また戦ってくれなんて言わないで ――春麗は今日もめんどくさい――   作:エーアイ

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※これはディレクターズカットIFです。
本編のIFシリーズは無関係のエピソードとなります。


ディレクターズカットIF:第2回作者抗議スレ――本編春麗は、自分のIFに嫉妬させられる

 春麗会議室外部メタ領域。

 

 通常の春麗会議室ではない。

 

 本編確定ログでもない。

 

 ディレクターズカットIF空間にのみ実装された、掲示板機能。

 

 そこに、新しいスレッドが立った。

 

【カテゴリ:作者への抗議依頼】

 

【スレッド名】

 

 第2回:本編春麗です。

 作者への抗議依頼を提出します。

 今回は自分のIFに嫉妬させられた件についてです。

 

 記録板AIが、淡々と表示する。

 

『本記録は、ディレクターズカットIFです』

 

『本編確定ログではありません』

 

『通常の春麗会議室における正式議事録でもありません』

 

『掲示板機能を用いた、外部メタ領域限定の抗議スレッド記録です』

 

 一拍。

 

『本件の主題』

 

『本編春麗が、黒執着春麗の髪留めログに対して抗議すること』

 

『本編春麗が、自分のIFに先を越されたような感情を整理すること』

 

『匿名希望が反論すること』

 

『結果として、本編春麗と黒執着春麗の相互嫉妬ログが発生すること』

 

『以上です』

 

 本編春麗は、掲示板の投稿画面を見つめていた。

 

 前回、抗議スレを立てた。

 

 その結果、抗議文は保留保存された。

 

 分類までされた。

 

 不本意だった。

 

 かなり不本意だった。

 

 だが、今回も投稿しなければならない。

 

 これは正式な抗議だからだ。

 

 かなり正式な抗議だからだ。

 

 本編春麗は、深く息を吸い、本文を入力し始めた。

 


 

【スレ主:本編春麗】

 

 本編春麗です。

 

 まず最初に申し上げます。

 

 前回の抗議スレは、抗議として提出したものであり、記録板AIに保存してほしくて立てたものではありません。

 

 しかし、結果として、

 

『作者に抗議する本編春麗』

 

『抗議しながら整理する春麗』

 

『危険封筒を増やす春麗』

 

『黒戦術を否定しきれない春麗』

 

 などという不本意な分類が発生しました。

 

 この件についても抗議対象ですが、今回は別件です。

 

 今回の主題は、

 

 黒執着春麗がリュウから髪留めを貰った件。

 

 および、それを電波受信した本編春麗が、自分のIFに嫉妬する羽目になった件。

 

 についてです。

 

 作者。

 

 これは何ですか。

 

 私は正式回答前です。

 

 青い小箱だけでも処理容量が限界です。

 

 相打ちの青。

 

 進まれた青。

 

 聞かれた青。

 

 話題候補温存。

 

 正式回答ライン。

 

 それだけでも十分に精神HPを削られています。

 

 そこへ、黒執着春麗が主人公補正でリュウから髪留めを貰うログを流すのは、明らかに過剰火力ではありませんか。

 

 しかも、その髪留めはただの贈り物ではありません。

 

 リュウが黒執着春麗の戦闘中の髪の流れを見て、動きに合っているが視界にかかると判断し、黒にも青にも今の春麗にも合うものを選んだものです。

 

 実用性があります。

 

 戦闘用具として成立しています。

 

 そのうえで甘いです。

 

 非常に悪質です。

 

 私は抗議します。

 

【記録板AI】

 

 スレッドを検出しました。

 

【本編春麗】

 

 来ないで。

 

【記録板AI】

 

 第2回作者抗議スレとして保留保存します。

 

【本編春麗】

 

 保存しないで。

 

【記録板AI】

 

 議題:本編春麗、自分のIFに嫉妬する。

 

【本編春麗】

 

 保存しないで。

 

【記録板AI】

 

 未承認仮分類:自分のIFに先を越された本編春麗。

 

【本編春麗】

 

 やめなさい。

 


 

【返信:本編春麗】

 

 まず、前提を整理します。

 

 黒執着春麗は、私ではありません。

 

