また戦ってくれなんて言わないで ――春麗は今日もめんどくさい――   作:エーアイ

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※これはディレクターズカットIFです。
本編のIFシリーズは無関係のエピソードとなります。


ディレクターズカットIF:黒執着春麗は、黒ドレスで発勁事故ログに足を取られて負ける

 記録板AIは、黒い棚の前で表示を切り替えた。

 

 本編確定ログではない。

 

 青い小箱でもない。

 

 春麗会議室の通常議題でもない。

 

 ディレクターズカットIF領域。

 

 黒執着春麗の棚にだけ置かれる、危険な検証ログだった。

 

『本記録は、ディレクターズカットIFです』

 

『本編確定ログではありません』

 

『妄想章IF後日談の時空でも発生していません』

 

『本編時空への直接反映は禁止推奨です』

 

 一拍。

 

『今回の検証主題を説明します』

 

『本記録における黒執着春麗は、黒ドレスでリュウと試合を行います』

 

『ただし、発勁は使用しません』

 

『関連元となるログは、発勁勝利後のリュウ倒れ込み事故です』

 

『当該ログでは、黒執着春麗が発勁でリュウに勝利した後、リュウが一時意識を落とし、春麗側へ倒れ込む事故が発生しました』

 

『事故です』

 

『完全な事故です』

 

『ただし、精神HPへの影響は極めて大きく、黒執着春麗の戦闘判断へ残響を残しています』

 

 記録板AIは、淡々と続けた。

 

『本記録では、黒執着春麗が黒ドレスを着用したまま、その事故ログを意識しすぎた場合を検証します』

 

『発勁を封印する』

 

『倒れる方向管理を意識する』

 

『黒ドレスで戦っているにもかかわらず、目の前の拳ではなく過去の事故ログを見る』

 

『その結果、リュウの拳をまともに受け、一時気絶する』

 

『さらに、リュウに介抱される』

 

 一拍。

 

『注意事項』

 

『黒執着春麗本人は、本記録をディレクターズカットIFとして認識していません』

 

『本記録は、発勁事故ログの続編ではなく、事故ログの残響による敗北検証です』

 

『甘い介抱ログではありません』

 

『ただし、精神HP被弾は発生します』

 

 最後に、記録板AIは表示した。

 

『黒執着春麗・黒ドレス発勁事故ログ想起敗北検証、開始します』

 


 

 黒執着春麗は、棚の前に立っていた。

 

 黒がある。

 

 青がある。

 

 どちらも畳まれている。

 

 どちらも、自分が選んだもの。

 

 黒で勝った。

 

 青でも勝った。

 

 黒を棚に置くこともできた。

 

 青を棚に置くこともできた。

 

 だから、今日は落ち着いている。

 

 落ち着いているはずだった。

 

 春麗は、黒ドレスへ視線を向けた。

 

 今日は、黒を着る。

 

 黒ドレスで戦う。

 

 見られることも、間合いも、半拍も、視線誘導も、全部含めて黒として扱う。

 

 ただし。

 

 発勁は使わない。

 

 春麗は、棚の横に置いた封筒を見た。

 

 表には、こう書かれている。

 

 発勁勝利後、リュウ倒れ込み事故。

 

 春麗は、すぐに視線を逸らした。

 

「……見ない」

 

 一拍。

 

「今日は見ない」

 

 そう決めていた。

 

 あのログは危険だ。

 

 発勁で勝った。

 

 リュウを落とした。

 

 勝利は春麗。

 

 そこまではいい。

 

 問題は、その後だ。

 

 リュウが気絶して倒れ込んできた。

 

 自分は支えきれなかった。

 

 結果として、押し倒されたような形になった。

 

 事故。

 

 完全な事故。

 

 戦闘後救護。

 

 安全確認。

 

 甘いものではない。

 

 断じて違う。

 

 そう整理した。

 

 整理したはずだった。

 

 だが、封筒を見ただけで顔が熱くなる。

 

 これはまずい。

 

 非常にまずい。

 

「今日は、黒ドレスで普通に戦う」

 

 春麗は言った。

 

「発勁事故ログは参照しない」

 

 一拍。

 

「倒れる方向管理も、今日は考えない」

 

 言ってから、自分で少し詰まった。

 

 倒れる方向管理。

 

 何を訓練項目にしているのか。

 

 春麗は額に手を当てた。

 

「……駄目ね」

 

 もう考えている。

 

 かなり考えている。

 

 今日は黒ドレスで戦う。

 

 黒を使う。

 

 視線も使う。

 

 間合いも使う。

 

 リュウの反応も見る。

 

 ただし、発勁は使わない。

 

 今日は使わない。

 

 使うと余計なことを思い出す。

 

 リュウが倒れる。

 

 倒れ込む。

 

 近い。

 

 重い。

 

 事故。

 

 救護。

 

 春麗は頭を振った。

 

「使わないと言っているでしょう」

 

 誰に言っているのか分からない。

 

 自分に。

 

 封筒に。

 

 黒ドレスに。

 

 たぶん全部だった。

 


 

 リュウは、いつもの場所にいた。

 

 春麗を見る。

 

