また戦ってくれなんて言わないで ――春麗は今日もめんどくさい――   作:エーアイ

338 / 338
※これはディレクターズカットIFです。
本編のIFシリーズは無関係のエピソードとなります。


ディレクターズカットIF:二週間待たされた春麗は、もう一度敗北を刻まれる

 記録板AIは、外部検証領域に新しいログを表示した。

 

『本記録は、ディレクターズカットIFです』

 

『本ログは、第1話敗北ルートの後続検証です』

『以下、検証ログを開始します』

 


 

 リュウが来た。

 

 春麗は、最初それを信じられなかった。

 

 いつもの道場。

 

 夕方に近い時間。

 

 窓から差し込む光は少し傾き、床の上に長い影を作っている。

 

 春麗は一人で型を繰り返していた。

 

 蹴り。

 踏み込み。

 掌底。

 受け。

 返し。

 

 この二週間、何度も繰り返した動きだった。

 リュウが来ない間も、春麗は止まっていなかった。

 待っていただけではない。

 そう自分に言い聞かせるように、身体を動かしていた。

 

 だが、耳だけはずっと足音を探していた。

 道場の外に近づく気配。

 戸の向こうに立つ誰かの呼吸。

 あの静かな歩き方。

 

 何度も聞いたわけではない。

 それでも、春麗はもう覚えてしまっていた。

 だから、その足音が近づいた瞬間、春麗の身体は止まった。

 心臓が、強く跳ねる。

 

 扉が開く。

 

 白い道着。

 赤い鉢巻。

 静かな目。

 

 リュウが、そこにいた。

 

「春麗」

 

 リュウは言った。

 

 何も変わっていないように。

 たった昨日も会っていたように。

 春麗は、息を止めた。

 

 来た。

 本当に来た。

 ようやく。

 

 二週間。

 

 二週間だ。

 前回、春麗が勝った日から。

 リュウの額に印をつけた日から。

 忘れないで、と言った日から。

 忘れない、と返された日から。

 

 二週間。

 

 春麗は、拳を握った。

 

「……遅かったじゃない」

 

 言うつもりだった言葉。

 何度も頭の中で繰り返した言葉。

 だが、実際に口に出すと、思っていたより声が震えた。

 リュウは静かに春麗を見ている。

 

「そうだな」

 

「そうだな、じゃないわ」

 

 春麗は一歩前へ出た。

 

 胸の奥で、二週間分の感情が一気に動き出す。

 

 来たら困る。

 来なければ腹が立つ。

 覚えていたら落ちる。

 忘れていたら許せない。

 

 その全部を抱えたまま、春麗はリュウを睨んだ。

 

「なんで」

 

 声が少し強くなる。

 

「なんで二週間も、私の前に来なかったの?」

 

 言った。

 言ってしまった。

 

 道場の空気が、少しだけ重くなる。

 

 リュウは答えるまでに、ほんのわずか間を置いた。

 

「修行していた」

 

 短い答えだった。

 

 春麗の胸が、大きく揺れた。

 

「……修行?」

 

「ああ」

 

「私に負けたから?」

 

「ああ」

 

 リュウは迷わず答えた。

 

 そのまっすぐさが、春麗の精神に刺さった。

 

 怒る準備はしていた。

 遅いと責める準備もしていた。

 忘れていたのかと問い詰める準備もしていた。

 

 だが、リュウは忘れていなかった。

 

 逃げていなかった。

 軽く扱っていなかった。

 春麗に負けたから、修行していた。

 

 それだけ。

 それだけなのに、春麗は一瞬、言葉を失った。

 

「……そう」

 

 どうにか声を出す。

 

「ずいぶん、律儀なのね」

 

「あのままでは、また負けると思った」

 

 春麗の胸に、また入った。

 

 また負ける。

 リュウが。

 春麗に。

 

 そう思ったから修行した。

 それは、春麗の勝利を本物として扱ったということだ。

 

 前回の試合を。

 春麗の最後の掌底を。

 リュウの膝が落ちた瞬間を。

 額に置かれた指を。

 忘れないで、と言った春麗を。

 忘れなかったということだ。

 

 嬉しい。

 

 そう思ってしまった。

 同時に、腹が立つ。

 二週間も待たせて。

 何も言わずに。

 

 春麗がどれだけ考えたと思っているのか。

 

 来るのか。

 来ないのか。

 覚えているのか。

 忘れているのか。

 悔しがっているのか。

 自分を後回しにしているのか。

 

 その全部を、春麗は一人で抱えていた。

 

「……一言くらい」

 

 春麗は呟いた。

 

「何かあってもよかったんじゃない?」

 

 リュウは少しだけ目を動かした。

 

「すまない」

 

 謝られた。

 まっすぐに。

 

 春麗は、さらに困った。

 謝られたかったわけではない。

 いや、謝らせたかったのかもしれない。

 でも、こういう謝り方をされると、怒りの置き場所がずれる。

 

「謝ればいいと思っているの?」

 

「思っていない」

 

「なら」

 

 春麗は構えた。

 

「拳で答えなさい」

 

 リュウの目が変わった。

 

 静かに。

 深く。

 その変化を見た瞬間、春麗の胸が熱くなる。

 

 来た。

 本当に来た。

 自分に負けたことを覚えて、修行して、もう一度勝ちに来たリュウが。

 春麗の前に立っている。

 