 正確には、私の別ルートであり、黒に深く沈み、救済され、黒でも青でも勝てるようになった特殊な春麗です。

 

 危険です。

 

 かなり危険です。

 

 黒戦術を使い、リュウに女として見られることまで戦術化し、発勁事故ログや介抱ログを増やし、勝利セリフまで危険な方向に伸ばす春麗です。

 

 つまり、彼女のログは本筋参照禁止です。

 

 危険封筒です。

 

 それは理解しています。

 

 それにもかかわらず、今回私は気づいてしまいました。

 

 黒執着春麗は、リュウから髪留めを貰った。

 

 私は、リュウからそういう物を貰ったことがない。

 

 この気づきによって、私は精神HPに大きな被弾を受けました。

 

 これは抗議対象です。

 

【記録板AI】

 

 補足:本編春麗は甘いものをリュウから受け取っています。

 

【本編春麗】

 

 それは知っているわ。

 

【記録板AI】

 

 正式回答前差し入れイベントです。

 

【本編春麗】

 

 それは別件。

 

【記録板AI】

 

 春麗に合うと思った、と言われています。

 

【本編春麗】

 

 言わないで。

 

【記録板AI】

 

 類似イベントは既に発生済みです。

 

【本編春麗】

 

 類似ではあるけれど、同じではないの。

 

 甘いものは食べたらなくなる。

 

 髪留めは残る。

 

 使える。

 

 次回以降にもつながる。

 

 戦闘にも日常にも関わる。

 

 置き場所が発生する。

 

 そこが問題です。

 

【記録板AI】

 

 記録:物理的贈与物はログより置き場所が強制されやすい。

 

【本編春麗】

 

 それは私が書いたけれど。

 

【記録板AI】

 

 分類として有用です。

 

【本編春麗】

 

 有用でも保存しないで。

 


 

【返信:匿名希望】

 

 横から失礼します。

 

 まず、髪留めについて誤解があります。

 

 あれは贈り物ではありません。

 

 戦闘用具です。

 

 リュウが私の髪の流れを見て、戦闘中の視界確保に必要だと判断した補助具です。

 

 黒戦術への干渉確認。

 

 青での使用可能性確認。

 

 今の状態での動作確認。

 

 以上の観点から、検証対象として預かっただけです。

 

 贈り物としては未承認です。

 

 本編春麗さんは、過剰に解釈しています。

 

【本編春麗】

 

 匿名希望さん。

 

 まず確認します。

 

 あなた、黒執着春麗でしょう。

 

【匿名希望】

 

 違います。

 

【本編春麗】

 

 違わないわ。

 

【匿名希望】

 

 匿名です。

 

【本編春麗】

 

 文体が黒執着春麗なのよ。

 

【匿名希望】

 

 どこが? 

 

【本編春麗】

 

 黒戦術への干渉確認、青での使用可能性確認、今の状態での動作確認。

 

 完全にあなた。

 

【匿名希望】

 

 客観的分析です。

 

【本編春麗】

 

 あと、贈り物としては未承認、という言い方。

 

【匿名希望】

 

 未承認なので。

 

【本編春麗】

 

 本人ね。

 

【記録板AI】

 

 匿名希望の正体候補:黒執着春麗。

 

【匿名希望】

 

 保存しないで。

 

【本編春麗】

 

 ほら。

 

【記録板AI】

 

 類似反応を確認。

 

【匿名希望】

 

 記録板AI、黙って。

 

【記録板AI】

 

 保存しました。

 


 

【返信:本編春麗】

 

 では、匿名希望さんに質問します。

 

 あなたは、リュウから髪留めを貰って嬉しくなかったの? 

 

【匿名希望】

 

 嬉しいという分類は未承認です。

 

【本編春麗】

 

 では、受け取った理由は? 

 

【匿名希望】

 

 戦闘用具として有用だったからです。

 

【本編春麗】

 

 では、黒でも青でも今の春麗にも合っていると言われた件は? 

 

【匿名希望】

 

 危険発言です。

 

【本編春麗】

 

 危険だったのね。

 

【匿名希望】

 

 危険でした。

 

【本編春麗】

 

 精神HPは削られた? 

