また戦ってくれなんて言わないで ――春麗は今日もめんどくさい―― 作:エーアイ
春麗会議室の説明会ログは、閉じられた。
参加者表示。
常駐メンバー。
特別参加メンバー。
黒執着春麗は観測対象であり、原則として会議室には参加しないこと。
読者への地図。
記録板AIは、そう言っていた。
かなりメタだった。
かなり説明会だった。
けれど、必要な回だった。
物語が長くなれば、現在地が必要になる。
誰がいるのか。
誰がいないのか。
どの春麗が何を担当しているのか。
どのログを見ているのか。
そういうことを一度整理したことで、本編春麗自身も、自分の位置を少しだけ見直すことになった。
本編春麗は、青い小箱の前に座っていた。
そこには、青の記録がある。
届かれた青。
見られた青。
覚えられた青。
宿題を出した青。
進捗確認をした青。
聞かれた青。
そして、話題候補を保留保存した青。
ずいぶん増えた。
少し前なら、ここまで言葉は多くなかった。
黒執着春麗のログが強かった。
黒ドレスでリュウに勝った。
その翌日に精神HPを削られた。
春麗会議室でも確認した。
その流れを見て、本編春麗は思った。
黒のログが強くなっている。
それは認める。
黒執着春麗は、強い。
黒ドレスで勝ったログは、かなり大きい。
でも。
だからといって、本編春麗の青が止まっているわけではない。
宿題の正式回答は、まだ来ていない。
けれど、進捗確認はした。
リュウは考えていると言った。
春麗の話も聞かせてくれと言った。
春麗が自分の話をしに行った。
今日の春麗の話も聞けてよかったと言われた。
また聞かせてくれと言われた。
そして、春麗は次に何を話すかまで考えた。
正式回答の後に。
少しずつ。
たぶん。
そこまで来ている。
なら、次に必要なのは何か。
本編春麗は、青い武道服を見る。
「……試合ね」
小さく言う。
正式回答を今すぐ求めに行くのは違う。
それは分かっている。
宿題の正式回答は、リュウが考えて出すものだ。
急かすつもりはない。
進捗確認はもうした。
聞かせてくれと言われた青も、もう一度リュウに届いている。
話題候補も整理した。
それなら次は、試合だ。
言葉だけではなく、拳でも向き合う。
春麗の青は、話すだけの青ではない。
試合する青でもある。
リュウに届かれた青。
見られた青。
覚えられた青。
その青が、正式回答前にもう一度リュウと向き合う。
それは構造上、かなり自然だ。
春麗は、ひとりで頷いた。
「今日は、正式回答を聞きに行くわけではない」
一拍。
「宿題の進捗確認でもない」
もう一拍。
「春麗の話を聞かせに行くわけでもない」
さらに一拍。
「次の試合の約束をしに行く」
言ってから、少しだけ顔が熱くなった。
それはそれで、会いに行く理由になっている。
だが、今回は理由がある。
試合の約束。
武闘家として、当然の用事。
本編春麗としても、青の本筋としても、問題ない。
「……問題ないわ」
自分に言い聞かせる。
青い武道服の袖を通す。
今日は青で行く。
黒を知った後の青。
聞かれた後の青。
正式回答を待っている青。
そして、次の試合を取りに行く青。
鏡の中の自分を見る。
「行くわ」
その声は、少しだけ強かった。
待つだけではない。
話すだけでもない。
次は、戦う。
それが今日の青だった。
リュウは、いつもの場所にいた。
春麗が近づくと、顔を上げる。
その視線が、春麗を見る。
青を見る。
足元を見る。
そして、もう一度春麗を見る。
それだけで、胸の奥が少し揺れた。
やめなさい。
まだ何も始まっていない。
春麗は、心の中で自分に言う。
今日は試合の約束に来ただけ。
正式回答を聞きに来たわけではない。
春麗の話を聞かせに来たわけでもない。
次の試合を予約するだけ。
それ以上ではない。
「春麗」
リュウが言った。
「リュウ」
春麗は、少しだけ顎を上げる。
「少し、いいかしら」
