また戦ってくれなんて言わないで ――春麗は今日もめんどくさい――   作:エーアイ

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※これはディレクターズカットIFです。
本編のIFシリーズは無関係のエピソードとなります。


ディレクターズカットIF:春麗は、借りを昼食に包んで修行場へ向かう

 記録板AIは、外部検証領域に新しいログを表示した。

 

『本記録は、ディレクターズカットIFです』

 

『本編確定ログではありません』

『本ログは、第1話敗北ルート後続検証です』

 

『以下、検証ログを開始します』

 


 

 その夜、春麗はなかなか眠れなかった。

 

 身体は疲れていたが、胸に昼の会話が残っていた。

 女の格闘家に負けたのは、春麗が初めてだった。

 リュウは、そう言った。

 

 自分が初めて。

 その言葉は、思っていたより深く残った。

 

 嬉しい。

 認めたくないほど、嬉しい。

 

 さらに、リュウは最初の試合のことも逃げなかった。

 春麗を格闘家としてだけではなく、女としても見たこと。

 そのことを拳の中で整理できなかったこと。

 結果として、春麗に失礼だったこと。

 

 リュウは、それを未熟だったと言った。

 

 謝られて嬉しいわけではない。

 むしろ悔しい。

 あの時、リュウの拳は鈍った。

 それなのに、自分は負けた。

 

 けれど、リュウが逃げていないことだけは分かった。

 

 勝ったことからも。

 負けたことからも。

 春麗を見たことからも。

 春麗に失礼だったことからも。

 

 逃げていない。

 

「……ずるいわ」

 

 春麗は枕に顔を押しつけた。

 

 嬉しい。

 悔しい。

 怖い。

 修行に付き合ってもらってありがたい。

 

 全部が混ざっている。

 春麗の身体に刻まれたリュウの昇龍拳に対するトラウマを克服するために、トラウマを刻んだリュウ本人に修行を付き合ってもらっている。

 つまり、今の春麗は、リュウの恩を借りている。

 

 リュウが食べていた昼食のことを思い出す。

 自分の包みを見たリュウが、うまそうだと言ったことを。

 

「……借りを少し軽くするだけよ」

 

 自分に言い聞かせる。

 

「修行のため」

 

 一拍。

 

「栄養管理」

 

 もう一拍。

 

「それだけ」

 

 そう言って、春麗はようやく目を閉じた。

 眠りに落ちる直前、リュウの声がもう一度戻ってきた。

 

 春麗が初めてだった。

 

 その言葉が胸に残ったまま、春麗は浅い眠りに沈んだ。

 


 

 翌朝。

 

 春麗は、昨日より少し早く起きた。

 身体はまだ重い。

 けれど、昨日の朝とは違った。

 

 今日も修行がある。

 リュウが来る。

 自分も行く。

 それが決まっているだけで、少しだけ呼吸がしやすかった。

 

 春麗は台所に立つ。

 

 まず、自分の分を用意する。

 昨日と同じように、修行の合間に食べやすいもの。

 

 小さな饅頭。

 青菜。

 卵。

 味を濃くした肉。

 少しだけ香りのある漬け物。

 

 そこで、手が止まる。

 もう一人分。

 いや。

 もう一人分ではない。

 少し多め。

 あくまで少し。

 

 春麗は、包みに入れる量を見つめた。

 リュウに渡すところを想像する。

 

 これ、あなたの分。

 

 違う。

 そんな言い方ではない。

 

 作りすぎたの。

 

 違う。

 それでは言い訳が軽すぎる。

 

 修行に付き合ってもらっているから。

 

 まだ違う。

 その言い方だと、礼のように聞こえる。

 

 春麗は唇を結んだ。

 

「……借りを少し返すだけよ」

 

 そうだ。

 それなら言える。

 

 これは礼ではない。

 恩の一部返済。

 修行に付き合ってもらっている以上、昼を少し多めに用意するくらいは当然。

 そういうことにする。

 

 春麗は、少し多めに作った分を別の包みに分けた。

 

 見た目が崩れないように。

 冷めても食べやすいように。

 組手の合間に胃が重くなりすぎないように。

 

 そこまで考えてから、春麗ははっとした。

 

 考えすぎている。

 完全に考えすぎている。

 

 春麗は包みを結ぶ手に力を込めた。

 

「……栄養管理よ」

 

 また自分に言い訳する。

 

「修行の効率を上げるため」

 

 一拍。

 

「それだけ」

 

 それだけのはずなのに、包みの結び目を少しだけ整えてしまう。

 春麗はその手を見つめ、ため息をついた。

 

「本当に、面倒ね」

 

 それがリュウに対する言葉なのか、自分に対する言葉なのか。

 春麗にも、少し分からなかった。

 


 

 修行場に着くと、リュウは今日も先に来ていた。

 

 昨日と同じ場所。

 同じように静かに立っている。

 

