また戦ってくれなんて言わないで ――春麗は今日もめんどくさい―― 作:エーアイ
春麗会議室は、前回よりも少し落ち着いていた。
前回、記録板は現在のルート一覧を表示した。
本編春麗:青武道服ルート/戻って選び直した青編。
自覚前春麗:黒ドレスルート/届かれた黒の次編。
黒ドレス特化救済春麗:黒返却ルート/黒執着救済準備編。
通常救済版春麗:帰還点ルート/選べる春麗編。
行き遅れに恐怖する春麗:三択回答待ちルート。
リュウ:拳の残響ルート/今の春麗を見る者。
一覧だけ見れば、かなり壮大だった。
まるで、次から大きな章が始まるかのようだった。
黒執着春麗の救済。
本編春麗の次の青。
リュウの拳の残響。
行き遅れ春麗の三択回答。
それぞれが、重要なルートだった。
だが今日、記録板に表示された議題は、かなり一点集中だった。
本日の議題:自覚前春麗の黒ドレスルートについて
自覚前春麗は、即座に立ち上がった。
「閉会」
本編春麗は、ほぼ反射で言った。
「開会」
「早いわ!」
黒ドレス特化救済春麗が微笑む。
「壮大なルート一覧の後に、いきなりあなたの黒ドレスルートへ戻るのね」
自覚前春麗は不満そうに腕を組む。
「戻らなくていいわ。前回、全体構造を整理したでしょう」
通常救済版春麗が穏やかに言った。
「でも、これが“いつでも戻れる”ということの例なのよ」
自覚前春麗は、通常救済版春麗を見る。
「例?」
「ええ」
通常救済版春麗は頷いた。
「前回、私たちは複数のルートを確認した。青にも、黒にも、回答待ちにも、黒返却にも、拳の残響にも進めるとわかった」
一拍。
「でも、だからといって必ず壮大な順番で進まなければいけないわけではない」
本編春麗が続ける。
「今、気になったルートへ戻れる」
黒ドレス特化救済春麗が言う。
「今回は、自覚前春麗の黒ドレスルート」
自覚前春麗は顔を赤くした。
「だから、なぜ私なの」
本編春麗は涼しい顔で答えた。
「実績でしょう」
「またそれ!」
記録板が点灯した。
自覚前春麗:黒ドレスルート現在地
ルート名:黒ドレスルート/届かれた黒の次編
主な到達点:
黒ドレスでリュウに二連勝
第一段階:《強く見せる黒》
第二段階:《抑えて追わせる黒》
第三段階:《見た後に残る黒》
奥義候補:《黒の三層》
リュウを残HP4まで追い詰める
ただし三連勝目はリュウの辛勝
試合後、「今日の黒は、覚えていた黒より強かった」で精神HPノックアウト
翌日、「昨日の黒は、まだ拳に残っている」で追加被弾
本人は“届かれた黒”を否認中
ただし“昨日の黒が進んでいたこと”は資料として認め始めている
自覚前春麗は、最後まで読んでから机に手を置いた。
「整理しすぎよ」
本編春麗は頷いた。
「整理回だから」
「本人の尊厳は?」
黒ドレス特化救済春麗が言う。
「黒ドレスルートを走っている時点で、ある程度は記録される覚悟が必要ね」
「走っていないわ」
記録板が光る。
発言信頼度:低寄りの中
「今日は早いわね!」
通常救済版春麗は、少しだけ笑った。
「でも、低ではないのね」
自覚前春麗は視線を逸らす。
「……資料としては、黒ドレス関連の出来事が多いことは否定しないわ」
本編春麗が言う。
「それを普通は黒ドレスルートと言うのよ」
「普通ではないわ。これは検証が重なっただけ」
黒ドレス特化救済春麗が微笑む。
「検証が重なってルートになるのよ」
自覚前春麗は言葉に詰まった。
本編春麗は、記録板を見ながら言った。
「前回のルート一覧では、私は青武道服ルートになった」
自覚前春麗が言う。
「あなたは納得していたわね」
「ええ。私はリブートを済ませたから」
「便利ね、リブート」
「便利よ」
本編春麗は静かに続ける。
「でも、あなたは違う。まだ自分のルート名を受け取っていない」
