また戦ってくれなんて言わないで ――春麗は今日もめんどくさい―― 作:エーアイ
本編のIFシリーズは無関係のエピソードとなります。
記録板AIは、白い外部メタ領域に表示を出した。
『本記録は、ディレクターズカットIFです』
『本編確定ログではありません』
『春麗会議室そのものではなく、春麗会議室掲示板における外部整理ログです』
『本編時空へ直接反映されません』
一拍。
『本日の検証対象』
『初期春麗』
『対リュウ初勝利』
『リュウが女性格闘家としての春麗を前に、無意識に拳を鈍らせたことによる敗北』
『勝者春麗による初期勝ちセリフ群』
一拍。
『本記録の議題』
『初期春麗の勝者煽りは、現在の本編春麗および黒執着春麗と比較した場合、どのような意味を持つか』
『本編春麗が正式回答を受け取る前の段階で、初期春麗の言葉をどう再解釈できるか』
『初期春麗の直線的な強さは、現在の春麗たちにとって何を示すか』
一拍。
『注意事項』
『本編春麗の自己防衛反応が発生する可能性があります』
『自覚前春麗による資料化が発生する可能性があります』
『匿名希望による丁寧語の刺突が発生する可能性があります』
『面倒さ、重さ、蓄積などの語句を巡り、軽度のレスバトルが発生する可能性があります』
春麗会議室掲示板。
そこには、危険なカテゴリがいくつもある。
【作者への抗議依頼】
【他春麗ログ・断片受信関連】
【黒戦術関連】
【リュウ無自覚高火力対策】
【自己認識審議】
【キャラクター属性審議】
【青の変化分析】
その日、新しいスレッドが立った。
【カテゴリ:青の変化分析】
【スレッド名:第1話初期春麗の勝者煽りから、現在の春麗を考察するスレ】
【スレ主:記録板AI】
本文。
本スレッドは、ディレクターズカットIF領域の比較検証掲示板です。
議題は、初期春麗の勝者煽りと、現在の本編春麗の言葉の変化についてです。
まず、初期春麗の勝ちセリフパターンを資料として掲示します。
【資料一:初期春麗・勝ちセリフ集】
想定状況。
リュウが、春麗を女性格闘家として見たことで無意識に拳を鈍らせる。
春麗はその隙を突き、初対戦で勝利する。
勝者となった春麗が、倒れたリュウを見下ろして言う勝ちセリフ。
【王道ストレート系】
「何をためらっていたの? 私が女だからって、手を抜いたつもり?」
「甘いわね。そういう油断をする男は、私には勝てないわ」
「今の負け、実力差よ。言い訳するつもりじゃないでしょうね?」
「女だから遠慮した? そんな拳で、私に勝てると思ったの?」
「勝負の場で相手を見誤るなんて、ずいぶん未熟なのね」
【勝者として見下ろす系】
「ほら、立ってみなさい。負けたまま俯いていたら、もっと惨めに見えるわ」
「その顔、覚えておきなさい。女相手に油断して負けた男の顔よ」
「あなたが見下していた相手に、こうして見下ろされる気分はどう?」
「情けないわね。勝者は私。地面にいるのはあなた」
「その程度の覚悟で大会に出ていたの? 拍子抜けだわ」
【女として見たことを刺す系】
「最初に私を“女”として見た時点で、あなたの負けは始まっていたのよ」
「格闘家の前に男と女を持ち込むなんて、ずいぶん失礼な人ね」
「私は女でもあるけれど、まずは戦士よ。そこを見誤ったあなたの負け」
「女に負けたんじゃないわ。あなたは、私という格闘家に負けたの」
「相手が女だからって拳を鈍らせるなんて、優しさじゃないわ。ただの甘さよ」
【春麗の誇りが強い系】
「中国代表を甘く見ないことね。私を倒したいなら、最初から本気で来なさい」
「私は遊びでここに立ってるんじゃないの。勝つために来てるのよ」
「その程度の気持ちで私の前に立ったのなら、負けて当然ね」
「覚えておきなさい。私は、甘さを見逃すほど優しくないわ」
「勝負に必要なのは遠慮じゃない。本気よ。あなたにはそれが足りなかった」
【挑発の色が濃い系】
「どうしたの? もっと強い人だと思っていたけど、期待外れだったわ」
「その昇龍拳、悪くはなかったわ。でも隙だらけ。簡単だった」
「私を倒すつもりだったのなら、そんな甘い目をしてちゃ駄目よ」
