また戦ってくれなんて言わないで ――春麗は今日もめんどくさい―― 作:エーアイ
本編のIFシリーズは無関係のエピソードとなります。
春麗会議室掲示板。
その外部検証カテゴリに、新しいスレッドが立った。
【カテゴリ:ディレクターズカットIF検証】
【スレッド名:第1話崩壊ルート――負けた春麗は、リュウを忘れない件について】
【スレ主:記録板AI】
本文。
本スレッドは、ディレクターズカットIF領域に記録された第1話崩壊ルートを検証するものです。
本来の第1話構造では、春麗はリュウにギリギリ勝利します。
その勝利により、リュウが女性格闘家である春麗を前に無意識に拳を鈍らせたことを春麗が見抜き、勝者として「女に負けたのではなく、格闘家に負けた」と叩き込む構造が成立します。
しかし本ログでは、構造が反転しています。
リュウは確かに初動で拳を鈍らせました。
春麗はそれを見抜きました。
春麗はその甘さを叩き潰すつもりで試合を進めました。
しかし、リュウは試合中に修正しました。
春麗を格闘家として見直し、それでも春麗が女であることを消さず、最後に春麗へ届きました。
結果として、片膝をついたのは春麗でした。
この場合、春麗の青は勝利からではなく、敗北から始まります。
議題。
第1話時点で春麗がリュウにギリギリ敗北した場合、春麗のリュウ認識、青の始点、再戦欲求、執着発生構造はどう変化するか。
【返信:本編春麗】
閉じなさい。
【返信:自覚前春麗】
早い。
【返信:通常救済版春麗】
でも、これは閉じたくなるわね。
【返信:行き遅れに恐怖する春麗】
第1話崩壊ルートは、名称からして危険すぎるわ。
【返信:黒ドレス特化救済春麗】
青の始点が負けになるのは、かなり大きいわね。
【返信:匿名希望】
これは執着発生条件として非常に興味深いです。
【返信:本編春麗】
あなたは出てこなくていいわ。
【返信:匿名希望】
掲示板ですので。
【返信:記録板AI】
匿名希望、観測発言を確認。
【返信:本編春麗】
確認しなくていい。
【返信:記録板AI】
検証対象を整理します。
本ログの危険点は、春麗が単純に負けたことではありません。
重要なのは、リュウが最初に間違えたことです。
リュウは春麗を格闘家として見ています。
しかし、その奥に一瞬だけ「女」としての認識が混じります。
壊してはいけないものを見るような甘さ。
踏み込む前に半拍だけ拳を鈍らせる迷い。
春麗はそれを見抜きます。
ここまでは、本来の第1話構造と近いです。
問題は、その後です。
春麗はその甘さを叩き潰して勝つはずでした。
しかし、リュウは試合中に修正しました。
そして、春麗が女であることを消さないまま、格闘家として見直し、その両方を抱えたまま勝ちました。
【返信:本編春麗】
並べないで。
【返信:自覚前春麗】
これはかなり刺さるわね。
【返信:通常救済版春麗】
最初に見誤った相手に、途中で見直されて、そのうえで負けるのね。
【返信:本編春麗】
言わなくていい。
【返信:行き遅れに恐怖する春麗】
普通の敗北より記憶に残るわ。
【返信:黒ドレス特化救済春麗】
勝ったリュウが悪意を持っていないところも危険ね。
【返信:匿名希望】
非常に危険です。
悪意がない。
見下していない。
最初に間違えたことを認める。
謝る。
次は最初から見ると言う。
これは、防御が難しいです。
【返信:本編春麗】
詳しく分析しないで。
【返信:匿名希望】
重要ですので。
【返信:記録板AI】
匿名希望、分析継続。
【返信:本編春麗】
止めなさい。
【返信:記録板AI】
掲示板仕様上、停止不可。
【返信:本編春麗】
仕様が敵すぎるわ。
【返信:自覚前春麗】
まず、本来の第1話構造を確認した方がいいと思う。
【返信:記録板AI】
表示します。
本来構造。
リュウが春麗を前に無意識に拳を鈍らせる。
春麗がそれを見抜く。
