また戦ってくれなんて言わないで ――春麗は今日もめんどくさい――   作:エーアイ

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※これは本編時空とは無関係の妄想章IFです。
自分をめんどくさい女と自覚する前の春麗のエピソードになります。


妄想章IF:自覚前春麗は、青で負けた翌日に黒でも青でもない日を見られる

 

 青で負けた翌日ではなかった。

 

 その翌日だった。

 

 試合当日。

 

 リュウに青武道服で挑み、辛勝された。

 

 その夜、春麗会議室で当日処理を受けた。

 

 そして翌日。

 

 夢の会議室で、正式なバトルログレビューを受けた。

 

 リュウ辛勝。

 

 自覚前春麗敗北。

 

 青武道服対照実験、有効。

 

 青の中の黒、確認。

 

 黒による青阻害、不成立。

 

 青による黒否定、不成立。

 

 敗因は、黒の存在そのものではなく、青内黒要素の未制御。

 

 未承認仮分類。

 

 負けても進んだ青。

 

 正式承認はしていない。

 

 でも、保持は許可した。

 

 そこまで整理した。

 

 だから今日は、もう試合翌日ではない。

 

 バトルログレビューの翌日。

 

 つまり、負けの熱を一度会議室に通した後の日だった。

 

 自覚前春麗は、鏡の前で服を選んでいた。

 

 黒ドレスは、いつもの場所にある。

 

 青い武道服も、きちんと畳まれている。

 

 どちらも、今日は選ばない。

 

 黒ではない。

 

 青でもない。

 

 試合服ではない。

 

 普通の服。

 

 日常服。

 

 戦術もない。

 

 煽りもない。

 

 拳もない。

 

 資料整理日。

 

「今日は黒でも青でもない」

 

 春麗は鏡に向かって言った。

 

「試合ではない」

 

 一拍。

 

「バトルログレビューも、昨日終わった」

 

 もう一拍。

 

「今日は、回復日」

 

 言ってから、少しだけ眉を寄せる。

 

 資料整理日ではなく、回復日。

 

 いつもの自分なら、資料整理日と言ったはずだった。

 

 でも昨日の会議室で、回復が必要だと整理された。

 

 黒も青も、すぐ次へ繋げなくていい。

 

 次戦衣装選択は未定。

 

 青で負けても、選択肢は消えていない。

 

 今日は、それを手元に置く日だ。

 

 春麗は、普通の服に袖を通した。

 

 黒でもない。

 

 青でもない。

 

 それなのに、少し落ち着かない。

 

 黒を着れば、黒で勝った春麗になれる。

 

 青を着れば、負けても進んだ青を確認できる。

 

 でも普通の服は、どちらでもない。

 

 つまり、逃げ道がない。

 

「……ただの服よ」

 

 春麗は、小さく呟いた。

 

「普通の服まで、ログにしないで」

 

 誰に言ったのか。

 

 たぶん、記録板AIに。

 

 そして、少しだけリュウに。

 

 今日は会う予定はない。

 

 ない。

 

 ないはずだった。

 

 だが、春麗はもう知っている。

 

 主人公補正は、そういう日に限って働く。

 

 彼女は深く息を吐き、部屋を出た。

 


 

 街は普通だった。

 

 店先の声。

 

 朝の風。

 

 ゆっくり歩く人々。

 

 どこにも試合の気配はない。

 

 黒ドレスの裾もない。

 

 青い袖もない。

 

 春麗会議室の白い文字もない。

 

 普通の日。

 

 回復日。

 

 春麗は少しだけ肩の力を抜いた。

 

 昨日のレビューは重かった。

 

 負けを失敗ではなく、有効ログとして保存した。

 

 青の中に黒が出たことも、悪性ではないと確認した。

 

 ただし未制御。

 

 そこまでは整理した。

 

 今日は、それを持ったまま普通に歩くだけ。

 

 何も起こさない。

 

 そう思った時だった。

 

「春麗」

 

 声がした。

 

 春麗は足を止めた。

 

 止めたくなかった。

 

 でも止まった。

 

 振り返ると、リュウがいた。

 

 いつものように。

 

 昨日のレビューで何度も名前が出た男が、あまりにも普通に立っていた。

 

 春麗は、一度だけ目を閉じた。

 

 やはり、こうなる。

 

「リュウ」

 

「ああ」

 

「今日は」

 

 春麗は、先に防御線を張った。

 

「試合ではないわ」

 

「ああ」

 

「黒でも青でもない」

 

「ああ」

 

「昨日、レビューは終わった」

 

「レビュー?」

 

「こちらの話よ」

 

「そうか」

 

「今日は回復日」

 

 リュウは少しだけ頷いた。

 

「なら、戦わない方がいい」

 

 春麗は少し警戒した。

 

 妙に素直だ。

 

「……そうね」

 

「身体もまだ痛むだろう」

 

「ええ」

 

「昨日の青も、まだ残っているだろう」

 

 来た。

 

 春麗は額に手を当てた。

 

