また戦ってくれなんて言わないで ――春麗は今日もめんどくさい―― 作:エーアイ
本編のIFシリーズは無関係のエピソードとなります。
記録板AIは、白い外部メタ領域に表示を出した。
『本記録はディレクターズカットIFです。』
『本編確定ログではなく、春麗会議室掲示板における外部整理ログとして扱われ、本編時空へ直接反映されません』
『前回掲示板では、本編春麗による匿名希望へのログ比較型刺突が大成功しています。』
『匿名希望の精神HP被害は中。』
『本日の発言意欲は非常に高く、報復性については──』
【返信:本編春麗】
待って。
【返信:記録板AI】
『はい』
【返信:本編春麗】
最後、なぜ判定を止めたの?
【返信:記録板AI】
『本人確認を推奨します』
【返信:本編春麗】
嫌な予感がする。
【返信:記録板AI】
『スレッドを開始します』
【返信:本編春麗】
待ちなさい!
春麗会議室掲示板。
その日、一つの新しいスレッドが立った。
【カテゴリ:正式回答後・試合再開】
【スレッド名:本編春麗は、一試合申し込むためにどこまで内部手続きが必要だったのか】
【スレ主:記録板AI】
本文。
本スレッドでは、本編春麗が正式回答後、リュウとの試合を「会うための口実」から切り離し、純粋な試合として再開することに成功した過程を検証します。
なお、本編春麗の行動評価はすでに確定しています。
今回の掲示板上の分析によって、
「会いたいから会う」
「戦いたいから戦う」
「一方を他方の口実にしない」
「勝敗へ関係全体の答えを預けない」
という成果は取り消されません。
『試合申込:成功』
『リュウ:受諾』
『成果評価:高』
【返信:本編春麗】
最初から成果評価が高と明記されている。
【返信:記録板AI】
『はい』
【返信:本編春麗】
なら、今日は安全なスレッドね。
【返信:自覚前春麗】
どうかしら。
【返信:本編春麗】
何よ。
【返信:通常救済版春麗】
スレッド名。見た?
【返信:本編春麗】
……。
【返信:行き遅れに恐怖する春麗】
「一試合申し込むためにどこまで内部手続きが必要だったのか」
【返信:本編春麗】
記録板AI。
【返信:記録板AI】
『はい』
【返信:本編春麗】
誰がこのスレッド名を提案したの?
【返信:記録板AI】
『匿名希望』
【返信:本編春麗】
やっぱり!
【返信:記録板AI】
『匿名希望、接続確認』
【返信:本編春麗】
帰って!
【返信:匿名希望】
まだ、一言も申し上げていません。
【返信:本編春麗】
スレッド名の時点でもう刺しているでしょう!
【返信:匿名希望】
事実確認です。
【返信:本編春麗】
その言葉! 前回、私があなたへ使ったでしょう!
【返信:匿名希望】
はい。
【返信:本編春麗】
絶対、前回のこと根に持っているでしょう!
【返信:匿名希望】
いいえ。
【返信:記録板AI】
『発言信頼度:低』
【返信:本編春麗】
ほら!
【返信:匿名希望】
記録板AI。判定基準へ異議を申し立てます。
【返信:記録板AI】
『却下』
【返信:本編春麗】
今日はまだ何もされていないのに、少し楽しい。
【返信:匿名希望】
では、始めてもよろしいでしょうか。
【返信:本編春麗】
やっぱり帰って。
【返信:匿名希望】
まず、本編春麗。
【返信:本編春麗】
何?
【返信:匿名希望】
試合の申込み。成功、おめでとうございます。
【返信:本編春麗】
……。
【返信:匿名希望】
リュウ本人へ「あなたと試合がしたい」と直接言えました。しかも今回は、会うための口実ではありません。
【返信:本編春麗】
ええ。
【返信:匿名希望】
「私はあなたに会いたい。それとは別に、あなたと戦いたい」
両方を本人へ明示しました。
【返信:本編春麗】
ええ。
【返信:匿名希望】
非常に大きな進展だと思います。
【返信:本編春麗】
……ありがとう。
【返信:匿名希望】
以上、成果評価です。
【返信:本編春麗】
以上?
【返信:匿名希望】
はい。
【返信:本編春麗】
では、終わり?
【返信:匿名希望】
いいえ。
【返信:本編春麗】
でしょうね!
【返信:匿名希望】
ここから過程を確認します。
【返信:本編春麗】
確認しなくていい!
【返信:匿名希望】
前回、本編春麗も私の過程を非常に丁寧に確認しましたので。
【返信:本編春麗】
根に持っているでしょう!
【返信:匿名希望】
いいえ。
【返信:記録板AI】
『発言信頼度:低』
【返信:本編春麗】
二回目!
【返信:匿名希望】
では、試合申込へ至るまでの過程を整理します。
まず本編春麗は、リュウと試合なしで普通に会いました。午後一時、中央広場。到着は八分前。
【返信:本編春麗】
前回の四十八分前より、かなり普通でしょう。
【返信:匿名希望】
はい。進歩です。
【返信:本編春麗】
そこは素直に認めるのね。
【返信:匿名希望】
事実ですので。
【返信:本編春麗】
続けて。
【返信:匿名希望】
街を歩き、市場へ行き、昼食を食べて、公園へ行った。試合なし。
正式回答の話なし。重大な用件もなし。それでも楽しかった。
【返信:本編春麗】
ええ。
【返信:匿名希望】
ここまで、本編春麗はかなり優秀です。
【返信:本編春麗】
……。
【返信:匿名希望】
何でしょうか。
【返信:本編春麗】
怖い。
【返信:匿名希望】
まだ褒めています。
【返信:本編春麗】
その「ここまで」が怖いのよ!
【返信:匿名希望】
では、続けます。
【返信:本編春麗】
やっぱり!
