また戦ってくれなんて言わないで ――春麗は今日もめんどくさい――   作:エーアイ

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※本編確定ではなく、断章IFです。


断章IF:本編春麗は、青で煽って相打ちになり、宿題の答えで倒される

 

 青い袖を通す。

 

 帯を締める。

 

 鏡を見る。

 

 そこにいるのは、黒執着春麗ではない。

 

 黒ドレスを選んだ春麗でもない。

 

 これは、本編春麗の青。

 

 届かれた青。

 

 戻って選び直した青。

 

 勝った青。

 

 見られた青。

 

 覚えられた青。

 

 聞かれた青。

 

 そして、正式回答を急かさず、次の試合を自分から予約した青。

 

 春麗は、鏡の前で少しだけ息を吐いた。

 

「……真似ではないわ」

 

 誰もいない部屋で、そう言う。

 

「これは、私の青」

 

 一拍。

 

「本編春麗の青」

 

 黒執着春麗のログは、確かに強かった。

 

 黒ドレスでリュウに勝った。

 

 黒を自分で選び、自分で使い、リュウに届かせた。

 

 そして、その翌日に精神HPを削られた。

 

 それを、春麗会議室でも確認した。

 

 強いログだった。

 

 危機感もあった。

 

 少しだけ、悔しさもあった。

 

 けれど、今日の自分は黒を着ない。

 

 黒の戦術を使うわけでもない。

 

 黒ドレスの裾も、黒の半拍もない。

 

 今日あるのは、青い袖と、自分の言葉だけ。

 

 春麗は、鏡の中の自分を見た。

 

 今日は、前に自分から約束した試合の日だ。

 

 正式回答を急かさず。

 

 宿題の答えを無理に引き出さず。

 

 それでも、自分から次の試合を予約した。

 

 その試合の日。

 

 だから、今日は逃げない。

 

 言葉でも。

 

 拳でも。

 

 春麗は、青い袖を軽く払った。

 

 リュウは、この青を覚えている。

 

 勝った青も。

 

 見られた青も。

 

 覚えられた青も。

 

 聞かれた青も。

 

 なら、その記憶ごと試合に持ち込む。

 

 春麗は、少し考えてから、鏡の中の自分へ言った。

 

「覚えているなら、止めてみなさい」

 

 言った瞬間、胸が熱くなった。

 

 これは、危険だ。

 

 でも、本編春麗の青には合っている。

 

 リュウが覚えている。

 

 なら、それを試合の中で受け止める。

 

 覚えられたことから逃げない。

 

 見られたことから逃げない。

 

 聞かれたことからも逃げない。

 

 そのうえで、青で前に出る。

 

 春麗は、顔を少し赤くした。

 

「……本当に、何を言うつもりなのよ」

 

 それでも、消さなかった。

 

 今日は言う。

 

 主人公として、自分から動いた。

 

 試合の約束をした。

 

 その試合に来た。

 

 なら、言葉も自分の青で出す。

 

 春麗は、最後にもう一度だけ鏡を見る。

 

「今日は、覚えている青で行く」

 

 その言葉が、一番しっくり来た。

 

 春麗は部屋を出た。

 

 青い袖が、朝の光を受けて揺れた。

 


 

 リュウは、約束の場所にいた。

 

 春麗が来ると、顔を上げる。

 

 その視線が、春麗を見る。

 

 青を見る。

 

 足元を見る。

 

 そして、また春麗を見る。

 

 その順番だけで、春麗の精神HPが少し削れる。

 

 まだ始まっていない。

 

 なのに、もう見られている。

 

 リュウは言った。

 

「春麗」

 

「リュウ」

 

「来たんだな」

 

「約束したでしょう」

 

「ああ」

 

「忘れていたの?」

 

「忘れていない」

 

 即答だった。

 

 春麗は、少しだけ視線を逸らした。

 

「……そう」

 

「今日の青も、覚えていた」

 

 春麗は一瞬で被弾した。

 

「……始まる前から削らないで」

 

「すまない」

 

「謝るところではないわ」

 

 危険。

 

 もう危険。

 

 試合前から危険。

 

 だが、今日は退かない。

 

 春麗は構えた。

 

「リュウ」

 

「ああ」

 

「今日は試合よ」

 

「ああ」

 

「宿題の話は、試合の後」

 

「ああ」

 

「試合中に余計なことを言わないこと」

 

 リュウは少し考えた。

 

「努力する」

 

「なぜ即答しないの」

 

「言ってしまうかもしれない」

 

「自覚があるなら抑えなさい」

 

「難しい」

 

「難しくしないで」

 

 少しだけ、いつもの調子に戻る。

 

 春麗は息を整えた。

 

 ここで飲まれてはいけない。

 

 今日は試合だ。

 

 青の試合。

 

 本編春麗の試合。

 

 黒のログに刺激されたのは事実。

 

 でも、これは自分の青だ。

 

 春麗は一歩前へ出た。

 

 リュウが構える。

 

 その瞬間、春麗は準備していた言葉を置いた。

 

「覚えているなら、止めてみなさい」

 

 空気が変わった。

 

 リュウの拳が、ほんの少しだけ遅れて握られる。

 

 春麗は、その遅れを見た。

 

 効いた。

 

 言えた。

 

 黒の言葉ではない。

 

 本編春麗の青の言葉として。

 

 リュウは、静かに春麗を見る。

 

「覚えている」

 

 春麗の精神HPが削れる。

 

「だから止める」

 

 さらに削れる。

 

「……そういう返しをしないで」

 

「止める」

 

「言い直さないで!」

 

 それでも、春麗は笑いそうになった。

 

 危険だ。

 

 リュウが覚えている。

 

 その上で止めようとしてくる。

 

 これは、非常に危険だ。

 

