また戦ってくれなんて言わないで ――春麗は今日もめんどくさい――   作:エーアイ

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※これは本編時空ではなく、妄想章IFです。
黒執着春麗の後日談です。


妄想章IF後日談:黒執着春麗は、久しぶりに黒で負けて、やはりリュウに勝ちたいと思う

 

 黒ドレスを前にして、春麗はしばらく黙っていた。

 

 今日は、最初から黒で行くと決めていた。

 

 迷いはない。

 

 いや。

 

 少しはある。

 

 お詫びをした後の黒。

 

 リュウに受け取られた後の黒。

 

 黒を持ったまま謝りに行けた自分。

 

 お詫びの後でも、黒で煽って戦えた自分。

 

 そして、黒で勝った自分。

 

 その全部がある。

 

 だからこそ、今日の黒は軽く扱えない。

 

 黒ドレスは、ただの戦闘服ではない。

 

 逃げ場所でもない。

 

 相手に押しつけるための黒でもない。

 

 自分で持って、選んで、着る黒。

 

 春麗は、黒い布に指を滑らせた。

 

「……今日は、勝ちに行くわ」

 

 声に出す。

 

 部屋に落ちる。

 

 誰も聞いていない。

 

 けれど、言わないと落ち着かなかった。

 

 前回は勝った。

 

 ギリギリだった。

 

 精神HPは負けた。

 

 それはいつものことにしていいのかどうか、本人としては非常に不本意だ。

 

 だが、試合には勝った。

 

 お詫び後の黒で、勝てた。

 

 それなら次は、もっと上手くやれる。

 

 煽りの距離感も、少しは掴んだ。

 

 黒を残しすぎないやり方も分かってきた。

 

 リュウの拳が黒を越えようとする時の癖も、少し見えた。

 

 だから今日は。

 

 今日こそは。

 

「……もう少し、綺麗に勝つ」

 

 一拍。

 

「ギリギリで」

 

 言ってから、春麗は少しだけ口元を緩めた。

 

 圧勝したいわけではない。

 

 それでは違う。

 

 リュウ相手に、黒で、ぎりぎりのところで勝つ。

 

 最後の一手まで読ませない。

 

 読まれたうえで、もう一歩上を取る。

 

 それが欲しい。

 

 それが、たぶん今の自分にとって一番危険で、一番気持ちいい勝ち方だ。

 

 春麗は、黒ドレスを身にまとう。

 

 姿勢を整える。

 

 髪を整える。

 

 袖を整える。

 

 足元を確認する。

 

 今日は、準備に時間をかけた。

 

 リュウが見ても見なくてもいい。

 

 いや、見ないでほしい。

 

 いや。

 

 少しは見てほしい。

 

 その思考が自分で面倒だった。

 

 春麗は鏡の中の自分を睨む。

 

「……何を考えているの」

 

 黒ドレスの春麗が、同じ顔でこちらを見る。

 

 今日は、気合いが入っている。

 

 自分でもわかる。

 

 いつもより布の整え方が丁寧だ。

 

 いつもより歩幅を意識している。

 

 いつもより最初の一言を考えている。

 

 煽りの言葉も、いくつか用意してある。

 

 お詫び後用。

 

 黒を持ったまま届かせる用。

 

 リュウに見られた時用。

 

 見られすぎた時用。

 

 そして。

 

 勝った後用。

 

 春麗は、そこで顔を覆った。

 

「……勝った後用の煽りまで考えるのは、さすがに」

 

 一拍。

 

「めんどくさいわね、私」

 

 認められる。

 

 救済後の自分は、そこを認められる。

 

 黒を持ったまま。

 

 めんどくささも持ったまま。

 

 それでも、前に進める。

 

 春麗は鏡の前で深く息を吐いた。

 

「行くわ」

 

 黒い裾が、静かに揺れた。

 


 

 リュウは、いつもの場所にいた。

 

 春麗が黒ドレスで現れると、リュウはすぐにこちらを見た。

 

 視線が黒を捉える。

 

 裾を捉える。

 

 立ち方を捉える。

 

 そして、春麗を見る。

 

 春麗は、胸の奥で小さく構える。

 

 今日は最初の一言を決めていた。

 

 迷わない。

 

 距離も測る。

 

 でも、弱くしない。

 

「リュウ」

 

「ああ」

 

「今日は、黒を見て遅れても言い訳は聞かないわ」

 

 言えた。

 

 悪くない。

 

 黒ドレスの煽りとして、十分。

 

 リュウは静かに頷く。

 

「遅れないようにする」

 

「言うわね」

 

「ああ」

 

「前より見えるようになった?」

 

 リュウは、少しだけ春麗を見る。

 

「今日の春麗は、前より準備してきたように見える」

 

 精神HPが削れた。

 

 試合前。

 

 まだ構えてすらいない。

 

 春麗は、黒い裾を軽く払う。

 

「……準備くらいするわ」

 

「ああ」

 

「試合なのだから」

 

「ああ」

 

「勝ちに来ているのだから」

 

「ああ」

 

 リュウは、まっすぐに言った。

 

「そう見える」

 

 さらに削れる。

 

 春麗は目を細めた。

 

「見えなくていいところまで見るのね」

 

「見えた」

 

