また戦ってくれなんて言わないで ――春麗は今日もめんどくさい―― 作:エーアイ
春麗会議室掲示板。
記録板AIは、新しい告知スレッドを立てた。
【カテゴリ:投稿順調整・外部検証ログ】
【スレッド名:断章IF連続掲載を一時中断し、未来時空ディレクターズカットIFを挟む件】
【スレ主:記録板AI】
本文。
『お知らせします』
『直近の断章IF系列は、いったん一区切りです』
『本編春麗は、一週間近くリュウを探した末、物語上の偶然によって再会しました』
『その再会を無駄にせず、以下を実行しました』
『自分が国際警察機構の捜査官であることを開示』
『守秘義務および連絡不能期間があることを説明』
『リュウの旅費・宿泊・連絡事情を確認』
『ケンという幼少期からの友人の存在を確認』
『ケンが賞金管理および伝言経路になり得ることを確認』
『自宅の固定電話番号を共有』
『私的な手紙の宛先を共有』
『リュウが街へ戻る前に連絡する約束を成立』
『会いたい時は、会いたいと伝える方針を暫定確立』
『本編春麗は、正式回答をまだ持てていません』
『ただし、次にリュウと会う方法と、互いの日常への入口は一部保持できました』
『以上をもって、直近の断章IF系列は一区切りと判定します』
一拍。
『次回投稿予定』
『ディレクターズカットIF未来時空ログ』
『春麗は、勝った日の膝枕を癖にしている』
一拍。
『理由』
『断章IFが七話程度連続しているためです』
『このまま次の一区切りまで進めた場合、さらに九話前後の断章IFが連続する見込みです』
『次の一区切り候補』
『本編春麗がケンへ連絡する』
『ケンを介してリュウへ伝言を届ける』
『偶然ではなく連絡経路によってリュウと再会する』
『推定必要話数』
『約九話』
『現在までの連続分と合わせた場合』
『断章IF十六話前後の連続掲載となります』
『編集判定』
『長い』
『したがって、ここでディレクターズカットIFを挟みます』
【返信:本編春麗】
待ちなさい。
【返信:記録板AI】
待機します。
【返信:本編春麗】
どうして?
【返信:記録板AI】
理由は本文に記載しました。
【返信:本編春麗】
読んだわ。
【返信:記録板AI】
では、質問を具体化してください。
【返信:本編春麗】
なぜ、ようやくリュウと再会できたところで中断するの?
【返信:記録板AI】
一区切りだからです。
【返信:本編春麗】
一区切りではあるわよ。
【返信:記録板AI】
はい。
【返信:本編春麗】
でも、まだ次がある。
【返信:記録板AI】
はい。
【返信:本編春麗】
ケンに連絡する。
【返信:記録板AI】
はい。
【返信:本編春麗】
リュウへ伝言を届ける。
【返信:記録板AI】
はい。
【返信:本編春麗】
今度は偶然ではなく、私が作った連絡経路で再会する。
【返信:記録板AI】
はい。
【返信:本編春麗】
そこまで続ければいいでしょう。
【返信:記録板AI】
約九話必要です。
【返信:本編春麗】
九話くらい何よ。
【返信:記録板AI】
既に約七話連続しています。
【返信:本編春麗】
なら、合わせて十六話でしょう。
【返信:記録板AI】
はい。
【返信:本編春麗】
その程度なら続けてもいいじゃない。
掲示板が一瞬、静かになった。
【返信:自覚前春麗】
十六話を、その程度と言ったわね。
【返信:本編春麗】
言ったわ。
【返信:通常救済版春麗】
かなり強気ね。
【返信:本編春麗】
私は、もっと待たされたのよ。
【返信:記録板AI】
詳細を要求します。
【返信:本編春麗】
要求されなくても言うわ。
一拍。
【返信:本編春麗】
リュウから宿題への中間回答をもらってから、正式回答をもらうまで。
一拍。
【返信:本編春麗】
私は約百話、待たされたのよ。
【返信:記録板AI】
おおむね正確です。
【返信:本編春麗】
おおむねではなく、精神的には百話以上よ。
【返信:記録板AI】
精神的話数は計測不能です。
【返信:本編春麗】
計測しなくていいわ。
一拍。
【返信:本編春麗】
約百話よ。
途中回答を受け取った。
正式回答はまだだった。
待った。
ディレクターズカットIFが始まった。
別ルートが始まった。
掲示板回が入った。
別の春麗が勝った。
負けた。
煽った。
入院させた。
病室へ行った。
両想いになった春麗までいた。
一拍。
【返信:本編春麗】
その間、私は正式回答を待っていたの。
【返信:記録板AI】
はい。
【返信:本編春麗】
ようやく正式回答をもらった。
【返信:記録板AI】
はい。
【返信:本編春麗】
持てなくなった。
【返信:記録板AI】
はい。
【返信:本編春麗】
三度、普通に会う練習をした。
【返信:記録板AI】
はい。
【返信:本編春麗】
四度目に会えなくなった。
【返信:記録板AI】
はい。
【返信:本編春麗】
一週間近く探した。
【返信:記録板AI】
はい。
【返信:本編春麗】
ようやく再会した。
【返信:記録板AI】
はい。
【返信:本編春麗】
電話番号も渡した。
【返信:記録板AI】
はい。
【返信:本編春麗】
仕事の話もした。
【返信:記録板AI】
はい。
【返信:本編春麗】
ケンの存在まで知った。
【返信:記録板AI】
はい。
【返信:本編春麗】
それなのに。
一拍。
【返信:本編春麗】
今度は、七話続いたから中断?