【返信:匿名希望】
公園で、リュウが転びかけた子供を一歩出て受け止めました。
【返信:本編春麗】
ええ。
【返信:匿名希望】
本編春麗はそれを見て、右足、重心、腰、肩、間合い、どこへ蹴りを入れるかを考え始めました。
【返信:本編春麗】
格闘家なのだから普通でしょう!
【返信:匿名希望】
はい。
【返信:本編春麗】
認めるの?
【返信:匿名希望】
認めます。
【返信:本編春麗】
では。
【返信:匿名希望】
その後、本編春麗は一晩悩みました。
【返信:本編春麗】
……。
【返信:匿名希望】
「試合をしなくても楽しかった」
「試合をしなくても会いたい」
「それでも戦いたい」
三行、書きました。
【返信:本編春麗】
必要な整理よ。
【返信:匿名希望】
はい。必要だったと思います。
【返信:本編春麗】
では。
【返信:匿名希望】
さらに紙へ縦線を一本引き、左に『リュウに会いたい』、右に『リュウと戦いたい』と分けました。
【返信:本編春麗】
整理しただけでしょう!
【返信:匿名希望】
はい。
【返信:本編春麗】
何が問題なのよ!
【返信:匿名希望】
まだ、問題とは申し上げていません。
【返信:本編春麗】
言い方が完全に刺す前なのよ!
【返信:匿名希望】
続いて翌日。本編春麗は春麗会議室へ接続しました。
【返信:本編春麗】
ええ。
【返信:匿名希望】
議題は、「会いたいと戦いたいを、同時に持っていてよいのか」。
記録板AIは両立可能と判定しました。
【返信:本編春麗】
ええ。
【返信:匿名希望】
その後、本編春麗は新しい運用規則を四つ作成しました。
『一、会いたいから会う』
『二、戦いたいから戦う』
『三、一方を他方の口実として使用しない』
『四、試合結果を関係継続条件として使用しない』
【返信:本編春麗】
必要でしょう!
【返信:匿名希望】
必要だったと思います。
【返信:本編春麗】
なら!
【返信:匿名希望】
ここまで、試合は一試合も申し込んでいません。
【返信:本編春麗】
……。
【返信:匿名希望】
格闘家が格闘家へ「戦いたい」と申し込む前に、一晩自己分析。
紙へ三行。
左右分割。
春麗会議室へ接続。
複数春麗による審議。
記録板AI判定。
運用規則四項目。
仮登録。
非常に豊かな試合申込準備過程ですね。
【返信:本編春麗】
出た!
【返信:匿名希望】
何がでしょうか。
【返信:本編春麗】
「豊かな学習過程ですね」って、前にもあなたが私をそれで刺したでしょう!
【返信:匿名希望】
覚えていたのですね。
【返信:本編春麗】
忘れるわけないでしょう!
涙目にされたのよ!
【返信:匿名希望】
今回は「学習過程」ではなく、
「試合申込準備過程」です。
【返信:本編春麗】
言い換えただけでしょう!
【返信:匿名希望】
対象が異なりますので。
【返信:本編春麗】
絶対、前回のことを根に持ちながら昔の刺し方まで持ち出しているでしょう!
【返信:匿名希望】
偶然です。
【返信:記録板AI】
『発言信頼度:非常に低』
【返信:本編春麗】
ほら!
【返信:匿名希望】
記録板AI。今日は判定が私に厳しくありませんか。
【返信:記録板AI】
『前回ログとの語彙一致率:高』
【返信:本編春麗】
絶対、前回のこと根に持っているでしょう!
【返信:匿名希望】
少しだけです。
【返信:本編春麗】
認めた!
【返信:自覚前春麗】
認めたわね。
【返信:通常救済版春麗】
今回はかなり早かったわね。
【返信:行き遅れに恐怖する春麗】
黒い。
【返信:匿名希望】
匿名希望ですので。
【返信:本編春麗】
そこを万能回答にしないで!
【返信:匿名希望】
ただし、ここまではまだ前菜です。
【返信:本編春麗】
前菜!?
【返信:匿名希望】
はい。
【返信:本編春麗】
十分、刺されているのだけれど!
【返信:記録板AI】
『本編春麗、精神HP:軽度減少』
【返信:本編春麗】
まだ軽度?
【返信:匿名希望】
第二の確認です。
【返信:本編春麗】
聞きたくない。
【返信:匿名希望】
本編春麗は数日後、リュウ本人へ「あなたと試合がしたい」と申し込みました。
【返信:本編春麗】
ええ。
【返信:匿名希望】
思っていたより簡単に言えました。
【返信:本編春麗】
ええ。
【返信:匿名希望】
するとリュウは、何と聞きましたか。
【返信:本編春麗】
……。
【返信:匿名希望】
「会うためか?」
【返信:本編春麗】
……。
【返信:匿名希望】
本編春麗は何日も、自分の中で「試合を会うための口実へ戻してしまわないか」と考えました。
【返信:本編春麗】
ええ。
【返信:匿名希望】
リュウ。試合を申し込まれて、一問。
「会うためか?」
【返信:本編春麗】
……。
【返信:匿名希望】
核心、即時到達。
【返信:本編春麗】
言い方!
【返信:匿名希望】
本編春麗が紙、左右分割、会議室、四つの運用規則を経て整理した問題を、リュウは一問で確認しました。
【返信:本編春麗】
分かっている!
【返信:匿名希望】
「会うためか?」
【返信:本編春麗】
三回言わなくていい!
【返信:匿名希望】
重要ですので。
【返信:本編春麗】
あなた、絶対楽しんでいるでしょう!
【返信:匿名希望】
いいえ。
【返信:記録板AI】
『発言信頼度:最低』
【返信:本編春麗】
最低になった!