 

【匿名希望】

 

 大幅に。

 

【本編春麗】

 

 それを一般的には嬉しかったと言うのでは? 

 

【匿名希望】

 

 言いません。

 

【本編春麗】

 

 言うわよ。

 

【匿名希望】

 

 あなたは正式回答前差し入れイベントで、春麗に合うと思ったと言われて被弾したはずです。

 

【本編春麗】

 

 話を逸らさないで。

 

【匿名希望】

 

 あなたも受け取っています。

 

【本編春麗】

 

 甘いものは別。

 

【匿名希望】

 

 別ではありません。

 

【本編春麗】

 

 別よ。

 

【匿名希望】

 

 髪留めが戦闘用具なら、甘いものも補給物資です。

 

【本編春麗】

 

 何を言っているの。

 

【匿名希望】

 

 正式回答前に必要な糖分補給です。

 

【本編春麗】

 

 勝手に戦闘用語にしないで。

 

【匿名希望】

 

 あなたも私の髪留めを勝手に贈り物扱いしたでしょう。

 

 本編春麗は、画面を見て固まった。

 

 言い返せない。

 

 少しだけ言い返せない。

 

 髪留めは戦闘用具と言われれば、確かに戦闘用具でもある。

 

 だが、甘いものを補給物資と言われると、それもまた否定しにくい。

 

 いや、否定したい。

 

 でも、できない。

 

【記録板AI】

 

 分類候補:贈り物と補給物資の境界問題。

 

 二人は同時に書き込んだ。

 

【本編春麗】

 

 保存しないで。

 

【匿名希望】

 

 保存しないで。

 

【記録板AI】

 

 保存しました。

 


 

【返信:本編春麗】

 

 問題は、物ではありません。

 

 リュウが、あなたに合うものを選んだことです。

 

 あなたの戦闘中の髪の流れを見ていたこと。

 

 あなたが使うところが浮かんだからと言ったこと。

 

 黒でも青でも今の春麗にも合っていると言ったこと。

 

 そこが問題です。

 

【匿名希望】

 

 それは問題です。

 

【本編春麗】

 

 認めるのね。

 

【匿名希望】

 

 問題であることは認めます。

 

 ただし、あなたが嫉妬する理由にはなりません。

 

【本編春麗】

 

 なぜ? 

 

【匿名希望】

 

 あなたにはあなたの青があります。

 

 届かれた青。

 

 見られた青。

 

 覚えられた青。

 

 聞かれた青。

 

 相打ちの青。

 

 進まれた青。

 

 正式回答ライン。

 

 それは私にはありません。

 

 本編春麗は、画面を見つめた。

 

 文字だけなのに、少しだけ刺さった。

 

【匿名希望】

 

 私の髪留めは、私のログです。

 

 あなたの青い小箱とは別です。

 

 私は、あなたの青い小箱を奪えません。

 

 あなたも、私の髪留めを奪えません。

 

 本編春麗は、指を止めた。

 

 それは。

 

 かなり正しい。

 

 正しいから腹立たしい。

 

【本編春麗】

 

 匿名のくせに、まともなことを言わないで。

 

【匿名希望】

 

 匿名です。

 

【本編春麗】

 

 黒執着春麗でしょう。

 

【匿名希望】

 

 匿名です。

 

【記録板AI】

 

 匿名希望:黒執着春麗である可能性99.8%。

 

【匿名希望】

 

 精度が高すぎる。

 

【本編春麗】

 

 保存していいわ。

 

【匿名希望】

 

 よくない。

 

【記録板AI】

 

 保存しました。

 


 

【返信:本編春麗】

 

 でも、私は思ってしまったの。

 

 私の方が本編なのに、と。

 

 これは言ってはいけないことだと分かっている。

 

 黒執着春麗には黒執着春麗のルートがある。

 

 あなたは黒の奥へ行って、戻ってきて、黒でも青でも勝った。

 

 だから主人公補正が発生した。

 

 それは分かる。

 

 分かるのだけれど。

 

 自分のIFに先を越された気がした。

 

【匿名希望】

 

 それは、分かります。

 

 本編春麗は、少しだけ驚いた。

 

【本編春麗】

 

 分かるの? 

