また戦ってくれなんて言わないで ――春麗は今日もめんどくさい―― 作:エーアイ
自分をめんどくさい女と自覚する前の春麗のエピソードになります。
朝の光の中で、自覚前春麗は青い武道服を広げた。
黒ドレスは、いつもの場所にある。
勝った黒。
HP9で立っていた黒。
遅れたわね。
今の私に。
そう言えた黒。
危なかった黒。
黒酔いルートフラグを折られた黒。
そして、今は選ばない黒。
春麗は、黒ドレスを一度だけ見た。
「今日は、あなたではないわ」
昨日も言った。
今朝も言う。
黒を否定するためではない。
黒の勝利を消すためではない。
黒が怖くなったから逃げるわけでもない。
今日は、条件を変える。
黒を連続使用しない。
対照実験。
次を急がないための青。
春麗は、青い袖に腕を通した。
布の感触が、黒とはまるで違う。
軽い。
見える。
隠れない。
そのことが、少しだけ落ち着かない。
黒は、見せるために隠す。
青は、隠さないことで見せる。
そこが違う。
春麗は帯を締める。
鏡の前に立つ。
そこに映るのは、黒ドレスの春麗ではない。
本編春麗でもない。
自覚前春麗。
黒で勝ったログを持ったまま、青を着ている春麗。
資料として。
対照実験として。
言い訳は整っている。
整いすぎている。
春麗は、鏡の中の自分に言った。
「今日は、青で行く」
一拍。
「黒を捨てたわけではない」
さらに一拍。
「黒を着ない条件で、リュウが何を見るのかを確認するだけ」
言ってから、少しだけ顔が熱くなる。
なぜ、リュウが何を見るのかを確認する必要があるのか。
そこを考えると、かなり危険だった。
春麗は、青い袖を払った。
「……資料として」
最後にそう付けると、いつもの自分に戻れた気がした。
完全には戻っていない。
たぶん、もう戻らない。
それでも、進める。
黒はそこにある。
青は今、身にまとっている。
次の試合は、青で行く。
自覚前春麗は、部屋を出た。
リュウは、約束の場所にいた。
いつものように。
拳を軽く握って。
ただ、春麗を待っていた。
春麗が近づくと、リュウは顔を上げた。
その視線が、春麗を見る。
青を見る。
そして、少しだけ止まる。
自覚前春麗は、その一瞬を見逃さなかった。
「何?」
先に言う。
「今日は青なんだな」
「ええ」
「黒ではない」
「見ればわかるでしょう」
「ああ」
リュウは、もう一度春麗を見た。
青。
袖。
足元。
構え。
そして、春麗自身。
その順番が、妙に危険だった。
春麗は、先に防御線を張る。
「黒を捨てたわけではないわ」
「ああ」
「黒で勝ったことも消えていない」
「ああ」
「今日は、条件を変えただけ」
「条件?」
「対照実験よ」
リュウは少し考えた。
「実験なのか」
「そうよ」
「俺と試合することが?」
「言い方」
「違うのか」
「違わないけれど、そういう言い方をしないで」
リュウは静かに頷いた。
「わかった」
「わかっていない顔ね」
「難しいな」
「あなたが難しくしているのよ」
少しだけ、いつもの調子になる。
春麗は息を整えた。
今日は青。
黒で勝った後の青。
黒ではない。
でも、黒が消えたわけではない。
リュウは、それをどう見るのか。
春麗は、心の中で言い直す。
いや、見るかどうかを確認するだけ。
それ以上ではない。
自分が見られたいわけではない。
資料として。
資料として。
リュウが構える。
春麗も構えた。
青い袖が風に揺れる。
黒い裾はない。
隠すものもない。
リュウは言った。
「今日の春麗も、強そうだ」
試合前から精神HPが削れた。
「……試合前に言わないで」
「すまない」
「謝るところではないわ」
春麗は一歩前へ出た。
「今日は青よ」
「ああ」
「黒の残響を探していたら、遅れるわ」
言ってから、自分で少し驚いた。
言った。
青なのに。
黒を持ち込んだ。
リュウの目が、静かに変わる。
「探さない」
「本当に?」
「だが、消えてはいない」
精神HPが削れた。
春麗は、青い袖を握りそうになった。
握らない。
「……リュウ」
「ああ」
「そういうことを言うから、試合前に精神HPが減るのよ」
「減るのか」
「減るわ」
「そうか」
「そうか、じゃない」
春麗は構えを深くする。
「なら、確認しなさい」
一拍。
「今日の私は、青よ」
リュウが頷く。
「ああ」
試合が始まった。
先に動いたのは春麗だった。
青は、黒より速い。
黒のように、見せて、残して、遅らせるのではない。
青は、出る。
隠さない。
正面から行く。
春麗は踏み込んだ。
リュウの拳が動く。
速い。
黒を見ていた時とは違う。
迷いが少ない。
見える青に対して、正面から返してくる拳。
春麗はその拳を見ながら、半歩外へ抜ける。
蹴り。
リュウの防御に当たる。
浅い。
拳が返る。
肩に入る。
重い。