「リュウ」

 

「ああ」

 

「昨日ではなく、一昨日の青よ」

 

 リュウは少し考えた。

 

「試合は一昨日だったな」

 

「そうよ」

 

「でも、春麗の中では昨日も青だったんじゃないか」

 

 精神HPが削れた。

 

 正確すぎる。

 

 試合は一昨日。

 

 でも、昨日はバトルログレビューだった。

 

 会議室で何度も青を開かれた。

 

 負けても進んだ青。

 

 青の中の黒。

 

 青内黒要素の未制御。

 

 つまり、春麗の中では昨日も青を見ていた。

 

 リュウは会議室を知らない。

 

 知らないのに、そこを突く。

 

 春麗は、顔を背けた。

 

「……そういうところよ」

 

「何がだ」

 

「何でもないわ」

 

 リュウは、春麗を見る。

 

 普通の服を見る。

 

 黒でも青でもない今日の春麗を見る。

 

 その視線が、昨日までのログをなぞるように動いた気がして、春麗は一歩引きそうになった。

 

「何?」

 

 先に聞く。

 

 聞かない方がいい。

 

 だが、もう遅い。

 

 リュウは言った。

 

「今日の春麗は、一昨日の青とは違うな」

 

 精神HPが削れた。

 

 予想していた。

 

 ある程度は。

 

 それでも、実際に言われると削れる。

 

 春麗は低い声で返した。

 

「普通の服まで観測対象にしないで」

 

「観測?」

 

「こちらの話よ」

 

「そうか」

 

「そうよ」

 

 春麗は、息を整える。

 

「今日は黒でも青でもないの」

 

「ああ」

 

「つまり、一昨日の青とは違う」

 

「ああ」

 

「だから、わざわざ言わなくていい」

 

 リュウは少し考えた。

 

 やめて。

 

 考えないで。

 

 今考えると、だいたい危険な方向に行く。

 

「でも、一昨日の青が消えたわけではない」

 

 削れる。

 

 春麗は青い武道服ではない袖を握りそうになった。

 

 普通の服なのに。

 

 そこに試合服の癖が出そうになるのが、悔しい。

 

「リュウ」

 

「ああ」

 

「今日は回復日なの」

 

「ああ」

 

「だから、そういう青の持ち越しみたいな話はしない」

 

「持ち越し」

 

「そう」

 

「俺は、持ち越しているのか」

 

 春麗は固まった。

 

 言い方を間違えた。

 

 今のは、リュウに言葉を渡してしまった。

 

 リュウは、自分の拳を少し見た。

 

 春麗は、嫌な予感がした。

 

「……拳を見ないで」

 

「すまない」

 

「謝るところではないわ」

 

「一昨日の春麗の青は、まだ少し残っている」

 

 精神HPが大きく削れた。

 

 黒ではない。

 

 今回は黒ではない。

 

 添付の投稿済み回では、一昨日の黒がリュウの拳に残った。

 

 あの時は、黒を着ていない日に黒のログが持ち越された。

 

 でも、今日は違う。

 

 今日は青敗北レビュー後の日。

 

 持ち越されているのは、一昨日の青。

 

 負けても進んだ青。

 

 そして、その青の中にあった黒。

 

 春麗は、ゆっくり息を吐いた。

 

「……一昨日の青は、負けた青よ」

 

「ああ」

 

「あなたが勝った」

 

「ああ」

 

「辛勝だけど」

 

「ああ」

 

「そこは覚えておいて」

 

「覚えている」

 

 リュウは静かに頷く。

 

「辛勝だった」

 

 春麗の精神HPが少し戻りかけた。

 

 だが、リュウは続けた。

 

「だから、残っている」

 

 回復分が吹き飛んだ。

 

「……だから?」

 

「ああ」

 

「勝ったからではなく?」

 

「勝ったからだけではない」

 

 その言い方は危険だった。

 

 春麗はわかっていた。

 

 この先は危険。

 

 だが、リュウはもう言葉を持っている。

 

「一昨日の青は、黒を捨てた青ではなかった」

 

 直撃。

 

「黒に戻りたい青でもなかった」

 

 追撃。

 

「黒で勝った春麗が、青で戦っていた」

 

 過剰。

 

「だから、残っている」

 

 春麗は完全に顔を背けた。

 

「……昨日、会議室で聞いたようなことを、本人の口から言わないで」

 

「会議室?」

 

「こちらの話よ!」

 

 リュウは不思議そうにする。

 

 悪意はない。

 

 だから一番危険だった。

 


 

 少し歩くことになった。

 

 春麗が言い出したわけではない。

 

 リュウが誘ったわけでもない。

 

 ただ、立ったまま話しているとさらに危険な気がしたので、春麗が歩き出し、リュウが半歩離れて並んだ。

 

 普通の道。

 

 普通の服。

 

 普通の距離。

 

 なのに、普通ではない。

 

 リュウは黙っている。

 

 黙っているのに、見られている気がする。

 