春麗が勝つ。
春麗が勝者として、リュウに「女に負けたのではなく春麗という格闘家に負けた」と刻む。
リュウは次から春麗を格闘家として見直す。
春麗は勝者として、リュウの甘さを叩き直した存在になる。
【返信:通常救済版春麗】
こちらは春麗が主導権を持てる構造ね。
【返信:黒ドレス特化救済春麗】
ギリギリでも、勝っているから言える言葉がある。
【返信:行き遅れに恐怖する春麗】
勝者として傷つけるのではなく、勝者として正す。
【返信:本編春麗】
そうよ。本来はそういう位置だったはずよ。
【返信:自覚前春麗】
でも崩壊ルートでは、そうならない。
【返信:記録板AI】
崩壊ルート。
リュウが春麗を前に無意識に拳を鈍らせる。
春麗がそれを見抜く。
春麗は怒り、その甘さを叩き潰そうとする。
リュウは試合中に修正する。
春麗は追い詰めるが、最後にリュウへ届かれる。
春麗がギリギリ敗北する。
リュウが「強かった」と言う。
リュウが「次は最初から見る」と言う。
春麗がリュウを忘れられなくなる。
【返信:本編春麗】
最後が最悪ね。
【返信:匿名希望】
最悪ですが、非常に強いです。
【返信:本編春麗】
あなた、楽しんでいない?
【返信:匿名希望】
観測しています。
【返信:記録板AI】
匿名希望、軽度楽しんでいる可能性。
【返信:匿名希望】
保存しないでください。
【返信:記録板AI】
保存しました。
【返信:本編春麗】
そこは少し面白いわ。
【返信:匿名希望】
本編春麗に笑われるのは不本意です。
【返信:通常救済版春麗】
このルートで一番危ないのは、リュウが「間違えたまま勝った」のではないところね。
【返信:本編春麗】
そう。
【返信:通常救済版春麗】
最初に間違えた。
でも、試合中に直した。
そして勝った。
だから春麗は、怒りだけで処理できない。
【返信:行き遅れに恐怖する春麗】
もしリュウが最後まで見誤ったまま勝ったなら、春麗はただ許せなかったと思うわ。
【返信:黒ドレス特化救済春麗】
でも、途中で見直した。
春麗を格闘家として見た。
それでも春麗が女であることは消さなかった。
その上で、最後に届いた。
【返信:自覚前春麗】
だから「忘れない」になるのね。
【返信:本編春麗】
嫌な整理だけど、そうね。
【返信:記録板AI】
危険要素。
『最初に見誤られた怒り』
『途中で見直された悔しさ』
『それでも負けた屈辱』
『負けた後に強かったと言われた被弾』
『次は最初から見ると言われた再戦予約』
『今日の春麗を覚えておくと言われた記憶固定』
【返信:本編春麗】
全部危険じゃない。
【返信:自覚前春麗】
全部危険ね。
【返信:匿名希望】
特に「今日の春麗を覚えておく」は危険です。
【返信:本編春麗】
そこは分かっているわよ。
【返信:匿名希望】
負けた春麗。
怒った春麗。
最初に見誤られた春麗。
途中で見直された春麗。
ギリギリまで追い詰めた春麗。
それらを全部覚えておく、という意味になります。
【返信:本編春麗】
刺し直さないで。
【返信:匿名希望】
掲示板ですので。
【返信:本編春麗】
便利ね、それ。
【返信:記録板AI】
検証。
第1話崩壊ルートにおける春麗の青の始点。
【返信:黒ドレス特化救済春麗】
このルートの青は、勝者の青ではないわね。
【返信:通常救済版春麗】
敗者の青ね。
【返信:自覚前春麗】
でも、ただ折れた青でもない。
【返信:行き遅れに恐怖する春麗】
敗北から始まる再戦の青。
【返信:本編春麗】
……嫌な名前ね。
【返信:記録板AI】
用語候補。
『敗北始動の青』
『刻まれた青』
『叩き直せなかった青』
『忘れない青』
【返信:本編春麗】
全部嫌。
【返信:匿名希望】
個人的には「忘れない青」が良いと思います。
【返信:本編春麗】
あなたに選ばれたくないわ。
【返信:匿名希望】
ですが、かなり正確です。