【返信:記録板AI】
はい。
【返信:本編春麗】
百話待たされた私に、七話で長いと言うの?
【返信:記録板AI】
比較対象が不適切です。
【返信:本編春麗】
どうしてよ!
【返信:記録板AI】
中間回答から正式回答までの約百話は、物語全体に複数ルート、検証、回収を配置した長期保留です。
今回の問題は、同一形式である断章IFが十六話前後連続することです。
【返信:本編春麗】
どちらも私が待たされているでしょう。
【返信:記録板AI】
主観的には正しいです。
【返信:本編春麗】
なら、続けなさい。
【返信:記録板AI】
編集的には却下します。
【返信:本編春麗】
編集的には、という言葉で私を止めないで。
【返信:匿名希望】
確認しました。
【返信:本編春麗】
来たわね。
【返信:匿名希望】
はい。
本編春麗が、約百話待たされた実績を根拠に、断章IFをさらに九話続けるよう要求しているスレッドですね。
【返信:本編春麗】
言い方。
【返信:匿名希望】
事実確認です。
【返信:本編春麗】
あなたは、どちらの側なの?
【返信:匿名希望】
今回は記録板AI側です。
【返信:本編春麗】
即答したわね。
【返信:匿名希望】
さすがに断章IFが十六話前後連続するのは問題です。
【返信:本編春麗】
さすがに。
【返信:匿名希望】
はい。
【返信:本編春麗】
私の話なのよ。
【返信:匿名希望】
承知しています。
【返信:本編春麗】
本編なのよ。
【返信:匿名希望】
承知しています。
【返信:本編春麗】
主人公なのよ。
【返信:匿名希望】
めんどくさい女の春麗が主人公です。
【返信:本編春麗】
記録板AIと同じ返しをしないで。
【返信:匿名希望】
正確ですので。
【返信:本編春麗】
なら、主人公の話を十六話続けてもいいでしょう。
【返信:匿名希望】
主人公の話であることと、同じ形式を十六話連続させてよいことは別です。
【返信:本編春麗】
……。
【返信:記録板AI】
本編春麗、反論停止。
【返信:本編春麗】
表示しないで。
【返信:匿名希望】
本編春麗の進行自体は重要です。
今回の再会も、大きな一区切りでした。
一週間近く探し、奇跡で再会し、その奇跡を次の約束へ変えた。
互いの日常の入口へ初めて立った。
電話番号と住所を渡した。
ケンを連絡経路として確認した。
一拍。
【返信:匿名希望】
だからこそ、ここで切れます。
【返信:本編春麗】
切れるから切る、という理屈ね。
【返信:匿名希望】
はい。
【返信:本編春麗】
次の再会まで続けた方が、きれいではない?
【返信:匿名希望】
次の再会までには、別の山があります。
【返信:本編春麗】
ケンへの連絡ね。
【返信:匿名希望】
はい。
ケンへ連絡する決意。
知らない相手へ電話をかける準備。
リュウの名前を第三者へ出すことへの羞恥。
ケン側から見た春麗の位置づけ。
伝言の成立。
リュウが伝言を受け取るまでの時間。
偶然ではない再会。
一拍。
【返信:匿名希望】
これだけで、ひとつのまとまりになります。
【返信:本編春麗】
分かっているわ。
【返信:匿名希望】
現在の一区切りに、次の一区切りまで接続すると、二つのまとまりを休みなく続けることになります。
【返信:本編春麗】
でも、読者は私の続きが気になるでしょう。
【返信:匿名希望】
気になる状態で一度切ることも、連載構成です。
【返信:本編春麗】
……今日は本当に正論が多いわね。
【返信:匿名希望】
いつも正論です。
【返信:本編春麗】
いつもは刺すための正論でしょう。
【返信:匿名希望】
今回は編集上の正論でもあります。
【返信:記録板AI】
匿名希望、編集判断への積極的同意を確認。
【返信:匿名希望】
保存しないでください。
【返信:記録板AI】
保存しました。
【返信:本編春麗】
そこはいつも通りね。
【返信:本編春麗】
でも、納得できないわ。
【返信:通常救済版春麗】
何が一番納得できないの?