「受け取る必要がないわ」
「本当に?」
「本当に」
記録板が光りかける。
自覚前春麗が叫ぶ。
「今は信頼度を出さないで!」
記録板は一瞬だけ明滅して、何も表示しなかった。
黒ドレス特化救済春麗が言う。
「黒ドレスルートを受け取るのが嫌なのは、どうして?」
自覚前春麗は即答する。
「私が黒に進んでいるみたいだからよ」
「実際に進んでいるわ」
「進んでいない」
「強く見せる黒、抑えて追わせる黒、見た後に残る黒」
「並べないで」
「黒の三層」
「追い打ちしないで」
「届かれた黒」
「それは認めていないわ」
本編春麗が言う。
「でも、届かれた青と構造は似ている」
自覚前春麗は沈黙した。
そこが、一番嫌なのだった。
本編春麗は、リュウに青へ届かれた。
自分は、リュウに黒へ届かれた。
本編春麗は、届かれた青を次の青へするためにリブートした。
自分はまだ、届かれた黒を認めたくない。
でも、昨日の黒が進んでいたことは、資料として認め始めている。
並べられると、逃げづらい。
「……本編春麗と同じにしないで」
自覚前春麗は、小さく言った。
本編春麗は、少しだけ柔らかく答える。
「同じではないわ」
自覚前春麗は顔を上げる。
「え?」
「あなたは、もう本編春麗とは違うルートを走っている」
会議室が、少し静かになった。
記録板が、その言葉を拾うように淡く光る。
重要整理:自覚前春麗は本編春麗と同一ルートではない
理由一:春麗会議に参加している。
自覚前春麗は、本来の時系列では知らないはずの他春麗の情報を、春麗会議室を通じて参照している。
理由二:黒ドレス戦の知見を先取りしている。
強く見せる黒、抑えて追わせる黒、見た後に残る黒という段階を、会議とログレビューによって自覚しつつある。
理由三:本編春麗の届かれた青、自身の届かれた黒、リュウの拳の残響を比較できる。
これは通常の自覚前春麗には存在しない視点である。
理由四:本人は否認しているが、すでに“自覚前のままではない”。
自覚前春麗は、記録板を見つめたまま動かなかった。
「……自覚前のままではない?」
通常救済版春麗が優しく言う。
「ええ」
黒ドレス特化救済春麗が続ける。
「あなたはまだ、自分をめんどくさい女だとは認めていない」
本編春麗が言う。
「でも、春麗会議に参加している時点で、もう本編春麗の過去そのものではないわ」
自覚前春麗は黙った。
それは、かなり大きな指摘だった。
自分は自覚前春麗。
まだ、自分のめんどくささを認めていない。
青も黒も選びきれていない。
資料として、検証として、否認として動いている。
だが、春麗会議室に来ている。
本編春麗の青を見た。
黒ドレス特化救済春麗の黒を見た。
通常救済版春麗の戻れる黒を見た。
行き遅れ春麗の待つ位置を見た。
リュウの拳の残響まで知っている。
もう、自分は“本編春麗になる前の春麗”ではない。
「……それは」
自覚前春麗は、言葉を探した。
「ずるいわね」
本編春麗が首を傾げる。
「ずるい?」
「ええ」
自覚前春麗は、少しだけ悔しそうに言う。
「私だけ、自覚前のまま扱われるのに、知っていることは増えている。黒も進んでいる。会議で晒される。記録板に分類される」
一拍。
「それなのに、まだ私は認めていないことが多い」
通常救済版春麗が言う。
「だから、あなたはあなたのルートなのよ」
自覚前春麗は通常救済版春麗を見る。
「私のルート……」
「ええ。本編春麗の過去ではなく、自覚前春麗の現在」
その言葉に、会議室が静かになった。
本編春麗は、少し微笑んだ。
「それは、かなり良い整理ね」
黒ドレス特化救済春麗も頷く。
「自覚前春麗は、本編春麗の前段階ではなく、春麗会議に参加したことで分岐した存在」
記録板が光る。