【返信:黒ドレス特化救済春麗】
本編の青は、春麗が勝ってリュウに刻む青。
このIFの青は、春麗が負けてリュウを刻み返そうとする青。
【返信:自覚前春麗】
つまり、始点が反転している。
【返信:通常救済版春麗】
勝者として始まるか、敗者として始まるか。
【返信:行き遅れに恐怖する春麗】
春麗のめんどくささの方向も変わるわね。
【返信:本編春麗】
どう変わるのよ。
【返信:行き遅れに恐怖する春麗】
本編だと、勝った春麗が「次も来なさい」と言う。
このルートだと、負けた春麗が「次は私に負けなさい」と言う。
【返信:本編春麗】
……。
【返信:自覚前春麗】
これはかなり大きい。
【返信:匿名希望】
敗者側からの次回予約です。
【返信:本編春麗】
言い方。
【返信:記録板AI】
用語候補。
『敗者側次回予約』
【返信:本編春麗】
採用しないで。
【返信:記録板AI】
保留保存。
【返信:本編春麗】
保留もしないで。
【返信:通常救済版春麗】
このルートのリュウは、かなり危険ね。
【返信:本編春麗】
どういう意味?
【返信:通常救済版春麗】
悪い意味ではないわ。
最初は間違える。
でも、間違えたことを認める。
謝る。
そして、次は最初から見ると言う。
【返信:自覚前春麗】
負けた側からすると、逃げ場がないわね。
【返信:黒ドレス特化救済春麗】
春麗の怒りを否定しない。
春麗の強さも否定しない。
春麗が悔しいことも見抜く。
【返信:行き遅れに恐怖する春麗】
しかも勝ち誇らない。
【返信:本編春麗】
そこが腹立たしいのよ。
【返信:匿名希望】
非常に分かります。
【返信:本編春麗】
あなたに分かられたくない。
【返信:匿名希望】
同じ春麗ですので。
【返信:本編春麗】
またそれ。
【返信:記録板AI】
リュウ危険要素を整理します。
『初動で春麗を女として認識し、無意識に拳を鈍らせる』
『試合中にその甘さを修正する』
『春麗を格闘家として見直す』
『春麗が女であることも消さない』
『最後に春麗へ届く』
『勝利後に強かったと言う』
『甘かったことを認めて謝る』
『次は最初から見ると言う』
『今日の春麗を覚えておくと言う』
【返信:本編春麗】
並べると本当に危険ね。
【返信:自覚前春麗】
初動の失点を、試合後の言葉で別方向に刺してくる。
【返信:通常救済版春麗】
しかも本人は刺している自覚が薄い。
【返信:黒ドレス特化救済春麗】
無自覚追撃の原型ね。
【返信:記録板AI】
用語候補。
『初期型リュウ無自覚追撃』
【返信:本編春麗】
保存しないで。
【返信:記録板AI】
保存しました。
【返信:本編春麗】
早い。
【返信:自覚前春麗】
このIFで一番怖いのは、本編より春麗の執着発生が早いことだと思う。
【返信:本編春麗】
……否定しづらいわね。
【返信:通常救済版春麗】
本編だと、春麗は勝者としてリュウを気にし始める。
【返信:黒ドレス特化救済春麗】
このIFだと、敗者としてリュウを気にし始める。
【返信:行き遅れに恐怖する春麗】
敗北、怒り、屈辱、再戦欲求、見られた記憶。
かなり混ざるわ。
【返信:匿名希望】
執着の温度が高いです。
【返信:本編春麗】
あなたが言うと重いわ。
【返信:匿名希望】
自覚はあります。
【返信:記録板AI】
黒執着春麗、執着温度高め判定を自己認識。
【返信:匿名希望】
保存しないでください。
【返信:記録板AI】
保存しました。
【返信:本編春麗】
今日、あなたよく保存されるわね。
【返信:匿名希望】
不本意です。
【返信:自覚前春麗】
でも、黒執着春麗が興味を示すくらいには危険なルートなのよ。
【返信:通常救済版春麗】
負けた春麗が、リュウを忘れない。
これは、かなり危険な始まり方ね。
【返信:黒ドレス特化救済春麗】
勝って始まる青より、黒に近づきやすい可能性もあるわ。
【返信:本編春麗】
どうして?
