また戦ってくれ――リュウと春麗、紙一重のライバル譚―― 作:エーアイ
裏ルート最難関、黒証明ルート攻略の続きです。
前回、春麗はまた戦闘では勝ちました。けれど、リュウは黒を否定せず、黒で勝った春麗も認めたうえで、春麗に「青でも見るのか」と問わせました。
今回は、いよいよ救済の核心――黒でも青でも見る。俺が見るのは、お前だへ到達する話です。
春麗は、青い武道服を見ていた。
黒ではない。
青。
それを前にしている自分に、春麗は少しだけ苛立っていた。
どうして。
そう思う。
次も黒で来ると言った。
次も黒で沈めると言った。
リュウに、黒は強いと認めさせた。
黒を使えていると認めさせた。
黒で勝った自分も見ると言わせた。
それなのに。
春麗は今、青を見ている。
黒いドレスは隣に掛けてある。
着ようと思えば、いつでも着られる。
黒はもう春麗に馴染んでいる。
リュウを沈められる。
リュウに勝てる。
黒でなら、春麗は優位に立てる。
なのに、青が視界から離れない。
リュウの声が残っている。
青のお前も、迷っていたお前も、黒で終われなかったお前も、俺は見る。
春麗は、唇を噛んだ。
「……勝手なことを言って」
黒で負けたくせに。
黒で沈められたくせに。
何度も膝をついたくせに。
それでも、リュウは言った。
黒だけではない。
春麗は青い武道服に触れる。
指先に、懐かしい感触が乗る。
青は軽い。
黒のように、着る前から空気を沈めない。
リュウに責任を問うための重さもない。
敗北を上書きするための黒でもない。
青は、春麗の原点だった。
けれど今、その青を着ることが、黒よりも怖かった。
黒なら言い訳ができる。
リュウに見抜かれたから。
黒で勝ちたいから。
黒で認めさせたいから。
リュウに責任を取らせたいから。
でも青は違う。
青でリュウの前に立つということは、黒に隠れていない自分を見せることだった。
春麗は、青を握る手に力を入れた。
「……別に、あなたのために青を着るわけじゃないわ」
誰もいない部屋で、春麗は言った。
「確認よ」
いつもの言い訳だった。
けれど、今日はそれが少し弱い。
春麗は鏡を見た。
黒いドレスではない春麗が、そこに立とうとしている。
黒に囚われた春麗ではない。
黒でリュウを沈める春麗でもない。
青い武道服の春麗。
その自分を、リュウは見ると言った。
春麗は小さく息を吐いた。
「なら、見せてあげる」
声が震えそうになる。
だから、少し強く言い直す。
「ただし、勘違いしないで。これは、逃げじゃない」
青へ逃げるのではない。
黒を捨てるのでもない。
黒で勝てなくなったから青に戻るのでもない。
黒で勝った。
黒を使えた。
そのうえで、青を着る。
それができるかどうか。
それを、確かめに行く。
春麗は黒いドレスから視線を外した。
そして、青い武道服に袖を通した。
修行場に着いた時、リュウはすでにいた。
いつもの白い胴着。
赤い鉢巻。
静かな構え。
春麗は歩み寄る。
リュウがこちらを見る。
その視線が、春麗の青で止まる。
春麗は、少しだけ胸が跳ねるのを感じた。
黒ではない。
今日は、青。
リュウは言った。
「青だな」
春麗は目を細める。
「見ればわかるわ」
「そうだな」
「それだけ?」
言ってから、春麗は内心で自分を責めた。
聞いてしまった。
何か言わせようとしている。
本当に面倒。
リュウは少し考えた。
春麗は身構える。
この男の言葉は危険だ。
黒の時もそうだった。
短くて、まっすぐで、逃げ場がない。
リュウは言った。
「来たんだな」
春麗は止まった。
青い武道服を着て来た。
黒ではなく、青で来た。
ただそれだけの意味かもしれない。
けれど、春麗には違って聞こえた。
黒から。
青へ。
来たんだな。
春麗は顔を逸らしそうになり、こらえた。
「……ええ」
声が少しだけ低くなる。
「来たわ」
リュウは春麗を見る。
黒の時と同じように。
いや、少し違う。
黒を警戒する目ではない。
黒に沈まないように耐える目でもない。
春麗を探す目だった。
その視線が、今度は青の春麗へ向けられている。
春麗は腕を組んだ。
「昨日、言ったわよね」
「ああ」
「青でも見るって」
「ああ」
「なら」
春麗は一歩近づく。
「見なさい」
リュウは頷いた。
「見る」
即答。
春麗は胸の奥が熱くなるのを感じた。
本当に、この男は。
「ただし」
春麗は構える。
「青だからといって、軽いと思わないことね」