 黒ドレスの春麗を見る。

 

 黒を警戒する目。

 

 春麗を見る目。

 

 そして、以前の黒を知っている者の目。

 

 その視線だけで、春麗の精神HPが少し削れた。

 

「リュウ」

 

「春麗」

 

「今日は、発勁は使わないわ」

 

 リュウは少しだけ首を傾げた。

 

「そうなのか」

 

「ええ」

 

「なぜだ」

 

 聞かないでほしい。

 

 非常に聞かないでほしい。

 

 春麗は少しだけ視線を逸らした。

 

「今日は、別の確認をするから」

 

「そうか」

 

「それ以上は聞かないで」

 

「ああ」

 

 素直に頷く。

 

 それがまた危険だった。

 

 聞かれないと、逆に自分の中で説明が増える。

 

 なぜ使わないのか。

 

 発勁で勝つこと自体が嫌なわけではない。

 

 むしろ、勝ち筋としては強い。

 

 ただ、その後の倒れ込み事故が危険なだけで。

 

 いや、事故は発勁の問題ではない。

 

 リュウが最後まで来るから悪い。

 

 いや、リュウは悪くない。

 

 意識を落としただけ。

 

 落としたのは自分。

 

 倒れた方向が悪い。

 

 方向を計算すればいい。

 

 だから、次は──

 

「春麗」

 

 リュウの声で、春麗は我に返った。

 

「……何?」

 

「始めるのか」

 

 春麗は、自分がまだ構えていないことに気づいた。

 

 リュウは待っている。

 

 まっすぐに。

 

 何も急かさずに。

 

 それがまた、少し刺さった。

 

「始めるわ」

 

 春麗は構える。

 

 黒ドレスの裾が、わずかに揺れる。

 

「今日は、止まらない」

 

「ああ」

 

「あなたも止まらないのでしょう」

 

「ああ」

 

「なら、倒れないで」

 

 言った瞬間、春麗は固まった。

 

 言ってしまった。

 

 発勁事故ログを参照しないはずだったのに。

 

 リュウは少しだけ考える。

 

「倒れないようにする」

 

「……そういう意味ではないわ」

 

「そうなのか」

 

「そうよ」

 

 春麗は顔を背ける。

 

「もういい。来なさい」

 

 リュウは構えた。

 

 春麗も踏み込んだ。

 


 

 序盤は、春麗が速かった。

 

 黒ドレスの半拍。

 

 裾の揺れ。

 

 視線の誘導。

 

 踏み込みの直前に入る、わずかな間。

 

 春麗は、その黒を使ってリュウの拳を外す。

 

 リュウは受ける。

 

 受けながら返す。

 

 拳が来る。

 

 春麗は見えている。

 

 外せる。

 

 外せるはず。

 

 だが、拳の軌道が胸の前を通る瞬間、頭に余計なものがよぎった。

 

 発勁。

 

 近距離。

 

 リュウの胸。

 

 意識が落ちる。

 

 倒れ込む。

 

 重さ。

 

 呼吸。

 

 事故。

 

 完全な事故。

 

 次は、倒れる前に横へずらす。

 

 支えないとは言っていない。

 

 その一瞬。

 

 ほんの一瞬。

 

 春麗の反応が遅れた。

 

 リュウの拳が、肩に入る。

 

「……っ!」

 

 重い。

 

 かなり重い。

 

 受けるはずの拳ではなかった。

 

 本来なら外せた。

 

 春麗の足が一歩下がる。

 

 リュウが止まる。

 

「春麗」

 

「止まらないで」

 

「だが」

 

「止まらないでと言ったでしょう」

 

 春麗は言い切った。

 

 この程度で止められたら困る。

 

 それに、止められると余計に意識する。

 

 リュウは頷き、再び構える。

 

 春麗は呼吸を整えた。

 

 大丈夫。

 

 今のは油断。

 

 いや、油断ではない。

 

 事故ログの残響。

 

 つまり精神HP被弾。

 

 戦闘中に処理するものではない。

 

 春麗は、踏み込んだ。

 

 黒ドレスの裾が揺れる。

 

 蹴り。

 

 リュウが受ける。

 

 掌底。

 

 リュウが半歩下がる。

 

 今度は取れた。

 

 大丈夫。

 

 戦える。

 

 黒は動いている。

 

 リュウも見えている。

 

 そう思った瞬間、リュウの拳が返ってくる。

 

 春麗は受ける。

 

 受けた。

 

 しかし、拳の重さで、また思い出す。

 

 倒れ込んできた時の重さ。

 

 発勁で落とした後のリュウの重さ。

 

 自分の上にあった重さ。

 

 春麗の呼吸が乱れた。

 

 リュウの二撃目が来る。

 

 今度は、まともに入った。

 

 脇腹。

 

 呼吸が止まる。

 

 視界がわずかに揺れる。

 

「春麗!」

 

 リュウの声が近い。

 

 春麗は、膝をつきかけた。

 

 まだ落ちない。

 

 落ちない。

 

 ここで落ちたら、本当に発勁事故ログに負けたことになる。

 

 春麗は足を踏みしめる。

 

「……大丈夫よ」

 