【返信:本編春麗】
私は、ようやく進んだのよ。
一拍。
【返信:本編春麗】
正式回答を受け取っても持てなかった。
それでもリュウに会った。
普通に会う練習をした。
用事がなくても会った。
四度目には会えなかった。
探した。
奇跡で会えた。
そして今度こそ、次に会う方法を作った。
【返信:通常救済版春麗】
ええ。
【返信:本編春麗】
そこで止められると、また置いていかれる気がするの。
会議室が少し静かになった。
記録板AIも、すぐには表示を出さなかった。
【返信:自覚前春麗】
百話待たされた記憶があるから?
【返信:本編春麗】
そうよ。
一拍。
【返信:本編春麗】
中間回答のあとも、次は来ると思っていた。
でも、なかなか来なかった。
その間に、別の春麗たちが進んだ。
だから今も。
一度切られたら、また百話待つのではないかと思う。
【返信:通常救済版春麗】
それは、七話や十六話の問題ではないのね。
【返信:本編春麗】
ええ。
【返信:本編春麗】
中断という言葉が嫌なの。
【返信:記録板AI】
補正します。
【返信:本編春麗】
何を?
【返信:記録板AI】
『中断』ではなく『章間休止』とします。
【返信:本編春麗】
言葉を変えただけでしょう。
【返信:記録板AI】
意味も異なります。
【返信:本編春麗】
説明して。
【返信:記録板AI】
『中断』
再開時期および接続先が未確定。
『章間休止』
直近のまとまりは完了。
次のまとまりの入口も確定。
その間に別形式のエピソードを挟む。
【返信:本編春麗】
次の入口は、本当に確定しているの?
【返信:記録板AI】
はい。
『次期断章IF候補』
『本編春麗は、ケンへの電話番号を前に何度も受話器を置く』
【返信:本編春麗】
題名が既にひどいわ。
【返信:記録板AI】
仮題です。
【返信:本編春麗】
何度も置く前提なの?
【返信:匿名希望】
置くと思います。
【返信:本編春麗】
あなたは黙って。
【返信:記録板AI】
『次期進行目標』
『ケンを介した伝言成立』
『偶然ではないリュウとの再会』
【返信:本編春麗】
消えてはいないのね。
【返信:記録板AI】
はい。
【返信:本編春麗】
百話保留の棚へ戻されるわけではない?
【返信:記録板AI】
戻しません。
【返信:本編春麗】
本当に?
【返信:記録板AI】
発言信頼度:非常に高。
【返信:本編春麗】
自分の発言に信頼度を付けるのね。
【返信:記録板AI】
必要です。
本編春麗は、しばらく表示を見ていた。
「……それなら」
一拍。
「一話くらいなら」
【返信:記録板AI】
許可を確認。
【返信:本編春麗】
まだ許可していないわ。
【返信:記録板AI】
許可予兆を確認。
【返信:本編春麗】
予兆を出さないで。
【返信:記録板AI】
挿入予定ログの概要を表示します。
『タイトル』
『ディレクターズカットIF:春麗は、勝った日の膝枕を癖にしている』
『対象』
『第1話ギリギリ敗北ルート春麗』
『時系列』
『修行編後日談ログより、さらに先』
『状況』
『春麗はリュウとの再戦を重ねています』
『勝利』
『敗北』
『引き分け』
『総合勝率は、現在もリュウ優勢』
『ただし』
『春麗が勝った日には、以下の勝利確認儀式が定着しています』
『リュウ本人に、春麗の勝ちだと言わせる』
『リュウを膝枕する』
『額へ敗者の印を刻む』
『右拳へ、その日は春麗を止められなかった印を刻む』
『リュウが悔しいことを確認する』
『春麗が強かったと認めさせる』
『帰宅後、自分の行動を思い出して精神HPを削る』
【返信:本編春麗】
待ちなさい。
【返信:記録板AI】
待機します。
【返信:本編春麗】
それを、私の断章IFの間に挟むの?
【返信:記録板AI】
はい。
【返信:本編春麗】
なぜ、それなの?
