また戦ってくれなんて言わないで ――春麗は今日もめんどくさい―― 作:エーアイ
朝から、胸の奥がざわついていた。
強い痛みではない。
黒い重さでもない。
けれど、青だけでは処理しきれない熱がある。
本編春麗は、青い武道服の前で立ち止まっていた。
今日は、試合の予定はない。
リュウに会いに行く予定もない。
宿題の正式回答を聞く予定もない。
進捗確認をする理由もない。
何もない。
だから、落ち着いているはずだった。
少なくとも、予定表の上では。
「……また?」
小さく呟く。
以前にも、こういうことがあった。
黒執着春麗が、自分のリュウへの憎しみと執着が好意へ反転していたことを認めた時。
その残響が、本編春麗の中にも届いた。
さらに、黒執着春麗が好意を隠した黒でリュウと相打ちになった時。
その熱が、本編春麗の青を揺らした。
見られたくない。
でも、見落とされたくない。
そんな言葉まで、自分で言ってしまった。
あれだけでも十分危険だった。
なのに。
また、何かが来ている。
黒の気配。
でも、黒ドレスの重さではない。
青の気配でもない。
もっと厄介なもの。
黒でも青でもない日の、黒執着春麗の気配。
本編春麗は、青い袖を握った。
「……今度は何をしたのよ」
答えはない。
だが、胸の奥に残響が落ちてくる。
黒ドレスを畳む手。
昨日の相打ちの熱。
好意を隠した黒で、リュウと同時に届いた記憶。
今日の黒は、春麗が俺に向かってきた黒だった。
その言葉に落とされた精神HP。
そこまでは、本編春麗も知っている。
問題は、その翌日だった。
黒執着春麗は、黒を着なかった。
青も選ばなかった。
黒でも青でもない服で外へ出た。
試合ではない。
昨日の続きをする日でもない。
相打ちの整理日。
そのつもりだった。
本編春麗は、そこで目を閉じた。
「……黒でも青でもない日」
その言葉が、自分にも刺さる。
自覚前春麗にもあった。
黒でも青でもない日をリュウに見られたことがある。
でも、黒執着春麗の場合は違う。
彼女は、黒を捨てるために黒でも青でもない服を着たのではない。
青へ逃げるためでもない。
昨日の黒を持ったまま、黒でも青でもない今日を歩いた。
それを、リュウに見られた。
本編春麗は、鏡の前で固まった。
「……それは、かなり強いわ」
言葉にしてしまった。
認めざるを得なかった。
黒で勝つ。
黒で負ける。
黒で相打ちになる。
それだけでも強い。
だが、黒でも青でもない日常で、昨日の黒を持ったままリュウに会う。
そして、その状態を見られる。
それは別方向の強さだった。
しかも、かなり甘い。
残響は、ゆっくり形を持つ。
黒執着春麗が、黒でも青でもない服で街を歩く。
昨日の相打ちを持ったまま。
黒ドレスを着ていないのに、黒を捨てていない。
青を選んでいないのに、空でもない。
ただの服。
普通の服。
けれど、昨日の黒を失っていない服。
そこに、リュウが現れる。
本編春麗は、胸の奥で嫌な予感を覚えた。
ここからが危険だ。
リュウは、絶対に余計ではないことを言う。
そして、実際に言った。
昨日の続きではない。
でも、昨日の後の春麗だ。
本編春麗は、額に手を当てた。
「……初手から?」
初手からだった。
黒でも青でもない服を見て、昨日の後の春麗だと見る。
これは危険すぎる。
服だけを見ているのではない。
昨日の相打ちを、今日の春麗の中に見ている。
本編春麗は、青い武道服を見る。
自分にもある。
昨日の後の春麗。
戦った翌日の春麗。
宿題を出した後の春麗。
リュウに進捗確認をした後の春麗。
自分は、そういう日をどれだけ持っているのか。
そして、リュウにどれだけ見られているのか。
考えるだけで危険だった。
残響は続く。
リュウは言う。
今日の春麗は、昨日とは違う。