 春麗は、胸の奥が少しだけ揺れるのを感じた。

 

 来ている。

 約束したから。

 修行に付き合うと言ったから。

 

 春麗は一度だけ息を整え、リュウの前まで歩いた。

 

「早いのね」

 

「ああ」

 

「昨日と同じ時間より、少し早いわ」

 

「そうか」

 

「そうか、じゃないでしょう」

 

「春麗を待っていた」

 

 春麗は言葉を詰まらせた。

 

「……そういうことを、すぐ言うのね」

 

「事実だからな」

 

「ええ。知っているわ」

 

 春麗は顔を背けた。

 

 困る。

 でも、昨日ほど足は鈍らなかった。

 

 春麗は包みを持ち直す。

 今渡す必要はない。

 昼でいい。

 今は修行だ。

 

「始めましょう」

 

「ああ」

 


 

 二人は距離を取った。

 

 波動拳の距離。

 跳び込めば、迎撃が間に合う距離。

 

 昨日、決めた形だ。

 

 波動拳。

 回避。

 踏み直し。

 リュウの追い。

 昇龍拳の寸止め。

 その流れを、今日も切らずに回す。

 

 リュウが構えた。

 それだけで、空気が変わる。

 

「行くぞ」

 

「ええ」

 

 リュウの掌に気が集まる。

 青い光。

 春麗は、それを正面から見た。

 

「波動拳!」

 

 気弾が放たれる。

 

 春麗は低く跳んだ。

 波動拳が跳んで回避。

 風が袖を揺らす。

 

 着地。

 

 同時に、リュウが踏み込んだ。

 

 速い。

 昨日より速く感じる。

 

 いや、違う。

 リュウは昨日と同じだ。

 春麗が、昨日より流れを見ようとしているから、後ろの拳が近く見える。

 

 リュウの身体が沈む。

 昇龍拳の入り。

 

 春麗の胸が固まる。

 足が止まった。

 けれど、構えは下ろさない。

 リュウの拳は、春麗の手前で止まっていた。

 

 寸止め。

 

 当たっていない。

 春麗は震える息を吐いた。

 

「……一本目から、それ?」

 

「昨日と同じだ」

 

「分かっているわ」

 

「構えは下りていなかった」

 

「足は止まったわ」

 

「ああ」

 

「逃げなかっただけ」

 

「そうだな」

 

 春麗は目を細めた。

 

「そういう言い方をするのね」

 

「ああ」

 

「腹が立つわ」

 

「そうか」

 

「でも」

 

 一拍。

 

「助かるわ」

 

 言ってから、春麗は少しだけ視線を逸らした。

 

 助かる。

 

 また言ってしまった。

 

 リュウは拾わなかった。

 ただ、頷いた。

 

「ああ」

 

 その何も足さないところが、今は少しだけありがたかった。

 

「次おねがい」

 

「ああ」

 

 二本目。

 

 リュウの波動拳。

 春麗は低く沈む。

 

 今度は横へ逃げすぎない。

 足を前に残す。

 腰を落とす。

 視線はリュウから外さない。

 

 気弾をかわす。

 踏み直す。

 リュウが来る。

 

 迎撃の距離へ入る。

 春麗の身体が固まりかけた。

 

 来る。

 来ない。

 寸止め。

 分かっている。

 分かっているのに、身体が覚えている。

 

 空中で撃ち落とされた記憶。

 受け身を取れなかった身体。

 地面に落ちた衝撃。

 

 春麗は、歯を食いしばらなかった。

 息を吐く。

 拳を前へ出す。

 防御にも攻撃にもならない、小さな動き。

 けれど、前へ。

 

 リュウの拳が止まる。

 春麗の手も止まっていた。

 

 届いてはいない。

 触れてもいない。

 

 だが、引いてもいない。

 

「今のは?」

 

 春麗が聞いた。

 聞いてしまってから、少し悔しくなる。

 リュウに確認している。

 自分の前進を、リュウの言葉で確かめようとしている。

 

 リュウは短く答えた。

 

「返そうとしていた」

 

 春麗の呼吸が、一瞬だけ止まった。

 

「……返せてはいないわ」

 

「ああ」

 

「手を出しただけ」

 

「ああ」

 

「実戦なら?」

 

「まだ間に合わない」

 

「でしょうね」

 

 春麗は息を吐く。

 悔しい。

 けれど、今の言葉は残った。

 

 返そうとしていた。

 

 逃げた手ではない。

 固まった手でもない。

 リュウへ返そうとした手。

 

 まだ届いていない。

 まだ弱い。

 まだ遅い。

 

 それでも、昨日とは違う。

 

「もう一度」

 

「ああ」

 

 三本目。

 

 リュウの波動拳は、少し速かった。

 春麗は反応する。

 

 横へ。

 低く。

 足を残す。

 