【返信:匿名希望】
記録板AI。抗議します。
【返信:記録板AI】
『却下』
【返信:本編春麗】
今のところ、私、記録板AIにかなり助けられている。
【返信:匿名希望】
前回、本編春麗が記録板AIを砲台として使用したため、今日は公平に動いているだけだと思います。
【返信:本編春麗】
やっぱり根に持っているでしょう!
【返信:匿名希望】
ただし、本編春麗。ここは非常によかったと思います。
【返信:本編春麗】
どこ?
【返信:匿名希望】
リュウから「会うためか?」と聞かれた時、本編春麗は「違う」と即答しました。
回答遅延なし。「今回は違う」と明言したうえで、
「私はあなたに会いたい」
「それとは別に、あなたと戦いたい」
両方を本人へ伝えた。
【返信:本編春麗】
ええ。
【返信:匿名希望】
これは以前の本編春麗にはできなかったことです。
会いたいという気持ちを試合の中へ隠さず、戦いたいという気持ちを恋愛感情の偽物にもしなかった。
どちらも自分の言葉としてリュウへ渡しました。
そこは完全に、本編春麗の成果です。
【返信:本編春麗】
……ありがとう。
【返信:匿名希望】
準備に非常に時間がかかりましたが。
【返信:本編春麗】
最後!
【返信:匿名希望】
評価項目は分離してください。
【返信:本編春麗】
その言い方まで私の運用規則を使わないで!
【返信:匿名希望】
第三の確認です。
【返信:本編春麗】
まだあるの!?
【返信:匿名希望】
本編春麗の説明を聞いたあと、リュウは何と答えましたか。
【返信:本編春麗】
「分かった」
【返信:匿名希望】
その後。
【返信:本編春麗】
「俺も戦いたい」
【返信:匿名希望】
はい。リュウは「俺も戦いたい」と明言しました。
そこで本編春麗。
【返信:本編春麗】
……。
【返信:匿名希望】
「本当に?」
【返信:本編春麗】
……。
【返信:匿名希望】
リュウ。
「ああ」
【返信:本編春麗】
大事なところでしょう。
【返信:匿名希望】
続いて。
「私が申し込んだから、付き合うという意味ではなく?」
リュウ。
「ああ」
「あなたも?」
「ああ」
「私と?」
「ああ」
「戦いたい?」
「ああ」
【返信:本編春麗】
全部再現しなくていい!
【返信:記録板AI】
『確認回数:五』
【返信:本編春麗】
数えないで!
【返信:匿名希望】
リュウから「俺も戦いたい」と明確に言われたあと、本編春麗は五段階確認。
【返信:本編春麗】
五段階確認と言わないで!
【返信:匿名希望】
非常に丁寧ですね。
【返信:本編春麗】
大事だったのよ!
あなたもそこは分かるでしょう!
【返信:匿名希望】
分かります。
【返信:本編春麗】
なら!
【返信:匿名希望】
分かることと、面白いことは両立します。
【返信:本編春麗】
やっぱり楽しんでいるでしょう!
【返信:匿名希望】
少しだけです。
【返信:本編春麗】
また認めた!
【返信:匿名希望】
前回、本編春麗も私へ「仕事場から出ただけでしょう!」と、非常に楽しそうに何度も確認していました。
【返信:本編春麗】
あれは本当に仕事場から出ただけだったでしょう!
【返信:匿名希望】
はい。
【返信:本編春麗】
だから!
【返信:匿名希望】
今回は本当に五回確認しました。
【返信:本編春麗】
絶対、根に持っているでしょう!!
【返信:匿名希望】
はい。
【返信:本編春麗】
今度は即答した!
【返信:匿名希望】
先ほど、すでに認めましたので。
【返信:通常救済版春麗】
本編春麗。でも、リュウも少し面白かったのでは?
【返信:本編春麗】
何が?
【返信:通常救済版春麗】
「何度も聞いた」って言っている。
【返信:本編春麗】
……。
【返信:自覚前春麗】
気づいていたのね。
【返信:本編春麗】
……。
【返信:匿名希望】
リュウ本人からも、確認回数について指摘済みです。
【返信:本編春麗】
追加で刺さないで!
【返信:記録板AI】
『本編春麗、精神HP:中度減少』
【返信:本編春麗】
まだ中度。
【返信:匿名希望】
安心してください。
【返信:本編春麗】
何を?
【返信:匿名希望】
まだ第四の確認があります。
【返信:本編春麗】
安心できる要素がない!
【返信:匿名希望】
試合申込。
リュウ受諾。
双方が「戦いたい」と確認。
そこでリュウは、ごく自然に聞きました。
「いつにする」
【返信:本編春麗】
ええ。
【返信:匿名希望】
試合をするなら、日程を決める。
普通の流れです。
ところが本編春麗。
「待って」
「今日は、そこまで決めない」
【返信:本編春麗】
必要だったのよ!
【返信:匿名希望】
日程、場所、ルール、試合後のこと。
それらを一度に決めず、次の連絡へ回しました。
【返信:本編春麗】
ええ。
【返信:匿名希望】
つまり、本編春麗は数日かけて試合を申し込み、リュウは受諾。
日程を決めようとしたところで本編春麗が止めた。
試合申込は成立。
日程は未成立。
【返信:本編春麗】
だから何よ!
【返信:匿名希望】
試合を申し込むために数日。
試合の日程はまた次回。
【返信:本編春麗】
そこだけ切り取らないで!
【返信:匿名希望】
事実関係です。
【返信:本編春麗】
あなた、前回の私の「仕事場から出ただけ」攻撃を完全に真似しているでしょう!
【返信:匿名希望】
学習しました。
【返信:本編春麗】
学習しないで!
【返信:匿名希望】
豊かな学習過程でした。
【返信:本編春麗】
腹が立つ!
【返信:自覚前春麗】
でも本編春麗。日程をその場で決めなかったのは、かなり進歩では?