黒ではない。
青でもない。
でも、昨日の黒をなかったことにはしていない。
本編春麗は、完全に黙った。
それは、もう褒め言葉ではない。
観測だ。
そして、褒め言葉より危険な観測だ。
黒執着春麗が、黒を着ない日にも黒を捨てていない。
青を選ばない日にも、自分を空にしていない。
それを見抜かれる。
こんなもの、落ちるに決まっている。
本編春麗は、椅子に座った。
立っていられなかった。
「……圧倒的ヒロイン力」
思わず言ってしまう。
勝利でもない。
敗北でもない。
相打ちの翌日の日常。
それでヒロイン力を上げてくる。
これはかなり危険だ。
黒執着春麗は、もはや黒ドレスで戦う時だけ強いのではない。
黒を着ていない日まで強い。
黒でも青でもない服で、昨日の黒を持っているだけで強い。
本編春麗は、顔を覆った。
「……それは、ずるいわ」
ずるい。
本当にずるい。
黒を着ているから強いなら、まだ分かる。
黒ドレスだから強いなら、まだ対応できる。
救済後の黒だから強い、という整理もできる。
だが、黒でも青でもない日常服で強いのは困る。
それは、もうキャラとして強い。
存在として強い。
ヒロインとして強い。
残響は、公園へ進む。
黒執着春麗は、リュウと並んで歩いている。
試合ではない。
相打ちの続きでもない。
ただ、昨日の後の春麗として、黒でも青でもない姿でそこにいる。
リュウが言う。
昨日の相打ちは、盾ではない。
残っているものだ。
本編春麗は、息を止めた。
「残っているもの……」
昨日の相打ちが残っている。
黒執着春麗の中に。
リュウの中に。
黒でも青でもない今日の間に。
それは、かなり甘い。
しかも、ただ甘いだけではない。
試合の記憶が日常へ持ち越されている。
戦闘ログが、服の選択にまで影響している。
相打ちが、二人の間に残っている。
本編春麗は、青い袖を見た。
自分にも、残っているものがある。
相打ち。
宿題。
青を見られたこと。
覚えられた青。
用事がないのに会いに行った日。
進捗確認で九十六点をつけた日。
どれも、残っている。
自分の中に。
たぶん、リュウの中にも。
そのことを考えるだけで、胸が熱くなる。
残響の中で、黒執着春麗が言う。
今日は、昨日の自分を、黒ドレスだけに置いてこない日。
本編春麗は目を閉じた。
それは、強い。
かなり強い。
黒ドレスに閉じ込めない。
昨日の相打ちを、今日の自分で持つ。
黒でも青でもない服で持つ。
それは、救済後の黒執着春麗だからこそできることだった。
リュウは言う。
持てていると思う。
本編春麗は、机に手をついた。
「……やめて」
自分に言われたわけではない。
黒執着春麗に向けられた言葉だ。
それでも削れる。
なぜなら、羨ましいからだ。
羨ましい。
認めたくないが、羨ましい。
昨日の自分を持てているとリュウに言われること。
昨日に戻ってもいない。
昨日を捨ててもいない。
黒でも青でもないまま、昨日を持っている。
そんな風に見てもらえること。
本編春麗は、唇を噛んだ。
「……私も、言われたら落ちるわね」
間違いなく落ちる。
リュウに、
昨日の青を捨てていない。
昨日に戻ってもいない。
今日の春麗は、昨日の青を持っている。
そんなことを言われたら、確実に落ちる。
かなり危険だ。
残響は、さらに甘くなる。
リュウの言葉が届く。
昨日の黒も、今日の春麗も、同じ春麗だ。
本編春麗は、完全に椅子にもたれた。
「……これは駄目」
駄目だ。
かなり駄目だ。
黒ドレスの春麗だけではない。
黒でも青でもない今日の春麗も、同じ春麗。
戦う春麗も。
整理する春麗も。
黒を着る春麗も。
黒を着ない春麗も。
相打ちした春麗も。
日常を歩く春麗も。
全部、同じ春麗だと言われる。