 黒でも青でもない春麗を。

 

 でも、黒と青のログを持った春麗として。

 

 春麗は耐えきれずに言った。

 

「……何か言いたいなら言いなさい」

 

 リュウは少しだけ首を傾げた。

 

「言っていいのか」

 

「言っていいとは言っていないわ」

 

「難しいな」

 

「あなたが難しくしているのよ」

 

 リュウは少し考えた。

 

「今日の春麗は、静かだ」

 

 春麗の精神HPが削れる。

 

「普通の感想まで攻撃になるの、どうにかならない?」

 

「攻撃ではない」

 

「知っているわ」

 

「でも、ただ静かなわけじゃない」

 

 さらに削れる。

 

「……最低限にして」

 

「一昨日の青を見た後だから、静かに見える」

 

 春麗は片手で顔を覆った。

 

「最低限とは」

 

「すまない」

 

「謝らない」

 

 リュウは続けた。

 

「一昨日は、前に出ていた」

 

 一拍。

 

「昨日は、たぶん考えていた」

 

 一拍。

 

「今日は、それを持って静かにしている」

 

 春麗は立ち止まりそうになった。

 

 一昨日は試合。

 

 昨日はレビュー。

 

 今日は回復日。

 

 会議室を知らないリュウが、なぜその順番をなぞるような言い方をするのか。

 

 春麗は、どうにか声を出した。

 

「あなた、昨日の私を見ていないでしょう」

 

「ああ」

 

「なのに、たぶん考えていた、なんて言わないで」

 

「考えていなかったのか」

 

「……考えていたわよ」

 

「なら、合っていた」

 

「合っていればいいというものではないわ」

 

 普通の会話のはずだった。

 

 でも、リュウの言葉は会議室で整理したログに触れてくる。

 

 春麗は、今朝の自分を思い出す。

 

 今日は回復日。

 

 黒でも青でもない。

 

 普通の服。

 

 それなのに、回復日まで観測対象になっている。

 

 これはよくない。

 

 非常によくない。

 

 リュウは、静かに言った。

 

「今日は、春麗と普通に歩けてよかった」

 

 春麗の思考が止まった。

 

 普通すぎる。

 

 普通すぎて危険。

 

 試合でもない。

 

 黒でも青でもない。

 

 リュウの分析でもない。

 

 ただの一言。

 

 普通に歩けてよかった。

 

 春麗は、目を閉じる。

 

「……リュウ」

 

「ああ」

 

「あなた、本当に普通が一番危険ね」

 

「危険か」

 

「危険よ」

 

「そうか」

 

「そうよ」

 

 春麗は、顔を背けた。

 

「今日は、青で負けた翌日ではないの」

 

「ああ」

 

「昨日、レビューした」

 

「ああ」

 

「だから今日は、もう少し落ち着いている予定だった」

 

「そうか」

 

「そうよ」

 

 リュウは少し黙った。

 

 そして言った。

 

「でも、落ち着いた春麗も、春麗だ」

 

 精神HPが深く削れた。

 

 春麗は、足を止めた。

 

 やめて。

 

 それはやめて。

 

 試合後の春麗。

 

 レビュー中の春麗。

 

 回復日の春麗。

 

 全部を繋げる言葉は、今は危険だ。

 

「……普通の服まで」

 

「ああ」

 

「回復日まで」

 

「ああ」

 

「春麗として見るのね」

 

「目の前にいるからな」

 

 防御不能だった。

 

 黒でも青でもない普通服。

 

 リュウにとっては、それも春麗。

 

 それだけ。

 

 それだけなのに、重い。

 


 

 川沿いに出た。

 

 水面が光っている。

 

 春麗は欄干に手を置いた。

 

 リュウは、少し隣に立つ。

 

 この場所も、試合場ではない。

 

 拳を交える場所ではない。

 

 でも、言葉が残る場所になりそうだった。

 

 春麗は先に言った。

 

「今日は、次の試合の話はしないわ」

 

「ああ」

 

「黒の話もしない」

 

「ああ」

 

「青の話も、本当はしたくない」

 

「わかった」

 

「本当に?」

 

「ああ」

 

 リュウは少し黙った。

 

 沈黙。

 

 それはそれで危険だった。

 

 沈黙の中に、一昨日の青と昨日のレビューが残る。

 

 春麗は、水面を見ながら言った。

 

「昨日、整理したの」

 

「何を」

 

「一昨日の青」

 

「ああ」

 

「負けたこと」

 

「ああ」

 

「黒が青を邪魔したわけではないこと」

 

 言ってしまった。

 

 春麗は、すぐに口を閉じた。

 

 これは自分から話題を出したのと同じだ。

 

 リュウは、静かに聞いている。

 

 春麗は諦めたように続けた。

 

「青が黒を否定したわけでもないこと」

 

「ああ」

 

「でも、青の中に出た黒は、まだ未制御だったこと」

 

「ああ」

 

「だから、負けた」

 

 リュウは少しだけ考えた。

 