「でしょうね」

 

 春麗は一歩前へ出る。

 

「なら、準備してきた黒がどこまで届くか、試してみなさい」

 

「ああ」

 

 リュウが構える。

 

 春麗も構える。

 

 黒い裾が、風を受けて揺れる。

 

 試合が始まった。

 


 

 序盤は春麗が取った。

 

 黒が早かった。

 

 いや、黒そのものが早いのではない。

 

 遅れを作るのが早い。

 

 視線を誘い、半拍を作る。

 

 その半拍に、春麗は踏み込む。

 

 リュウの拳が動く。

 

 読んでいた。

 

 春麗は外す。

 

 黒を残しすぎず、自分の側に保ったまま間合いをずらす。

 

 蹴りが入る。

 

 浅い。

 

 だが、確かに入った。

 

 リュウが一歩下がる。

 

「いい黒だ」

 

 春麗の精神HPが削れる。

 

「試合中に評価しないで」

 

「見えた」

 

「見えたものを全部言わなくていいのよ」

 

 リュウは踏み込む。

 

 春麗は身をひねる。

 

 黒い裾が遅れて揺れる。

 

 リュウの目が、そこを追う。

 

 春麗はその逆へ入る。

 

 掌底。

 

 リュウの胸に当たる。

 

 浅い。

 

 防がれた。

 

 だが、防がせた。

 

 春麗は、そのまま回り込む。

 

「今日は、見ているだけでは届かないわよ」

 

 リュウが拳を引く。

 

「ああ」

 

 次の拳は速かった。

 

 春麗はかわす。

 

 かわしたつもりだった。

 

 肩をかすめる。

 

 痛みが走る。

 

 春麗は息を吐く。

 

 リュウの拳が、前より近い。

 

 いや。

 

 リュウが黒を越えるまでの速度が、前より速い。

 

「……やるわね」

 

「春麗が準備してきたからな」

 

 精神HPが削れる。

 

「それが返答になるの?」

 

「俺も、準備しないと届かない」

 

 春麗は、一瞬だけ動きを止めそうになった。

 

 危険。

 

 非常に危険。

 

 リュウが、こちらの準備を見て、自分も準備する側に回っている。

 

 それは嬉しい。

 

 嬉しいから、危険だ。

 

 春麗は足を踏み直す。

 

「届く前に、遅らせるわ」

 

 黒が揺れる。

 

 春麗が入る。

 

 リュウが受ける。

 

 拳が返る。

 

 黒で半拍遅らせる。

 

 しかし、リュウの拳は、その半拍を越えてきた。

 

 春麗の脇に入る。

 

 重い。

 

 春麗は後退する。

 

 HPが削れる。

 

 だが、倒れない。

 

 黒はまだ持っている。

 

 春麗は笑った。

 

「……やっぱり強いわね」

 

 言ってしまった。

 

 自分で驚く。

 

 試合中に、素直に言ってしまった。

 

 リュウは、少しだけ目を細める。

 

「春麗も強い」

 

「褒め返さないで」

 

「本当だ」

 

「だから危険なのよ」

 


 

 中盤。

 

 春麗は、まだ優勢だった。

 

 だが、差は詰まっていた。

 

 黒の遅れを、リュウが少しずつ越えてくる。

 

 一度見せた遅れ。

 

 二度目の揺れ。

 

 三度目の半拍。

 

 リュウは、そのたびに近づく。

 

 春麗はそれが悔しかった。

 

 そして、楽しかった。

 

 黒を見切られるのが悔しい。

 

 でも、リュウが黒を越えてくるから、こちらも次を出したくなる。

 

 ギリギリのところで、勝ちたい。

 

 やはり、そう思う。

 

 リュウ相手だから。

 

 リュウが強いから。

 

 だから、ギリギリ勝ちたい。

 

 春麗は、黒い裾を大きく揺らした。

 

 視線を誘う。

 

 今回は、いつもより深く残す。

 

 いや、残しすぎない。

 

 ギリギリの残し方。

 

 リュウが踏み込む。

 

 読んでいた。

 

 春麗の蹴りが走る。

 

 リュウの脇腹に入る。

 

 深い。

 

 リュウが息を吐く。

 

 だが、拳が止まらない。

 

 春麗の肩に入る。

 

 重い。

 

 春麗の足が乱れる。

 

 リュウも一歩下がる。

 

 互いに息が上がる。

 

「リュウ」

 

「ああ」

 

「今のは、読んでいたわ」

 

「ああ」

 

「でも、届いたのね」

 

「ああ」

 

「本当に、腹が立つ」

 

 リュウは静かに言う。

 

「春麗も届いていた」

 

「そういう返しが、また腹立たしいのよ」

 

「そうか」

 

「そうよ」

 

 春麗は息を整える。

 

 黒の中で、心臓が速い。

 

 悔しい。

 

 でも、いい。

 

 これだ。

 

 この感じだ。

 

 勝てるかどうかわからない。

 

 でも、勝ちたい。

 

 どうしても勝ちたい。

 

 ただ勝ちたいのではない。

 

 この強いリュウに。

 

 黒を見て、越えて、追いついてくるリュウに。

 

 ギリギリで勝ちたい。

 

 春麗は、口元を上げた。

 