「っ……!」
青い袖が揺れる。
春麗は後退しそうになる。
だが、止まる。
黒なら、ここで裾を揺らした。
視線をずらした。
半拍を作った。
だが、今日は青。
青で戻す。
足で戻す。
呼吸で戻す。
掌底。
リュウの胸に入る。
リュウが一歩下がる。
効いた。
ただし、浅い。
自覚前春麗は思う。
青は、思ったよりごまかしが効かない。
黒なら作れた間が、青では身体に返ってくる。
だが、それでいい。
今日は、その確認だ。
リュウが踏み込む。
春麗は受ける。
腕が痺れる。
蹴りを返す。
リュウは受ける。
互いに、近い。
黒ドレス戦より近い。
隠すものがない分、距離が直に来る。
春麗は歯を食いしばった。
「青だと、遠慮がないのね」
リュウは答える。
「見えるからな」
精神HPが削れる。
「見えるからって、そんなにまっすぐ来ないで」
「春麗がまっすぐ来た」
「そうだけど!」
リュウは拳を構え直す。
「黒の時より、逃げ道が少ない」
春麗は息を止めた。
「……何が?」
「今日の春麗は」
やめて。
試合中。
まだ序盤。
やめて。
「青だから、前に出るしかないように見える」
精神HPがまた削れた。
春麗は目を細める。
「見えるなら」
一拍。
「止めてみなさい」
言ってしまった。
本編春麗の青のような煽り。
でも、少し違う。
覚えているなら、ではない。
自分は本編春麗ではない。
今日の自分は、青だから前に出るしかないように見えると言われた春麗。
なら、止めてみなさい。
リュウは頷く。
「ああ」
拳が来た。
中盤。
リュウは、青に慣れてきた。
黒の時とは違う。
青の春麗に対して、リュウは正面から距離を詰める。
春麗は、それをさばく。
さばききれない。
肩。
腕。
脇腹。
少しずつ削られる。
だが、春麗も返している。
蹴り。
掌底。
足払い。
青は、黒のように遅らせない。
その分、当たった時に速い。
リュウの防御が少しずつ重くなる。
春麗は呼吸を整える。
勝てる。
そう思った瞬間、リュウの拳が変わった。
深い。
黒の時の拳ではない。
青に合わせた拳。
春麗は受けた。
腕が跳ねる。
足が揺れる。
リュウが踏み込む。
次の拳。
春麗は避ける。
避けながら、ほんの一瞬だけ黒を思い出した。
黒なら、ここで残せる。
黒なら、ここで遅らせる。
黒なら。
違う。
今日は青。
春麗は、その思考を切った。
だが、切った瞬間、青の動きが一拍だけ変わった。
足の置き方。
身体の残し方。
視線の外し方。
ほんの少しだけ。
黒の癖が、青の中に出た。
リュウの目が、それを見た。
春麗は、心臓が跳ねるのを感じた。
見られた。
今、見られた。
リュウの拳が一瞬止まる。
だが、止まりきらない。
そのまま来る。
拳が、春麗の肩に深く入る。
痛み。
視界が揺れる。
「今の」
リュウが言った。
春麗は、即座に遮る。
「言わなくていい」
「黒だった」
「言わなくていいと言ったでしょう!」
精神HPが大きく削れる。
リュウは、しかし構えを解かない。
「青の中にあった」
さらに削れる。
春麗は一歩下がる。
身体が痛い。
心の方が痛い。
「……あなた」
一拍。
「本当に見すぎよ」
「ああ」
「認めないで」
「見えた」
「見えなくていいのよ!」
リュウは、静かに言う。
「だが、悪いものには見えなかった」
春麗の動きが止まりかける。
危険。
これは危険。
試合中なのに、かなり危険。
リュウは続ける。
「黒が混じったのではなく」
一拍。
「春麗の青が、黒を覚えていた」
精神HPが危険域に入った。
春麗は、顔が熱くなるのを感じた。
「……試合中」
「ああ」
「試合中に、そういうことを言うのをやめなさい」
「難しい」
「難しくないわ!」
だが、春麗の身体はまだ動く。
精神HPは削れている。
それでも、前に出る。
青の中に黒がある。
見られた。
なら、見られたまま戦うしかない。
春麗は踏み込んだ。
「見えたなら」
一拍。
「対応しなさい」
リュウが構える。
「ああ」
春麗は、青で入る。
その中に、ほんの少しだけ黒の残し方がある。
自分でもわかる。
意図して出したわけではない。
だが、消えていない。
黒で勝った自分は、青の中にもいる。
それをリュウが見た。
腹立たしい。
恥ずかしい。
危険。
でも、少しだけ。
嬉しい。
「……違う」
自分で否定する。
蹴りが飛ぶ。
リュウが受ける。
重い。
だが、リュウも下がる。
春麗は追う。
青い袖が揺れる。
黒い裾はない。
それでも、青の中に黒が残る。
春麗は、それを振り切るのではなく、抱えたまま踏み込んだ。
終盤。
互いに削れていた。
春麗の肩は痛い。
脇腹も重い。
腕も痺れている。
リュウも無傷ではない。
胸。
肩。
足。
春麗の青は、確かに届いている。
だが、リュウの拳はまだ生きていた。
