また戦ってくれなんて言わないで ――春麗は今日もめんどくさい――   作:エーアイ

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※本編確定ではなく、断章IFです。


断章IF:本編春麗は、何も用がない日にリュウと会う

 朝。

 春麗は、青い小箱の前を通り過ぎた。

 

 座らない。

 蓋も見ない。

 今日は開けない。

 

 中には、リュウから受け取った宿題への正式回答がある。

 

 九十九点。

 受領済み。

 読んだ。

 届いた。

 なかったことにはしていない。

 けれど、まだ全部は持てない。

 その横には、昨日増えた紙がある。

 正式回答後、普通に会う練習ログ。

 会えた。

 楽ではなかった。

 でも、会えた。

 

 昨日は、それで十分だった。

 

 今日は。

 

 春麗は、部屋の真ん中で立ち止まった。

 

 今日は、何をする日なのか。

 試合ではない。

 リュウから受け取った正式回答を読み返す日でもない。

 青い小箱に置いた答えを、もう一度持とうとする日でもない。

 自分が返した短い手紙について考え直す日でもない。

 昨日の練習ログを検証する日でもない。

 

 では、何なのか。

 

「……何もない日」

 

 言ってから、自分で少し眉を寄せた。

 

 何もない。

 そのはずだった。

 

 何も用がない。

 リュウに会う約束もない。

 修行場へ行く理由もない。

 手紙もない。

 確認事項もない。

 試合予定もない。

 

 だから、外に出る。

 ただ外に出る。

 それだけ。

 

 春麗は、青い小箱の方を見ないまま、動きやすい普段着を選んだ。

 

 青武道服ではない。

 黒ドレスでもない。

 ただの服。

 

 鏡の前に立つ。

 

 そこにいるのは、戦うための春麗ではない。

 リュウから宿題への正式回答を受け取った春麗。

 けれど、まだ全部は持てない春麗。

 普通に会う練習を一度終えた春麗。

 そして今日、何も用がないのに外へ出ようとしている春麗。

 

「……大丈夫」

 

 一拍。

 

「ではないわね」

 

 すぐに訂正する。

 

「今日は、大丈夫かどうかも確認しない」

 

 確認しない。

 この言葉が、今日の最初の決まりだった。

 春麗は部屋を出た。

 


 

 外は、普通の朝だった。

 

 普通。

 最近、その言葉がやけに難しい。

 だが、空は普通に明るく、道は普通に続いている。

 人の気配がある。

 風がある。

 今日が特別な日であるかどうかなど、外の世界は気にしていない。

 

 春麗は、少しだけ歩いた。

 

 修行場へ続く道ではない。

 いや。

 完全に違う道でもない。

 行こうと思えば行ける。

 避けようと思えば避けられる。

 そういう曖昧な道。

 

 春麗は、自分でその曖昧さに気づいて、額に手を当てた。

 

「……何も用はないのよ」

 

 独り言が出る。

 

 何も用はない。

 リュウに会う用事はない。

 会って確認することもない。

 リュウから受け取った正式回答の話もしない。

 自分が返した手紙の反応も聞かない。

 試合もしない。

 手合わせもしない。

 昨日の「普通に会う練習ログ」の続きもしない。

 

 今日は、そういう日ではない。

 

 ただ。

 外に出ただけ。

 そう思ったところで、道の向こうから人影が見えた。

 

 春麗は、足を止めた。

 

 リュウだった。

 いつもの道着。

 いつもの荷物。

 いつもの歩き方。

 会う予定はない。

 

 だが、会った。

 

 そういうことだった。

 

 春麗は、呼吸を整えようとした。

 

 整わない。

 乱れすぎてもいない。

 それだけで、昨日よりは少しましだと思う。

 

 リュウも、春麗に気づいた。

 足を止める。

 

「春麗」

 

「リュウ」

 

 名前を返す。

 

 それだけ。

 それだけで済ませる。

 春麗は、リュウが何か言う前に、先に言った。

 

「今日は、何も確認しないわ」

 

 リュウは、少しだけ瞬きをした。

 

「ああ」

 

「リュウから受け取った正式回答の話もしない」

 

「ああ」

 

「私が返した手紙の反応も聞かない」

 

