また戦ってくれ――リュウと春麗、紙一重のライバル譚―― 作:エーアイ
「十戦連勝した春麗が十一戦目でリュウに敗れ、その後に運命の黒ドレスと出会う。ただし本編と違い、黒を引き受けきれず、黒ドレスでの初戦にも敗北して拗れていく」分岐です。
十度、春麗はリュウを倒した。
最初は、女だからと一瞬拳が鈍った男を叩き伏せた。
二度目は、その甘さを捨てたリュウを倒した。
三度目、四度目、五度目。
リュウは負けるたびに強くなった。
拳の迷いは消え、踏み込みは深くなり、春麗を見る目は変わっていった。
それでも春麗は勝った。
十度目まで、最後に立っていたのは春麗だった。
だから十一度目も、そうなるはずだった。
少なくとも、春麗はそう思っていた。
けれど、十一度目。
最後に立っていたのは、リュウだった。
ほんの半呼吸の差だった。
春麗の蹴りはリュウに入った。
掌底も届いた。
リュウの膝も崩れかけていた。
けれど、最後に石畳へ片膝をついたのは春麗だった。
リュウは、立っていた。
肩で息をしながら。
今にも倒れそうになりながら。
それでも、立っていた。
春麗は片膝をついたまま、リュウを見上げた。
悔しかった。
当然、悔しかった。
十度勝った相手に、十一度目で負けた。
だが、それ以上に腹立たしかったのは、胸の奥に熱があったことだった。
リュウが来た。
十度負けても折れずに来た。
そして、本当に自分を越えてきた。
その事実が、春麗の中に残った。
「……やるじゃない」
春麗は、そう言った。
勝者に向けるには、少し強がりすぎる声だった。
リュウは静かに答えた。
「まだだ」
春麗は目を細める。
勝った男の言葉ではなかった。
ようやく勝ったのに。
十度も負けて、十一度目でようやく届いたのに。
まだだと言う。
春麗は、その言葉を聞いて、また腹が立った。
そして、また少し熱くなった。
リュウは去った。
春麗はしばらく、立てなかった。
身体が痛かったからではない。
負けたことを、身体より先に受け止めきれなかったからだった。
その夜、春麗は街の奥を歩いていた。
理由はなかった。
少なくとも、そう思っていた。
汗も拭った。
傷も処置した。
青い武道服も着替えた。
それでも、部屋に戻る気になれなかった。
リュウの「まだだ」が残っている。
勝ったのに、まだだ。
春麗に勝って、まだ足りないと言った。
なら、自分は何なのか。
十度勝った春麗は。
十一度目で負けた春麗は。
春麗は足を止めた。
古い洋装店の前だった。
夜でも灯りがついている。
飾り窓の奥に、黒いドレスがあった。
春麗は、それを見た。
動けなかった。
青い武道服とはまったく違う。
戦うための服ではない。
少なくとも、普通はそうだ。
けれど春麗は、そこに戦場を見た。
裾の揺れ。
肩の輪郭。
腰の締まり。
脚の出る角度。
踏み込んだ時、布が一拍遅れてついてくるであろう重さ。
そして、リュウの視線。
見た瞬間、春麗は自分が何を考えたのかに気づき、顔をしかめた。
リュウが、これを見たら。
そう思った。
リュウがどう反応するか。
拳が遅れるか。
目を逸らすか。
それとも、見たうえで来るのか。
春麗は、しばらくその黒を見ていた。
やがて、店の中の老女が声をかけた。
「お嬢さん、気になるのかい?」
春麗は少しだけ肩を揺らした。
「……ただ、見ていただけよ」
「そういう顔じゃないね」
老女は笑う。
春麗は黙る。
「着てみるかい?」
春麗はすぐに断ろうとした。
戦う服ではない。
自分には必要ない。
青い武道服で十分だ。
そう言えばよかった。
けれど、言葉が出なかった。
その代わり、春麗は黒いドレスを見たまま言った。
「動ける?」
老女は少し驚いた顔をして、それから笑った。
「動くために着る服じゃないがね」
「なら、動けるように直せる?」
春麗は、自分の声が思ったより真剣だったことに気づいた。
老女は春麗を上から下まで見た。
そして言った。
「できなくはない」
その夜、春麗は黒いドレスと邂逅した。
運命というには、大げさかもしれない。
だが、春麗自身は後に思う。
