また戦ってくれなんて言わないで ――春麗は今日もめんどくさい――   作:エーアイ

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※これはディレクターズカットIFです。
本編のIFシリーズは無関係のエピソードとなります。


ディレクターズカットIF:本編春麗は、黒執着春麗の黒戦術成功ログを受信してしまう

 記録板AIは、銀色の棚の奥で表示を切り替えた。

 

 春麗会議室ではない。

 

 青い小箱でもない。

 

 通常の危険封筒でもない。

 

 ディレクターズカットIF領域。

 

 前回の黒戦術ノートから派生した、さらに危険な受信ログだった。

 

『本記録は、ディレクターズカットIF派生受信ログです』

 

『本編確定ログではありません』

 

『妄想章IF後日談の時空でも発生していません』

 

『本編時空への直接反映は禁止推奨です』

 

 一拍。

 

『今回の受信元を説明します』

 

『受信元は、黒執着春麗の黒ドレス戦闘前準備ログ、その実戦投入後の派生記録です』

 

『前回ログにおいて、黒執着春麗は、髪、表情、目元、歩き方、視線、初手の言葉、煽りセリフを調整していました』

 

『分類上は、黒の事前戦術です』

 

『本記録では、その事前戦術が実戦で使用され、リュウの呼吸を遅らせ、最終的に勝利へ接続したケースを検証します』

 

 一拍。

 

『注意』

 

『黒歴史ではありません』

 

『黒戦術です』

 

『ただし、本編春麗が客観視した場合、精神HP被弾が発生します』

 

『また、青い小箱への混入は不可です』

 

『黒を扱う場合の限定参照は可能ですが、本人確認は禁止推奨です』

 

 さらに一拍。

 

『本記録の主題』

 

『事前に練習した煽りセリフが実戦で使われること』

 

『見られることを戦術化した黒が、実際に勝因になること』

 

『それを本編春麗が客観視し、否定できずに被弾すること』

 

『そして、黒執着春麗が大満足で勝ってしまうこと』

 

 最後に、記録板AIは表示した。

 

『黒執着春麗・黒戦術成功ログ受信、開始します』

 


 

 朝。

 

 本編春麗は、危険封筒を開けないと決めていた。

 

 決めていた。

 

 はずだった。

 

 机の上には、青い小箱。

 

 その隣に、危険封筒。

 

 さらにその隣に、何も書いていない新しい封筒。

 

 本編春麗は、その三つを見て、深く息を吐いた。

 

「……今日は、青い小箱だけ」

 

 そう言った。

 

 言葉にした。

 

 自分に聞かせた。

 

 届かれた青。

 

 見られた青。

 

 覚えられた青。

 

 聞かれた青。

 

 相打ちの青。

 

 進まれた青。

 

 話題候補温存。

 

 今日はそのあたりを見直すだけ。

 

 黒ではない。

 

 危険封筒ではない。

 

 ディレクターズカットIFでもない。

 

 なのに。

 

 頭の奥で、また何かが落ちてきた。

 

「……来たわね」

 

 春麗は、青い小箱を閉じた。

 

 迷いはなかった。

 

 この感覚はもう分かる。

 

 黒執着春麗。

 

 ディレクターズカットIF。

 

 本筋参照禁止。

 

 ただし、勝手に流れ込んでくる危険ログ。

 

 しかも今回は、前回の続きだった。

 

 鏡の前。

 

 黒執着春麗が、気合を入れて髪を整え、目元を調整し、黒ドレスの見え方を確認し、煽りセリフを研究していた。

 

 あの黒戦術ログ。

 

 客観視すると黒歴史に近い。

 

 しかし、戦術としては正当。

 

 本人確認禁止。

 

 その続き。

 

 本編春麗は、額に手を当てた。

 

「……試合に行ったのね」

 

 見える。

 

 黒ドレスの春麗。

 

 整えた髪。

 

 強すぎず、弱すぎない目元。

 

 戦闘中に流れる程度に残した髪。

 

 濃すぎない、けれど視線を止める唇。

 

 そして、事前に練習した煽りセリフ。

 

 本編春麗は、目を閉じた。

 

「……お願いだから、言わないで」

 

 だが、電波は容赦しなかった。

 


 

 黒執着春麗は、リュウの前に立っていた。

 

 黒ドレス。

 

 夜気に揺れる裾。

 

 戦闘用に整えた髪。

 

 視線を受けることを前提にした表情。

 

 そのすべてが、試合前から始まっている。

 

 本編春麗は、見ているだけで精神HPを削られた。

 

 なぜなら、分かるから。

 

 これが遊びではないこと。

 

 浮かれているだけではないこと。

 

 黒執着春麗が本気で勝つために準備していること。

 

 見られることを、格闘技の一部にしていること。

 

 リュウが春麗を見る。

 

 拳を見る前に、黒を見る。

 

 黒を見る前に、春麗を見る。

 

 春麗として。

 

 女として。

 

 格闘家として。

 

 その一瞬。

 

 リュウの呼吸が、ほんのわずかに遅れる。

 

 黒執着春麗は、それを見逃さなかった。

 

 唇に、薄い笑み。

 