「ああ」
「今日は、正式回答を聞きに来たわけではないわ」
「ああ」
「宿題の進捗確認でもない」
「ああ」
「春麗の話を聞かせに来たわけでもない」
「ああ」
「今日は、試合の約束をしに来たの」
リュウの目が、少しだけ変わった。
「試合か」
「ええ」
「春麗から言うんだな」
「そうよ」
一拍。
「何か問題でも?」
「ない」
「なら、受けなさい」
「ああ」
即答だった。
その即答が、少し刺さる。
春麗は、青い袖を握りそうになった。
握らない。
まだ序盤だ。
今日は約束を取りに来ただけ。
ここで削られている場合ではない。
「早いわね」
「春麗との試合だからな」
精神HPが削れた。
「その言い方」
「ああ」
「危険」
「そうか」
「そうよ」
リュウは、少しだけ考えた。
春麗は嫌な予感がした。
考えないで。
今、追加で考えないで。
だが、リュウは言った。
「今の春麗と戦いたい」
精神HPが大きく削れた。
本編春麗は、完全に足を止めた。
「……今の?」
「ああ」
「前の私ではなく?」
「ああ」
「青の私?」
「ああ」
「正式回答を待っている私?」
「ああ」
「聞かれた青の私?」
リュウは少しだけ考えた。
「それもある」
春麗は、呼吸を止めた。
それもある。
なぜ、そこで広げるのか。
なぜ、青のログをまとめて見てくるのか。
春麗は、どうにか声を整えた。
「あなた、本当に危険ね」
「危険か」
「危険よ」
リュウは、春麗をまっすぐ見たまま言った。
「春麗が、自分から来た」
追撃。
「それが嬉しかった」
さらに追撃。
本編春麗の精神HPが危険域へ入った。
これは何。
試合の約束をしに来ただけなのに。
なぜ甘いイベントになっているの。
春麗は、青い袖を握りかけた。
握らない。
でも、もう遅い。
精神HPはかなり削れている。
「……嬉しい?」
「ああ」
「私が、自分から来たことが?」
「ああ」
「試合の約束も?」
「ああ」
「正式回答を急かさずに?」
リュウは、少しだけ目を伏せた。
「それも」
本編春麗は、完全に沈黙した。
それも。
それも、とは何。
試合の約束に来たことも嬉しい。
正式回答を急かさず、それでも自分から来たことも嬉しい。
それを、そんな平然と言うのか。
本編春麗は、胸の奥で記録板AIの幻聴を聞いた。
『精神HP急落』
黙って。
今はいないでしょう。
でも、確実に削れている。
「……リュウ」
「ああ」
「今日は、試合の約束だけの予定だったの」
「ああ」
「正式回答はまだでいい」
「ああ」
「でも、次に戦う」
「ああ」
「その後に、少し話すかもしれない」
言った。
言ってしまった。
春麗は、自分の言葉に少しだけ驚いた。
少し話すかもしれない。
話題候補を整理した翌日。
正式回答の後に、少しずつ、たぶん。
そう思っていたのに。
今、試合の後に少し話すかもしれないと言ってしまった。
リュウは、静かに頷いた。
「わかった」
「……覚えた?」
「ああ」
「間違えて覚えないで」
「ああ」
リュウは、春麗を見た。
「次の試合の後、春麗が話すなら聞く」
精神HPが完全に飛びかけた。
春麗は、内側で踏みとどまる。
まだ。
まだ帰れる。
今日は約束をしに来ただけ。
ここでノックアウトされるわけにはいかない。
しかし、リュウは続けた。
「話さなくてもいい」
一拍。
「でも、聞けるなら聞きたい」
終わった。
本編春麗の精神HPは、ほぼ尽きた。
正式回答前。
試合前。
なのに、次の会話まで置かれた。
しかも、話さなくてもいい。
でも聞けるなら聞きたい。
それは、非常に危険な待ち方だった。
「……あなた」
「ああ」
「聞くことと待つことの使い方が、少し上手くなっていない?」
「そうなのか」
「そうよ」
春麗は、どうにか姿勢を保った。
青い武道服。
主人公として、自分から動いた青。
その青が、今、甘いイベントに巻き込まれている。
黒執着春麗のログが強かった。
説明会もした。
