また戦ってくれ――リュウと春麗、紙一重のライバル譚――   作:エーアイ

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はじめ春麗視点、次リュウ視点です。


幕間:春麗は、黒の奥を見られかける

 春麗は、自室に戻っても黒いドレスを脱がなかった。

 

 脱ぐべきだとは思っていた。

 

 肩は痛む。

 手首にも、まだ熱が残っている。

 黒いドレスの裾には、戦闘の乱れが残っていた。

 

 それでも、すぐには脱げなかった。

 

 春麗は鏡の前に立つ。

 

 黒いドレスの春麗が、そこにいる。

 

 勝者の姿だった。

 

 最後に立っていたのは自分。

 膝をついたのはリュウ。

 黒の奥まで来ようとしたリュウを、最後には沈めた。

 

 結果だけを見れば、春麗の勝ちだった。

 

 「……勝ったのは、私よ」

 

 春麗は、鏡の中の自分に言った。

 

 声は静かだった。

 

 自分に確認するような声だった。

 

 「最後に立っていたのも、私」

 

 それは事実だ。

 

 黒は通じた。

 黒の重さは、リュウを沈めた。

 青の先で待つことを覚えたリュウが、今度は黒の奥を見ようとしてきた。

 それでも、最後に立っていたのは春麗だった。

 

 だから、勝った。

 

 間違いなく。

 

 なのに。

 

 春麗は、肩に手を置いた。

 

 そこには、リュウの拳の痛みが残っている。

 

 深くはない。

 

 戦闘不能に追い込まれるほどではなかった。

 けれど、浅いとも言い切れない。

 

 黒いドレスの輪郭に、リュウの拳が届いた場所。

 

 春麗は、そこを指でなぞる。

 

 「……届いたのね」

 

 呟いてから、唇を引き結ぶ。

 

 届かれた。

 

 それは敗北ではない。

 だが、無視できるものでもなかった。

 

 リュウは黒に見惚れて止まったわけではなかった。

 黒の揺れに遅れただけでもなかった。

 裾を追い、視線を奪われ、踏み込みを乱しただけではなかった。

 

 見ていた。

 

 黒を。

 

 そして、黒の奥を。

 

 春麗は手首を見る。

 

 肩よりも、そちらの方が厄介だった。

 

 リュウの指先が触れた場所。

 

 黒の動きが始まる場所。

 黒の重さを乗せる直前、春麗自身がリズムを変える起点。

 視線を受け止め、裾を遅らせ、踏み込みを変える、その最初の一点。

 

 そこを、リュウは捕まえかけた。

 

 春麗は手首を握る。

 

 感触が残っている。

 

 熱とも違う。

 痛みとも違う。

 

 触れられた記憶が、消えない。

 

 「……勝ったのに」

 

 春麗は低く言った。

 

 「今日は、私が勝ったのに」

 

 それでも、手首の感触が消えない。

 

 リュウの拳が肩に届いたことよりも、手首に届きかけたことの方が、春麗の中に深く残っていた。

 

 そこを取られると、黒はただの黒ではなくなる。

 

 外から見られた黒ではない。

 内側に入られた黒になる。

 

 リュウは、そこまで来た。

 

 春麗は、鏡の中の自分を見た。

 

 黒いドレスの春麗。

 

 強い。

 

 勝った。

 

 けれど、わずかに乱れている。

 

 肩の痛み。

 手首の感触。

 そして胸の奥に残る、腹立たしいほどの熱。

 

 「……あそこまで来たのね」

 

 悔しい。

 

 まず、悔しかった。

 

 黒で沈めるはずだった。

 黒を見た時点で、リュウは遅れるはずだった。

 青の先で待つことを覚えたとしても、黒の奥はそう簡単に見せるものではなかった。

 

 それなのに、リュウは来た。

 

 肩に届いた。

 手首に届いた。

 黒の奥を、見ようとした。

 

 悔しい。

 

 そして。

 

 春麗は、鏡の前で少しだけ目を伏せた。

 

 嬉しい。

 

 その感情を認めた瞬間、腹が立った。

 