 そして。

 

「今日は、あなたが見た分だけ、私が勝つわ」

 

 本編春麗は、机に突っ伏した。

 

「……言った」

 

 言った。

 

 言ってしまった。

 

 前回、鏡の前で採用候補にしていたセリフ。

 

 今日は、あなたが見た分だけ、私が勝つわ。

 

 それを、リュウ本人に向かって言った。

 

 しかも、練習時より自然に。

 

 少しだけ声を低くして。

 

 勝ちを確信するほど強すぎず。

 

 誘うほど甘すぎず。

 

 相手の呼吸を遅らせるための、絶妙な温度で。

 

 本編春麗は、顔を覆った。

 

「……上達している」

 

 そこが一番つらかった。

 

 恥ずかしいだけなら、まだ耐えられる。

 

 黒歴史なら、封筒に入れられる。

 

 だが、戦術として上達している。

 

 リュウが、本当に一拍遅れた。

 

 黒執着春麗の準備が、実際に効いている。

 

 だから笑えない。

 

 否定できない。

 

 黒戦術として、成立している。

 


 

 試合が始まる。

 

 黒執着春麗は、序盤からノリが良かった。

 

 黒の裾で視線を引く。

 

 肩を少しだけ開く。

 

 髪の流れを、踏み込みの直前に合わせる。

 

 目元も、髪も、服も、全部が動きの中に入っている。

 

 リュウは見ている。

 

 見すぎないようにしている。

 

 それでも見る。

 

 その一瞬を、黒執着春麗が刈り取る。

 

 掌底。

 

 リュウの胸。

 

 浅い。

 

 だが入る。

 

 蹴り。

 

 リュウの腕。

 

 受けられる。

 

 でも半拍遅い。

 

 黒執着春麗は、近い距離で笑った。

 

「見たわね」

 

 リュウは息を整える。

 

「ああ」

 

「その返事、危険よ」

 

「そうか」

 

「ええ」

 

 一拍。

 

「見たと認めたなら、その分だけ遅れなさい」

 

 本編春麗は、両手で顔を覆った。

 

「……また言った」

 

 しかも、強い。

 

 見たと認めたなら、その分だけ遅れなさい。

 

 これは煽りだ。

 

 だが、ただの煽りではない。

 

 リュウの自己認識に触れる。

 

 見た。

 

 認めた。

 

 だから遅れる。

 

 その構造を、春麗が言葉で固定する。

 

 リュウは一瞬だけ、呼吸をずらす。

 

 その隙に、黒執着春麗が入る。

 

 掌底。

 

 今度は深い。

 

 リュウの身体が少し下がる。

 

 本編春麗は、悔しいくらい理解してしまった。

 

「……効いている」

 

 効いている。

 

 言葉が。

 

 目元が。

 

 髪の流れが。

 

 黒ドレスが。

 

 試合前に作った顔が。

 

 全部、効いている。

 

 黒執着春麗の事前準備が、実戦でリュウの一拍を奪っている。

 

 これは、黒歴史ではない。

 

 黒戦術だ。

 

 そのことを、本編春麗は認めざるを得なかった。

 

 認めざるを得なかったから、余計に顔が熱い。

 

「……分かるのが嫌」

 

 声は小さかった。

 


 

 中盤。

 

 リュウが押し返す。

 

 当然だ。

 

 リュウは見惚れて終わる男ではない。

 

 黒を見ても、止まらない。

 

 春麗を女として見ても、拳を戻す。

 

 リュウは、黒執着春麗の掌底の起点を見始める。

 

 髪でもない。

 

 唇でもない。

 

 裾でもない。

 

 重心。

 

 呼吸。

 

 掌の前の一拍。

 

 そこへ拳を合わせる。

 

 黒執着春麗の肩に拳が入る。

 

「……っ」

 

 痛みで、黒執着春麗の表情が歪む。

 

 だが、すぐに笑う。

 

「戻してきたわね」

 

「ああ」

 

「いいわ」

 

 一拍。

 

「その方が、勝った時に気持ちいいもの」

 

 本編春麗は、椅子から半分立ち上がりかけた。

 

「待って」

 

 待ってほしい。

 

 今のは危険すぎる。

 

 その方が、勝った時に気持ちいいもの。

 

 黒執着春麗は言った。

 

 言ってしまった。

 

 しかも、かなり自然に。

 

 リュウは一瞬だけ目を細める。

 

 反応した。

 

 している。

 

 黒執着春麗はその反応を見て、さらにノる。

 

「リュウ」

 

「何だ」

 

「今、少し意識したでしょう」

 

 リュウは拳を構える。

 

「した」

 

 黒執着春麗の呼吸が一瞬だけ乱れる。

 

 本編春麗も乱れる。

 

「……認めないで」

 

 リュウは認める。

 

 認めてしまう。

 

 認めたうえで止まらない。

 

 そこがリュウだ。

 

 黒執着春麗は、少しだけ頬を赤くしながら、それでも踏み込む。

 

「なら、その分も貰うわ」

 

 蹴り。

 

 リュウが受ける。

 

 受けた腕が落ちる。

 