「ああ」

 

「試合もしない」

 

「ああ」

 

「手合わせもしない」

 

「ああ」

 

「昨日の練習ログの続きもしない」

 

「ああ」

 

「余計なことも聞かない」

 

「ああ」

 

 春麗は、少しだけ息を吐いた。

 

 危ない。

 すでに少し危ない。

 

 だが、まだ大丈夫。

 大丈夫、という言葉も今日は確認しないはずだった。

 

 春麗は、内側でその言葉を棚に置く。

 

 リュウは、踏み込まない。

 

 昨日と同じように。

 いや、昨日よりもさらに静かに。

 

 春麗が言ったことを、ただ受けている。

 

 それが、少しだけ助かった。

 少しだけ、危険だった。

 

「今日は、何も用がないの」

 

「ああ」

 

「だから、偶然会っただけ」

 

「ああ」

 

「会いに来たわけではない」

 

「ああ」

 

「あなたを待っていたわけでもない」

 

「ああ」

 

「通りかかっただけ」

 

「ああ」

 

「……本当に分かっているの?」

 

 リュウは、静かに答えた。

 

「分かっている」

 

 春麗は、少しだけリュウを見る。

 その「分かっている」は、昨日の「分かった」と少し似ている。

 受け止めるだけの言葉。

 押してこない言葉。

 こちらが置いた線を、踏まない言葉。

 

 春麗は、視線を逸らした。

 

「なら、いいわ」

 


 

 二人は、少しだけ歩いた。

 並ぶほど近くはない。

 離れすぎてもいない。

 昨日より、少しだけ自然な距離。

 

 たぶん。

 

 春麗は、前を見たまま言った。

 

「今日は、歩くだけよ」

 

「ああ」

 

「目的地はない」

 

「ああ」

 

「話題もない」

 

「ああ」

 

「正式回答の話もない」

 

「ああ」

 

「私が返した手紙の話もない」

 

「ああ」

 

「何もないの」

 

「ああ」

 

 春麗は、そこで立ち止まりかけた。

 リュウの「ああ」が、何度も重なる。

 

 それはうるさくない。

 むしろ静かだった。

 

 春麗が先に線を引く。

 リュウが、その線を認める。

 

 それだけ。

 ただ、それだけなのに、胸の奥が少しだけ熱くなる。

 

「……あなた、今日は本当に何も言わないつもり?」

 

「春麗が、何も確認しないと言った」

 

「ええ」

 

「なら、俺も確認しない」

 

 春麗は、足を止めた。

 

 正解。

 また正解。

 腹立たしいくらい正解。

 だが、今日はそれを口にしない。

 

 口にすると、そこから何かが始まる。

 今日は何も始めない日だ。

 

「……そう」

 

「ああ」

 

「それでいいわ」

 

 言った瞬間、春麗は自分で少し驚いた。

 

 それでいい。

 言ってしまった。

 

 リュウの言葉ではなく、自分の言葉として。

 春麗は、内心で少し構える。

 リュウは何も言わなかった。

 そこへ乗ってこない。

 

 だから、助かった。

 いや。

 助かった、も危険だ。

 

 春麗は、危険な肯定語彙が胸の奥で増えていくのを感じる。

 

 でも、今日はそれを開けない。

 青い小箱も開けない。

 自分の中の言葉も、今日は深く開けない。

 

 ただ、歩く。

 用事がない日に、リュウと会って、歩く。

 

 それだけ。

 


 

 しばらくして、リュウが道の横にある木を見た。

 特に意味はなさそうだった。

 春麗は、少し警戒した。

 

 何か言うのか。

 言わないのか。

 リュウは、何も言わなかった。

 ただ、歩いている。

 

 春麗は、少しだけ肩の力を抜いた。

 

「……何も言わないのね」

 

「ああ」

 

「今のは、何か言ってもよさそうな間だったでしょう」

 

「そうか」

 

「そうよ」

 

「何を言えばよかった」

 

「知らないわよ」

 

「そうか」

 

 春麗は、少し笑いそうになった。

 

 危ない。

 今日は、笑うことまで禁止していない。

 だが、笑うと負けた気がする。

 何に負けるのかは分からない。

 まだ分類しない。

 