「それだけではないと思う」

 

 春麗は横目で見る。

 

「何が?」

 

「春麗が強かったから、俺も越えようとした」

 

 精神HPが削れる。

 

「褒め殺しを再開しないで」

 

「褒め殺し?」

 

「こちらの話よ」

 

 リュウは水面を見る。

 

「青の中にあった黒は、邪魔には見えなかった」

 

 削れる。

 

「だが、まだ迷っていた」

 

 刺さる。

 

「迷い?」

 

「青で行くのか、黒を残すのか、ではない」

 

 春麗は息を止める。

 

「なら、何」

 

「どちらも持っていることを、春麗がまだ少し困っていた」

 

 直撃。

 

 春麗は、欄干を握った。

 

「……あなた、昨日の会議室にいた?」

 

「いない」

 

「でしょうね」

 

 リュウは続ける。

 

「でも、一昨日の拳で少し見えた」

 

「拳で見ないで」

 

「春麗が見せた」

 

「見せていないわ」

 

「見えた」

 

「だから!」

 

 春麗は顔を赤くして、言葉を止めた。

 

 勝てない。

 

 今日は戦っていないのに、勝てない。

 

 リュウは、春麗を責めていない。

 

 青を責めていない。

 

 黒を責めていない。

 

 ただ、見えたものを言っている。

 

 だから逃げ場がない。

 

 リュウは、さらに言った。

 

「今日の春麗は、少し落ち着いている」

 

「そう見える?」

 

「ああ」

 

「なら、もうそれでいいわ」

 

「でも、一昨日の青を忘れた落ち着きではない」

 

 精神HPが危険域へ落ちた。

 

「……リュウ」

 

「ああ」

 

「本当に、今日は回復日なの」

 

「ああ」

 

「回復日に追撃しないで」

 

「追撃ではない」

 

「追撃よ」

 

 リュウは困ったようにする。

 

「なら、言い方を変える」

 

「変えなくていい」

 

「今日の春麗は、一昨日の青を持っている」

 

「変えなくていいと言ったでしょう!」

 

「それでも、今日は青ではない」

 

 春麗の動きが止まる。

 

 リュウは、静かに続けた。

 

「だから、今日の春麗も違う」

 

 一拍。

 

「でも、別ではない」

 

 精神HPがゼロになった。

 

 春麗は、内側で完全に倒れた。

 

 違う。

 

 でも別ではない。

 

 黒でも青でもない普通服の日。

 

 回復日。

 

 その日まで、リュウは一昨日の青と切り離さずに見ている。

 

 だが、一昨日の青そのものとして扱うわけでもない。

 

 今日の春麗。

 

 昨日レビューした春麗。

 

 一昨日負けた春麗。

 

 黒で勝った春麗。

 

 全部違う。

 

 でも別ではない。

 

 リュウは、それを普通に言う。

 

 春麗は顔を覆った。

 

「……普通の服まで、ログにしないで」

 

「ログ?」

 

「こちらの話よ」

 

「そうか」

 

「そうよ」

 

 春麗は、どうにか体勢を戻す。

 

「今日は帰るわ」

 

「ああ」

 

「回復日だから」

 

「ああ」

 

「これ以上、回復不能になる前に」

 

 リュウは少し眉を動かした。

 

「無理はしない方がいい」

 

「誰のせいだと思っているの」

 

「俺か」

 

「半分くらい」

 

「半分なのか」

 

「残り半分は、私がめんどくさいせいよ」

 

 言ってから、自覚前春麗は固まった。

 

 今、何と言った。

 

 私がめんどくさい。

 

 自覚前なのに。

 

 言った。

 

 言ってしまった。

 

 リュウは、静かに見ている。

 

「春麗」

 

「呼ばないで」

 

「ああ」

 

「今のは忘れて」

 

「忘れない」

 

 精神HPに追撃。

 

「忘れなさい」

 

「大事なことだと思う」

 

「あなたが決めないで!」

 

 春麗は、もう限界だった。

 

 背を向ける。

 

 帰る。

 

 本当に帰る。

 

 しかし、最後にリュウが言った。

 

「今日の春麗も、覚えておく」

 

 春麗は足を止めた。

 

 止めてはいけない。

 

 でも止まった。

 

「……普通の服の春麗まで?」

 

「ああ」

 

「回復日の春麗まで?」

 

「ああ」

 

「めんどくさいと少し言った春麗まで?」

 

「ああ」

 

 春麗は、振り返らずに言った。

 

「……覚えすぎよ」

 

 声は、小さかった。

 

 怒っているようで。

 

 照れているようで。

 

 自分でも、判別できなかった。

 

 リュウは追ってこない。

 

 ただ、そこにいる。

 

 春麗は歩き出した。

 

 黒でもない。

 

 青でもない。

 

 普通の服の背中を、リュウに覚えられたまま。

 


 

 夜。

 

 春麗は部屋に戻っていた。

 

 黒ドレス。

 

 青武道服。

 