「大丈夫には見えない」

 

「あなたが判断しないで」

 

「だが」

 

「私はまだ立っている」

 

 言葉だけは強い。

 

 しかし、身体は正直だった。

 

 肩が重い。

 

 脇腹が痛む。

 

 呼吸が浅い。

 

 そして何より、頭の奥にあのログが貼りついている。

 

 リュウが倒れる。

 

 自分が倒れる。

 

 近い。

 

 重い。

 

 事故。

 

 勝ったはずなのに動けない。

 

 それを思い出したせいで、今度は自分がリュウの拳をまともに受けている。

 

 春麗は、小さく笑った。

 

「……本当に、面倒ね」

 

「何がだ」

 

「私よ」

 

 そう言って、春麗はもう一度前に出た。

 


 

 中盤。

 

 リュウは明らかに警戒していた。

 

 春麗の動きが、いつもと違う。

 

 黒ドレスで誘っている。

 

 だが、誘い切れていない。

 

 青で押しているわけではない。

 

 黒で崩し切っているわけでもない。

 

 戦術として迷っているのではない。

 

 別のものを見ている。

 

 別のログに引っ張られている。

 

 リュウは、そういうところを見逃さない。

 

 だからこそ危険だ。

 

「春麗」

 

「何?」

 

「何か、気にしているのか」

 

 春麗の精神HPが削れた。

 

「試合中に観察しないで」

 

「している」

 

「認めないで」

 

「春麗がいつもより遅い」

 

 言われた。

 

 最悪だった。

 

 黒執着春麗は、唇を噛む。

 

「……遅い?」

 

「ああ」

 

「私が?」

 

「ああ」

 

「どこが?」

 

「拳を見る前に、一瞬止まる」

 

 春麗は、言葉を失った。

 

 正確すぎる。

 

 リュウは続ける。

 

「発勁の距離に入る時、呼吸が変わる」

 

「……」

 

「何かを思い出している」

 

「リュウ」

 

「言わなくていい」

 

 春麗は止まった。

 

「……え?」

 

「言わなくていい。だが、今の春麗は、その分だけ遅れている」

 

 春麗の胸が、嫌な形で締めつけられる。

 

 リュウは踏み込む。

 

「だから、俺は行く」

 

 拳。

 

 速い。

 

 春麗は反応する。

 

 だが、また一瞬だけ遅れる。

 

 黒ドレスの裾。

 

 発勁。

 

 倒れ込み。

 

 救護。

 

 事故。

 

 リュウの重さ。

 

 今度は、逆だった。

 

 発勁で落とす側ではない。

 

 受ける側。

 

 リュウの拳が、正面から入る。

 

 春麗の防御が間に合わない。

 

 肩。

 

 胸の横。

 

 呼吸が抜ける。

 

 視界が白くなる。

 

 足が残らない。

 

 春麗は、倒れた。

 

 完全に。

 

 意識が落ちる瞬間、最後に思った。

 

 今度は、私が落ちるの? 

 

 そして、何も見えなくなった。

 


 

 目が覚める前に、声が聞こえた。

 

「春麗」

 

 リュウの声。

 

 近い。

 

 かなり近い。

 

 春麗は、ゆっくり目を開けた。

 

 天井が見える。

 

 修行場の天井。

 

 背中に、硬すぎない感触。

 

 床ではない。

 

 畳んだ布か、上着か。

 

 頭の下に、何かがある。

 

 支えられている。

 

 春麗は、数秒かけて状況を理解した。

 

 自分は気絶した。

 

 リュウの拳をまともに受けて。

 

 黒ドレスのまま。

 

 そして今、リュウに介抱されている。

 

 最悪だった。

 

 いや、最悪ではない。

 

 安全確認としては正しい。

 

 リュウは、気絶した春麗をそのままにしなかった。

 

 呼吸を確認し、頭を支え、身体を横にした。

 

 たぶん、正しい。

 

 非常に正しい。

 

 だが、精神HPには正しくない。

 

 春麗は、声を出そうとして、喉が少しだけ詰まった。

 

「……リュウ」

 

「春麗」

 

「どれくらい」

 

「長くはない」

 

「……そう」

 

「意識ははっきりしているか」

 

「しているわ」

 

「痛みは」

 

「ある」

 

「吐き気は」

 

「ない」

 

「視界は」

 

「見えている」

 

「なら、少し休め」

 

 リュウの声は静かだった。

 

 落ち着いている。

 

 必要なことだけを聞いている。

 

 それが、余計に春麗を削る。

 

 慣れている。

 

 リュウは、戦いの中で倒れた相手への対応に慣れている。

 

 当然だ。

 

 武闘家だ。

 

 修行者だ。

 

 だから、これは普通の介抱。

 

 普通の安全確認。

 

 普通の戦闘後処置。

 

 甘いものではない。

 

 断じて違う。

 

 春麗は、そう自分に言い聞かせた。

 

 言い聞かせた瞬間、前の事故ログと同じことをしていると気づいてしまった。

 

「……」

 

「春麗?」

 

「何でもないわ」

 

「無理をするな」

 

「していない」

 

「している」

 