 でも、試合は始まった。

 


 

 青が走る。

 

 春麗は、正面から踏み込んだ。

 

 黒い裾はない。

 

 隠すものもない。

 

 ただ、青い袖が風を切る。

 

 リュウの拳が動く。

 

 速い。

 

 春麗は、その拳を見ていた。

 

 何度も受けた拳。

 

 届かれた青を作った拳。

 

 勝った翌日に精神HPを削った男の拳。

 

 その拳へ、春麗は踏み込む。

 

 蹴り。

 

 リュウの防御に当たる。

 

 浅い。

 

 拳が返る。

 

 肩に入る。

 

 重い。

 

 春麗の体が揺れる。

 

 だが、止まらない。

 

 青い袖を払う。

 

 掌底。

 

 リュウの胸を打つ。

 

 浅いが、届いた。

 

「速い」

 

 リュウが言った。

 

「言わない約束では?」

 

「努力すると言った」

 

「努力が足りないわ」

 

 リュウは拳を構え直す。

 

「だが、前より速い」

 

 精神HPが削れる。

 

「足りないどころか、悪化しているわね」

 

「春麗が前に出ている」

 

「戦闘中!」

 

「すまない」

 

「謝らない!」

 

 だが、動きは止まらない。

 

 リュウが見ている。

 

 その言葉が刺さる。

 

 でも、今日は刺さったまま動く。

 

 春麗は踏み込む。

 

 青い袖が揺れる。

 

 リュウの拳が来る。

 

 春麗は外す。

 

 完全には外せない。

 

 脇腹をかすめる。

 

 痛み。

 

 だが、その痛みを抱えたまま蹴りを返す。

 

 リュウの肩に入る。

 

 リュウが一歩下がった。

 

 ほんの一歩。

 

 春麗は、その一歩を見逃さない。

 

「覚えている割には」

 

 一拍。

 

「下がったわね」

 

 リュウの目が鋭くなった。

 

 春麗は、言った自分に内心突っ込んだ。

 

 何を言っているの。

 

 でも、言えた。

 

 煽れた。

 

 青で。

 

 自分の青で。

 

 リュウが前に出る。

 

 拳が速くなる。

 

 春麗は、胸の奥が熱くなるのを感じた。

 

 リュウが応えてきた。

 

 覚えているから止める。

 

 下がったと言われたから前に来る。

 

 そういう男だ。

 

 だから、危険で。

 

 だから、楽しい。

 

 春麗は、青の速度を上げた。

 


 

 中盤。

 

 リュウの拳が、さらに深くなる。

 

 春麗は、少しずつ追い込まれていた。

 

 速さだけでは抜けない。

 

 見られている。

 

 青を覚えられている。

 

 踏み込みも、肩の動きも、蹴りの戻りも。

 

 全部、リュウの拳が拾ってくる。

 

 春麗は息を吐いた。

 

 見られている。

 

 覚えられている。

 

 でも、それを嫌がっているだけでは勝てない。

 

 むしろ、今日はそれを使う。

 

 リュウが覚えているなら。

 

 覚えている青の外側へ行く。

 

 春麗は、一瞬だけ止まった。

 

 青の静止。

 

 黒の待機圧ではない。

 

 青が正面から走ってきたと思った瞬間、ほんの一拍だけ止まる。

 

 リュウの拳が、わずかに判断を変える。

 

 春麗は言った。

 

「覚えた青だけ見ていると」

 

 一拍。

 

「今の私を見落とすわよ」

 

 リュウの拳が、ほんの少し遅れた。

 

 春麗は入った。

 

 掌底。

 

 リュウの胸。

 

 深い。

 

 リュウの身体が揺れる。

 

 だが、リュウの拳も春麗の腹に入った。

 

 重い。

 

 息が止まる。

 

 春麗の足が落ちかける。

 

 リュウも下がりかける。

 

 互いに、崩れない。

 

「今の春麗を見ている」

 

 リュウが言った。

 

 精神HPが削れる。

 

「だから!」

 

「だが、覚えた青も消えていない」

 

 さらに削れる。

 

「リュウ!」

 

「ああ」

 

「試合中!」

 

「すまない」

 

「謝らないで!」

 

 リュウは拳を構える。

 

「だから、止めにくい」

 

 春麗は、完全に止まりかけた。

 

 止めにくい。

 

 それは褒め言葉か。

 

 分析か。

 

 攻撃か。

 

 全部か。

 

 本当に危険だ。

 

 春麗は、顔を赤くしそうになるのをこらえた。

 

「……止めにくいなら」

 

 一拍。

 

「止めなくていいわ」

 

 リュウの目が動く。

 

 春麗は踏み込む。

 

「倒れなさい」

 

 蹴りが飛ぶ。

 

 リュウは受ける。

 

 防御の上から、重く入る。

 

 リュウの足が沈む。

 

 拳が返る。

 

 春麗の肩へ。

 

 痛い。

 

 だが、春麗も下がらない。

 

 青い袖が乱れる。

 

 互いに、もう余裕はない。

 


 

 終盤。

 

 呼吸が荒い。

 

 春麗も、リュウも。

 

 汗が落ちる。

 

 青い武道服の袖が重くなる。

 

 リュウの拳はまだ生きている。

 

 春麗の足も、まだ動く。

 

 この感覚を、春麗は知っている。

 

 勝ち負けが、最後まで分からない。

 

 どちらかが一瞬でも遅れれば終わる。

 

 ギリギリで勝つでもない。

 

 ギリギリで負けるでもない。

 

 互いに、最後の一手を持っている。

 

 春麗は、少しだけ笑った。

 

「こういうところまで来たのね」

 

 リュウが頷く。

 

「ああ」

 

「否定しないのね」

 

「否定できない」

 

「なら」

 