 なら、自分も応えるしかない。

 春麗は青い武道服の袖を払った。

 これはいつもの姿だ。

 何度も負けた姿。

 ようやく勝った姿。

 今日、もう一度リュウと向かい合う姿。

 

「リュウ」

 

「ああ」

 

「二週間待たせた分」

 

 春麗は目を細める。

 

「簡単に勝てると思わないことね」

 

 リュウは構えた。

 

「分かっている」

 

 合図はなかった。

 ただ、二人の間の空気が張り詰めた。

 先に動いたのはリュウだった。

 

 踏み込み。

 

 速い。

 

 春麗は反応する。

 

 蹴りを置く。

 だが、リュウは止まらない。

 

 足の運びが違う。

 前回よりも深い。

 春麗の蹴りを受ける場所が、半歩ずれている。

 

 春麗は眉をひそめた。

 

 修行。

 

 その言葉は嘘ではない。

 リュウは本当に変えてきている。

 前回、春麗が入れた最後の掌底。

 

 あの距離。

 あの踏み込み。

 あの崩し。

 

 それを、リュウは覚えている。

 そして、その対策を持ってきている。

 

 春麗の胸が熱くなる。

 

 悔しい。

 嬉しい。

 怖い。

 

 全部、同時だった。

 

 リュウの拳が来る。

 

 春麗は受ける。

 重い。

 以前より重い。

 

 ただ力が増したわけではない。

 迷いがない。

 春麗に勝つための拳だ。

 春麗は横へ流れ、蹴りを返す。

 

 リュウは腕で受けた。

 すぐに半歩下がる。

 その下がり方が、嫌だった。

 

 無理に押してこない。

 春麗の間合いに長く残らない。

 春麗が前回勝った距離を、リュウは警戒している。

 

 覚えている。

 本当に。

 全部。

 

「……覚えているのね」

 

 春麗は思わず言った。

 リュウは拳を構えたまま答える。

 

「ああ」

 

 春麗の精神が削れる。

 

 試合中だというのに。

 

 春麗は苛立ちを踏み込みに変えた。

 

 下段。

 中段。

 掌底。

 

 リュウは受ける。

 受けながら、春麗の中心を外す。

 

 前回とは違う。

 春麗は一度押し込めた。

 前回は、何度も負けた記憶を武器にして、最後の一撃を入れた。

 

 でも今日は。

 今日のリュウは、その春麗を覚えたリュウだ。

 春麗に負けたリュウだ。

 負けを持ち帰り、修行してきたリュウだ。

 

 強い。

 

 春麗は、息が乱れるのを感じた。

 身体の問題だけではない。

 二週間待たされた疲れ。

 来ないリュウを考え続けた時間。

 覚えているのか、忘れているのかと揺れ続けた精神。

 その削れが、今になって身体へ出ている。

 

 リュウが間合いを取った。

 春麗は追おうとする。

 その瞬間。

 

「波動拳」

 

 リュウの掌から、気が放たれた。

 

 春麗は目を見開く。

 

 直線。

 速い。

 しかし、読めないほどではない。

 

 春麗は床を蹴った。

 跳ぶ。

 頭では分かっていた。

 距離がある。

 波動拳を跳び越え、空中から蹴りを入れる。

 この距離なら届く。

 

 そう判断した。

 だが、跳んだ瞬間、春麗は気づいた。

 リュウの足が、もう動いている。

 波動拳を撃った後の隙。

 そこへ入るつもりだった。

 だが、その隙は、春麗が思ったより浅かった。

 

 リュウは、待っていた。

 

 春麗の跳びこみを。

 空中で、春麗の胸が冷える。

 

 間に合う。

 

 リュウの方が。

 リュウが沈む。

 拳が下から上へ走る。

 

「昇龍拳!」

 

 春麗の空中蹴りより先に、リュウの拳が届いた。

 

 衝撃。

 

 春麗の身体が、空中で跳ね上がる。

 

「っ……!」

 

 声にならない息が漏れた。

 

 肩。

 胸。

 顎の下まで衝撃が抜ける。

 視界が白く弾けた。

 

 受け身を取ろうとする。

 だが、身体が反応しない。

 空中で軸を失う。

 床が近づく。

 落ちる。

 背中からではない。

 どうにか身体をひねる。

 だが、衝撃は逃がしきれなかった。

 

 床に叩きつけられた瞬間、春麗の呼吸が消えた。

 

 動けない。

 

 一瞬。

 ほんの一瞬。

 だが、格闘家にとっては長すぎる一瞬。

 

 スタン。

 

 春麗は、自分が止まったことを理解した。

 

 まずい。

 

 そう思った時には、リュウが動いていた。

 リュウの足が床を蹴る。

 身体が回転する。

 風が巻く。

 

「竜巻旋風脚!」

 

 来る。

 

 分かっている。

 

 見えている。

 

 でも身体が動かない。

 

 春麗は腕を上げようとした。

 

 上がらない。

 

 リュウの蹴りが入った。

 

 一撃。

 

 身体が横へ流れる。

 

 二撃。

 

 呼吸が戻る前に、さらに奪われる。

 

 三撃。

 

 足が床から離れる。

 

 春麗の視界が回った。

 音が遠くなる。

 道場の床。

 

 白い道着。

 赤い鉢巻。

 リュウの拳。

 

 前回、膝をついたリュウ。

 額に触れた指。

 

 忘れない。

 リュウの声。

 