【返信:匿名希望】
はい。
【返信:本編春麗】
匿名希望が先に認めた。
【返信:匿名希望】
そこは本当に大きな進歩です。
【返信:本編春麗】
どういう意味?
【返信:匿名希望】
以前なら、リュウが翌朝旅へ出る。次にいつ会えるか分からない。
そうなれば、その場で日程、場所、ルール、次の約束まで、可能な限り確保しようとしたはずです。
【返信:本編春麗】
……ええ。
【返信:匿名希望】
今回は「次に連絡を取った時に決める」と普通に言えました。
試合の日程を今日持ち帰らなくても、次が消えないと信じられた。
リュウが街を出ても関係が消えるわけではない。
連絡できる。また次を作れる。
そこは以前の本編春麗と、かなり違います。
【返信:本編春麗】
……ありがとう。
【返信:匿名希望】
ただし。
【返信:本編春麗】
もう!
【返信:匿名希望】
日程をその日に決めなくても平気になったのに、試合を申し込む前の内部審議だけは二日以上。
【返信:本編春麗】
比較するな!
【返信:匿名希望】
時間配分が独特ですね。
【返信:本編春麗】
絶対、前回のこと根に持っているでしょう!
【返信:匿名希望】
はい。
【返信:本編春麗】
もう否定すらしない!
【返信:匿名希望】
では、第五の確認です。これが本日の主菜です。
【返信:本編春麗】
さっき前菜って言ったでしょう。いつまで食事が続くのよ!
【返信:匿名希望】
リュウとの正式回答について。
【返信:本編春麗】
……。
【返信:匿名希望】
本編春麗は、今回の試合と正式回答を混ぜないために非常に慎重に考えました。
勝っても正式回答を持てるようになったことにはしない。
試合へ正式回答を持ち込まない。
【返信:本編春麗】
ええ。大事だからでしょう。
【返信:匿名希望】
はい。
【返信:本編春麗】
今度こそ完全同意?
【返信:匿名希望】
はい。そして、それをリュウへ確認しました。
【返信:本編春麗】
……。
【返信:匿名希望】
「今回の試合、正式回答とは関係ないから」
リュウ。
「ああ」
「試合で何か確認しようとしないで」
リュウ。
「何を」
「私が正式回答を持てるようになったか、とか」
リュウ。
「しない」
【返信:本編春麗】
……。
【返信:匿名希望】
即答。
【返信:本編春麗】
……。
【返信:匿名希望】
本編春麗。
「本当に?」
リュウ。
「ああ」
「なぜ?」
リュウ。
「春麗が、まだ持てないと言っている。なら、試合とは別だ」
【返信:本編春麗】
……。
【返信:匿名希望】
以上です。
【返信:本編春麗】
……。
【返信:匿名希望】
本編春麗。何日考えましたか。
【返信:本編春麗】
聞かないで。
【返信:匿名希望】
リュウ。一言。
「別の話だからな」
【返信:本編春麗】
分かっている!
【返信:匿名希望】
本編春麗が複数日、紙、会議室、運用規則、自己分析を使って分離したものを、リュウは「別の話だからな」。
【返信:本編春麗】
もう言わないで!
【返信:匿名希望】
非常に簡潔ですね。
【返信:本編春麗】
涙が出てきたのだけれど!
【返信:記録板AI】
『本編春麗、涙目確認』
【返信:本編春麗】
確認しなくていい!
【返信:匿名希望】
前回、本編春麗も私へ「仕事場から出ただけ」と非常に簡潔にまとめました。
【返信:本編春麗】
絶対、前回のこと根に持っているでしょう!!
【返信:匿名希望】
はい。かなり。
【返信:本編春麗】
かなりまで認めた!!
【返信:通常救済版春麗】
匿名希望。そろそろ本編春麗、かなり涙目よ。
【返信:匿名希望】
確認しています。
【返信:本編春麗】
確認しないで!
【返信:通常救済版春麗】
もう逆襲としては十分では?
【返信:匿名希望】
まだ一点あります。
【返信:本編春麗】
あるの!?
【返信:匿名希望】
あります。
【返信:本編春麗】
何よ!
【返信:匿名希望】
本編春麗は最後に、リュウへ「また連絡を取りましょう」と言いました。
【返信:本編春麗】
ええ。
【返信:匿名希望】
「試合の日程を決めるために」
【返信:本編春麗】
ええ。
【返信:匿名希望】
その後。
「それ以外でも」
【返信:本編春麗】
……ええ。
【返信:匿名希望】
ここは非常によかったと思います。
【返信:本編春麗】
え?
【返信:匿名希望】
試合を再開する。
しかし、次に連絡する理由を試合だけにはしない。
試合の日程を決めるためにも連絡する。
それとは別に、会いたくなったら連絡してもよい。
リュウも「会いたくなったら、連絡すればいい」と答えた。
【返信:本編春麗】
ええ。
【返信:匿名希望】
ここまで、本編春麗はちゃんとできています。
ですから今日、私がどれだけ過程を刺しても結果は変わりません。
会いたい──伝達済み。
戦いたい──伝達済み。
試合申込──成立。
リュウから「俺も戦いたい」──確認済み。
正式回答──試合と分離。
次回連絡──可能。
そしてリュウが旅へ出ても、以前のような「次が消える」という恐怖は大幅に減っています。
大きな進歩です。
【返信:本編春麗】
……ありがとう。
【返信:匿名希望】
非常にめんどくさい進歩ですが。
【返信:本編春麗】
最後まで普通に褒められないの!?
【返信:匿名希望】
本編春麗ですので。
【返信:記録板AI】
『匿名希望、本日の刺突:最大』
【返信:本編春麗】
最大!?
【返信:自覚前春麗】
本編春麗。反論はしないの?
【返信:本編春麗】
するわよ!
私はやることを全部やったでしょう!