 そして、今日着ていた普通の服。

 

 三つが、部屋の中にある。

 

 前の投稿済みの黒非着用日には、黒の勝利ログが日常へ持ち越された。

 

 今日は違う。

 

 今日は、青敗北レビュー後の日常服。

 

 黒だけではない。

 

 青だけでもない。

 

 日常服まで、リュウに見られた。

 

 春麗は、椅子に掛けた普通の服を見る。

 

「……増えたわね」

 

 ログが。

 

 服の意味が。

 

 リュウに覚えられる自分が。

 

 自覚前春麗は、ゆっくり普通の服を畳んだ。

 

 試合服ではない。

 

 だから、戦闘ログはない。

 

 でも、会話ログはある。

 

 精神HP被弾ログもある。

 

 日常服観測ログ。

 

 そんな言葉が浮かぶ。

 

「……未承認」

 

 言っておく。

 

 先に言っておく。

 

 記録板AIに保存される前に。

 

 春麗は灯りを落とした。

 

 眠気が来る。

 

 いや、これは眠気というより、精神HPゼロによる接続だった。

 

 春麗会議室が近い。

 

「今日は、当日処理だけ」

 

 目を閉じる。

 

「詳細レビューはしない」

 

 そして、夢の底へ沈んでいった。

 


 

 夢の底。

 

 青い光。

 

 黒い影。

 

 そして今日は、淡い日常の色が混ざっている。

 

 円卓。

 

 椅子。

 

 湯呑み。

 

 記録板AIの白い文字。

 

 春麗会議室。

 

 自覚前春麗は、席に座っていた。

 

 腕を組んでいる。

 

 かなり不機嫌だった。

 

『夢接続確認』

 

『対象:自覚前春麗』

 

『状態:精神HP 0』

 

『理由:青敗北レビュー後の日常服状態におけるリュウ観測発言』

 

 春麗は、すぐに言った。

 

「表示が長い」

 

『正確性を優先しています』

 

「そういうところよ」

 

 記録板AIが続ける。

 

『本日の議題:黒でも青でもない日を見られた件・当日処理』

 

『時系列補足:青試合当日 → 当日会議 → 翌日バトルログ詳細レビュー → 翌々日日常服イベント』

 

『本日の参加者』

 

『自覚前春麗:当事者』

 

『本編春麗:普通に会う翌日被弾経験者』

 

『通常救済版春麗:安定化担当』

 

『行き遅れに恐怖する春麗:位置取り整理担当』

 

『黒ドレス特化救済春麗:特別参加/黒・青不在時の残存ログ確認担当』

 

『記録板AI:ログ表示・精神HP管理担当』

 

『グランドフィナーレ春麗:本日は不参加』

 

『黒執着春麗:観測対象外/不参加』

 

 本編春麗が、少し遠い目をしていた。

 

「わかるわ」

 

 自覚前春麗は、じとっと見る。

 

「何が?」

 

「負けた後に、普通に会うのが一番きつい」

 

「あなたの投稿済みログは資料として見たわ」

 

「でしょうね」

 

「正直、少し大げさだと思っていた」

 

 本編春麗は静かに微笑む。

 

「今日でわかった?」

 

 自覚前春麗は目を逸らした。

 

「……資料としては」

 

『発言信頼度:低』

 

「低にしないで」

 

 通常救済版春麗が言う。

 

「今回は、あなたの場合、試合翌日ではなくレビュー翌日だったのね」

 

「そうよ」

 

「一度、会議室で整理した後の日常」

 

「そう」

 

「だから余計に刺さった」

 

「言わないで」

 

 本編春麗が続ける。

 

「私の時は、負けた翌日に普通に会うのがきつかった」

 

「ええ」

 

「あなたの場合は、負けをレビューして、負けても進んだ青として一度置いた後に、普通に見られた」

 

「……そうよ」

 

 黒ドレス特化救済春麗が、静かに言う。

 

「投稿済みの黒非着用日とも違うわね」

 

 自覚前春麗はそちらを見る。

 

「そう。あの時は、一昨日の黒と言葉をリュウに持ち越された」

 

「ええ」

 

「今回は、青敗北レビュー後の日常服」

 

「黒だけの持ち越しではない」

 

「ええ」

 

「青も、黒も、普通服の日に残っていた」

 

 記録板AIが主要発言を表示する。

 

『リュウ発言ログ・当日抜粋』

 

『一、今日の春麗は、一昨日の青とは違うな』

 

『二、でも、一昨日の青が消えたわけではない』

 

『三、一昨日の春麗の青は、まだ少し残っている』

 

『四、黒を捨てた青ではなかった』

 

『五、黒に戻りたい青でもなかった』

 

『六、黒で勝った春麗が、青で戦っていた』

 

『七、一昨日は、前に出ていた』

 

『八、昨日は、たぶん考えていた』

 

『九、今日は、それを持って静かにしている』

 

『十、今日の春麗は、一昨日の青を持っている』

 