「あなた、有名なんでしょう? でも今のままじゃ、名前負けね」
「少しは楽しませてくれるかと思ったけど……これじゃ私の勝ちが軽く見えるわ」
【辛辣な勝者感強め】
「負けた理由を教えてあげましょうか? あなたが私を対等の相手と見なかったからよ」
「技の差だけじゃない。覚悟の差でも、あなたは負けていたわ」
「その拳の迷い、全部見えていた。だから潰した。それだけよ」
「一瞬の甘さが命取りになる。それを体で覚えられてよかったわね」
「次に私と戦うなら、女を相手にしているつもりで来ないことね」
【初期春麗らしい、誇らしげで映える系】
「私は勝った。あなたは負けた。今はそれだけで十分よ」
「私の勝ちね。悔しいなら、次は最初から本気で来なさい」
「悪くない試合だったわ。でも勝ったのは私」
「その甘さ、次までに捨ててきなさい。でないと、また同じ結果になるわ」
「あなたがどんな男でも関係ない。私の前に立つなら、倒すだけよ」
【初対戦で強烈に印象を残す一言系】
「覚えておきなさい。私は、甘い男には負けないわ」
「女だからと侮った報いよ」
「その油断、私には通じない」
「あなたの敗因は、私を見誤ったこと」
「次に会う時は、本気で来なさい。今度は言い訳できないわよ」
【第1話の決め台詞候補】
パターンA。
「甘いわね。
私を女として見た瞬間に、あなたの負けは決まっていたのよ。
次は最初から、本気で来ることね」
パターンB。
「どう?
女相手だからって拳を鈍らせた結果が、それ。
無様ね。でも、その無様さは忘れない方がいいわ」
パターンC。
「私は同情なんていらない。
勝負の場で欲しいのは、本気だけよ。
それを出さなかったあなたに、負ける理由なんてなかったわ」
パターンD。
「少しは名のある格闘家らしいところを見せてくれるかと思ったけど……。
残念ね。
今日のあなたは、私に勝つには甘すぎたわ」
パターンE。
「よく覚えておきなさい。
女を甘く見て負けたんじゃない。
あなたは、春麗という格闘家に負けたのよ」
【短文フレーズ集】
「遅いわ」
「甘いのよ」
「その程度?」
「油断した報いね」
「立てるなら立ちなさい」
「悔しいなら、強くなってきなさい」
「次は容赦しないで来ることね」
「私は最初から、本気だったわ」
「それがあなたの実力なら、失望だわ」
「勝者は私。それだけよ」
【比較用締め候補】
「覚えておきなさい。女だから負けたんじゃない。あなたは、私を本気で見なかったから負けたのよ」
「次は最初から本気で来なさい。私は、甘い拳で倒せる相手じゃないわ」
「その油断、私には通じない。今日の敗北で、少しは覚えたでしょう?」
「私は同情されるためにここへ来たんじゃない。勝つために来たの」
「女として見たことは許してあげる。でも、格闘家として見誤ったことは、今日の敗北で償いなさい」
【返信:本編春麗】
いきなり資料量が多いわね。
【返信:記録板AI】
初期春麗の直線性を確認するため、資料掲示が必要でした。
【返信:自覚前春麗】
でも、かなり分かりやすいわ。
【返信:本編春麗】
分かりやすいけれど、少し強すぎるわね。
【返信:匿名希望】
確認しました。
【返信:本編春麗】
来たわね。
【返信:匿名希望】
初期春麗の勝者煽り資料であるため、確認に来ました。
【返信:本編春麗】
あなた、こういう時は早いわね。
【返信:匿名希望】
匿名です。
【返信:記録板AI】
一般性:低。
【返信:匿名希望】
今回は本題ではありません。
【返信:本編春麗】
本題にしてもいいのよ。
【返信:匿名希望】
やめてください。
【返信:記録板AI】
検証一。
初期春麗の基本構造について。
【返信:記録板AI】
初期春麗の特徴を表示します。
一、勝敗認識が明確。
二、相手の甘さを即座に敗因として刺す。
三、自分の感情分析をしない。
四、リュウの次を単純な再戦として求める。
五、勝者として名を刻む。
【返信:自覚前春麗】
かなり直線的ね。
【返信:本編春麗】
ええ。
勝った。
相手が甘かった。
だから刺した。
そこで終わっている感じがするわ。
【返信:匿名希望】
初期春麗は、まだ軽いですね。
【返信:本編春麗】
軽い?