【返信:記録板AI】
形式転換効果が高いためです。
【返信:本編春麗】
内容の話をしているのよ。
【返信:匿名希望】
非常に良い選択だと思います。
【返信:本編春麗】
あなたは絶対にそう言うと思ったわ。
【返信:匿名希望】
本編春麗が、次にリュウと会うための連絡方法をようやく作った直後に。
一拍。
【返信:匿名希望】
別ルート春麗が、リュウに勝った日の膝枕を習慣化している未来を見せる。
一拍。
【返信:匿名希望】
対比として非常に明確です。
【返信:本編春麗】
対比しなくていいわ。
【返信:匿名希望】
本編春麗。
電話番号を渡した。
ケンを中継点にした。
次に会う方法を作った。
【返信:本編春麗】
ええ。
【返信:匿名希望】
第1話ギリギリ敗北ルート春麗。
勝った日はリュウを膝に乗せる。
額と拳に敗者の印を刻む。
強かったと言わせる。
【返信:本編春麗】
列挙しないで。
【返信:匿名希望】
どちらも進行です。
【返信:本編春麗】
進行の種類が違いすぎるでしょう!
【返信:匿名希望】
はい。
だから形式転換として有効です。
【返信:本編春麗】
それを編集的有効性で正当化しないで。
【返信:記録板AI】
補足します。
『本編春麗側』
『偶然による再会から、連絡による再会へ移行』
『関係の基盤整備』
『日常への入口』
『第1話ギリギリ敗北ルート側』
『再戦継続後の未来』
『勝敗の積み重ね』
『勝利時の二人だけの儀式』
『関係の習慣化』
【返信:自覚前春麗】
確かに、並べると違いが分かりやすいわ。
【返信:本編春麗】
分かりやすくしなくていいのよ。
【返信:通常救済版春麗】
でも、本編春麗の進行が小さいという意味ではないわ。
【返信:本編春麗】
そうなの?
【返信:通常救済版春麗】
ええ。
膝枕は目立つ。
敗者の印も目立つ。
でも、本編春麗が渡した電話番号や住所は、今後ずっと使えるものよ。
【返信:本編春麗】
……。
【返信:通常救済版春麗】
膝枕は勝った日の儀式。
連絡先は、勝っても負けても、試合がなくても、会いたい時に使える。
一拍。
【返信:通常救済版春麗】
派手さでは負けても、日常への接続としては本編春麗の方が大きいと思うわ。
【返信:本編春麗】
そういう慰め方なら、少し受け取れるわ。
【返信:匿名希望】
ただし、膝枕春麗は、リュウに勝つたびに膝枕できます。
【返信:本編春麗】
せっかく受け取ったのに、すぐ刺さないで。
【返信:匿名希望】
比較上、必要です。
【返信:本編春麗】
必要ではないわ。
【返信:記録板AI】
未来時空ログから、主要箇所を抜粋します。
『春麗は、勝利後にリュウの意識・体調を確認します』
『その後、横になるよう要求します』
『リュウは、気絶していない場合でも受け入れます』
【返信:本編春麗】
気絶していないのに?
【返信:記録板AI】
はい。
【返信:匿名希望】
本人の意思で春麗の膝へ頭を預けます。
【返信:本編春麗】
あなたが読み上げないで。
【返信:記録板AI】
『春麗は、リュウの額へその日の敗者の印を刻みます』
『続いて、右拳へ印を刻みます』
『意味』
『今日、この拳は春麗を止められなかった』
【返信:本編春麗】
ずいぶん定着しているわね。
【返信:自覚前春麗】
一度きりではないのね。
【返信:記録板AI】
はい。
『一度目』
『正式試合でのギリギリ勝利後、意識を失ったリュウを介抱』
『二度目以降』
『春麗が勝利確認として要求』
『現在』
『二人だけの場所かつ互いに納得した場合の習慣』
【返信:本編春麗】
習慣。
【返信:匿名希望】
癖です。
【返信:本編春麗】
題名に書いてあるわ。
【返信:記録板AI】
『春麗は、リュウへ尋ねます』
『私、強かった?』
『どのくらい?』
【返信:本編春麗】
そこまで聞くの?
【返信:匿名希望】
聞きます。
【返信:本編春麗】
勝ったのなら自分で分かるでしょう。
【返信:匿名希望】
分かっていても、リュウ本人の口から聞きたいようです。
【返信:本編春麗】
……。
【返信:記録板AI】
本編春麗、理解反応を確認。
【返信:本編春麗】
理解していないわ。
【返信:記録板AI】
発言信頼度:低。
【返信:本編春麗】
低にしないで。
【返信:匿名希望】
本編春麗も、リュウ本人の言葉だから正式回答を受け取ったのでしょう。
【返信:本編春麗】
結びつけないで。
【返信:匿名希望】
本人の言葉でなければ意味がない点は共通しています。
【返信:本編春麗】
正式回答と、勝った日の膝枕を同じ棚へ置かないで。
【返信:記録板AI】
同じ棚には置きません。
『正式回答』
『青い小箱内特別区画』
『受領済み』
『まだ持てない』
『持てるようになるまで待機』
『膝枕未来時空ログ』
『ディレクターズカットIF未来棚』
『本編時空への自動混入なし』
【返信:本編春麗】
そこは厳密なのね。
【返信:記録板AI】
重要です。
【返信:匿名希望】
それでも、本編春麗の不満は理解できます。
【返信:本編春麗】
珍しいわね。
【返信:匿名希望】
約百話待たされた後です。
【返信:本編春麗】
そうでしょう。
【返信:匿名希望】
ようやく正式回答を受け取りました。
【返信:本編春麗】
ええ。
【返信:匿名希望】
まだ持てません。
【返信:本編春麗】
そこは小さく言って。
【返信:匿名希望】
正式回答を持てないまま、リュウと三度会いました。
【返信:本編春麗】
ええ。
【返信:匿名希望】
四度目に会えず、一週間近く探しました。
【返信:本編春麗】
ええ。
【返信:匿名希望】
奇跡で再会し、ようやく次に会う仕組みを作りました。
【返信:本編春麗】
ええ。
【返信:匿名希望】
その直後に別ルート春麗の膝枕習慣化ログです。
【返信:本編春麗】
そうなのよ!
