また戦ってくれ――リュウと春麗、紙一重のライバル譚―― 作:エーアイ
本編の流れとは別に、黒いドレス姿の春麗とリュウが、その後も何度も相打ちを重ねた場合の仮定としてお読みください。
一度目は、まだ許せた。
黒いドレスの裾が土に落ち、肩にリュウの拳の重さが残り、掌にはリュウへ届いた感触があった。
春麗は空を見上げながら、荒い息の中で思った。
勝てなかった。
でも、負けてもいない。
黒い私で、リュウと同じ高さに倒れた。
悔しかった。
けれど、それ以上に胸の奥が熱かった。
リュウは、黒を待たなかった。
青も待たなかった。
春麗が黒を選んだ意味ごと見て、そのうえで踏み込んできた。
その拳は届いた。
でも、春麗の掌底も届いた。
だから二人は倒れた。
同じ高さに。
その時の春麗は、まだ笑えた。
「……今日は、待たなかったのね」
そう言えば、リュウは息を切らしたまま答えた。
「待てば、遅れる」
春麗は悔しさを噛みながら、少しだけ笑った。
「やっとわかってきたじゃない」
その言葉には、悔しさもあった。
満足もあった。
リュウが来た。
本当に来た。
黒いドレスの自分を、見て、揺れて、それでも待たずに踏み込んできた。
だから一度目の相打ちは、春麗にとって悪くなかった。
悪くなかった、はずだった。
二度目。
春麗は、また黒いドレスを着た。
鏡の前で髪を下ろし、目元を整え、裾の位置を確かめた。
一度目の相打ちは、悔しかった。
だが、次は勝てると思っていた。
リュウは色を待たないことを覚えた。
なら、その待たない拳ごと上回ればいい。
春麗はそう考えた。
黒い裾を使うのではなく、黒い裾ごと動く。
見せるための黒ではなく、踏み込むための黒にする。
リュウが待たないなら、春麗も待たせない。
そして、二度目も倒れた。
リュウの拳が肩口に入る。
春麗の蹴りがリュウの脇へ入る。
互いに足が残らない。
土の上に落ちた黒いドレスの裾を見て、春麗は歯を食いしばった。
また。
また、同じ高さ。
リュウも倒れていた。
悔しい。
だが、まだ許せた。
次で終わらせる。
三度目。
春麗は、リュウの待たない踏み込みを読むつもりでいた。
リュウは待たない。
なら、踏み込んでくる場所を読む。
春麗は一歩早く入った。
リュウも一歩深く来た。
掌底と拳が、同時に入った。
倒れた。
四度目。
春麗は、黒いドレスの裾をほとんど使わなかった。
見せない。
揺らさない。
リュウの目を縛らない。
ただ、黒い自分のまま速度で抜く。
だが、リュウはそこにもいた。
春麗が抜ける先で、拳が待っていた。
待っていた、というより、置かれていた。
春麗の蹴りもリュウへ届いた。
倒れた。
五度目。
春麗は、初めて少し苛立った。
鏡の前で、黒いドレスの裾を直す指に力が入る。
何をしているの、私は。
勝つために黒を着ている。
リュウに見せるためだけではない。
相打ちになるためでもない。
最後に立つために、この黒を着ている。
そう言い聞かせた。
けれど、修行場でリュウと向かい合った時、春麗はわかってしまった。
リュウも、同じことを考えている。
今日こそ立つ。
今日こそ倒しきる。
今日こそ、春麗に届いて終わらせる。
その目だった。
春麗は笑った。
「今日も同じ高さに倒れるつもり?」
リュウは静かに答えた。
「今日は、立つ」
その答えに、春麗の胸が熱くなる。
そう。
そうでなくちゃ。
だからこそ、勝ちたかった。
しかし、五度目も相打ちだった。
黒いドレスの裾が土に広がる。
リュウも横に倒れる。
二人の呼吸だけが、朝の修行場に残る。
春麗は、横目でリュウを見た。
同じ高さ。
また。
「……しつこいのよ」
そう言うと、リュウは息を切らしながら返した。
「お前もだ」
春麗は笑いかけて、やめた。
笑ったら、少し認めてしまいそうだったから。