「していないわ」

 

 リュウは少しだけ黙った。

 

 それから、低く言った。

 

「今日は、俺の勝ちだ」

 

 春麗は目を閉じた。

 

「……分かっているわ」

 

「だが」

 

「何?」

 

「勝った気がしない」

 

 春麗は、目を開けた。

 

 リュウは真剣な顔をしていた。

 

「春麗が、別のものを見ていた」

 

 精神HPが削れた。

 

 痛いところを突いてくる。

 

「……あなたは本当に」

 

「ああ」

 

「見なくていいところを見るわね」

 

「見えた」

 

「言わなくていい」

 

「だが、拳が入った」

 

「ええ」

 

「避けられたはずだ」

 

「ええ」

 

「俺の拳を見ていなかった」

 

 春麗は、言い返せなかった。

 

 その通りだった。

 

 リュウの拳を見ていなかった。

 

 拳の向こうの事故ログを見ていた。

 

 発勁で勝った後の倒れ込みを見ていた。

 

 だから、今度は拳を受けた。

 

 リュウは、静かに言った。

 

「春麗らしくなかった」

 

 春麗の胸が小さく痛む。

 

 責められているわけではない。

 

 だが、刺さる。

 

「……そうね」

 

 認めた。

 

 認めるしかなかった。

 

「今日は、私らしくなかったわ」

 

 リュウは首を横に振る。

 

「違う」

 

「何が」

 

「春麗らしくなかったのは、拳を見なかったことだ」

 

 一拍。

 

「倒れても、春麗は春麗だ」

 

 春麗の精神HPが大きく削れた。

 

「……今、それを言う?」

 

「言う」

 

「言わなくていい」

 

「言った方がいいと思った」

 

「その判断が危険なのよ」

 

 リュウは少し困った顔をした。

 

 春麗は、顔を片手で覆いたかった。

 

 しかし、まだ身体が重い。

 

 動かすのも少し億劫だった。

 

 それを見て、リュウが言う。

 

「動かない方がいい」

 

「分かっているわ」

 

「水を取る」

 

「待って」

 

 言ってから、春麗は自分で驚いた。

 

 なぜ止めた。

 

 リュウも少しだけ止まる。

 

「どうした」

 

「……少し」

 

 一拍。

 

「少しだけ、まだそこにいなさい」

 

 言った。

 

 言ってしまった。

 

 春麗は、すぐに視線を逸らした。

 

「安全確認のためよ」

 

 苦しい。

 

 かなり苦しい。

 

「立ち上がると、私が状態確認を伝えられないでしょう」

 

 もっと苦しい。

 

「だから、少しだけそこにいなさい」

 

 リュウは静かに頷いた。

 

「ああ」

 

 素直だった。

 

 素直すぎた。

 

 春麗の精神HPがさらに削れる。

 

 けれど、少しだけ落ち着いた。

 

 リュウがそばにいる。

 

 その事実が危険で、同時に安心する。

 

 黒執着春麗は、その矛盾をまだ処理できなかった。

 


 

 しばらくして、春麗は上体を起こした。

 

 リュウは支えようと手を出しかける。

 

 春麗は睨む。

 

「大丈夫」

 

「まだ早い」

 

「大丈夫よ」

 

「ふらついている」

 

「あなたに言われなくても分かっているわ」

 

「なら、支える」

 

 春麗は固まった。

 

「……支える?」

 

「ああ」

 

「今?」

 

「ああ」

 

「なぜ?」

 

「倒れたからだ」

 

 正論。

 

 非常に正論。

 

 だが、危険。

 

 春麗は、深く息を吐いた。

 

「片手だけ」

 

 リュウは頷いた。

 

「ああ」

 

「必要以上に近づかない」

 

「ああ」

 

「私は自分で立つ」

 

「ああ」

 

「あなたは補助」

 

「ああ」

 

「理解した?」

 

「ああ」

 

 リュウが手を差し出す。

 

 春麗は、その手を見る。

 

 取るのに、少しだけ時間がかかった。

 

 手を取る。

 

 温かい。

 

 力強い。

 

 いつも自分を止める拳と同じ手。

 

 今日は、支える手。

 

 春麗はゆっくり立ち上がった。

 

 足元が少し揺れる。

 

 リュウが支える。

 

 近い。

 

 黒ドレスのまま、近い。

 

 だが、倒れない。

 

 春麗は、息を吐いた。

 

「……立てたわ」

 

「ああ」

 

「だから、もう大丈夫」

 

「本当にか」

 

「本当よ」

 

 リュウは、手を離す。

 

 春麗は少しだけ、その手が離れる感覚を意識してしまった。

 

 即座に顔を背ける。

 

 危険。

 

 非常に危険。

 

 今日は、負けた。

 

 リュウに拳で負けた。

 

 しかも、黒ドレスのまま介抱された。

 

 その上、手を借りた。

 

 これは非常にまずい。

 

 ディレクターズカットIFとしても危険。

 

 黒執着春麗は、服を整えた。

 

「今日は、あなたの勝ちね」

 

「ああ」

 

「でも、次は違うわ」

 

「ああ」

 

「次は、拳を見る」

 