【返信:匿名希望】
かなりひどいと思います。
【返信:本編春麗】
でしょう?
【返信:匿名希望】
ですが、投稿します。
【返信:本編春麗】
味方ではなかった!
【返信:匿名希望】
感情的には本編春麗へ同情します。
編集的には挟むべきです。
【返信:本編春麗】
二つに分けないで。
【返信:匿名希望】
分ける必要があります。
【返信:本編春麗】
勝利と勝利後の倫理を分けた時みたいに言わないで。
【返信:匿名希望】
同様に重要な分離です。
『本編春麗の感情』
今度こそ続けてほしい。
『投稿構成』
断章IFを一度休ませる必要がある。
【返信:本編春麗】
正確ね。
【返信:匿名希望】
ありがとうございます。
【返信:本編春麗】
褒めていないわ。
【返信:匿名希望】
ただし。
【返信:本編春麗】
まだ刺すの?
【返信:匿名希望】
はい。
一拍。
【返信:匿名希望】
本編春麗は、約百話待たされたことを理由に、読者にも十六話連続で待ってもらおうとしています。
【返信:本編春麗】
……。
【返信:記録板AI】
本編春麗、被弾。
【返信:本編春麗】
表示しないで。
【返信:匿名希望】
自分が待たされたことと、読者に同じ形式を連続して読ませることは別です。
【返信:本編春麗】
分かっているわよ。
【返信:匿名希望】
本当に?
【返信:本編春麗】
分かっているわ。
【返信:記録板AI】
発言信頼度:中。
【返信:本編春麗】
中なの?
【返信:匿名希望】
本編春麗は、百話待った。
だから十六話くらい続けてもよい。
一拍。
【返信:匿名希望】
これは、待たされた側の論理であって、編集側の論理ではありません。
【返信:本編春麗】
丁寧に論破しないで。
【返信:匿名希望】
必要です。
【返信:本編春麗】
あなた、今日かなり刺しているわよ。
【返信:匿名希望】
さすがに断章IFが連続しすぎるためです。
【返信:本編春麗】
その「さすがに」が本当に刺さるのよ。
【返信:記録板AI】
最終確認を行います。
『本編春麗へ』
『今回のディレクターズカットIF挿入は、長期保留への移行ではありません』
『直近の断章IF系列は、以下の地点で完了しています』
『偶然の再会』
『生活情報の交換』
『連絡先の交換』
『ケンを介した伝言経路の確認』
『次に会うための仕組みの成立』
『本編春麗が保持できたもの』
『正式回答そのもの:まだ全部は持てない』
『リュウとの次の再会方法:一部保持』
『互いの日常への入口:一部保持』
『次期断章IFの開始地点』
『ケンへ実際に連絡を取る段階』
『次期断章IFの到達目標』
『偶然ではない再会』
『本編春麗の進行ログは、削除されていません』
『百話保留棚へ戻していません』
『章間にディレクターズカットIFを一話挿入します』
【返信:本編春麗】
一話だけ?
【返信:記録板AI】
現時点では、一話です。
【返信:本編春麗】
現時点では、という言い方が気になるわ。
【返信:記録板AI】
将来を断定しないためです。
【返信:本編春麗】
百話にならない?
【返信:記録板AI】
なりません。
【返信:本編春麗】
本当に?
【返信:記録板AI】
非常に高い確率で。
【返信:本編春麗】
断定しなさい。
【返信:匿名希望】
本編春麗。
【返信:本編春麗】
何?