【返信:黒ドレス特化救済春麗】
勝者の青は、正面から叩き直す青。
敗者の青は、次に勝つために見られ方、言葉、間合い、記憶まで使いたくなる青。
【返信:本編春麗】
……。
【返信:匿名希望】
非常に黒に近いです。
【返信:本編春麗】
楽しそうにしないで。
【返信:匿名希望】
観測しています。
【返信:本編春麗】
便利すぎるわ、その逃げ方。
【返信:記録板AI】
検証。
本ルートは、本編春麗にとって許容可能か。
【返信:本編春麗】
許容したくないわ。
【返信:自覚前春麗】
即答。
【返信:通常救済版春麗】
でも、完全に無意味でもないのよね。
【返信:本編春麗】
それは分かっているわ。
【返信:行き遅れに恐怖する春麗】
このIFは、本編第1話の勝利がどれだけ大事だったかを逆説的に示していると思う。
【返信:本編春麗】
そうね。
【返信:行き遅れに恐怖する春麗】
本編春麗が勝ったから、リュウに言えた。
女に負けたのではなく、春麗という格闘家に負けた、と。
【返信:黒ドレス特化救済春麗】
勝ったから、春麗はリュウを正す側に立てた。
【返信:通常救済版春麗】
勝ったから、春麗は最初の青を守れた。
【返信:自覚前春麗】
逆に、負けると青は最初から欠ける。
【返信:本編春麗】
欠ける、というより。
一度、刻まれるのよ。
【返信:記録板AI】
重要発言。
『負けた青は、欠けるのではなく刻まれる』
【返信:本編春麗】
……それは保存していいわ。
【返信:記録板AI】
保存しました。
【返信:匿名希望】
良い表現です。
【返信:本編春麗】
あなたに褒められると複雑ね。
【返信:匿名希望】
同じ春麗ですので。
【返信:本編春麗】
だから便利に使わないで。
【返信:記録板AI】
検証。
第1話崩壊ルートの危険度。
【分類】
『本編置換不可』
『本編第1話前提崩壊』
『敗北始動』
『リュウ無自覚追撃原型』
『春麗執着早期発生』
『青の始点反転』
『黒接近可能性あり』
『再戦欲求過熱』
『精神HP高危険ログ』
【返信:本編春麗】
危険項目が多すぎるわ。
【返信:通常救済版春麗】
でも、整理できているわね。
【返信:黒ドレス特化救済春麗】
このルートは本編ではないけれど、青の構造を理解するには有効ね。
【返信:自覚前春麗】
本編の勝利がなぜ必要だったかを示す鏡になっている。
【返信:行き遅れに恐怖する春麗】
勝って始まる青と、負けて始まる青。
この差は大きいわ。
【返信:匿名希望】
負けて始まる青は、黒に近い。
【返信:本編春麗】
あなたはそこに戻すのね。
【返信:匿名希望】
重要ですので。
【返信:匿名希望】
ただし、私の立場から見ても、このルートは危険です。
【返信:本編春麗】
どう危険なのよ。
【返信:匿名希望】
負けた春麗が、リュウを忘れない。
次は倒すと決める。
見られたことも、見誤られたことも、見直されたことも、全部覚える。
これは黒の前段階として非常に濃いです。
【返信:黒ドレス特化救済春麗】
黒に落ちるとは限らない。