 着地した瞬間、リュウが踏み込む。

 

 近い。

 

 昨日なら、この距離で身体が止まった。

 いや、今も止まる。

 けれど、全部は止めない。

 春麗は低い姿勢から手を上げた。

 

 掌底。

 

 まだ形になっていない。

 距離も甘い。

 踏み込みも足りない。

 

 だが、リュウの迎撃に対して、春麗は前へ進むことを選んだ。

 リュウの拳が寸前で止まる。

 同時に、春麗の掌も止まった。

 

 リュウの胸元までは届いていない。

 空を切った。

 ただの空振りと言えば、それまでだった。

 

 それでも、春麗は呼吸を止めていなかった。

 

「……遅い」

 

 春麗が言った。

 

「ああ」

 

「浅い」

 

「ああ」

 

「踏み込みも足りない」

 

「ああ」

 

「でも、引かなかった」

 

「ああ」

 

 リュウの頷きは、いつも通りだった。

 

 短い。

 飾らない。

 慰めない。

 

 だから、少しだけ受け取れる。

 

「今のは、返してきた」

 

 リュウが言った。

 春麗は、目を伏せかけた。

 すぐに戻す。

 

「返せてはいないわ」

 

「ああ」

 

「届いていない」

 

「ああ」

 

「あなたに当たってもいない」

 

「ああ」

 

「でも?」

 

「返してきた」

 

 春麗は拳を握った。

 

 胸の奥が熱い。

 

 嬉しい。

 悔しい。

 

 また、この二つが一緒に来る。

 

「……覚えておきなさい」

 

「ああ」

 

「今のは、まだ届かなかった手よ」

 

「ああ」

 

「次は、届かせる」

 

「ああ」

 

 リュウは構え直した。

 春麗も構え直す。

 

 午前の修行は、その後も続いた。

 

 波動拳を見る。

 低く動く。

 踏み直す。

 リュウが追う。

 迎撃の気配が来る。

 春麗が止まりかける。

 

 時には、足が横へ逃げた。

 時には、掌底を出す前に身体が固まった。

 時には、リュウの沈み込みだけで肩が上がった。

 

 成果は小さい。

 

 波動拳を越えたわけではない。

 昇龍拳の恐怖を克服したわけでもない。

 実戦の流れの中でリュウに届いたわけでもない。

 

 けれど、午前の終わり頃には、春麗の手は何度か前へ出た。

 

 逃げるためではなく。

 防ぐだけでもなく。

 

 返すために。

 

 それが午前の成果だった。

 


 

 昼になった。

 

 二人は修行場の端に腰を下ろした。

 昨日と同じくらいの距離。

 

 近すぎない。

 遠すぎない。

 

 ただ、昨日より少しだけ、その距離が自然に感じた。

 

 春麗は自分の包みを開く。

 そして、もう一つの包みを膝の上に置いた。

 リュウは昨日と同じように、宿の人が持たせてくれた包みを開こうとしていた。

 春麗は、その手がほどかれる前に言った。

 

「リュウ」

 

「ああ」

 

「今日は、少し作りすぎたの」

 

 言ってから、春麗はすぐに自分で嫌になった。

 違う。

 それは言い訳として弱い。

 

 リュウは春麗を見る。

 春麗は、息を吸い直した。

 

「……違うわね」

 

「違うのか」

 

「作りすぎたわけじゃない」

 

 一拍。

 

「あなたの分も、少し持ってきた」

 

 リュウの目が、わずかに動いた。

 春麗は包みを差し出す。

 

「勘違いしないで」

 

「ああ」

 

「これは礼じゃないわ」

 

「ああ」

 

「あなたに修行を付き合ってもらっている」

 

 一拍。

 

「私は、あなたの恩を借りている」

 

 一拍。

 

「だから、少しでも恩を返させて」

 

 リュウは、差し出された包みを見た。

 それから、春麗を見る。

 

「受け取っていいのか」

 

「そのために持ってきたのよ」

 

「ああ」

 

「でも、ありがたがりすぎないで」

 

「難しい」

 

「難しくないでしょう」

 

「いや、ありがたい」

 

 春麗は言葉を詰まらせた。

 リュウは包みを受け取る。

 丁寧にほどいた。

 

 中には、春麗が朝用意したものが並んでいる。

 

 饅頭。

 青菜と卵。

 少し濃い味の肉。

 漬け物。

 

 昨日より、ほんの少しだけ量が多い。

 

 リュウは箸を取った。

 一口、食べる。

 春麗は、見ないふりをした。

 だが、見ている。

 リュウが咀嚼し、静かに頷いた。

 

「うまい」

 

 春麗の指が止まった。

 

「……そう」

 

「ああ」

 

「味が濃すぎない?」

 

「ちょうどいい」

 

「冷めているでしょう」

 

「うまい」

 

「同じことしか言えないの?」

 

「本当に、うまい」

 