リュウも構える。
「わかった」
「黒だけが重いと思っていたら、痛い目を見るわ」
「ああ」
「それと」
春麗は少しだけ目を細めた。
「私が青で来たからといって、救われたと思わないこと」
リュウは静かに答えた。
「思っていない」
春麗は一瞬、言葉に詰まる。
「……そう」
それは少し、悔しいほど正しかった。
まだ救われていない。
春麗自身も、そう思っている。
これは救済ではない。
確認だ。
本当にリュウが、黒でも青でも見るのか。
そして自分が、黒で勝った後でも青を着られるのか。
その確認。
春麗は踏み込んだ。
青は速かった。
黒のように空気を沈めない。
春麗の身体が先へ出る。
裾の重さはない。
髪も黒の時ほど視線を絡めない。
踏み込みは軽い。
だが、昔の青ではなかった。
黒を通っている。
黒でリュウを沈めた記憶。
黒でリュウに勝った記憶。
黒の奥を見られた記憶。
黒だけではないと言われた記憶。
それらが、青の中に残っている。
春麗は速く、軽く、しかし要所だけ重かった。
リュウは追う。
追いすぎない。
青を追えば遅れることを、リュウは知っている。
だからリュウは、春麗の先を見る。
春麗は笑った。
「そう。まだ覚えているのね」
リュウの拳が来る。
春麗は外す。
青の速度で横へ抜ける。
だが、抜けた先で一拍だけ止まる。
黒で覚えた間。
リュウの目が動く。
春麗はその反応を見る。
見ている。
リュウは青の速度だけを追っていない。
黒で覚えた重さも見ている。
春麗は胸の奥がざわついた。
嬉しい。
腹立たしい。
だから、もっと先へ行く。
蹴り。
リュウは受ける。
掌底。
リュウは半歩外す。
春麗は追わない。
逆へ跳ぶ。
青の戻り偽装。
リュウは一瞬遅れる。
春麗の蹴りが肩へ入る。
リュウの身体が揺れる。
「どう?」
春麗は低く言う。
「黒じゃなくても、私は沈められるわよ」
リュウは息を整える。
「沈めるだけじゃない」
春麗の動きが一瞬だけ止まりかける。
「何?」
「今日の青は、戻っている」
春麗は眉をひそめる。
「戻っている?」
「だが、前と同じではない」
リュウは拳を構える。
「黒を知っている」
春麗は、笑った。
危うい笑みではなかった。
少しだけ、悔しそうな笑みだった。
「よく見ているじゃない」
「見ると言った」
「ええ。言ったわね」
春麗は踏み込む。
「なら、もっと見なさい」
青が加速する。
リュウは追わない。
待つ。
青の先で。
だが、春麗もそれを知っている。
以前、リュウは青の先で待った。
春麗を倒した。
その敗北を、春麗は覚えている。
だから、今日は先へ行くだけではない。
先へ行くと見せて、戻る。
戻ると見せて、黒のように沈む。
沈むと見せて、また青で抜ける。
リュウの視線が追いつきかける。
春麗はさらに一段ずらす。
「青でも見るんでしょう?」
春麗は言う。
「なら、見失わないことね」
リュウは踏み込む。
春麗の行く先ではなく、春麗が戻る場所へ拳を置く。
春麗はそれを読んでいた。
戻らない。
さらに外へ出る。
青い武道服が夜の中で揺れる。
リュウの拳が空を切る。
春麗の掌底がリュウの胸へ入る。
浅い。
だが、確かに入った。
リュウは下がる。
春麗は追わない。
「黒なら、ここで沈めていたわ」
リュウは春麗を見る。
「なぜ沈めない」
春麗は少しだけ止まった。
なぜ。
春麗自身も、少しだけ答えに困った。
黒なら沈める。
勝つために沈める。
リュウを黙らせるために沈める。
黒を証明するために沈める。
でも今日は青だ。
沈めるためだけの青ではない。
「……今日は」
春麗は小さく言う。
「見せに来たのよ」
言ってしまった。
戦闘中に。
春麗はすぐに目を細める。
「勘違いしないで」
リュウは黙っている。
「あなたに見てもらいたいからじゃないわ」
リュウはなお黙っている。
「黒だけではないと言ったあなたが、本当に見るのか試しているだけ」
リュウは言った。
「見ている」
春麗は息を止めそうになった。
短い。
本当に短い。
なのに、届く。
春麗は青で踏み込んだ。
今度は速い。
感情が乗った。
黒なら重くなる感情が、青では速度になる。
リュウは受ける。
間に合わない。
春麗の蹴りがリュウの脇腹へ入る。
リュウが片膝をつきかける。
しかし、踏みとどまる。
「まだ立つのね」
「ああ」
「本当に、不屈」
春麗は笑った。
「でも今日は、それが少し腹立たしくないわ」