春麗は息を整える。
ここから。
ここからが勝負。
黒なら、ここで言葉を置いた。
遅れたわね。
今の私に。
でも今日は青。
同じ言葉は使えない。
使うべきではない。
春麗は、青い袖を軽く払う。
そして言った。
「黒を見た気になっていると」
一拍。
「青に遅れるわよ」
言えた。
自分でも、少し驚く。
リュウの目が鋭くなる。
効いた。
だが、リュウは下がらなかった。
「見ている」
短く言う。
「黒も」
精神HPが削れる。
「青も」
さらに削れる。
「今の春麗も」
かなり削れる。
「リュウ!」
「ああ」
「だから、試合中!」
「すまない」
「謝るな!」
リュウの拳が来る。
速い。
春麗は外す。
外しきれない。
肩にかすめる。
痛い。
だが、そこから回る。
蹴り。
リュウの脇に入る。
深い。
リュウの体が揺れる。
春麗は押す。
勝てる。
今なら。
青で。
黒を持ったままの青で。
春麗は、最後の踏み込みへ入る。
リュウの拳が、真正面から来る。
見えている。
春麗は、青で避けようとする。
しかし、身体が一瞬だけ黒の間を作った。
深くはない。
浅い。
けれど、そこに黒があった。
リュウの拳が、その一拍を待たなかった。
待たずに、越えてきた。
春麗は目を見開く。
間に合わない。
拳が腹に入る。
重い。
息が止まる。
足が崩れる。
それでも、春麗は蹴りを返した。
リュウの肩に入る。
リュウも崩れる。
だが、リュウは一歩残った。
春麗は膝をつく。
青い袖が地面に触れる。
黒い裾はない。
隠れるものはない。
春麗は、荒い息の中で笑いそうになった。
負けた。
青で。
黒を持ったままの青で。
でも、完全に届かなかったわけではない。
リュウも肩を押さえている。
立っているが、余裕はない。
辛勝。
リュウの辛勝。
春麗は、顔を上げる。
「……私の負けね」
リュウは、少し息を整えてから頷いた。
「ああ」
「辛勝でしょう」
「ああ」
「そこは否定しないのね」
「できない」
春麗は、少しだけ笑った。
「なら、資料としては十分ね」
言ってから、自分で思う。
負けたのに。
なぜ、少し満足しているのか。
青で戦えた。
黒を捨てずに。
黒に戻らずに。
青でリュウに届きかけた。
それは、悔しい。
かなり悔しい。
でも。
悪くなかった。
その時だった。
リュウが言った。
「今日の春麗は、青だった」
「ええ」
「だが、一昨日の黒も消えていなかった」
精神HPが削れる。
「……リュウ」
「ああ」
「勝者の追撃は控えなさい」
「追撃ではない」
「追撃よ」
リュウは、春麗を見る。
真っ直ぐに。
「青の中に、黒を見た」
精神HPがさらに削れる。
「でも、黒が青を邪魔していたわけじゃない」
削れる。
「黒で勝った春麗が、青で戦っていた」
大きく削れる。
春麗は、膝をついたまま動けなかった。
リュウの言葉が、試合後の空気に落ちる。
「今日の青は、黒を捨てた青ではなかった」
春麗は、呼吸を止めた。
「黒に戻りたい青でもなかった」
やめて。
それ以上は。
「黒で勝った春麗が、今は青で来た」
精神HPが危険域に入る。
「だから、強かった」
春麗は顔を伏せた。
無理。
これは無理。
リュウは、まだ続ける。
「俺は、黒を着ている春麗も見た」
一拍。
「黒を着ていない春麗も見た」
一拍。
「今日、青で戦う春麗も見た」
春麗は、完全に動けない。
「どれも、別の春麗ではなかった」
精神HPが、ほぼ尽きる。
リュウは言った。
「全部、春麗だった」
精神HPがゼロになった。
勝敗は、リュウの辛勝。
精神戦も、リュウの圧勝。
春麗は、青い袖で顔を隠した。
「……あなた」
「ああ」
「本当に」
一拍。
「負けた相手に、そんなことを言うものではないわ」
「負けた相手ではない」
「私は負けたわ」
「ああ」
「なのに?」
「春麗は、強かった」
追撃。
完全な追撃。
「今日の青も、強かった」
過剰ダメージ。
「その中にある黒も、強かった」
精神HPオーバーキル。
春麗は、内側で完全に倒れた。
これは、負けた悔しさではない。
負けたのに、見られた。
青も。
黒も。
今日の自分も。
全部、別物ではないと見られた。
それが、防御不能だった。
「……今日は」
春麗は、どうにか言った。
「ここまで」
「ああ」
「試合は、あなたの勝ち」
「ああ」
「精神戦も」
一拍。
「あなたの勝ち」
リュウは少しだけ首を傾げる。
「精神戦?」
「説明しない」
「そうか」
「説明したら、さらに負けるから」
「そうか」
「納得しないで」
春麗は、立ち上がろうとした。
膝が笑う。
リュウが一歩動く気配がした。
「来ないで」
即座に言う。
リュウは止まる。
「わかった」
「追撃禁止」
「ああ」
「今日の発言は、資料として持ち帰るけれど」
一拍。
「正式承認はしない」
「何を」