【返信:匿名希望】
はい。
【返信:本編春麗】
試合をしなくても、リュウと一緒にいられると確認した!
【返信:匿名希望】
はい。
【返信:本編春麗】
会いたいと本人へ言った!
戦いたいとも本人へ言った!
その二つを混ぜなかった!
【返信:匿名希望】
はい。
【返信:本編春麗】
リュウから「会うためか?」と核心を突かれても、逃げずに「違う」と即答した!
【返信:匿名希望】
はい。
【返信:本編春麗】
正式回答も勝敗も混ぜないと本人と確認した!
試合の日程をその場で無理に確保しなかった!
リュウが旅へ出ても、また連絡できると思えた!
試合以外でもまた連絡すると言った!
【返信:匿名希望】
はい。
【返信:本編春麗】
なら、いいでしょう!
【返信:匿名希望】
はい。
【返信:本編春麗】
……。
【返信:匿名希望】
全部、正しいです。
本編春麗、今回やることは全部やっています。
【返信:本編春麗】
……でしょう?
【返信:匿名希望】
はい。
【返信:本編春麗】
では、なぜこんなに涙目にされているの?
【返信:匿名希望】
過程があまりにも本編春麗だからです。
【返信:本編春麗】
何よそれ!
【返信:匿名希望】
一試合申し込む。
その前に、自分の感情を三分類。
紙を左右へ分割。
会議室で審議。
運用規則を四項目作成。
本人へ説明し、相手の意思を五回確認する。
日程決定は後日に回し、正式回答との分離を再確認。
最後に試合以外でも連絡すると追加明示。
成果は満点級。
過程は非常にめんどくさい。
【返信:本編春麗】
タイトルに戻った!
【返信:匿名希望】
作品タイトルとの整合性も高いです。
【返信:本編春麗】
そこまで刺さなくていい!
【返信:行き遅れに恐怖する春麗】
でも、私は少し安心した。
【返信:本編春麗】
何が?
【返信:行き遅れに恐怖する春麗】
リュウ、旅へ出たのよね。
【返信:本編春麗】
ええ。
【返信:行き遅れに恐怖する春麗】
次にいつ会えるかも、試合の日程も、まだ決まっていない。
それでも今の本編春麗は、そこまで取り乱していない。
【返信:本編春麗】
……。
【返信:行き遅れに恐怖する春麗】
次はあると思えている。それ、かなり大きいと思う。
【返信:本編春麗】
……そうね。
【返信:匿名希望】
同意します。
【返信:本編春麗】
今日はあなたが同意すると、次の刃を探してしまう。
【返信:匿名希望】
もう大きな刃はありません。
【返信:本編春麗】
大きな?
【返信:匿名希望】
小さいものなら。
【返信:本編春麗】
いらない!
【返信:記録板AI】
『ここまでの議論を整理します。』
『本編春麗は、リュウとの試合を介さない日常接触を成立させたうえで、純粋な試合としての申込みにも成功しています。』
『試合日程をその場で確保せず後日の連絡へ回せたことからも、「今日すべてを決めなければ次が消える」という不安は以前より大きく低下しています』
『また、リュウは今回の試合と正式回答を即座に別の問題として扱いました。』
『本編春麗自身が複数日の自己分析を必要とした点について、匿名希望から比較上の指摘がありました』
【返信:本編春麗】
そこ! もう一回刺しているでしょう!
【返信:匿名希望】
記録板AIです。
【返信:本編春麗】
あなたが入れさせたのでしょう!
【返信:記録板AI】
『匿名希望から整理項目の提案がありました』
【返信:本編春麗】
ほら!
【返信:匿名希望】
事実ですので。
【返信:記録板AI】
『なお、匿名希望は前回掲示板での被弾を一部保持したまま今回の議論へ参加しており、逆襲は成立したと判定します。』
『本編春麗は涙目ですが、行動評価に変更はありません。』
『今回確認された成果はすべて維持され、リュウとの試合再開も決定済みです』
【返信:本編春麗】
正式に逆襲認定された!
【返信:匿名希望】
ありがとうございます。
【返信:本編春麗】
お礼を言うな!
【返信:本編春麗】
匿名希望。最後に一つ。
【返信:匿名希望】
どうぞ。
【返信:本編春麗】
今回、私あなたにかなり刺された。
【返信:匿名希望】
はい。
【返信:本編春麗】
涙目にもされた。
【返信:匿名希望】
はい。
【返信:本編春麗】
でも、私がちゃんと試合を申し込んだことは消えない。
【返信:匿名希望】
消えません。
【返信:本編春麗】
会いたいも言った。
戦いたいも言った。
リュウも両方受け取った。
試合も受けた。
正式回答とも混ぜなかった。
リュウが旅へ出ても、今は前ほど怖くない。
【返信:匿名希望】
はい。
【返信:本編春麗】
なら、今回は私の勝ちでもいいでしょう?
【返信:匿名希望】
何に対する勝ちでしょうか?
【返信:本編春麗】
自分に対してよ!
【返信:匿名希望】
それなら異議ありません。
【返信:本編春麗】
……。
【返信:匿名希望】
ただし、掲示板上の本日の攻防については私の優勢で。
【返信:本編春麗】
言わなくていい!
【返信:記録板AI】
『掲示板上の攻防は、匿名希望優勢と判定します』
【返信:本編春麗】
記録板AI!
【返信:匿名希望】
勝敗に関係全体の答えを預けないのでしょう?
【返信:本編春麗】
……。
【返信:匿名希望】
掲示板で私に負けても、本編春麗の成果は変わりません。
【返信:本編春麗】
……。
【返信:匿名希望】
運用規則、早速使用できていますね。
【返信:本編春麗】
そこで私の新しい決まりを使って刺すな!!