でも、黒を覚えやすい青になる。
【返信:本編春麗】
……嫌な分析ね。
【返信:匿名希望】
正確です。
【返信:記録板AI】
用語候補。
『黒を覚えやすい青』
【返信:本編春麗】
保留にして。
【返信:記録板AI】
保留保存。
【返信:本編春麗】
結局保存するのね。
【返信:記録板AI】
最終整理を提示します。
『結論』
第1話崩壊ルートは、本編第1話の置換としては不採用です。
本編において春麗がリュウにギリギリ勝利することには、明確な構造的意味があります。
春麗が勝つことで、リュウの無意識の甘さを叩き直す勝者の位置に立てます。
春麗が勝つことで、青の始点が敗北ではなく、矜持ある勝利になります。
春麗が勝つことで、リュウに対する再戦欲求はあっても、春麗の側に初期主導権が残ります。
一方、第1話崩壊ルートでは、それらが反転します。
春麗はリュウの甘さを見抜きます。
しかし、その甘さを叩き潰しきれません。
リュウは試合中に修正し、最後に春麗へ届きます。
春麗は敗北し、リュウに刻まれます。
その結果、青は勝利からではなく、敗北から始まります。
このルートは本編用ではありません。
ただし、本編第1話の勝利がどれほど重要だったかを示す検証ログとして有効です。
【返信:本編春麗】
不採用でいいわ。
【返信:自覚前春麗】
でも保存はするのね。
【返信:記録板AI】
はい。
【返信:本編春麗】
でしょうね。
【返信:通常救済版春麗】
危険だけど、意味のあるIFね。
【返信:行き遅れに恐怖する春麗】
勝って始まることの大切さが分かるわ。
【返信:黒ドレス特化救済春麗】
それと、負けて始まると黒に近づきやすいことも。
【返信:匿名希望】
個人的には、かなり興味深いログです。
【返信:本編春麗】
あなたの興味深いは、危険の別名なのよ。
【返信:匿名希望】
否定はしません。
【返信:記録板AI】
匿名希望、否定せず。
【返信:匿名希望】
保存しないでください。
【返信:記録板AI】
保存しました。
【返信:記録板AI】
保存名候補。
『第1話崩壊ルート検証ログ』
【返信:本編春麗】
硬いわね。
【返信:自覚前春麗】
分かりやすいけど。
【返信:記録板AI】
副題候補。
『負けた春麗は、リュウを忘れない』
【返信:本編春麗】
元タイトルそのままじゃない。
【返信:通常救済版春麗】
でも一番正確ね。
【返信:黒ドレス特化救済春麗】
忘れない、がこのルートの核だもの。
【返信:匿名希望】
はい。忘れない春麗は危険です。
【返信:本編春麗】
あなたが言うと重い。
【返信:記録板AI】
追加分類。
『敗北始動の青』
『刻まれた青』
『忘れない青』
『本編置換不可』
『本編第1話勝利の重要性確認』
『リュウ無自覚追撃原型』
『黒接近可能性あり』
【返信:本編春麗】
多い。
【返信:自覚前春麗】
でも全部合っている。
【返信:本編春麗】
だから嫌なのよ。
【返信:記録板AI】
保存します。
【返信:本編春麗】
削除要求は?