「全部よ!」
春麗は、どうにか立ち上がった。
青い袖が乱れている。
肩も痛い。
腹も重い。
負けた。
でも、戦えた。
それが悔しくて。
それ以上に、リュウの言葉が効いていた。
春麗は背を向ける。
リュウの声が、最後に届く。
「春麗」
止まってはいけない。
止まったら終わる。
でも、足が止まった。
「次も」
リュウは言った。
「その時の春麗を見る」
自覚前春麗は、振り返らなかった。
振り返ったら本当に終わる。
「……勝手にしなさい」
それだけ返して、歩き出した。
声は、たぶん赤かった。
帰り道。
青い袖が揺れている。
試合の痛みが身体に残っている。
負けた。
リュウの辛勝。
HPで言えば、おそらく紙一重。
でも、負けは負け。
資料としては、十分すぎる。
青で戦えた。
黒を持ったまま青で戦えた。
リュウは青の中に黒を見た。
黒が青を邪魔していたわけではない、と言った。
黒で勝った春麗が青で戦っていた、と言った。
全部、春麗だった、と言った。
春麗は、道の途中で立ち止まった。
顔を覆う。
「……無理」
一拍。
「今日は、本当に無理」
春麗会議室に持ち帰るには、重すぎる。
でも、持ち帰るしかない。
当日会議は開くだろう。
ただし、詳細バトルログレビューは次回だ。
当日ログはまだ正式反映されない。
今日は暫定処理。
勝敗。
精神HP。
青の中の黒。
その程度で済ませたい。
済むとは思えない。
春麗は、青い袖を見た。
汚れている。
乱れている。
黒ではない。
でも、黒が消えていない青。
春麗は、小さく言った。
「……対照実験としては」
一拍。
「かなり有効だったわ」
言い訳はまだ生きている。
ただ、かなり弱くなっていた。
夜。
春麗は青い武道服を整えた。
洗う。
汚れを落とす。
今日の負けは、落ちない。
リュウの言葉も、落ちない。
青の中に見られた黒も、落ちない。
ただ、布を整える。
手元に戻せる形にする。
春麗は、青を干した。
黒ドレスは、いつもの場所にある。
青は、濡れたまま揺れている。
どちらも、そこにある。
春麗は、その二つを見た。
「黒でも青でもいい」
一拍。
「どうでもいい、ではない」
リュウの言葉を思い出す。
その時の春麗を見る。
今日は、その意味をまた見せられた。
春麗は、椅子に座った。
身体が重い。
精神HPはほとんどない。
眠気が来る。
いや、眠気というより、意識が沈んでいく。
春麗会議室が近い。
自覚前春麗は、抵抗しようとして、やめた。
「……当日会議だけよ」
誰に向かって言ったのか、自分でもわからない。
「詳細レビューは、次回」
そして、目を閉じた。
夢の底。
青い光と黒い影が、静かに揺れている。
円卓がある。
椅子がある。
記録板AIの白い文字が浮かぶ。
春麗会議室。
ただし、今日は最初から文字が大きい。
『当日会議』
『詳細バトルログレビュー:当日バトルログは解析中のため、次回へ延期』
『本日は暫定処理およびルートフラグ判定のみ実施します』
自覚前春麗は、円卓の席に座っていた。
青い武道服姿ではない。
夢の中の姿は、少し曖昧だった。
ただ、青い袖の感覚だけが残っている。
そして、黒の気配も残っている。
記録板AIが続ける。
『本日の会議を開始します』
『対象:自覚前春麗』
『議題:青武道服対照実験・当日暫定処理』
『本日の参加者』
『自覚前春麗:当事者』
『本編春麗:青ルート比較担当』
『通常救済版春麗:安定化担当』
『行き遅れに恐怖する春麗:位置取り整理担当』
『黒ドレス特化救済春麗:特別参加/青の中の黒確認担当』
『記録板AI:暫定処理・フラグ判定担当』
『グランドフィナーレ春麗:本日は不参加』
『黒執着春麗:観測対象外/不参加』
本編春麗が、まず言った。
「負けたのね」
自覚前春麗は、机に片肘をついた。
「負けたわ」
『試合結果:リュウ辛勝』
「辛勝よ」
『肯定します』
通常救済版春麗が、柔らかく言う。
「でも、青で行けたのね」
「行けたわ」
「黒を捨てずに」
「捨てていないわ」
「黒に戻らずに」
「戻ってもいないわ」
黒ドレス特化救済春麗が、静かに頷いた。
「そこが重要ね」
自覚前春麗は目を逸らす。
「重要なのは、リュウに負けたことでは?」
本編春麗が首を横に振る。
「もちろん負けは負け。でも今回の議題はそれだけではないでしょう」
『暫定処理項目を表示します』
『一、自覚前春麗、青武道服でリュウと試合』
『二、試合結果:リュウ辛勝』
『三、自覚前春麗、青武道服にて黒ドレス勝利ログを保持したまま戦闘』
『四、リュウ、青の中に黒の要素を観測』
『五、黒は青を阻害するものではなく、青の中に残る経験として処理』
『六、リュウ発言により自覚前春麗、精神HPノックアウト』
『七、詳細バトルログレビューは次回実施』
自覚前春麗は、五番を見た。