 春麗は、視線を逸らした。

 胸の奥が熱い。

 朝、少しだけ結び目を整えたことを思い出す。

 

 認めない。

 絶対に認めない。

 

 これは恩の返済だ。

 礼ではない。

 修行のため。

 栄養管理。

 

 それだけ。

 

「ありがとう」

 

 リュウが言った。

 春麗は、今度こそ完全に手を止めた。

 

「……お礼を言われるほどじゃないわ」

 

「それでもだ。ありがとう」

 

「だから、恩の借りを少し返しているだけだと言ったでしょう」

 

「ああ」

 

「ありがとうと言われると、私が何か良いことをしたみたいになるじゃない」

 

「違うのか」

 

「違うわよ」

 

「そうか」

 

「そうよ」

 

 春麗は自分の昼食を口に運ぶ。

 味がよく分からなかった。

 リュウは、春麗の作った昼食を静かに食べている。

 

 文句も言わない。

 大げさに褒めるわけでもない。

 ただ、きちんと食べている。

 それが、春麗には妙に落ち着かなかった。

 

 しばらく食べてから、春麗は口を開いた。

 

「リュウ」

 

「ああ」

 

「あなた、本当に大丈夫なの?」

 

「何がだ」

 

「私の修行に、こうして毎日付き合って」

 

 一拍。

 

「宿まで取って」

 

 一拍。

 

「時間も使って」

 

 一拍。

 

「仕事は?」

 

 リュウは、少しだけ考えた。

 

「決まった仕事はない」

 

 春麗の眉が動く。

 

「……無職なの?」

 

「旅をしている」

 

「それは職業ではないわ」

 

「ああ」

 

「あなたね」

 

 春麗は箸を置いた。

 

「宿代は? 食費は? 移動費は? 修行に付き合っていて、本当に困らないの?」

 

「困ってはいない」

 

「どうして」

 

「大会の賞金や、試合の礼がある」

 

 一拍。

 

「人を助けた時に、礼を受け取ることもある」

 

 一拍。

 

「必要なら働く」

 

「働くって、何を?」

 

「工事現場や、荷運び」

 

 一拍。

 

「用心棒のようなこともある」

 

 春麗は、リュウを見た。

 

「……本当に、身体一つで生きているのね」

 

「ああ」

 

「お金の管理は?」

 

「ケンがしてくれている」

 

「ケン?」

 

「昔からの友人だ」

 

「その人に任せきりなの?」

 

「ああ」

 

「大丈夫なの、それ」

 

「ケンだから大丈夫だ」

 

 春麗は額に手を当てた。

 

「あなた、自分のお金のことくらい把握しなさいよ」

 

「使うことがあまりない」

 

「そういう問題じゃないわ」

 

「必要な時は、カードを持たされている」

 

「持たされている?」

 

「ああ。ケンが、困った時は使えと言っていた」

 

「……あなた、それがいくら使えるものか分かっているの?」

 

「分からない」

 

 春麗は、しばらくリュウを見た。

 拳は恐ろしいほど正確なのに。

 生活のことになると、どうしてこうなのか。

 

「つまり」

 

 一拍。

 

「あなたは定職には就いていない」

 

「ああ」

 

「必要なら働く」

 

「ああ」

 

「大会の賞金や礼金はある」

 

「ああ」

 

「それを友人が管理している」

 

「ああ」

 

「自分ではよく分かっていない」

 

「ああ」

 

「そして、私の修行に付き合うために近くの宿を取った」

 

「ああ」

 

 春麗は深く息を吐いた。

 

「……心配して損したような、余計に心配になったような」

 

「春麗が気にすることではない」

 

「気にするわよ」

 

 春麗は、少し強く言った。

 自分でも驚いた。

 リュウも春麗を見る。

 春麗は視線を逸らさなかった。

 

「あなたは、私の修行に付き合っているのよ」

 

 一拍。

 

「私はあなたの恩を借りている」

 

 一拍。

 

「だから、あなたが無理をしているなら困るわ」

 

 リュウは静かに答えた。

 

「無理はしていない」

 

「本当に?」

 

「ああ」

 

「私に気を遣っていない?」

 

「気は遣っている」

 

「そこは否定しなさいよ」

 

「だが、無理はしていない」

 

 春麗は、少しだけ顔をしかめた。

 言い方は不器用だ。

 でも、嘘ではない。

 リュウは続けた。

 

「それに俺にとっても修行になる」

 

「私の修行が?」

 

「ああ」

 

「私は今、まともに跳べないのよ」

 

「それでも、春麗と向き合うことは修行になる」

 

 春麗は黙った。

 また、それだ。

 

 リュウは、春麗が弱っているから付き合っているのではない。

 春麗と向き合うこと自体を、自分の修行としている。

 その言い方は、ずるい。

 春麗の反発する場所を、少しだけ奪ってくる。

 