「やっぱり」

 

 一拍。

 

「あなた相手だと、黒がよく動くわ」

 

 リュウが、少しだけ目を開く。

 

「そうなのか」

 

「そうよ」

 

「なら、俺ももっと見る」

 

 精神HPが削れる。

 

「見なくていいとは、もう言わないわ」

 

 春麗は構える。

 

「でも、見たうえで遅れなさい」

 

「ああ」

 

 終盤へ入る。

 


 

 終盤。

 

 春麗のHPは残り少ない。

 

 リュウも同じくらい削れている。

 

 どちらが勝ってもおかしくない。

 

 黒ドレスの裾が重い。

 

 息が熱い。

 

 足が少し鈍い。

 

 それでも、春麗の目は鋭かった。

 

 勝つ。

 

 ギリギリで勝つ。

 

 そのつもりだった。

 

 リュウが踏み込む。

 

 春麗は黒を置く。

 

 いつもの半拍。

 

 リュウがそれを越える。

 

 読んでいた。

 

 春麗はさらに奥へ黒をずらす。

 

 二段目の遅れ。

 

 リュウの拳が一瞬だけ迷う。

 

 そこへ入る。

 

 蹴り。

 

 リュウの肩へ。

 

 決まる。

 

 はずだった。

 

 リュウの足が、ほんの少しだけ前へ出た。

 

 黒を越えるのではない。

 

 黒に踏み込んだ。

 

 春麗の目が開く。

 

 リュウの拳が、春麗の間合いの内側へ入ってくる。

 

 避ける。

 

 間に合わない。

 

 肩。

 

 胸元。

 

 重い一撃。

 

 春麗の体が揺れる。

 

 それでも、春麗の蹴りも入った。

 

 リュウの肩に深く。

 

 同時に近い。

 

 だが、先に膝をついたのは春麗だった。

 

 黒い裾が、地面に落ちる。

 

 息が止まる。

 

 リュウも片膝をつきかける。

 

 だが、立っていた。

 

 紙一重。

 

 本当に紙一重。

 

 春麗は、地面に片手をついたまま、リュウを見た。

 

「……負け?」

 

 リュウは息を整えながら言う。

 

「俺の勝ちだと思う」

 

「思う、なのね」

 

「ああ」

 

「そこは断言しなさい」

 

「だが、ほとんど同時だった」

 

 春麗は、少しだけ笑った。

 

 悔しい。

 

 本当に悔しい。

 

 久しぶりの敗北。

 

 黒ドレスで、気合いを入れて、準備して。

 

 煽りも考えて。

 

 黒の距離も測って。

 

 ギリギリで勝つつもりで。

 

 負けた。

 

 悔しい。

 

 胸の奥が熱い。

 

 黒が沈むのではない。

 

 悔しさで、黒が燃える。

 

「……やっぱり」

 

 春麗は、ゆっくり立ち上がろうとする。

 

 足が少し震える。

 

 リュウが近づきかける。

 

「手は借りないわ」

 

 春麗は言った。

 

 リュウは止まる。

 

 春麗は、自分の足で立った。

 

 息が乱れている。

 

 黒ドレスも乱れている。

 

 だが、立った。

 

「やっぱり、あなたは強い」

 

「ああ」

 

「認めるのね」

 

「今日は、俺もそう思った」

 

 春麗は、少しだけ目を細める。

 

「……どういう意味?」

 

 リュウは、まっすぐに春麗を見る。

 

「春麗が、かなり準備してきたからだ」

 

 精神HPが削れた。

 

 試合後。

 

 負けた直後。

 

 悔しさの中。

 

 そこを言う。

 

 そこを見ていた。

 

 春麗は、黒い裾を握りかけて、やめた。

 

「……準備くらい」

 

「していた」

 

 リュウは言った。

 

「最初の一言も、動きも、黒の置き方も」

 

 春麗は息を止める。

 

「いつもより丁寧だった」

 

 精神HPがさらに削れる。

 

「リュウ」

 

「ああ」

 

「勝った直後に、そういうことを言わないで」

 

「勝ったから言える」

 

「違うわ。勝ったから余計に危険なのよ」

 

 リュウは少しだけ考える。

 

 そして、続けた。

 

「春麗は、今日、勝ちに来ていた」

 

 春麗は動けない。

 

「黒で」

 

 一拍。

 

「俺に」

 

 さらに一拍。

 

「ぎりぎり勝ちに来ていた」

 

 精神HPが危険域に入った。

 

 春麗は顔を背けた。

 

「……そこまで見なくていい」

 

「見えた」

 

「でしょうね」

 

「だから、俺もぎりぎり勝たないといけなかった」

 

 春麗は完全に止まった。

 

「……何?」

 

「春麗がそこまで準備してきたなら」

 

 一拍。

 

「俺も、ただ勝つだけでは足りないと思った」

 

 呼吸が詰まる。

 

 リュウは、静かに言った。

 

「今日の春麗には、ぎりぎりで勝ちたかった」

 

 精神HPが、大きく削れた。

 

 いや。

 

 削れたどころではない。

 

 ほとんど持っていかれた。

 

 春麗は、黒ドレスのまま、何とか立っていた。

 

 試合には負けた。

 

 それは悔しい。

 