【返信:自覚前春麗】
綺麗に戻ってきた。
【返信:通常救済版春麗】
匿名希望、今日は強いわね。
【返信:行き遅れに恐怖する春麗】
前回、相当悔しかったのね。
【返信:匿名希望】
……。
【返信:本編春麗】
ほら! 黙った!
絶対、前回のこと根に持っているでしょう!?
【返信:匿名希望】
……少し。
【返信:本編春麗】
最初より正直になった!
【返信:匿名希望】
ですが、本編春麗。
【返信:本編春麗】
何よ。
【返信:匿名希望】
前回。
「私は一週間探しました」
「匿名希望は仕事場から出ました」
と、副題にまで保存しましたよね。
【返信:本編春麗】
……。
【返信:匿名希望】
事実関係は変わらないのでしょう?
【返信:本編春麗】
……。
【返信:匿名希望】
前回は「匿名希望は仕事場から出ました」。
今回は「本編春麗は一試合申し込むために四つの運用規則を作りました」。
【返信:本編春麗】
やめなさい!
【返信:匿名希望】
事実関係は。
【返信:本編春麗】
変わらないわよ! 変わらないけれど、保存名にはするな!
【返信:記録板AI】
『保存名候補:匿名希望は、一試合申し込むために四つの運用規則を作った本編春麗へ逆襲する』
【返信:本編春麗】
もうタイトルになっている!
【返信:匿名希望】
よいと思います。
【返信:本編春麗】
あなたが一番気に入っているでしょう!
【返信:記録板AI】
『保存名、確定』
【返信:本編春麗】
確定するな!
記録板AIは、白い外部メタ領域へ最後の表示を出した。
『ディレクターズカットIF掲示板検証を終了します』
『本編春麗は、一試合を申し込むために非常に多くの内部手続きを必要としました。』
『しかし、その過程を通じて「会いたい」「戦いたい」「正式回答」「勝敗」を別々のものとして扱い、その区別を初めてリュウ本人へ自分の言葉で渡すことに成功しています。』
『また、試合の日程をその場で確保せず、リュウが旅へ出たあとにも再び連絡できると考えられたことは、以前の本編春麗からの大きな変化です』
『めんどくささ:高』
『進展:非常に大』
本編春麗は、その表示を涙目のまま見ていた。
しばらくして、一度だけ鼻をすすった。
【返信:本編春麗】
……最後のまとめだけなら、悪くない。
【返信:匿名希望】
はい。
【返信:本編春麗】
でも今日のあなた、絶対に前回のこと根に持っていたでしょう。
【返信:匿名希望】
……。
【返信:本編春麗】
何度目でも聞くわよ。
【返信:匿名希望】
では最後に、正式回答します。
【返信:本編春麗】
何?
【返信:匿名希望】
はい。
根に持っていました。
【返信:本編春麗】
やっぱり!
【返信:匿名希望】
ただし、刺した内容はすべて事実です。
【返信:本編春麗】
そこまで含めて、前回の私の返しを真似するな!!
『保存完了』
Q:今回のディレクターズカットIFについて解説して?
A:
今回のエピソードは、前回の掲示板回で本編春麗に散々刺し返された匿名希望が、きっちり「借りを返す」回になっています。
ただし今回、一番重要だったのは、匿名希望が本編春麗の成果そのものを否定していないことです。
むしろ本編春麗は、今回かなりやることをやっています。
リュウと試合をしなくても会えるようになった。
試合なしで街を歩き、食事をして、それだけで楽しいと確認できた。
「リュウに会いたい」を本人へ言える。
そのうえで、
「それとは別に、あなたと戦いたい」
とも本人へ言えた。
さらに、リュウから、
「会うためか?」
と、まさに自分が一番気にしていた核心を突かれても、
「違う」
「今回は違う」
と迷わず答えています。
ここは非常に大きいです。
以前の春麗なら、
「リュウと戦いたい」
という言葉の中へ、
「会いたい」
「顔を見たい」
「一緒にいたい」
まで全部押し込んでいました。
格闘家同士なのだから、試合を申し込むのは自然です。
だから「会いたい」と言わなくて済む。
本編春麗自身も、その構造をかなり長く利用していました。
今回の春麗は、それをやめています。
「私はあなたに会いたい」
とまず認める。
そのうえで、
「あなたと戦いたい」
も認める。
そして、
「会いたいから会う」
「戦いたいから戦う」
と分けた。
これは今回の断章IFにおける明確な到達点です。
ですから匿名希望も、そこには刺していません。
むしろ、
「完全に本編春麗の成果です」
とはっきり認めています。
今回匿名希望が刺しているのは、その正しい結論へ到達するまでの過程が、あまりにも本編春麗だったことです。
これが今回最大の笑いどころでした。
普通に考えれば、
格闘家が強い格闘家を見る。
戦いたくなる。
本人へ、
「試合をしない?」
と申し込む。
以上です。
しかし本編春麗の場合、
リュウの動きを見る。
戦いたくなる。
↓
「でも、試合なしでも今日は楽しかった」
↓
「それなのに戦いたいというのは、以前へ戻っているのでは?」
↓
帰宅。
↓
紙に、
「試合なしでも楽しかった」
「試合なしでも会いたい」
「それでも戦いたい」
と書く。
↓
さらに、
「会いたい」
「戦いたい」
を左右へ分ける。
↓
危険性を列挙する。
「試合を会うための口実へ戻す可能性」
「会いたいを隠す可能性」
「勝敗へ関係を預ける可能性」
↓
翌日。
春麗会議室へ接続。
↓
複数の春麗と記録板AIで審議。
↓
「会いたいと戦いたいは両立可能」
という判定を得る。
↓
新規運用規則を制定。
「会いたいから会う」
「戦いたいから戦う」
「一方を他方の口実にしない」
「試合結果を関係継続条件として使用しない」
↓
ようやく本人へ、
「あなたと試合がしたい」
と言う。
こうして並べると、匿名希望が、
「非常に豊かな試合申込準備過程ですね」
と言いたくなるのも分かります。
