また戦ってくれなんて言わないで ――春麗は今日もめんどくさい―― 作:エーアイ
本編の「めんどくさい女と自覚した春麗」が、どこかの平行世界で展開された裏ルート救済後春麗の固有パッシブ――自分とは異なる性能の《リュウ関連イベントへの感情反応倍率上昇》を、残響として受信してしまった話です。
以下裏ルート固有パッシブです
執筆者としては、裏ルートの拗れ最難関救済ルート春麗は、確実に《リュウ関連イベントへの感情反応倍率上昇》を持っていると考えます。
しかも本編春麗より、倍率の質が違います。
本編のめんどくさい女自覚春麗の倍率上昇は、
「リュウが私に届く/見てくる/言葉を刺してくる」ことへの反応
です。
一方、裏ルート最難関救済後春麗の場合は、
「リュウが私を拗れさせ、黒で勝った私まで見て、黒でも青でも見ると言い、救った」ことへの反応
です。
つまり、倍率の根が深いです。
裏ルート春麗の感情反応倍率はかなり高い
この春麗は、リュウ関連イベントに対して非常に反応します。
たとえば、リュウが以下のようなことを言うだけで大きく揺れます。
「見る」
「黒でも青でも見る」
「俺が見るのは、お前だ」
「黒なのに、自由だった」
「今日の青は、黒を知っている」
「前より、苦しくなかった」
「忘れない」
本編春麗なら、これらを受けて怒る、照れる、責任圧に変換する。
でも裏ルート救済後春麗は、さらに一段深く反応します。
なぜなら、その言葉が全部、救済イベントの記憶に接続されるからです。
スキル名としてはこうです
RPG的にするなら、こういうパッシブです。
《リュウ関連イベントへの感情反応倍率上昇・救済後》
効果:
・リュウの視線、言葉、再戦宣言、評価台詞に強く反応する
・黒/青/どちらでもない姿を見られた時に精神バフ発生
・リュウの「見る」「忘れない」「責任を取る」系台詞で反応倍率上昇
・戦闘中は速度、黒制御力、フォーム自由度に補正
・日常中は甘さ、照れ、責任圧が上昇
ただし、救済後なので完全なデメリットではありません。
救済前は、反応倍率上昇が暴走しやすいです。
救済前:
反応倍率上昇 → 黒執着強化 → リュウを沈める → さらに拗れる
救済後は、変換先が増えています。
救済後:
反応倍率上昇 → 甘さ/自由度/黒青選択/見届け要求へ変換
ここが大きな違いです。
本編春麗との違い
本編春麗の倍率上昇は、まだかなり戦闘的です。
本編春麗:
リュウが届く
↓
悔しい
嬉しい
腹立たしい
↓
次の青を更新する
次の黒を重くする
責任圧が上がる
裏ルート救済後春麗は、救済記憶があるのでこうなります。
裏ルート救済後春麗:
リュウが見る
↓
救われた記憶が反応する
黒でも青でも見られる安心が出る
でも責任はさらに重くなる
↓
甘さと重さが同時に上がる
つまり、裏ルート春麗の方が甘さへの変換効率が高いです。
その代わり、責任圧も重い。
具体例
リュウが戦闘後に、
「今日の黒は、自由だった」
と言った場合。
本編春麗なら、
「……そういうことを戦闘後に言わないで」
となり、照れと責任圧が発動します。
裏ルート救済後春麗なら、さらに重くなります。
「黒でも青でも見るって言ったあなたが、今度は黒を自由だと言うのね」
「本当に、責任が増える一方ね」
こうなります。
リュウの一言が、過去の救済イベント全部に接続されるからです。
ただし、救済後は制御可能
重要なのは、救済後春麗はこの倍率に飲まれにくくなっていることです。
救済前の拗れ春麗は、倍率上昇が黒暴走に直結しました。
でも救済後は、
黒でも青でもない私も見られた
黒を捨てなくてもいい
青に逃げたわけでもない
リュウは見ると言った
という安定軸があります。
だから、倍率は高いけれど、暴走ではなく「甘さ」「自由」「選択」に変換できます。
結論
はい。
裏ルートの拗れ最難関救済ルート春麗は、間違いなく《リュウ関連イベントへの感情反応倍率上昇》を持っています。
ただし、それは救済前の暴走型ではなく、救済後の変換型です。
一言でまとめるなら、
裏ルート救済後春麗は、リュウ関連イベントへの反応倍率が本編春麗以上に高い。