「本当に、今日は何もないわね」

 

「ああ」

 

「あなたと会っているのに」

 

「ああ」

 

「試合もしないのに」

 

「ああ」

 

「正式回答の話もしないのに」

 

「ああ」

 

「ただ歩いている」

 

「ああ」

 

 春麗は、少しだけ息を吐いた。

 

「……変ね」

 

 リュウは、春麗を見た。

 

「変か」

 

「ええ」

 

「嫌か」

 

 春麗は、すぐには答えなかった。

 

 嫌か。

 嫌ではない。

 だが、それを言うと危険だ。

 悪くはない、でも危険だ。

 助かる、も危険。

 それでいい、も危険。

 今日の春麗は、危険な肯定語彙に囲まれている。

 

 春麗は、少し考えてから言った。

 

「嫌ではない、とは言わない」

 

 リュウは、少しだけ首を傾げた。

 

「そうか」

 

「でも、嫌だとも言わない」

 

「ああ」

 

「今日は、それで処理して」

 

「分かった」

 

 リュウは、それ以上聞かなかった。

 春麗は、また少しだけ救われた。

 そして、少しだけ腹が立った。

 リュウが踏み込まないことに、こんなに助けられているのが腹立たしい。

 

 しかし、今日はそれも言わない。

 何も確認しない日だから。

 


 

 道は、修行場の近くまで来ていた。

 春麗は、足を止めた。

 リュウも止まる。

 目の前には、修行場へ続く道がある。

 入れば、試合になる。

 

 たぶん。

 

 少なくとも、春麗の中ではそうなる。

 だが、今日は入らない。

 

「ここまで」

 

「ああ」

 

「修行場には行かない」

 

「ああ」

 

「試合もしない」

 

「ああ」

 

「念のため、もう一度言うけれど、手合わせもしない」

 

「ああ」

 

「あなた、全部ああで済ませすぎでは?」

 

「済んでいると思った」

 

「……済んでいるのが腹立たしいわね」

 

 リュウは、少しだけ困ったように眉を動かした。

 

「すまない」

 

「謝らない」

 

「ああ」

 

 春麗は、少しだけ笑った。

 ほんの少し。

 今度は、止めなかった。

 笑ってしまった。

 それでも、落ちなかった。

 

 これは、かなり重要だと思った。

 

 何も用がない日に会って、少し笑って、それでも落ちない。

 リュウから宿題への正式回答を受け取った後で。

 まだ全部は持てないままで。

 青い小箱は閉じたままで。

 それでも、会っている。

 

 春麗は、リュウを見た。

 

「今日は、本当に何もなかったわね」

 

「ああ」

 

「試合もしなかった」

 

「ああ」

 

「正式回答の話もしなかった」

 

「ああ」

 

「手紙の話もしなかった」

 

「ああ」

 

「確認も、ほとんどしなかった」

 

 リュウは、少し考える。

 

「少しはしていた」

 

「細かいわね」

 

「すまない」

 

「謝らない」

 

「ああ」

 

 春麗は、また少し笑いそうになった。

 今度は堪えた。

 

「でも、今日は、それでいいわ」

 

 リュウは、頷いた。

 

「ああ」

 

 余計な言葉はない。

 高火力の言葉もない。

 それでいい、と返すこともない。

 ただ、春麗の言葉を受けるだけ。

 

 春麗は、胸の奥が静かに熱くなるのを感じた。

 

 落ちない。

 熱いが、落ちない。

 

 今日は、それで十分だ。

 

「ただ」

 

 一拍。

 

「会っただけ」

 

 春麗は言った。

 

 声に出すと、少し不思議だった。

 

 ただ、会っただけ。

 本当にそれだけ。

 けれど、正式回答を受け取った後の春麗にとっては、それだけではない。

 それだけが、大きい。

 

 リュウは、春麗を見た。

 そして、静かに言った。

 

「それでいい」

 

 春麗は、息を止めた。

 

 来た。

 高火力ではない。

 少なくとも、リュウは抑えている。

 だが、これは効く。

 

 それでいい。

 

 ただ、会っただけ。

 それでいい。

 

 春麗は、胸の奥に言葉が落ちるのを感じた。

 

