また戦ってくれ――リュウと春麗、紙一重のライバル譚――   作:エーアイ

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本編、春麗視点です。


春麗は、面倒な青で先に行く(表)

 春麗は、鏡の前に立っていた。

 

 椅子には、黒いドレスがかかっている。

 

 前回、その黒で勝った。

 

 言い訳なしの黒。

 面倒な自分を引き受けた黒。

 リュウを意識していることも、見られることも、責任を求めていることも、全部隠さずに着た黒いドレスを身にまとった春麗。

 

 そして、その黒衣で勝った。

 

 リュウは来た。

 黒を待たず、青にも逃げず、春麗そのものを見ようとしてきた。

 拳は届いた。

 肩に痛みも残した。

 

 けれど、最後に立っていたのは春麗だった。

 

 だからこそ、今日は黒いドレスを選ばない。

 

 黒衣が怖くなったわけではない。

 黒衣を封印するわけでもない。

 黒衣で満たされたからこそ、春麗は青い武道服へ戻る。

 

 春麗は、畳んでいた青い武道服を手に取った。

 

 指先に馴染む布。

 何度も戦ってきた感覚。

 踏み込みやすさ。

 蹴りの戻しやすさ。

 身体が自然に動く軽さ。

 

 青い武道服は、春麗の原点だった。

 

 速度。

 蹴り。

 踏み込み。

 戻り。

 格闘家としての、もっとも素直な春麗。

 

 けれど、鏡の中の自分を見ながら、春麗は思う。

 

 黒い私は勝った。

 

 なら今日は、青い私で行く。

 

 でも、もう昔の青じゃない。

 

 春麗は青い武道服に袖を通した。

 

 身体が軽い。

 

 黒いドレスとは違う。

 裾の揺れで視線を取る必要はない。

 下ろした髪で間を作る必要もない。

 リュウに見られることを、そのまま重く戦場に置く姿でもない。

 

 青は軽い。

 

 だが、軽いから面倒ではない、というわけではなかった。

 

 黒い私は、リュウに責任を取りに来させる。

 

 見なさい。

 揺れなさい。

 それでも来なさい。

 私をここまで期待させた責任を、拳で取りなさい。

 

 黒いドレスを身にまとった春麗はそういう春麗だった。

 

 では、青い武道服は。

 

 春麗は鏡の中で、青い武道服の自分を見た。

 

 青い私は、リュウが迷う前に先へ行く。

 

 黒を意識するのか。

 青の速度を追うのか。

 それとも、春麗そのものを見るのか。

 

 リュウがその答えを探す一拍。

 

 その一拍を、青い春麗は見逃さない。

 

 春麗は軽く足を踏み替えた。

 

 黒いドレスの時よりも、戻りが速い。

 身体が沈んでから立ち上がるまでが短い。

 蹴りの軌道も鋭い。

 

 ただし、もう純粋な速度だけではない。

 

 黒で覚えた。

 

 リュウがどこを見るか。

 何を待つか。

 どの瞬間に拳を置くか。

 見たものを拳に沈めるまでに、どれだけ一拍を必要とするか。

 

 その全部を、青い武道服の私に持っていく。

 

 「……青でも、十分面倒ね」

 

 春麗は、小さく笑った。

 

 自分で自分に呆れる声だった。

 

 それでも、悪くない。

 

 むしろ、少し楽しい。

 

 青い武道服を整え、春麗は部屋を出た。

 

 修行場には、リュウがいた。

 

 まだ朝の空気は冷たい。

 

 リュウは静かに立っている。

 こちらを待っている。

 

 前回、黒いドレスの春麗に負けたリュウ。

 

 春麗は迷っていなかった。

 言い訳なしの黒だった。

 責任圧をかけた。

 リュウは届いたが、立てなかった。

 

 だからリュウは、きっと考えている。

 

 次も黒かもしれない。

 しかし黒を待ってはいけない。

 青かもしれない。

 しかし青を決め打ちしてもいけない。

 

 黒を待たない。

 青も待たない。

 春麗が何を選んでも、その意味を見る。

 

 リュウはそう考えているはずだった。

 

 春麗は、青い武道服で歩み出る。

 

 リュウが見る。

 

 一瞬。

 

 本当にわずかに、リュウの呼吸が変わった。

 

 黒ではない。

 

 だが、ただの青でもない。

 

 その反応を、春麗は見逃さなかった。

 