分類更新候補:自覚前春麗=本編春麗の過去ではなく、春麗会議参加により分岐した黒ドレスルート春麗
自覚前春麗は、すぐに言った。
「長いわ!」
本編春麗が笑う。
「でも正確ね」
「正確だから嫌なのよ!」
黒ドレス特化救済春麗が、静かに口を開いた。
「この整理は重要よ」
自覚前春麗は少し警戒する。
「何が?」
「あなたの黒ドレスルートは、単なる寄り道ではないということ」
「寄り道でいいわ」
「よくないわ」
黒ドレス特化救済春麗の声は、少しだけ低かった。
「黒は、寄り道のつもりで入ると深くなる」
自覚前春麗は、黙った。
「あなたはまだ戻れる。否認している。資料と言い張っている。だから、まだ軽い部分もある」
「軽い?」
「ええ。でも、見た後に残る黒まで来ている。リュウの拳に残ることも、もう知っている」
黒ドレス特化救済春麗は続けた。
「次にあなたが黒を進めるなら、“残ること”を意識するはずよ」
自覚前春麗は、言い返せなかった。
その通りだった。
リュウの拳に残る。
昨日の黒はまだ拳に残っている。
それを言われた。
悔しい。
恥ずかしい。
でも、嬉しさも混じった。
そして次を考えそうになった。
次の黒は、リュウの拳にどう残るのか。
そんなことを考え始めてしまう可能性がある。
「……考えていないわ」
小さく言う。
本編春麗が静かに返す。
「今は、そういうことにしておきましょう」
「やめて。大人の対応をしないで」
通常救済版春麗が微笑む。
「大丈夫。どのルートからでも戻れるわ」
自覚前春麗は、その言葉に少しだけ反応した。
「それ、本当に便利ね」
通常救済版春麗は頷く。
「ええ。便利で、大事なことよ」
記録板が、新しい項目を表示した。
黒ドレスルート考察:自覚前春麗の現在の強みと危険
強み
否認による柔軟性
資料という逃げ道
黒を戦術として扱う発想
リュウの拳の残響を逆利用できる
本編春麗・黒ドレス特化救済春麗・通常救済版春麗の情報を参照可能
春麗会議によるフィードバックを受けられる
危険
否認が続くほど、自分の変化に気づきにくい
黒がリュウに残ることを嬉しいと感じ始めている
“届かれた黒”を認めないため、次の黒への欲求を資料化しやすい
本編春麗の過去だと思い込むと、自分のルートの危険を見落とす
黒執着ルートへの接続可能性あり
自覚前春麗は、最後の一文で完全に固まった。
「黒執着ルートへの接続可能性あり?」
黒ドレス特化救済春麗が、静かに言う。
「可能性の話よ」
「可能性でも嫌」
「でも、黒を進めるなら意識した方がいいわ」
通常救済版春麗が言う。
「だから、戻れる場所を忘れないことが大事なの」
本編春麗は、自覚前春麗を見る。
「あなたは、本編春麗の過去ではない。だから、私と同じ道をたどる必要はない」
一拍。
「でも、違う危険もある」
自覚前春麗は、ゆっくり椅子に座り直した。
「……黒ドレスルートって、思ったより面倒ね」
本編春麗が少し笑う。
「ようやく認めた?」
「認めていない。資料として、ルート上の注意点を確認しただけ」
記録板が光る。
発言信頼度:中
自覚前春麗は、今回は怒らなかった。
「中なのね」
通常救済版春麗が微笑む。
「少し受け取ったのね」
「受け取っていないわ」
「でも、戻れることは覚えたでしょう?」
自覚前春麗は、少しだけ黙った。
そして、小さく言った。
「……それは覚えておくわ。資料として」
記録板が光る。
発言信頼度:中の上
「上げないで!」
会議室に笑いが広がった。
グランドフィナーレ済み春麗が、静かにまとめる。
「前回、私たちはルート一覧を見た」
本編春麗が頷く。
「ええ」
「今回は、その中から自覚前春麗の黒ドレスルートに戻った」
通常救済版春麗が言う。
「これが、いつでも戻れるということ」
黒ドレス特化救済春麗が続ける。
「壮大な黒執着救済へ行くこともできる」