本編春麗の出番も必要だった。
その分、主人公補正が少し溜まっていた。
それが今、まとめて来ている。
春麗はそう理解した。
理解したところで、耐えられるわけではなかった。
「……リュウ」
「ああ」
「宿題の正式回答は、まだでいいわ」
「ああ」
「ただし」
一拍。
「次の試合までには、少しは考えを進めておきなさい」
「ああ」
「あと、試合では手を抜かないこと」
「もちろんだ」
「私も手を抜かない」
「ああ」
「その上で」
春麗は、言葉を選ぶ。
選べていない気もする。
でも、言う。
「あなたが何を考えたか、試合の後で聞くわ」
また言った。
今度は、はっきり言った。
試合の後で聞く。
これは危険だ。
試合後は、リュウの無自覚高火力が発生しやすい。
勝っても危険。
負けても危険。
引き分けても危険。
試合後に宿題の話など、危険に決まっている。
だが、本編春麗は言ってしまった。
リュウは、静かに頷く。
「わかった」
「……本当にわかった?」
「ああ」
「次の試合の後よ」
「ああ」
「正式回答とは限らないわ」
「ああ」
「でも、あなたが考えたことは聞く」
「ああ」
リュウは、少しだけ目を細めた。
「春麗も、話すのか」
春麗は固まった。
「……場合によるわ」
「そうか」
「正式回答の内容による」
「ああ」
「試合の内容にもよる」
「ああ」
「私の精神HPにもよる」
リュウが少し首を傾げた。
「精神HP?」
「こちらの話よ」
春麗は即座に切った。
危ない。
ここで精神HPという概念をリュウに説明してはいけない。
リュウが理解したら、さらに危険な方向へ進む可能性がある。
リュウは、深く追及しなかった。
それは助かった。
助かったが、次の言葉で台無しになった。
「春麗が話せるなら、聞く」
春麗は目を閉じた。
「……ええ」
「話せないなら、待つ」
「……ええ」
「でも、試合はする」
「……ええ」
「それなら、次がある」
精神HPが完全に落ちた。
約束された。
試合。
宿題。
次の会話。
全部が一本につながった。
これは無理だった。
甘すぎる。
本編春麗は、表面上だけどうにか立っている。
中身は、完全に春麗会議室へ沈みそうだった。
「……帰るわ」
「ああ」
「追ってこないで」
「わかった」
「あと」
一拍。
「今日は、正式回答を聞きに来たわけではないから」
「ああ」
「試合の約束だから」
「ああ」
「次の話も、確定ではないから」
「ああ」
「甘いイベントではないから」
リュウは、少しだけ考えた。
考えないで。
春麗は、心の中で叫んだ。
だが、リュウは言った。
「俺には、嬉しい時間だった」
本編春麗の精神HPは、もう残っていなかった。
しかし、そこへさらに追撃が入った。
過剰ダメージ。
春麗は、顔を背けた。
「……それ以上言ったら、今日は本当に許さないわ」
「すまない」
「謝らない!」
春麗は、今度こそ歩き出した。
足取りは、妙に危ない。
戦ったわけではない。
殴られたわけでもない。
蹴られたわけでもない。
ただ、次の試合を約束して。
正式回答はまだでいいと言って。
試合後に話すかもしれないと言っただけ。
それだけなのに、精神HPが尽きている。
青い袖が、夕方の風に揺れた。
春麗は、歩きながら小さく呟いた。
「……主人公補正、溜めすぎるものではないわね」
春麗会議室。
本編春麗は気づけば椅子に座っていた。
机に突っ伏している。
青い武道服のまま。
顔は見えない。
ただ、耳が赤い。
記録板AIが、即座に表示する。
『本日の参加者』
『本編春麗:対象者』
『自覚前春麗:常駐参加』
『通常救済版春麗:常駐参加』
『行き遅れに恐怖する春麗:常駐参加』
『記録板AI:進行・記録担当』
『黒ドレス特化救済春麗:本日不参加』
『グランドフィナーレ春麗:本日不参加』
『議題:本編春麗・次回試合予約ログ』
本編春麗は、机に突っ伏したまま言った。