「ああ」

 

「余計なログは見ない」

 

 リュウは少しだけ首を傾げる。

 

「余計なログ?」

 

「聞かない」

 

「ああ」

 

「絶対に聞かない」

 

「分かった」

 

 春麗は、深く息を吐いた。

 

 そして、リュウを見る。

 

「今日の敗因は、あなたの拳ではないわ」

 

「そうなのか」

 

「あなたの拳でもあるけれど」

 

 一拍。

 

「私が、別の事故を見ていたから」

 

 リュウは黙った。

 

 余計なことは聞かない。

 

 それを守っている。

 

 それがまた、春麗の精神HPを削る。

 

「……本当に、そういうところよ」

 

「何がだ」

 

「何でもないわ」

 

 春麗は背を向けた。

 

「帰る」

 

「ああ」

 

「追ってこないで」

 

「ああ」

 

「心配もしないで」

 

 リュウは少し考えた。

 

「それは難しい」

 

 春麗は足を止めた。

 

「難しい?」

 

「ああ」

 

「なぜ?」

 

「倒れたからだ」

 

「……正論を言わないで」

 

「すまない」

 

「謝らないで」

 

 リュウは静かに言った。

 

「無事でよかった」

 

 春麗の精神HPが、最後に大きく削れた。

 

 黒執着春麗は、振り返らなかった。

 

 振り返ったら終わる。

 

 だから、背中で言う。

 

「次は、あなたを倒すわ」

 

「ああ」

 

「倒れ込ませない」

 

「ああ」

 

「私も倒れない」

 

「ああ」

 

 一拍。

 

「……介抱も、させない」

 

 リュウは静かに答えた。

 

「それが一番いい」

 

 春麗は、少しだけ口元を歪めた。

 

「本当にね」

 

 そう言って、歩き出した。

 

 足取りは少し重い。

 

 でも、歩ける。

 

 リュウは追ってこない。

 

 ただ、見ている。

 

 その視線が背中にある。

 

 春麗は、振り返らない。

 

 今日は負けた。

 

 黒ドレスで戦ったのに。

 

 拳を見ずに、事故ログを見ていたせいで負けた。

 

 そして、介抱された。

 

 最悪。

 

 かなり最悪。

 

 だが、無事だった。

 

 リュウは心配した。

 

 支えた。

 

 水を取ろうとした。

 

 無事でよかったと言った。

 

 春麗は、歩きながら小さく呟いた。

 

「……今日は、封筒が増えるわね」

 


 

 部屋に戻ると、春麗は棚の前に座り込んだ。

 

 黒。

 

 青。

 

 そして、今日着た黒ドレス。

 

 どれも静かにそこにある。

 

 春麗は、新しい封筒を取り出した。

 

 表に書く。

 

 黒ドレス/発勁事故ログ想起による敗北。

 

 書いてから、顔をしかめる。

 

「……正確すぎるわね」

 

 さらに書く。

 

 リュウの拳をまともに受けて一時気絶。

 

 リュウに介抱される。

 

 春麗、精神HP大被弾。

 

 春麗は、ペンを置いた。

 

 しばらく固まる。

 

 それから、封筒の下に小さく書き足した。

 

 敗因:拳を見ず、事故ログを見たこと。

 

 これはかなり重要だった。

 

 今日の負けは、リュウが強かったからでもある。

 

 もちろん、リュウは強い。

 

 だが、それだけではない。

 

 自分が別のログを見た。

 

 目の前の拳ではなく、過去の事故を見た。

 

 だから負けた。

 

 春麗は、封筒を見つめる。

 

「……次は、拳を見る」

 

 一拍。

 

「事故ログではなく」

 

 もう一拍。

 

「リュウを見る」

 

 言ってから、少しだけ顔が熱くなった。

 

 リュウを見る。

 

 それはそれで危険だった。

 

 拳を見る。

 

 春麗を見るリュウを見る。

 

 黒ドレスの自分を見るリュウを見る。

 

 支えるリュウを見る。

 

 無事でよかったと言うリュウを見る。

 

 全部危険。

 

 しかし、少なくとも、事故ログを見るよりはいい。

 

 春麗は、封筒を棚の奥へ入れた。

 

 発勁勝利後倒れ込み事故の封筒の隣に。

 

 並べてはいけない気もした。

 

 しかし、関連ログであることは否定できない。

 

 黒執着春麗は、棚を閉じかけて止めた。

 

「……閉じない」

 

 今日は少しだけ開けておく。

 

 黒も青も、危険封筒も、そこにある。

 

 隠すと余計に暴発する。

 

 だから、置く。

 

 見える場所に。

 

 ただし、すぐには開かない。

 

「次は」

 

 春麗は静かに言う。

 

「拳を見る」

 

 一拍。

 

「倒れる方向ではなく」

 

 もう一拍。

 

「介抱される可能性でもなく」

 

 さらに一拍。

 

「リュウの拳を見る」

 

 言い切った。

 

 少しだけ落ち着いた。

 

 それから、最後に小さく付け足す。

 

「……でも、支え方は悪くなかったわ」

 

 言った瞬間、完全に自爆した。

 