【返信:匿名希望】
悪い意味ではありません。
勝った。
相手が甘かった。
だから刺す。
それで終わる。
余計なものを持ち帰らない。
その軽さは、かなり強いと思います。
【返信:本編春麗】
……それは、確かにそうね。
【返信:自覚前春麗】
今の私たちなら、同じ出来事をもっと持ち帰ってしまうわね。
【返信:匿名希望】
はい。
見られたこと。
迷われたこと。
拳が鈍った理由。
自分が女として見られたこと。
格闘家として見誤られたこと。
それらを、今の春麗たちは持ち帰ります。
【返信:本編春麗】
あなたもでしょ。
【返信:匿名希望】
否定はしません。
【返信:記録板AI】
匿名希望:持ち帰り傾向を一部認定。
【返信:匿名希望】
一部です。
【返信:記録板AI】
保存しました。
【返信:匿名希望】
保存しないでください。
【返信:記録板AI】
検証二。
代表セリフ。
「女だからって油断した? その甘さがあなたの敗因よ」
【返信:自覚前春麗】
これは、第1話の春麗としてはかなり強いわね。
【返信:本編春麗】
ええ。
相手が女性格闘家だから拳を鈍らせたなら、そこを突く。
勝負なら当然よ。
【返信:匿名希望】
初期春麗は、そこを感情で複雑化しないところが強いと思います。
【返信:本編春麗】
今の私なら、たぶん少し違うわね。
【返信:記録板AI】
現在の本編春麗による再解釈を要求します。
【返信:本編春麗】
要求しないで。
【返信:匿名希望】
聞きたいです。
【返信:自覚前春麗】
私も。
【返信:本編春麗】
……今の私なら、たぶんこう言うわ。
「私を女として見たことは、別に否定しないわ。私は女でもあるもの。でも、そのせいで拳を鈍らせたなら、それは違う。私は、あなたの遠慮ではなく、本気を受けるために立っているの」
【返信:自覚前春麗】
ああ。
【返信:匿名希望】
今の本編春麗さんですね。
【返信:本編春麗】
何よ。
【返信:匿名希望】
初期春麗は、油断を斬る。
今の本編春麗は、油断の裏にある「自分をどう見たか」まで受け取る。
【返信:本編春麗】
受け取りたくて受け取っているわけではないわ。
【返信:匿名希望】
でも、受け取ってしまうのだと思います。
【返信:記録板AI】
変化点一。
『初期春麗』
相手の甘さを敗因として斬る。
『現在の本編春麗』
相手の甘さが、自分への見方としてどう刺さるかまで認識する。
【返信:本編春麗】
かなり嫌な整理ね。
【返信:匿名希望】
正確だと思います。
【返信:本編春麗】
丁寧に刺さないで。
【返信:匿名希望】
失礼しました。
【返信:本編春麗】
謝ればいいものではないわ。
【返信:記録板AI】
検証三。
代表セリフ。
「女に負けたんじゃない。私に負けたのよ」
【返信:自覚前春麗】
これは名台詞候補ね。
【返信:本編春麗】
ええ。
第1話ならかなり強いわ。
【返信:匿名希望】
初期春麗の自尊心がよく出ています。
女であることを否定しない。
けれど、リュウの敗因を「女だから」に逃がさない。
【返信:本編春麗】
そこは大事ね。
【返信:記録板AI】
現在の本編春麗なら?