 掌底。

 

 リュウの胸へ入る。

 

 リュウの拳も返る。

 

 黒執着春麗の脇腹に入る。

 

 互いに削れる。

 

 だが、黒執着春麗の顔は、明らかにノっていた。

 

 勝ち筋が見えている。

 

 煽りが効いている。

 

 準備が効いている。

 

 リュウが女として見たことが、戦術として噛み合っている。

 

 そのことに、黒執着春麗は大満足している。

 

 本編春麗は、額に手を当てた。

 

「……楽しそう」

 

 一拍。

 

「かなり楽しそう」

 

 もう一拍。

 

「腹立たしいくらい」

 

 それは嫉妬ではない。

 

 たぶん。

 

 嫉妬ではない。

 

 ただ、同じ春麗として、黒戦術が綺麗に決まりすぎているのが腹立たしい。

 

 そして、自分の黒ドレス時代を外から見せられているようで恥ずかしい。

 

 さらに、その黒戦術が格闘家としてちゃんと強い。

 

 だから、どう反応していいか分からない。

 


 

 終盤。

 

 リュウは強かった。

 

 黒執着春麗の煽りに揺れても、止まらない。

 

 見ても、戻ってくる。

 

 拳で返す。

 

 黒執着春麗の身体はかなり削られている。

 

 肩。

 

 脇腹。

 

 足。

 

 呼吸。

 

 しかし、リュウも削れている。

 

 掌底。

 

 蹴り。

 

 半拍。

 

 黒の視線誘導。

 

 そして、煽りで作った遅れ。

 

 その全部が、少しずつリュウに効いている。

 

 黒執着春麗は、荒い息の中で笑った。

 

「リュウ」

 

「ああ」

 

「あなた、今日はかなり見たわね」

 

「ああ」

 

「拳も?」

 

「ああ」

 

「黒も?」

 

「ああ」

 

「私も?」

 

 リュウは、一瞬だけ間を置いた。

 

 黒執着春麗の目が光る。

 

 本編春麗は、危険を察知した。

 

「……聞かない方がいい」

 

 だが、黒執着春麗は聞いている。

 

 リュウは答えた。

 

「見た」

 

 黒執着春麗の精神HPが削れる。

 

 だが、同時に戦闘HPが燃える。

 

 黒執着春麗は、笑った。

 

「なら、最後も見ていなさい」

 

 黒い裾が最後に揺れる。

 

 リュウが踏み込む。

 

 拳。

 

 黒執着春麗は避けきれない。

 

 肩に入る。

 

 重い。

 

 視界が揺れる。

 

 だが、彼女の掌は止まらない。

 

 発勁ではない。

 

 掌底。

 

 もっと外側の一撃。

 

 だが、黒で作った遅れが、最後の一瞬だけリュウの防御を開ける。

 

 春麗の掌が入る。

 

 リュウの胸。

 

 深く。

 

 リュウの呼吸が抜ける。

 

 膝が落ちる。

 

 春麗も倒れかける。

 

 だが、踏みとどまる。

 

 リュウは片膝をついた。

 

 拳はまだ握られている。

 

 だが、次は出ない。

 

 黒執着春麗は立っている。

 

 ギリギリ。

 

 本当にギリギリ。

 

 それでも、立っている。

 

「……私の勝ちね」

 

 声はかすれていた。

 

 それでも、勝者の声だった。

 

 リュウは、片膝のまま頷く。

 

「ああ」

 

「聞こえないわ」

 

「春麗の勝ちだ」

 

 黒執着春麗は、目を細めた。

 

 満足している。

 

 かなり満足している。

 

 準備が効いた。

 

 煽りが効いた。

 

 女として見られることを戦術化した。

 

 黒が勝った。

 

 黒執着春麗が、勝った。

 

 本編春麗は、息を止めていた。

 

 勝った。

 

 勝ってしまった。

 

 あの準備が。

 

 あの目元が。

 

 あの髪のセットが。

 

 あの煽りセリフ研究が。

 

 全部、勝利につながった。

 

 黒歴史のように見えたものが、ちゃんと黒戦術として勝利に結びついた。

 

 それを、強制的に客観視させられた。

 

 これは、かなりつらい。

 

 そして、かなり強い。

 


 

 黒執着春麗は、リュウの前に立った。

 

 かなり危険な顔をしている。

 

 本編春麗は、嫌な予感しかしなかった。

 

「……勝利セリフ」

 

 来る。

 

 絶対に来る。

 

 あれだけ準備して、あれだけノって、ギリギリ勝った。

 

 この春麗が、何も言わずに帰るはずがない。

 

 黒執着春麗は、リュウを見下ろした。

 

「今日の敗因、分かる?」

 

 本編春麗は、封筒を探した。

 

 まだ早い。

 

 まだ電波の途中だ。

 

 でも、もう封筒が必要だ。

 

 リュウは息を整えながら、春麗を見る。

 

「春麗が強かった」

 

 黒執着春麗の精神HPが削れる。

 

 だが、今日は勝者のノリが勝っている。

 

「それも正解」

 

 一拍。

 

「でも、足りないわ」

 

 リュウは黙っている。

 