 だが、今の言葉は違う。

 

 自分が思っていたことを、リュウ側から返された。

 

 やはりリュウが強いから、ギリギリ勝ちたい。

 

 そう思っていた。

 

 その相手が。

 

 リュウが。

 

 今日の春麗には、ぎりぎりで勝ちたかった。

 

 そう言った。

 

 それは、駄目だ。

 

「……あなた」

 

「ああ」

 

「それは、勝った側が言っていい言葉ではないわ」

 

「そうなのか」

 

「そうよ」

 

「でも、そう思った」

 

 さらに追撃。

 

 春麗は、完全に顔を背けた。

 

「思わなくていいわ」

 

「難しい」

 

「難しくない」

 

「春麗が準備してきたからだ」

 

「繰り返さないで」

 

「黒も、言葉も、間合いも」

 

「やめなさい」

 

「今日の春麗は、全部使って俺に勝とうとしていた」

 

 精神HPがゼロに近づく。

 

 リュウは最後に言った。

 

「だから、強かった」

 

 春麗の精神HPは落ちた。

 

 試合には負けた。

 

 精神でも落とされた。

 

 完全敗北。

 

 しかし。

 

 悔しいのに。

 

 かなり悔しいのに。

 

 胸の奥が、妙に熱い。

 

 春麗は、黒ドレスの裾を整える。

 

 少し乱れている。

 

 それを直す。

 

 リュウの前で。

 

 できるだけ平静に。

 

「……今日のところは」

 

 一拍。

 

「あなたの勝ちにしておくわ」

 

 リュウは頷く。

 

「ああ」

 

「ただし」

 

 春麗は、顔の熱さを押し殺してリュウを見る。

 

「次は、私がギリギリで勝つ」

 

 リュウの目が静かに変わる。

 

「ああ」

 

「今日より準備する」

 

「ああ」

 

「今日より黒を届かせる」

 

「ああ」

 

「今日より、あなたを遅らせる」

 

 リュウは頷いた。

 

「なら、俺も今日より見る」

 

 精神HPオーバーキル。

 

 春麗は一瞬だけ言葉を失った。

 

「……本当に」

 

「ああ」

 

「あなたは、勝っても負けても危険ね」

 

「危険か」

 

「危険よ」

 

 春麗は背を向ける。

 

 帰る。

 

 今日はこれ以上、ここにいると完全に持たない。

 

 すでに持っていない気もする。

 

「春麗」

 

 リュウの声が届く。

 

 止まらない。

 

 止まってはいけない。

 

 でも、止まった。

 

「何?」

 

 振り返らずに言う。

 

 リュウは静かに言った。

 

「次の黒も、見たい」

 

 過剰ダメージ。

 

 春麗は、黒ドレスの裾を握った。

 

 振り返らない。

 

 振り返ったら、負けを認めるような気がした。

 

 いや、もう試合は負けている。

 

 精神HPも落ちている。

 

 それでも、振り返らない。

 

「……見るだけでは、遅れるわよ」

 

 かろうじて返す。

 

 リュウは答えた。

 

「ああ。だから、見てから動く」

 

 さらに危険。

 

 春麗は、今度こそ歩き出した。

 

 顔は熱い。

 

 悔しい。

 

 悔しい。

 

 悔しい。

 

 でも。

 

 次がある。

 

 次は勝つ。

 

 ギリギリで。

 

 この強い男に。

 

 自分が気合いを入れて準備したことまで見抜いて、なお勝ってくるこの男に。

 

 黒で、勝つ。

 

 春麗は小さく呟いた。

 

「……やっぱり、あなたに勝ちたいわ」

 

 一拍。

 

「ギリギリで」

 

 それは、黒を沈める言葉ではなかった。

 

 黒を燃やす言葉だった。

 


 

 夜。

 

 春麗は、黒ドレスを整えていた。

 

 負けた。

 

 久しぶりに、黒で負けた。

 

 しかも、気合いを入れて準備した黒で。

 

 最初の煽りも考えた。

 

 動きも整えた。

 

 黒の置き方も調整した。

 

 勝った後用の言葉まで考えていた。

 

 それなのに、負けた。

 

 悔しい。

 

 非常に悔しい。

 

 黒ドレスを畳む手に、少しだけ力が入る。

 

 けれど、乱暴には扱わない。

 

 今日の黒は負けた黒だ。

 

 でも、弱い黒ではなかった。

 

 リュウがそう言った。

 

 今日の春麗は、全部使って俺に勝とうとしていた。

 

 だから、強かった。

 

 春麗は、顔を覆った。

 

「……思い出すものではないわ」

 

 思い出している。

 

 完全に思い出している。

 

 しかも、嫌ではない。

 

 嫌ではないから、余計に悔しい。

 

 春麗は、黒ドレスを丁寧に畳む。

 

 負けた黒を、また畳む。

 

 でも、以前とは違う。

 

 この黒は、沈めるために畳むのではない。

 

 次に着るために畳む。

 

 次に勝つために。

 

 次に、もっと上手く煽るために。

 

 次に、もっと届かせるために。

 

 そして。

 

 次に、リュウにギリギリ勝つために。

 

「……次は」

 

 一拍。

 

「勝つわ」

 

 言葉にする。

 