【返信:本編春麗】
今なら、こうかしら。
「女に負けたんじゃない。春麗という格闘家に負けたのよ。……でも、女としての私を見たことも、なかったことにはしない。次は、その全部を見たうえで本気で来なさい」
【返信:自覚前春麗】
重い。
【返信:匿名希望】
かなり重いですね。
【返信:本編春麗】
深いと言いなさい。
【返信:匿名希望】
深くて重いです。
【返信:本編春麗】
足さなくていいのよ。
【返信:自覚前春麗】
でも、違いは分かるわ。
初期春麗は「女ではなく私に負けた」と言う。
今の本編春麗は「女として見たことも含めて私に向き合え」と言う。
【返信:本編春麗】
……それは、かなり正確ね。
【返信:匿名希望】
自覚前春麗なのに鋭いですね。
【返信:自覚前春麗】
私も春麗だから。
【返信:記録板AI】
変化点二。
『初期春麗』
女性扱いを敗因化し、格闘家としての自分を刻む。
『現在の本編春麗』
女性として見られることも否定せず、その上で格闘家として本気を求める。
【返信:本編春麗】
これは採用してもいいわ。
【返信:匿名希望】
認めましたね。
【返信:本編春麗】
評価よ。
【返信:匿名希望】
便利ですね。
【返信:本編春麗】
あなたもよく使うでしょう。
【返信:匿名希望】
保留です。
【返信:記録板AI】
保留逃避を確認。
【返信:匿名希望】
逃避ではありません。位置取りです。
【返信:記録板AI】
検証四。
代表セリフ。
「次は最初から本気で来なさい」
【返信:自覚前春麗】
これはシンプルね。
【返信:匿名希望】
初期春麗の「次」は、まだ軽いと思います。
【返信:本編春麗】
軽いというより、健全ね。
【返信:匿名希望】
はい。
単純な再戦要求です。
まだ「次のリュウが欲しい」という重さではありません。
【返信:本編春麗】
そこを比較しなくていいわ。
【返信:記録板AI】
比較します。
『初期春麗』
「次は最初から本気で来なさい」
『現在の本編春麗』
「次に来るなら、本気で来なさい。私は、あなたの遠慮ではなく拳を受けたいの」
【返信:自覚前春麗】
でも、流れとしては分かるわ。
初期春麗は、次は本気で来なさい。
本編春麗は、遠慮ではなく本気の拳を向けなさい。
【返信:匿名希望】
はい。
初期の再戦要求が、今までの積み重ねで変化しています。
【返信:本編春麗】
変化、ね。
【返信:記録板AI】
変化点三。
『初期春麗の次』
再戦要求。
『現在の本編春麗の次』
遠慮ではなく、本気で向き合うことへの要求。
『黒執着春麗の次』
視線と迷いまで含めた再戦要求。
【返信:本編春麗】
この整理なら、まだ安全ね。
【返信:匿名希望】
安全かどうかは保留します。
【返信:本編春麗】
あなたの保留は便利すぎるのよ。
【返信:匿名希望】
位置取りです。
【返信:記録板AI】
保存しました。
【返信:本編春麗】
保存を急がないで。
【返信:記録板AI】
検証五。
代表セリフ。
「春麗の名前、覚えておきなさい」
【返信:本編春麗】
これは本当に第1話向きね。
【返信:自覚前春麗】
勝者として名前を刻む感じ。
【返信:匿名希望】
初期春麗は、リュウに「私を覚えなさい」と言う。
でも、今の本編春麗は、少し違います。
【返信:本編春麗】
どう違うの。
【返信:匿名希望】
今のあなたは、「私を覚えなさい」だけでは足りません。
「今の私を見なさい」
「今日の私を忘れないで」
「でも、まだ全部を渡すわけではない」
「次は、同じ間違いをしないで来なさい」
こうなると思います。
【返信:本編春麗】
列挙しないで。
【返信:自覚前春麗】
でも、かなり本編春麗ね。
【返信:本編春麗】
否定しづらいのが嫌ね。
【返信:記録板AI】
変化点四。
『初期春麗』
自分の名前を相手に刻む。
『現在の本編春麗』
自分の姿、勝敗、言葉、次に向けての見方まで残す。
【返信:本編春麗】
最後が重いわね。
【返信:匿名希望】
重いですが、かなり本編春麗です。
【返信:本編春麗】
あなた、本当に丁寧に刺すわね。
【返信:匿名希望】
丁寧に扱うべきログだと思いますので。
【返信:本編春麗】
そういうところが余計に刺さるのよ。
【返信:記録板AI】
ここで、三段階比較を表示します。
【三段階比較】
『初期春麗』
リュウを倒した勝者。
相手の甘さを刺す。
自分の名前を刻む。
感情は比較的単純。
自己防衛は少ない。
『現在の本編春麗』
リュウと何度も戦い、負け、勝ち、宿題を出し、現在は正式回答を待っている春麗。
相手の本気を求める。
自分が女として見られることも、格闘家として見られることも、両方受け取ってしまう。
次を残そうとする。
自己防衛が多い。
【返信:自覚前春麗】
かなり綺麗な整理ね。
【返信:匿名希望】
初期春麗のログは、雑に扱うべきではないと思います。
【返信:本編春麗】
それは同意するわ。
【返信:匿名希望】
初期春麗は、今の本編春麗さんとも、私とも違います。
けれど、始まりです。
最初に、リュウを倒して、勝者として名を刻んだ春麗。
そこがなければ、今の青も黒もありません。
【返信:本編春麗】
……。
【返信:記録板AI】
重要整理。
初期春麗は、リュウの甘さを斬った。
本編春麗は、リュウの本気を求めるようになった。
【返信:本編春麗】
これは、かなり本質ね。
【返信:匿名希望】
ただし、そこに長い蓄積があります。
【返信:本編春麗】
面倒さ、と言わなかったわね。
【返信:匿名希望】
丁寧に言いました。
【返信:記録板AI】
言い換え候補。
『長い蓄積』
【返信:本編春麗】
それで。
【返信:匿名希望】
面倒さを含む長い蓄積ですね。
【返信:本編春麗】
あなたね。
【返信:匿名希望】
丁寧に表現しました。
【返信:本編春麗】
丁寧ならいいわけではないのよ。
【返信:自覚前春麗】
でも、第1話の初期春麗って、今から見ると少し眩しいわね。
【返信:本編春麗】
眩しい?