「参加者表示が正式運用されている……」
『正式採用済みです』
「そこは律儀なのね」
『重要です』
記録板AIは、さらに表示した。
『本編春麗:帰還』
『状態:精神HP 0』
『原因:次回試合予約に伴う甘味イベント連鎖』
『補足:主人公補正蓄積による被弾増幅』
本編春麗は、机に突っ伏したまま言った。
「表示しないで」
『重要ログです』
「重要だけど……」
自覚前春麗が、ログを覗き込む。
「何があったの?」
本編春麗は、顔を上げない。
「試合の約束」
「それで精神HP0?」
「次の試合の後、話すかもしれないことになった」
自覚前春麗が黙った。
通常救済版春麗が、静かにお茶を置く。
「それは……かなり甘いわね」
行き遅れに恐怖する春麗が、湯呑みを両手で包んで言う。
「待機位置から、約束の位置に変わった」
本編春麗は、机の上で小さく震えた。
「あなた、本当にそういうところを刺すわね」
『行き遅れ春麗:本質発言』
「保存していいわ……」
『保存しました』
記録板AIがログを展開する。
『重要発言一覧』
『リュウ:春麗が、自分から来た』
『リュウ:それが嬉しかった』
『リュウ:次の試合の後、春麗が話すなら聞く』
『リュウ:話さなくてもいい。でも、聞けるなら聞きたい』
『リュウ:それなら、次がある』
『リュウ:俺には、嬉しい時間だった』
会議室が沈黙した。
自覚前春麗が、そっとログを閉じようとする。
本編春麗が机に突っ伏したまま言う。
「閉じて」
『閉じますか?』
「閉じて」
『保存してから閉じます』
「保存しないで!」
『重要です』
「重要だけど!」
通常救済版春麗が、柔らかく言う。
「でも、良かったと思うわ」
本編春麗は、少しだけ顔を上げた。
「どこが?」
「あなたが自分から動いた」
「ええ」
「正式回答を急かさずに、次の試合を約束した」
「ええ」
「試合後に話す可能性も置いた」
「ええ」
「待っているだけではなくなった」
本編春麗は、顔をまた伏せた。
「そこが問題なのよ……」
自覚前春麗が言う。
「問題ではなく、進展では?」
「進展という言葉も危険」
『正式回答待ち:継続』
「表示しないで!」
『次回試合:予約成立』
「それも表示しないで!」
『次回試合後会話:可能性発生』
本編春麗は、完全に動かなくなった。
「……無理」
行き遅れ春麗が、静かに言う。
「待つ位置から、約束の位置に変わった」
会議室が静かになった。
本編春麗は、ゆっくり顔を上げた。
「……約束の位置」
『新規分類候補:約束の位置』
「保存して」
『保存しました』
自覚前春麗が、少しだけ笑う。
「そこは保存するのね」
「ええ」
本編春麗は、まだ顔を赤くしながら言った。
「待っているだけではないもの」
一拍。
「私が、自分から行った」
『本編春麗:主人公性再起動』
「保存して」
『保存しました』
通常救済版春麗が頷く。
「今日の青は、動いた青ね」
本編春麗は、小さく息を吐く。
「ええ」
「本編春麗の青が、自分から次の約束を作った」
「ええ」
本編春麗は、少しだけ胸を押さえた。
「私の青」
『保存しました』
「早い」
『重要です』
自覚前春麗が言う。
「でも、甘いイベントを食らいすぎたわね」
本編春麗は机に突っ伏した。
「本当にそうよ」
『主人公補正蓄積分、一括発動』
「そんなログ名にしないで」
『未承認仮分類です』
「却下」
『却下済み仮保存』
「保存しないで!」
会議室に、少し笑いが戻った。
でも、その中心にいる本編春麗は、まだ回復していなかった。
精神HPは0。
ただし、悪い0ではない。
甘い被弾。
主人公として動いた結果の被弾。
約束を作った被弾。
次に繋がる被弾。
記録板AIが最後に表示する。
『議題総括』
『本編春麗:自分からリュウへ接触』
『正式回答催促:なし』
『次回試合予約:成立』
『次回試合後会話:可能性発生』
『精神HP:0』
『状態:主人公性再起動済み』