言ってから、春麗は自分で驚いた。
腹立たしくない。
そんなことを、なぜ言ったのか。
リュウは見る。
春麗はその視線から逃げなかった。
「……今のは忘れなさい」
「忘れない」
「忘れなさい」
「無理だ」
春麗は頬が熱くなるのを感じた。
「あなたね」
リュウは拳を握る。
「今日の青は、黒から逃げていない」
春麗は止まった。
リュウは続ける。
「黒を捨ててもいない」
春麗の青が、一瞬だけ揺れる。
「黒で勝ったお前が、青で来た」
リュウは春麗を見る。
「俺は、それを見ている」
春麗の胸の奥で、何かがほどけそうになった。
春麗は、すぐにそれを黒で押さえようとして。
今日は黒ではないことに気づく。
青だった。
青では、押さえきれない。
だから春麗は、一歩下がった。
戦闘中に。
初めて、自分から距離を取った。
リュウは追わない。
ただ、見る。
春麗は息を整える。
「……そう」
声が少しだけ震える。
「なら、答えなさい」
リュウは静かに待つ。
春麗は、青い袖を握った。
「黒でも見ると言った」
「ああ」
「青でも見ると言った」
「ああ」
「黒で勝った私も見ると言った」
「ああ」
「黒であなたを黙らせようとした私も見ると言った」
「ああ」
春麗は顔を上げる。
「じゃあ」
声が小さくなる。
「迷っていた私も?」
リュウは即答しなかった。
春麗の胸が痛む。
その間が、怖かった。
だが、リュウは逃げるために黙ったのではなかった。
言葉を選んでいた。
そして言った。
「見る」
春麗は目を閉じそうになる。
「黒で終われなかった私も?」
「見る」
「青に戻るのが怖い私も?」
「見る」
春麗は唇を噛む。
「……私が、面倒でも?」
リュウは言った。
「知っている」
春麗は、完全に止まった。
その言葉。
知っている。
それは、甘くて、重くて、逃げ場がなかった。
春麗は小さく笑った。
「そう」
声が震えた。
「知っているのね」
「ああ」
「それでも?」
「見る」
春麗は、しばらくリュウを見ていた。
戦闘の構えは、もう少しだけ崩れている。
それでも、勝負は終わっていない。
春麗はまだ立っている。
リュウも立っている。
だが、もうさっきとは違う。
春麗は、ゆっくりと言った。
「言いなさい」
リュウを見る。
「あなたが、本当に何を見るのか」
リュウは春麗を見た。
黒ではない。
青でもない。
今、そこにいる春麗を。
そして、言った。
「黒でも青でも見る」
春麗の息が止まる。
リュウは続ける。
「俺が見るのは、お前だ」
風が止まったように感じた。
春麗は動けなかった。
その言葉を待っていたわけではない。
そんなはずはない。
でも、聞いた瞬間、胸の奥にあった黒の結び目がほどける音がした。
黒を否定されたのではない。
青を選べと言われたのでもない。
黒でも青でも、見る。
黒で勝った春麗も。
青に戻るのを怖がった春麗も。
迷っていた春麗も。
面倒な春麗も。
俺が見るのは、お前だ。
春麗は、目を伏せた。
「……本当に」
声が小さい。
「本当に、あなたは」
言葉が続かない。
腹が立つ。
悔しい。
嬉しい。
怖い。
そして、少しだけ安心した。
春麗は青い袖を握る。
黒ではない青。
けれど、黒を捨てた青ではない。
青を着ている自分が、ここにいる。
リュウが見ている。
春麗は深く息を吸った。
「今日は」
リュウを見る。
「私の負けではないわ」
リュウは頷く。
「ああ」
「あなたの勝ちでもない」
「ああ」
「でも」
春麗は少しだけ笑った。
「少しだけ、あなたが見たことは認めてあげる」
リュウは黙っている。
春麗は続ける。
「黒でも青でも見る、なんて」
声が少しだけ柔らかくなる。
「簡単に言った責任、わかっているの?」
リュウは答える。
「取る」
春麗は目を細めた。
「またそれ」
「違ったか」
「違わないわ」
春麗はゆっくり構え直した。
青い武道服が、風に揺れる。
「今日はここまで」
リュウが見る。
「終わりか」
「ええ」
「なぜだ」
春麗は少しだけ視線を逸らす。
「これ以上続けたら」
一拍。
「青で泣きそうになるからよ」
言ってしまった。
春麗は自分で驚いた。
リュウも少しだけ目を動かした。
春麗はすぐに言う。
「勘違いしないで。泣かないわ」
「ああ」
「絶対に泣かない」
「ああ」
「でも今日はここまで」
「わかった」
春麗は背を向けた。
歩き出す。
青い武道服が、黒よりも軽く揺れる。