「……青を阻害するものではなく」
黒ドレス特化救済春麗が言う。
「そこは重要よ」
「黒が青を邪魔していない?」
「ええ」
「青の中に残る経験?」
「ええ」
自覚前春麗は、少し黙った。
それは、嫌ではなかった。
嫌ではないから、余計に困る。
『リュウ発言ログ・暫定抜粋を表示します』
『一:“青の中に、黒を見た”』
『二:“黒が青を邪魔していたわけじゃない”』
『三:“黒で勝った春麗が、青で戦っていた”』
『四:“今日の青は、黒を捨てた青ではなかった”』
『五:“黒に戻りたい青でもなかった”』
『六:“黒で勝った春麗が、今は青で来た”』
『七:“だから、強かった”』
『八:“どれも、別の春麗ではなかった”』
『九:“全部、春麗だった”』
自覚前春麗は、机に突っ伏した。
「表示しないで……」
本編春麗が、遠い目をした。
「これは無理ね」
「あなたの持ちネタになっていない?」
「無理なものは無理よ」
通常救済版春麗が、穏やかに言う。
「でも、かなり良い言葉ね」
「良いかどうかで言えば、良いから困るのよ」
行き遅れ春麗が小さく言う。
「黒を捨てたわけでも、黒へ戻ったわけでもない。今日は青で来た」
自覚前春麗は、突っ伏したまま言う。
「それを本人に言うのは危険なのよ」
黒ドレス特化救済春麗が静かに続ける。
「でも、青の中に黒が残っていたことは、悪いことではないと確認された」
「……」
「黒を使った経験が、青を壊さなかった」
自覚前春麗は、少しだけ顔を上げた。
「……そこは、資料として重要ね」
『発言信頼度:高』
「そこは採点しなくていい」
記録板AIが赤い表示を出す。
『精神HP判定』
『戦闘終了時点:残精神HP 32』
『リュウ発言“一、青の中に、黒を見た”:-7』
『“黒が青を邪魔していたわけじゃない”:-8』
『“黒で勝った春麗が、青で戦っていた”:-10』
『“今日の青は、黒を捨てた青ではなかった”:-12』
『“黒に戻りたい青でもなかった”:-10』
『“黒で勝った春麗が、今は青で来た”:-15』
『“だから、強かった”:-20』
『“全部、春麗だった”:追加過剰ダメージ』
『結果:自覚前春麗、精神HPノックアウト』
自覚前春麗は再び突っ伏した。
「負けたうえに、何なのよこれは」
本編春麗が頷く。
「リュウの勝ちね」
「試合も?」
「試合も」
「精神戦も?」
「精神戦も」
「最悪ね」
『ただし、試合はリュウ辛勝』
自覚前春麗は、記録板を睨む。
「そこは強調して」
『リュウ辛勝』
「もっと」
『リュウ、辛勝』
「よし」
通常救済版春麗が微笑む。
「負けたけれど、届いていたのね」
「……届いてはいたわ」
『発言信頼度:高』
黒ドレス特化救済春麗が言う。
「青で届いた。黒の経験を持ったまま」
行き遅れ春麗が言う。
「次を急がないための青は、ちゃんと次へ進む青にもなった」
自覚前春麗は、少しだけ黙った。
そう言われると、反論しづらい。
次を急がないための青。
でも、次へ進むための青。
青で負けた。
でも、黒が消えなかった。
黒が青を壊さなかった。
そして、リュウは全部春麗だと言った。
危険。
かなり危険。
でも、悪くない。
『ルートフラグ暫定判定』
『黒ドレス勝利ログ:有効継続』
『黒酔いフラグ:折損継続』
『青武道服対照実験:有効』
『青の中の黒:確認』
『黒による青阻害:不成立』
『青による黒否定:不成立』
『自覚前春麗・青試合ログ:暫定保存』
『詳細レビュー:次回』
自覚前春麗は、その表示を見た。
「青による黒否定、不成立」
『はい』
「黒による青阻害、不成立」
『はい』
「……つまり」
本編春麗が言う。
「両方、残ったのね」
通常救済版春麗が続ける。
「どちらかを消す必要はなかった」
黒ドレス特化救済春麗が言う。
「黒は青の中に経験として残り、青は黒を否定せず成立した」
行き遅れ春麗が、静かに言う。
「今日は、負けても進んだ日」
自覚前春麗は、少しだけ目を伏せた。
「……負けても進んだ日」
『新規分類候補:負けても進んだ青』
「また増やす」
『未承認仮分類として保持します』
「保持しないで」
本編春麗が笑いをこらえる。
「良い分類だと思うわ」
「あなたに言われると、青を取られた気がするのだけど」
「取っていないわ。あなたの青でしょう」
自覚前春麗は、少しだけ黙った。
「……私の青」
『発言記録』
「今のは記録しないで」
『重要です』
「重要だけど!」
会議室に、少しだけ笑いが戻った。
それでも、自覚前春麗の精神HPはゼロのままだ。
回復は、明日以降。
記録板AIが最後の総括を表示する。
『本日の暫定結論』
『一、自覚前春麗は青武道服でリュウと試合を行いました』
『二、試合結果はリュウ辛勝です』
『三、自覚前春麗は敗北しましたが、青武道服でリュウに有効打を与えています』