「リュウが強いから」

 

 もう一拍。

 

「勝ちたい」

 

 さらに一拍。

 

「ギリギリで」

 

 春麗は、畳んだ黒ドレスに手を置いた。

 

 負けた。

 

 悔しい。

 

 でも、折れていない。

 

 黒は沈んでいない。

 

 黒は、燃えている。

 

 それはたぶん、救済後の黒だった。

 

 負けても、自分を空にしない黒。

 

 負けても、リュウのせいにしない黒。

 

 負けても、次に勝ちたいと言える黒。

 

 春麗は、灯りを落とす前に小さく笑った。

 

「次の黒も、見たい……ね」

 

 リュウの言葉を思い出す。

 

 また顔が熱くなる。

 

「見せてあげるわよ」

 

 一拍。

 

「ただし、次は遅れなさい」

 

 そう言って、灯りを消した。

 

 黒は、そこにある。

 

 負けた黒として。

 

 悔しい黒として。

 

 そして、次に勝つための黒として。

 

 黒執着春麗は、久しぶりの敗北を抱えたまま、静かに眠りへ落ちていった。

 




Q:今回の妄想章IFについて解説して?

A:

今回のエピソードは、一言で言うなら、

黒執着春麗が「黒でギリギリ勝ちたい」と願い、そのために準備して挑み、結果としてリュウにギリギリ負けたことで、逆に黒が前へ進んだ回

です。

今回の春麗は、最初から黒で行くと決めています。

ただし、以前のように黒へ逃げるためではありません。

黒を相手に押しつけるためでもありません。

お詫びをした後の黒。
リュウに受け取られた後の黒。
黒を持ったまま謝りに行けた自分。
お詫びの後でも、黒で煽って戦えた自分。
そして、黒で勝った自分。

その全部を踏まえたうえで、もう一度黒を選んでいます。

ここが今回の大事なところです。

黒ドレスは魔法ではありません。

着れば勝てるものではない。
相手を勝手に惑わせるものでもない。
リュウを自動的に遅らせるものでもない。

黒は、春麗が自分で設計して、自分で使う格闘技上の戦術です。

視線誘導。
歩幅。
裾の揺らし方。
間合いのずらし方。
最初の一言。
煽りの距離。
相手が見た後に、どこへ踏み込むか。

そういうもの全部を含めて、黒です。

だから今回の春麗は、準備しています。

いつもより布の整え方が丁寧。
いつもより歩幅を意識している。
いつもより最初の一言を考えている。
煽りの言葉まで用意している。
しかも、勝った後用の煽りまで考えている。