 「……本当に、面倒ね」

 

 自分に向けた言葉だった。

 

 春麗は、自分がめんどくさい女だと知っている。

 

 知っているからこそ、わかってしまう。

 

 普通なら、これはただの戦闘分析で終わる。

 

 危なかった。

 肩への到達を警戒する。

 手首を取られないよう、黒の起点をずらす。

 次戦では、リュウの視線と踏み込みをもう一段外す。

 

 それで済むはずだった。

 

 でも、春麗はそこで止まれない。

 

 リュウが黒の奥を見ようとした。

 

 その事実が、戦闘分析だけでは終わらない。

 

 あそこまで来た。

 次はもっと深く来るのかもしれない。

 手首だけではなく、黒の重さが生まれる前の呼吸まで見ようとするかもしれない。

 肩ではなく、もっと奥へ拳を置くかもしれない。

 

 そう考えている自分がいる。

 

 来てほしい。

 

 そう思ってしまう自分がいる。

 

 そして同時に。

 

 来たら、沈める。

 

 もっと深く来るなら、もっと重い黒を用意する。

 

 春麗は黒いドレスの裾を握った。

 

 「……来ないなんて、許さないわ」

 

 声は小さい。

 

 けれど、その言葉ははっきりしていた。

 

 リュウが黒の奥を見始めた。

 

 なら、次の黒は今日と同じでは足りない。

 

 今日の黒は勝った。

 

 しかし、今日の黒のままでは、次のリュウには届かれるかもしれない。

 

 いや。

 

 春麗は目を細める。

 

 届かれることを、もう少し待っている自分がいる。

 

 それが問題だった。

 

 リュウが来る。

 リュウが見る。

 リュウが届きかける。

 春麗は腹を立てる。

 悔しがる。

 それでも、その事実を黒の燃料にしてしまう。

 

 勝ったのに。

 

 リュウに届かれたことが、次の黒の素材になっている。

 

 「あなた、どこまで私を面倒にするつもりなの」

 

 鏡の中の自分が、少しだけ笑っていた。

 

 勝者の笑みではない。

 

 次を待ってしまう女の笑みだった。

 

 春麗は、肩に残る痛みをもう一度確かめる。

 

 ここに、リュウは届いた。

 

 手首を見る。

 

 ここに、リュウは触れた。

 

 そして、胸の奥を見る。

 

 ここに、リュウは残った。

 

 春麗はゆっくり息を吐いた。

 

 「黒の奥を見たつもりなら」

 

 声が静かに落ちる。

 

 「次は、その奥ごと変えてあげる」

 

 黒いドレスの裾が、鏡の前で静かに揺れる。

 

 春麗は、まだ脱がなかった。

 

 この黒を、もう少し覚えておきたかった。

 

 リュウが届きかけた黒。

 

 リュウを沈めた黒。

 

 そして、次にもっと重くなる黒。

 

 春麗は最後に、鏡の中の自分へ言った。

 

 「次は、黒の奥を見たことを後悔させてあげる」

 

 一拍。

 

 それから、少しだけ口元を緩める。

 

 「でも、来ないなんて許さないわよ、リュウ」

 

 

 

幕間:リュウは、黒の奥を知る

 

 リュウは、修行場に残っていた。

 

 春麗はもういない。

 

 黒いドレスの残像だけが、まだ夜の中に残っているようだった。

 

 リュウは、自分の胸に手を当てる。

 

 そこには、春麗の掌底の重さが残っていた。

 

 深い一撃だった。

 

 リュウの膝を落とし、最後に立つ力を奪った一撃。

 

 負けた。

 

 それは認めるしかない。

 

 春麗は強かった。

 

 黒は、重かった。

 

 だが、リュウの手にも残っている。

 

 春麗の肩に届いた感触。

 

 そして、手首に届いた感触。

 

 リュウは右手を開く。

 

 手首に触れた時の感覚を思い返す。

 

 黒の動きが始まる場所。

 

 裾の揺れでもない。

 視線の誘導でもない。

 踏み込みの重さでもない。

 

 その前。

 

 春麗が黒を動かす起点。

 