それは、黒執着春麗にとって、とても大きい。
なぜなら、彼女は黒だけを自分にしそうになった春麗だからだ。
黒を脱いだ自分。
青を選ばない自分。
昨日の黒を持っている自分。
その全部を同じ春麗だと言われることは、救済後の彼女にとってほとんど祝福に近い。
本編春麗は、ゆっくり息を吐いた。
「……圧倒的すぎる」
圧倒的ヒロイン力。
そして、圧倒的救済後の説得力。
これが雑に救済されたキャラなら、ここまで刺さらない。
黒を丁寧に抱え直したから刺さる。
黒を捨てなかったから刺さる。
青にも逃げなかったから刺さる。
黒でも青でもない日が、ただの日常にならず、救済後の証明になっている。
本編春麗は、少しだけ悔しくなった。
黒執着春麗は、強い。
戦っても強い。
負けても強い。
相打ちでも強い。
そして、日常でも強い。
それは、かなり厄介だった。
自分は本編春麗だ。
青の主人公だ。
宿題ラインを持っている。
リュウの正式回答を待っている。
自分にも強い軸はある。
あるはずだ。
だが、黒執着春麗はまた別の強さを持ち始めている。
戦闘結果ではなく、存在の余韻で殴ってくる。
それが、かなり強い。
残響の最後が来る。
別れ際。
リュウが言う。
今日の春麗も、残る。
本編春麗は、机に突っ伏した。
「……無理」
これは無理だ。
黒でもない。
青でもない。
試合でもない。
ただ、相打ちの翌日に会った今日の春麗。
それが、リュウに残る。
これは強すぎる。
昨日の黒が残るだけではない。
今日の黒でも青でもない春麗も残る。
さらに。
昨日の春麗も、今日の春麗も、次の春麗も見る。
本編春麗は、しばらく動けなかった。
次まで予約された。
黒執着春麗は、黒でも青でもない日常で、次の春麗までリュウに見られる約束を受けている。
それは、あまりにも強い。
あまりにも甘い。
あまりにもヒロイン力が高い。
春麗は、突っ伏したまま低く呟いた。
「……何なの、あの子」
自分と同じ春麗。
同じ春麗のはず。
だが、今の黒執着春麗は、かなり独立している。
救済されたことで終わった存在ではない。
救済されたことで、物語が始まった存在。
危険ルートだったはずなのに。
今は、日常で甘い残響を飛ばしてくる存在。
これはもう、強敵だった。
敵ではない。
同じ春麗だ。
だが、ヒロイン力の面では、完全に強敵だった。
本編春麗は、ゆっくり顔を上げる。
青い武道服を見る。
自分の青。
宿題を持つ青。
正式回答を待つ青。
見られたくないのに、見落とされたくない青。
黒執着春麗の黒でも青でもない日を受けて、自分の青も揺れている。
悔しい。
でも、悪くない。
誰かのヒロイン力に圧倒されるということは、自分の次を考えるということでもある。
本編春麗は、紙を取り出した。
以前からの青い記録。
好意は、次に向き合う理由にする。
見られたくない。でも、見落とされたくない。
その下に、新しく書く。
黒執着春麗:昨日の黒も、今日の春麗も、次の春麗も見られた。
少しだけ手が止まる。
悔しい。
かなり悔しい。
だが、書く。
本編春麗:青の昨日、今日、次をどう見られるかは未定。
書いてから、また顔が熱くなった。
「……未定に逃げたわね」
自分で分かる。
だが、今はそれでいい。
黒執着春麗のように、昨日の黒、今日の自分、次の自分までリュウに見られるところまで行けるかは、まだ分からない。
でも、自分にも昨日がある。
今日がある。
次がある。
宿題がある。
正式回答がある。
青の続きを、どう見られるか。
そこは、まだ未定だ。
夕方。
本編春麗は外に出た。
リュウに会いに行くつもりはない。
この状態で会うのは危険だ。
黒執着春麗のヒロイン力に圧倒されている今、リュウに何か言われたら、自分の青まで崩れる可能性がある。