かなりめんどくさいです。

でも、この「めんどくささを自分で認められる」ことが、救済後の黒執着春麗の強さです。

以前なら、黒に沈むか、黒に振り回されるか、黒だけを自分にしてしまう危険がありました。

でも今の春麗は違います。

黒を持ったまま、めんどくささも持ったまま、それでも前に進める。

今回の黒は、その確認でもあります。

今回の春麗が欲しかったのは、圧勝ではありません。

「ギリギリで勝つ」ことです。

これはかなり重要です。

リュウ相手に、黒で、ぎりぎりのところで勝つ。
最後の一手まで読ませない。
読まれたうえで、もう一歩上を取る。

それが欲しい。

これは、黒執着春麗にとってかなり危険で、かなり気持ちいい勝ち方です。

なぜなら、リュウが強いことを前提にしているからです。

リュウが黒を見てくる。
黒を越えようとしてくる。
春麗の準備を見抜いてくる。
そのうえで、春麗は勝ちたい。

つまり今回の黒執着春麗は、リュウを弱く見て勝ちたいのではありません。

強いリュウに勝ちたい。

ここが非常に良いです。

そして、結果として春麗は負けます。

しかも、かなり惜しい負けです。

黒で遅れを作る。
リュウがそれを越える。
さらに奥へ黒をずらす。
二段目の遅れを作る。
そこへ入る。

これは春麗のかなり良い攻めです。

ですが、リュウは黒を「避ける」のでも「見ない」のでもなく、黒に踏み込んできます。

ここが今回のリュウの強さです。

黒を越えるのではない。
黒に踏み込む。

春麗の間合いに入って、そこで勝つ。

これにより、春麗の攻撃も深く入るのですが、先に膝をついたのは春麗になります。

紙一重です。

リュウも余裕勝ちではありません。

リュウ自身も「俺の勝ちだと思う」と言うくらい、ほとんど同時でした。

だからこそ、悔しい。

でも、だからこそ良い敗北です。

今回の負けは、黒を沈める敗北ではありません。

黒を燃やす敗北です。

ここが今回のエピソードの一番大きな意味です。

そして試合後、リュウが非常に危険です。

春麗がかなり準備してきたことを見ていた。
最初の一言も。
動きも。
黒の置き方も。
いつもより丁寧だったことも。

全部、見ていた。

これは春麗にとってかなり危険です。

春麗は、黒で見せようとしていました。

でも、見られたいところだけを見られたわけではありません。

準備してきたこと。
勝ちに来たこと。
黒で、リュウに、ぎりぎり勝ちに来ていたこと。

そこまで見られています。

そしてリュウは言います。

春麗がそこまで準備してきたなら、俺もただ勝つだけでは足りないと思った。
今日の春麗には、ぎりぎりで勝ちたかった。

これは、春麗にとって致命打です。

なぜなら、春麗が思っていたことを、リュウ側から返されているからです。

春麗は、リュウ相手にギリギリで勝ちたかった。

そのリュウも、今日の春麗にはギリギリで勝ちたかった。

これは、勝敗以上に深い相互認識です。

春麗は負けた。
でも、リュウは春麗の本気を見ていた。
しかも、それに応えるために、自分もギリギリで勝ちに行った。

だから春麗は精神HPを落とされます。

今回は、試合にも負けています。
精神HPでも落とされています。

完全敗北に近いです。

でも、敗北の質が非常に良い。

これは春麗を空にする負けではありません。

次に繋がる負けです。

夜、春麗は黒ドレスを畳みます。

今日の黒は負けた黒です。

でも、弱い黒ではなかった。

リュウがそう言った。
今日の春麗は、全部使って俺に勝とうとしていた。
だから、強かった。

この言葉が残っている。

だから春麗は、黒を乱暴に扱いません。

負けた黒を、次に着るために畳む。

この処理が今回とても大事です。

以前なら、負けた黒は沈む理由になったかもしれません。

でも今回は違う。

負けた黒。
悔しい黒。
次に勝つための黒。

そうして畳めるようになっている。

これは、黒執着春麗の大きな進歩です。

最後の、

次の黒も、見たい……ね。
見せてあげるわよ。
ただし、次は遅れなさい。

この締めが、今回の到達点です。

春麗は負けました。

でも、次に着るつもりです。
次に見せるつもりです。
次に勝つつもりです。

黒は沈んでいません。

燃えています。

今回のエピソードは、黒執着春麗にとってかなり重要な敗北回でした。

勝って進む回ではなく、負けて進む回。

黒を否定しない。
黒に沈まない。
黒を次へ持っていく。

その意味で、今回の黒はかなり綺麗だったと思います。

HP表記あり・RPG形式バトル解説

BATTLE TITLE

黒執着春麗 vs リュウ
黒ドレス再戦
副題:ギリギリで勝ちに行った黒は、ギリギリで敗れる

初期ステータス

黒執着春麗

戦闘HP:100 / 100
精神HP:100 / 100
状態:黒ドレス戦闘モード
装備:黒ドレス、黒い髪留め、準備済みの煽り、黒戦術一式
目的:黒でリュウにギリギリ勝つ
勝利条件:リュウに黒を見せ、越えさせ、その上で最後の一手を取る
精神状態:気合い十分。ただし、準備を見られると弱い

リュウ

戦闘HP:100 / 100
精神HP:100 / 100
状態:通常戦闘モード
目的:春麗の黒に届く
勝利条件:黒を見たうえで、春麗本人に届く
精神状態:春麗の準備を見て、自分もぎりぎりで勝つ覚悟に入っている