あれは、確かに分岐点だった。
数日後。
春麗は鏡の前に立っていた。
黒いドレスを着ている。
青ではない。
髪も、いつものようには結っていない。
少し下ろしている。
鏡の中の自分は、見慣れない。
強く見える。
けれど、どこか戦う前から乱されているようでもあった。
春麗は、黒い裾を軽く持ち上げ、足を動かした。
動ける。
思ったよりも動ける。
踏み込みもできる。
蹴りも出せる。
回転にも耐える。
問題はない。
いや、問題はあった。
身体ではない。
心の方だ。
リュウに見られることを考えると、呼吸が少し乱れる。
春麗は眉を寄せた。
「これは戦術よ」
鏡に向かって言う。
「リュウの反応を見るため。あの男の拳に、何が出るかを見るため」
そう。
それだけだ。
女として見てほしいわけではない。
黒が似合うと思われたいわけでもない。
リュウが一瞬でも遅れれば、それを取る。
それだけ。
春麗は目元を整えようとして、手を止めた。
普段より少しだけ整えた。
それを見て、また自分に腹が立つ。
「……中途半端に着たら、意味がないでしょう」
言い訳はできる。
戦術としてなら、できる。
だが、鏡の中の春麗は、どこか逃げていた。
本編の春麗なら、ここで黒を引き受けただろう。
リュウを意識していることも。
見られることも。
期待していることも。
全部、引き受けて黒を着ただろう。
だが、このIFの春麗は違った。
まだ、自分が何をしているのかを認めきれていなかった。
黒を着ている。
でも、黒になりきれていない。
黒を使いたい。
でも、黒で見られることを恐れている。
春麗は、最後に鏡へ言った。
「勝てばいいのよ」
それが一番わかりやすい答えだった。
修行場に現れた春麗を見て、リュウは足を止めた。
黒いドレス。
下ろした髪。
いつもの青い武道服ではない春麗。
リュウは見ていた。
春麗は、その視線を感じた瞬間、胸が跳ねた。
来た。
見た。
リュウが、見ている。
春麗は勝者のように笑おうとした。
「どうしたの、リュウ」
声は少しだけ硬かった。
「今日は驚いた?」
リュウは静かに答えた。
「驚いた」
春麗は、その正直すぎる返答に一瞬詰まりそうになった。
すぐに笑う。
「そう。なら、その分だけ遅れることね」
リュウは首を横に振った。
「遅れない」
春麗の胸がまた跳ねた。
リュウは、黒を見ている。
だが、逃げていない。
見たうえで、来ようとしている。
春麗は、それを望んでいたはずだった。
なのに、怖いと思った。
黒を見られていることが。
リュウが逸らさないことが。
そのうえで来ることが。
春麗は、その怖さを蹴り飛ばすように踏み込んだ。
黒い裾が揺れる。
リュウの目が、一瞬だけそこを追う。
春麗はそれを見逃さない。
掌底。
リュウの腕に当たる。
浅い。
春麗はすぐに回り込む。
裾の揺れで視線をずらす。
足の角度を隠す。
青ではないリズムで入る。
リュウは遅れた。
ほんの一拍。
春麗はそれを取った。
蹴りがリュウの肩を打つ。
リュウの身体が揺れる。
「遅いわ」
春麗は言った。
いつものように。
だが、その声には少し余裕が足りなかった。
リュウは下がらない。
黒を見ている。
見て、来る。
春麗の裾が揺れる。
リュウの拳が、それを追いすぎない。
黒を見る。
でも黒だけを見ない。
春麗を見る。
春麗は、その視線に少し動揺した。
黒を着ている自分を見られている。
戦術としての黒だけではない。
春麗自身まで見られている気がした。
そこが、本編春麗との決定的な差だった。
本編の黒ドレス春麗なら、その視線を受け止め、さらに黒の重さへ変えただろう。
だが、この春麗はまだできない。
見られることを使い切れない。
リュウが踏み込む。
春麗は半歩外す。
外したはずだった。
リュウの拳が、春麗の肩をかすめる。
黒いドレスの輪郭が乱れた。
「……っ」
浅い。
でも届いた。
春麗はすぐに距離を取る。
リュウは追わない。
ただ見ている。
「黒だな」
リュウが言った。
春麗は目を細める。
「見ればわかるでしょう」
「いや」
リュウは構える。