六度目。
春麗は、黒いドレスを着る前に少しだけ迷った。
青い武道服で行けばいい。
青なら違う。
黒ではなく、原点の速度と技でリュウを抜けばいい。
そう思った。
けれど、手は黒いドレスに伸びた。
黒で相打ちになったのなら、黒で立たなければ意味がない。
この黒で、リュウと同じ高さに倒れ続けている。
なら、この黒で、リュウを見下ろさなければならない。
春麗は黒いドレスを身につけた。
目元を整える。
いつもより、少しだけ鋭く。
リュウが見た時、逃げられないように。
しかし、その日も相打ちだった。
春麗はリュウの拳を受け、同時に膝を入れた。
リュウは倒れ、春麗も倒れた。
六度目。
春麗は、土の上で目を閉じる。
勝てない。
負けてもいない。
この中途半端な結果が、腹立たしかった。
けれど、身体の奥が満たされていることも否定できなかった。
リュウは毎回、来る。
黒い春麗に、待たずに、逃げずに、踏み込んでくる。
そして春麗も、逃げずに届いている。
だから、薄い戦いではない。
むしろ濃すぎる。
濃すぎるから、困る。
七度目。
春麗は、倒れた瞬間に思った。
また、同じ高さ。
その言葉が、胸に刺さった。
以前は、同じ高さに倒れること自体が新鮮だった。
黒いドレスで。
リュウと。
互いに届いて。
互いに倒れる。
それは、屈辱でありながら、熱かった。
でも、七度目になると違う。
慣れてはいけない。
春麗はそう思った。
同じ高さに倒れることに、慣れてはいけない。
自分が勝者として立てないことに、慣れてはいけない。
リュウの横で息を切らしているこの状態を、心地よいと思ってはいけない。
だが、身体は正直だった。
リュウも倒れている。
自分も倒れている。
互いに逃げなかった。
互いに届いた。
その事実が、どうしようもなく胸を熱くする。
春麗は小さく舌打ちした。
本当に、腹が立つ。
八度目。
春麗の煽りは変わった。
「また一緒に倒れるつもり?」
リュウは構える。
「倒れるためには来ていない」
「そう。私もよ」
春麗は笑った。
「今日は、あなたが一人で倒れなさい」
黒いドレスの裾が揺れる。
春麗は踏み込んだ。
リュウも踏み込む。
二人は、もう互いの癖を深く知りすぎていた。
春麗が見せる前に、リュウは来る。
リュウが置く前に、春麗はずらす。
春麗がずらす先に、リュウは半歩入る。
リュウが入る場所へ、春麗は身体を落とす。
読み合いは深くなった。
深くなりすぎて、最後の答えが同じ場所に重なる。
春麗の掌底。
リュウの拳。
また、同時だった。
倒れた瞬間、春麗は思った。
どうして、そこにいるのよ。
私が勝ちに行く最後の場所に、どうして毎回あなたがいるの。
それは苛立ちだった。
だが、問いでもあった。
リュウは、いつもそこにいる。
春麗が最後に勝つために踏み込む場所。
春麗が黒いドレスのまま届こうとする場所。
その一番深いところに、リュウも来る。
それが、腹立たしい。
そして、嬉しい。
春麗は、その嬉しさが嫌だった。
九度目。
春麗は鏡の前で、長く自分を見ていた。
黒いドレス。
下ろした髪。
整えた目元。
何度も土に触れた裾。
この黒は、もうただの特別な姿ではなかった。
勝利の黒。
敗北の黒。
相打ちの黒。
リュウと同じ高さに倒れ続けた黒。
春麗は、ゆっくり息を吐く。
リュウと同時に倒れることは、嫌いではない。
そう思ってしまい、春麗は鏡の中の自分を睨んだ。
違う。
嫌いではない、ではない。
それでは駄目。
私は、リュウと仲良く倒れるために黒を着ているんじゃない。
私は、最後に立つために黒を着ている。
春麗は目元を整え直す。
今日は、甘さを消す。
そう決めた。
修行場でリュウと向かい合う。
リュウは何も言わない。
春麗も言わない。
九度目の戦いは、静かだった。