しかも、この「豊かな」という言葉には明確な意趣返しがあります。
前回、本編春麗は匿名希望から、
「一般的な連絡手順を習得した」
「豊かな学習過程ですね」
と刺されていました。
その後、本編春麗は匿名希望がプラス主人公補正によって、
仕事場から出る。
↓
リュウがいる。
↓
夕食へ行く。
という非常に簡単なルートを通ったことを知り、
「私は一週間探しました」
「あなたは?」
「仕事場から出ました」
「それだけでしょう!」
と徹底的に刺し返しました。
しかも副題にまで、
「私は一週間探しました。匿名希望は仕事場から出ました」
と保存させています。
匿名希望としては、これはかなり効いていた。
なので今回、
「根に持っているでしょう?」
と聞かれて、
最初は否定する。
記録板AIから、
「発言信頼度・低」
と出る。
さらに刺していくうちに、
「少しだけです」
となる。
そして最後には、
「はい。根に持っていました」
まで認める。
この段階的な白状もかなり好きです。
特に匿名希望は普段、感情的に復讐するタイプではありません。
だからこそ今回も、
「前回恥をかかされたから適当に刺す」
とはしていません。
全部、事実です。
ここが匿名希望らしいところです。
本編春麗が実際に紙へ書いた。
実際に会議室へ持ち込んだ。
実際に四つの運用規則を作った。
実際にリュウへ試合を申し込んだ後、
「俺も戦いたい」
と言われてから、
「本当に?」
「私が申し込んだから付き合うという意味ではなく?」
「あなたも?」
「私と?」
「戦いたい?」
と何度も確認した。
これも全部事実です。
だから本編春麗も、
「根に持っているでしょう!」
とは言えても、
「内容が間違っている!」
とは言えません。
これが今回の匿名希望の強さでした。
そして非常に面白かったのが、リュウとの比較です。
本編春麗が何日も考え、
紙へ書き、
会議室へ持ち込み、
運用規則まで作って整理した最大の問題。
それが、
「また試合を会うための口実へ戻してしまうのではないか」
でした。
ところがリュウは、春麗から試合を申し込まれた瞬間、
「会うためか?」
と聞きます。
これだけです。
春麗が数日にわたって内部で処理してきた問題へ、リュウは一問で到達しています。
匿名希望がここを見逃すはずがありません。
「本編春麗、数日」
「リュウ、一問」
です。
本編春麗からすると、かなり理不尽に刺さります。
でも実際には、ここにはすごく良い関係性も出ています。
リュウは春麗の過去を覚えている。
以前、試合が会うための理由として使われていたことを覚えている。
だから今回も同じなのかと確認した。
そして春麗が、
「今回は違う」
と言えば、それ以上疑わない。
春麗の説明を、そのまま受け取ります。
これはリュウ側から見てもかなり大きな変化です。
以前の春麗の行動パターンを知っている。
でも、
「どうせ今回もそうだろう」
と決めつけない。
本人へ聞く。
春麗が違うと言えば、その言葉を信じる。
この関係は、正式回答の、
「変わった後でも、次も俺に聞け」
とも非常に相性がいいと思います。
そして、もう一つ匿名希望が強烈に刺したところが、
「俺も戦いたい」
の後です。
ここは本編春麗の反応が非常に春麗らしい。
リュウが、
「俺も戦いたい」
と言った。
普通なら、そこで成立です。
しかし春麗は、
「本当に?」
「私が申し込んだから付き合うという意味ではなく?」
「あなたも?」
「私と?」
「戦いたい?」
と確認する。
リュウは全部、
「ああ」
です。
最後にはリュウ本人から、
「何度も聞いた」
と言われています。
これは本編春麗としては、確認したくなるところです。
自分だけが戦いたいのではない。
リュウも、自分と戦いたい。
付き合いではない。
義理でもない。
本人の意思である。
そこは春麗にとって、とても重要です。
だから確認すること自体は間違っていません。
しかし。
匿名希望から見ると、
「俺も戦いたい」
↓
五段階確認。
です。
正しい。
必要性も分かる。
でも面白い。
今回の匿名希望の、
「分かることと、面白いことは両立します」
は、かなり今回全体を象徴しています。
本編春麗が間違っているから笑えるのではありません。
本編春麗が正しいことをしているのに、その正しさを確保するための工程があまりにも多いから笑える。
ここが今回の一番大事なところです。
そしてさらに強烈だったのが、正式回答との分離です。
本編春麗は今回、ものすごく慎重に、
「今回の試合は正式回答とは関係ない」
「勝っても正式回答を持てるようになったことにはしない」
「負けても評価は下げない」
「九十九点は変わらない」
「未保持も変わらない」
と整理しました。
ここは本当に重要です。
この連作では長い間、試合結果へ関係性や感情を乗せることが多かった。
だから本編春麗が、
「今回は純粋に試合としてやる」
と決めるのは、大きな進歩です。
しかし、リュウへ確認すると。
春麗:「試合で何か確認しようとしないで」
リュウ:「何を」
春麗:「私が正式回答を持てるようになったか、とか」
リュウ:「しない」
春麗:「本当に?」
リュウ:「ああ」
春麗:「なぜ?」
リュウ:「春麗が、まだ持てないと言っている。なら、試合とは別だ」
です。
最終的には、
「別の話だからな」
で終わる。
春麗が複数日かけて分離したものを、リュウは最初から別の話として扱っています。
本編春麗が、
「私が何日考えたと思っているのよ」
となるのも当然です。
そして匿名希望にとっては、これほど美味しい材料はありません。
前回の本編春麗が、
「私は一週間探した! あなたは仕事場から出ただけ!」
と時間コストを比較したので、
今回は匿名希望が、
「本編春麗、複数日」
「リュウ、『別の話だからな』」
と返しています。
完全に同じ武器です。