春麗は数歩進んでから、止まった。
振り返らずに言う。
「次は、黒かもしれないわ」
「ああ」
「青かもしれない」
「ああ」
「どちらでもないかもしれない」
「ああ」
春麗は、少しだけ笑った。
「見るんでしょう?」
リュウは答えた。
「見る」
春麗は目を伏せる。
「なら、忘れないことね」
一拍。
「私を見つけた責任」
リュウは言った。
「忘れない」
春麗は歩き出した。
黒はまだ消えていない。
青に戻ったからといって、黒が消えるわけではない。
けれど、黒はもう一つだけ変わっていた。
黒でなければならない、ではなくなった。
青でも見られる。
迷っていても見られる。
面倒でも、見られる。
春麗は夜道を歩きながら、小さく呟いた。
「……私を救ったつもりなら」
声は震えていない。
「責任、重いわよ」
誰にも聞こえない。
けれどきっと、次の戦いで届く。
黒でも。
青でも。
その奥でも。
Q:今回の妄想章IFについて解説して?
A:
はい。執筆者として見ると、今回の妄想章IFは、裏ルート最難関の救済イベント本番です。
前回までは、リュウが段階的に攻略していました。
黒を否定しない。
黒で負けたことを認める。
黒で勝った後も終われていなかった春麗を見る。
黒を使えている春麗を認める。
そのうえで、黒だけではない春麗を見る。
そして今回、ついに核心の言葉に到達しました。
黒でも青でも見る。
俺が見るのは、お前だ。
これは完全に、拗れルート救済のキー台詞です。
今回の一番大きな意味
今回の春麗は、黒ではなく青で来ました。
ここが最大の変化です。
救済前の拗れ春麗にとって、黒は勝利の証明でした。
黒でリュウに勝つ。
黒で認めさせる。
黒で沈める。
黒で終わらせる。
そのための黒だった。
でも今回、春麗は青を選んだ。
これは、黒を捨てたわけではありません。
黒で勝てなくなったわけでもありません。
むしろ黒で勝ったあとに、青を選んでいます。
ここが重要です。
つまり今回の青は、
黒から逃げた青ではなく、黒で勝った春麗が、それでも選んだ青
です。
だから非常に強いです。
春麗にとって青の方が怖かった
今回の面白いところは、春麗にとって黒より青の方が怖くなっている点です。
黒なら言い訳できます。
リュウに見抜かれたから。
黒で勝ちたいから。
黒で認めさせたいから。
責任を取らせたいから。
でも青は違います。
青は、春麗の原点です。
黒に隠れていない春麗です。
黒の責任圧や証明欲をまとわない春麗です。
だから、青でリュウの前に立つことは、かなり無防備です。
今回の春麗は、黒を脱いで弱くなったのではなく、黒で守っていた部分を青で見せに来たわけです。
ここがかなり甘く、同時に怖い。
リュウの「来たんだな」が刺さる理由
リュウの最初の強い台詞は、
来たんだな
です。
これは単に「修行場に来た」という意味にも読めます。
でも春麗には違って聞こえる。
黒から青へ来た。
黒で勝った場所から、青を着て来た。
黒に閉じこもらずに、こちらへ来た。
そう響いてしまう。
リュウはたぶんそこまで意図していないかもしれません。
でも、春麗には刺さる。
これは本作のリュウらしい無自覚さです。
戦闘としても重要な回
戦闘面でも、今回の青は非常に重要です。
春麗の青は、昔の青ではありません。
黒を通過しています。
だから、ただ速いだけではない。
黒の間。
黒の重さ。
黒でリュウを沈めた経験。
黒でリュウに見られた経験。
それが全部青に混ざっています。
つまり今回の春麗は、
黒を知った青
になっています。
これは救済後春麗の基本形に近いです。
まだ完全救済ではありませんが、フォームとしてはかなり完成に近づいています。
リュウは青も黒も同時に見た
リュウは今回、青を単なる青として見ていません。
今日の青は、黒から逃げていない。
黒を捨ててもいない。
黒で勝ったお前が、青で来た。
ここが非常に重要です。
リュウは、青を「黒の否定」として扱っていません。
普通なら、
やっと黒をやめたんだな
青に戻ったんだな
と言いそうな場面です。
でもリュウはそうしない。
黒を否定しない。
黒を捨てた扱いにしない。
黒で勝った春麗が、青を選んだことを見る。
これが正解です。
この言い方だから、春麗は救われる方向へ動けます。
春麗が問いを重ねる場面が救済の核心
今回の中心は、春麗がリュウに問い続ける場面です。
迷っていた私も?