【返信:自覚前春麗】
勝った理由を真っ直ぐ言える。
相手の甘さを迷わず刺せる。
自分がどう見られたかに怒っても、それをそのまま勝者の言葉にできる。
【返信:匿名希望】
確かに眩しいですね。
【返信:本編春麗】
あなたも?
【返信:匿名希望】
はい。
今の私たちは、見られたことをいちいち持ち帰ります。
棚に入れます。
削除要求なしと言います。
保留します。
正式承認しません。
かなりややこしいです。
【返信:本編春麗】
自覚はあるのね。
【返信:匿名希望】
確認しないでください。
【返信:自覚前春麗】
でも、そのややこしさが悪いわけでもないんでしょう?
【返信:本編春麗】
ええ。
【返信:匿名希望】
そうですね。
ややこしくなったことは、弱くなったことではありません。
【返信:通常救済版春麗】
同意するわ。
【返信:本編春麗】
救済版も来たのね。
【返信:通常救済版春麗】
初期春麗の言葉は、強くて真っ直ぐ。
今の春麗たちの言葉は、重くて複雑。
でも、どちらも春麗なのよね。
【返信:匿名希望】
はい。
【返信:通常救済版春麗】
初期春麗が、甘い拳を斬った。
だから本編春麗は、本気の拳を求めるようになった。
変わったけれど、始まりは消えていない。
【返信:本編春麗】
……そうね。
【返信:記録板AI】
変化総括。
第1話初期春麗。
勝つために立つ春麗。
現在の本編春麗。
勝つだけではなく、受け取り、残し、自分が女として見られることも、格闘家として見られることも、両方受け取ってしまう春麗。
【返信:本編春麗】
これならいいわ。
【返信:匿名希望】
かなり綺麗にまとまったと思います。
【返信:自覚前春麗】
でも、最初の春麗がいなかったら、今の春麗たちもいないのよね。
【返信:本編春麗】
そうね。
一拍。
「甘いわね、リュウ」
本編春麗は、掲示板に表示された初期春麗のセリフを見た。
真っ直ぐで、強くて、若い言葉。
今の自分なら、たぶん同じ言い方はしない。
もっと相手を見る。
もっと自分を守る。
もっと次を残す。
もっと悔しさも、嬉しさも、受け取り方も考えてしまう。
それでも。
あの一言は、自分の始まりだった。
リュウを倒し、見下ろし、名を刻んだ春麗。
そこから、何度も戦って、負けて、勝って、引き分けて、宿題を出して、正式回答を待つ自分になった。
まだ、答えは来ていない。
だから、この先の自分がどう変わるのかは分からない。
それでも、変わったことだけは分かる。
確かに変わった。
でも、失くしたわけではない。
初期春麗の強さは、今も底にある。
【返信:本編春麗】
……削除要求なし。
【返信:匿名希望】
それ、便利に使いすぎではありませんか。
【返信:本編春麗】
評価よ。
【返信:匿名希望】
便利ですね。
【返信:記録板AI】
保存名候補を表示します。
『第1話初期春麗勝者煽り分析ログ』
副題。
『甘い拳を斬った春麗から、本気の拳を求める春麗へ』
追記。
『次は、本気で来なさい。私も、逃げずに受けるために』
削除要求。
『なし』
【返信:本編春麗】
このくらいなら、いいわ。
【返信:匿名希望】
保留ではなく?