互いに、もう余計な言葉はいらなかった。
黒い裾が揺れる。
リュウの拳が動く。
春麗の足が土を噛む。
距離が詰まる。
春麗は勝ちに行った。
リュウも来た。
そして、やはり同時に倒れた。
九度目。
春麗は倒れたまま、拳を握った。
土の感触が、指先に食い込む。
もう、納得できない。
十度目。
春麗は、黒いドレスを身につける時、ほとんど祈るように息を整えた。
祈るというより、誓いだった。
今日で終わらせる。
リュウと同じ高さに倒れるのは、今日で終わり。
黒いドレスの裾を確かめる。
素足の踏み込みを確認する。
髪を下ろす。
目元を整える。
唇に薄く色を置く。
すべて、勝つため。
リュウに見られるためではない。
いや、見られることも含めて、勝つため。
春麗は鏡の中の自分に言った。
「今日は、私だけが立つ」
声は静かだった。
だが、強かった。
修行場は朝の光に包まれていた。
リュウは待っていた。
春麗が黒いドレスで現れても、リュウはもう驚かない。
見ている。
黒いドレスを。
下ろした髪を。
足を。
目を。
春麗を。
待ってはいない。
ただ、見ている。
春麗はそれを見て、少しだけ笑った。
十度目でも、あなたはそこに来るのね。
「今日は、倒れないわよ」
春麗が言う。
リュウは静かに構える。
「俺もだ」
その答えに、春麗の胸が熱くなる。
そう。
そうでなければ困る。
戦いは、最初から深かった。
春麗は黒を見せるだけではなく、黒のまま動いた。
リュウは待たずに来た。
春麗は見られている自分をさらにずらした。
リュウはそのずれを追った。
春麗は逃げずに踏み込んだ。
リュウも退かなかった。
互いに、相打ちの流れを知っている。
だからこそ、その流れを外そうとする。
春麗は最後の一歩を変えた。
いつもなら踏み込む場所を半歩ずらす。
リュウも変えた。
いつもなら拳を置く場所から、さらに深く入る。
二人の読みが、また重なった。
春麗は気づいた。
また来る。
また、同じ場所に。
なら、逃げない。
今度こそ、押し切る。
春麗は黒いドレスのまま踏み込んだ。
リュウも踏み込んだ。
春麗の蹴りがリュウの脇へ入る。
同時に、リュウの拳が春麗の胸元近くを捉えた。
衝撃。
呼吸が止まる。
足が残らない。
黒いドレスの裾が大きく揺れ、土へ落ちた。
春麗は倒れた。
リュウも倒れた。
十度目。
春麗は、しばらく動けなかった。
空が見える。
朝の光が眩しい。
横にはリュウがいる。
同じように、息を切らして倒れている。
同じ高さ。
また。
春麗は目を閉じた。
悔しい。
悔しい。
悔しい。
十度も。
十度も、私はあなたと同じ高さに倒れている。
勝てなかった。
でも、負けてもいない。
それが、こんなにも悔しくて、こんなにも満たされるなんて。
春麗は、自分に腹が立った。
何を満たされているの。
私は勝っていないのよ。
リュウを見下ろしていない。
勝者として立っていない。
悔しがるリュウを見下ろして、次はもっと来なさいと言えていない。
なのに、胸の奥は熱い。
リュウが十度、来たからだ。
十度、黒い春麗に届いた。
十度、春麗もリュウに届いた。
十度、互いに逃げずに倒れた。
それは、薄い引き分けではなかった。
濃すぎる相打ちだった。
春麗は、横にいるリュウへ視線を向ける。
リュウもこちらを見ていた。
息は荒い。
けれど、目は折れていない。
春麗はかすれた声で言った。
「……また、同じ高さね」
リュウは少し息を整えてから答える。
「次は、立つ」
春麗は目を細めた。
「それは、私の台詞よ」
そう言ってから、春麗は小さく笑った。
笑ってしまった。
悔しいのに。
本当に悔しいのに。
リュウがそう言うことが、嬉しかった。
春麗は、土に触れた黒いドレスの裾を見た。
この黒は、何度もリュウと同じ高さに倒れた。