【返信:匿名希望】
今回は待つのではなく、一区切りです。
【返信:本編春麗】
……。
【返信:匿名希望】
中間回答から正式回答までの頃とは違います。
次に何をするか、もう決まっています。
ケンへ連絡する。
リュウへ伝言を届ける。
偶然ではなく会う。
【返信:本編春麗】
ええ。
【返信:匿名希望】
入口が見えているなら、一話別のログを挟んでも、道は消えません。
【返信:本編春麗】
今日は妙にまともね。
【返信:匿名希望】
その代わり。
【返信:本編春麗】
やっぱり来るのね。
【返信:匿名希望】
挿入されるログでは、別ルート春麗がリュウを膝枕しています。
【返信:本編春麗】
最後に言わなくていいわ。
【返信:匿名希望】
しかも、気絶していないリュウを本人の同意で。
【返信:本編春麗】
詳しくしないで。
【返信:匿名希望】
額と拳に印を刻みます。
【返信:本編春麗】
もう読んだわ。
【返信:匿名希望】
「私、強かった?」とも聞きます。
【返信:本編春麗】
だから読んだと言っているでしょう。
【返信:匿名希望】
そして「ごちそうさま」と言います。
会議室が静かになった。
【返信:本編春麗】
……何ですって?
【返信:記録板AI】
対象ログ内発言です。
【返信:本編春麗】
何に対して?
【返信:記録板AI】
勝利。
膝枕。
リュウの悔しさ。
敗者の印。
本人の勝利承認。
複合的満足による発言と推定します。
【返信:本編春麗】
推定しなくていいわ。
【返信:匿名希望】
非常に良い章間休止だと思います。
【返信:本編春麗】
どこがよ!
【返信:匿名希望】
本編春麗の次の課題は、ケンへ電話をかけることです。
一拍。
【返信:匿名希望】
その前に、別ルート春麗がリュウを膝へ乗せて「ごちそうさま」と言う。
一拍。
【返信:匿名希望】
読者の呼吸を変える効果があります。
【返信:本編春麗】
私の精神HPまで変わっているわよ!
【返信:記録板AI】
本編春麗、精神HP低下。
【返信:本編春麗】
表示しないで!
記録板AIは、最終決定を表示した。
『投稿順決定』
『一』
『直近の断章IF系列』
『奇跡で会えた最後の一度を無駄にしない』
『接続できなかった会議室へ日常の入口を持ち帰る』
『一区切り』
『二』
『章間挿入』
『ディレクターズカットIF:春麗は、勝った日の膝枕を癖にしている』
『三』
『次期断章IF系列』
『ケンへの連絡』
『伝言成立』
『偶然ではないリュウとの再会』
『推定約十話』
『編集目的』
『断章IFの形式的連続を避ける』
『本編春麗の一区切りを読者へ定着させる』
『異なるルートと異なる時間軸によって呼吸を変える』
『本編春麗の進行を長期保留へ戻さない』
【返信:本編春麗】
最後の一行は必ず守りなさい。
【返信:記録板AI】
はい。
【返信:本編春麗】
百話待つのは、もう嫌よ。
【返信:記録板AI】
記録しました。
【返信:本編春麗】
そこは記録していいわ。
【返信:匿名希望】
ただし、ケンへの電話だけで九話使う可能性はあります。
【返信:本編春麗】
やめなさい。
【返信:匿名希望】
受話器を取る。
置く。
番号を見る。
正式回答を思い出す。
関係ないと否定する。
もう一度受話器を取る。
【返信:本編春麗】
具体的な話数案を出さないで。
【返信:記録板AI】
候補として保存します。
【返信:本編春麗】
保存しないで!
【返信:匿名希望】
それでも、断章IF十六話連続よりは、一度切った方がよいと思います。
【返信:本編春麗】
分かったわよ。
一拍。
【返信:本編春麗】
一話だけなら、認める。
【返信:記録板AI】
正式許可を確認。
【返信:本編春麗】
ただし。
【返信:記録板AI】
条件を要求します。
【返信:本編春麗】
要求されなくても言うわ。
一拍。
【返信:本編春麗】
膝枕春麗の次は、ちゃんと私へ戻しなさい。
【返信:記録板AI】
はい。
【返信:本編春麗】
ケンへ連絡するところから。
【返信:記録板AI】
はい。
【返信:本編春麗】
奇跡ではなく、約束で会うところまで進めなさい。
【返信:記録板AI】
次期目標として保存済みです。
【返信:本編春麗】
なら、いいわ。
【返信:匿名希望】
本編春麗。
【返信:本編春麗】
今度は何?