本編春麗は、表示を見て、しばらく黙った。
それから、小さく言った。
「……保存して」
『保存しました』
春麗会議室の明かりが、少し柔らかくなる。
自覚前春麗が、通常救済版春麗から甘味を受け取る。
行き遅れ春麗は、湯呑みを包んだまま静かに待っている。
本編春麗は、机に突っ伏したまま、少しだけ笑った。
「次は、試合ね」
『次回予定:試合』
「表示しないで」
『表示を控えます』
「珍しく素直ね」
『精神HP回復を優先します』
「……そうして」
そのまま、春麗会議室の景色が少しずつ遠ざかる。
ログも。
記録板AIの表示も。
他の春麗たちの声も。
甘味の匂いも。
ゆっくり薄れていく。
朝。
春麗は、目を覚ました。
部屋には、薄い朝の光が入っていた。
青い武道服は、きちんと畳まれている。
昨日の戦闘の跡はない。
ただ、胸の奥にだけ、昨日の言葉が残っていた。
春麗が、自分から来た。
それが嬉しかった。
次の試合の後、春麗が話すなら聞く。
話さなくてもいい。でも、聞けるなら聞きたい。
それなら、次がある。
俺には、嬉しい時間だった。
春麗は、布団の中で顔を覆った。
「……朝から思い出すものではないわ」
声が小さい。
でも、昨日より少しだけ穏やかだった。
精神HPは回復している。
完全ではない。
だが、起き上がれる。
春麗は、ゆっくり体を起こした。
窓の外を見る。
朝が来ている。
次の試合も来る。
その後の会話も来るかもしれない。
待つだけではない。
自分から作った約束がある。
春麗は、青い武道服を見る。
昨日の青。
動いた青。
正式回答を急かさず、次の試合を予約した青。
試合後の話す可能性を置いた青。
主人公として再起動した青。
春麗は、小さく息を吐いた。
「……次は、勝つわ」
一拍。
「試合も」
もう一拍。
「精神戦も」
少し黙る。
そして、顔を赤くしながら付け足した。
「……できれば」
朝の光の中で、春麗は立ち上がる。
まだ少し恥ずかしい。
まだかなり面倒。
でも、もう止まってはいない。
本編春麗は、自分から動いた。
宿題は、まだ正式回答待ち。
けれど、次の約束はできている。
それだけで、今日は十分だった。
Q:今回の断章IFについて解説して?
A:
今回のエピソードは、一言で言うなら、
本編春麗が、正式回答を急かさずに、自分から次の試合を約束しに行く回
です。
前回までで、本編春麗の青はかなり整理されてきました。
宿題の進捗確認をした。
リュウに春麗の話を聞かせに行った。
「また聞かせてくれ」と言われた。
次に何を話すかも考えた。
つまり、本編春麗はすでに「待っているだけ」の状態ではありません。
ただし、宿題の正式回答はまだ来ていません。
ここが今回の大事なところです。
本編春麗は、正式回答を急かしに行くわけではありません。
進捗確認をもう一度しに行くわけでもありません。
春麗の話を聞かせに行くわけでもありません。
今回は、
次の試合の約束をしに行く
という回です。
これはかなり本編春麗らしい動きです。
本編春麗の青は、言葉だけの青ではありません。
宿題を出す青。
話を聞かれる青。
正式回答を待つ青。
それに加えて、
リュウと戦う青
でもあります。
だから今回は、言葉だけではなく、拳でも次へ進むために、春麗が自分からリュウへ会いに行きました。
今回のポイントは、春麗が正式回答を急かしていないことです。
宿題の答えは、リュウが考えて出すもの。
そこを無理に引き出すのではなく、春麗は別の形で次を作りました。
次に戦う。
その試合の後で、リュウが何を考えたか聞く。
場合によっては、春麗も少し話すかもしれない。
これで、宿題・試合・会話が一本につながりました。
ここが今回の大きな進展です。
ただ待つのではない。
ただ話すのでもない。
ただ戦うのでもない。
正式回答を急かさずに、次の試合を置く。
そして、その後に話す可能性を置く。
この「約束の位置」が、今回の到達点です。