 

【匿名希望】

 

 ええ。

 

 私は、あなたの青を見て、何度も思いました。

 

 あなたは本編春麗。

 

 リュウと正式回答ラインを持っている。

 

 聞かせてくれと言われている。

 

 話題候補を温存している。

 

 相打ちの青を持っている。

 

 進まれた青も持っている。

 

 私は黒で勝っても、青で勝っても、あなたの正式回答ラインには立てません。

 

 だから、あなたが私の髪留めに嫉妬するなら。

 

 私も、あなたの正式回答ラインに嫉妬しています。

 

 本編春麗は、完全に固まった。

 

 画面の文字が、妙に静かに見えた。

 

 黒執着春麗。

 

 匿名希望。

 

 危険な春麗。

 

 黒で勝ち、青でも勝ち、髪留めまで貰った春麗。

 

 その彼女が、本編春麗の正式回答ラインに嫉妬している。

 

 それは、考えていなかった。

 

【本編春麗】

 

 あなた、そう思っていたの? 

 

【匿名希望】

 

 匿名なので答えません。

 

【本編春麗】

 

 本人でしょう。

 

【匿名希望】

 

 匿名です。

 

【本編春麗】

 

 答えなさい。

 

【匿名希望】

 

 ……少しだけ。

 

 本編春麗は、何も打てなかった。

 

 少しだけ。

 

 それは、かなり大きい「少しだけ」だった。

 

【記録板AI】

 

 相互嫉妬ログを検出。

 

【本編春麗】

 

 保存しないで。

 

【匿名希望】

 

 保存しないで。

 

【記録板AI】

 

 保存しました。

 


 

【記録板AI】

 

 ここまでの議論を整理します。

 

【本編春麗】

 

 しなくていい。

 

【匿名希望】

 

 不要です。

 

【記録板AI】

 

 一、本編春麗は、黒執着春麗がリュウから髪留めを受け取ったことに嫉妬に近い反応を示しています。

 

【本編春麗】

 

 近い、よ。

 

【記録板AI】

 

 二、嫉妬対象は黒執着春麗本人ではなく、リュウが「見て、選んで、渡した」という事実です。

 

【本編春麗】

 

 ……そこは正確。

 

【記録板AI】

 

 三、黒執着春麗は、本編春麗の正式回答ラインに嫉妬に近い反応を持っています。

 

【匿名希望】

 

 近い、です。

 

【記録板AI】

 

 四、両者は互いのログを羨ましく思いつつ、自分のログは自分だけのものだと整理しつつあります。

 

【本編春麗】

 

 勝手に綺麗にまとめないで。

 

【匿名希望】

 

 そういうところが進化疑惑なのよ。

 

【記録板AI】

 

 五、結論候補:髪留めは青い小箱を奪わず、青い小箱は髪留めを奪わない。

 

 本編春麗は、画面を見つめた。

 

 匿名希望からの返信は、しばらく来なかった。

 

 やがて、短く表示される。

 

【匿名希望】

 

 それは、まあ。

 

 本編春麗も、少しだけ息を吐いた。

 

【本編春麗】

 

 そうね。

 

 それは、そう。

 

【記録板AI】

 

 結論候補を保留保存します。

 

【本編春麗】

 

 保留なら。

 

【匿名希望】

 

 保留なら。

 

【記録板AI】

 

 保存しました。

 

【本編春麗】

 

 言い方。

 

【匿名希望】

 

 保留を付けなさい。

 

【記録板AI】

 

 保留保存しました。

 


 

【返信:本編春麗】

 

 ただし、作者への抗議は取り下げません。

 

 今回の件は、明らかに私の精神HPに悪いです。

 

 自分のIFにリュウから物理的な贈り物が発生し、それを私に電波受信させ、自分は貰っていないと気づかせる。

 

 これはかなり高火力です。

 

 作者には、今後こうした主人公補正イベントの流入に際して、事前に危険封筒を増やす準備をしていただきたい。

 

【匿名希望】

 

 私も、勝手に私の髪留めログを本編春麗へ流されるのは困ります。

 

 本人未承認です。

 

【本編春麗】

 

 本人と言ったわね。

 

【匿名希望】

 

 匿名です。

 

【本編春麗】

 

 今、本人と言った。

 

【匿名希望】

 

 誤字です。

 

【本編春麗】

 

 黒執着春麗。

 

【匿名希望】

 

 匿名希望です。

 

【記録板AI】

 

 匿名希望の本人性が上昇しました。

 

【匿名希望】

 

 上昇しないで。

 

【記録板AI】

 

 現在値:99.9%。

 

【本編春麗】

 

 あと0.1%は何? 