「……分かったわ」

 

 一拍。

 

「でも、無理をしていないかは、私も確認する」

 

「ああ」

 

「恩を借りっぱなしで、しかもあなたが無理をしているなんて、嫌なの」

 

「ああ」

 

 春麗は水を飲んだ。

 すると、今度はリュウが口を開いた。

 

「春麗」

 

「何」

 

「春麗の仕事は?」

 

 春麗は、少し意外そうにリュウを見る。

 

「私?」

 

「ああ」

 

「どうして急に」

 

「俺の仕事を聞いた」

 

「聞いたわね」

 

「なら、春麗のことも聞いていいかと思った」

 

 春麗は、少しだけ息を吐く。

 

「捜査官よ」

 

「捜査官」

 

「今は、ある組織を追っているの」

 

「組織」

 

「詳しくは話せないわ」

 

「ああ」

 

「格闘大会に出ていたのも、ただ戦いたかったからじゃない」

 

 一拍。

 

「目的があった」

 

 リュウは静かに聞いている。

 

 春麗は自分の箸を見ながら続けた。

 

「情報を集めるため」

 

 一拍。

 

「接触するため」

 

 一拍。

 

「相手の動きを探るため」

 

 一拍。

 

「そして、いつか必ず捕まえるため」

 

 リュウは、少しだけ目を伏せた。

 

「俺は、それを邪魔したのか」

 

 春麗は顔を上げた。

 

「何?」

 

「俺は春麗と戦った」

 

「ええ」

 

「春麗は目的があって大会に出ていた」

 

「ええ」

 

「俺が勝ったことで、その目的の邪魔をしたのなら」

 

 一拍。

 

「俺は逮捕されるのか」

 

 春麗は、数秒黙った。

 

 そして、思わず小さく吹き出した。

 

「……あなた、本気で言っているの?」

 

「ああ」

 

「本気なのね」

 

「ああ」

 

 春麗は口元を押さえた。

 

 笑う場面ではない。

 自分は捜査の話をしていた。

 

 けれど、リュウの表情があまりに真面目だった。

 

「安心しなさい」

 

 一拍。

 

「試合で私に勝った罪なんてないわ」

 

「そうか」

 

「少なくとも、今のところあなたは容疑者ではない」

 

「今のところ」

 

「ええ。私の昼食を勝手に食べたら、少し考えるけれど」

 

 リュウは、春麗から渡された包みを見る。

 

「これは、渡された」

 

「そうよ」

 

「なら、問題ない」

 

「ええ。問題ないわ」

 

 春麗は少しだけ笑った。

 

 リュウも、ほんの少しだけ表情を緩めたように見えた。

 春麗はその表情を見て、胸の奥がまた少しだけ落ち着かなくなる。

 

 リュウを知る。

 拳だけではないリュウを知る。

 

 旅をしていること。

 必要なら働くこと。

 友人にお金の管理を任せていること。

 自分の生活には無頓着なこと。

 

 そして、自分の仕事を聞いて、本気で逮捕されるのかと考えること。

 

 変な男だ。

 

 でも、少しだけ分かった気がする。

 

 春麗は残りの昼食を食べた。

 リュウも、春麗の作った分を最後まできちんと食べた。

 

「ごちそうさま」

 

 リュウが言った。

 

「……そういう言葉は、ちゃんと言えるのね」

 

「ああ」

 

「味は?」

 

「うまかった」

 

「それ、さっきも聞いたわ」

 

「何度でも言える」

 

 春麗は、思わず視線を逸らした。

 

「……一度でいいわよ」

 

 声が少しだけ小さくなった。

 


 

 午後の組手は、午前より近い距離から始めた。

 

 昼食を挟んだせいか、身体は少し戻っていた。

 

 ただ、気持ちは午前より少しだけ揺れている。

 

 リュウのことを知った。

 リュウに、自分のことも少し話した。

 

 それだけで、拳の前に立つ時の感覚が変わる。

 

 怖くなくなったわけではない。

 

 むしろ、少し怖い。

 

 リュウの拳は、ただ自分を撃ち落とした拳ではない。

 

 旅をしてきた拳。

 必要なら働き、必要なら戦い、友人に支えられながら、それでも自分の道を進んできた拳。

 その拳が、今は春麗の前にある。

 

 春麗は息を吸った。

 

「始めましょう」

 

「ああ」

 

 リュウが構える。

 春麗も構えた。

 空気が張る。

 午前と同じ形式。

 けれど、同じではない。

 

 春麗の手には、まだ昼の感覚が残っていた。

 

 包みを渡した感触。

 リュウが丁寧にほどいたこと。

 うまい、と言われたこと。

 ありがとう、と言われたこと。

 そして、自分と向き合うことも修行になる、と言われたこと。

 

 余計なものだ。

 組手には関係ない。

 そう思う。

 けれど、関係ないはずのものが、リュウの拳を見る目を少しだけ変えていた。

 