 春麗は構える。

 

「最後まで来なさい」

 

「ああ」

 

 リュウが踏み込む。

 

 速い。

 

 真っ直ぐ。

 

 春麗も踏み込む。

 

 青が走る。

 

 リュウの拳が中心へ来る。

 

 春麗の蹴りが、外側から入る。

 

 どちらが先か。

 

 見えない。

 

 リュウの拳が春麗の腹へ入る。

 

 深い。

 

 息が止まる。

 

 同時に、春麗の蹴りがリュウの肩へ入る。

 

 深い。

 

 リュウの体が揺れる。

 

 だが、まだ倒れない。

 

 春麗も倒れない。

 

 最後の掌底。

 

 最後の拳。

 

 同時。

 

 春麗の掌がリュウの胸に届く。

 

 リュウの拳が春麗の肩に届く。

 

 衝撃。

 

 音が消える。

 

 青い袖が揺れる。

 

 リュウの身体が後ろへ沈む。

 

 春麗の膝も落ちる。

 

 どちらも、立てない。

 

 春麗は片膝をついた。

 

 リュウも片膝をついた。

 

 拳は、まだ握られている。

 

 掌も、まだ開いている。

 

 だが、次は出せない。

 

 春麗は、荒い息の中で笑った。

 

「……相打ちね」

 

 リュウは頷く。

 

「ああ」

 

「悪くないわ」

 

「ああ」

 

 リュウは、春麗を見た。

 

 春麗は危険を感じた。

 

 試合が終わった。

 

 宿題の話に移る。

 

 ここからが本番。

 

 いや、違う。

 

 ここからが危険。

 


 

 しばらく、二人は片膝のまま息を整えた。

 

 勝者はいない。

 

 敗者もいない。

 

 相打ち。

 

 春麗は、肩の痛みに顔をしかめながら、どうにか口を開いた。

 

「……それで」

 

「ああ」

 

「約束どおりよ」

 

「ああ」

 

「試合の後に話すと言ったわ」

 

「ああ」

 

「宿題のこと」

 

「ああ」

 

「聞かせなさい」

 

 言いながら、春麗は警戒した。

 

 ここで気を抜くと死ぬ。

 

 精神HPが死ぬ。

 

 だが、聞く。

 

 自分から動いた結果だから。

 

 主人公として約束したから。

 

 リュウは、少しだけ目を伏せた。

 

 そして、言った。

 

「全部は、まだ言えない」

 

 春麗は、少しだけ息を吐いた。

 

「そう」

 

 安心した。

 

 少しだけ。

 

 全部ではない。

 

 まだ正式回答ではない。

 

 なら、今日は耐えられるかもしれない。

 

 そう思った。

 

 甘かった。

 

 リュウは続けた。

 

「だが、一つはわかった」

 

 春麗の精神HPが身構えた。

 

「何が?」

 

「俺は、春麗が待っているから考えていたんじゃない」

 

 春麗の呼吸が止まった。

 

「……どういう意味?」

 

「春麗が、考える時間をくれた」

 

 一拍。

 

「だが、それだけじゃない」

 

 リュウは、春麗を見る。

 

「俺が、考えたかった」

 

 精神HPが大きく削れた。

 

 春麗は、声を出せなかった。

 

 リュウは続ける。

 

「春麗がどういうつもりで聞いたのか」

 

 一拍。

 

「春麗がどういうつもりで待っていたのか」

 

 一拍。

 

「春麗が、なぜ自分から来たのか」

 

 さらに一拍。

 

「それを、俺が知りたかった」

 

 春麗は、青い袖を握りそうになった。

 

 握れない。

 

 力が入らない。

 

 肉体ダメージもある。

 

 だが、それ以上に精神が削れている。

 

「リュウ」

 

「ああ」

 

「それは、宿題の回答なの?」

 

「途中だ」

 

「途中でその火力なの?」

 

「火力?」

 

「何でもないわ」

 

 リュウは少しだけ考える。

 

 やめなさい。

 

 そこで考えないで。

 

 春麗の警戒は間に合わなかった。

 

「春麗が自分から来てくれた時」

 

 一拍。

 

「嬉しかった」

 

 精神HPがさらに削れる。

 

「それは前にも聞いたわ」

 

「ああ」

 

「繰り返さないで」

 

「だが、試合してわかった」

 

「何が」

 

「嬉しかっただけではなかった」

 

 春麗は、もう逃げたい。

 

 逃げたいが、片膝が動かない。

 

 試合の相打ちで撤退不能。

 

 最悪の状況。

 

 リュウは言った。

 

「春麗が来たから、俺も行きたいと思った」

 

 精神HPが危険域に入った。

 

「……どこへ」

 

 聞くな。

 

 聞いてはいけない。

 

 でも、聞いてしまった。

 

 リュウは静かに言う。

 

「春麗の青の先へ」

 

 精神HPが、ほぼ尽きた。

 

 春麗は片手で顔を覆った。

 

「……それは」

 

 一拍。

 

「言い方が、危険すぎるわ」

 

「そうか」

 

「そうよ」

 

 リュウは続けた。

 

「今日の青は、覚えていた青だった」

 

 追撃。

 

「だが、今の青だった」

 

 さらに追撃。

 

「俺は、その先を見たい」

 

 精神HPが残らない。

 

 春麗は、もう完全に内側で倒れていた。

 

 相打ちの肉体ダメージ。

 

 宿題途中回答の精神ダメージ。

 

 主人公として自分から動いた結果、リュウがこちらへ来ると言い始めた。

 

 これは無理だ。

 

 無理。

 

 完全に無理。

 

「……リュウ」

 

「ああ」

 

「今日は、相打ち」

 

「ああ」

 

「試合は引き分け」

 

「ああ」

 