 全部が混ざる。

 

 最後に、春麗は床へ落ちた。

 今度は動けなかった。

 完全に。

 指も動かない。

 足も動かない。

 呼吸だけが、かすかに残っている。

 

 負けた。

 理解するより早く、身体が知っていた。

 

 完敗。

 何度もギリギリで負けた。

 それとは違う。

 

 今回は、完全に崩された。

 

 波動拳で飛ばされ。

 昇龍拳で撃ち落とされ。

 動けなくなったところを、竜巻旋風脚で持っていかれた。

 

 春麗は、立てなかった。

 立とうとすることすらできなかった。

 遠くで、リュウの足音が聞こえる。

 

「春麗」

 

 声が近い。

 

 リュウが膝をつく気配。

 春麗の身体が、そっと支えられる。

 介抱されている。

 

 そう理解した瞬間、春麗の胸に、別の痛みが走った。

 

 リュウに。

 今度は。

 介抱されている。

 

 勝者として印をつけた相手に。

 二週間待たせた相手に。

 自分に負けたことを覚えて修行してきた相手に。

 今、完全に倒されて、支えられている。

 

 悔しい。

 悔しい。

 悔しい。

 

 だが、身体は動かない。

 

「……っ」

 

 声を出そうとして、うまく出ない。

 

 リュウの手が、春麗の背を支える。

 その手は強い。

 乱暴ではない。

 だが、確かに自分を倒した手だった。

 

「無理に動くな」

 

 リュウが言った。

 

 春麗は目を開けようとする。

 視界はまだ揺れている。

 リュウの顔が、ぼやけて見えた。

 

 近い。

 近すぎる。

 

 自分が立っていないから。

 リュウが支えているから。

 この距離になっている。

 

 春麗は、どうにか声を絞った。

 

「……覚えて」

 

 リュウが静かに見る。

 

「何を」

 

「私に」

 

 息が途切れる。

 

 悔しさで、喉が熱い。

 

「前回、私に負けたこと」

 

「ああ」

 

 即答だった。

 春麗の胸が、また刺された。

 

「……印は」

 

 言ってから、自分で顔が熱くなる。

 

 こんな状態で。

 完全に負けて。

 リュウに支えられて。

 それでも、そのことを聞いている。

 

 額に触れたこと。

 忘れないでと言ったこと。

 リュウが忘れないと答えたこと。

 

 それを。

 

「覚えているの?」

 

 リュウは、まっすぐ答えた。

 

「覚えている」

 

 春麗は目を閉じかけた。

 

 勝った時に聞きたかった言葉。

 待っている間、何度も想像した言葉。

 忘れていたら許せないと思った言葉。

 覚えている、と言われた。

 

 嬉しい。

 

 でも、今は負けている。

 完敗している。

 リュウに介抱されている。

 だから、嬉しさがそのまま痛みになる。

 

「……なら」

 

 春麗は、かすれた声で言う。

 

「どうして」

 

 リュウは答える。

 

「覚えているから、修行してきた」

 

 春麗の呼吸が止まりかけた。

 

 覚えているから。

 修行してきた。

 

 前回の負けを。

 春麗の勝利を。

 春麗の印を。

 忘れないという自分の言葉を。

 

 全部、覚えていたから。

 リュウは二週間、春麗の前に来なかった。

 

 来なかったのではない。

 勝つために、来られなかった。

 春麗に負けたことを軽く扱わなかったから。

 春麗の印を、本当に覚えていたから。

 

 だから、修行してきた。

 そして、勝った。

 圧勝した。

 春麗を完全に倒した。

 

 春麗の中に、どうしようもない感情が広がった。

 

 悔しい。

 腹立たしい。

 待たされた。

 完敗した。

 また刻まれた。

 

 それなのに。

 

 嬉しい。

 

 自分に負けたことを、リュウが軽く扱わなかったことが。

 印を覚えていたことが。

 その敗北を持って、修行してきたことが。

 嬉しい。

 そんなふうに思う自分が、さらに悔しい。

 

「……ひどいわ」

 

 春麗は呟いた。

 リュウは、少しだけ眉を動かす。

 

「すまない」

 

「謝らないで」

 

 春麗は、弱い声で言った。

 

「謝られたら、怒りづらいでしょう」

 

 リュウは黙った。

 春麗は、リュウの腕に支えられたまま、どうにか息を整える。

 

「…二週間」

 

「ああ」

 

「二週間、待ったのよ」

 

「ああ」

 

「来ると思って」

 

「ああ」

 

「来ないから、忘れたのかと思って」

 

「ああ」

 

「でも、忘れていなかった」

 

「ああ」

 

「私に負けたことも」

 

「ああ」

 

「印も」

 

「ああ」

 

「忘れないって言ったことも」

 

「ああ」

 

 春麗は、少しだけ笑った。

 笑うつもりはなかった。

 だが、口元が歪んだ。

 

「それで、修行して」

 

「ああ」

 

「戻ってきて」

 

「ああ」

 

「私を、ここまで倒した」

 

「ああ」

 

 リュウは全部受ける。

 その態度が、また春麗の胸を揺らす。

 

 責めたい。

 でも責めきれない。

 

 怒りたい。

 でも、嬉しさが混じる。

 

 負けた。

 完敗した。

 

 でも、この敗北は、春麗の勝利がリュウに残っていたから発生した。

 春麗が前回、リュウに刻んだから。

 リュウはそれを持って修行した。

 