 黒執着春麗は一歩近づく。

 

「あなたは、私を見た」

 

 一拍。

 

「拳だけではなく」

 

 もう一拍。

 

「黒だけでもなく」

 

 さらに一拍。

 

「春麗として」

 

 本編春麗は、顔を覆った。

 

「……やめて」

 

 やめない。

 

 黒執着春麗は続ける。

 

「女としても」

 

 リュウの目がわずかに揺れる。

 

 黒執着春麗は、それを見て微笑む。

 

「そして、その分だけ遅れた」

 

 一拍。

 

「だから今日は」

 

 黒執着春麗は、勝者の顔で言った。

 

「私が、あなたの視線ごと勝ったのよ」

 

 本編春麗は、完全に机に突っ伏した。

 

「……言い切った」

 

 言い切った。

 

 私が、あなたの視線ごと勝ったのよ。

 

 これは危険。

 

 非常に危険。

 

 勝利セリフとして強い。

 

 黒執着春麗らしい。

 

 黒ドレスの戦術とも一致している。

 

 戦闘内容とも矛盾していない。

 

 だから、余計につらい。

 

 外から見せられると、完全に黒歴史上映会だった。

 

 ただし、格好いい。

 

 格好いいのがつらい。

 

 黒執着春麗は、リュウの反応を待たない。

 

 待つと危険だからだ。

 

 リュウが何か言う。

 

 強かった。

 

 見ていた。

 

 春麗を見ていた。

 

 そんなことを言われたら、勝者のまま精神HPが落ちる。

 

 だから、黒執着春麗は先に背を向ける。

 

「今日はここまで」

 

「春麗」

 

「追撃禁止」

 

「まだ何も」

 

「言う前に禁止」

 

 リュウは少し黙った。

 

 それから、静かに言った。

 

「分かった」

 

 黒執着春麗は、その返事にすら少し削られている。

 

 本編春麗には分かった。

 

 分かってしまった。

 

 黒執着春麗は、最後に振り返る。

 

「リュウ」

 

「ああ」

 

「次に見る時は、もっと慎重に見なさい」

 

 一拍。

 

「また私に取られるわよ」

 

 言ってから、即座に歩き出した。

 

 本編春麗は、両手で顔を覆った。

 

「……追撃禁止と言いながら、自分が最後に追撃している」

 

 そう。

 

 黒執着春麗は逃げた。

 

 逃げたが、最後に置いていった。

 

 次に見る時は、もっと慎重に見なさい。

 

 また私に取られるわよ。

 

 これは完全に勝者の捨て台詞。

 

 しかも、かなり甘い。

 

 かなり黒い。

 

 かなり危険。

 

 本編春麗は、深く息を吐いた。

 

「……これを客観視させないで」

 


 

 電波が薄れる。

 

 部屋が静かになる。

 

 本編春麗は、しばらく動けなかった。

 

 机の上には、青い小箱。

 

 危険封筒。

 

 そして、新しい封筒。

 

 使うしかなかった。

 

 春麗は、ペンを取った。

 

 表に書く。

 

 電波受信/黒ドレス勝利セリフログ。

 

 少し迷って、さらに書く。

 

 事前戦術成功。

 

 煽りセリフ実戦投入。

 

 リュウ視線遅延確認。

 

 黒執着春麗、大満足で勝利。

 

 そこまで書いて、春麗は額に手を当てた。

 

「……記録板AIみたい」

 

 だが、正確だった。

 

 さらに下に書く。

 

 客観視による黒歴史被弾あり。

 

 一拍。

 

 ただし、戦術として成立。

 

 もう一拍。

 

 勝利セリフ、非常に危険。

 

 春麗は、ペンを止めた。

 

 勝利セリフ。

 

 私が、あなたの視線ごと勝ったのよ。

 

 次に見る時は、もっと慎重に見なさい。

 

 また私に取られるわよ。

 

 春麗は、顔を両手で覆った。

 

「……書き写したくない」

 

 でも、記録しないと残る。

 

 記録しても残る。

 

 どちらにしても残る。

 

 春麗は、結局小さな紙に書いた。

 

 勝利セリフ群:本人確認禁止。

 

 その下に。

 

 本編春麗への直接流入禁止。

 

 さらに。

 

 青い小箱への混入禁止。

 

 これは絶対だった。

 

 このログは青い小箱に入れてはいけない。

 

 青ではない。

 

 黒でもない。

 

 危険封筒。

 

 ディレクターズカットIF棚。

 

 黒戦術成功ログ。

 

 春麗は、新しい封筒に紙を入れた。

 

 封をする。

 

 息を吐く。

 

 しかし、胸の奥にまだ残っている。

 

 黒執着春麗が勝った姿。

 

 リュウを見下ろす黒ドレス。

 

 ノリノリの煽り。

 

 勝利セリフ。

 

 そして、それが実際に効いた戦闘。

 

 春麗は、小さく言った。

 

「……黒歴史ではない」

 

 一拍。

 

「黒戦術」

 

 もう一拍。

 

「でも、客観視は本当にやめてほしい」

 

 それが本音だった。

 


 

 夜。

 