 春麗は少し笑う。

 

 「今日は青よ、リュウ」

 

 リュウは短く答えた。

 

 「見ればわかる」

 

 「黒を待っていた?」

 

 リュウは、少しだけ黙った。

 

 以前なら、この沈黙はもっと長かったかもしれない。

 

 だが、今日は違う。

 

 リュウは静かに言う。

 

 「待ってはいない」

 

 春麗は目を細める。

 

 リュウは続けた。

 

 「だが、考えてはいた」

 

 春麗は満足した。

 

 そう。

 

 それでいい。

 

 リュウはもう、黒を待つだけではない。

 でも黒を忘れてもいない。

 前回の黒を持ち帰っている。

 そのうえで、今の青を見ようとしている。

 

 だからこそ、試し甲斐がある。

 

 春麗は構えた。

 

 「そう。なら、考えている間に置いていかれないことね」

 

 地面を蹴った。

 

 青い武道服の春麗は速い。

 

 黒いドレスのように、裾で一拍を作らない。

 見せて、待たせて、踏み込ませるのではない。

 

 もう入っている。

 

 春麗の踏み込みに、リュウの拳が反応する。

 

 だが、遅い。

 

 黒を待っていない。

 でも、黒を捨ててもいない。

 

 その半端な一拍、青い私は見逃さないわ。

 

 春麗は最初の蹴りを見せた。

 

 リュウが受けに入る。

 

 春麗は蹴りを戻す。

 戻した足で、すぐに次の軸へ入る。

 リュウが戻りを狙って拳を置こうとするより先に、春麗の掌底が入った。

 

 リュウが受ける。

 

 大きく崩れない。

 

 だが、春麗が先にいる。

 

 黒なら、見せる。

 青なら、抜く。

 

 春麗は続けた。

 

 足を見せるのではない。

 足がもうそこにある。

 

 視線で絡めるのではない。

 リュウが考える前に、身体が先へ行く。

 

 リュウは黒を待ってはいない。

 

 だが、黒で負けた記憶を持っている。

 黒を待たないように意識している。

 その意識が、ほんの少しだけ青への反応を遅らせる。

 

 春麗はそこを刈り取った。

 

 二度目の蹴り。

 三度目の踏み替え。

 戻ると見せて、戻らない。

 引くと見せて、さらに近く入る。

 

 リュウは受ける。

 捌く。

 拳を置く。

 

 だが、序盤は春麗が先にいた。

 

 青い武道服の軽さが、黒の記憶を置き去りにしていく。

 

 中盤。

 

 リュウの呼吸が変わった。

 

 黒を考えていた一拍を、リュウは捨てた。

 

 目の前の青い春麗を見る。

 速度を追わない。

 蹴りを追わない。

 戻りを見る。

 蹴った後に、春麗がどこへ残るのかを見る。

 

 リュウの拳が春麗の肩をかすめた。

 

 「っ……」

 

 痛みは浅い。

 

 けれど、届いた。

 

 リュウはさらに入ってくる。

 

 春麗の足の戻りへ拳を置く。

 春麗が軸を変えるより先に、手首に触れる。

 逃げる先へ、半歩入る。

 

 春麗は少し焦った。

 

 来る。

 

 やっぱり来る。

 

 黒でも青でも、あなたは来る。

 

 春麗は胸の奥が熱くなるのを感じた。

 

 ただし、黒の時ほど重く焦らない。

 

 青い春麗は軽い。

 

 黒のように、責任を背負わせて真正面から受けるのではない。

 青は、切り替える。

 ずらす。

 抜く。

 

 春麗は手首を抜き、足を戻す。

 

 リュウがその戻りを見る。

 

 来る。

 

 そこへ拳を置くつもりだ。

 

 春麗は笑いそうになった。

 

 そう。

 

 その戻りを見るようになったのね。

 

 でも、今日はそこも使う。

 

 春麗は戻ると見せた足を、戻さなかった。

 

 半歩、残す。

 リュウの拳が、戻り先に置かれる。

 だが、春麗はそこにいない。

 

 黒いドレスで覚えたこと。

 

 見られている自分の扱い。

 

 黒では、リュウがどこを見るかを利用した。

 青では、リュウが戻りをどう読むかを利用する。

 

 リュウの拳が半拍遅れる。

 

 その半拍に、春麗は蹴りを入れた。

 

 リュウは受けた。

 