「黒を着ている。でも、まだ迷っている」
春麗の呼吸が止まった。
その一言は、深く入った。
春麗は笑おうとした。
「負け惜しみにしては、ずいぶん失礼ね」
「負け惜しみじゃない」
「なら何?」
「お前は、その黒を全部使えていない」
春麗の指先が震えそうになった。
当てられた。
見抜かれた。
黒の戦術ではなく、黒を着た春麗自身の迷いを。
春麗は、腹が立った。
ものすごく腹が立った。
同時に、怖くなった。
「言うようになったわね」
春麗は踏み込む。
黒いドレスが遅れて揺れる。
「なら、使えていない黒に負けてみる?」
攻撃は鋭かった。
怒りが乗った。
悔しさも乗った。
リュウの言葉を消すために、春麗は攻めた。
だが、攻めが少し重くなった。
黒の重さではない。
迷いの重さだった。
リュウはその違いを見た。
春麗の蹴りを受ける。
掌底を外す。
裾の揺れではなく、踏み込みの前の呼吸を見る。
春麗は何度も入り直す。
黒でリュウを揺らそうとする。
揺れる。
リュウは確かに揺れる。
けれど、揺れながら来る。
春麗はそこで焦った。
リュウが遅れない。
完全には遅れない。
黒を見ている。
黒に反応している。
でも、その反応を拳に変えてくる。
春麗は一瞬、青で行きたくなった。
いつもの青なら。
速さで抜ける。
戻りで外す。
考える前に先へ行く。
だが今日は黒だ。
黒で勝たなければ意味がない。
リュウに負けた後、運命のように出会った黒。
これで勝たなければ、あの敗北を上書きできない。
春麗は奥歯を噛む。
「リュウ」
声が少し低くなる。
「見ているなら、最後まで見なさい」
リュウは答える。
「見る」
その短い返事が、また春麗に刺さる。
見てほしい。
でも、見られるのが怖い。
届いてほしい。
でも、届かれたら困る。
勝ちたい。
でも、その黒を認められないまま勝ちたい。
矛盾が、黒いドレスの裾に絡む。
終盤。
春麗はリュウを追い込んだ。
決して弱くはなかった。
黒ドレス春麗は、未完成でも強かった。
リュウの腕に打撃が入り、肩を削り、呼吸も乱した。
リュウは片膝寸前まで追い込まれる。
春麗は決めに行った。
黒い裾が大きく揺れる。
リュウの視線がそこへ行く。
春麗は、勝ったと思った。
次の瞬間、リュウの拳が来た。
裾ではない。
肩でもない。
春麗の踏み込みの前。
迷いが生まれた場所へ。
春麗の胸元へ近い、体幹の中心に拳が入る。
深い。
呼吸が止まった。
春麗の掌底もリュウの胸へ入っていた。
リュウも崩れる。
二人とも倒れかける。
だが、最後に立ったのはリュウだった。
春麗は片膝をついた。
黒いドレスの裾が、石畳に落ちた。
その瞬間、春麗は自分でも驚くほど強く歯を食いしばった。
負けた。
黒で。
リュウに負けた。
しかも、黒を使いきれなかったと言われたうえで。
リュウは肩で息をしている。
勝者らしい余裕などない。
本当にぎりぎりだった。
けれど、立っている。
春麗はリュウを見上げる。
リュウは静かに言った。
「強かった」
春麗は目を細めた。
「慰め?」
「違う」
リュウは少し息を整える。
「だが、まだ強くなる」
春麗の胸が、また痛んだ。
身体の痛みではない。
黒を着た自分を見られたこと。
迷いを見抜かれたこと。
負けたこと。
それでも、まだ強くなると言われたこと。
全部が混ざった。
春麗は、片膝のまま笑った。
「当然でしょう」
声は震えなかった。
意地で止めた。
「今日の黒で、私をわかったつもりにならないことね」
リュウは頷く。
「わかっていない」
「なら、次はもっと苦労するわ」
「そうか」
「そうよ」
春麗は、ようやく立ち上がった。
黒いドレスの裾についた土を払う。
その手に、悔しさがこもる。
リュウは春麗を見ている。
春麗はその視線を受けた。
今度は、逃げなかった。
逃げられなかった。
「次も黒で来るわ」
リュウの目が変わる。
春麗は笑った。
「青じゃない。逃げない。今日の黒を、このまま終わらせるつもりはないもの」
リュウは静かに答える。
「待つ」
春麗は、胸がまた強く跳ねるのを感じた。