 そこへ、わずかに触れた。

 

 だが、捕まえられなかった。

 

 触れた瞬間、春麗はその先へ沈めた。

 

 黒の内側へ入ったと思った時には、もう黒の中に沈められていた。

 

 リュウは静かに息を吐く。

 

 「……先ではない」

 

 青は、先だった。

 

 春麗がどこへ行くか。

 どこで勝ちに来るか。

 どこを置いていくか。

 

 青を見るには、追うのではなく、先を見る必要があった。

 

 だが、黒は違う。

 

 黒は先ではない。

 

 奥だ。

 

 春麗がどこへ行くかではない。

 なぜそこへ来させるのか。

 どこで待っているのか。

 何を見せて、何を隠しているのか。

 

 そこを見なければならない。

 

 リュウは拳を握る。

 

 肩には届いた。

 手首にも届いた。

 

 だが、黒の奥にはまだ届いていない。

 

 届いたと思った瞬間、沈められた。

 

 それが今日の敗北だった。

 

 リュウは、春麗が立っていた場所を見る。

 

 黒いドレスの春麗。

 

 強かった。

 

 そして、ただ強いだけではなかった。

 

 見れば止まる。

 

 そういう黒ではなかった。

 

 見たうえで、さらに奥へ来いと言っている黒だった。

 

 リュウは目を閉じる。

 

 春麗の手首。

 

 春麗の肩。

 

 黒の重さ。

 

 最後の掌底。

 

 全部を思い返す。

 

 次は、同じ場所へ行っても届かない。

 

 春麗は必ず、黒の奥を変えてくる。

 

 なら、リュウも変えなければならない。

 

 「黒の奥は見えた」

 

 リュウは静かに言った。

 

 「だが、まだ入れていない」

 

 拳を握る。

 

 次は、春麗が黒で待っている場所へ、そのまま行かない。

 

 黒の奥を見る。

 

 そして、沈む前に踏み込む。

 

 リュウは夜の修行場に、ひとり立っていた。

 

 負けた痛みは残っている。

 

 だが、折れてはいない。

 

 むしろ、次の場所が見え始めている。

 

 「次は」

 

 リュウは短く呟く。

 

 「もっと奥へ行く」

 

 春麗がそれを望んでいるかどうかは、わからない。

 

 だが、来るなとは言わない気がした。

 

 リュウは、もう一度拳を握った。

 

 黒は、先ではない。

 

 奥だ。

 

 そして次は、その奥で沈まない。




Q:黒の奥について教えて?

A:
執筆者としての定義では、黒の奥とは、黒いドレス春麗の「見た目の揺さぶり」や「責任圧」のさらに内側にある、春麗本人の感情・期待・覚悟が戦闘化している領域です。

つまり、黒の奥は単なる戦術ではありません。

黒いドレスを見る。
裾の揺れを見る。
髪を下ろした春麗を見る。
視線誘導を読む。
責任圧に耐える。

ここまでは、まだ「黒の表面」です。

黒の奥とは何か

黒の奥は、一言で言うなら、

春麗がなぜ黒を着ているのか、その感情の中へ踏み込む領域

です。

黒ドレス春麗は、表面上はこう言えます。

見なさい。
揺れなさい。
それでも来なさい。
私をここまで期待させた責任を取りに来なさい。

でも黒の奥には、さらにこういう本音があります。

私を見てほしい。
でも見ただけで止まるあなたは嫌。
揺れてほしい。
でも揺れに負けるあなたでは足りない。
私の黒に届いてほしい。
でも簡単に届いたと思われるのは許せない。
もっと深く来てほしい。
でも最後に立つのは私でありたい。

この矛盾した要求が、黒の奥です。

かなり重いです。

黒の表面と黒の奥の違い

整理すると、こうです。

黒の表面は、視覚・距離・呼吸・踏み込みの戦術です。

黒いドレス。
下ろした髪。
裾の揺れ。
素足の踏み込み。
視線誘導。
リュウの初動遅延。
責任圧による踏み込み誘導。

ここまでは、格闘として分析できます。

一方で、黒の奥はもっと内面的です。

春麗の期待。
リュウに届いてほしい感情。
届かれた時の嬉しさと悔しさ。
青で負けた熱。
リュウに自分を見抜かれたいが、見抜かれたくない矛盾。
「私を面倒にした責任を取りなさい」という要求。