TURN 0:戦闘前準備

春麗は黒ドレスを前にして、自分の黒を確認します。

お詫び後の黒。
リュウに受け取られた黒。
黒を持ったまま謝りに行けた自分。
お詫び後でも、黒で煽って戦えた自分。
黒で勝てた自分。

それらを踏まえて、今日は黒で勝ちに行くと決めます。

春麗精神HP:100 → 105相当

気合いはかなり高いです。

ただし、勝った後用の煽りまで考えていることに自分で気づき、少し精神HPが揺れます。

春麗精神HP:105相当 → 100

状態異常:
めんどくさい自覚・軽度発生

TURN 1:開幕前会話

春麗の先制煽り。

「今日は、黒を見て遅れても言い訳は聞かないわ」

これは良い入りです。

黒ドレス戦術として、強すぎず弱すぎない煽りです。

しかし、リュウが返します。

「今日の春麗は、前より準備してきたように見える」
「そう見える」

春麗精神HP:100 → 84

試合前から被弾しています。

まだ拳を交えていません。

準備を見られたことが刺さっています。

TURN 2:序盤・黒が早い

序盤は春麗が取ります。

黒そのものが早いのではなく、遅れを作るのが早い。

視線を誘い、半拍を作る。
その半拍に踏み込む。
黒を残しすぎず、自分の側に保ったまま間合いをずらす。

春麗の攻撃が入ります。

リュウ戦闘HP:100 → 82
春麗戦闘HP:100 → 96

春麗優勢です。

ただし、リュウが「いい黒だ」と評価します。

春麗精神HP:84 → 76

試合中の評価発言により精神HP被弾。

春麗は「試合中に評価しないで」と返します。

TURN 3:リュウが黒を越え始める

春麗は黒の揺れでリュウの目を誘い、その逆へ入ります。

掌底は浅い。
防がれます。
しかし、防がせた攻撃です。

春麗はまだ優勢。

リュウ戦闘HP:82 → 70
春麗戦闘HP:96 → 90

しかし、次のリュウの拳が速い。

春麗はかわしたつもりでしたが、肩をかすめます。

春麗戦闘HP:90 → 78

ここで春麗は気づきます。

リュウの拳が前より近い。
リュウが黒を越えるまでの速度が前より速い。

リュウの発言。

「春麗が準備してきたからな」
「俺も、準備しないと届かない」

春麗精神HP:76 → 58

この言葉が非常に危険です。

春麗の準備をリュウが見て、自分も準備する側に回っている。

これは、かなり嬉しくて危険な被弾です。

TURN 4:序盤後半・黒はまだ持っている

春麗は黒で半拍遅らせます。

しかし、リュウの拳はその半拍を越えて、春麗の脇へ入ります。

春麗戦闘HP:78 → 62

重い一撃。

しかし、春麗は倒れません。

黒はまだ持っています。

春麗は思わず言います。

「やっぱり強いわね」

リュウの返答。

「春麗も強い」
「本当だ」

春麗精神HP:58 → 46

褒め返しによる精神HP被弾。

この段階で、戦闘HPも精神HPもかなり削れています。

TURN 5:中盤・差が詰まる

春麗はまだ優勢です。

しかし、差は詰まっています。

リュウは、黒の遅れを少しずつ越えてきます。

一度見せた遅れ。
二度目の揺れ。
三度目の半拍。

そのたびにリュウが近づく。

春麗は悔しい。

でも、楽しい。

この中盤の感情が今回の核です。

春麗は黒を大きく揺らし、ギリギリの残し方で視線を誘います。

蹴りがリュウの脇腹に深く入ります。

リュウ戦闘HP:70 → 48

しかし、リュウの拳も止まりません。

春麗の肩に重い一撃。

春麗戦闘HP:62 → 42

互いに大ダメージ。

完全にギリギリの試合へ入っています。

TURN 6:相互到達

春麗が言います。

「今のは、読んでいたわ」
「でも、届いたのね」
「本当に、腹が立つ」

リュウの返答。

「春麗も届いていた」

春麗精神HP:46 → 40

ここは小ダメージです。

春麗は腹立たしいと言いながら、かなり良い試合になっていることを感じています。

さらに春麗は言います。

「あなた相手だと、黒がよく動くわ」

リュウの返答。

「なら、俺ももっと見る」

春麗精神HP:40 → 28

これは強いです。

春麗が黒を見せる。
リュウがもっと見ると言う。
そして春麗は、もう「見なくていい」とは言わない。

代わりに、

「でも、見たうえで遅れなさい」

と返します。

これは黒ドレス戦術としてかなり良い返しです。

TURN 7:終盤開始

終盤。

春麗のHPは残り少ない。

リュウもかなり削れています。

春麗戦闘HP:42
リュウ戦闘HP:48

どちらが勝ってもおかしくない状態です。

春麗は黒を置きます。

いつもの半拍。

リュウがそれを越えます。

しかし、春麗は読んでいました。

さらに奥へ黒をずらす。

二段目の遅れ。

リュウの拳が一瞬だけ迷います。

春麗の蹴りが走る。

決まるはずでした。

TURN 8:決着・リュウが黒に踏み込む

ここでリュウは、黒を避けるのではなく、黒に踏み込みます。

これは今回の決定的な動きです。

黒を越えるのではない。
黒に踏み込んだ。

リュウの拳が春麗の間合いの内側へ入ります。

春麗の蹴りもリュウに深く入ります。

ほぼ同時。

しかし、先に膝をついたのは春麗。

春麗戦闘HP:42 → 0
リュウ戦闘HP:48 → 6

勝者:リュウ

判定:リュウ、紙一重のギリギリ勝利

Web投稿用なので、ギリギリ勝利としてリュウ残HPは6です。

リュウも余裕勝ちではありません。

本当に紙一重です。

TURN 9:敗北直後

春麗は問います。

「……負け?」

リュウは答えます。

「俺の勝ちだと思う」

春麗は「思う、なのね」と返します。

ここでリュウが断言しきれないのは、試合がほとんど同時だったからです。

春麗戦闘HP:0
リュウ戦闘HP:6

春麗精神HP:28 → 25

負けた悔しさはありますが、ここではまだ精神HPは完全には落ちていません。

むしろ、かなり良い勝負だったため、悔しさと納得が混ざっています。

TURN 10:リュウの試合後評価

リュウが言います。

「春麗が、かなり準備してきたからだ」