 そして今度は、リュウが春麗に刻み返した。

 大きく。

 強く。

 逃げられないほど。

 

「……また」

 

 春麗の声が震えた。

 

「また、あなたに刻まれたわ」

 

 リュウは、春麗を見る。

 

「春麗」

 

「言わないで」

 

「何を」

 

「強かった、って」

 

 春麗は目を閉じる。

 

「今それを言われたら、たぶん……また持ち帰ってしまう」

 

 リュウは沈黙した。

 春麗は、その沈黙に少しだけ救われる。

 しかし、リュウは別の言葉を言った。

 

「次も来る」

 

 春麗の胸が、さらに深く撃たれた。

 

「……あなたね」

 

 声が震える。

 

「そういうところよ」

 

「何がだ」

 

「分からなくていいわ」

 

 春麗は、力の入らない手で、リュウの道着を少しだけ掴んだ。

 意識的にしたのか、自分でも分からない。

 ただ、まだ離れたくなかったのかもしれない。

 

 いや、違う。

 これは倒れないため。

 支えを借りているだけ。

 

「……リュウ」

 

「ああ」

 

「次は、すぐ来るの?」

 

 言ってから、春麗は自分で精神を削られた。

 

 何を聞いているのか。

 今、完敗したばかりだ。

 普通なら、次はこちらが修行する番だ。

 それなのに、またリュウがいつ来るのかを聞いている。

 

 リュウは少しだけ考えた。

 

「春麗が動けるようになってからだ」

 

 春麗は、胸が詰まった。

 当然の配慮。

 でも、それがまた刺さる。

 

「……そう」

 

「ああ」

 

「今度は、私が修行する番ね」

 

「ああ」

 

「あなたに、こんなふうに倒されたままでは終われない」

 

「ああ」

 

「今日のことも」

 

 春麗は、どうにか目を開ける。

 リュウを見た。

 

「覚えていて」

 

 リュウは答えた。

 

「覚えておく」

 

 春麗は、小さく息を吸った。

 

 やっぱり。

 

 それはずるい。

 

「……私も、覚えておくわ」

 

「ああ」

 

「二週間待たされたこと」

 

「ああ」

 

「あなたが、私に負けたことを覚えて修行してきたこと」

 

「ああ」

 

「そのあなたに、私が完敗したこと」

 

「ああ」

 

「あなたに、介抱されたこと」

 

 リュウの目がわずかに動いた。

 春麗は、弱く笑う。

 

「全部、覚えておく」

 

 リュウは静かに言った。

 

「分かった」

 

 分かった。

 

 また、それだ。

 

 春麗は、目を伏せた。

 

 悔しい。

 嬉しい。

 恥ずかしい。

 腹立たしい。

 苦しい。

 

 全部、同時にある。

 

 前回の勝利は、消えていない。

 リュウは覚えていた。

 だから修行した。

 だから今日、春麗に勝った。

 なら、今日の敗北も消せない。

 消してはいけない。

 この敗北も、持っていく。

 

 次に勝つために。

 次に、リュウへもう一度刻み返すために。

 

 春麗は、力の入らない身体をリュウに支えられながら、かすかに言った。

 

「……次は」

 

「ああ」

 

「私が、あなたに勝つわ」

 

 リュウは、短く答えた。

 

「そうはさせない」

 

 春麗は笑った。

 

 弱く。

 悔しそうに。

 

 それでも、確かに笑った。

 

「……そう言うと思った」

 

 身体は動かない。

 完全に負けた。

 二週間待たされて。

 ようやく来たリュウに。

 修行して戻ってきたリュウに。

 前回の勝利を覚えていたリュウに。

 春麗は、完敗した。

 もう一度、深く刻まれた。

 

 けれど。

 

 春麗は、リュウに支えられたまま、目を閉じる。

 

 悔しい。

 でも、嬉しい。

 

 嬉しい。

 でも、悔しい。

 

 そのどちらも、消せなかった。

 

 リュウ。

 

 あなたは、覚えていた。

 私があなたに勝ったことを。

 私がつけた印を。

 

 だから、修行してきた。

 だから、私を倒した。

 

 なら、いいわ。

 

 今度は、私が覚える。

 今日、あなたに完敗したことを。

 あなたが、私の勝利を覚えたまま私に勝ったことを。

 あなたに介抱されたことを。

 全部。

 全部、持っていく。

 

 春麗は、意識が落ちる直前、最後に小さく呟いた。

 

「……次は、待たせないで」

 

 リュウが答えたかどうかは、分からなかった。

 

 ただ、春麗の身体を支える手の力が、ほんの少しだけ強くなった気がした。

 


 

 記録板AIは、そこでログを停止した。

 

『検証ログ終了』

 

『保存名』

『二週間待たされた春麗は、もう一度刻まれる』

 

『副題』

『リュウは覚えていたから、修行してきた』

 

『保存先』

『ディレクターズカットIF外部検証領域』

 

『以上、保存完了』

 




Q:今回のディレクターズカットIFについて解説して?