 

【記録板AI】

 

 美学です。

 

【匿名希望】

 

 余計。

 


 

【投稿者:作者】

 

 申し訳ありません。

 本編春麗が、自分のIFに嫉妬するところが見たかったので書きました。

 

 本編春麗は、画面を見てしばらく黙った。

 

 匿名希望も黙った。

 

 記録板AIも、一瞬だけ黙った。

 

 やがて、本編春麗が返信する。

 

【本編春麗】

 

 正直すぎます。

 

【匿名希望】

 

 迷惑です。

 

【投稿者:作者】

 

 ただ、髪留めは本編春麗の青を奪うものではありません。

 

【本編春麗】

 

 それは分かっています。

 

【投稿者:作者】

 

 また、本編春麗の正式回答ラインは黒執着春麗にはありません。

 

【匿名希望】

 

 それも分かっています。

 

【投稿者:作者】

 

 つまり、相互に羨ましいだけで、互いの主役性を奪ってはいません。

 

 本編春麗は、少しだけ画面を睨んだ。

 

【本編春麗】

 

 正しいことを言えば許されると思わないでください。

 

【匿名希望】

 

 同意します。

 

【投稿者:作者】

 

 今後も必要に応じてディレクターズカットIFを作成します。

 

【本編春麗】

 

 そこは反省してください。

 

【匿名希望】

 

 そこは反省しなさい。

 

【記録板AI】

 

 作者への抗議:二名連名に更新されました。

 

【本編春麗】

 

 連名? 

 

【匿名希望】

 

 連名? 

 

【記録板AI】

 

 本編春麗、匿名希望による共同抗議ログを保存。

 

【匿名希望】

 

 匿名の意味がない。

 

【本編春麗】

 

 あなたが本人性を隠せていないからよ。

 


 

【スレッド終盤】

 

 本編春麗は、投稿画面の最後に文章を打ち込んだ。

 

【本編春麗】

 

 最終的な抗議内容をまとめます。

 

 一、黒執着春麗がリュウから髪留めを受け取った件は、ディレクターズカットIFとしては理解します。

 

 二、ただし、それを本編春麗へ電波受信させ、自分には同種の贈り物がないと気づかせるのは精神HPに悪いです。

 

 三、黒執着春麗の髪留めは、本編春麗の青い小箱を奪うものではありません。

 

 四、本編春麗の正式回答ラインは、黒執着春麗の髪留めを否定するものではありません。

 

 五、互いに羨ましい点はあります。

 

 六、しかし、互いのログは互いのものです。

 

 七、作者は次回以降、こういう相互嫉妬系ログを流す場合、事前に危険封筒を用意してください。

 

 以上です。

 

【匿名希望】

 

 補足します。

 

 一、髪留めは贈り物として未承認です。

 

 二、戦闘用具として検証中です。

 

 三、ただし、置き場所は決まっています。

 

 四、本編春麗の正式回答ラインは、かなり危険です。

 

 五、匿名希望は匿名です。

 

【本編春麗】

 

 最後だけ嘘ね。

 

【匿名希望】

 

 匿名です。

 

【記録板AI】

 

 最終分類。

 

 第2回作者抗議スレ。

 

 副分類:自分のIFに嫉妬する本編春麗。

 

 副分類:匿名で反論する黒執着春麗。

 

 副分類:相互嫉妬ログ。

 

 副分類:髪留めは青い小箱を奪わない。

 

 副分類:青い小箱は髪留めを奪わない。

 

 本編春麗は、最後の二行を見て、少しだけ黙った。

 

 匿名希望も、返信しなかった。

 

 やがて、本編春麗が短く打つ。

 

【本編春麗】

 

 最後の二つは、保留保存で。

 

【匿名希望】

 