待つ。
その言葉が、今は腹立たしかった。
「待たないで」
春麗は言った。
リュウが見る。
春麗は黒いドレスの裾を握る。
「来なさい」
声は低い。
「次は、待っているあなたごと黒で倒すわ」
リュウは頷いた。
「行く」
春麗は背を向けた。
歩き出す。
黒いドレスの裾が、少し乱れている。
土もついている。
敗北の跡だった。
だが、春麗はそれを恥じなかった。
いや、恥じていた。
悔しかった。
消してしまいたかった。
でも同時に、その黒を捨てられないと思った。
部屋に戻った春麗は、黒いドレスのまま鏡の前に立った。
負けた春麗が映っている。
黒いドレスの裾には土。
肩にはリュウの拳の跡。
胸には、深く入った一撃の痛み。
そして、リュウの言葉。
お前は、その黒を全部使えていない。
春麗は鏡を睨んだ。
「……何よ」
低く呟く。
「そんなこと、あなたに言われなくてもわかっているわ」
わかっていた。
着た時から。
自分が黒に迷っていたこと。
リュウに見られることを恐れていたこと。
黒で勝ちたいくせに、黒を引き受けきれていなかったこと。
全部、わかっていた。
でも、リュウに言われた。
そこが許せなかった。
春麗は黒いドレスの裾をつまむ。
「まだよ」
声が落ちる。
「今日の黒は、まだ私の黒じゃない」
悔しい。
でも捨てない。
むしろ、もう捨てられない。
この黒で負けた。
だから、この黒で勝たなければならない。
リュウに見抜かれた。
だから、次は見抜かせたうえで倒さなければならない。
春麗は鏡の中の自分を見る。
そこにいるのは、まだ黒を引き受けられない春麗だった。
だが、目だけは変わっていた。
黒に負けた女の目ではない。
黒に執着し始めた女の目だった。
「次も黒よ、リュウ」
春麗は静かに言った。
「あなたが見た今日の黒を、私が塗り潰す」
一拍。
「そして次は、黒ごと私を見てもらうわ」
言ってから、春麗は息を止めた。
今、自分は何を言ったのか。
黒ごと私を見てもらう。
それはもう、戦術だけではなかった。
春麗は唇を噛む。
それでも、否定しなかった。
否定できなかった。
妄想章IFの春麗は、この夜、黒に勝てなかった。
リュウにも負けた。
けれど、その敗北で終わらなかった。
むしろ、ここから始まった。
黒に迷い。
黒で負け。
黒を見抜かれ。
そして、黒に執着する春麗が。
Q:この妄想章IFのバトルについてRPG的に解説して?
A:
はい。執筆者としてRPG的に見ると、この妄想章IFのバトルはかなり特殊です。
本編の黒ドレス春麗は、黒を自分のものにしてから強くなるルートでした。
しかし今回のIF春麗は、黒ドレスという高性能装備を手に入れたのに、精神適性が足りず性能を引き出せなかった初回敗北イベントです。
一言で言うなら、
春麗は黒ドレスを装備した。
しかし、黒ドレス春麗にはまだ転職できていなかった。
です。
バトルリザルト
Battle Result:リュウ辛勝
春麗 Form:
黒ドレス・未覚醒・十連勝後十一戦目敗北ルート
リュウ Form:
十連敗後、十一戦目勝利済み・春麗理解深化状態
勝因:
リュウが黒ドレスそのものではなく、
黒を着た春麗の迷いを見た。
敗因:
春麗が黒を戦術として使おうとしたが、
黒を引き受けきれず、恥じらいと迷いが行動に混ざった。
今回の春麗は、能力値だけ見るとかなり強いです。
十戦連勝している。
リュウに勝ち続けた実績がある。
身体能力も技術も高い。
しかも黒ドレスという新装備を得た。
普通なら強化イベントです。
でも実際には、黒ドレスの要求精神値に春麗が届いていない。
これが敗因です。
春麗側ステータス
春麗:黒ドレス未覚醒
攻撃力:86
速度:78
技術:90
黒衣視線誘導:70
黒ドレス適性:45
恥じらい:80
自己肯定:55
リュウ意識度:90
黒への覚悟:40
迷い:75
かなりアンバランスです。
攻撃力・技術・速度は高い。
でも黒ドレス適性と覚悟が足りない。
つまり、黒ドレスという装備に対して精神パラメータが追いついていません。