 春麗は、リュウの拳を怖いものとしてだけ見ていない。

 

 自分を撃ち落とした拳。

 自分を止める拳。

 自分へ向き合っている拳。

 その全部として見ている。

 

「行くぞ」

 

「ええ」

 

 リュウの掌に気が集まる。

 

「波動拳!」

 

 青い気弾が放たれた。

 

 春麗は低く動いた。

 

 午前より、少しだけ前へ残る。

 横へ逃げすぎない。

 腰を引き切らない。

 

 波動拳をかわす。

 

 着地。

 

 リュウが踏み込む。

 

 迎撃の気配。

 

 春麗の身体が固まる。

 

 やはり怖い。

 

 昇龍拳は、まだ身体に残っている。

 あの空は、まだ遠い。

 寸止めだと分かっていても、膝は一瞬、落ちたがる。

 

 でも、今日は落とさない。

 春麗は、足裏で床を掴んだ。

 リュウの拳が下から来る。

 

 寸止め。

 

 その直前。

 春麗の手が出た。

 午前より早い。

 

 防御ではない。

 逃げでもない。

 

 掌底。

 

 形は浅い。

 重心はまだ逃げている。

 踏み込みは足りない。

 

 それでも、春麗の掌はリュウの胸元へ向かった。

 リュウの拳が止まる。

 春麗の掌も止まる。

 

 指先一つ分。

 届いていない。

 空気だけが、二人の間で震えた。

 

 春麗は荒い息を吐いた。

 

「……今の」

 

 言いかけて、止める。

 自分から評価を求めたくない。

 でも、分かっている。

 今の手は、逃げた手ではなかった。

 

 リュウが静かに言った。

 

「返してきた」

 

 春麗の胸が跳ねた。

 

「届いていないわ」

 

「ああ」

 

「遅い」

 

「ああ」

 

「浅い」

 

「ああ」

 

「実戦なら、あなたに潰されている」

 

「ああ」

 

「でも?」

 

「返してきた」

 

 春麗は、唇を結んだ。

 

 嬉しい。

 悔しい。

 両方が来る。

 

 午前より強く。

 

「……もう一度」

 

「ああ」

 

 二本目。

 

 波動拳。

 

 春麗は動く。

 今度は、さっきよりわずかに前へ。

 怖さが消えたわけではない。

 むしろ、さっき返せたぶん、次に崩れるのが怖い。

 波動拳をかわす。

 

 リュウが追う。

 

 速い。

 

 春麗は掌底を出そうとする。

 だが、リュウの沈み込みを見た瞬間、肩が上がった。

 

 遅れる。

 

 リュウの拳が寸前で止まる。

 春麗の手は、胸の前で固まっていた。

 

「……今のは駄目」

 

 春麗が先に言った。

 

「ああ」

 

「返せなかった」

 

「ああ」

 

「さっきより悪い」

 

「怖さを見た」

 

 春麗はリュウを見る。

 

「何?」

 

「返せた後の怖さだ」

 

 春麗は黙った。

 

 リュウの言葉は短い。

 けれど、妙に正確だった。

 

 一度、少しだけ返せた。

 だからこそ、次に返せなかった時の落差が怖い。

 さっきの一手が偶然だったと分かってしまうのが怖い。

 

 春麗は、拳を握った。

 

「……本当に、よく見ているわね」

 

「ああ」

 

「もう一度」

 

「ああ」

 

 三本目。

 

 リュウの波動拳。

 

 春麗は、息を吐いた。

 

 さっき返せたかどうかは関係ない。

 さっき返せなかったかどうかも関係ない。

 

 今、動く。

 

 低く。

 前へ。

 逃げすぎない。

 

 波動拳をかわす。

 

 リュウが踏み込む。

 

 昇龍拳の気配。

 

 胸が固まる。

 膝が落ちたがる。

 視界の奥に、撃ち落とされた空が戻る。

 

 春麗は、その空を見た。

 

 見て、逃げなかった。

 

 足を残す。

 

 掌を出す。

 

 今度は、さっきより少しだけ深い。

 

 リュウの拳が止まる。

 春麗の掌も止まる。

 届いていない。

 だが、さっきより近い。

 

 春麗は、荒い息のまま笑った。

 

「近かった?」

 

「ああ」

 

「甘く見ていない?」

 

「見ていない」

 

「本当に?」

 

「ああ」

 

「実戦なら?」

 

「まだ届かない」

 

「でしょうね」

 

 春麗は息を吐いた。

 

 胸の奥が熱かった。

 悔しい。

 でも、立っている。

 

 リュウの拳の前で。

 昇龍拳の気配の前で。

 波動拳の向こうにある怖さの前で。

 

 春麗は立っている。

 

 そして、返そうとしている。

 

「今日は、ここまでにするわ」

 