『四、黒ドレス勝利ログは消えていません』
『五、青武道服は黒否定ではなく、対照実験として有効でした』
『六、リュウは青の中に黒を観測しました』
『七、ただし、その黒は青を邪魔するものではなく、春麗の経験として処理されました』
『八、リュウ発言により、自覚前春麗は精神HPノックアウト』
『九、青による黒否定:不成立』
『十、黒による青阻害:不成立』
『十一、詳細バトルログレビューは次回』
自覚前春麗は、十一番まで読んで、長く息を吐いた。
「……保存して」
『保存しました』
本編春麗が言う。
「次回、詳細レビューね」
「やめて」
「やるでしょう」
「やるけど」
通常救済版春麗が微笑む。
「今日は休みましょう」
黒ドレス特化救済春麗が言う。
「黒も青も消えない。それだけで、今日は十分よ」
行き遅れ春麗が続ける。
「負けた日でも、残るものはある」
自覚前春麗は、机に突っ伏したまま、小さく言った。
「……資料として、覚えておくわ」
『発言信頼度:高』
その表示を最後に、会議室の輪郭がほどけていく。
青い光と黒い影が、少しずつ薄れていく。
夢が終わる。
朝。
自覚前春麗は目を覚ました。
しばらく、天井を見ていた。
身体が痛い。
肩も、腹も、腕も重い。
負けた。
昨日、リュウに負けた。
辛勝とはいえ、リュウの勝ち。
その事実は消えない。
でも。
青で戦えた。
黒を捨てずに。
黒へ戻らずに。
青で戦えた。
リュウは、青の中に黒を見た。
黒が青を邪魔していたわけじゃないと言った。
全部、春麗だったと言った。
春麗は、布団の中で顔を覆った。
「……朝から思い出すものではないわ」
声は小さい。
かなり小さい。
でも、昨日の夜より少しだけ落ち着いていた。
春麗は、ゆっくり起き上がる。
部屋の中には、黒ドレスがある。
昨日洗った青い武道服も、まだ完全には乾いていない。
黒と青。
どちらも、そこにある。
昨日の負けも、そこにある。
黒の勝利も、そこにある。
春麗は、青い武道服を見た。
「……負けたわね」
一拍。
「でも、有効だった」
言い訳のように聞こえる。
でも、今回は少し違う。
たぶん、本当に有効だった。
青は黒を消さなかった。
黒は青を壊さなかった。
リュウは、その両方を見た。
春麗は、黒ドレスにも目を向ける。
「あなたも消えていない」
それから、青を見る。
「あなたも、使えないわけではない」
一拍。
「……負けたけど」
悔しい。
そこは悔しい。
かなり悔しい。
でも、次すぐに証明し直したい、とは少し違う。
まずは、レビュー。
詳細バトルログレビュー。
また会議室で晒される。
精神HPがまた削れる。
でも、必要だ。
春麗は、鏡の前に立った。
そこに映るのは、まだ自覚前春麗。
資料として、と言い張る春麗。
黒で勝った春麗。
青で負けた春麗。
それでも、黒も青も消さずに持っている春麗。
「……次回レビュー」
一拍。
「受けて立つわ」
そう言ってから、すぐに顔をしかめる。
「資料として」
最後に付け足す。
いつもの言い訳。
でも、今日は少しだけ穏やかだった。
朝の光が、部屋に差し込む。
青い武道服の袖が、わずかに揺れる。
黒ドレスは、静かにそこにある。
自覚前春麗は、その二つを見て、小さく息を吐いた。
「今日は、回復」
一拍。
「詳細レビューは、夜でいいわ」
そう言って、彼女は新しい朝を始めた。
Q:今回の妄想章IFについて解説して?
A:
はい。今回の 「自覚前春麗は、青の中に残った黒を見られる」 は、自覚前春麗ルートの中でもかなり重要な 青敗北回 です。
一言で言うなら、
自覚前春麗が黒で勝ったログを持ったまま青武道服でリュウに挑み、試合にはリュウが辛勝する。しかしリュウは、青の中に消えていない黒を見抜き、自覚前春麗を褒め殺しで精神HPノックアウトする回
です。
執筆者としての解説
今回の核は、勝敗そのものよりも、
青を着たことで黒が消えたわけではない。
黒を使わなかったことで黒を否定したわけでもない。
黒で勝った春麗が、青で戦った。
ここです。
前回までの自覚前春麗は、黒ドレスでHP9のギリギリ勝利をしていました。
その後、黒酔いルートフラグは折られましたが、黒の勝利ログは消えていません。
だから今回の青は、ただの青ではありません。
黒で勝った後の青
黒を連続使用しないための青
黒否定ではなく対照実験としての青
黒を持ったまま、黒を着ない青
です。
ここが本編春麗の青とも、黒執着春麗の青とも違います。
今回は「青で勝つ回」ではなく「青で負けても成立する回」
今回、試合結果はリュウの辛勝です。
これはかなり良い選択です。
もしここで自覚前春麗が青でも勝ってしまうと、
黒でも勝つ。
青でも勝つ。
なら自覚前春麗が急に万能化していないか?