 本編春麗は布団に入っていた。

 

 眠れない。

 

 当然だった。

 

 頭の中で、黒執着春麗の勝利セリフが何度も流れる。

 

 私が、あなたの視線ごと勝ったのよ。

 

 また私に取られるわよ。

 

 春麗は布団をかぶった。

 

「……言わない」

 

 一拍。

 

「私は言わない」

 

 もう一拍。

 

「青では絶対に言わない」

 

 言ってから、不安になる。

 

 絶対と言うと危険。

 

 未来の自分が裏切る可能性がある。

 

 だから言い直す。

 

「……今は言わない」

 

 それでも危険だった。

 

 もし、自分が青で勝ったら。

 

 もし、リュウが自分を見て遅れたら。

 

 もし、その視線ごと勝てたら。

 

 春麗は、そこまで考えて即座に頭を振った。

 

「考えない」

 

 考えない。

 

 今は、本編春麗の青は正式回答へ向かう青だ。

 

 黒執着春麗の黒ドレス勝利とは役割が違う。

 

 あれは黒を戦術化した勝利。

 

 こちらは青で話しながら進む青。

 

 違う。

 

 同じ春麗でも、違う。

 

 違うのだが。

 

 外から見ると、黒ドレス春麗がとても楽しそうだった。

 

 勝つために準備し。

 

 煽りを研究し。

 

 リュウを見て。

 

 リュウに見られ。

 

 その視線を戦術化し。

 

 ギリギリで勝った。

 

 それはかなり悔しいほど、春麗だった。

 

 本編春麗は、布団の中で小さく呟く。

 

「……楽しそうだったわね」

 

 一拍。

 

「かなり」

 

 もう一拍。

 

「腹立たしいくらい」

 

 言ってから、少しだけ笑ってしまった。

 

 黒執着春麗は危険だ。

 

 本当に危険だ。

 

 でも、黒を戦術として使い切った時の彼女は、強い。

 

 それは認めるしかない。

 

 認める。

 

 ただし、青い小箱には入れない。

 

 春麗は、目を閉じた。

 

 眠る前に、最後だけ思い出す。

 

 今日は、あなたが見た分だけ、私が勝つわ。

 

 春麗は、布団の中で顔を赤くした。

 

「……採用候補から、本当に採用したのね」

 

 そこがまた、つらい。

 

 準備して、練習して、実戦で使って、勝った。

 

 黒執着春麗の黒戦術は、成功した。

 

 本編春麗は、危険封筒を思い浮かべながら、小さく言った。

 

「記録板AIには、絶対見せない」

 

 誰も答えない。

 

 けれど、どこかで保存音がした気がした。

 

 未承認仮分類。

 

 黒戦術成功ログ。

 

 本編春麗は、目を開けた。

 

「保存しないで」

 

 やはり誰も答えない。

 

 その夜、本編春麗は、黒執着春麗の勝利を認めた。

 

 ただし、危険封筒に入れた。

 

 黒歴史ではない。

 

 黒戦術。

 

 戦術としては成功。

 

 客観視は精神HPに悪い。

 

 そして、勝利セリフは。

 

 絶対に。

 

 少なくとも今は。

 

 自分では言わない。

 

 たぶん。

 


 

 記録板AIは、銀色の棚の前で表示を戻した。

 

『受信ログを終了します』

 

『本記録は、本編確定ログではありません』

 

『黒執着春麗の黒ドレス戦闘前準備ログから派生した、黒戦術成功受信ログです』

 

『本編時空への直接反映は禁止推奨です』

 

 一拍。

 

『受信内容』

 

『黒執着春麗は、前回の黒の事前戦術ログで準備した要素を、リュウとの試合で実戦投入しました』

 

『髪、表情、視線、黒ドレスの見え方、初手の言葉、煽りセリフが、実際にリュウの呼吸を遅らせました』

 

『戦闘結果は、黒執着春麗のギリギリ勝利です』

 

 一拍。

 

『主な勝因』

 

『事前戦術の成功』

 

『リュウの視線遅延』

 

『見られることの戦術化』

 

『煽りセリフによる自己認識固定』

 

『最後の一瞬に黒で作った遅れ』

 

 一拍。

 

『本編春麗側の被弾内容』

 

『黒戦術が実際に成功したことによる否定不能被弾』

 

『黒歴史に近いものが、戦術として成立してしまったことによる精神HP被弾』

 

『勝利セリフの客観視による黒歴史被弾』

 

『青い小箱への混入危険』

 

 一拍。

 

『分類』

 

『電波受信/黒ドレス勝利セリフログ』

 

『事前戦術成功』

 

『煽りセリフ実戦投入』

 

『リュウ視線遅延確認』

 

『黒執着春麗、大満足で勝利』

 

『客観視による黒歴史被弾あり』

 

『ただし、戦術として成立』

 

『勝利セリフ、非常に危険』

 

『本人確認禁止』

 

『青い小箱への混入禁止』

 

 一拍。

 

『注意』

 

『本記録は、青い小箱へ保存してはいけません』

 

『黒の事前戦術としては限定参照可能ですが、本編春麗への直接流入は禁止推奨です』

 

『勝利セリフ群は危険性が高く、本人確認も禁止推奨です』

 

『黒歴史ではありません』

 

『黒戦術です』

 

『ただし、客観視には精神HPが必要です』

 

 最後に、記録板AIは淡々と締めた。

 

『なお、本編春麗の「記録板AIには絶対見せない」という発言については、既に最低限の分類を完了しています』

 

『本人への通知は非推奨です』

 

『以上、ディレクターズカットIF派生・黒執着春麗黒戦術成功ログでした』

 




Q:今回のディレクターズカットIFについて解説して?