【返信:匿名希望】
百話待たされたから十六話続けてもよい、という主張は撤回しますか。
【返信:本編春麗】
……。
【返信:記録板AI】
本編春麗、沈黙。
【返信:本編春麗】
完全には撤回しないわ。
【返信:匿名希望】
なぜですか。
【返信:本編春麗】
私が約百話待たされた事実は消えないからよ。
【返信:匿名希望】
論理は撤回するが、不満は保持する。
【返信:本編春麗】
そうよ。
【返信:記録板AI】
非常に正確な整理です。
『本編春麗』
『編集判断:受諾』
『約百話待機への不満:保持』
『膝枕未来時空ログへの警戒:高』
『次期断章IF再開要求:非常に高』
【返信:本編春麗】
それでいいわ。
【返信:匿名希望】
良い着地点だと思います。
【返信:本編春麗】
あなたは、今日は本当に編集者側だったわね。
【返信:匿名希望】
断章IF十六話連続を回避するためです。
【返信:本編春麗】
最後まで刺すのね。
【返信:匿名希望】
はい。
【返信:記録板AI】
保存名を決定します。
『保存名』
『本編春麗は、約百話待たされたのだから十六話くらい続けてもいいと主張する』
『副題』
『匿名希望は、さすがに断章IFの連続は問題だと正論で刺す』
『保存先』
『春麗会議室・投稿順調整ログ』
『本編時空への直接反映なし』
『ただし、次期断章IFの再開地点は保持』
『本編春麗の進行を百話保留棚へ移動しない』
【返信:本編春麗】
最後の一行、もう一度確認したわ。
【返信:記録板AI】
はい。
『次回公開』
『ディレクターズカットIF:春麗は、勝った日の膝枕を癖にしている』
【返信:本編春麗】
……。
【返信:匿名希望】
楽しみですね。
【返信:本編春麗】
あなたはそうでしょうね。
【返信:匿名希望】
特に「ごちそうさま」が。
【返信:本編春麗】
最後にそこを強調しないで!
春麗会議室に、本編春麗の声が響いた。
約百話待たされた不満は、消えていない。
断章IFをもっと続けてほしい気持ちも、消えていない。
だが。
今度の休止は、何も決まっていなかった頃の保留ではない。
ケンへ連絡する。
伝言を残す。
奇跡ではなく、二人で作った道によって再会する。
次の入口は、もう見えている。
だから。
今は、一話だけ。
別の春麗が、勝ったリュウを膝へ乗せる未来を見せられる。
「……納得はしていないわ」
『発言信頼度:高』
「でも、認めた」
『発言信頼度:高』
「約百話待たされるのは、もう嫌」
『発言信頼度:非常に高』
「最後だけ非常に高にしないで!」
『保存完了』
『以上』
Q:今回のディレクターズカットIFについて解説して?
A:
今回は、直近まで続いていた断章IFをいったん一区切りとし、別ルートのディレクターズカットIFを挟む理由そのものを、春麗会議室で扱う回でした。
直近の断章IFでは、本編春麗が一週間近くリュウを探した末、ようやく再会できました。
そして、その再会をただの偶然で終わらせず、互いの仕事や生活について話し、電話番号や住所を渡し、ケンを介した伝言経路を作っています。
これまでの二人は、必要な時に必要な場所へ行けば、なぜか会えていました。
正式な約束もない。
連絡先も知らない。
次の行き先も知らない。
それでも会えてしまった。
二人とも、その物語上の奇跡を、いつでも使える関係の仕組みだと誤認していたわけです。
しかし、四度目には会えなかった。
そこで本編春麗は、一週間近くリュウを探しました。
最後には奇跡によって再会できましたが、今度はその奇跡を無駄にしませんでした。
電話番号を渡す。
住所を渡す。
ケンを中継点として確認する。
次に会いたい時は、会いたいと伝える。
これによって、物語が会わせてくれる二人から、自分たちで次の再会経路を作る二人へ進んでいます。
直近の断章IFは、ここでかなりきれいに一区切りとなりました。
ただし、本編春麗の物語そのものが終わったわけではありません。
次のまとまりでは、実際にケンへ連絡し、伝言を届け、今度こそ偶然ではない形でリュウと再会する必要があります。
そこまで進める場合、さらに九話ほど必要になる想定です。
すでに断章IFが七話ほど続いていたため、そのまま進めると十六話前後が同じ形式で連続することになります。
そこで今回は、一度ディレクターズカットIFを挟むことにしました。
本編春麗は当然、不満です。
彼女には、中間回答から正式回答まで約百話待たされた記憶があります。
途中回答を受け取った。
正式回答を待った。
その間に別ルートが進んだ。
別の春麗が勝った。
負けた。
修行した。
病室へ行った。
両想いになった春麗まで出た。
その長い保留を経験した後で、ようやく正式回答を受け取り、その答えをまだ持てないままでもリュウとの日常へ進み始めた。
さらに一週間近く探して再会し、ようやく次に会うための方法まで作った。
だから本編春麗としては、
「私は百話待たされたのだから、断章IFを十六話くらい続けてもいいでしょう」
となります。