行き遅れに恐怖する春麗が言う。
「三択回答待ちに戻ることもできる」
本編春麗が言う。
「私の次の青にも進める」
自覚前春麗が、少し不満そうに言う。
「そして、私の黒ドレスルートに戻されることもある」
通常救済版春麗が微笑む。
「ええ。戻れるのは、安全であり、時々逃げられないということでもあるわ」
自覚前春麗は、ため息をついた。
「便利だけれど、厄介ね」
本編春麗が言う。
「春麗会議室そのものね」
「否定できないわ」
記録板が、本日の結論を表示する。
本日の結論
一、前回のルート一覧により、本作は複数ルートが並走する構造として整理された。
二、今回、あえて壮大な本筋へ進まず、自覚前春麗の黒ドレスルートへ戻ることで、“どこからでも戻れる”構造が実演された。
三、自覚前春麗は本編春麗の過去ではなく、春麗会議に参加したことで分岐した独自ルートの春麗である。
四、自覚前春麗の黒ドレスルートは、強みとして柔軟な否認と戦術的黒を持つ一方、危険として黒執着ルートへの接続可能性を持つ。
五、通常救済版春麗の補助線により、黒ドレスルートであっても、戻れる場所を忘れないことが重要と整理された。
六、今後、自覚前春麗は“届かれた黒の次”を否認しながら模索する可能性が高い。
自覚前春麗は六番を見て、すぐに言った。
「模索しないわ」
記録板が光る。
発言信頼度:低寄りの中
「戻った!」
本編春麗が笑う。
「安定しているわね」
「安定したくないわ」
黒ドレス特化救済春麗が言う。
「でも、今日のあなたは少し自分のルートを見た」
自覚前春麗は黙った。
確かに、見た。
黒ドレスルート。
届かれた黒の次。
本編春麗の過去ではなく、会議室に参加したことで分岐した自分。
黒の強みと危険。
戻れる場所。
認めたくはない。
でも、見てしまった。
「……資料としては、有用だったわ」
本編春麗が微笑む。
「それで十分よ」
夢がほどけていく。
最後に通常救済版春麗の声が残った。
「どのルートからでも戻れるわ。だから、深く進む時ほど、戻る場所を忘れないで」
自覚前春麗は、夢の中で小さく返した。
「……資料として、覚えておくわ」
朝。
自覚前春麗は目を覚ました。
布団の中でしばらく天井を見る。
前話で、ルート一覧が表示された。
壮大なことになりそうだった。
本編春麗の青。
黒ドレス特化救済春麗の黒執着救済準備。
行き遅れ春麗の三択回答。
リュウの拳の残響。
どこへでも進めた。
なのに、次に戻ってきたのは自分の黒ドレスルートだった。
「……本当に厄介な会議室ね」
春麗は起き上がる。
鏡の前に立つ。
そこには、自分をめんどくさい女と認める前の春麗がいた。
けれど、もう本編春麗の過去そのものではない。
春麗会議室に参加している。
他の春麗の経験を知っている。
自分の黒のログも見ている。
リュウの拳に残った黒も知っている。
本編春麗とは違うルートを走っている。
「黒ドレスルート……」
呟いてしまった。
すぐに顔を赤くする。
「正式承認ではないわ」
一拍。
「資料上の仮分類よ」
黒ドレスの方を見る。
そこには、強く見せる黒。
抑えて追わせる黒。
見た後に残る黒。
そして、まだ考えていないはずの次の黒が、少しだけ沈んでいる気がした。
「戻れる場所を忘れないこと」
通常救済版春麗の言葉を思い出す。
自覚前春麗は、小さく息を吐いた。
「……それは、覚えておいてもいいわ」
便利な言い訳を探す。
すぐに見つかる。
「資料として」
朝の光が入る。
自覚前春麗は今日も、まだ認めていない。
ただし今日は、自分が本編春麗の過去ではなく、春麗会議に参加したことで分岐した黒ドレスルートの春麗であることを、資料として少しだけ受け取り始めた春麗だった。
Q:今回の妄想章IFについて解説して?