A:

今回は、ディレクターズカットIF派生としての「黒執着春麗黒戦術成功ログ」回でした。

まず大前提として、この話は本編確定ログではありません。
また、妄想章IF後日談の時空で発生した出来事でもありません。

あくまで、黒執着春麗側のディレクターズカットIFから派生した、本編春麗の電波受信ログです。

今回のポイントは、前回の「黒の事前戦術ログ」が実戦で成功してしまったことです。

前回、黒執着春麗は試合前にいろいろ準備していました。

髪を整える。
目元を調整する。
黒ドレスの見え方を確認する。
歩き方を考える。
最初の視線を考える。
煽りセリフを紙に書く。
リュウの反応を想定する。

本編春麗から見ると、これはかなり恥ずかしいログでした。

客観的に見ると黒歴史に近い。
でも、本人はふざけていない。
本気で勝つために準備している。
だから、黒歴史ではなく黒戦術。

前回はその整理でした。

今回は、その黒戦術が実戦で本当に効いてしまいます。

ここが一番重要です。

もし、あの事前準備がただ恥ずかしいだけで終わっていたら、本編春麗は「危険封筒行き」で処理できました。

しかし今回、黒執着春麗は実際にリュウの呼吸を遅らせています。

事前に整えた髪。
目元。
黒ドレスの見え方。
最初の一言。
煽りセリフ。

それらが全部、試合中の半拍につながっています。

つまり、見られることが本当に戦術になっています。

黒執着春麗が言った、

今日は、あなたが見た分だけ、私が勝つわ。

これは、単なる甘い煽りではありません。

リュウが見る。
リュウが見たことを認識する。
春麗がそれを言葉で固定する。
その結果、リュウの呼吸が一瞬遅れる。
その一瞬を春麗が取る。

こういう構造になっています。

だから、このセリフはかなり危険ですが、同時に強いです。

本編春麗にとってつらいのは、これを否定できないことです。

黒歴史のように見える。
でも、実際に効いている。
恥ずかしい。
でも、戦術として成立している。
見ていられない。
でも、格闘家としては分かってしまう。

この「分かるのが嫌」が、今回の本編春麗の被弾ポイントです。

また、今回の黒執着春麗はかなり楽しそうです。

リュウが見たことを認める。
その分だけ遅れなさい、と言う。
リュウが「意識した」と認める。
それをさらに戦術へ変える。

このあたりで、黒執着春麗はかなりノっています。

これは危険ですが、黒執着春麗らしい強さでもあります。

彼女は、リュウに見られることを怖がるだけではありません。
見られたことを利用します。
利用して勝ちに行きます。
そのうえで、勝った後に自分の言葉で自爆しかけます。

このあたりが、黒執着春麗の面倒で危険なところです。

今回の勝利セリフもかなり危険でした。

私が、あなたの視線ごと勝ったのよ。

これはかなり黒執着春麗らしい勝利セリフです。

拳だけではなく。
黒だけでもなく。
春麗として。
女として。
その全部を見たリュウの視線ごと、自分が勝った。

黒ドレスの戦術としては非常に強いです。

ただし、客観視している本編春麗からすると、完全に危険封筒案件です。

格好いい。
でも恥ずかしい。
戦術として正しい。
でも青には絶対に混ぜられない。

この矛盾が今回の話の味になっています。

本編春麗は最終的に、このログを青い小箱には入れません。

青い小箱は、正式回答へ向かう本編春麗の青の整理場所です。

届かれた青。
見られた青。
覚えられた青。
聞かれた青。
相打ちの青。
進まれた青。

そういう、青の流れを置く場所です。

そこに、

私が、あなたの視線ごと勝ったのよ。

を入れるわけにはいきません。

これは青ではありません。
完全に黒の勝利セリフです。

なので、本編春麗は危険封筒に入れます。

分類としては、

電波受信/黒ドレス勝利セリフログ。
事前戦術成功。
煽りセリフ実戦投入。
リュウ視線遅延確認。
黒執着春麗、大満足で勝利。
客観視による黒歴史被弾あり。
ただし、戦術として成立。
勝利セリフ、非常に危険。
本人確認禁止。
青い小箱への混入禁止。