 落ちた。

 でも、倒れない。

 

 青い小箱を開けたくなる。

 でも、開けない。

 今日は持たない。

 今日は確認しない。

 ただ、会えたことだけを持って帰る。

 

「……そう」

 

 一拍。

 

「今日は、それだけでいいわ」

 

「ああ」

 

「追撃禁止」

 

「ああ」

 

「今の言葉も、これ以上広げない」

 

「ああ」

 

「分かっているの?」

 

「分かっている」

 

 春麗は、少しだけ頷いた。

 

「なら、帰るわ」

 

「ああ」

 

「ついてこない」

 

「ああ」

 

「見送りもしない」

 

「ああ」

 

「何か言いたそうな顔もしない」

 

 リュウは、少しだけ考えた。

 

「顔もか」

 

「顔もよ」

 

「分かった」

 

 春麗は背を向けた。

 歩き出す。

 

 リュウは何も言わない。

 

 呼ばない。

 待つとも言わない。

 次も、とは言わない。

 それが、今日は助かった。

 

 少し寂しいとは、思わない。

 思っていない。

 

 たぶん。

 

 春麗は、振り返らずに歩いた。

 

 ただ、会っただけ。

 それでいい。

 その二つの言葉が、胸の奥で静かに並んでいた。

 


 

 部屋に戻ると、春麗は扉を閉めた。

 その場で、しばらく立っていた。

 倒れていない。

 突っ伏していない。

 精神は削れている。

 だが、残っている。

 

 これは重要だ。

 

 春麗は、机へ向かった。

 青い小箱の前に座る。

 蓋に手を置く。

 

 開けるか。

 開けないか。

 今日は、開けないと決めていた。

 だが、新しい紙を入れるには開ける必要がある。

 

 春麗は、少し考えた。

 

「……入れる分だけ」

 

 そう決めて、蓋を開けた。

 リュウから受け取った正式回答の紙は見ない。

 自分が返した手紙の控えも見ない。

 昨日の練習ログも、深く読まない。

 ただ、その横に新しい紙を置く。

 

 春麗は、ペンを取った。

 

 書く。

 何も用がない日にリュウと会ったログ。

 

 一拍。

 

 会う予定はなかった。

 待っていたわけではない。

 たぶん。

 

 試合はしなかった。

 手合わせもしなかった。

 正式回答は読み返さなかった。

 手紙の反応も聞かなかった。

 確認もほとんどしなかった。

 ただ、会っただけ。

 リュウは、それでいい、と言った。

 

 春麗は、そこでペンを止めた。

 

 それでいい。

 危険な言葉。

 だが、今日はそのまま置いてもいい気がした。

 

 春麗は、さらに書く。

 

 状態。

 精神HP、削れたが残存。

 転倒なし。

 追撃なし。

 

 青い小箱、必要分のみ開閉。

 正式回答本文、未再読。

 分類。

 

 春麗は、少し考える。

 

 昨日の分類は、正式回答後、普通に会う練習ログ。

 今日の分類は、少し違う。

 練習ではない。

 少なくとも、練習という名目で出たわけではない。

 

 用事もなかった。

 会う予定もなかった。

 それでも会った。

 

 春麗は、ゆっくり書いた。

 

 用事がなくても会えた青。

 

 書いた。

 書いてしまった。

 

 その一文を見た瞬間、胸の奥がまた熱くなった。

 

 用事がなくても会えた。

 リュウから受け取った正式回答を、まだ全部は持てないままでも。

 青い小箱を全部開けないままでも。

 試合をしないままでも。

 手合わせをしないままでも。

 何も用がない日に、リュウと会えた。

 

 春麗は、紙を見つめた。

 

「……会えた」

 

 声に出す。

 それだけで、少し落ちそうになる。

 でも、落ちない。

 落ちないところまでが、今日のログだった。

 

 春麗は、紙を青い小箱の中に置いた。

 

 昨日の紙の隣。

 正式回答の紙からは、少しだけ離す。

 でも、同じ箱の中。

 それでいい。

 

 春麗は、蓋を閉じた。

 指先を置く。

 

「用事がなくても、会えた」

 

 一拍。

 

「ただ、会っただけ」

 