本編自覚後春麗なら、
黒への覚悟:95
リュウに見られる覚悟:95
面倒な自分の受容:100
責任圧:98
くらいあります。
でも今回のIF春麗は、
黒への覚悟:40
リュウに見られる覚悟:35
面倒な自分の受容:未習得
です。
だから黒を使い切れない。
春麗の発動スキル
1. 《黒衣視線誘導・未完成》
黒ドレスの基本スキルです。
本来なら、リュウの視線・呼吸・踏み込みに遅れを発生させます。
今回も序盤では発動しています。
リュウは黒を見る。
一拍遅れる。
春麗はそこを取る。
ただし、未完成です。
理由は、春麗自身が「見られること」を完全に引き受けていないからです。
効果:
リュウ初動遅延:小〜中
視線誘導:成功
春麗自身の硬直:同時発生
ここが問題です。
リュウを揺らすはずの黒が、春麗自身も揺らしている。
つまり、デバフが敵味方両方に入っています。
2. 《戦術と言い聞かせる》
自覚前春麗の防御スキルです。
効果:
リュウへの意識を「戦術」として処理する
一時的に動揺を抑える
ただし本質を突かれると崩れる
今回、春麗は何度もこう処理します。
これは戦術。
リュウの反応を見るため。
黒で勝てばいい。
でも、これは防御として弱い。
なぜならリュウに、
「黒を着ている。でも、まだ迷っている」
と言われた瞬間、破られているからです。
これはRPGで言うと、精神防御バフが一撃で解除された状態です。
3. 《黒への執着:未発動》
今回のバトル中は、まだ完全発動していません。
しかし敗北後に覚醒フラグが立ちます。
戦闘中:未発動
敗北後:発芽
効果:
次戦以降、黒ドレス固定選択率上昇
黒ドレス適性の成長速度上昇
ただし感情の拗れも上昇
このIFの核心は、勝利ではなく敗北後のこのスキル発芽です。
春麗は黒で負けた。
だから黒を捨てるのではなく、黒に執着する。
これは非常に重要です。
リュウ側ステータス
リュウ:十連敗後十一戦目勝利済み
攻撃力:84
耐久:95
不屈:100
春麗観察:88
黒耐性:55
春麗迷い感知:90
精神直感:85
リュウは黒ドレス自体への耐性はまだ高くありません。
でも今回は、黒そのものを見切ったのではなく、春麗の迷いを見切った。
これが勝因です。
リュウの発動スキル
1. 《不屈》
いつものリュウの基本スキルです。
十連敗しても折れない。
十一戦目で勝つ。
黒ドレスを見ても逃げない。
今回も発動しています。
春麗の黒で揺れても、拳が折れない。
2. 《春麗を見る》
今回の決定的スキルです。
リュウは黒ドレスを見る。
だが、黒ドレスだけを見ない。
黒を着た春麗を見る。
ここが本編にも通じる重要ポイントです。
効果:
衣装・視線誘導の奥にある春麗の状態を観察
春麗の迷いを検出
黒衣視線誘導の効果を一部軽減
そしてリュウは言ってしまう。
「黒を着ている。でも、まだ迷っている」
「お前は、その黒を全部使えていない」
これは春麗に対するクリティカルです。
ダメージ種別は物理ではなく、精神属性です。
3. 《未完成看破》
今回の新規発動スキルです。
リュウは、黒ドレス春麗の完成形を知っているわけではありません。
でも、今の春麗が完成していないことはわかる。
《未完成看破》
対象:
新フォームに迷いがある相手
効果:
相手の新装備・新フォーム補正を一部無効化
精神硬直を誘発
反撃チャンス発生
このスキルが、今回のリュウ勝利の鍵です。
バトルログ風
TURN 1
春麗:《黒衣視線誘導・未完成》発動。
リュウの視線が黒へ引かれる。
リュウ初動遅延。
春麗、序盤優勢。
TURN 2
春麗:黒の裾と踏み込みでリュウを崩す。
リュウ肩に被弾。
春麗「遅いわ」
春麗優勢継続。
TURN 3
リュウ:《春麗を見る》発動。
黒ドレスではなく、黒を着た春麗の呼吸と迷いを見る。
黒衣視線誘導の効果を軽減。
TURN 4
リュウ:《未完成看破》発動。
「黒を着ている。でも、まだ迷っている」
春麗に精神クリティカル。
春麗の《戦術と言い聞かせる》解除。
TURN 5