でも、まだ終わっていない。
春麗は思う。
リュウと同時に倒れることは、嫌いじゃない。
でも、嫌いじゃないと思ってしまうことが、一番危ない。
このままでは、同じ高さに倒れることに慣れてしまう。
勝つことより、届き合うことに満たされてしまう。
それは駄目。
春麗は、ゆっくりと息を吸った。
私は、リュウと同じ高さに倒れるために黒を着ているんじゃない。
リュウに届くためだけでもない。
最後に立つために着ている。
春麗は指先に力を込める。
まだ立てない。
だが、心はもう次を見ていた。
十度、同じ高さに倒れた。
なら次は。
十一度目は。
春麗は、横にいるリュウを見た。
「次は、私だけが立つわ」
リュウは静かに答えた。
「俺も、そうする」
春麗は笑った。
今度は、はっきりと。
「なら、また倒してあげる」
そう言って、春麗は空を見る。
黒いドレスは土に汚れている。
肩は痛い。
身体は重い。
勝っていない。
負けてもいない。
それでも、胸の奥は燃えていた。
十度の相打ちは、春麗にリュウと届き合う快感を教えた。
同時に、勝者として立てない屈辱も積み上げた。
その二つが、春麗の中で混ざっている。
満たされている。
でも、満たされている場合ではない。
春麗は目を閉じ、次に黒を着る自分を思った。
次は、鏡の前で何を整えるのか。
裾か。
髪か。
目元か。
足運びか。
それとも、最後に倒れないための一歩か。
どれでもいい。
全部、変える。
そして次は、リュウと同じ高さには倒れない。
黒い私だけが立つ。
そのために、もう一度この黒を着る。
春麗は、土の上で息を整えながら、静かに笑った。
十度倒れた。
でも、まだ終わっていない。
むしろ、終わらせたくないと思っている自分がいる。
だからこそ、終わらせなければならない。
次は、勝つ。
リュウと同じ高さではなく、リュウを見下ろす場所で。
その場所に立つために、春麗はまた黒を選ぶ。
Q:リュウと春麗が近距離の地上戦を行っているシーンを想像するとなんかエッチぃなぁと思いました。 二人は互いの汗、においなども感じていて、春麗は無意識・意識的に地上戦を行っていると思いますか?
A:
本作のリュウと春麗の戦闘が、空中戦よりも近距離の地上戦に寄っていることで、結果的にかなり密度の高い、少し艶のある戦いになっています。
ただし、それは露骨な性的描写というより、
互いの距離が近すぎることで、格闘の情報と身体の情報が混ざってしまう感じ
です。
近距離地上戦は、かなり“身体を感じる”戦いになる
地上戦で近距離になると、二人はかなり多くのものを感じているはずです。
呼吸。
汗。
体温。
踏み込みの音。
腕が触れる感触。
拳がかすめる距離。
相手の重心の変化。
近づいた時の匂い。
服や髪の動き。
黒ドレスなら、裾が揺れる気配や素足の踏み込み。
これは、かなり濃いです。
青い武道服でも濃いですが、黒ドレスだとさらに濃くなります。
春麗が一歩近く入る。
リュウが拳を出す。
春麗が腕の内側に入る。
手首に触れられる。
肩が近い。
息がかかる距離になる。
こうなると、もう単なる「技の応酬」ではありません。
互いの身体情報を、かなり近い距離で読み合う戦いです。
春麗は無意識にも意識的にも近距離地上戦を選んでいると思います。
これはかなり重要で、執筆者としては、春麗は 半分無意識、半分意識的に近距離地上戦を選んでいると思います。
青い武道服の春麗なら、本来はもっと跳んでもいい。
距離を取って蹴りで制圧してもいい。
速度で出入りして、リュウを置いていく戦いもできる。
でも本作の春麗は、リュウに「届いてほしい」と思っている。
ただし、勝たせたいわけではない。
この矛盾があるので、春麗はリュウが届きうる距離に、あえて入ることがあります。