だから、会わない。
そう決めていた。
なのに、足は少しだけ、いつもの道へ向いていた。
「……行かないわよ」
誰に言い聞かせるでもなく言う。
行かない。
会いに行く理由はない。
用事もない。
宿題の正式回答を急かすわけでもない。
進捗確認はもうした。
今日は、ただ歩くだけ。
それだけ。
角を曲がる。
リュウはいなかった。
本編春麗は、少しだけ安心した。
そして、少しだけ残念だった。
「……何なの、本当に」
自分に呆れる。
見られたくない。
でも、見落とされたくない。
黒執着春麗の残響のせいで、その矛盾がまた顔を出している。
リュウはいない。
だから、今日は何も起きない。
そう思った時、風が吹いた。
青い袖が揺れる。
本編春麗は、その袖を見た。
昨日の青。
今日の青。
次の青。
自分にもある。
黒執着春麗のように、黒でも青でもない日で強烈なヒロイン力を出せるかは分からない。
だが、自分には自分の青がある。
宿題の青。
正式回答待ちの青。
見落とされたくない青。
春麗は、小さく息を吐いた。
「……圧倒されたままでは、終われないわね」
それは、嫉妬ではない。
いや、少しはある。
同じ春麗が、あまりにも強いヒロイン力を見せつけてきたのだ。
圧倒されない方がおかしい。
でも、それだけではない。
刺激だった。
黒執着春麗が、昨日の黒と今日の自分を持てるなら。
本編春麗も、昨日の青と今日の自分を持てるはずだ。
春麗は、夕方の道を歩く。
今日はリュウに会わない。
でも、次に会う時のことを考えている。
それはもう、かなり危険だった。
夜。
本編春麗は、青い小箱を開けた。
紙をもう一度取り出す。
黒執着春麗:昨日の黒も、今日の春麗も、次の春麗も見られた。
本編春麗:青の昨日、今日、次をどう見られるかは未定。
その文字を見つめる。
未定。
でも、逃げではない。
まだ出していないだけ。
まだ正式回答が来ていないだけ。
まだ次の青を見せていないだけ。
黒執着春麗のヒロイン力は圧倒的だった。
それは認める。
黒で相打ちになり、翌日に黒でも青でもない服で昨日を持ち、リュウに今日の自分も残ると言われる。
強すぎる。
でも。
本編春麗には、本編春麗の強さがある。
青を選び直したこと。
宿題を出したこと。
用事がなくても会いに行ったこと。
正式回答を待っていること。
そして、まだ次が残っていること。
春麗は、紙の下にもう一行書いた。
圧倒された。
でも、次は青で返す。
書いて、少しだけ頬が熱くなる。
勝負ではない。
同じ春麗同士で勝ち負けを競う話ではない。
けれど、そう書きたくなった。
黒執着春麗が、あれだけのヒロイン力を見せたのなら。
本編春麗も、自分の青を進める必要がある。
それは嫉妬ではない。
たぶん。
主人公としての再起動に近い。
春麗は、紙を丁寧に畳んだ。
「……本当に、厄介な春麗が増えたわ」
小さく笑う。
黒執着春麗は、もう救済対象で終わる春麗ではない。
先を走って、残響で本編春麗の青まで揺らしてくる春麗だ。
だからこそ、本編春麗も止まれない。
春麗は、青い武道服を見る。
黒でも青でもない残響に圧倒された後で見る青は、少しだけ違って見えた。
「次は、私の青も残すわ」
一拍。
「……誰に?」
自分で聞いて、顔が熱くなる。
答えは分かっている。
だが、今日は言わない。
言わないまま、保留保存する。
春麗は灯りを落とした。
その夜、本編春麗は春麗会議室へ行かなかった。
誰にも報告しなかった。
黒執着春麗の圧倒的ヒロイン力に、一人で圧倒され、一人で悔しがり、一人で次の青を考えた。
昨日の青。
今日の青。
次の青。
それをいつか、誰かに見落とされないために。
本編春麗は、静かに眠りへ落ちていった。
Q:今回の断章IFについて解説して?