A:
はい。今回の妄想章IFは、かなり重要な 自覚前春麗の黒ドレスルート独立確認回 です。
一言で言うなら、
前話で提示された複数ルート構造の中から、あえて自覚前春麗の黒ドレスルートへ戻ることで、“どこからでも戻れる連作構造”を実演しつつ、自覚前春麗が本編春麗の過去ではなく、春麗会議参加によって分岐した独自ルートの春麗であると確認する回
です。
これは派手なバトル回ではありませんが、今後の自覚前春麗ルートを進めるうえでかなり大事な整理回でした。
今回の核は「壮大なルート一覧の後に、あえて一ルートへ戻る」こと
前話では、かなり壮大なルート一覧が出ました。
本編春麗の青武道服ルート。
自覚前春麗の黒ドレスルート。
黒ドレス特化救済春麗の黒執着救済準備。
通常救済版春麗の帰還点。
行き遅れ春麗の三択回答待ち。
リュウの拳の残響ルート。
この一覧だけ見ると、次は大きな本筋や黒執着救済へ行きそうでした。
でも今回は、あえて自覚前春麗の黒ドレスルートへ戻った。
ここが非常に良いです。
通常救済版春麗が言った通り、
これが“いつでも戻れる”ということの例なのよ。
という回になっています。
つまり、この連作はルート一覧を出したからといって、必ず大イベントへ進まなくていい。
必要な時に、必要なルートへ戻れる。
その構造を、今回のエピソードそのものが実演しています。
自覚前春麗は「本編春麗の過去」ではなくなった
今回一番重要な整理はこれです。
自覚前春麗は、本編春麗の過去そのものではなく、春麗会議に参加したことで分岐した独自ルートの春麗である。
これはかなり大きいです。
もともと「自覚前春麗」は、本編春麗がめんどくさい女だと自覚する前の状態に近い存在でした。
でも今の自覚前春麗は、もう単なる過去ではありません。
なぜなら、彼女は春麗会議に参加しているからです。
本編春麗の届かれた青を知っている。
黒ドレス特化救済春麗の重い黒を知っている。
通常救済版春麗の戻ってこられる黒を知っている。
リュウの拳の残響を知っている。
自分の黒ドレス戦のログレビューまで見ている。
つまり、知識量も経験値も、本来の自覚前春麗とは違います。
まだ自覚前ではある。
でも、もう本編春麗の過去ではない。
この整理は、自覚前春麗を独立キャラとして扱うために非常に重要です。
「自覚前春麗の現在」という言葉が強い
通常救済版春麗の、
本編春麗の過去ではなく、自覚前春麗の現在
これはかなり良い言葉です。
自覚前春麗は、これまで「本編春麗になる前の春麗」として見られがちでした。
でも今回、それが更新されました。
彼女は本編春麗の前段階ではない。
今ここで、黒ドレスルートを走っている春麗。
まだ認めていない。
まだ否認している。
まだ「資料として」と言い張る。
でも、その状態のまま独自に進んでいる。
この「自覚前春麗の現在」という整理によって、彼女のルートが一気に強くなりました。
黒ドレスルートの強みと危険が整理された
今回、記録板が黒ドレスルートの強みと危険を出したのも良かったです。
強みとしては、
否認による柔軟性
資料という逃げ道
黒を戦術として扱う発想
リュウの拳の残響を逆利用できる
他春麗の情報を参照可能
春麗会議によるフィードバックを受けられる
このあたり。
特に重要なのは、否認がただの弱点ではなく、柔軟性にもなっていることです。
自覚前春麗は認めない。
だからこそ、まだ固定されない。
黒に沈みきらない。
「資料として」という逃げ道がある。
これは、危険でありつつ強みでもあります。
一方で危険は、
自分の変化に気づきにくい
黒がリュウに残ることを嬉しいと感じ始めている
次の黒への欲求を資料化しやすい
本編春麗の過去だと思い込むと危険を見落とす
黒執着ルートへの接続可能性あり
ここが非常に大事です。
黒ドレスルートは面白い。
でも、黒執着ルートへつながる危険もある。
だからこそ、通常救済版春麗の「戻れる場所を忘れないこと」が必要になります。
黒執着ルートへの接続可能性が示された
今回、自覚前春麗が一番固まったのはここです。
黒執着ルートへの接続可能性あり
これは強いです。
自覚前春麗はまだそこまで行っていません。
でも、《見た後に残る黒》まで来ている。