 もう一拍。

 

「それでいい」

 

 自分で言って、少しだけ顔を伏せた。

 リュウの言葉を自分でなぞった。

 

 危険。

 でも、今日は少しだけ許す。

 

 春麗は、鏡の前に立った。

 

 映っているのは、昨日より少しだけ違う春麗。

 リュウから宿題への正式回答を受け取った春麗。

 まだ持てない春麗。

 普通に会う練習をした春麗。

 そして、何も用がない日にリュウと会えた春麗。

 

「急がない」

 

 一拍。

 

「でも、逃げない」

 

 もう一拍。

 

「今日は、ただ会えた」

 

 その言葉は、今の本編春麗には十分だった。

 青い小箱の中で、新しい紙が静かに増えた。

 用事がなくても会えた青。

 それは、持てないまま会えた青の次に置かれる、小さな日常接続ログだった。




Q:今回の断章IFについて解説して?

A:

今回は、前回の「正式回答後、普通に会う練習ログ」の次に置くための、もう一つの日常接続ログです。
前回は、春麗が「普通に会う練習」と名前をつけて、リュウと会いに行く回でした。
つまり、まだ目的がありました。

普通に会えるかどうかを確認する。
正式回答の話をしない。
試合をしない。
そういう条件を自分で決めて、その中でリュウと会う回です。

今回の回は、そこから一段進んでいます。

春麗には、リュウに会う用事がありません。
試合もしない。
手合わせもしない。
リュウから受け取った宿題への正式回答も読み返さない。
自分が返した手紙の反応も聞かない。
昨日の練習ログの続きもしない。
本当に、何も用がない日です。

けれど、外に出るとリュウに会ってしまう。
今回の大事なところは、ここです。
用事がなくても、会えた。
正式回答をまだ全部は持てないままでも、リュウと日常で会うことはできた。
本編春麗にとって、これはかなり大きなログです。

今の春麗は、リュウから宿題への正式回答を受け取っています。

九十九点。
受領済み。
なかったことにはしていない。
けれど、まだ全部は持てない。
その答えは青い小箱の中に置いてある。
だから、リュウと会うこと自体が、以前よりずっと難しくなっています。

試合なら、まだ構えられる。
手合わせなら、役割がある。
宿題や正式回答の話なら、話題としての目的がある。
でも、今回はそうではありません。

何も用がない。
何も確認しない。
ただ会う。

これは、実はかなり難しいことです。
また、今回のリュウはかなり言葉を抑えています。

春麗が「今日は何も確認しない」と言う。
リュウは「ああ」と受ける。
春麗が「正式回答の話もしない」と言う。
リュウは「ああ」と受ける。
春麗が「手紙の反応も聞かない」「試合もしない」「手合わせもしない」と言っても、リュウは踏み込みません。

ここでリュウが余計な高火力を出すと、この回は「日常で会えた回」ではなく、「またリュウに精神HPを削られる回」になってしまいます。

もちろん、まったく削られないわけではありません。
「ただ、会っただけ」
春麗がそう言った時、リュウは、
「それでいい」
と返します。

これは短い言葉ですが、今の春麗にはかなり効きます。
ただし、今回の到達点は、そこで倒れることではありません。

効いた。
胸に落ちた。
でも、倒れない。
青い小箱を全部開けない。
正式回答を読み返さない。
今日は、ただ会えたことだけを持って帰る。

そこが今回の重要な到達点です。

今回の分類は、
用事がなくても会えた青
です。

前回の「正式回答後、普通に会う練習ログ」は、まだ練習という名目がありました。
今回の「用事がなくても会えた青」は、その次に置くログです。

練習として会ったのではない。
確認のために会ったのでもない。
試合のためでも、手紙のためでも、正式回答のためでもない。
ただ、会っただけ。
でも、その「ただ、会っただけ」が、今の本編春麗には大きい。

春麗は、まだ正式回答を全部は持てません。
でも、リュウと会えないわけではありません。
答えを受け取った後の自分で、日常の中にリュウを置ける。
今回は、その確認をした回です。

急がない。
でも、逃げない。
今日は、ただ会えた。
その一文が、今の本編春麗には十分な前進になっています。
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