A:

今回は、第1話敗北ルートの春麗が、二週間待たされた末に戻ってきたリュウに完敗するエピソードでした。

前回、春麗はようやくリュウに初勝利しました。
何度も負けて、何度も膝をついて、何度も「強かった」と言われて、その末にようやくリュウを膝につかせました。

その勝利後、春麗はリュウの額に敗者の印をつけました。

敗者の印とは
「今日の敗者はあなた」
「この勝利を流させない」
「あなたは負けた」
「だから、この敗北を覚えておきなさい」
というものです。

侮辱というより、勝利の固定です。
リュウは負けてもすぐ次を見る男です。
目が折れない。
敗北を通過点にしてしまう。
春麗はそこが腹立たしく、同時に嬉しい。
だから、リュウの敗北が流れていかないように、額に指先で触れて印を置く。

「あなた、負けたのよ」
「ちゃんと覚えておきなさい」
「次に来るまで、今日の私の勝ちを忘れないで」

という春麗の確認行為です。

今日、私はあなたに勝った。
忘れないで。

それに対して、リュウは忘れないと答えました。
その後、春麗はリュウが再戦に来るものだと思って待ち始めます。
しかし、リュウは一週間来ない。
さらに今回、もう一週間待たされ、合計二週間が経過します。

この二週間が、春麗にとってかなり大きいです。
ただ時間が過ぎただけではありません。

リュウは来るのか。
来ないのか。
覚えているのか。
忘れているのか。
自分に負けたことを悔しがっているのか。
それとも別の修行へ行ってしまったのか。

春麗はその間、ずっと考えてしまっています。
初勝利した春麗は、もう完全に挑む側だけではいられません。
今度は、リュウが自分に挑みに来る番ではないか。
自分に負けたリュウが、印を返しに来る番ではないか。

そう思ってしまった。
ここが、前回から続く「待つ側になった春麗」の面倒くささです。
そして今回、リュウは本当に来ます。
ただし、春麗の期待していた形とは少し違います。

リュウは忘れていたわけではありません。
逃げていたわけでもありません。
春麗への敗北を軽く扱っていたわけでもありません。
むしろ逆です。
覚えていたから、修行していた。

このリュウの答えが、今回の一番危険なところです。
春麗にとっては、待たされたことは悔しい。
何も言わずに二週間来なかったことには腹が立つ。
でも、理由が「春麗に負けたから修行していた」だと、怒り切れません。
それは、春麗の勝利をリュウが本物として扱ったということだからです。

前回の勝利。
春麗の最後の掌底。
リュウが膝をついたこと。
額につけられた印。
忘れないと答えたこと。
それらを全部、リュウは覚えていた。
覚えていたから、修行した。

春麗からすると、これは嬉しい。
嬉しいのですが、同時に最悪でもあります。
なぜなら、その修行して戻ってきたリュウに、今回は完敗するからです。
今回の試合は、これまでのようなギリギリ敗北ではありません。
リュウ優位です。
春麗は二週間待たされて、精神が削られた状態で戦っています。
一方のリュウは、春麗に負けたことを踏まえて修行してきています。
つまり、春麗の前回の勝利が、リュウを強くしてしまっている。

この構造が非常に重いです。

春麗がリュウに刻んだ。
だからリュウは、その刻まれた敗北を持って修行した。
そして戻ってきて、今度は春麗を完全に倒した。
これは、ただのリベンジではありません。
春麗の勝利が本物だったからこそ生まれた、リュウからの刻み返しです。

戦闘内容も、今回はかなりはっきりリュウ側に寄せています。
波動拳で距離を作る。
春麗が飛び込みから空中蹴りを狙う。
しかし、その距離では昇龍拳が間に合う。
春麗は空中で撃ち落とされ、大ダメージを受ける。
スタンしたところへ、竜巻旋風脚。
完全ノックアウト。

ここまで明確に倒されるのは、このルートの春麗にとってかなり大きいです。
これまでの敗北は、ギリギリでした。
あと少しで届いた。
あと一撃だった。
春麗もリュウを追い詰めていた。
だから、悔しいけれど、同時に自分の強さも残っていた。
でも今回は、完全に崩されています。

飛び込みを読まれ、昇龍拳で撃ち落とされ、動けないところを竜巻旋風脚で持っていかれる。
試合としては、リュウにきっちり対策されて負けた形です。
だからこそ、春麗は再び大きく敗北を刻まれます。

さらに今回は、完全ノックアウトなので、リュウに介抱されます。
ここも重要です。
春麗は前回、勝者としてリュウに近づきました。
リュウの額に触れました。
敗者の印をつけました。
忘れないでと言いました。

しかし今回は逆です。

春麗は完全に倒され、リュウに支えられる側になります。
前回、自分が敗者の印をつけた相手に。
前回、自分が忘れないでと言った相手に。
前回、自分に負けた相手に。
今度は倒され、介抱される。

この反転が、春麗にはかなり刺さります。
そして、倒された状態で春麗は確認してしまいます。

前回、私に負けたことは覚えているのか。
印のことは覚えているのか。
これはかなり春麗らしい問いです。
完敗した直後なのに、そこを聞かずにはいられない。
負けた悔しさより先に、あるいは同時に、自分の勝利がリュウの中に残っていたのかを確認してしまう。

リュウは覚えていると答えます。
そして、覚えているから修行してきた、と言う。
この答えで、春麗は完全に複雑になります。

悔しい。
待たされた。
完敗した。
介抱までされている。
再び大きく敗北を刻まれた。
それなのに、嬉しい。
リュウが前回の敗北を覚えていたことが。
春麗の印を覚えていたことが。
その敗北を軽く扱わず、修行してきたことが。
嬉しい。
でも、その結果として自分が完敗した。