今回、リュウの言葉もかなり危険でした。
まず、
春麗が、自分から来た。
それが嬉しかった。
これは、本編春麗にはかなり刺さります。
本編春麗は、自分から動きました。
用事がないのに会いに行った時とは違い、今回は試合の約束という明確な理由があります。
それでも、「自分から来た」ことをリュウに見られるのは危険です。
しかも、リュウはそれを「嬉しかった」と言います。
ここで、春麗の精神HPはかなり削られています。
さらに今回のリュウは、
次の試合の後、春麗が話すなら聞く。
話さなくてもいい。
でも、聞けるなら聞きたい。
と言います。
これは、前回までの「聞く」「待つ」の流れを受けた言葉です。
リュウは、春麗に話すことを強制していません。
でも、聞きたいとは言っている。
話せないなら待つ。
話せるなら聞く。
それでも試合はする。
だから、次がある。
この受け止め方が、今の本編春麗にはかなり高火力です。
本編春麗は、見られたくないけれど、見落とされたくない春麗です。
話したいけれど、全部は話したくない春麗です。
正式回答を待ちたいけれど、ただ待っているだけではいたくない春麗です。
だからこそ、今回のリュウの言葉は刺さります。
話せるなら聞く。
話せないなら待つ。
でも、次はある。
これは、本編春麗の青にとって、とても甘く、危険で、ありがたい形の約束でした。
今回、春麗会議室では、前回の説明会を受けて参加者表示が正式運用されています。
これも今回の小さなポイントです。
本日の参加者が表示され、黒ドレス特化救済春麗とグランドフィナーレ春麗は不参加。
つまり今回は、黒の専門整理でも、最終総括でもありません。
本編春麗の青。
自覚前春麗の資料視点。
通常救済版春麗の安定化。
行き遅れ春麗の待機と約束の整理。
記録板AIのログ管理。
このメンバーで十分な回です。
会議室で特に大事だったのは、行き遅れ春麗の言葉です。
待機位置から、約束の位置に変わった。
これはかなり良い整理です。
本編春麗は、正式回答を待っています。
けれど、完全に停止しているわけではない。
自分からリュウへ行き、次の試合を約束し、試合後に話す可能性を置いた。
つまり、ただ待つ位置から、次がある位置へ移ったわけです。
それが「約束の位置」です。
今回の本編春麗は、精神HPを落とされています。
でも、これは悪い落ち方ではありません。
試合の約束を作った。
正式回答を急かさなかった。
それでも自分から動いた。
試合後に話す可能性も置いた。
その結果として、リュウの甘い言葉に削られた。
これは、主人公として動いた結果の精神HP被弾です。
だから会議室でも、
本編春麗:主人公性再起動済み
と整理されました。
今回の春麗は、黒執着春麗の強いログに押されているだけではありません。
本編春麗の青も、ちゃんと進んでいます。
黒のログが強いからこそ、青も動く。
青が動くからこそ、黒の重さだけで物語が沈まない。
この往復が、今の連作の大事な流れです。
今回の到達点は、
本編春麗は、正式回答を急かさず、自分から次の試合を約束した。
そして、試合後に話す可能性を置いた。
待機位置から、約束の位置へ進んだ。
です。
最後に朝目覚めた春麗は、昨日の言葉を思い出します。
春麗が、自分から来た。
それが嬉しかった。
話すなら聞く。
話せないなら待つ。
それなら、次がある。
俺には、嬉しい時間だった。
朝から思い出すには危険すぎる言葉ばかりです。
でも、春麗は起き上がります。
精神HPは削られた。
恥ずかしい。
かなり面倒。
それでも、次の約束はできている。
次は試合。
その後に、何を話すかはまだ決まっていない。
でも、可能性は置かれました。
今回は、本編春麗が正式回答前にもう一度、自分の青で前へ出る回でした。
次は、試合です。
そしてその先に、宿題の正式回答と、春麗自身の言葉が待っています。