 春麗が言った。

 リュウは少しだけ春麗を見る。

 

「いいのか」

 

「ええ」

 

「もう一度と言うと思った」

 

「言いたいわよ」

 

 一拍。

 

「でも、今日はここで止める」

 

 春麗は自分の手を見る。

 まだ震えている。

 でも、その手は逃げるためだけに動いた手ではない。

 

「届かなかったところで終わるのは、腹が立つけど」

 

 一拍。

 

「返そうとしたところで終わる」

 

 リュウは頷いた。

 

「ああ」

 

「あなたが言いそうなことを、私が先に言っただけよ」

 

「そうか」

 

「ええ」

 

 春麗は、少しだけ笑った。

 

「明日も来るのよね」

 

「ああ」

 

「昼食は?」

 

「宿で用意してもらう」

 

 春麗は一拍置いた。

 

「……明日も、少し多めに作るかもしれないわ」

 

 リュウは春麗を見る。

 

「いいのか」

 

「かもしれない、と言ったの」

 

「ああ」

 

「借りを少しずつ返すだけよ」

 

「ああ」

 

「それに」

 

 一拍。

 

 春麗は、さっきリュウへ届かなかった掌を見る。

 

「明日も、この組手を続けるなら」

 

 一拍。

 

「途中で倒れるわけにはいかないでしょう」

 

 リュウは静かに頷いた。

 

「そうだな」

 

「だから、栄養管理」

 

「ああ」

 

「修行の効率」

 

「ああ」

 

「恩の返済」

 

「ああ」

 

「ありがとうは禁止」

 

「…難しい」

 

「禁止」

 

「……分かった」

 

 春麗は満足そうに頷きかけて、すぐに顔を引き締めた。

 

 満足してどうする。

 

 これは修行だ。

 恩を少しずつ返しているだけだ。

 明日も組手を続けるために、必要なことをするだけだ。

 

 それだけ。

 

 夕方の風が、修行場を通った。

 

 怖さは残っている。

 

 昇龍拳はまだ怖い。

 波動拳の向こうにある拳を、身体はまだ覚えている。

 撃ち落とされた空は、まだ遠い。

 

 けれど、止まったままではない。

 

 昨日は、膝で終わらなかった。

 今日は、逃げる手だけでは終わらなかった。

 

 リュウの拳の前で、春麗は返そうとした。

 届かなかった。

 届き切らなかった。

 実戦なら、まだリュウに潰される。

 

 それでも、返そうとした。

 その一手を、リュウは見た。

 

 返してきた。

 

 その言葉が、春麗の中に残る。

 春麗は包みを持ち直し、リュウに背を向けた。

 

「明日」

 

「ああ」

 

「もう少しだけ、近づくわ」

 

「ああ」

 

「波動拳の向こうへ」

 

「ああ」

 

「あなたの昇龍拳の前へ」

 

「ああ」

 

「そして、いつか」

 

 一拍。

 

「届かせる」

 

 リュウは静かに答えた。

 

「待っている」

 

 春麗は振り返らなかった。

 振り返ったら、たぶん余計な顔を見られる。

 

「……待っていなさい」

 

 声だけを残して、春麗は歩き出した。

 今日の包みは空になっている。

 明日は、少し多めに作るかもしれない。

 

 借りを返すため。

 修行のため。

 栄養管理のため。

 そして、明日もこの組手を続けるため。

 

 春麗は、誰に言うでもなく小さく息を吐いた。

 

「……それだけよ」

 

 その声は、夕方の風に紛れた。

 


 

 記録板AIは、そこで検証ログを停止した。

 

『検証ログ終了』

 

『保存名』

『春麗は、借りを昼食に包んで修行場へ向かう』

 

『保存先』

『ディレクターズカットIF外部検証領域』

 

『以上、保存完了』




Q:今回のディレクターズカットについて解説して?

A:

今回は、修行二日目の話です。

前回、春麗はリュウとの修行初日で、寸止めの昇龍拳にも膝を落としてしまいました。

昇龍拳は当たっていない。
痛みもない。
衝撃もない。

それなのに、身体だけがあの敗北を思い出して、膝が落ちる。

春麗の中に刻まれたものが、単なる苦手意識ではなく、身体の反応として残っていることが見えた回でした。

ただし、そこで終わったわけではありません。

春麗は膝をついても、倒れ切らなかった。
リュウに支えられず、自分で立った。
そして最後に、低くてももう一度跳ぶことができた。

今回の話は、その翌日です。

春麗はその夜、前日の修行を何度も思い返しています。

寸止めでも膝が落ちたこと。
でも、自分で立ったこと。
最後に低く跳べたこと。

この三つが同時に残っています。

悔しい。
怖い。
でも、少しだけ嬉しい。

この感情の混ざり方が、今回の春麗です。

そしてもう一つ、昼の会話も残っています。
リュウが「女の格闘家に負けたのは春麗が初めてだった」と言ったこと。
これは春麗にとってかなり大きい言葉です。

春麗は、自分の勝利を自分の側の記憶として持っていました。
額に敗者の印をつけたこと。
リュウが忘れないと言ったこと。
自分がようやくリュウに勝ったこと。

でも、リュウの中にもその勝利が記録されていた。
女性格闘家として、リュウに初めて勝った相手が自分だった。
それは春麗にとって、格闘家としても、女としても、かなり嬉しいことです。
ただし、素直には喜べません。