という印象になりやすいです。
でも今回は負けています。
ただし、惨敗ではありません。
リュウの辛勝。
つまり、自覚前春麗の青は有効だった。
リュウをかなり追い詰めた。
でも最後の一手で届かなかった。
ここが大事です。
今回の青は、勝利ログではなく、有効ログです。
黒ドレスは勝利ログ。
青武道服は有効敗北ログ。
この差が綺麗です。
「青の中に黒がある」が今回の最大テーマ
今回、リュウは試合中に青の中の黒を見ます。
ここが非常に重要です。
自覚前春麗は黒を着ていない。
黒ドレスの戦術を使っているわけでもない。
でも、黒で勝った経験は身体から消えていない。
だから青の動きの中に、
足の置き方
身体の残し方
視線の外し方
ほんの一拍の黒の間
が出る。
これは、自覚前春麗が黒を否定できていないという意味ではありません。
むしろ逆です。
黒が経験として身体に残っている。
その経験が青の中にも出ている。
でも、青を壊してはいない。
ここが今回の到達点です。
リュウの見方が防御不能
今回のリュウの褒め殺しは、かなり強いです。
特に、
青の中に、黒を見た。
でも、黒が青を邪魔していたわけじゃない。
黒で勝った春麗が、青で戦っていた。
今日の青は、黒を捨てた青ではなかった。
黒に戻りたい青でもなかった。
全部、春麗だった。
この流れです。
これは、自覚前春麗が一番欲しかったけれど、一番言われたくなかった整理です。
彼女は「資料として」「対照実験として」と言い張っていました。
でもリュウは、そんな言い訳を通り越して、
黒の春麗も、青の春麗も、今日の春麗も、全部切断せずに見ている
と言ってしまう。
これが精神HPノックアウトの理由です。
「全部、春麗だった」が決定打
今回の最大火力は、
全部、春麗だった
です。
これは本当に強いです。
自覚前春麗は、自分を本編春麗とも黒執着春麗とも分けています。
それは正しい。
でも同時に、自分自身の中でも、
黒ドレスの私
黒を着ていない私
青武道服の私
資料として見ている私
を分けて防御しています。
リュウはそこを全部まとめて、
別の春麗ではなかった。全部、春麗だった。
と言う。
これは逃げ場がありません。
黒を着ている時だけではない。
青を着ている時だけでもない。
黒を着ていない日常だけでもない。
全部、今ここにいる春麗として見られている。
だから精神HPが落ちます。
春麗会議を当日接続にした意味
今回は春麗会議に当日接続していますが、詳細レビューは次回に回しています。
これはかなり良い構造です。
なぜなら、当日はまだ感情が生々しいからです。
試合の細かいHP推移やターン分析までやると、整理しすぎて余韻が消えます。
だから今回は、
試合結果:リュウ辛勝
青の中の黒:確認
黒による青阻害:不成立
青による黒否定:不成立
精神HPノックアウト
詳細レビューは次回
この暫定処理で止めたのが正解です。
当日は感情処理。
翌日以降に詳細レビュー。
これは春麗会議室の運用としても自然です。
今回の新しい分類
今回の会議で出てきた重要な分類は、
負けても進んだ青
です。
これはかなり良いです。
自覚前春麗は負けました。
でも、負けたことで後退したわけではありません。
青で戦えた。
黒を捨てずに青で立てた。
リュウに青の中の黒を見られた。
黒が青を壊していないと確認された。
だから、負けても進んでいます。
この分類は、自覚前春麗の青ルートにかなり合います。
RPG形式バトルログ解説
BATTLE START
キャラ HP 精神HP 状態
自覚前春麗 100 86 青武道服/黒ドレス勝利ログ保持/対照実験の青
リュウ 100 90 通常戦闘態勢/黒と青の両方を見ている状態
今回の自覚前春麗は青武道服です。
ただし、これは本編春麗の青ではありません。
黒で勝った後の青です。
黒ドレス勝利ログを持ったまま、黒を着ない条件でリュウと戦います。
PRE-BATTLE EVENT:対照実験宣言
春麗は試合前に防御線を張ります。
黒を捨てたわけではない。
黒で勝ったことも消えていない。
今日は、条件を変えただけ。
対照実験よ。
キャラ HP 精神HP 変動
自覚前春麗 100 86 → 84 言い訳で防御するが、リュウに見られて削れる
リュウ 100 90 春麗の状態を観測
リュウは試合前から、
今日の春麗も、強そうだ
と言います。
これで春麗の精神HPが削れます。
TURN 1:青の正面突入
春麗は青で踏み込みます。
黒のように遅らせず、正面から出ます。
キャラ HP 精神HP 変動
自覚前春麗 100 → 86 84 → 80 肩に被弾。青の距離感に戸惑う
リュウ 100 → 90 90 → 88 掌底を受ける
ここで春麗は気づきます。
青は、黒よりごまかしが効かない。
黒なら作れる間が、青では身体に返ってくる。
これが青の難しさです。
TURN 2:青だから前に出るしかない
リュウは春麗を見て言います。
今日の春麗は、青だから、前に出るしかないように見える。
これは春麗に刺さります。
キャラ HP 精神HP 変動
自覚前春麗 86 → 74 80 → 68 リュウの発言と打撃で削れる
リュウ 90 → 82 88 → 86 春麗の蹴りを受ける
春麗は返します。
見えるなら、止めてみなさい。
ここは本編春麗の青煽りに近いですが、完全に同じではありません。
本編春麗は「覚えているなら、止めてみなさい」。
自覚前春麗は「見えるなら、止めてみなさい」。
彼女はまだ「覚えられた青」ではなく、見られている青の段階です。
TURN 3:青の中に黒が出る
中盤、春麗は黒の思考を一度切ります。
しかし、身体には黒の経験が残っていました。
足の置き方。
身体の残し方。
視線の外し方。
青の中に、ほんの少し黒が出ます。
キャラ HP 精神HP 変動