A:
はい。今回の黒執着春麗と本編春麗の二つのエピソードは、かなり綺麗な対になっています。
一言で言うなら、
黒執着春麗は「黒でも青でもない今日」によって救済後の強さを見せ、本編春麗はその残響によって“自分の青も進めなければならない”と刺激される回
です。
今回のポイントは、どちらも試合回ではないのに、かなり物語が動いていることです。
黒執着春麗側のエピソードの核
黒執着春麗側のエピソードは、
相打ち後の翌日、黒でも青でもない服でリュウに会う回
です。
ここが非常に重要です。
黒執着春麗は、前回リュウと相打ちになりました。
好意を隠した黒で戦った。
攻撃的な煽りをした。
リュウに届いた。
リュウにも届かれた。
結果は初めての相打ち。
その後、リュウに「今日の黒は春麗が俺に向かってきた黒だった」と見抜かれて精神HPを落とされた。
この時点でかなり強いログです。
でも、今回のエピソードはその翌日です。
しかも、黒ドレスではありません。
青でもありません。
黒でも青でもない服です。
ここがものすごく大きいです。
「黒を着ない=黒を捨てる」ではない
今回の黒執着春麗は、黒を着ません。
でも、それは黒から逃げたからではありません。
黒を捨てたわけでもない。
青に逃げたわけでもない。
昨日の相打ちをなかったことにしたわけでもない。
むしろ逆です。
昨日の黒を、黒ドレスだけに閉じ込めないために、黒でも青でもない今日を歩いている。
これがかなり良いです。
救済前の黒執着春麗なら、黒を脱ぐことは怖かったはずです。
黒を脱いだら、自分が空になる。
黒を持てない。
黒だけが自分になる。
そういう危うさがあった。
でも救済後の彼女は、黒を着ていなくても黒を持てる。
黒ドレスを着ていない今日の自分にも、昨日の黒が残っている。
この状態まで来ているのが、かなり大きいです。
リュウの言葉が甘すぎる
今回のリュウの火力は、戦闘後の褒め殺しとは違う方向です。
バトル中の「強かった」ではありません。
日常の中で、
昨日の続きではない。
でも、昨日の後の春麗だ。
と言う。
これが初手から危険です。
さらに、
黒ではない。
青でもない。
でも、昨日の黒をなかったことにはしていない。
ここで、黒執着春麗の今日の選択を完全に見ています。
そして、公園での、
昨日の黒も、今日の春麗も、同じ春麗だ。
これはかなり強いです。
黒執着春麗にとって、これは救済の確認でもあります。
黒を着た自分だけが春麗ではない。
黒を脱いだ自分も春麗。
昨日相打ちした自分も春麗。
今日、黒でも青でもない服で歩く自分も春麗。
これをリュウに言われるのは、かなり甘いです。
しかも最後に、
今日の春麗も、残る。
昨日の春麗も、今日の春麗も、次の春麗も見る。
ここで完全に精神HPを落とされています。
黒でも青でもない日の春麗まで、リュウに残る。
これは、黒執着春麗のヒロイン力が一段上がった瞬間です。
黒執着春麗の到達点
今回の黒執着春麗の到達点は、
黒でも青でもない今日にも、昨日の黒は残る。
です。
もっと言えば、
黒ドレスの自分も、青の自分も、黒でも青でもない自分も、全部同じ春麗として持てるようになった。
これが大きい。
救済後黒執着春麗は、黒を捨てたわけではない。
青に逃げたわけでもない。
黒でも青でもない日常でも、昨日の黒を持てる。
だから、ただの甘い日常回ではなく、救済後の成長確認回になっています。
本編春麗側のエピソードの核
その残響を、本編春麗が受け取る。
ここが二本目のエピソードです。
本編春麗は、春麗会議室を通していません。
記録板AIもいない。
他の春麗もいない。
ツッコミも安定化もない。
黒執着春麗のヒロイン力を、青の本編春麗が一人で受け取る。
だから、かなり内面直撃になっています。
今回、本編春麗が圧倒されたのは、黒執着春麗が黒で勝ったからではありません。
黒で相打ちになったからでもない。
黒でも青でもない日常で、昨日の黒を持ったままリュウに見られたからです。