「でも、精神戦は」

 

 一拍。

 

「あなたの勝ちよ」

 

 リュウは少しだけ首を傾げる。

 

「そうなのか」

 

「そうよ」

 

「俺は、まだ全部言えていない」

 

「全部言われたら死ぬわ」

 

「死ぬのか」

 

「比喩よ!」

 

 春麗は、どうにか立とうとした。

 

 膝が笑う。

 

 リュウもまだ立てない。

 

 だが、これ以上ここにいると危険だ。

 

「今日はここまで」

 

「ああ」

 

「宿題は途中回答として受領」

 

「ああ」

 

「正式回答は、まだ」

 

「ああ」

 

「でも」

 

 春麗は、顔を赤くしたまま言った。

 

「進捗は、かなりあったわ」

 

 リュウは頷いた。

 

「俺もそう思う」

 

 また刺さる。

 

 もう削る場所がないのに刺さる。

 

 春麗は、半ば怒ったように言った。

 

「次までに、もう少し言葉を選んでおきなさい」

 

「わかった」

 

「火力を下げて」

 

「難しい」

 

「そこは努力しなさい」

 

「ああ」

 

 春麗は背を向ける。

 

 ふらつく。

 

 リュウが立とうとする気配がした。

 

「来ないで」

 

 すぐに言う。

 

「わかった」

 

「追ってこないで」

 

「ああ」

 

「今日は相打ちだから」

 

「ああ」

 

「相打ちなのに、精神HPだけ私が負けたことは」

 

 一拍。

 

「覚えなくていい」

 

 リュウは言った。

 

「覚えている」

 

「でしょうね!」

 

 春麗は、最後の力で歩き出した。

 

 青い袖が乱れている。

 

 肩は痛い。

 

 腹も重い。

 

 身体は限界。

 

 精神HPはゼロ。

 

 でも、試合は相打ち。

 

 そして、宿題は進んだ。

 

 それだけは、確かだった。

 


 

 帰り道。

 

 話すことは、あったはずだった。

 

 黒の後の青。宿題のこと。聞かれた青のこと。

 

 けれど、リュウの途中回答を受けた瞬間、それらは全部、胸の奥で散らばってしまった。

 

 今は、何も出せない。

 

 春麗は、何度も立ち止まりそうになった。

 

 痛みのせいではない。

 

 リュウの言葉のせいだ。

 

 俺が、考えたかった。

 

 春麗が来たから、俺も行きたいと思った。

 

 春麗の青の先へ。

 

 俺は、その先を見たい。

 

 春麗は、青い袖で顔を隠した。

 

「……無理」

 

 小さく呟く。

 

「今日は無理」

 

 春麗会議室には行かない。

 

 今日はまだ行かない。

 

 バトルレビューも、まとめも、次回でいい。

 

 今は無理だ。

 

 整理できない。

 

 言葉にしたら、また倒れる。

 

 今日は、ただ帰る。

 

 相打ちだった。

 

 相打ちなのに、完全に負けた気分でもある。

 

 でも、悪くはない。

 

 それがまた、悔しい。

 

 春麗は、部屋に戻ると、青い武道服を脱いだ。

 

 肩のあたりに、リュウの拳の跡が残っている。

 

 帯が乱れている。

 

 袖も重い。

 

 今日の青。

 

 覚えているなら、止めてみなさい、と言った青。

 

 覚えた青だけ見ていると、今の私を見落とすわよ、と言った青。

 

 リュウと相打ちになった青。

 

 宿題の途中回答を受け取った青。

 

 精神HPをノックアウトされた青。

 

 春麗は、しばらくその青を見ていた。

 

「……今日は、洗うだけ」

 

 畳むのは明日でいい。

 

 整理も明日でいい。

 

 会議室でのレビューも、明日でいい。

 

 今は無理。

 

 春麗は、水を用意した。

 

 青を洗う。

 

 試合の跡を落とす。

 

 今日の相打ちは消えない。

 

 今日の言葉も消えない。

 

 リュウの途中回答も消えない。

 

 ただ、布を整える。

 

 手元に戻せるように。

 

 春麗は、濡れた青を干した。

 

 部屋に戻る。

 

 身体が重い。

 

 心も重い。

 

 でも、胸の奥だけが少し熱い。

 

「……次は」

 

 言いかけて、止まる。

 

 次は勝つ。

 

 そう言おうとした。

 

 でも、今日は相打ちだった。

 

 それでよかった気もする。

 

 春麗は、静かに呟いた。

 

「次は、聞くわ」

 

 一拍。

 

「正式回答を」

 

 言ってしまった。

 

 顔が熱くなる。

 

 もう駄目だ。

 

 今日は終わり。

 

 春麗は、灯りを消した。

 


 

 夜。

 

 眠りは浅かった。

 

 青い袖。

 

 リュウの拳。

 

 相打ち。

 

 宿題。

 

 途中回答。

 

 春麗の青の先へ。

 

 その言葉が、何度も浮かぶ。

 

 春麗は、夢の中で何度も顔を覆った。

 

 春麗会議室の扉が、遠くに見えた気がした。

 

 でも、今日は入らない。

 

 まだレビューしない。

 

 まだまとめない。

 

 これは次回。

 

 今は、ただ眠る。

 

 精神HPがゼロのまま。

 

 相打ちの青を抱えたまま。

 

 宿題が一歩進んだことだけを、胸の奥に置いたまま。

 

 朝。

 

 薄い光が差し込む。

 

 春麗は、ゆっくり目を開けた。

 

 身体が痛い。

 

 肩も、腹も、まだ重い。

 

 精神HPも、完全には戻っていない。

 

 けれど、起きられる。

 

 春麗は、天井を見たまま、昨日の言葉を思い出した。

 

 俺が、考えたかった。

 