春麗:怒りで攻撃力上昇。
ただし攻撃に迷いが混ざる。
黒の重さではなく、迷いの重さが発生。
TURN 6
リュウ:裾ではなく踏み込み前の呼吸を見る。
春麗の黒の起点を捕捉。
春麗、終盤で焦り。
FINAL
春麗の掌底もリュウに入る。
しかしリュウの拳が春麗の体幹へ深く入る。
両者崩れかけるが、最後に立つのはリュウ。
RESULT:リュウ辛勝。
なぜ春麗は負けたのか
敗因は、黒ドレスが弱かったからではありません。
むしろ、黒ドレスは強い。
未完成でも、リュウを序盤かなり揺らしています。
敗因は、春麗が黒を使っているつもりで、黒に使われていたことです。
春麗はリュウを揺らしたい。
でも自分も見られることに揺れている。
春麗は黒で勝ちたい。
でも黒を着た自分を受け入れきれていない。
春麗は戦術と言い聞かせる。
でもリュウに迷いを見抜かれる。
つまりこのバトルの春麗は、
強い装備を得たが、精神同調率が足りない状態
です。
本編黒ドレス春麗との違い
ここが非常に重要です。
本編黒ドレス春麗
黒を引き受けている
見られることを戦術化できる
リュウへの期待も認めている
責任圧を使える
届かれても黒の重さに変換できる
IF黒ドレス春麗
黒を着ているが引き受けきれていない
見られることに恥じらいが残る
リュウへの意識を戦術と言い張る
責任圧は未習得
届かれると迷いが露出する
つまり同じ黒ドレスでも、クラスが違います。
本編春麗は、
黒ドレス春麗・覚醒型
今回のIF春麗は、
黒ドレス春麗・未覚醒型
です。
敗北後リザルト
今回一番大事なのは、バトル中よりも敗北後です。
春麗:敗北
ただし《黒への執着》習得フラグ発生
リュウ:勝利
《未完成看破》成功
春麗の黒に対する影響力上昇
関係性:
春麗が黒を捨てるのではなく、黒にこだわるルートへ分岐
春麗は、黒で負けた。
普通なら、
黒は自分に合わない。
となってもおかしくありません。
でもこの春麗は違う。
この黒で負けた。
だから、この黒で勝たなければならない。
になります。
ここから拗れます。
新規スキル・フラグ
春麗獲得フラグ:《黒への執着》
効果:
・次戦以降、黒ドレス選択率大幅上昇
・黒ドレス練度上昇
・リュウに黒を見せたい欲求上昇
・敗北の記憶により感情反応倍率上昇
・ただし序盤は焦り・恥じらいも増幅
これは強力ですが、危険です。
本編春麗の黒は「受容」から強くなります。
IF春麗の黒は「執着」から強くなります。
だから少し歪みます。
リュウ獲得:《春麗の未完成看破》
効果:
・春麗の新フォーム初期段階に対する看破力上昇
・黒ドレス未完成状態への特攻
・ただし春麗が黒を完成させると効果低下
リュウは今回、春麗の迷いを見抜きました。
しかし次の春麗が迷いを減らしてきた場合、このスキルだけでは通用しません。
このIFのルート名
RPG的にルート名をつけるなら、
黒執着ルート
です。
本編は、
黒受容ルート
今回のIFは、
黒執着ルート
本編春麗は、
私は面倒な女なのよ。だから黒を着る。
IF春麗は、
黒で負けた。だから黒で勝つまで終われない。
この違いです。
総合評価
春麗:
新装備「黒ドレス」を入手
ただし精神同調不足
初戦敗北
敗北により《黒への執着》フラグ発生
リュウ:
春麗の黒そのものではなく、黒を着た春麗の迷いを看破
辛勝
春麗を黒執着ルートへ進ませる原因になる
今後:
春麗は黒を捨てない
むしろ黒にこだわる
黒を着るたびに、リュウに見抜かれた敗北が蘇る
その悔しさが黒ドレスの練度を上げる
結論
今回のバトルはRPG的には、
高性能新フォームの初装備イベントで、精神同調不足により敗北するが、その敗北が専用ルートを開放するイベント
です。
春麗は黒ドレスを得ました。
しかし、黒を引き受けきれず負けました。
その敗北によって、黒を捨てるのではなく、黒に執着するようになる。
一言でまとめるなら、
本編春麗は黒を受け入れて強くなった。
このIF春麗は黒で負けたことで、黒に取り憑かれ始めた。
このバトルは、その分岐点です。