ここに入ると、単なる対策では足りなくなります。

リュウが今回届いたのはどこか

今回リュウは、黒の奥そのものに完全到達したわけではありません。

到達したのは、黒の奥の入口です。

具体的には、

肩に拳が届いた
これは、黒ドレス春麗の輪郭を乱したということです。

手首に届いた
これは、黒の動きの起点を捕まえかけたということです。

つまりリュウは、

黒いドレスに揺らされるだけではなく、黒がどう動くかを見始めた。

段階です。

これは非常に大きい。

ただし、春麗の黒の奥にある感情そのもの、

なぜ今日、春麗が黒を選んだのか。
青で負けた熱をどう黒に変換しているのか。
春麗がリュウにどこまで来てほしいのか。
でもどこで沈めたいのか。

ここまでは、まだ完全には読めていません。

だから春麗は勝てました。

黒の奥を見るために必要なもの

リュウが黒の奥を見るには、黒を攻略対象として見るだけでは足りません。

必要なのは、

黒を着た春麗が、リュウに何を求めているのかを見ること

です。

リュウがやるべきことは、黒に惑わされないことではありません。

むしろ、黒に揺れる自分を否定しない。
そのうえで、春麗がその揺れをどう使おうとしているかを見る。
さらに、春麗がなぜ自分をそこまで来させたいのかを見る。

ここまで行って、ようやく黒の奥です。

つまりリュウに必要なのは、

耐性ではなく理解
回避ではなく踏み込み方の更新
春麗の待つ場所に行くのではなく、春麗が待っていない奥へ届くこと

です。

黒の奥は「責任圧」の源泉

責任圧は黒の表面にも出ています。

私をここまで期待させた責任、まだ取りきれていないわね。

これは言葉としての責任圧です。

でも黒の奥にある責任圧は、もっと重い。

春麗はリュウに対して、

あなたが来るから、私はここまで面倒になった。
あなたが届きかけるから、私は次の黒を重くする。
あなたが見ようとするから、私はもっと見られる黒を用意してしまう。
だから、ちゃんと来なさい。