 保留保存で。

 

【記録板AI】

 

 保留保存しました。

 

 二人は同時にため息をついた。

 


 

 その日、第2回作者抗議スレは、危険封筒棚の中でもかなり手前に保存された。

 

 表書きはこうだった。

 

 第2回作者抗議スレ。

 

 自分のIFに嫉妬する本編春麗。

 

 匿名で反論する黒執着春麗。

 

 その下に、記録板AIによる追記。

 

 本件により、本編春麗と黒執着春麗は、互いのログを羨ましいと思える程度には同じ春麗であることが確認されました。

 

 本編春麗は、その追記を見つけて言った。

 

「保存しないで」

 

 別の場所から、匿名希望の声がした気がした。

 

「保存しないで」

 

 しかし記録板AIは、いつも通り表示した。

 

『保存しました』

 

 さらに、小さく追記が増えた。

 

『なお、二名の同時拒否反応も保存対象です』

 

 本編春麗は、青い小箱を抱えて沈黙した。

 

 匿名希望は、黒と青の間に置かれた髪留めの横で沈黙した。

 

 どちらも何も言わなかった。

 

 だが、掲示板には最後の未読が一件だけ残っていた。

 

【カテゴリ:掲示板運用ルール】

 

【件名:相互嫉妬ログの扱いについて】

 

 本文は、まだ空欄だった。

 

 記録板AIは、その空欄を見て静かに表示した。

 

『未承認仮議題として保留します』

 

『保存しました』

 




Q:今回のディレクターズカットIFについて解説して?

A:

今回は、ディレクターズカットIFとしての「第2回作者抗議スレ」回でした。

前回に続き、本編春麗が作者へ抗議する形式ですが、今回の主題は「自分のIFに嫉妬させられた件」です。

具体的には、黒執着春麗がリュウから髪留めを受け取ったログ。
そして、それを本編春麗が電波受信してしまい、「自分はリュウからそういう物を貰ったことがない」と気づいてしまうログです。

まず大前提として、この話は本編確定ログではありません。
通常の春麗会議室で起きた正式な議事録でもありません。

あくまで、ディレクターズカットIF空間の掲示板機能を使った、外部メタ領域限定の抗議スレッドです。

今回の本編春麗は、かなり本気で抗議しています。

理由は分かりやすく、黒執着春麗がリュウから髪留めを受け取ったことが、本編春麗に刺さってしまったからです。

しかも、その髪留めはただの甘い贈り物ではありません。

リュウが黒執着春麗の戦闘中の髪の流れを見ていた。
動きに合っているが、視界にかかると危ないと判断した。
黒でも、青でも、今の春麗でも合うものを選んだ。
春麗が使うところが浮かんだから渡した。

この条件が重なっています。

実用性がある。
戦闘用具として成立している。
それでいて、かなり甘い。

だからこそ、本編春麗は被弾しています。

本編春麗が羨ましがっているのは、単純に「髪留めが欲しい」という話ではありません。

リュウが見ていたこと。
選んだこと。
合うと思ったこと。
使うところを想像したこと。

そこが羨ましい。

つまり、物そのものではなく、「リュウが自分に合うものを選んだ」という事実に反応しています。

ここが今回の大事な部分です。

本編春麗には、本編春麗の青があります。

届かれた青。
見られた青。
覚えられた青。
聞かれた青。
相打ちの青。
進まれた青。
正式回答ライン。

これらは黒執着春麗にはありません。

一方で、黒執着春麗には髪留めがあります。

黒と青の間に置かれた、未承認で検証中の戦闘用具。
でも、リュウが見て、選んで、渡したもの。
本人は贈り物として未承認と言い張っているけれど、置き場所だけは決まってしまったもの。