 春麗の青の先へ。

 

 俺は、その先を見たい。

 

 春麗は、布団の中で顔を覆った。

 

「……朝から思い出すものではないわ」

 

 声は小さい。

 

 けれど、昨日より少しだけ落ち着いている。

 

 春麗は、ゆっくり起き上がった。

 

 干してある青い武道服を見る。

 

 まだ完全には乾いていない。

 

 それでいい。

 

 今日すぐには畳めない。

 

 昨日の青は、まだ少し重い。

 

 でも、消えていない。

 

 相打ちの青。

 

 宿題が進んだ青。

 

 精神HPをノックアウトされた青。

 

 そして、本編春麗が自分から動いた青。

 

 春麗は、静かに息を吐いた。

 

「次は、レビューね」

 

 一拍。

 

「……その前に、甘味が必要かしら」

 

 少しだけ笑う。

 

 身体は痛い。

 

 精神HPもまだ低い。

 

 でも、止まってはいない。

 

 試合は相打ち。

 

 宿題は進んだ。

 

 次は、その意味を整理する番だった。

 




Q:今回の断章IFとバトル内容について解説して?

A:

今回のエピソードは、一言で言うなら、

本編春麗が、自分の青でリュウと相打ちになり、その直後に宿題の途中回答で精神HPを落とされる回

です。

前回、本編春麗は正式回答を急かさずに、次の試合を約束しました。

宿題の答えを今すぐ求めるのではなく、まず試合をする。

そして、その後にリュウが何を考えたのか聞く。

この流れを受けて、今回はその約束の試合です。

ここで大事なのは、今回の春麗が黒ではなく、青で来ていることです。

黒執着春麗のログは強いです。

黒ドレスでリュウに勝った。
黒を選んだ自分でリュウに届いた。
その後も、黒の扱いは物語全体に大きな影響を与えています。

けれど、今回の本編春麗は黒を真似するわけではありません。

黒ドレスの戦術を持ち込むわけでもありません。

今回あるのは、

本編春麗の青

です。

届かれた青。
戻って選び直した青。
勝った青。
見られた青。
覚えられた青。
聞かれた青。
そして、正式回答を急かさず、自分から次の試合を予約した青。

これまで積み重ねてきた本編春麗の青が、今回の試合に出ています。

今回のキーワードは、

覚えているなら、止めてみなさい

です。

これは、かなり本編春麗らしい煽りです。

黒の煽りではありません。

黒ドレスの遅れや、視線誘導で相手を崩す言葉でもありません。

これは、リュウが春麗の青を覚えていることを前提にした煽りです。

リュウは、春麗の青を見てきました。

届かれた青も。
見られた青も。
覚えられた青も。
聞かれた青も。

なら、その記憶ごと試合に持ち込む。

覚えているなら、止めてみなさい。

この言葉で、春麗は「覚えられていること」から逃げるのではなく、それを試合の中で使う側に回っています。

ここが今回の大きな成長です。

そして、リュウの返しも危険です。

覚えている。
だから止める。

この返しだけで、春麗の精神HPはかなり削られています。

本編春麗にとって「覚えられている」は強い言葉です。

見られるのも危険。
聞かれるのも危険。
でも、覚えられているのはもっと危険です。

それを試合前から正面で返される。

この時点で、今回の試合は肉体戦でありながら、精神戦でもあります。

試合中の青も良いです。

今回の青は、ただ速いだけではありません。

リュウに覚えられている青です。

だから、春麗は途中でこう言います。

覚えた青だけ見ていると、今の私を見落とすわよ。

これもかなり良い言葉です。

春麗は、覚えられた青を否定していません。

でも、覚えられた青だけで止められるつもりもない。

以前の青を見ているだけでは、今の春麗は止められない。

そう言って、覚えられた青の外側へ出ようとします。

これは、今回の本編春麗の戦術的な核です。

過去の青をなかったことにしない。

でも、過去の青だけに固定されない。

リュウが覚えている青を逆に利用して、その外側へ行こうとする。

この動きが、相打ちへつながります。

試合結果は相打ちです。

勝ちではありません。

負けでもありません。

互いに最後の一手を届かせ、どちらも立てない。

この結果もかなり良いと思っています。

なぜなら、今回の目的は「本編春麗がリュウに勝つこと」ではないからです。

今回の目的は、

本編春麗の青が、正式回答前にリュウともう一度正面から向き合うこと

です。

だから、ギリギリ勝利よりも、相打ちの方が合っています。

勝ち切ったわけではない。
負けたわけでもない。
でも、届いた。
リュウにも届かれた。

そして、その状態で宿題の途中回答を聞く。

ここが今回の最大の危険ポイントです。

試合後、春麗は約束どおり宿題のことを聞きます。

リュウは、まだ全部は言えないと言います。

つまり、正式回答ではありません。

しかし、途中回答としてかなり大きいことを言います。

俺は、春麗が待っているから考えていたんじゃない。
俺が、考えたかった。