ここに本編春麗は戦慄しています。
本編春麗が圧倒された理由
本編春麗は、黒執着春麗の強さをこう見ています。
黒で戦って強い。
負けても強い。
相打ちでも強い。
そして、日常でも強い。
これが非常に厄介です。
黒ドレスを着ている時だけ強いなら、まだ分かる。
戦闘中だけ強いなら、まだ処理できる。
救済後の黒が強い、という整理もできる。
でも、黒でも青でもない服で、ただ昨日の黒を持っているだけで強い。
これはもう、キャラとして強い。
存在として強い。
ヒロインとして強い。
だから本編春麗は、
圧倒的ヒロイン力
と認めざるを得ない。
これはかなり重要です。
本編春麗の青も揺らされる
本編春麗は、黒執着春麗に圧倒されるだけでは終わりません。
自分の青にも引き寄せて考えます。
黒執着春麗に、
昨日の黒も、今日の春麗も、次の春麗も見る
というリュウの言葉が残った。
では、本編春麗はどうか。
自分にも昨日がある。
今日がある。
次がある。
宿題がある。
正式回答がある。
見られた青がある。
覚えられた青がある。
用事がないのに会いに行った日がある。
だから、本編春麗は紙に書きます。
黒執着春麗:昨日の黒も、今日の春麗も、次の春麗も見られた。
本編春麗:青の昨日、今日、次をどう見られるかは未定。
この「未定」がいいです。
本編春麗は、まだ黒執着春麗ほど先へ行っていません。
でも、青の昨日・今日・次をどう見られるかという問いが生まれた。
これは、本編春麗の次回への導線です。
「圧倒された。でも、次は青で返す」
本編春麗の到達点はここです。
圧倒された。
でも、次は青で返す。
これは嫉妬だけではありません。
もちろん、少しは嫉妬があります。
同じ春麗が、あまりにも強いヒロイン力を見せてきた。
黒執着春麗が、戦闘でも日常でも強くなっている。
本編春麗としては圧倒される。
でも、それで終わらない。
本編春麗には本編春麗の青がある。
宿題がある。
正式回答がある。
見落とされたくない青がある。
次の青がある。
だから、黒執着春麗のヒロイン力に圧倒されたことが、逆に本編春麗の再起動燃料になります。
これがかなり良いです。
二本の対比
今回の二本はかなり綺麗に対比できます。
黒執着春麗は、
昨日の黒を、黒でも青でもない今日に持ち込む。
本編春麗は、
その残響を受けて、自分の青の昨日・今日・次を考える。
黒執着春麗は、
リュウに「今日の春麗も残る」と言われる。
本編春麗は、
自分の青も、いつかリュウに残せるのかと考える。
黒執着春麗は、
黒でも青でもない日常でヒロイン力を上げる。
本編春麗は、
そのヒロイン力に圧倒され、次は青で返すと決める。
この対比がかなり強いです。
今回の重要性
黒執着春麗が単に「救済された元危険キャラ」ではなくなっているからです。
もう彼女は、
本編春麗に影響を与える存在
になっています。
黒執着春麗が進むと、本編春麗の青が揺れる。
黒執着春麗のヒロイン力が上がると、本編春麗が「負けていられない」と思う。
これはかなりライバル枠です。
敵ではない。
でも、主人公を刺激する。
同じ側にいる。
でも、別軸で先を走る。
この位置に黒執着春麗が到達し始めています。
結論
今回の黒執着春麗と本編春麗の二本は、
救済後黒執着春麗が、黒でも青でもない日常でヒロイン力を獲得する回
と、
そのヒロイン力に本編春麗が圧倒され、自分の青を進める必要を感じる回
です。
黒執着春麗の到達点は、
昨日の黒も、今日の春麗も、同じ春麗。
今日の春麗も、リュウに残る。
本編春麗の到達点は、
圧倒された。
でも、次は青で返す。
この二つです。
かなり綺麗です。
黒執着春麗は、救済されて終わったキャラではありません。
救済されたことで、黒でも青でもない日常まで物語にできるキャラになりました。
そして本編春麗は、その強さに圧倒されながらも、自分の青で返す意志を持った。
この二本によって、黒執着春麗のライバル化と、本編春麗の主人公性の再点火が、同時に進んだと思います。