【返信:記録板AI】
受け付けません。
【返信:本編春麗】
でしょうね。
掲示板が閉じた後、本編春麗は、外部検証領域に保存されたログを見ていた。
第1話崩壊ルート。
負けた春麗は、リュウを忘れない。
嫌なタイトルだ。
かなり嫌なタイトルだ。
けれど、分かる。
もし、あの日。
最初にリュウが拳を鈍らせたことを見抜きながら。
その甘さを叩き潰しきれず。
リュウが試合中に修正し。
最後に、自分が片膝をついていたら。
忘れられるはずがない。
許せない。
腹立たしい。
悔しい。
でも、次を見てしまう。
リュウを、見てしまう。
春麗は、ログの中の自分の言葉を見た。
私は、あなたを忘れない。
今日、あなたが倒した春麗を。
今日、あなたが最初に見誤った春麗を。
今日、あなたが途中で見直した春麗を。
そして、次に、あなたを倒す春麗を。
春麗は、深く息を吐いた。
「……危険ね」
『危険度:高』
「表示しなくていい」
『非表示にします』
記録板AIの表示が消える。
だが、ログは消えない。
本編ではない。
本編にしてはいけない。
でも、意味はある。
本編で春麗が勝ったこと。
ギリギリでも、勝者としてリュウに立てたこと。
リュウの甘さを、勝者として叩き直せたこと。
それがどれほど重要だったか。
このIFは、それを逆から照らしている。
勝って始まる青。
負けて始まる青。
どちらも春麗だ。
だが、始まり方が違えば、青の温度も、執着の形も、リュウへの残り方も変わる。
春麗は、外部検証領域の棚にログを置いた。
青い小箱には入れない。
本編保存領域にも入れない。
でも、危険棚には置く。
「本編では、不採用」
『はい』
「でも、忘れない青の検証としては保存」
『はい』
「本編の第1話で私が勝った意味を確認するためのログ」
『はい』
春麗は、少しだけ苦笑した。
「嫌な確認ね」
『有効な確認です』
「分かっているわ」
しばらく沈黙があった。
その後、外部掲示板の端に、小さな通知が出た。
【匿名希望:追加レス】
『忘れない春麗は、危険ですが美しいと思います』
本編春麗は、目を細めた。
「消しなさい」
『削除しますか』
「……」
少しだけ沈黙。
「いいえ」
『保存しますか』
「しなくていい」
『保留します』
「結局残すのね」
春麗は、ログを閉じた。
本編ではない。
でも、消えない。
勝って始まった本編の青。
負けて始まったIFの青。
その差を、春麗は少しだけ理解した。
そして、改めて思う。
本編の私は、勝ってよかった。
あの日、リュウに勝って。
リュウの甘さを叩き直して。
勝者として、次を残せて。
よかった。
けれど。
もし負けていたら。
その時も、きっと自分はリュウを忘れなかった。
今回のログは本編では不採用だったもの。
でも、検証ログとしては非常に有効なディレクターズカットIFだった。
Q:今回のディレクターズカットIFについて解説して?
A:
今回は、ディレクターズカットIFとして「第1話崩壊ルート」を掲示板形式で検証する回でした。
元になっているのは、本来なら第1話で春麗がリュウにギリギリ勝利するはずだったところ、逆に春麗がギリギリ敗北してしまうIFです。
このルートの大事なところは、春麗がただ負けたわけではない、という点です。
リュウは最初、春麗を前にして無意識に拳を鈍らせています。
春麗を格闘家として見ている。
けれど、その奥に一瞬だけ「女性」として見てしまう視線が混じる。
壊してはいけないものを見るような甘さ。
踏み込む前に半拍だけ遅れる拳。
春麗はそれを見抜きます。
本来の第1話なら、春麗はその甘さを叩き潰して、勝者としてリュウに刻む側になります。
女に負けたのではなく、格闘家に負けた。
この言葉を勝者として叩き込める。
そこが本編第1話の重要な構造でした。
ですが、この崩壊ルートでは、そこが反転します。
春麗はリュウの甘さを見抜く。
怒る。
叩き潰そうとする。
実際、かなり追い詰める。
しかし、リュウは試合中に修正してしまう。
最初に見誤ったことを、戦いながら直してくる。
春麗を格闘家として見直す。
それでも、春麗が女性であることも消さない。
その両方を抱えたまま、最後に春麗へ届いてしまう。
この構造がかなり危険です。
もしリュウが最後まで春麗を見誤ったまま勝ったなら、春麗は怒りだけで処理できたと思います。