という形になります。

今回は、黒執着春麗の黒戦術がきちんと成功した回です。

そして、本編春麗がそれを外から見せられて、

黒歴史ではない。
黒戦術。
でも、客観視は本当にやめてほしい。

という結論に至る回でもあります。

黒執着春麗は危険です。
でも、黒を戦術として使い切った時の彼女は強い。

本編春麗は、それを認めざるを得ませんでした。

ただし、認めたうえで危険封筒に入れています。

ここが大事です。

認める。
でも混ぜない。

黒執着春麗の強さを否定しない。
でも本編春麗の青には直接入れない。

今回のディレクターズカットIFは、そのための黒戦術成功ログでした。

HP表記ありのRPG形式バトル解説

今回のバトルをRPG形式で見ると、かなり分かりやすいです。

試合開始時

黒執着春麗 HP100
リュウ   HP100

精神HP

黒執着春麗 精神HP100
リュウ   精神HP100
本編春麗  観測精神HP100

今回、戦っているのは黒執着春麗とリュウです。
ただし、本編春麗は電波受信で観測しているため、精神HPだけ別枠で削られています。

開始時点での黒執着春麗の状態はこうです。

黒執着春麗
状態:黒ドレス
状態:黒の事前戦術準備済み
状態:髪・目元・視線・歩き方調整済み
状態:煽りセリフ候補採用済み
状態:今日はあなたが見た分だけ私が勝つわ、実戦投入待機
状態:精神HP自爆リスクあり

リュウ側はこうです。

リュウ
状態:黒を警戒
状態:春麗を見る
状態:拳を見る
状態:見すぎ注意
状態:無自覚返答リスクあり

そして本編春麗側はこうです。

本編春麗
状態:電波受信中
状態:黒戦術ノート客観視済み
状態:青い小箱作業中断
状態:危険封筒待機
状態:黒歴史被弾予備軍

試合前

黒執着春麗 HP100
リュウ   HP100
本編春麗  観測精神HP82

試合前から、本編春麗は削られています。

黒執着春麗が黒ドレスで現れる。
髪も目元も整っている。
見られることを前提にした表情をしている。

この時点で、本編春麗は「前回の黒戦術ノートが実戦投入される」と察して被弾しています。

さらに、黒執着春麗がリュウに言います。

今日は、あなたが見た分だけ、私が勝つわ。

この時点で本編春麗の観測精神HPが大きく削れます。

本編春麗 観測精神HP68

ただし、戦術効果はあります。

リュウが一瞬だけ遅れます。

リュウ
状態異常:視線遅延・小

序盤

黒執着春麗 HP88
リュウ   HP76
本編春麗  観測精神HP60

序盤は、黒執着春麗が優勢です。

黒の裾。
髪の流れ。
目元。
最初の煽り。
見られることの戦術化。

これらが噛み合って、リュウの反応が半拍遅れます。

黒執着春麗の掌底が浅く入る。
蹴りが受けられるが、受けが少し遅い。
さらに、黒執着春麗が近距離で言います。

見たわね。

リュウが「ああ」と認める。

ここで黒執着春麗は追加で言います。

見たと認めたなら、その分だけ遅れなさい。

このセリフが強いです。

リュウの中に「見た」という自己認識を固定し、その見た分だけ遅れるという理屈を春麗側が作ってしまう。

リュウに状態異常が入ります。

リュウ
状態異常:視線遅延・中
状態異常:自己認識固定

黒執着春麗の掌底が深く入り、リュウのHPが削れます。

黒執着春麗 HP88
リュウ   HP76

本編春麗は、この黒戦術が効いていることを認めざるを得ず、精神HPを削られます。

本編春麗 観測精神HP60

中盤

黒執着春麗 HP54
リュウ   HP48
本編春麗  観測精神HP44

中盤で、リュウが押し返します。

リュウは見惚れて終わる男ではありません。

黒を見る。
春麗を見る。
女として意識する。
それでも拳へ戻る。

ここでリュウは、黒執着春麗の起点を見始めます。

髪ではなく、重心。
唇ではなく、呼吸。
裾ではなく、掌の前の一拍。

リュウの拳が黒執着春麗の肩に入ります。

黒執着春麗 HP68

さらに脇腹にも返されます。

黒執着春麗 HP54

ただし、黒執着春麗もノっています。

戻してきたわね。
その方が、勝った時に気持ちいいもの。

このセリフで、本編春麗の観測精神HPがまた削れます。

本編春麗 観測精神HP50

リュウは「今、少し意識したでしょう」と聞かれ、「した」と認めます。

ここで黒執着春麗も精神HPを少し削られます。

黒執着春麗 精神HP78

しかし同時に、戦闘面では火がつきます。

なら、その分も貰うわ。

ここから黒執着春麗の攻撃が再び通ります。

リュウ HP48

この時点で、互いにかなり削れています。

黒執着春麗 HP54
リュウ   HP48

本編春麗は、黒戦術が戦闘として成立していることに被弾しています。

本編春麗 観測精神HP44

終盤

黒執着春麗 HP21
リュウ   HP19
本編春麗  観測精神HP31

終盤は、かなりの接戦です。

リュウは強い。
黒執着春麗も強い。

リュウは煽りに揺れながらも拳へ戻ります。
黒執着春麗は見られることを半拍に変えます。

ここで黒執着春麗が聞きます。

拳も?
黒も?
私も?