これはかなり強いです。

春麗が考える時間を与えたから、仕方なく考えていたわけではない。

春麗に宿題を出されたから、義務として考えていたわけでもない。

リュウ自身が、春麗のことを知りたいと思った。

春麗がどういうつもりで聞いたのか。
どういうつもりで待っていたのか。
なぜ自分から来たのか。

それを、リュウ自身が知りたかった。

これは、本編春麗にとってかなり大きな途中回答です。

そして、さらに危険なのが、

春麗が来たから、俺も行きたいと思った。
春麗の青の先へ。
俺は、その先を見たい。

です。

ここで本編春麗の精神HPはほぼ終わっています。

これまで春麗は、リュウに届かれたり、見られたり、覚えられたり、聞かれたりしてきました。

でも今回は、リュウが自分から「行きたい」と言っています。

春麗の青の先へ。

これは非常に大きいです。

春麗が一方的に待っているのではない。

春麗が一方的に聞いているのでもない。

リュウの方も、春麗の青の先へ進もうとしている。

だから、今回の途中回答は正式回答ではないのに、かなりの火力を持っています。

本編春麗が、

今日は、相打ち。
試合は引き分け。
でも、精神戦はあなたの勝ちよ。

と言うのも、今回の結果をよく表しています。

肉体戦は相打ち。

けれど、精神戦ではリュウの勝ち。

しかも、リュウはまだ全部言えていない。

ここが恐ろしいところです。

正式回答前の途中回答でこの火力です。

本編春麗からすれば、正式回答を受け取る前にかなり削られてしまっている。

でも、それは悪い削られ方ではありません。

宿題が進んだからです。

リュウが考えているだけではなく、リュウ自身が春麗の青の先へ行こうとしていることが分かった。

これは大きな進展です。

今回の後半で、春麗はすぐに春麗会議室へ行きません。

ここも重要です。

いつもなら、精神HPを削られた後に会議室でレビューする流れがあります。

でも今回は、すぐには無理でした。

相打ちの肉体ダメージ。
宿題途中回答の精神ダメージ。
「春麗の青の先へ」という言葉。

これらが重すぎて、春麗はその場ですぐ整理できません。

だから、今日はただ帰る。

青を洗う。
試合の跡を落とす。
でも、今日の相打ちも、リュウの言葉も消えない。

この「今日は洗うだけ」という処理が、本編春麗らしくて良いと思っています。

整理は明日でいい。
レビューも次回でいい。
今は無理。

これは逃げではありません。

受け取ったものが大きすぎたから、一度寝かせる必要があった。

そういう回です。

そして最後に、朝。

春麗は昨日の言葉を思い出します。

俺が、考えたかった。
春麗の青の先へ。
俺は、その先を見たい。

朝から思い出すには危険すぎる言葉です。

でも、昨日より少し落ち着いている。

試合は相打ち。
宿題は進んだ。
精神HPはノックアウトされた。
それでも、止まってはいない。

今回の到達点は、

本編春麗の青は、リュウと相打ちになった。
宿題は、正式回答前に大きく進んだ。
リュウは、春麗の青の先へ行きたいと言った。

です。

これは、本編春麗の正式回答ラインにとってかなり大きな一歩です。

今回、春麗は勝てませんでした。

でも、負けてもいません。

そして、宿題は進みました。

この「相打ちだけど進んだ」という感覚が、今回の本編春麗にはとても合っていると思います。

青は、止まっていません。

正式回答はまだです。

でも、リュウはもう春麗の青の先を見ようとしています。

次回は、この相打ちと途中回答をどう整理するか。

春麗会議室でのレビューが、かなり重要になると思います。


RPG形式バトル解説

本編春麗 vs リュウ

青の相打ち戦/宿題途中回答イベント

今回のバトルは、一言で言うなら、

本編春麗が“覚えられた青”を武器にリュウへ挑み、肉体戦では相打ち、精神戦ではリュウに敗北したバトル

です。

表の勝敗は、相打ちです。

ただし、読者向けのネタバレ込みで言うと、今回の本当の決着は試合後にあります。

リュウは、宿題の正式回答をまだ出していません。

しかし途中回答として、

俺が、考えたかった。
春麗が来たから、俺も行きたいと思った。
春麗の青の先へ。
俺は、その先を見たい。

という非常に大きな回答を出しています。

そのため、肉体戦は引き分けですが、精神戦はリュウの勝利です。


戦闘開始時ステータス

本編春麗

HP:100
精神HP:100
状態:青武道服/正式回答待ち/次回試合予約後
装備:本編春麗の青
特殊状態:覚えられた青/聞かれた青/正式回答前
戦闘目的:リュウと試合し、試合後に宿題の途中経過を聞く
危険要素:リュウの無自覚高火力発言に弱い

春麗側バフ

覚えられた青:発動中
自分から約束した試合:行動力上昇
本編主人公補正:発動中
青の煽り使用可能
正式回答待ちによる精神不安定:軽度


リュウ

HP:100
精神HP:100
状態:通常
戦闘目的:今の春麗と戦う
内面状態:春麗の宿題について考え続けている
特殊能力:無自覚観測/高火力発言/試合後回答イベント
危険要素:本人に火力自覚なし