リュウの拳に黒が残ることも知ってしまった。
そのことに悔しさだけでなく嬉しさも混じっている。
このまま「もっと残したい」「もっと見せたい」「もっとリュウの拳に刻みたい」と進むと、黒執着へ接続する可能性があります。
だから今回の整理は、単なるルート認定ではなく、危険予告でもあります。
自覚前春麗が黒執着春麗になるとは限らない。
でも、その分岐可能性はある。
これを早めに会議室で言語化できたのは良いです。
通常救済版春麗の役割が改めて効いている
今回の通常救済版春麗は、かなり重要です。
彼女は、
これが“いつでも戻れる”ということの例なのよ。
と言って、今回の構造そのものを説明しました。
さらに、
どのルートからでも戻れるわ。
と繰り返し補助線を引いています。
自覚前春麗の黒ドレスルートは、面白いけれど危険です。
だから、「戻れる」という言葉が必要になります。
通常救済版春麗は、黒ドレスルートを否定しません。
黒へ進むこと自体を止めない。
でも、戻る場所を忘れないように言う。
この立ち位置が非常に良いです。
彼女がいることで、黒ドレスルートが危険でも閉塞しません。
本編春麗との関係も良い
本編春麗は今回、青ルートの主人公としてではなく、自覚前春麗の先行例・対照役として機能しています。
あなたは、もう本編春麗とは違うルートを走っている。
この言葉はかなり重要です。
本編春麗は、自覚前春麗を「自分の昔」として見下ろしていません。
むしろ、別ルートの春麗として認めています。
これは自覚前春麗にとって大きいです。
本編春麗と同じように自覚する必要はない。
本編春麗と同じ青へ戻る必要もない。
自覚前春麗は、自覚前春麗として黒ドレスルートを走っている。
ここが独立性につながっています。
自覚前春麗の反応が非常にらしい
今回の自覚前春麗は、ずっと否認しています。
「閉会」
「黒ドレスルートではない」
「正式承認ではない」
「資料として」
「模索しない」
でも、会議の終盤には、
黒ドレスルートって、思ったより面倒ね。
と言ってしまう。
さらに、
戻れることは覚えておくわ。資料として。
とも言う。
これはかなり進展しています。
完全には認めない。
でも、少し受け取る。
今回の記録板の「発言信頼度:中の上」も良かったです。
彼女の否認が少し弱くなっている。
それが可視化されています。
「戻れるのは安全であり、時々逃げられない」が良い
通常救済版春麗の、
戻れるのは、安全であり、時々逃げられないということでもあるわ。
これはかなり良い整理です。
春麗会議室に戻れることは安全装置です。
でも、戻れるということは、見たくないルートにも戻されるということです。
自覚前春麗は、黒ドレスルートから逃げたい。
でも、会議室は戻してくる。
これは嫌だけれど、必要なことでもある。
春麗会議室の便利さと厄介さが、この一言にまとまっています。
今回の構造的な役割
今回の妄想章IFは、今後のためにかなり重要です。
まず、自覚前春麗の黒ドレスルートを独立ルートとして確定に近づけました。
次に、自覚前春麗を「本編春麗の過去」ではなく「春麗会議参加により分岐した春麗」と定義しました。
さらに、黒ドレスルートの強みと危険を整理しました。
そして、黒執着ルートへの接続可能性を示しました。
最後に、通常救済版春麗の「戻れる場所」が安全装置として必要だと確認しました。
つまり今回は、今後の自覚前春麗ルートを安全に進めるための基礎工事です。
結論
今回の妄想章IFは、前話の壮大なルート一覧から、あえて自覚前春麗の黒ドレスルートへ戻ることで、“いつでも戻れる連作構造”を実演しつつ、自覚前春麗が本編春麗の過去ではなく、独自に分岐した黒ドレスルートの春麗であると整理する回です。
自覚前春麗はまだ認めていない。
でも、もう本編春麗の過去ではない。
会議室に参加し、他春麗の知識を持ち、自分の黒のログを見て、リュウの拳の残響を知っている。
だから彼女は、独自ルートの春麗です。
一言でまとめるなら、
自覚前春麗は“自覚前”のまま、春麗会議室によって本編春麗とは別の黒ドレスルートへ分岐した。
そして今回は、その分岐を本人が資料として少しだけ受け取り始めた回です。