュウがここで切り替えます。

フェーズ6:最終ターン、リュウの辛勝
春麗 HP:64 / 100
リュウ HP:34 / 100
最終局面

リュウの決定スキル。

リュウスキル:《今の春麗を見た》
効果:
・残響過負荷から抜ける
・過去の黒ではなく、現在の春麗の勝ち筋を見る
・春麗が決めに入る位置へ拳を置く

春麗の蹴り。

春麗攻撃:《黒ドレス三連勝決着蹴り》
リュウ HP:34 → 4
状態:リュウ瀕死

しかし、リュウの拳も届きます。

リュウ攻撃:《今の黒に届く拳》
春麗 HP:64 → 0
状態:春麗戦闘不能

最終結果。

勝者:リュウ
勝利形式:ギリギリ辛勝

リュウ残HP:4 / 100
春麗残HP:0 / 100

リュウは本当にギリギリです。

春麗の黒はほぼ勝っていました。

でも最後の最後で、リュウが過去の残響ではなく、今の春麗を見た。

それで届いた。

試合後イベント:精神HPノックアウト

試合後、春麗はまず自分から認めます。

春麗発言:
「あなたの勝ちね」
「悔しいわ」
「……強かったわ」

精神HPダメージ。

春麗 精神HP:80 → 52
状態:《リュウの強さを認めた被弾》

ここでリュウの無自覚高火力が始まります。

リュウ発言:
「今日の黒は、前の二つとは違った」
春麗 精神HP:52 → 38
状態:《黒の進化を見抜かれた被弾》

続けて、

リュウ発言:
「強く見せる黒ではなかった」
「抑えて追わせる黒でもなかった」
「見た後に、残る黒だった」
春麗 精神HP:38 → 18
状態:《見た後に残る黒 命名被弾》

これは、春麗自身が仮称として考えていた言葉を、リュウにほぼ見抜かれた形です。

さらに、

リュウ発言:
「前に見た黒が拳に残っていた」
「だから、今日の黒との違いがわかった」
春麗 精神HP:18 → 8
状態:《自分の黒が拳に残っていた再確認被弾》

そして最大打点。

リュウ発言:
「今日の黒は、覚えていた黒より強かった」
春麗 精神HP:8 → 0
状態:《覚えていた黒より強かった 被弾》

追撃。

リュウ発言:
「拳には残ると思う」
春麗 精神HP:0 → -35相当
状態:《また拳に残る オーバーキル》

ここで精神HPは完全にノックアウトです。

最終リザルト
自覚前春麗《黒ドレス三戦目》
HP:0 / 100
精神HP:0 / 100

試合結果:敗北
敗北形式:リュウの辛勝

主な成果:
・《見た後に残る黒》発現
・黒の三層構造を使用
・煽りセリフ実戦投入成功
・黒ドレス三連勝はならず

精神結果:
・リュウの「覚えていた黒より強かった」でノックアウト
・「拳には残ると思う」でオーバーキル
リュウ《拳の残響・今の春麗を見る者》
HP:4 / 100
精神HP:94 / 100

試合結果:勝利
勝利形式:辛勝

勝因:
・拳の残響を持ち込んだ
・ただし残響に頼りきらなかった
・過去の黒ではなく、今の春麗を見た
・最終局面で春麗の勝ち筋に到達
当日春麗会議での評価

今回は当日なので、正式ログはまだ見られません。

本日戦闘ログ:未反映
閲覧可能時期:翌朝以降
会議形式:本人一次報告

当日会議で整理された仮結論はこうです。

仮結論:
・自覚前春麗は黒ドレス三連勝目を狙っていた
・本人は検証と言い張る
・今回の黒は《見た後に残る黒》へ進んでいた可能性あり
・リュウは拳の残響を使ったが、最後は今の春麗を見て辛勝
・自覚前春麗は試合にも精神HPにも敗北
・正式レビューは次回

ここで重要なのは、まだログで確定していないことです。

だから「見た後に残る黒」は仮称・仮結論。

次回のバトルログレビューで正式名称化される可能性があります。

今回の構造的な意味

今回の妄想章IFは、自覚前春麗にとって非常に大きいです。

彼女は黒ドレスで負けた。

しかも三連勝目を狙っていた試合で負けた。

けれど、自分の黒は進んでいた。

リュウは過去の黒を覚えていた。
そのうえで、今の黒の方が強いと言った。
そして最後には、今の春麗を見て勝った。

つまり今回の敗北は、

過去の自分を越えようとした春麗に、リュウも過去の残響を越えて届いてきた敗北

です。

これはかなり良いです。

本編春麗の「届かれた青」と対になる形で、今回は自覚前春麗の「届かれた黒」になっています。

結論

今回の妄想章IFは、自覚前春麗が黒ドレス三連勝目を狙って、強く見せる黒・抑えて追わせる黒の次段階である“見た後に残る黒”へ進むが、リュウが拳の残響を越えて今の春麗を見たことで辛勝する回です。

春麗は負けた。
でも弱くなったのではない。
黒は進んでいた。
むしろ強くなっていた。

だからこそ、リュウの勝利に意味がある。

一言でまとめるなら、

自覚前春麗は、三連勝目を失った代わりに、自分の黒が次の段階へ進んでいたことを突きつけられた。
そしてリュウは、過去の黒の残響ではなく、今の春麗を見てその黒へ届いた。

これはかなり良い、自覚前春麗版の「届かれた黒」回だったと思います。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。