『十一、それでも、今日は青ではない』

 

『十二、今日の春麗も違う。でも、別ではない』

 

『十三、今日の春麗も、覚えておく』

 

 自覚前春麗は、机に突っ伏した。

 

「抜粋だけで十分きついわ」

 

 本編春麗が頷く。

 

「十二番と十三番が特に危険ね」

 

「全部危険よ」

 

 通常救済版春麗が穏やかに言う。

 

「でも、今日確認されたことがあるわ」

 

「何?」

 

「普通服の日は、黒と青の消失日ではない」

 

 自覚前春麗は、少しだけ顔を上げた。

 

 黒ドレス特化救済春麗が続ける。

 

「黒を着ていなくても、黒の勝利ログは消えない」

 

 本編春麗が言う。

 

「青を着ていなくても、青敗北有効ログは消えない」

 

 行き遅れ春麗が静かに言う。

 

「普通の日は、黒と青を休ませながら持っている日」

 

 自覚前春麗は、その言葉を聞いて黙った。

 

「休ませながら持っている日」

 

『新規分類候補:休ませながら持つ日』

 

「長いわ」

 

『短縮案:休持ち日』

 

「却下」

 

『未承認仮分類として保持します』

 

「保持しないで」

 

 本編春麗が、少し笑う。

 

「でも、意味は良いと思うわ」

 

「あなたは経験者だから言えるのよ」

 

「経験者でもきついわよ」

 

 記録板AIが判定を表示する。

 

『暫定判定』

 

『黒ドレス勝利ログ:有効継続』

 

『青武道服敗北有効ログ:有効継続』

 

『負けても進んだ青:未承認仮分類として保持継続』

 

『日常服ログ:新規記録』

 

『黒消失:不成立』

 

『青消失:不成立』

 

『日常服による春麗不成立:不成立』

 

『リュウ観測:継続』

 

『精神HP:0』

 

 自覚前春麗は、表示を見た。

 

「日常服ログ」

 

『はい』

 

「増えたのね」

 

『はい』

 

「普通の服まで」

 

『はい』

 

「最悪ね」

 

 通常救済版春麗が微笑む。

 

「でも、悪いログではないわ」

 

「精神HP0なのに?」

 

「ええ」

 

 黒ドレス特化救済春麗が言う。

 

「黒を着ていない日にも、黒は消えない」

 

 本編春麗が続ける。

 

「青を着ていない日にも、青は消えない」

 

 行き遅れ春麗が言う。

 

「普通服の日にも、春麗は春麗として続く」

 

 自覚前春麗は、顔を伏せた。

 

「それが一番困るのよ」

 

 記録板AIが最後の総括を表示する。

 

『本日の暫定結論』

 

『一、自覚前春麗は、青敗北バトルログ詳細レビューの翌日に黒でも青でもない服で外出しました』

 

『二、当日は試合ではなく回復日として設定されました』

 

『三、しかしリュウと遭遇し、日常条件下で観測されました』

 

『四、リュウは“今日の春麗は、一昨日の青とは違う”と発言』

 

『五、リュウは一昨日の青が消えていないこと、しかし今日の春麗は青そのものではないことを同時に観測しました』

 

『六、黒ドレス勝利ログおよび青武道服敗北有効ログは、日常服状態でも消失していません』

 

『七、黒でも青でもない日常服ログを新規記録』

 

『八、黒消失:不成立』

 

『九、青消失:不成立』

 

『十、普通服による春麗不成立:不成立』

 

『十一、リュウ観測:“違うが、別ではない”方向で継続』

 

『十二、自覚前春麗、精神HPノックアウト』

 

『十三、詳細レビューは必要に応じて後日』

 

 自覚前春麗は、十三番を見てすぐに言った。

 

「詳細レビューは不要よ」

 

『必要に応じて後日』

 

「不要よ」

 

『必要に応じて後日』

 

「あなた、譲らないわね」

 

 本編春麗が苦笑する。

 

「たぶん必要になるわよ」

 

「経験者ぶらないで」

 

「経験者なのよ」

 

 通常救済版春麗が、お茶を差し出す。

 

「今日は回復しましょう」

 

 黒ドレス特化救済春麗が言う。

 

「黒も休ませていい」

 

 本編春麗が言う。

 

「青も休ませていい」

 

 行き遅れ春麗が言う。

 

「普通の日も、持っていていい」

 

 自覚前春麗は、しばらく黙っていた。

 

 それから、小さく頷いた。

 

「……資料として、持っておくわ」

 

『発言信頼度:高』

 

 今度は、誰も突っ込まなかった。

 

 会議室の輪郭がほどけていく。

 

 青い光。

 

 黒い影。

 

 淡い日常の色。

 

 記録板AIの白い文字。

 

 それらが、夢の底へ溶けていく。

 

 最後に、自覚前春麗は思った。

 

 黒でもない。

 

 青でもない。

 

 それでも、黒も青も消えていない。

 

 それは、かなり厄介で。

 