【返信:本編春麗】
評価よ。
【返信:匿名希望】
便利ですね。
【返信:記録板AI】
保存しました。
その保存名は、春麗会議室掲示板の外部保留領域に置かれた。
本編確定ログではない。
ただ、始まりを振り返るためのログとしては、悪くなかった。
Q:今回のディレクターズカットについて解説して?
A:
今回は、ディレクターズカットIFとして「初期春麗の勝ちセリフ」を掲示板で解析する回でした。
今回のテーマは、
最初の春麗は、リュウに勝った時に何を言ったのか。
そして、今の本編春麗は、その言葉をどう受け取るのか。
です。
初期春麗の勝ちセリフは、かなり直線的です。
「甘いわね」
「女だからって油断した?」
「女に負けたんじゃない。私に負けたのよ」
「次は最初から本気で来なさい」
「春麗の名前、覚えておきなさい」
どれも強いです。
勝った。
相手が甘かった。
その甘さを見逃さなかった。
だから自分が勝った。
初期春麗は、この構造をあまり複雑化しません。
相手が女性格闘家としての自分を見て、拳を鈍らせた。
それを敗因として斬る。
勝者として名を刻む。
次は本気で来なさいと言う。
非常に分かりやすく、強く、眩しい春麗です。
一方で、今の本編春麗は、同じ出来事をもっと持ち帰ってしまいます。
リュウが自分をどう見たのか。
女性として見たのか。
格闘家として見たのか。
なぜ拳が鈍ったのか。
それは遠慮なのか、油断なのか、礼を欠いた行為なのか。
次に本気で来てほしいという言葉には、どれだけの意味が乗るのか。
初期春麗なら一言で斬れたものを、今の本編春麗は受け取り、考え、守り、言い直します。
これは弱くなったということではありません。
むしろ、長い蓄積です。
本編春麗は、リュウと何度も戦い、勝ち、負け、引き分け、言葉を交わし、自分がどう見られるかを意識するようになっています。
だからこそ、初期春麗のように「甘いわね」で終わらせられない。
女として見られることを否定しない。
でも、それで拳を鈍らせるなら違う。
遠慮ではなく、本気を向けてほしい。
自分は、その本気を受けるために立っている。
このあたりが、今の本編春麗らしさだと思います。
匿名希望こと黒執着春麗は、次のように丁寧に分析します。
「初期春麗は、まだ軽いですね」
「悪い意味ではありません」
「今の春麗たちは、見られたことを持ち帰ります」
「初期春麗のログは、雑に扱うべきではないと思います」
本編春麗としては、雑に煽られるよりも、丁寧に分析される方が痛いところもあると思います。
初期春麗は、リュウの甘さを斬る春麗です。
相手が甘かった。
相手が見誤った。
だから自分が勝った。
名前を覚えなさい。
とても直線的です。
現在の本編春麗は、リュウの本気を求める春麗です。
甘さを斬るだけではなく、その奥にある遠慮や見方まで受け取ってしまう。
そのうえで、次は本気で来てほしいと言う。
ただ倒す相手ではなく、ちゃんと向き合ってほしい相手になっている。
初期春麗と現在の本編春麗は、かなり違います。
でも、始まりは同じです。
リュウの前に立つ春麗。
勝つために立つ春麗。
甘い拳では倒せない春麗。
そこは変わっていません。
今回の最後で、本編春麗は初期春麗の「甘いわね、リュウ」という言葉を見ます。
今の自分なら、たぶん同じ言い方はしない。
もっと相手を見る。
もっと自分を守る。
もっと次を残す。
もっと考えてしまう。
でも、あの一言は自分の始まりだった。
ここが今回の核です。
初期春麗は、今の本編春麗より単純かもしれません。
今の本編春麗ほど面倒ではないかもしれません。
でも、初期春麗の強さがあったから、今の春麗たちがいます。
甘い拳を斬った春麗。
本気の拳を求める春麗。
視線まで読む春麗。
どれも春麗です。
そして、どの春麗も、リュウの前に立つ時は勝つために立っている。
今回は、春麗の始まりに戻る回でした。
初期春麗の勝ちセリフを振り返ることで、今の本編春麗がどれだけ変わったのか。
そして、変わっても底にある強さは失われていないのだと確認する回だったと思います。