嬉しい。
でも悔しい。
もっと早く言いなさいよ、という形でしか出せない。

そこが春麗です。
また、最初の試合でリュウの拳が鈍ったことにも触れています。
リュウは、春麗を格闘家としてだけではなく、女としても見てしまった。
そして、そのことを拳の中で整理できなかった。
それを自分の未熟だったと言った。

春麗にとって、これはただ謝られて終わる話ではありません。

リュウの拳が鈍ったのに、自分は負けた。
女として見られたのに、格闘家として勝てなかった。
その悔しさは消えません。

でも、リュウがあの時のことから逃げずに、自分の未熟として受け止めていたことで、春麗の中では少しだけ置き場所が変わっています。

今回のもう一つの中心は、昼食です。

前回の最後で、春麗は「明日は少し多めに作ってもいい」と思っていました。
今回は、それを実行しています。
ただし、春麗は素直に「あなたのために作ってきた」とは言えません。

これは礼ではない。
恩の借りを少し返すだけ。
修行のため。
栄養管理。

そう自分に言い訳しています。
このあたりは、春麗の面倒くささがかなり出ている部分です。

本当は、リュウの分も考えている。
見た目が崩れないようにしている。
冷めても食べやすいようにしている。
修行中に胃が重くならないようにしている。
包みの結び目まで整えている。

でも、本人は認めない。
全部、修行のため。
ここはかなり春麗らしいところだと思います。

昼食中には、リュウの生活についても触れています。

リュウは旅をしている。
決まった仕事はない。
必要なら働く。
大会の賞金や礼金がある。
お金の管理はケンに任せている。
自分ではよく分かっていない。

拳はあれだけ正確なのに、生活面ではかなり雑です。
春麗としては心配になります。

修行に付き合ってもらっている。
近くに宿まで取ってもらっている。
時間を使わせている。

だから、リュウが無理をしているなら困る。
春麗はそう言います。

リュウは「春麗が気にすることではない」と言いますが、春麗は気にする。

ここも、ただの世話焼きではなく、春麗の中では「恩を借りているから確認する」という形になっています。

ただし、実際にはそれだけではありません。

リュウの生活が気になっている。
リュウがどう生きているのかを知りたくなっている。
拳だけではないリュウを見始めている。

この変化も、今回の大事なところです。

そして、リュウも春麗の仕事を聞きます。

春麗は、自分が捜査官であること、ある組織を追っていること、格闘大会に出ていたのも目的があったことを少しだけ話します。

ここでリュウが「俺はそれを邪魔したのか」「俺は逮捕されるのか」と真面目に聞く場面は、少し空気を軽くするためのやり取りです。

リュウは本気です。
春麗も、それが本気だと分かるから少し笑ってしまう。

この会話で、二人は少しだけ互いの生活を知ります。

春麗は、拳だけではないリュウを知る。
リュウも、格闘家だけではない春麗を知る。

それが午後の修行にも影響しています。
午後の修行では、春麗は昇龍拳の気配の前に立ちます。
怖さは消えていません。
リュウの拳は、春麗を撃ち落とした拳です。
でも、今回の春麗にとって、それだけではなくなっています。

旅をしてきた拳。
必要なら働き、必要なら戦い、友人に支えられながら、それでも自分の道を進んできた拳。

リュウという人間の拳として、少しだけ見え方が変わっています。
だからといって、怖くなくなるわけではありません。
最後に、春麗は「今日はここまで」と自分で止めます。

これはかなり重要です。

前回までなら、悔しさで「もう一度」と言い続けたかもしれません。
でも今回は、昨日より進んだところで終わることを選びます。
無理に続けて怖さを強く残すのではなく、進んだ感覚を持ったまま終わる。

これも修行です。
リュウが言いそうなことを、春麗が先に言った形になっています。
今回のエピソードは、春麗が大きく克服する話ではありません。
むしろ、二日目らしい小さな進歩の話です。

リュウの分の昼食を持っていく。
リュウの生活を少し知る。
自分の仕事を少し話す。
そして、進んだところで止める。

どれも小さいです。
でも、春麗にとっては全部大事な一歩です。

リュウの拳の前で止まっていた春麗が、リュウという人間を少しずつ知りながら、リュウの拳の前で少しずつ動けるようになっていく。

今回の修行編は、その二日目でした。
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