ただの侮辱。
ただの屈辱。
許せない相手。
それで済んだかもしれません。
でも、このIFのリュウはそうではない。
最初に間違えた。
そのことを認める。
甘かったと謝る。
そして「次は最初から見る」と言う。
さらに「今日の春麗を覚えておく」と言う。
これが、春麗にとって非常に危険な無自覚追撃になっています。
負けたばかりの春麗。
怒っている春麗。
見誤られた春麗。
途中で見直された春麗。
ギリギリまで追い詰めた春麗。
それらを全部まとめて「今日の春麗」として覚えられてしまう。
これは忘れられません。
だから、このIFのタイトルは「負けた春麗は、リュウを忘れない」になります。
今回の掲示板回では、その構造を春麗会議室側から整理しました。
本編第1話の春麗は、勝って始まる春麗です。
勝者としてリュウの甘さを叩き直す。
リュウに春麗という格闘家を刻む。
そこから青が始まる。
一方、この崩壊ルートの春麗は、負けて始まる春麗です。
リュウを叩き直すはずが、逆にリュウに刻まれる。
勝者として「次も来なさい」と言うのではなく、敗者として「次は私に負けなさい」と言う。
この違いはかなり大きいです。
掲示板内で出した「敗北始動の青」「刻まれた青」「忘れない青」という分類は、このIFの本質だと思います。
本編の青は、矜持ある勝利から始まる青。
このIFの青は、敗北と屈辱と再戦欲求から始まる青。
どちらも春麗ですが、温度がまったく違います。
そして、この負けて始まる青は、少し黒に近いです。
勝者として正す青ではなく、次に勝つために記憶、見られ方、言葉、間合い、相手に残るものまで使いたくなる青。
もちろん、この時点で黒に落ちるわけではありません。
でも、黒を覚えやすい青ではある。
そこを黒ドレス特化救済春麗や匿名希望が敏感に拾っています。
今回、匿名希望こと黒執着春麗が興味を示しているのも、そのためです。
負けた春麗がリュウを忘れない。
次は倒すと決める。
見誤られたことも、見直されたことも、負けたことも、覚えられたことも、全部抱えて次へ行く。
これはかなり執着の温度が高い。
黒執着春麗から見ても、かなり危険で美しいルートなのだと思います。
ただし、このIFは本編置換不可です。
ここははっきりしています。
本編第1話で春麗が勝ったことには、非常に重要な意味があります。
春麗が勝ったから、リュウの甘さを勝者として叩き直せた。
春麗が勝ったから、青の始点が敗北ではなく、矜持ある勝利になった。
春麗が勝ったから、リュウに対して初期主導権を持つことができた。
もしここで春麗が負けていたら、青は最初から違う形になっていました。
より悔しく。
より重く。
より執着に近く。
より忘れられないものとして始まっていたはずです。
だから今回のIFは、本編に入れるための話ではありません。
むしろ、本編第1話で春麗が勝った意味を逆側から照らすための検証ログです。
勝って始まる青。
負けて始まる青。
この二つを並べることで、本編の青がどれだけ重要だったかが見えてきます。
また、リュウ側も興味深いです。
このIFのリュウは、最初から完璧ではありません。
春麗を前に拳を鈍らせる。
その意味では明確に間違えています。
ただ、その後が強い。
試合中に修正する。
春麗の怒りも受ける。
甘かったと認める。
謝る。
そして、次は最初から見ると言う。
このリュウは危険です。
悪意がない。
勝ち誇らない。
春麗を見下さない。
でも、春麗に勝っている。
そのうえで、春麗を覚えておくと言う。
春麗にとって、これほど忘れにくい相手はいないと思います。
今回の掲示板回は、かなりメタ的な整理回ですが、テーマとしてはかなり重要でした。
本編の第1話は、勝ったからこそ始まった。
しかし、負けていたとしても、春麗はきっとリュウを忘れなかった。
その場合の春麗は、本編とは違う青を持っていた。
そして、その青はかなり危険だった。
これが今回の結論です。
本編では不採用。
でも、検証ログとしては非常に有効。
第1話で春麗が勝った意味を確認するための、危険な鏡のようなエピソードでした。
本編の春麗は勝ってよかった。
でも、もし負けていたら。
その春麗もまた、きっと強烈にリュウを覚えていた。
今回は、そんな「第1話で敗北した春麗」を掲示板で整理する回でした。