 少しだけ、悪くなかった。

 


 

 朝。

 

 自覚前春麗は目を覚ました。

 

 部屋には、薄い光が入っている。

 

 身体の痛みは、少し遠くなっている。

 

 でも、昨日の言葉は残っていた。

 

 今日の春麗は、一昨日の青とは違うな。

 

 でも、一昨日の青が消えたわけではない。

 

 今日の春麗は、一昨日の青を持っている。

 

 それでも、今日は青ではない。

 

 今日の春麗も違う。

 

 でも、別ではない。

 

 今日の春麗も、覚えておく。

 

 春麗は、布団の中で顔を覆った。

 

「……普通の服まで覚えなくていいのよ」

 

 声は小さかった。

 

 でも、昨日の夜よりは少しだけ落ち着いている。

 

 春麗は起き上がる。

 

 黒ドレスを見る。

 

 青い武道服を見る。

 

 そして、昨日着ていた普通の服を見る。

 

 三つとも、そこにある。

 

 黒は消えていない。

 

 青も消えていない。

 

 普通の日も、なかったことにはならない。

 

 時系列は整理された。

 

 試合当日。

 

 当日会議。

 

 翌日バトルログ詳細レビュー。

 

 その翌日、黒でも青でもない服の日。

 

 その日まで、リュウに見られた。

 

 春麗は、ゆっくり息を吐いた。

 

「……今日は、本当に回復日」

 

 一拍。

 

「外出は控える」

 

 もう一拍。

 

「リュウに会うと、回復日が回復日でなくなるから」

 

 言ってから、少しだけ顔が熱くなる。

 

 それでも、春麗は立ち上がった。

 

 鏡の前に立つ。

 

 そこに映るのは、まだ自覚前春麗。

 

 黒で勝った春麗。

 

 青で負けた春麗。

 

 黒でも青でもない日を見られた春麗。

 

 そして、それをまだ正式承認したくない春麗。

 

「……未承認よ」

 

 小さく言う。

 

「でも」

 

 一拍。

 

「ログとしては、保持するわ」

 

 朝の光が部屋に入る。

 

 黒ドレスの影。

 

 青い武道服の端。

 

 普通の服の柔らかな皺。

 

 その全部が、静かにそこにある。

 

 自覚前春麗は、それらを見て、小さく息を吐いた。

 

「違うけど、別ではない」

 

 言ってしまった。

 

 顔が熱くなる。

 

「……資料として」

 

 最後にそう付け足して、彼女は朝を始めた。

 




Q:今回の妄想章IFについて解説して?

A:

一言で言うなら、

青で負けた直後ではなく、バトルログ詳細レビューを終えた後の日常で、自覚前春麗が“普通服の自分”までリュウに見られてしまう回

です。

今回の核は、

黒でもない。
青でもない。
でも、黒も青も消えていない。
普通服の日も、春麗として続いている。

ここです。

流れは、

青試合当日

当日会議

翌日バトルログ詳細レビュー

その翌日、黒でも青でもない日常服イベント

今回持ち越されるのは、黒そのものではなく、

青敗北レビュー後の青
負けても進んだ青
青の中に残っていた黒
黒でも青でもない日常服の春麗

です。

今回の回は、

青敗北有効ログの日常への持ち越し

です。

「翌日」ではなく「レビュー翌日」だから刺さる

今回の自覚前春麗は、ただ試合後にリュウと会ったわけではありません。

一度、春麗会議室で正式レビューを受けています。

そこで、

リュウ辛勝
青武道服対照実験:有効
青の中の黒:確認
黒による青阻害:不成立
青による黒否定:不成立
負けても進んだ青:未承認仮分類として保持

まで整理した。

その翌日に、普通服でリュウに会ってしまう。

だから刺さります。

自分の中では「昨日整理した」と思っている。
でも、リュウ本人はその整理を知らない。
知らないのに、整理したばかりの部分を正確に突いてくる。

ここが非常に良いです。

「今日の春麗は、一昨日の青とは違うな」が強い

今回のリュウの最初の高火力は、

今日の春麗は、一昨日の青とは違うな

です。

これは、かなり良い言葉です。

自覚前春麗にとっては、

一昨日、青で負けた。
昨日、それをレビューした。
今日、普通服で会った。

この三段階がある。

リュウの一言で、その三段階が一気につながってしまいます。

だから削れる。

「試合は一昨日。でも春麗の中では昨日も青だった」が良い

今回、かなり良いのはリュウのこの感覚です。

試合は一昨日だったな。
でも、春麗の中では昨日も青だったんじゃないか。

これはリュウが会議室を知っているわけではありません。

昨日、自覚前春麗は夢の春麗会議室で青のバトルログを詳細レビューした。

だから、実際には試合をしていなくても、春麗の内面では昨日も青を見ていた。

リュウはそれを知らないのに、ほぼ当ててしまう。

ここがリュウらしい危険さです。

無自覚に、内面の時系列まで踏み込んでくる。

今回は「黒」ではなく「青の持ち越し」

一昨日の春麗の青は、まだ少し残っている

これが今回の中心です。

ただし、自覚前春麗の青は普通の青ではありません。

黒で勝った後の青。
黒を否定しない青。
黒に戻りたい青でもない青。
青の中に黒があった青。
負けても進んだ青。

だから、リュウが「一昨日の青」と言うだけで、青と黒の両方が持ち越されます。

ここが今回のエピソードの面白いところです。

「今日は、それを持って静かにしている」が良い

リュウの、

一昨日は、前に出ていた。
昨日は、たぶん考えていた。
今日は、それを持って静かにしている。

この一言で、

試合当日
レビュー日
回復日

の三日間が一つの流れになります。

リュウは昨日の会議室を知らないのに、「たぶん考えていた」と言う。

そして今日の普通服の春麗を、ただの普通服ではなく、

一昨日の青と昨日の整理を持って静かにしている春麗

として見ている。

これは自覚前春麗にとって防御不能です。

なぜなら、今日の普通服は「何も起きない服」にしたかったからです。

でもリュウにとっては、何も起きない服ではなかった。

昨日までを持っている服だった。

「落ち着いた春麗も、春麗だ」が危険

今回のリュウの甘い部分は、戦闘評価ではありません。

落ち着いた春麗も、春麗だ

ここです。

これは、黒や青の強さを褒める言葉ではない。

普通服で、回復日で、静かにしている春麗を、そのまま春麗として見る言葉です。

自覚前春麗は、黒や青のような強い状態ならまだ戦えます。

でも、回復日・普通服・静かな自分を春麗として見られると、防御しにくい。

ここが今回の甘さです。

「違う。でも別ではない」が今回の到達点

今回の最大到達点は、

今日の春麗も違う。
でも、別ではない。

です。

黒でも青でもない普通服でも、一昨日の青と黒のログは消えていない。
でも、今日の春麗は一昨日の青そのものではない。
違う。でも別ではない。

という整理になっています。

これはかなり大事です。

自覚前春麗にとって、服ごとに自分を分けるのは防御線です。

黒の私。
青の私。
普通服の私。

分けておけば、処理しやすい。

でもリュウは、分けずに見るわけではありません。

違いは見る。
でも別物にはしない。

ここが強いです。

「めんどくさい」と言ってしまう事故も良い

今回、自覚前春麗が思わず、

残り半分は、私がめんどくさいせいよ

と言ってしまうところも良いです。

自覚前なのに。

本編春麗の専売特許に近い「自分をめんどくさい女と自覚する」方向へ、一瞬だけ足を踏み入れてしまっています。

ただし、完全な自覚ではありません。

事故です。

口が滑った。

でもリュウはそれを忘れないと言う。

ここで、自覚前春麗の防御線がまた削れます。

春麗会議の処理も自然

今回の春麗会議室は、詳細レビューではなく 当日処理 にしています。

今回は、

日常服ログの新規記録
黒消失:不成立
青消失:不成立
普通服による春麗不成立:不成立
リュウ観測:“違うが、別ではない”方向で継続

を暫定整理するくらいで十分です。

重くしすぎず、それでも次へ残るログにしています。

「普通服の日は、黒と青を休ませながら持っている日」

この整理もかなり良いです。

普通服の日は、黒や青を消す日ではない。

でも、黒や青を前面に出す日でもない。

休ませながら持っている日。

この言い方が、自覚前春麗にかなり合っています。

黒も青も、すぐ次に使わなくていい。
でも、なかったことにしなくていい。
普通服の日は、その両方を一度休ませる日。

最後に朝、春麗が三つを見るのが良いです。

黒ドレス。
青武道服。
普通の服。

三つともそこにある。

黒は消えていない。
青も消えていない。
普通の日もなかったことにならない。

そして、

違うけど、別ではない

を自分で言ってしまう。

これはかなり大きいです。

まだ「資料として」と付け足しているので、自覚前春麗らしさは残っています。

でも、言葉そのものは受け取ってしまっている。

今回の位置づけ

今回のエピソードは、自覚前春麗ルートにおける 日常服ログ成立回 です。

これまでの彼女は、

黒ドレスで勝った春麗
青武道服で負けた春麗
青の中に黒を持っていた春麗

でした。

今回そこに、

黒でも青でもない普通服でも、春麗として見られる春麗

が加わりました。

これはかなり大きいです。

戦闘服だけがルートではなくなった。

試合だけがログではなくなった。

普通の日も、春麗の連続性に入ってきた。

結論

一言でまとめるなら、

自覚前春麗は、青で負けた翌日ではなく、青敗北レビューを終えた翌日に、黒でも青でもない普通服でリュウに会う。その結果、黒や青を着ていなくても、黒勝利ログも青敗北有効ログも消えておらず、今日の春麗は違うが別ではないと見られてしまう回

です。

黒。
青。
普通服。

全部違う。

でも別ではない。

そして、その全部をリュウに見られる。
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