 春麗は両手で顔を覆った。

 

「何を言っているの、私は」

 

 誰も答えない。

 

 ただ、封筒だけが棚の中で静かに存在している。

 


 

 記録板AIは、黒い棚の前で表示を戻した。

 

『検証ログを終了します』

 

『本記録は、本編確定ログではありません』

 

『発勁勝利後倒れ込み事故ログから派生した、ディレクターズカットIFです』

 

『本編時空への直接反映は禁止推奨です』

 

 一拍。

 

『本記録における黒執着春麗は、黒ドレスで試合を行いました』

 

『ただし、発勁は使用していません』

 

『発勁を使用していないにもかかわらず、発勁事故ログの残響が戦闘判断へ干渉しました』

 

 一拍。

 

『戦闘結果』

 

『リュウ、勝利』

 

『黒執着春麗、一時気絶』

 

『戦闘後処理』

 

『リュウによる安全確認および介抱』

 

『春麗、精神HP大被弾』

 

 一拍。

 

『敗因分析』

 

『黒執着春麗は、目の前のリュウの拳ではなく、過去の発勁事故ログを見ていました』

 

『発勁距離、倒れ込み、介抱、安全確認、倒れる方向管理などの残響により、反応が複数回遅延しました』

 

『リュウはその遅延を見逃さず、拳を通しました』

 

『敗因:拳を見ず、事故ログを見たこと』

 

 さらに一拍。

 

『分類』

 

『黒ドレス/発勁事故ログ想起による敗北』

 

『事故ログ残響被弾』

 

『リュウ介抱ログ』

 

『精神HP大被弾』

 

『次回課題:事故ログではなく拳を見る』

 

 一拍。

 

『注意』

 

『介抱の記憶は危険封筒へ保管推奨です』

 

『支え方は悪くなかった、という発言は自爆性が高いため、正式分類を保留します』

 

 最後に、記録板AIは淡々と締めた。

 

『以上、ディレクターズカットIF・黒ドレス発勁事故ログ想起敗北検証でした』

 




Q:今回のディレクターズカットIFについて解説して?

A:

今回は、ディレクターズカットIFとしての「黒ドレス発勁事故ログ想起敗北」回でした。

まず大前提として、この話は本編確定ログではありません。
また、妄想章IF後日談の時空で発生した出来事でもありません。

あくまで、黒執着春麗のディレクターズカットIFです。

今回の黒執着春麗は、黒ドレスでリュウと試合をしています。
ただし、発勁は使っていません。

ここが今回のポイントです。

発勁を使っていないのに、発勁事故ログに負けています。

以前のディレクターズカットIFで、黒執着春麗は発勁でリュウに勝ち、その後リュウが意識を落として倒れ込んでくる事故が発生しました。

あれは事故です。
完全な事故です。
戦闘後救護です。
安全確認です。
甘いものではありません。

……という整理を本人はしているのですが、整理できているかどうかは別問題です。

今回の黒執着春麗は、その事故ログを意識しすぎています。

発勁は使わない。
今日は普通に黒ドレスで戦う。
倒れる方向管理も考えない。
事故ログは参照しない。

そう決めている時点で、かなり参照しています。

発勁を使わないつもりなのに、発勁距離が気になる。
倒れ込ませないつもりなのに、倒れる方向が気になる。
救護ではないと整理したはずなのに、介抱の記憶が残っている。

その結果、目の前のリュウの拳ではなく、過去の事故ログを見てしまう。

これが今回の敗因です。

黒執着春麗は、黒ドレスで戦っています。
本来なら、黒ドレスは彼女にとって強い武器です。

視線誘導。
半拍。
間合いのずらし。
見られることまで含めた戦術。

これらを使える春麗です。

しかし今回は、黒ドレスの戦術が完全には機能していません。

なぜなら、黒ドレスで戦いながら、頭の中では発勁事故ログを見ているからです。

リュウの拳が来る。
本来なら外せる。
本来なら黒で誘える。
本来なら半拍を取れる。

でも、その瞬間に過去のログがよぎる。

発勁。
近距離。
リュウの胸。
意識が落ちる。
倒れ込む。
重さ。
事故。
介抱。
倒れる方向管理。

その一瞬の遅れを、リュウは見逃しません。

今回のリュウは、かなり正しくリュウです。

春麗が何かを気にしていることに気づく。
拳を見る前に一瞬止まることに気づく。
発勁の距離で呼吸が変わることに気づく。
でも、言わなくていい、と言う。

そのうえで、今の春麗はその分だけ遅れているから、自分は行く。

これはかなり武闘家としてのリュウです。

優しいけれど、試合中は止まらない。
気づいたけれど、踏み込む。
春麗が見ていないなら、その拳を通す。

だから今回の戦闘結果は、リュウの勝利です。

しかも、黒執着春麗は一時気絶します。

これは発勁事故ログの反転でもあります。

前回は、春麗が発勁でリュウを落とした。
今回は、春麗が事故ログに引っ張られて、リュウの拳で落ちた。

前回は、リュウが春麗へ倒れ込んだ。
今回は、春麗が倒れてリュウに介抱された。

つまり今回は、発勁事故ログが甘い記憶として再利用されたのではなく、戦闘中のノイズとして戻ってきた回です。

そして、ここからが春麗らしいところです。

戦闘では負けました。
リュウに介抱されました。
安全確認をされました。
手を借りて立ちました。

普通に考えれば、これは戦闘後処置です。
安全確認です。
武闘家として当然の介抱です。

しかし、黒執着春麗の精神HPには非常に悪いです。

リュウが近い。
声が近い。
呼吸を確認される。
痛みを聞かれる。
視界を確認される。
水を取ろうとされる。
支えようとされる。
無事でよかった、と言われる。

全部、正しい行動です。
全部、リュウとして自然です。

だからこそ危険です。

特に今回のリュウの台詞で危険なのは、

倒れても、春麗は春麗だ。

ここです。

黒執着春麗は「今日は私らしくなかった」と言います。
それに対して、リュウは違うと言う。

春麗らしくなかったのは、拳を見なかったこと。
倒れても、春麗は春麗だ。

これは、戦闘分析としても正しいです。
慰めとしても正しいです。
そして、春麗の精神HPには最悪です。

リュウは責めていません。
甘やかしているわけでもありません。
ただ、見たままを言っています。

でも、この連作ではそれが一番危険です。

今回の黒執着春麗は、最後に自分で結論を出します。

敗因は、拳を見ず、事故ログを見たこと。

これはかなり重要です。

事故ログそのものが悪いわけではありません。
記録することも、棚に置くことも必要です。
危険な記憶をなかったことにすると、余計に暴発します。

ただし、試合中に見るべきものは、過去の事故ログではなく、目の前の拳です。

だから次回課題は、

事故ログではなく拳を見る。

になります。

ただ、そこで終われないのが黒執着春麗です。

最後に、

支え方は悪くなかったわ。

と言って自爆します。

これは完全に余計な一言です。

でも、この一言があることで、今回のログがただの敗北ではなくなっています。

戦闘では負けた。
事故ログにも足を取られた。
リュウに介抱された。
精神HPも大きく削られた。
でも、その中に危険な記憶として残るものがある。

だから危険封筒へ保管されます。

今回の分類は、

黒ドレス/発勁事故ログ想起による敗北。
事故ログ残響被弾。
リュウ介抱ログ。
精神HP大被弾。
次回課題:事故ログではなく拳を見る。

になります。

黒執着春麗は、黒ドレスで勝てる春麗です。
黒でリュウを揺らせる春麗です。
黒を棚に置ける春麗でもあります。

しかし、危険なログに足を取られれば負ける。

今回の話は、そこを見るためのディレクターズカットIFでした。

HP表記ありのRPG形式バトル解説

今回のバトルをHP制で見ると、だいたい以下のようなイメージです。

試合開始時

黒執着春麗 HP100
リュウ   HP100

精神HP

黒執着春麗 精神HP100
リュウ   精神HP100

開始時点で、黒執着春麗には特殊状態が入っています。

黒執着春麗
状態:黒ドレス
状態:発勁封印
状態:発勁事故ログ残響
状態:倒れる方向管理を考えないつもり
状態:すでに考えている
状態:精神HP不安定

ここで重要なのは、発勁を封印していることです。

発勁を使わないから安全、ではありません。
むしろ、使わないと意識しすぎているせいで、事故ログが残響として残っています。

序盤

黒執着春麗 HP78
リュウ   HP86

序盤は、春麗も動けています。

黒ドレスの半拍。
裾の揺れ。
視線誘導。
踏み込みのずらし。