この矛盾が今回の中心です。

春麗は、リュウに忘れてほしくなかった。
自分の勝利を覚えていてほしかった。
でも、リュウが本当に覚えていた結果、リュウは強くなって戻ってきて、春麗を倒した。
つまり、春麗が望んだことが叶った結果、春麗はさらに深く負けています。
ここが第1話敗北ルートらしいところです。

このルートの春麗は、勝っても楽になりません。
負けても終わりません。
勝利は次の敗北を呼び、敗北は次の再戦を呼びます。
リュウが覚えている限り、春麗も忘れられない。
春麗が忘れさせない限り、リュウもまた勝ちに来る。
そして、リュウが本気で来るほど、春麗の勝利も敗北も重くなっていく。

今回のエピソードは、春麗の初勝利をなかったことにする話ではありません。
むしろ逆です。
リュウが覚えていたからこそ、前回の勝利は本物になります。
リュウが修行してきたからこそ、春麗の印はちゃんとリュウに残っていたと分かります。
ただし、その証明として春麗は完敗する。

これが今回の残酷なところです。

春麗は、自分の勝利がリュウに残っていたことを知る。
そして、そのリュウに新しい敗北を刻まれる。
だから、嬉しいのに悔しい。
悔しいのに嬉しい。
介抱されて恥ずかしい。
でも、リュウが覚えていたことは否定できない。
全部、持って帰るしかない。

最後の「次は、待たせないで」は、かなりこの春麗らしい言葉になったと思います。
次は勝つ、ではなく。
もちろん次は勝つつもりです。
でも、その前に出てくるのが、待たせないで、なのです。

二週間待たされたこと。
覚えていたなら早く来なさいよ、という気持ち。
でも、修行していたなら怒れないという気持ち。

それらが全部混ざった言葉です。

勝っても面倒くさい。
待っても面倒くさい。
負けても面倒くさい。
介抱されても面倒くさい。
そして、リュウが覚えていたからこそ、さらに面倒くさい。

今回の結論は、そこです。

リュウは忘れていなかった。
だから春麗は救われた。
でも、リュウは忘れていなかったからこそ、春麗を倒しに来た。
だから春麗は、もう一度深く刻まれた。

第1話敗北ルートの春麗にとって、勝利も敗北も、どちらも消せない記憶になっていきます。
今回は、その記憶がさらに重くなった回でした。


以下RPG形式でのバトル解説です。

第1話敗北ルート
二週間待機後・リュウ再戦
HP表記ありRPG形式バトル解説

戦闘タイトル
二週間待たされた春麗は、覚えていたリュウに完敗する

戦闘前状況

春麗は、前回の試合でようやくリュウに初勝利している。
その勝利後、リュウの額に印をつけた。
今日、自分に負けたことを忘れないで。
リュウは、忘れないと答えた。
そのため春麗は、次はリュウが再戦に来ると思っていた。
しかし、リュウは一週間来なかった。
さらに一週間来なかった。
合計二週間。
春麗はその間、ずっと考え続けている。
リュウは覚えているのか。
忘れているのか。
悔しがっているのか。
修行しているのか。
自分に負けたことを、どう扱っているのか。
その時点で、春麗の身体HPは満タンでも、精神HPはかなり削られている。

戦闘開始時ステータス

春麗
HP:120 / 120
精神HP:58 / 100
スタン値:0 / 100
状態異常:二週間待機、印確認欲求、勝者意地、来ないリュウへの焦燥
補正:反応速度やや低下、判断に感情ノイズ発生、リュウの言葉に対する精神被弾率上昇

リュウ
HP:120 / 120
精神HP:96 / 100
スタン値:0 / 100
状態:修行帰還、春麗戦対策済み、前回敗北記憶保持
補正:対空判断上昇、間合い管理上昇、春麗の踏み込みへの警戒上昇、波動拳後の迎撃準備強化

重要なのは、リュウが「忘れていなかった」こと。

リュウは前回の敗北を軽く扱っていない。
春麗の印も覚えている。
だから修行してきた。
この時点で、春麗にはプラス感情とマイナス感情が同時に発生する。
嬉しい。
でも悔しい。
覚えていてくれた。
でも二週間待たされた。
覚えていたから修行してきた。
でもその修行は、自分を倒すためのもの。
この複雑な感情が、戦闘前から春麗の精神HPをさらに削る。

戦闘前イベント

春麗
「なんで二週間も、私の前に来なかったの?」

リュウ
「修行していた」

春麗
「私に負けたから?」

リュウ
「ああ」

春麗精神HP:58 → 43

この返答は、春麗にとって非常に重い。
リュウは忘れていなかった。
前回の勝利は本物として扱われていた。
だが、その本物の勝利が、今日のリュウを強くしている。
春麗は怒りたい。
しかし、怒り切れない。
その迷いが、戦闘開始時点の判断に影響する。

戦闘開始

ターン1
リュウの踏み込み

リュウは前回よりも深く、しかし春麗の得意間合いには長く残らない。
前回、春麗が勝った距離を覚えているため、無理に押し込まない。

リュウの通常攻撃
春麗に 12 ダメージ

春麗HP:120 → 108

春麗の反撃
中段蹴りから掌底への連係

リュウに 9 ダメージ

リュウHP:120 → 111

解説

序盤からリュウは、春麗の勝ち筋を警戒している。
単純に強くなったというより、前回の敗北を前提に戦っている。
春麗から見ると、自分の勝利を覚えられている証拠でもある。
そのため、春麗は嬉しさと悔しさで呼吸が乱れる。