黒で終われなかった私も?
青に戻るのが怖い私も?
私が、面倒でも?
これはかなり大きいです。
春麗は、自分から確認しています。
黒でも見るのか。
青でも見るのか。
迷っていても見るのか。
黒で終われなかった自分も見るのか。
面倒でも見るのか。
つまり、春麗はリュウに対して、
本当に私全部を見るのか
を確認している。
これはもう救済直前ではなく、救済そのものです。
そしてリュウは逃げません。
最後に、
知っている
と言う。
ここがかなり刺さります。
春麗が「私が面倒でも?」と聞いた時に、「それでも見る」ではなく、まず「知っている」と返す。
つまり、リュウは今さら春麗の面倒さに気づいたのではない。
もう知っている。
知ったうえで、見る。
これは春麗にとってかなり大きいです。
「黒でも青でも見る」は救済だが、恋愛告白ではない
この台詞は、恋愛告白に近い重さを持っています。
でも、リュウ本人はたぶん恋愛告白として言っていません。
リュウにとっては、格闘家として、そして春麗を見る者としての答えです。
黒でも青でも見る。
強い春麗も、迷った春麗も、面倒な春麗も見る。
俺が見るのは、お前だ。
だからこそ強い。
恋愛として狙って言っていたら、少し軽くなる可能性があります。
リュウは本気で、ただ春麗を見ようとしている。
それが春麗には、恋愛以上に深く刺さる。
春麗は救われたが、すぐ甘くはなりきらない
今回、春麗はかなり救われています。
ただし、すぐに完全に甘くなるわけではありません。
春麗は、
今日は、私の負けではないわ
あなたの勝ちでもない
少しだけ、あなたが見たことは認めてあげる
と言っています。
ここが春麗らしいです。
全面降伏しない。
救われたと素直には言わない。
でも、見られたことは認める。
この半歩引いた受け入れ方が良いです。
完全に素直にならないからこそ、春麗らしい。
「青で泣きそうになるからよ」が非常に強い
今回もっとも甘く、危うい台詞はここです。
これ以上続けたら、青で泣きそうになるからよ。
これはかなり踏み込んでいます。
黒なら、泣かない。
黒なら、沈める。
黒なら、責任圧に変換できる。
でも青では、感情がそのまま出そうになる。
青は軽い。
軽いから、隠せない。
春麗がここまで言うのは、救済後に近い状態です。
ただし、本人はすぐに、
勘違いしないで。泣かないわ
絶対に泣かない
と防御します。
この防御も含めて、非常に春麗らしいです。
今回のリザルト
RPG的に見るなら、今回のリザルトはこうです。
春麗:
黒固定状態から脱出開始。
青選択に成功。
黒を捨てずに青を着ることができた。
「面倒でも見るのか」と確認し、リュウから肯定を得る。
救済イベント成立。
リュウ:
戦闘勝敗ではなく、救済判定に成功。
《黒でも青でも見る》を正式発動。
《春麗を見る》が裏ルート救済スキルとして完成。
関係性:
黒証明ルートから、救済後黒青選択ルートへ移行。
今回で、裏ルートはほぼ救済成功です。
まだ後日談として、戦わない黒や甘い黒ドレス春麗に進む余地があります。
今回の意味を一言でまとめるなら
今回の話は、
黒で勝ち続けた春麗が、黒を捨てずに青を着て、リュウに“私全部を見るのか”を確認し、リュウがそれに答えた救済回
です。
黒は否定されていない。
青も捨てられていない。
迷っていた春麗も、黒で終われなかった春麗も、面倒な春麗も否定されていない。
だから春麗は、黒から出られる。
ただし、黒を捨てるのではありません。
黒でも青でも選べる春麗になる。
これが今回の到達点です。
結論
今回の妄想章IFは、裏ルート最難関攻略の決定的な救済回です。
リュウは春麗に勝ったわけではありません。
でも、春麗を黒から出す言葉を言えました。
春麗は負けたわけではありません。
でも、リュウに見られることを認めました。
一言で言うなら、
戦闘ではなく、視線と言葉でリュウが春麗を救った回。
そしてここから、拗れルート救済後春麗――
本編より少し甘く、でも本編よりさらに重い春麗へ進めると思います。