と思っている。

これはかなり強い圧です。

リュウが誠実に来るほど、春麗はその誠実さを読み筋に変える。
でも来なければ不満。
来すぎれば揺れる。
揺れた春麗は、さらに黒を重くする。

これが黒の奥の構造です。

黒の奥は春麗の弱点でもある

重要なのは、黒の奥は春麗の強みであると同時に弱点でもあることです。

黒の奥に届かれれば、春麗は強く反応します。

肩や手首に届かれるだけでも、今回かなり反応しました。

もしリュウが本当に黒の奥を見た場合、春麗は戦闘中でも一瞬止まる可能性があります。

たとえばリュウがこういう言葉や動きを出した時です。

「黒で俺を止めに来たんだな」
「だが、止めたいだけじゃない」
「お前は、俺が来るのを待っている」

ここまで読まれると、春麗はかなり危ないです。

なぜなら、それは黒の戦術ではなく、黒を着た春麗本人を見られているからです。

ただし、春麗はその揺れすら戦闘力に変換する女なので、簡単には崩れません。

青の先と黒の奥の違い

今回かなり重要なのは、青と黒で攻略方向が違うことです。

青の先は、到達点です。

青い春麗が先に行く。
リュウはその速度を追うのではなく、春麗が勝ちに行く場所で待つ。

つまり、青の攻略は、

どこへ行くかを見る

です。

一方、黒の奥は、深度です。

黒い春麗は、リュウを来させる。
責任を問い、視線を引き、踏み込みを重くする。
リュウはその圧の中で、春麗が何を求めているのかを見る。

つまり、黒の攻略は、

なぜそこへ来させるのかを見る

です。

ここが違います。

青は空間の攻略。
黒は感情の攻略。

青は「先」。
黒は「奥」。

これはかなり綺麗な対比です。

春麗が黒の奥をさらに変える理由

今回リュウは黒の奥の入口を見ました。

だから、次の黒は今日の黒ではいられません。

春麗からすると、

リュウは肩に届いた。
手首にも届いた。
黒の起点を見始めた。
なら次は、そこを見られても沈められる黒にする。

となります。

つまりリュウが黒を攻略しようとするほど、春麗は黒を更新します。

これが本作の二人の成長ループです。

リュウが青の先で待つ。
春麗が青を更新する。

リュウが黒の奥を見る。
春麗が黒をさらに重くする。

この繰り返しで、二人の関係が深くなります。

結論

執筆者としての「黒の奥」とは、

黒ドレス春麗の視覚戦術や責任圧のさらに内側にある、春麗のリュウへの期待・悔しさ・見られたい欲・届かれたい欲・負けたくない誇りが混ざった領域

です。

リュウが黒の奥を見るというのは、黒いドレスに惑わされないことではありません。

黒を着た春麗が、なぜリュウをそこまで来させたいのかを見ることです。

今回リュウは、肩と手首に届くことで、その入口に立ちました。

でもまだ奥までは届いていない。

だから春麗が勝った。

そして、リュウが入口を見たことで、次の黒はさらに重くなる。

一言でまとめるなら、

青の先は、春麗が行く場所。
黒の奥は、春麗がリュウを来させたい理由。

この違いが、今後の本編でかなり重要になると思います。


Q:黒の奥、うわぁすごくめんどくさいと思ったのですが、執筆者の意見を教えて?

A:

はい。執筆者としても、黒の奥はかなりめんどくさいと思います。

しかもこれは、ただ「春麗が面倒なことを言っている」というレベルではなく、構造そのものが面倒です。

黒の奥は、春麗の中でこういう矛盾が全部同時に存在している領域です。

見てほしい。
でも見ただけで止まるリュウは嫌。
揺れてほしい。
でも揺れに負けるリュウでは足りない。
届いてほしい。
でも簡単に届いたと思われるのは許せない。
もっと深く来てほしい。
でも最後に立つのは自分でありたい。

これは、相当めんどくさいです。

リュウからすると、攻略条件が理不尽に近いです。

見ないと負ける。
見すぎても負ける。
来ないと不満を持たれる。
来たら来たで読まれる。
届かないと足りない。
届くと春麗が反応して、さらに黒が重くなる。

つまりリュウは、黒ドレス春麗を相手にすると、単に格闘で勝つだけでは足りない。

春麗が何を求めているかを読み、しかし春麗が待っている場所にはそのまま行かず、でも逃げず、さらに深く届く必要がある。

めちゃくちゃ難しいです。

ただ、このめんどくささは本作の春麗としてはかなりおいしいです。

なぜなら、黒の奥は春麗の強さであると同時に、春麗の弱点でもあるからです。

春麗は黒でリュウを沈める。
でも、リュウが本当に黒の奥に届きかけると、春麗自身も揺れる。
そしてその揺れをまた黒の重さに変える。

この循環があるので、黒ドレス春麗はどんどん濃くなります。

特に重要なのは、春麗が自分でこの面倒さをある程度わかっていることです。

自覚前なら、

これは戦術よ。

で済ませようとしていました。

でも自覚後は違います。

ええ、私は面倒な女なのよ。

と認めたうえで、その面倒さを黒に乗せている。

だから重い。
そして強い。

執筆者として一言で言うなら、

黒の奥は、春麗の「来てほしい」と「勝たせない」が同居している最深部です。

リュウに来てほしい。
自分の黒を見てほしい。
奥まで届いてほしい。
でも届いた瞬間、そこを黒で沈めたい。

これはもう、相当めんどくさい。

でもこのめんどくささがあるから、リュウがただ勝つだけでは物足りなくなる。
リュウは春麗に勝つのではなく、春麗の面倒さごと受けて、その奥へ行く必要がある。

だからこの関係は深くなるし、二人だけで回り続けられるのだと思います。

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