ターン2
春麗の連続攻撃

春麗は踏み込みを強める。

待たされた苛立ちを攻撃に乗せる。

百裂脚につなげようとするが、リュウは半歩ずらして受ける。

春麗の攻撃
リュウに 8 ダメージ

リュウHP:111 → 103

リュウのカウンター
春麗に 17 ダメージ

春麗HP:108 → 91

リュウ
「覚えている」

春麗精神HP:43 → 29

解説

ここでリュウは、前回の印も敗北も覚えていることを示す。
春麗にとっては確認したかった答え。
だが、戦闘中にその答えを受け取ると、精神HPが大きく削られる。
覚えていてほしかった。
でも、覚えていたリュウが今、自分を倒しに来ている。
この矛盾が春麗の集中を乱す。

ターン3
リュウ、波動拳

リュウは距離を取る。

春麗が焦れて前に出る位置を作る。

リュウの波動拳
春麗は回避行動へ移行

春麗HP:91 → 85
精神HP:29 → 24

春麗は波動拳を飛び越える判断をする。
飛び込みからの空中蹴り。
前へ出る。
リュウに届く。
そう判断した。
しかし、ここがリュウの狙いだった。

解説

この波動拳は、単なる飛び道具ではない。
リュウは春麗の飛び込みを誘っている。
前回の敗北を踏まえ、春麗がどの距離で勝負を仕掛けてくるかを読んでいる。
春麗は精神HPが削れているため、判断が少し前のめりになっている。
待たされた苛立ち。
覚えられていた嬉しさ。
覚えていた相手に押されている悔しさ。
それらが、飛び込み判断を強めてしまう。

ターン4

春麗、飛び込み空中蹴り
春麗は波動拳を越える。
空中から蹴りを放つ。
本来なら、リュウの硬直を狙える選択。
しかし、距離が足りない。
いや、正確には、リュウの準備が間に合っている。

リュウ、昇龍拳

リュウの対空迎撃
クリティカルヒット

春麗に 41 ダメージ
スタン値 +85

春麗HP:85 → 44
春麗スタン値:0 → 85
春麗精神HP:24 → 12

解説

ここが勝負の決定点。
春麗の飛び込みは、焦りだけで出した無謀な技ではない。
選択自体は悪くない。
だが、リュウが修行していた。
前回の敗北を覚え、そのうえで春麗の踏み込みと飛び込みを警戒していた。
そのため、昇龍拳が間に合う。
春麗は空中で撃ち落とされる。
これは大ダメージであると同時に、精神面にも強烈に刺さる。
前回、自分がリュウに刻んだ勝利。
その記憶を持って修行したリュウに、読み負けた。
この時点で春麗の戦闘プランはほぼ崩壊する。

ターン5
春麗、スタン状態

春麗は床に落ちる。
受け身は不完全。
身体が動かない。
一瞬だが、完全に止まる。

春麗スタン値:85 → 100
状態異常:スタン

リュウ、竜巻旋風脚

1ヒット目
春麗に 15 ダメージ

春麗HP:44 → 29

2ヒット目
春麗に 16 ダメージ

春麗HP:29 → 13

3ヒット目
春麗に 18 ダメージ

春麗HP:13 → 0

春麗HP:0 / 120
戦闘不能

完全ノックアウト

解説

この追撃で、試合は完全に決着する。
ギリギリ敗北ではない。
春麗があと一歩まで追い詰めた負けでもない。
読み負け。
撃ち落とされ。
止まり。
追撃を受け。
完全に倒された。
リュウの圧勝。
春麗にとって、この敗北はかなり重い。
なぜなら、リュウは前回の敗北を覚えていたからこそ、ここまで仕上げてきたから。
つまり春麗は、自分の勝利がリュウに残っていたことを確認したうえで、そのリュウに完敗している。

戦闘終了時ステータス

春麗
HP:0 / 120
精神HP:12 / 100 → 5 / 100
スタン値:100 / 100
状態:完全ノックアウト、行動不能、再刻印、介抱発生待ち
追加状態:嬉しさと悔しさの混線、印記憶確認欲求継続

リュウ
HP:103 / 120
精神HP:91 / 100
状態:勝利、春麗戦修行成果確認、前回敗北記憶保持継続
補正:春麗への警戒継続、次戦意識あり

結果

リュウの圧勝
春麗、完全ノックアウト
春麗、初勝利後の再戦で大敗北
リュウによる介抱イベント発生

戦闘後イベント
リュウ、春麗を介抱

リュウは倒れた春麗に近づく。
春麗は動けない。
自力で立てない。
リュウに支えられる。
ここで春麗に追加の精神ダメージが入る。

介抱イベント
春麗精神HP:5 → 9 → 3

一度、安心でわずかに回復する。
だが直後に、羞恥と屈辱でさらに削られる。
なぜなら、春麗は前回、勝者としてリュウに近づいた。
リュウの額に敗者の印をつけた。
忘れないでと言った。
今回は逆。
春麗が倒れ、リュウが近づき、リュウが支える。
前回の印の反転として、今回の介抱が発生している。
これは単なる手当てではない。
春麗にとっては、敗北の記憶を身体に刻まれるイベントになる。