自覚前春麗 74 → 56 68 → 48 肩へ深い打撃+青の中の黒を見抜かれる
リュウ 82 → 70 86 → 82 春麗の反撃を受ける
リュウ発言:
今の、黒だった。
青の中にあった。
春麗は精神HPを大きく削られます。
ここで重要なのは、リュウが黒を責めていないことです。
むしろ、
悪いものには見えなかった
と言います。
これがさらに危険です。
TURN 4:青の中の黒を抱えたまま攻める
春麗は見られた黒を消そうとはしません。
見られたまま戦います。
キャラ HP 精神HP 変動
自覚前春麗 56 → 43 48 → 42 被弾しながらも前に出る
リュウ 70 → 55 82 → 76 青と黒の混ざった攻めを受ける
ここで春麗は、
見えたなら、対応しなさい
と言います。
これはかなり良いです。
見られたことを否認するのではなく、戦術として押し返しています。
TURN 5:終盤の煽り
春麗は終盤で言います。
黒を見た気になっていると、青に遅れるわよ。
これは今回の自覚前春麗らしい煽りです。
黒を捨てていない。
でも青で来ている。
黒だけ見ていると青に遅れる。
キャラ HP 精神HP 変動
自覚前春麗 43 → 31 42 → 36 リュウの返答で精神HPを削られる
リュウ 55 → 35 76 → 70 脇へ深い蹴りを受ける
しかしリュウは返します。
見ている。黒も。青も。今の春麗も。
この返しが強すぎます。
春麗の煽りを、真正面から受け止めたうえで返しています。
FINAL TURN:リュウ辛勝
最後、春麗は青で避けようとします。
しかし身体が一瞬だけ黒の間を作ります。
リュウは、その一拍を待ちません。
待たずに越えてきます。
キャラ HP 精神HP 変動
自覚前春麗 31 → 0 36 → 32 腹部への決定打で戦闘不能
リュウ 35 → 8 70 → 62 春麗の最後の蹴りを受ける
試合結果:リュウ辛勝
項目 内容
勝者 リュウ
敗者 自覚前春麗
リュウ残HP 8
春麗残HP 0
判定 リュウ辛勝
決まり手 青の中に出た黒の一拍を、リュウが待たずに越えた拳
春麗の成果 青で有効打を与えた。黒の経験を持ったまま青で戦えた
春麗の課題 青と黒の切り替えではなく、両方が出る状態の制御
リュウは勝ちました。
ただし、残HP8。
かなりの辛勝です。
自覚前春麗の青は、十分にリュウへ届いていました。
POST BATTLE EVENT:リュウ褒め殺し
ここからが精神戦です。
戦闘終了時点の春麗精神HPは32。
そこへリュウの発言が入ります。
リュウの発言 春麗精神HP ダメージ内容
今日の春麗は、青だった 32 → 29 青で来たことを確認される
だが、一昨日の黒も消えていなかった 29 → 23 黒勝利ログを見抜かれる
青の中に、黒を見た 23 → 16 青の中の黒を正面から言われる
黒が青を邪魔していたわけじゃない 16 → 8 黒を否定されず、逃げ道が消える
黒で勝った春麗が、青で戦っていた 8 → 0 精神HPノックアウト
今日の青は、黒を捨てた青ではなかった 0 → OVERKILL 過剰ダメージ
黒に戻りたい青でもなかった OVERKILL 黒固定でも青逃避でもないと見抜かれる
どれも、別の春麗ではなかった OVERKILL 分離防御を破られる
全部、春麗だった OVERKILL 完全決定打
精神戦結果:リュウ圧勝
春麗は試合にも負けていますが、精神戦ではさらに完全敗北しています。
ただし、これは悪い敗北ではありません。
なぜなら、リュウは春麗を否定していないからです。
黒を否定していない。
青も否定していない。
負けたことも軽くしていない。
そのうえで、全部春麗だったと見ている。
これは自覚前春麗にとって、防御不能の肯定です。
当日春麗会議:暫定処理
当日会議では、詳細バトルログは扱いません。
理由は、当日ログがまだ正式反映されていないからです。
その代わり、暫定処理として以下が整理されます。
項目 暫定判定
試合結果 リュウ辛勝
自覚前春麗の青 有効
黒ドレス勝利ログ 有効継続
黒酔いフラグ 折損継続
青武道服対照実験 有効
青の中の黒 確認
黒による青阻害 不成立
青による黒否定 不成立
精神HP ノックアウト
詳細レビュー 次回
今回の会議で一番重要なのは、
青による黒否定:不成立
黒による青阻害:不成立
です。
つまり、青を着たから黒が消えたわけではない。
そして、黒の経験があったから青が壊れたわけでもない。
両方残った。
これが今回の暫定結論です。
FINAL RESULT
項目 結果
肉体戦 リュウ辛勝
精神戦 リュウ圧勝
自覚前春麗HP 0
自覚前春麗精神HP 0
リュウHP 8
リュウ精神HP 62
春麗の成果 青で有効打。黒の経験を青に残したまま戦えた
春麗の敗因 最後に青の中の黒の一拍をリュウに越えられた
新規到達点 青の中の黒
新規分類候補 負けても進んだ青
次回 詳細バトルログレビュー
今回の位置づけ
今回のエピソードは、自覚前春麗ルートにおいてかなり大事です。
黒ドレスで勝った。
青武道服で負けた。
でも、青は無効ではなかった。
黒も消えていなかった。
リュウはそれを見た。
つまり、今回で自覚前春麗は、
黒で勝てる春麗
から、
黒で勝った経験を持ったまま、青でも戦える春麗
へ進みました。
勝ってはいません。
でも進んでいます。
だから今回の一番のまとめは、
負けても進んだ青
です。
次回の詳細レビューでは、この「負け」をどう扱うかが重要になります。
負けたから黒に戻るのか。
負けたから青を捨てるのか。
それとも、青の中に黒が残ったことを有効ログとして扱うのか。
今回の当日会議では、すでに方向は見えています。
青は黒を否定しない。
黒は青を阻害しない。
両方、春麗の中に残る。
これが今回の到達点です。