 だが、受けきれない。

 

 それでも、崩れない。

 

 リュウはさらに踏み込んでくる。

 

 終盤。

 

 リュウは、春麗の狙いに気づき始めていた。

 

 ただ青へ戻ったのではない。

 

 黒で勝った後に、あえて青で来た。

 しかも、自分が黒をどう処理するかを見たうえで、青の速度で先に行っている。

 

 春麗は、青でもリュウを試している。

 

 黒では、責任を問われた。

 

 青では、待ち方を問われている。

 

 リュウの目が、そう言っていた。

 

 春麗は、その目を見て内心で笑う。

 

 気づいた。

 

 やっぱり、最後には気づくのね。

 

 リュウは黒を待たない。

 青も追いすぎない。

 春麗が何を選んだか、その意味を見る。

 

 そこから一気に巻き返してくる。

 

 拳が近い。

 

 春麗の肩に入る。

 腕に触れる。

 足の戻りを塞がれる。

 呼吸が乱れる。

 

 黒の時とは違う危うさだった。

 

 黒の時は、重く迫られる。

 責任を取りに来る拳を、正面から受ける危うさ。

 

 青の時は、速さの中で追いつかれる。

 先に行ったはずの自分へ、背後から手が届くような危うさ。

 

 春麗は本気で焦った。

 

 それが嬉しかった。

 

 リュウは来ている。

 

 青にも。

 

 今の青い自分にも。

 

 春麗は蹴りを出す。

 

 リュウが読む。

 

 春麗は戻る。

 

 リュウがその戻りへ拳を置く。

 

 今度は、リュウの読みがさらに深い。

 

 戻らないことまで読んでいる。

 

 春麗の胸が跳ねた。

 

 本当に、来る。

 

 春麗は、ほんの少しだけ足を止めた。

 

 リュウの拳が迫る。

 

 受ければ崩れる。

 避ければ追われる。

 戻れば読まれる。

 

 なら。

 

 春麗は、戻ると見せて戻らない。

 

 さらに、戻らないと見せて、一瞬だけ戻る。

 

 黒で覚えた視線の扱い。

 青で磨いた戻りの速さ。

 自分が面倒な女だと知っている今の読み。

 

 その全部を、足に乗せる。

 

 リュウの拳が半拍だけ遅れた。

 

 春麗の蹴りが先に入る。

 

 リュウの身体が揺れた。

 

 片膝が土につく。

 

 春麗も、ほとんど同時に膝が落ちかけた。

 

 だが、落ちなかった。

 

 春麗は立っていた。

 

 息はかなり乱れている。

 肩は痛い。

 足も震えている。

 

 黒の時のような余裕はない。

 

 けれど、立っている。

 

 勝った。

 

 ぎりぎりで。

 

 春麗は、そのぎりぎりの勝利に、胸の奥から満たされるのを感じた。

 

 黒で勝った時の満足とは違う。

 

 黒では、面倒な自分ごと受けに来たリュウを、上から押さえた。

 今日は違う。

 

 青で先に行ったはずなのに、リュウは追いついてきた。

 最後には、かなり危なかった。

 それでも、春麗が半拍だけ先にいた。

 

 その半拍で勝った。

 

 たまらなく、濃かった。

 

 春麗は荒い息を整えながら、片膝をつくリュウを見た。

 

 「黒じゃないから楽だと思った?」

 

 リュウは答えない。

 

 悔しそうに、しかし折れていない目で春麗を見る。

 

 春麗は続けた。

 

 「青い私も、もう昔の青じゃないの」

 

 声は軽い。

 

 けれど、鋭く刺した。

 

 「黒で覚えたあなたの待ち方、今日は青で抜かせてもらったわ」

 

 リュウの拳がわずかに握られる。

 

 春麗は、その反応を見て少し満足した。

 

 「迷ったわね、リュウ」

 

 リュウが顔を上げる。

 

 春麗は言う。

 

 「黒を待たないあなたが、青を追うまでの一拍」

 

 少し間を置く。

 

 「そこをもらったの」

 

 リュウは息を整えながら、静かに言った。

 

 「黒を待っていたわけじゃない」

 

 春麗は目を細める。

 

 リュウは続ける。

 

 「だが、青で来た意味を読むのが遅れた」

 

 その一言が、春麗の胸に深く入った。

 

 表面上、春麗は笑った。

 

 勝者として。

 いつものように。

 