表向きには戦術です。
近距離なら掌底が使える。
リュウの拳の初動が読める。
逃げ道を塞がれる前に軸を変えられる。
黒ドレスなら、視線と呼吸を読みやすい。
でも内心では、
リュウがどこまで来るかを、この距離で感じたい
という欲も混ざっていると思います。
かなり春麗らしいです。
黒ドレス春麗は特に近距離を使う
黒ドレス春麗は、遠距離より近距離の方が強いです。
理由は、黒ドレスの武器が「見られること」と「呼吸の一拍」だからです。
遠いと、リュウは黒ドレスを視覚情報として処理できます。
でも近いと、視覚だけでは済まない。
春麗の呼吸。
黒いドレスの動き。
下ろした髪。
近い声。
踏み込んだ素足。
汗の気配。
相手の体温。
それらが全部、戦闘情報に混ざる。
リュウは春麗を格闘家として読む。
でも同時に、女性としての春麗も近距離で感じてしまう。
春麗はそこを知っている。
だから黒ドレス春麗は、近距離で強い。
「見ているわね」だけではなく、
「感じているわね」まで戦場に入ってくる。
ただし春麗はそれを直接言わない。
言うとしても、こういう形になります。
「近いわよ、リュウ」
「でも、下がらないのね」
「なら、その距離のまま届いてみなさい」
これはかなり黒ドレス春麗らしいです。
リュウも感じているが、言葉にはしない
リュウも当然感じています。
春麗の汗。
呼吸。
近さ。
黒ドレスの動き。
青い武道服の身体の軽さ。
拳が届く寸前の体温。
ただ、リュウはそれを色っぽい言葉では処理しません。
リュウは、
近い。
速い。
呼吸が変わった。
今、踏み込む。
というふうに、戦闘情報へ変換する。
でも完全には消えない。
そこが黒ドレス春麗のデバフになります。
リュウは感じている。
感じたうえで拳を出そうとする。
その一拍を春麗が読む。
だから濃いです。
春麗は「リュウが近さをどう処理するか」を見ている
春麗は、近距離でリュウがどうなるかをかなり見ていると思います。
リュウが下がるのか。
目を逸らすのか。
拳が硬くなるのか。
呼吸が浅くなるのか。
それとも、その距離でも踏み込んでくるのか。
本作の春麗は、たぶん最後の答えを望んでいます。
リュウには、近さに戸惑ってほしい。
でも、そこで止まってほしくない。
その近さを受けたうえで、拳を出してほしい。
つまり春麗の要求はこうです。
私の近さを感じなさい。
でも、それに負けないで来なさい。
そのうえで、私を焦らせなさい。
でも最後に立つのは私よ。
やはり、かなり面倒です。
だから“エッチぃ”感覚は、作品の濃さとして機能している
この連作の近距離地上戦には、確かに艶があります。
でもそれは、直接的な性的描写ではなく、
互いが身体を近くで読み合うことによる緊張感
春麗が見られること・近づかれることを戦術にすること
リュウがそれを感じたうえで拳を出すこと
から出る艶です。
これは本作にかなり合っています。
空中戦や必殺技の応酬だと、この濃さは出にくいです。
近距離で、汗や呼吸や体温が感じられるからこそ、春麗の黒ドレス戦術や、青い武道服での踏み込みが生きる。
結論
執筆者としては、春麗はかなり意識的に近距離地上戦を使っています。
ただし、めんどくさい女と自覚する前の春麗はそれをこう言い張るでしょう。
「近距離の方が、リュウの拳も呼吸も読めるからよ」
それは本当です。
でも、それだけではありません。
春麗は、リュウが近くで自分をどう感じるかも見ている。
そして、リュウがその近さに揺れながらも踏み込んでくることを望んでいる。
なので一言で言えば、
本作の近距離地上戦は、格闘の読み合いであると同時に、互いの身体情報を逃げずに受け取る“殴り愛の距離”になっている。
だから少し艶っぽく感じるのは、かなり自然だと思います。