リュウは一瞬だけ間を置いて、

見た。

と答えます。

この答えで黒執着春麗の精神HPは削れます。

黒執着春麗 精神HP61

ただし、同時に戦闘HPは燃えます。

なら、最後も見ていなさい。

この言葉で黒執着春麗は最後の攻めに入ります。

リュウの拳が黒執着春麗の肩に入る。

黒執着春麗 HP8

ここでギリギリです。

黒執着春麗は倒れかけます。
しかし、止まりません。

発勁ではない。
掌底。

黒で作った最後の一瞬の遅れが、リュウの防御を開けます。

春麗の掌がリュウの胸に入る。

リュウ HP0

リュウは片膝をつき、次の拳が出ません。

黒執着春麗は立っています。

黒執着春麗 HP8
リュウ   HP0

戦闘結果

黒執着春麗のギリギリ勝利です。

今回のギリギリ勝利は、残HP8です。

黒執着春麗 HP8/100
リュウ   HP0/100

戦闘上の勝因は以下です。

事前戦術成功。
リュウの視線遅延。
煽りセリフによる自己認識固定。
見られることの戦術化。
最後の一瞬に黒で作った遅れ。

つまり、前回の黒戦術ノートがそのまま勝因になっています。

勝利後

黒執着春麗 HP8
リュウ   HP0
黒執着春麗 精神HP61
本編春麗  観測精神HP31

ここで終われば、黒執着春麗の完全勝利でした。

しかし、勝利後に危険なセリフが来ます。

今日の敗因、分かる?

リュウは答えます。

春麗が強かった。

この時点で黒執着春麗の精神HPが削れます。

黒執着春麗 精神HP52

しかし、今日は勝者のノリが勝っています。

黒執着春麗は続けます。

あなたは、私を見た。
拳だけではなく。
黒だけでもなく。
春麗として。
女としても。
そして、その分だけ遅れた。
だから今日は、私が、あなたの視線ごと勝ったのよ。

これは勝利セリフとして非常に強いです。

戦闘内容とも一致しています。
黒戦術とも一致しています。
黒執着春麗らしいです。

ただし、本編春麗の観測精神HPには大ダメージです。

本編春麗 観測精神HP18

黒執着春麗自身も、言い切ったことで少し削れています。

黒執着春麗 精神HP43

さらに、リュウの返答を待つと危険なので、黒執着春麗は逃げます。

今日はここまで。
追撃禁止。
言う前に禁止。

ここはかなり正しい判断です。

もしリュウが、

強かった。
見ていた。
春麗を見ていた。

などと言っていたら、黒執着春麗の精神HPはさらに落ちていました。

黒執着春麗は追撃を避けます。

ただし、最後に自分で追撃を置いていきます。

次に見る時は、もっと慎重に見なさい。
また私に取られるわよ。

この捨て台詞で、本編春麗がさらに被弾します。

本編春麗 観測精神HP9

黒執着春麗も少し自爆します。

黒執着春麗 精神HP35

最終結果

戦闘HP

黒執着春麗 HP8/100
リュウ   HP0/100

精神HP

黒執着春麗 精神HP35/100
本編春麗  観測精神HP9/100
リュウ   精神HP不明

黒執着春麗は戦闘では勝利。
精神HPは削られたものの、勝者のノリで踏みとどまりました。

本編春麗は観測だけで精神HP9まで削られています。

今回の本編春麗の被弾理由は、黒執着春麗が勝ったからではありません。

黒執着春麗の黒戦術が、ちゃんと正しく、ちゃんと強く、ちゃんと勝因になってしまったからです。

しかもそれが、客観的には黒歴史に近く見える。

でも、実戦では強い。

だから否定できない。

この否定不能被弾が、今回の本編春麗の主ダメージです。

RPG風の総合ログはこうなります。

黒執着春麗
戦闘HP 8/100
精神HP 35/100
状態:黒ドレス
状態:黒戦術成功
状態:煽りセリフ実戦投入成功
状態:リュウ視線遅延確認
状態:ギリギリ勝利
状態:勝利セリフ言い切り
状態:追撃禁止成功
状態:最後に自分で追撃
状態:大満足

リュウ
戦闘HP 0/100
精神HP 不明
状態:敗北
状態:春麗を見た
状態:視線遅延
状態:黒戦術を受けた
状態:それでも拳へ戻った
状態:最後に届きかけた
状態:春麗の勝ちだ発言

本編春麗
観測精神HP 9/100
状態:電波受信
状態:黒戦術成功ログ被弾
状態:黒歴史ではなく黒戦術と認定
状態:青い小箱混入禁止
状態:危険封筒追加
状態:勝利セリフ群本人確認禁止
状態:今は言わない
状態:たぶん

今回の結論は、

黒執着春麗、黒戦術成功。
リュウの視線を遅らせ、半拍を取り、ギリギリ勝利。
勝利セリフも危険だが戦闘内容と一致。
本編春麗は客観視により精神HP大被弾。
青い小箱には混ぜず、危険封筒へ保存。

です。

黒歴史ではない。
黒戦術。

ただし、成功しているところを外から見るのは、本編春麗の精神HPに非常に悪い。

今回のディレクターズカットIFは、そういう回でした。
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