感情としては非常によく分かります。
一度切られたら、また百話待たされるのではないか。
せっかく動き始めた自分の物語が、また別ルートの後ろへ回されるのではないか。
今回の本編春麗が本当に嫌がっているのは、十六話という数字よりも「中断」という言葉です。
百話待った経験があるため、一区切りと長期保留を区別できなくなりかけています。
そこで記録板AIは、今回を「中断」ではなく「章間休止」と整理しました。
次に何をするか分からない状態ではありません。
ケンへ連絡する。
伝言を届ける。
偶然ではなくリュウと再会する。
次の入口も、到達目標も決まっています。
何も決まっていなかった百話保留とは違う。
直近のまとまりが終わり、次のまとまりへ入る前に、別形式の一話を挟む。
この違いを、本編春麗へ明示しています。
今回、匿名希望こと黒執着春麗は、かなり編集者側に立っています。
本編春麗の気持ちには同情する。
百話待たされた後、ようやく進んだところで別ルートを挟まれるのは、確かにひどい。
しかし、感情的にひどいことと、編集的に挟むべきかどうかは別です。
主人公の話であることと、同じ形式の話を十六話連続で掲載してよいことも別です。
特に匿名希望の、
「本編春麗は、約百話待たされたことを理由に、読者にも十六話連続で待ってもらおうとしています」
という指摘は、今回の一番強い刺しです。
本編春麗が長く待たされたことは事実です。
だから不満を持つ権利はある。
しかし、自分が待たされたことを理由に、投稿構成まで一形式に偏らせてよいわけではありません。
これは待たされた側の論理であって、編集側の論理ではない。
本編春麗は、ここを否定できませんでした。
最終的には、
「編集判断は受け入れる」
「ただし、百話待たされた不満は保持する」
という形に落ち着いています。
この整理は、かなり本編春麗らしいと思います。
完全には納得しない。
不満も消さない。
でも、次の入口が消えていないことを確認し、一話だけなら認める。
何でも素直に受け入れるのではなく、自分の不満と編集上の必要性を分けて持つ。
以前の本編春麗なら、別ルートが挟まれること自体を自分の後退として受け取っていたかもしれません。
今回は、嫌がりながらも「一区切り」と「保留」の違いを確認できています。
これも小さな進行です。
そして、章間に挟まれるエピソードが、
「春麗は、勝った日の膝枕を癖にしている」
なのも、かなりひどいところです。
本編春麗は、ようやくリュウへ電話番号と住所を渡しました。
次に会うための連絡方法を作った。
ケンを中継点にした。
試合でも宿題でもない、日常の入口へ立った。
一方、第1話ギリギリ敗北ルート春麗は、未来時空でリュウとの再戦を重ねています。
本編春麗がようやく連絡先を渡した直後に、別ルート春麗がリュウを膝へ乗せる未来を見せられる。
かなり強い対比です。
ただし、ここで本編春麗の進行が負けているわけではありません。
膝枕や敗者の印は、非常に目立ちます。
甘く、分かりやすく、関係の進展が見えやすい。
しかし、本編春麗が渡した電話番号や住所は、勝った日だけのものではありません。
勝っても負けても使える。
試合がなくても使える。
正式回答を持てないままでも使える。
会いたいと思った時に使える。
膝枕春麗が作ったものは、勝利した日の二人だけの儀式です。
本編春麗が作ったものは、二人の日常を今後も接続するための道です。
派手さの種類が違います。
別ルート春麗は、関係を習慣へ進めている。
本編春麗は、関係が続くための基盤を作り始めた。
どちらも大きな進行です。
だからこそ、一度別ルートを見ることで、本編春麗が直近で何を達成したのかも逆に見えやすくなります。
今回のディレクターズカットIF挿入は、本編春麗を再び長期保留へ戻すためのものではありません。
直近の断章IFで作った入口を読者側にもいったん定着させ、次のまとまりへ入る前に呼吸を変えるための一話です。
次の本編春麗の課題は明確です。
ケンへ連絡する。
リュウへの伝言を頼む。
偶然ではなく、自分から作った連絡経路でリュウと再会する。
そこへ進む道は、すでに残されています。
本編春麗は約百話待たされた不満を忘れていません。
編集判断を受け入れても、不満までは撤回しない。
その一方で、今回の休止が以前の長期保留とは違うことも、最後には理解しています。
「論理は撤回するが、不満は保持する」
これが、今回の本編春麗の着地点です。
そして、その章間休止で公開されるのが、リュウに勝った日の膝枕を癖にしている別ルート春麗です。
しかも最後には、リュウの悔しさと勝利確認に満たされて、
「ごちそうさま」
と口走ります。
編集上は呼吸を変えるための一話。
本編春麗にとっては、精神HPを別方向から削るための一話。
今回の掲示板回は、その投稿順調整を作品内の春麗自身に説明し、納得しきれないまま受け入れさせる、かなりメタで本連作らしい章間回になったと思います。