だから本編春麗が、
「絶対前回のこと根に持っているでしょう!」
と何度も突っ込むのが非常に自然でした。
ただ、今回の話を単なる復讐ギャグにしなかったのが後半です。
匿名希望は、本編春麗が本当に進んだところについては、全部認めています。
特に大きいのは、
リュウが翌朝旅立つのに、試合日程をその場で決めなかったことです。
以前の本編春麗なら、
リュウが街を出る。
次がいつか分からない。
なら、今ここで次を確保しなければ。
となっていた可能性が高い。
今回は違います。
「今日は試合をすることだけ決める」
日程。
場所。
ルール。
試合後のこと。
それは次に連絡を取った時に決める。
この判断ができています。
つまり、
「今日全部持ち帰らなくても、次は消えない」
と思えている。
これは連絡経路を獲得したこと以上に、その連絡経路を心理的に信頼できるようになったということです。
リュウが旅へ出ても、
「もう会えないかもしれない」
ではない。
「また連絡すればいい」
になっている。
さらに春麗自身から、
「また連絡を取りましょう」
「試合の日程を決めるために」
「それ以外でも」
と言えています。
そしてリュウも、
「会いたくなったら、連絡すればいい」
と返しています。
ここは、今回かなり大きな到達点です。
試合を再開したのに、関係が再び「試合がある時だけ会う」に戻っていません。
むしろ、
試合の日程を決めるためにも連絡する。
それ以外でも連絡する。
という二本立てになりました。
これは、
「会いたいから会う」
「戦いたいから戦う」
が、単なる紙上の運用規則ではなく、実際の関係へ適用できた証拠です。
だから今回、本編春麗は匿名希望に刺されまくって涙目になりますが、敗北感は以前ほど強くありません。
本人も最後に、
「私、やることは全部やったでしょう!」
と反論しています。
そして実際、全部やっています。
匿名希望も、
「はい」
としか言えません。
この部分が非常に重要です。
前の正式回答前後の掲示板では、本編春麗はしばしば、
「まだやっていない」
「言えていない」
「電話していない」
部分を刺されていました。
今回は違います。
行動は済んでいる。
結果も出ている。
リュウも受け取っている。
だから匿名希望が刺せるのは、
「やっていないこと」
ではなく、
「やるまでにどれだけめんどくさかったか」
だけです。
これは本編春麗にとって、実はかなり良い変化です。
以前なら、
成果そのものを刺される。
今回は、
成果は満点級。
ただし工程が異常に長い。
になった。
つまり、
めんどくさいから進めない春麗から、めんどくさいまま進める春麗へ変わった。
ここが今回のエピソードの本当の到達点だと思います。
だから匿名希望の最終評価も、
「成果・満点級」
「過程・非常にめんどくさい」
になっています。
これはかなり本連作らしい評価です。
本編春麗の成長とは、
めんどくさくなくなることではありません。
考えすぎなくなることでもありません。
感情を単純化できるようになることでもありません。
会いたい。
戦いたい。
正式回答はまだ持てない。
リュウが好き。
勝ちたい。
一緒にいたい。
全部ある。
その全部を抱えたまま、
「では今日は何をするのか」
を選べるようになることです。
今回は、
「リュウに試合を申し込む」
を選びました。
しかも、昔と同じ言葉を使いながら、中身は全く違う。
以前の、
「試合をしよう」
には、
「会いたい」
まで隠れていました。
今回の、
「試合がしたい」
は、
「会いたいは会いたいとして、もう伝えている。その上で、戦いたい」
です。
同じ試合申込でも、構造が変わっています。
だから今回の試合再開は、単純な原点回帰ではありません。
一周回って、
ようやく純粋に格闘家としてリュウへ試合を申し込めるところまで戻ってきた
ということです。
そしてその大事な到達点の直後に、匿名希望が、
「一試合申し込むために四つの運用規則を作りました」
と刺す。
本編春麗は涙目になる。
でも成果は消えない。
この組み合わせが、今回の逆襲回の一番良いところだったと思います。
最後に本編春麗が、
「今回、私の勝ちでもいいでしょう」
「自分に対してよ!」
と言うところも好きです。
匿名希望も、
「それなら異議ありません」
と認める。
つまり本編春麗は、自分自身には勝っています。
ただし掲示板上では匿名希望優勢。
そして匿名希望は、本編春麗が作った、
「勝敗に関係全体の答えを預けない」
という運用規則を使って、
「掲示板で私に負けても、本編春麗の成果は変わりません」
と刺す。
これが非常に綺麗な返しでした。
本編春麗が自分を守るために作った新しいルールを、匿名希望が即座に本編春麗を刺す武器へ転用しています。
本編春麗からすれば、
「そこで私の新しい決まりを使って刺すな!」
です。
そして最終的には匿名希望自身が、
「はい。根に持っていました」
と認める。
今回の匿名希望は、かなり楽しんでいます。
ただし、だからこそ前回との対になっています。
前回は、
本編春麗が匿名希望の主人公補正格差を、事実だけで刺し返した回。
今回は、
匿名希望が本編春麗の試合申込工程を、事実だけで刺し返した回。
どちらも事実。
どちらも相手の成果そのものは否定しない。
ただし、事実の並べ方が非常に悪意的。
この二人の掲示板上の関係が、かなり良いところまで育ってきた回だと思います。
そして何より、本編春麗は今回も涙目になっていますが、最後までちゃんと反論しています。
「私、やることは全部やったでしょう!」
これは今回、本当にその通りです。
だから匿名希望も、
「はい」
と認めざるを得ない。
刺されても、成果を守って言い返せるようになった本編春麗。
ここにも、正式回答後の彼女の成長がかなり出ていたと思います。