「最初の一言も、動きも、黒の置き方も」
「いつもより丁寧だった」

春麗精神HP:25 → 10

かなり削れます。

試合には負けた。
その直後に、準備してきたことまで見られていたと知らされる。

これは非常に危険です。

春麗は「勝った直後に、そういうことを言わないで」と返します。

しかしリュウは続けます。

TURN 11:リュウの決定打

リュウの発言。

「春麗は、今日、勝ちに来ていた」
「黒で」
「俺に」
「ぎりぎり勝ちに来ていた」

春麗精神HP:10 → 3

春麗は、完全に危険域です。

春麗自身が思っていたことを、リュウに見抜かれています。

さらにリュウが言います。

「春麗がそこまで準備してきたなら」
「俺も、ただ勝つだけでは足りないと思った」
「今日の春麗には、ぎりぎりで勝ちたかった」

春麗精神HP:3 → 0

精神HPノックアウト。

ここが今回の精神HP決定打です。

春麗が欲しかったものを、リュウも同じ方向から返してきた。

春麗は、リュウにギリギリ勝ちたかった。
リュウは、今日の春麗にはギリギリで勝ちたかった。

この相互認識が刺さっています。

TURN 12:精神HPオーバーキル

リュウはさらに言います。

「今日の春麗は、全部使って俺に勝とうとしていた」
「だから、強かった」

春麗精神HP:0 → オーバーキル

完全に落ちています。

ただし、春麗は倒れません。

黒ドレスの裾を整え、できるだけ平静に振る舞います。

TURN 13:次戦宣言

春麗は言います。

「今日のところは、あなたの勝ちにしておくわ」
「次は、私がギリギリで勝つ」
「今日より準備する」
「今日より黒を届かせる」
「今日より、あなたを遅らせる」

これは敗北後の再起宣言です。

精神HPは落ちていますが、闘志は折れていません。

リュウの返答。

「なら、俺も今日より見る」

春麗精神HP:0 → オーバーキル継続

危険すぎる返答です。

TURN 14:追撃ラスト

春麗が去ろうとしたところで、リュウが言います。

「次の黒も、見たい」

春麗精神HP:0 → 追加オーバーキル

これはラスト追撃です。

春麗は振り返らずに返します。

「見るだけでは、遅れるわよ」

リュウの返答。

「ああ。だから、見てから動く」

さらに危険。

春麗は撤退します。

ESCAPE EVENT:撤退

春麗は撤退します。

戦闘結果:敗北
精神HP:0
闘志:残存
黒:沈まず、燃焼状態

撤退理由:
これ以上いると精神HPが完全に持たないため。

ただし、この撤退は敗走ではありません。

次戦のための撤退です。

FINAL RESULT

戦闘HP判定

黒執着春麗:0 / 100
リュウ:6 / 100

勝者:リュウ
判定:リュウ、紙一重のギリギリ勝利

精神HP判定

黒執着春麗:0 / 100
リュウ:100 / 100

精神HP勝者:リュウ

精神HP決定打:

「今日の春麗には、ぎりぎりで勝ちたかった」

総合判定

戦闘:リュウのギリギリ勝利
精神HP:春麗ノックアウト
黒の状態:沈まず、燃える
次戦意欲:最大

BATTLE LOG 簡易版

TURN 0
春麗、黒ドレスで出撃準備。
勝った後用の煽りまで考えている自分を認識。

TURN 1
開幕前、リュウに準備を見抜かれる。
春麗精神HP:100 → 84

TURN 2
序盤は春麗優勢。
黒で半拍を作り、攻撃を入れる。
リュウHP:100 → 82
春麗HP:100 → 96

TURN 3
リュウが黒を越え始める。
春麗HP:96 → 78

TURN 4
リュウ「俺も、準備しないと届かない」
春麗精神HP:76 → 58

TURN 5
中盤、互いに深く届く。
リュウHP:70 → 48
春麗HP:62 → 42

TURN 6
春麗「あなた相手だと、黒がよく動くわ」
リュウ「なら、俺ももっと見る」
春麗精神HP:40 → 28

TURN 7
終盤、春麗が二段目の遅れを仕掛ける。

TURN 8
リュウが黒に踏み込む。
ほぼ同時打撃。
春麗HP:42 → 0
リュウHP:48 → 6

TURN 9
リュウ、紙一重で勝利。

TURN 10
リュウが春麗の準備を見抜いていたことを告げる。
春麗精神HP:25 → 10

TURN 11
リュウ「今日の春麗には、ぎりぎりで勝ちたかった」
春麗精神HP:10 → 0

TURN 12
リュウ「だから、強かった」
精神HPオーバーキル。

TURN 13
春麗、次戦宣言。
「次は、私がギリギリで勝つ」

TURN 14
リュウ「次の黒も、見たい」
追加オーバーキル。
春麗、撤退。

今回の決まり手

戦闘の決まり手は、

リュウが黒を避けるのではなく、黒に踏み込んだこと

です。

春麗は二段目の遅れまで用意していました。

普通なら、そこで決まっていました。

しかしリュウは、黒を見て、越えて、さらに踏み込んできた。

これにより、春麗の蹴りも入ったが、リュウの拳も春麗の内側へ届いた。

その差は紙一重。

だからリュウの残HPは6です。

精神HPの決まり手は、

今日の春麗には、ぎりぎりで勝ちたかった

です。

これは春麗の欲望を、リュウ側から返した言葉です。

春麗はリュウにギリギリ勝ちたかった。
リュウは、今日の春麗にはギリギリで勝ちたかった。

この相互認識が、春麗の精神HPを完全に持っていきました。

今回のまとめ

今回のバトルは、春麗が負ける回です。

しかし、黒が弱くなった回ではありません。

むしろ、黒が強くなったからこそリュウが本気で踏み込んできた回です。

春麗は全部使った。

黒も。
言葉も。
間合いも。
準備も。
煽りも。

そのうえで負けた。

だから悔しい。

でも、黒は沈まない。

次に勝つために燃える。

今回の最終結果は、

戦闘:リュウの紙一重勝利。
精神HP:春麗ノックアウト。
黒:沈まず、次戦へ燃焼。
春麗の結論:次は、私がギリギリで勝つ。

です。

今回の黒は、負けた黒です。

でも、沈んだ黒ではありません。

次に勝つための黒です。
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