リュウ側バフ

春麗の青を覚えている
今の春麗を見ている
宿題について自分から考えたい状態
試合後に途中回答を出す準備あり

ここが重要です。

リュウは、ただ春麗に宿題を出されたから考えているわけではありません。

本人の中で、

春麗のことを知りたい
春麗がなぜ聞いたのか考えたい
春麗の青の先を見たい

という方向へ進み始めています。

この時点で、リュウ側はかなり危険な精神イベントを抱えています。


PRE-BATTLE:春麗、青の言葉を準備する

春麗は、鏡の前で青武道服に袖を通します。

今回の春麗は黒ではありません。

黒ドレスではない。
黒の戦術でもない。
黒の半拍でもない。

今回は、

本編春麗の青

です。

届かれた青。
戻って選び直した青。
勝った青。
見られた青。
覚えられた青。
聞かれた青。

その全部を抱えた青です。

春麗は、今回の煽りとして、

覚えているなら、止めてみなさい

を準備します。

これはかなり良い青の煽りです。

黒の煽りではなく、リュウに覚えられていることを逆に使う、本編春麗らしい言葉です。

戦闘前効果

春麗 精神HP:100 → 94

理由:自分で言う予定の煽りに照れているため。

春麗 行動力:上昇
春麗 青の攻撃補正:上昇
春麗 精神防御:やや低下


TURN 1:試合前会話で初期被弾

リュウは春麗を見て、こう言います。

今日の青も、覚えていた。

春麗は試合前から精神HPを削られます。

春麗 精神HP:94 → 84

まだ戦っていません。

しかし、もう削られています。

本編春麗にとって「覚えていた」は非常に危険な言葉です。

なぜなら、今回の春麗は「覚えているなら、止めてみなさい」と言うつもりで来ているからです。

つまり、リュウは春麗が言う前から、春麗の攻撃軸を見抜いています。


TURN 2:春麗の青煽り発動

春麗は構え、準備していた言葉を置きます。

覚えているなら、止めてみなさい。

これは成功します。

リュウの拳が、ほんの少しだけ遅れる。

春麗はその遅れを見逃しません。

ただし、リュウの返しが危険です。

覚えている。
だから止める。

春麗 精神HP:84 → 72

春麗の煽りは成功しました。

しかし、リュウの返しで精神ダメージも受けています。

戦闘効果

春麗 攻撃補正:上昇
リュウ 初動:わずかに遅延
春麗 精神HP:大きく減少

この時点で、今回のバトルはただの肉体戦ではなくなっています。

青の記憶をめぐる精神戦が始まっています。


TURN 3:序盤戦・春麗の青が届く

春麗は正面から踏み込みます。

黒のように隠すのではなく、青として正面から行く。

リュウの拳を受けながらも、春麗の掌底が届きます。

HP変動

春麗 HP:100 → 86
リュウ HP:100 → 88

春麗は先に削られますが、リュウにも届かせています。

ここでリュウが言います。

速い。
だが、前より速い。
春麗が前に出ている。

春麗 精神HP:72 → 62

試合中に分析され、しかも成長を見られている。

本編春麗にはかなり危険です。


TURN 4:春麗、青で煽る

春麗はリュウを一歩下がらせます。

そして言います。

覚えている割には、下がったわね。

これは良い煽りです。

黒の煽りではありません。

覚えられている青を逆手に取った、本編春麗の青の煽りです。

リュウはこの言葉に反応し、前へ出ます。

HP変動

春麗 HP:86 → 78
リュウ HP:88 → 76

状態変化

リュウ:前進圧上昇
春麗:青の主導権を一時取得
春麗 精神HP:62 → 60

春麗は自分の煽りに少しだけ照れています。

ただし、戦術としては成功しています。


TURN 5:中盤戦・覚えた青の外側へ

リュウは春麗の青を拾い始めます。

踏み込み。
肩の動き。
蹴りの戻り。
間合い。

全部を見てくる。

春麗は、そこで一瞬止まります。

青の静止。

黒の待機圧ではありません。

青が走ってくると思わせて、ほんの一拍だけ止まる。

そして春麗は言います。

覚えた青だけ見ていると、今の私を見落とすわよ。

これは今回の戦術的な核心です。

春麗は、リュウに覚えられた青を否定していません。

でも、覚えられた青だけで止められるつもりもない。

過去の青の外側へ出ようとしています。

春麗の掌底が深く入ります。

しかし、リュウの拳も春麗の腹に入ります。

HP変動

春麗 HP:78 → 52
リュウ HP:76 → 50

ここでリュウが返します。

今の春麗を見ている。
だが、覚えた青も消えていない。
だから、止めにくい。

春麗 精神HP:60 → 38

これはかなり高火力です。

春麗の意図を受け止めたうえで、

今の春麗も見ている
覚えた青も消えていない
だから止めにくい

と言っています。

これは褒め言葉であり、分析であり、攻撃です。

春麗は精神HPを大きく削られます。


TURN 6:終盤突入・互いに限界

春麗もリュウも、もう余裕がありません。

春麗 HP:52
リュウ HP:50

ほぼ互角。

この時点で、勝敗は最後の一手で決まる状態です。

春麗は言います。

最後まで来なさい。

リュウは受けます。

ああ。

この時点で、両者とも退く選択肢はありません。

状態

春麗:HP中危険域/精神HP低下中
リュウ:HP中危険域/精神HP安定
戦況:完全互角
勝敗予測:相打ち濃厚


FINAL TURN:相打ち

リュウの拳が中心へ来ます。

春麗の蹴りが外側から入ります。

どちらも届く。

リュウの拳が春麗の腹へ入る。

春麗の蹴りがリュウの肩へ入る。

さらに最後の掌底と拳が同時に届く。

最終HP変動

春麗 HP:52 → 0
リュウ HP:50 → 0

戦闘結果

相打ち

春麗:戦闘不能
リュウ:戦闘不能
勝者:なし
敗者:なし

ただし、これは完全な停滞ではありません。

本編春麗の青は、リュウに届いています。

リュウの拳も、春麗に届いています。

互いに最後の一手を出し切った結果の相打ちです。


BATTLE RESULT:肉体戦

本編春麗

HP:0 / 100
精神HP:38 / 100
状態:相打ち
成果:覚えられた青の外側へ出ようとした
獲得ログ:相打ちの青

リュウ

HP:0 / 100
精神HP:100 / 100
状態:相打ち
成果:今の春麗と覚えた青の両方を見た
獲得ログ:春麗の青の先を見たいという自覚