戦闘後会話

春麗
「前回、私に負けたこと……覚えているの?」

リュウ
「覚えている」

春麗
「印は?」

リュウ
「覚えている」

春麗精神HP:3 → 1

春麗にとって、これは聞きたかった答え。
しかし、聞いた瞬間に削られる答えでもある。
覚えていた。
嬉しい。
でも、自分は今、完敗している。

リュウ
「覚えているから、修行してきた」

春麗精神HP:1 → 0
精神HPブレイク

解説

リュウは、春麗の勝利を本物として扱っていた。
春麗の印を覚えていた。
だから修行した。
だから戻ってきた。
だから春麗を倒した。
この構造が、春麗を完全に逃げられなくする。

忘れられていたなら怒れた。
軽く扱われていたなら責められた。
でも、リュウは覚えていた。
重く扱っていた。
その結果として、春麗を倒した。
春麗は救われる。
同時に、深く傷つく。

この試合の本質

春麗は、リュウに覚えていてほしかった。
リュウは、覚えていた。
覚えていたから、春麗を倒した。
この構造がすべてです。
春麗にとって最も嬉しい要素が、同時に最も悔しい敗北の原因になっています。
だから、この試合は重いです。

春麗はただ負けたのではありません。
自分の勝利がリュウに残っていたことを確認したうえで、そのリュウに完敗しました。
しかも完全ノックアウトされ、介抱までされました。
この敗北は、前回の勝利を消しません。
むしろ前回の勝利を強化します。
しかし同時に、今回の敗北も大きく刻まれることになります。

戦闘後の春麗に残ったもの

前回、リュウに勝った記憶。
リュウの額につけた印。
リュウが忘れないと言ったこと。
二週間待たされたこと。
リュウが覚えていたこと。
覚えているから修行してきたこと。
その修行してきたリュウに完敗したこと。
昇龍拳で撃ち落とされたこと。
竜巻旋風脚で完全ノックアウトされたこと。
リュウに介抱されたこと。
そして、次に勝ちたいという執着。

最終結果

リュウ
HP:103 / 120
勝利
状態:春麗への敗北記憶を保持したまま再勝利
評価:修行成果確認、完勝

春麗
HP:0 / 120
敗北
精神HP:0 / 100
状態:完全ノックアウト、介抱被弾、再刻印、執着強化
評価:初勝利後に再び大きく敗北を刻まれる

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

『刹那! トランザムは使うなよ!』『了解! トランザム!!』(作者:とんこつラーメン)(原作:僕のヒーローアカデミア)

ガンダム好きの人間がいきなり転生!▼転生先の世界の事はよく分からないけど、ガンダム愛さえあれば何でも出来る!!▼ガンダムは最強! ガンダムは無敵! ガンダムに不可能はない!!▼そう! 俺が! 私が!!▼私たちが…ガンダムだ!!!▼


総合評価:2237/評価:7.86/連載:16話/更新日時:2026年07月04日(土) 21:19 小説情報

第四の壁を越えて(作者:タカリ)(原作:HUNTER×HUNTER)

死んだと思ったらハンターハンターの世界に転生した。ゴンの兄だった。▼原作にガッツリ関わる立場になっちゃったけど、別に自重しなくていいよね?


総合評価:7302/評価:7.79/連載:66話/更新日時:2026年05月27日(水) 12:25 小説情報

転生して型月版・沖田総司になったけど、労咳を克服したら明神弥彦の母になっていた件 〜るろ剣世界で最強のママやってます〜(作者:だいたい大丈夫)(原作:るろうに剣心)

かつて京都を震撼させた「人斬り抜刀斎」と並び称された、新選組一番隊組長・沖田総司。▼労咳の運命を越え、彼女が手にしたのは平穏な明治の世と、亡き夫が残した一人息子・弥彦だった。▼しかし、その剣はまだ、錆びついてはいない。▼「たまには人を斬っておかないと、腕が鈍るでしょう?」▼昼は息子の教育に頭を悩ませる士族の未亡人。夜は月夜に紛れ、暗殺者として死体の山を築く。…


総合評価:3113/評価:6.78/連載:88話/更新日時:2026年06月07日(日) 22:37 小説情報

降谷零のクローンなオリ主とコナン世界(作者:ラムセス_)(原作:名探偵コナン)

組織が作り出したバーボンのクローン生物兵器となってしまった転生オリ主が、儚い勘違いをされながら安室さんと親子になる話。▼※pixivにて投稿済みの物の改稿版


総合評価:9985/評価:8.64/連載:69話/更新日時:2026年07月06日(月) 18:30 小説情報

ヒカルの碁:奈瀬明日美(中身:社畜おっさん)は、脳内のKataGo先生と最強のスローライフを目指したい(作者:高山 虎)(原作:ヒカルの碁)

新作オリジナル連載告知!▼新作の連載始めました!▼全88話執筆済み・絶対エタりません!▼本作の「中身おっさんTS×最強チートで無双」なノリが好きな方は必見!▼15億円と超絶美少女のガワを手に入れた元おっさんが、音楽業界で無双する二度目の青春ストーリー!▼▼『あさおん!〜48歳のハゲ散らかしたおっさんですが、朝起きたら超絶美少女でした〜』▼  【https:…


総合評価:22685/評価:8.65/完結:15話/更新日時:2026年06月07日(日) 20:11 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>