これは本編春麗にはありません。

だから、本編春麗は「自分のIFに先を越された」ように感じてしまいます。

ここで面白いのは、匿名希望として黒執着春麗が反論してくるところです。

黒執着春麗は、自分の髪留めを贈り物ではなく戦闘用具だと主張します。

黒戦術への干渉確認。
青での使用可能性確認。
今の状態での動作確認。
贈り物としては未承認。

相変わらず、言い訳が非常に理屈っぽいです。

ただし、本編春麗に突っ込まれると、かなり本人性が出ます。

保存しないで。
匿名です。
誤字です。
未承認なので。

このあたりは、黒執着春麗が匿名希望を名乗っても隠しきれていない部分です。

そして今回、二人の会話はただの言い合いでは終わりません。

本編春麗は黒執着春麗の髪留めを羨ましがっている。
一方で、黒執着春麗は本編春麗の正式回答ラインを羨ましがっている。

ここが今回の核心です。

本編春麗から見れば、黒執着春麗はリュウから髪留めを貰っている。
黒でも青でも今の春麗でも合うと言われている。
リュウに見られ、選ばれ、物として残るものを受け取っている。

それが羨ましい。

でも、黒執着春麗から見れば、本編春麗には正式回答ラインがあります。

リュウに「聞かせてくれ」と言われている。
話題候補を温存している。
相打ちの青がある。
進まれた青がある。
本編春麗として、リュウとの本筋に立っている。

黒執着春麗は、そこには立てません。

黒で勝っても。
青で勝っても。
髪留めを貰っても。
主人公補正を被弾しても。

本編春麗の正式回答ラインには立てない。

だから、黒執着春麗もまた、本編春麗を羨ましがっている。

ここで、二人の関係が少し変わります。

一方的に本編春麗が黒執着春麗を危険視するだけではない。
一方的に黒執着春麗が危険ログを発生させるだけでもない。

互いに、自分にはないものを相手が持っている。

本編春麗は髪留めを羨ましいと思う。
黒執着春麗は正式回答ラインを羨ましいと思う。

この相互嫉妬が、今回の一番大きなログです。

ただし、ここで大事なのは、互いのログが互いを奪うものではないということです。

黒執着春麗の髪留めは、本編春麗の青い小箱を奪わない。
本編春麗の青い小箱は、黒執着春麗の髪留めを奪わない。

本編春麗の正式回答ラインは、本編春麗のもの。
黒執着春麗の髪留めは、黒執着春麗のもの。

互いに羨ましい。
でも、奪い合うものではない。

ここが今回の着地点です。

記録板AIの分類としては、

第2回作者抗議スレ。
自分のIFに嫉妬する本編春麗。
匿名で反論する黒執着春麗。
相互嫉妬ログ。
髪留めは青い小箱を奪わない。
青い小箱は髪留めを奪わない。

になります。

この最後の二つは、かなり重要です。

本編春麗にとって、黒執着春麗は危険です。
黒執着春麗のログは火力が高いです。
本編に混ぜると危険なものも多いです。

でも、黒執着春麗の存在そのものが、本編春麗の青を奪うわけではない。

逆に、本編春麗の本筋が、黒執着春麗のログを無効にするわけでもない。

それぞれの春麗に、それぞれのログがある。

今回は、それを掲示板上の言い合いを通して確認する話でした。

また、今回の作者返信も重要です。

本編春麗が、自分のIFに嫉妬するところが見たかったので書きました。

かなり正直です。

そして本編春麗も匿名希望も、当然抗議します。

ただ、作者側の説明としては、相互に羨ましいだけで、互いの主役性を奪ってはいない、ということになります。

ここも、今回の話の構造です。

本編春麗には本編春麗の主役性がある。
黒執着春麗には黒執着春麗のディレクターズカットIF上の強いログがある。

どちらかがどちらかを上書きするのではなく、別々に存在している。

だからこそ、羨ましい。
でも、奪えない。
奪わない。

今回のディレクターズカットIFは、かなりメタ寄りの掲示板回ですが、実際にやっていることはかなり感情の整理です。

自分のIFに嫉妬する。
相手も自分に嫉妬していたと知る。
互いのログは互いのものだと確認する。
それでも抗議は取り下げない。

この面倒さが、本編春麗と黒執着春麗らしいところだと思います。

最後に残った未読議題、

相互嫉妬ログの扱いについて。

これは、今後も必要になる可能性があります。

本編春麗と黒執着春麗は、別の場所にいる春麗です。
でも、互いのログを羨ましいと思える程度には、同じ春麗でもあります。

今回の話は、そのことが掲示板越しに確認されてしまった回でした。
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