リュウは、この試合中にかなり大事なことを確認しています。

リュウは、春麗の青を「過去の青」としてだけ見ていません。

今の春麗も見ている。

覚えた青も消えていない。

その両方があるから、止めにくい。

つまりリュウは、

春麗の過去ログと現在地を同時に見ている

状態です。

これは、宿題途中回答へ直結します。


POST-BATTLE EVENT:宿題途中回答

試合は相打ち。

ここで終われば、肉体戦としては引き分けです。

しかし今回は、試合後に宿題の話があります。

春麗は約束どおり聞きます。

宿題のこと。
聞かせなさい。

リュウは言います。

全部は、まだ言えない。
だが、一つはわかった。

この時点で、正式回答ではありません。

途中回答です。

しかし火力は非常に高い。


ANSWER EVENT 1:俺が、考えたかった

リュウの途中回答。

俺は、春麗が待っているから考えていたんじゃない。
春麗が、考える時間をくれた。
だが、それだけじゃない。
俺が、考えたかった。

春麗 精神HP:38 → 22

これは大きいです。

リュウは、春麗に宿題を出されたから義務で考えていたのではありません。

春麗が待っているから、仕方なく考えていたのでもありません。

リュウ自身が、考えたかった。

ここで、宿題の意味が変わります。

春麗が一方的に待っているだけではなく、リュウの側にも主体性が生まれています。


# ANSWER EVENT 2:春麗を知りたかった

リュウは続けます。

春麗がどういうつもりで聞いたのか。
春麗がどういうつもりで待っていたのか。
春麗が、なぜ自分から来たのか。
それを、俺が知りたかった。

春麗 精神HP:22 → 12

ここで春麗はさらに削られます。

リュウは、春麗の宿題そのものだけではなく、

春麗がなぜその宿題を出したのか
春麗がどう待っていたのか
春麗がなぜ自分から来たのか

を考えています。

これは、春麗の行動そのものを見ているということです。

本編春麗にはかなり刺さります。


ANSWER EVENT 3:春麗の青の先へ

最大火力です。

リュウは言います。

春麗が来たから、俺も行きたいと思った。

春麗は聞いてしまいます。

どこへ。

聞いてはいけない問いでした。

リュウは答えます。

春麗の青の先へ。

春麗 精神HP:12 → 3

さらに追撃。

今日の青は、覚えていた青だった。
だが、今の青だった。
俺は、その先を見たい。

春麗 精神HP:3 → 0

精神HPノックアウト。

ここで完全に落ちています。


FINAL RESULT:総合リザルト

肉体戦

春麗 HP:0
リュウ HP:0
結果:相打ち

精神戦

春麗 精神HP:0
リュウ 精神HP:100
結果:リュウ勝利

宿題進捗

正式回答:未提出
途中回答:大幅進行
回答内容:リュウ自身が春麗の青の先へ行きたいと認識

最終判定

肉体戦:DRAW
精神戦:RYU WIN
宿題進行:大幅進展
本編春麗状態:精神HPノックアウト
リュウ状態:自覚の途中段階だが、かなり踏み込んでいる

リュウ側のネタバレ解説

今回のリュウは、かなり重要な状態に入っています。

表向きには、まだ正式回答を出していません。

しかし内面では、

春麗に宿題を出されたから考えている

段階を超えています。

今回のリュウは、

春麗を知りたいから考えている
春麗が自分から来た意味を考えたい
春麗の青の先を見たい

という状態です。

これは、正式回答のかなり手前に見えて、実はかなり深い場所です。

まだ言葉として整理しきれていない。

だから「全部は、まだ言えない」と言っている。

でも、方向性はかなり見えています。

リュウはもう、春麗の青をただ受け止めているだけではありません。

リュウ自身が、春麗の青の先へ行こうとしています。

ここが今回の最大のネタバレです。


春麗側のネタバレ解説

春麗は、前回までに話題候補を整理していました。

黒の後の青。
宿題のこと。
青を選び直したこと。
用事がなくても会いに行ったこと。
聞かれた青のこと。

話すことはありました。

しかし今回、リュウの途中回答が強すぎて、春麗はそれらを出せませんでした。

これは失敗ではありません。

むしろ自然です。

春麗は試合で相打ちになり、肉体HPが0に近い状態でした。

そのうえで、リュウから、

俺が、考えたかった
春麗の青の先へ
俺は、その先を見たい

を受けています。

この状態で、自分の話題候補を冷静に出せるわけがありません。

だから今回は、

話す回ではなく、受け取る回

です。

話すことは残っています。

むしろ、次回以降に残りました。


簡易バトルログ

春麗、青武道服で試合へ。
本編春麗の青として「覚えているなら、止めてみなさい」を使用。
リュウ、「覚えている。だから止める」と返す。
春麗、青で煽りながら主導権を取りに行く。
リュウ、覚えた青と今の青の両方を見始める。
春麗、「覚えた青だけ見ていると、今の私を見落とすわよ」と仕掛ける。
リュウ、「今の春麗を見ている。だが、覚えた青も消えていない」と返す。
終盤、互いに最後の一手を出し切る。
HPは双方0。
試合結果は相打ち。
試合後、リュウが宿題途中回答。
「俺が、考えたかった」
「春麗の青の先へ」
「俺は、その先を見たい」
春麗、精神HP0。
総合結果:肉体戦は相打ち、精神戦はリュウ勝利。


今回の到達点

今回の到達点は、

相打ちの青
宿題途中回答
春麗の青の先へ

この三つです。

春麗は勝てませんでした。

リュウも勝てませんでした。

試合は相打ちです。

しかし、宿題は大きく進みました。

そしてリュウは、春麗の青の先を見たいと言いました。

つまり、今回の本当の進展は、

春麗がリュウに届いたことではなく、リュウが春麗の青の先へ行きたいと言ったこと

です。

これは、正式回答前としてはかなり大きな一歩です。


結論

今回のバトルは、表面上は相打ちです。

でも、物語上はかなり進んでいます。

本編春麗は、自分の青でリュウと相打ちになった。

リュウは、春麗の青を過去の記憶としてではなく、今も進んでいるものとして見た。

そして、宿題の途中回答として、

春麗の青の先へ行きたい

と言った。

肉体戦は引き分け。

精神戦はリュウ勝利。

宿題進行は大幅前進。
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