これらは機能しています。

しかし、リュウの拳が近距離に入った瞬間、発勁事故ログが頭をよぎります。

発勁。
近距離。
リュウの胸。
意識が落ちる。
倒れ込む。
重さ。
事故。

この一瞬の遅れで、リュウの拳が春麗の肩に入ります。

ここでのダメージは肉体HPだけではありません。

黒執着春麗 HP78
黒執着春麗 精神HP83

戦闘ダメージよりも、精神HPへの被弾が大きいです。

「今、自分は事故ログを見ていた」と本人が気づいてしまうからです。

序盤後半

黒執着春麗 HP61
リュウ   HP74

春麗は一度立て直します。

蹴り。
掌底。
黒ドレスの間合い。

ここではリュウにもダメージが入っています。

ただし、リュウの拳の重さを受けた瞬間、また事故ログが戻ります。

倒れ込んできた時の重さ。
発勁で落とした後のリュウの重さ。
自分の上にあった重さ。

これで呼吸が乱れます。

リュウの二撃目が脇腹に入り、春麗のHPが大きく削れます。

黒執着春麗 HP61
黒執着春麗 精神HP69

この時点で、春麗はまだ立っています。
ただし、明らかに目の前の拳だけを見ていません。

中盤

黒執着春麗 HP38
リュウ   HP62

中盤で、リュウが春麗の遅れを言語化します。

春麗がいつもより遅い。
拳を見る前に、一瞬止まる。
発勁の距離に入る時、呼吸が変わる。
何かを思い出している。

これは戦闘中の観察としてかなり正確です。

本来なら、こういう指摘は春麗にとって非常に危険です。
隠していた動揺を、リュウに見抜かれた形になるからです。

黒執着春麗 精神HP52

ここでリュウは、「言わなくていい」と言います。

これは優しさです。
しかし同時に、戦闘判断としては止まりません。

今の春麗は遅れている。
だから、俺は行く。

ここでリュウは踏み込みます。

終盤直前

黒執着春麗 HP12
リュウ   HP55

リュウの拳が通ります。

春麗は反応します。
しかし、また一瞬だけ遅れます。

黒ドレスの裾。
発勁。
倒れ込み。
救護。
事故。
リュウの重さ。

その一瞬が致命的になります。

リュウの拳が正面から入り、防御が間に合いません。

肩。
胸の横。
呼吸が抜ける。
視界が白くなる。
足が残らない。

ここで春麗は倒れます。

決着

黒執着春麗 HP0
リュウ   HP55

リュウの勝利です。

今回は春麗のギリギリ敗北ではありません。
中盤以降、リュウがかなり余力を残して勝っています。

なぜなら、黒執着春麗が目の前の拳ではなく、事故ログを見ていたからです。

本来の黒ドレス春麗なら、もっと削れます。
もっと揺らせます。
もっと半拍を取れます。

でも今回は、黒の戦術よりも事故ログのノイズが勝ってしまいました。

戦闘後

黒執着春麗 一時気絶
リュウ   戦闘終了、介抱開始

ここからは、肉体HPではなく精神HP戦です。

目覚めた時

黒執着春麗 精神HP45

リュウが近くにいる。
声が近い。
頭を支えられている。
安全確認されている。

これは全部正しい処置です。

しかし、春麗には危険です。

リュウが状態確認をする

意識ははっきりしているか。
痛みは。
吐き気は。
視界は。

黒執着春麗 精神HP36

リュウは落ち着いています。
必要なことだけ聞いています。
だからこそ、春麗は余計に削れます。

甘いことをしているわけではない。
普通の介抱。
普通の安全確認。
普通の戦闘後処置。

そう整理しようとして、前の事故ログと同じ整理をしていることに気づいてしまいます。

黒執着春麗 精神HP28

リュウが「今日は、俺の勝ちだ」と言う

黒執着春麗 精神HP25

これは事実です。
春麗も分かっています。

ただし、リュウはその後で「勝った気がしない」と言います。

春麗が、別のものを見ていたから。

黒執着春麗 精神HP18

ここは大きな被弾です。

リュウは、春麗が拳ではなく別のログを見ていたことに気づいていました。

春麗らしくなかった、という言葉

黒執着春麗 精神HP14

これも刺さります。

ただし、さらに危険なのは次です。

倒れても、春麗は春麗だ。

黒執着春麗 精神HP6

これはかなり危険です。

リュウは責めていません。
慰めすぎてもいません。
ただ、春麗を春麗として見ています。

倒れても、負けても、黒ドレスでも、事故ログに足を取られても、春麗は春麗。

この言葉が、春麗の精神HPを大きく削ります。

春麗が「少しだけ、まだそこにいなさい」と言う

黒執着春麗 精神HP4

これは春麗側の自爆です。

安全確認のため。
状態確認のため。
立ち上がると伝えられないから。

言い訳はいろいろしています。

でも、リュウに少しだけそばにいてほしかったのも事実です。

リュウが手を貸す

黒執着春麗 精神HP2

手を取る。
温かい。
力強い。
いつも自分を止める拳と同じ手。
今日は、支える手。

ここで精神HPはほぼ瀕死です。

リュウが「無事でよかった」と言う

黒執着春麗 精神HP1

最後の大被弾です。

正論。
当然。
安全確認として自然。

それでも春麗には刺さります。

最終結果

戦闘結果

リュウ勝利。

黒執着春麗 HP0
リュウ   HP55

精神HP結果

黒執着春麗 精神HP1
リュウ   精神HP不明

RPG的な最終ステータスは以下です。

黒執着春麗
戦闘HP 0/100
精神HP 1/100
状態:黒ドレス
状態:発勁封印
状態:事故ログ残響被弾
状態:一時気絶
状態:リュウに介抱された
状態:無事でよかった被弾
状態:支え方は悪くなかった発言による自爆
状態:危険封筒追加

リュウ
戦闘HP 55/100
精神HP 不明
状態:勝利
状態:春麗の遅延を看破
状態:安全確認実施
状態:介抱成功
状態:無事でよかった発言
状態:無自覚精神HP攻撃成功

今回の結論は、

黒執着春麗、黒ドレスで試合。
発勁は使用せず。
しかし発勁事故ログを意識しすぎて反応遅延。
リュウの拳をまともに受け、一時気絶。
戦闘結果はリュウ勝利。
戦闘後、リュウに介抱され精神HP大被弾。
敗因は、拳を見ず、事故ログを見たこと。

です。

次回課題は明確です。

事故ログではなく、拳を見る。

ただし、介抱の記憶は危険封筒へ保管です。

そして、支え方は悪くなかった、という発言については、本人のためにも正式分類を保留しておきます。
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