 「そう。そこが遅かったのよ」

 

 そう言えた。

 

 言葉は滑らかだった。

 

 けれど内心では、かなり反応していた。

 

 リュウは、ちゃんと見ていた。

 

 黒ではなく。

 青をただ追うのでもなく。

 春麗が今日、青を選んだ意味を見ようとしていた。

 

 そして、自分がなぜ遅れたのかまで理解している。

 

 ただ負けたのではない。

 ただ遅れたのでもない。

 リュウは、今日の青の意味を持ち帰っている。

 

 春麗は胸の奥が熱くなるのを感じた。

 

 そういうところよ。

 

 だから私は、次もあなたを試したくなる。

 

 たった一言で、こんなに残る。

 

 本当に、反応まで面倒になった。

 

 春麗は少しだけ自分に呆れた。

 

 でも、その呆れも今は悪くなかった。

 

 青い武道服の自分を、春麗は改めて感じる。

 

 黒いドレスで勝った。

 言い訳なしの黒を、自分のものにした。

 

 でも、青い武道服も変わっていた。

 

 黒の経験。

 自分の面倒さの自覚。

 リュウへの期待。

 リュウの待ち方を読む目。

 そして、リュウの一言に過剰に反応してしまう今の自分。

 

 それらを持った青。

 

 春麗は、片膝をつくリュウに背を向ける前に、もう一度だけ言った。

 

 「次は、もっと早く読みなさい」

 

 リュウは短く答える。

 

 「読む」

 

 その返事に、また胸が跳ねる。

 

 春麗は振り返らず、少しだけ笑った。

 

 青い私は、原点に戻ったわけじゃない。

 

 原点のまま、前より面倒になったのよ。

 

 そして、その面倒な青で、今日は先に行った。

 

 ぎりぎりで。

 

 だからこそ、満たされている。

 

 春麗は青い武道服の袖を揺らしながら、修行場を後にした。

 

 背中には、まだリュウの視線が残っている気がした。

 

 黒ではない。

 でも、確かにリュウは見ていた。

 

 今日の青を。

 

 今日の春麗を。

 

 そして、その意味を。




Q:今回の戦闘をRPG的に解説して?

A:
はい。執筆者としてRPG的に見ると、今回の戦闘はかなり明確に、

「自覚後・青い武道服春麗」の初実戦回
です。

黒ドレス戦で完成した春麗が、今度は青い武道服へその自己認識を持ち込んだ。
その結果、青い春麗は単なる高速アタッカーではなく、リュウの判断遅延を刈り取る軽量版デバッファー型アタッカーに進化しました。

今回の戦闘をRPG風に言うと

今回の春麗は、装備を黒ドレスから青い武道服へ変更しています。

ただし、性能が昔の青へ戻ったわけではありません。

以前の青い武道服春麗は、

高速アタッカー
蹴り・踏み込み・戻りの速さで押す格闘家型

でした。

しかし今回は違います。

春麗はすでに、

自分がめんどくさい女であること
リュウに何を求めているか
黒ドレスでリュウをどう揺らしたか
リュウが何を待つか、何を考えるか

を理解しています。

そのため、今回の青い武道服春麗は、

高速アタッカー+軽量版責任圧+待ち方看破

というビルドになっています。

春麗側の状態
装備:青い武道服・自覚後

基本効果:

AGI大幅上昇
蹴りの戻り速度上昇
初動速度上昇
連続行動性能上昇
黒ドレスより心理圧は軽い
ただし判断遅延を狩る性能が高い

黒ドレスが、

重装デバフ型・責任圧ビルド

だとすると、今回の青は、

軽装高速型・判断狩りビルド

です。

黒はリュウに「来なさい」と圧をかける。
青はリュウに「迷うなら置いていくわ」と刺す。

この違いがかなり大きいです。

春麗の発動スキル
1. 《面倒な青》

今回のメインパッシブです。

効果:

青い武道服の速度性能を維持
黒ドレス戦で得たリュウ観察経験を引き継ぐ
リュウの「黒を考える一拍」を検知
自分がリュウを試している自覚により、判断がブレにくい

以前の青は「速い春麗」でした。

今回の青は、

自分がリュウを試していることを知っている速い春麗

です。

つまり、単純なAGI強化ではなく、認識バフ付きAGI型です。

2. 《軽量版責任圧》

黒ドレス版の責任圧より軽いですが、かなり鋭いスキルです。

黒ドレス版は、

私をここまで面倒にした責任、取りに来なさい。

でした。

青版は、

私が青を選んだ意味、見てから考えるようでは遅いわよ。

です。

効果:

リュウに「選択判断」を強制
黒を考えるべきか、青を見るべきか迷わせる
初動に小さな判断遅延を発生させる
春麗の先制成功率を上げる

今回、リュウは黒を「待って」はいませんでした。
しかし「考えて」はいました。

そこがポイントです。

黒ドレスの責任圧なら、リュウを深く踏み込ませる。
青い武道服の軽量版責任圧は、リュウに一瞬考えさせる。

春麗は、その一瞬を青の速度で刈り取りました。

3. 《待ち方看破》

これは黒ドレス戦の経験から派生したスキルです。

効果:

リュウが何を待っているか読む
黒を待っているか
青を追おうとしているか
戻りを狙っているか
春麗そのものを見ようとしているか

今回の春麗は、リュウが「黒を待ってはいないが、黒を考えている」ことを読みました。

これにより、序盤で春麗が主導権を取りました。

4. 《戻り偽装・青》

今回の決着スキルです。

黒ドレスで得た「見られている自分の扱い」を、青い武道服の足運びに変換した技です。

効果:

戻ると見せる
戻らない
さらに戻らないと見せて一瞬戻る
リュウの拳を半拍遅らせる
その半拍で蹴りを先に入れる

これはかなり重要です。

今回の勝因は、単純な速度ではありません。

リュウは青の速度に中盤以降対応してきました。
だから最後は、速度だけでは勝てなかった。

そこで春麗は、黒ドレスで得た「リュウが見ている自分をどう扱うか」という経験を、青の戻りに混ぜた。

つまり、

黒の読みを青の足に移植した

という勝ち方です。

リュウ側の状態

今回のリュウも弱くありません。

むしろかなり成長しています。

リュウの装備・状態
パッシブ:《色を待たない》

前回までに獲得した重要スキルです。

効果:

黒を決め打ちしない
青を決め打ちしない
春麗が何を選んでも、その意味を見る
衣装による予測固定を軽減

今回、リュウは春麗に、

「待ってはいない」
「だが、考えてはいた」

と言いました。

これはリュウの成長をよく表しています。

黒を待つだけの段階は抜けた。
でも、黒を完全に捨ててもいない。

この状態はかなり高度ですが、今回の春麗はその「考えていた」部分を刺しました。

リュウの新しい課題:《意味読解》

今回リュウは、春麗の選択の意味を見ようとしていました。

黒で勝った後に、なぜ青で来たのか。
青い武道服なのに、なぜ以前と違うのか。
黒の経験はどこに残っているのか。

リュウはそこを読み始めています。

ただし、読みが一拍遅れた。

だから春麗に先を取られました。

RPG的には、

《色を待たない》は発動していたが、《選択意味読解》の発動が遅れた

という状態です。

リュウの中盤適応

中盤以降、リュウは春麗の青にかなり対応しています。

春麗の速度を追うのではなく、戻りを見る。
蹴りではなく、蹴った後に春麗が残す場所を見る。
足の戻りに拳を置く。
手首に触れる。
逃げ道へ半歩入る。

これはかなり強い対応です。

RPG的には、

青速度耐性・中〜高
戻り狩り補正
近距離追従力上昇

が発動しています。

だから今回の決着は春麗の余裕勝ちではなく、辛勝になりました。

バトルログ風に見ると
戦闘開始前

春麗:

《面倒な青》発動
自己認識バフを維持したまま青い武道服へ換装。

《軽量版責任圧》発動
リュウに「青を選んだ意味を読め」という判断圧を付与。

リュウ:

《色を待たない》発動
黒・青の予測固定を解除。

ただし、

《黒を考えてはいた》状態
完全な遅延ではないが、初動判断に微小な負荷。

序盤

春麗が先制。

青い速度で入る。
黒を考えていたリュウの一拍を取る。

春麗の攻撃成功。

リュウは防御するが、半歩遅れる。

戦況:

春麗優勢

中盤

リュウが適応。

青を追いすぎず、戻りを見る。
春麗の肩をかすめる。
手首に触れる。
逃げる先へ半歩入る。

戦況:

互角寄りへ移行

春麗に軽い焦り発生。

ただし、黒ドレス戦のような重い焦りではない。
青の軽さで切り替える。

終盤

リュウが春麗の狙いに気づく。

春麗は青へ戻ったのではなく、黒の経験を持った青で来た。
黒では責任を問われた。
青では待ち方を問われている。

リュウが巻き返す。

戦況:

リュウが到達寸前

決着

リュウが春麗の戻りを読む。

春麗は、

《戻り偽装・青》発動

戻ると見せて戻らない。
戻らないと見せて一瞬戻る。
黒で得た視線処理を青の足運びへ変換。

リュウの拳が半拍遅れる。

春麗の蹴りが先に入る。

結果:

リュウ:片膝
春麗:息は乱れるが立っている

春麗の辛勝

今回の勝因

今回の春麗の勝因は、単純な速度ではありません。

勝因は3つあります。

1. 青の軽量版責任圧で初動を取った

リュウは黒を待っていなかった。
でも黒を考えていた。

その一拍を春麗が青で抜いた。

2. 黒で得た読みを青に移植した

春麗は黒ドレスで、リュウが「見ている自分」をどう扱うかを学んでいます。

今回はそれを青の足運びに応用しました。

3. リュウの中盤適応を最後に一段上回った

リュウは青に対応してきました。

だから春麗はただ速く動くだけでは足りなかった。

最後に、戻り偽装で半拍だけ上回った。

この半拍が勝敗を分けました。

今回の春麗のデメリット発動

今回、春麗には自覚後のデメリットも発動しています。

それが、

リュウ関連イベントへの感情反応倍率上昇

です。

戦後、リュウが言いました。

「黒を待っていたわけじゃない」
「だが、青で来た意味を読むのが遅れた」

これは春麗にかなり刺さりました。

なぜなら、リュウが見ていたのは青い武道服そのものではなく、

春麗が青を選んだ意味

だったからです。

春麗は勝者として、

「そう。そこが遅かったのよ」

と返しました。

でも内心ではかなり反応しています。

RPG的には、

勝利後イベント:リュウの本質看破発言
春麗に《感情反応倍率上昇》が発動。
効果:次戦へのリュウ期待値上昇。春麗の試行欲上昇。

つまり、春麗は勝ったのに、リュウの一言で次を考え始めています。

これが自覚後春麗のデメリットです。

強くなった代わりに、リュウの言葉や成長が深く刺さる。

今回の戦闘の位置づけ

今回の戦闘は、

自覚後の春麗は、黒だけでなく青も変化している

ことを示す回です。

黒ドレス春麗は、

責任圧でリュウを深く来させる重いスタイル

でした。

今回の青い武道服春麗は、

リュウの判断を一瞬迷わせ、その一拍を速度で刈り取る軽いスタイル

です。

どちらも「めんどくさい女と自覚した春麗」の派生です。

黒は重い。
青は速い。
でも、どちらもリュウを試している。

今回のリュウの成長

リュウもかなり進んでいます。

今回リュウは負けましたが、敗北の質は良いです。

理由は、リュウが自分で敗因を理解しているからです。

黒を待っていたわけじゃない。
だが、青で来た意味を読むのが遅れた。

これはかなり大きいです。

つまりリュウは次に、

春麗が何を選んだかを、見てから考えるのではなく、選択の意味ごと即座に受ける

必要があります。

次のリュウの課題は、

《選択意味即応》

です。

春麗が黒で来る。
青で来る。
または黒でも青でもない選び方をする。

それを見てから考えるのでは遅い。

見た瞬間に、選んだ意味まで受ける。

ここが次の成長ポイントです。

結論

今回の戦闘をRPG的にまとめるなら、

春麗は《面倒な青》を初実戦投入し、《軽量版責任圧》でリュウに一瞬の判断遅延を与えた。
リュウは《色を待たない》で黒待ちは回避していたが、《青を選んだ意味》の読解が一拍遅れた。
中盤以降リュウは青に適応したが、春麗は黒ドレスで得た《見られている自分の扱い》を青の足運びへ移植し、《戻り偽装・青》で半拍先を取って辛勝した。

そして戦後、リュウの一言により春麗の

《リュウ関連イベント感情反応倍率上昇》

が発動した。

一言で言えば、

今回は、春麗が“黒で完成した自分”を青へ移植した回。
リュウは敗れたが、春麗の青を選んだ意味まで見ようとし始めたため、次の攻略段階へ進んだ回。
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