ただし救済によって、その反応を黒執着ではなく、甘さ・自由・見届け要求・黒青選択へ変換できるようになった春麗。
春麗は、しばらく黙っていた。
それは戦闘記録ではなかった。
勝敗の記録でもない。
技の解析でもない。
黒と青のフォーム差分でもない。
もっと厄介なものだった。
自分とは違う春麗。
黒に囚われ、リュウに救われ、黒でも青でも見られることを知ってしまった春麗。
その春麗が持っている、感情の癖。
リュウ関連イベントへの感情反応倍率上昇。
春麗は、その残響を受信してしまった。
「……何よ、それ」
呆れた声だった。
けれど、呆れて終われない。
なぜなら、それは他人事ではなかったからだ。
本編の春麗も、自分がリュウに対して面倒な反応をすることは知っている。
リュウが黒の奥に届きかける。
リュウが青の先で待つ。
リュウが「今日の青は好きだ」などと戦闘評価のつもりで言う。
リュウが何気なく「見る」と言う。
そのたびに、春麗の中では余計なものが動く。
悔しい。
嬉しい。
腹立たしい。
もっと来てほしい。
でも簡単に来られるのは嫌。
見てほしい。
でも見ただけで満足されるのはもっと嫌。
そういう、自分でもかなり面倒だと思う反応がある。
春麗は、それを自覚している。
だからこそ、自分の黒は重い。
だからこそ、自分の青は面倒になる。
けれど、断章で見た裏ルートの春麗は違った。
同じ《リュウ関連イベントへの感情反応倍率上昇》を持っている。
でも、性能が違う。
本編の春麗の倍率は、戦闘を更新する。
リュウが届く。
春麗が揺れる。
悔しさと嬉しさが黒や青へ変換される。
次の黒は重くなる。
次の青は遠くなる。
そういう倍率だ。
だが、裏ルート救済後の春麗は違う。
リュウが見る。
春麗が揺れる。
救われた記憶が反応する。
黒でも青でも見られる安心が立ち上がる。
同時に、責任圧が増える。
甘さが増える。
黒も青も選べる自由度が上がる。
春麗は、眉間に指を当てた。
「……つまり、あちらの私は」
言葉にすると、腹が立つ。
「リュウに反応するほど、甘くなるの?」
そう。
それが厄介だった。
本編の春麗は、リュウに反応するほど強くなる。
黒が重くなる。
青が速くなる。
戦闘の圧が上がる。
もちろん、甘さも漏れる。
でも基本は、戦闘へ変換する。
ところが、裏ルート救済後の春麗は違う。
もちろん強くなる。
黒も自由になる。
青も黒を残して速くなる。
どちらでもない朝まで歩ける。
でも、それに加えて。
甘くなる。
リュウが「見る」と言えば、救済の記憶が鳴る。
リュウが「忘れない」と言えば、責任を増やす。
リュウが「自由だ」と言えば、黒でも青でも少しほどける。
春麗は、唇を引き結んだ。
「ずるいわね」
何度目かの言葉だった。
裏ルートの春麗に対して、春麗は何度もそう思っている。
拗れたくせに。
黒に囚われたくせに。
リュウに圧勝して、黒を正しさとして固定しかけたくせに。
最後には救われている。
黒でも青でも見ると言われている。
黒でも青でもない朝まで歩いている。
そして今度は、リュウ関連イベントへの反応倍率が、甘さへ変換されるようになっている。
「本当に、ずるい」
春麗は低く言った。
でも、完全に否定はできない。
あちらの春麗は、遠回りした。
黒で傷つき、黒に縛られ、黒でリュウを沈め、それでも終われなかった。
その奥を、リュウに見つけられた。
だから甘くなるのだ。
救われた記憶があるから。
黒でも青でも見られると知っているから。
春麗は、鏡を見る。
そこにいるのは本編の春麗だった。
自分で立っている春麗。
自分が面倒な女だと認めた春麗。
リュウに責任を問うけれど、自分の面倒さをリュウだけのせいにはしない春麗。
春麗は、鏡の中の自分に言う。
「私は、あなたとは違うわ」
あちらの春麗に向けた言葉だった。
「私は救われたわけじゃない」
少し間を置く。
「自分で立っているの」
そこは譲れない。
けれど。
春麗は、少しだけ目を伏せる。
自分の《リュウ関連イベントへの感情反応倍率上昇》が、戦闘更新に偏っていることも事実だった。
リュウが届くたび、黒を重くする。
リュウが見るたび、青を遠くする。
リュウが言葉を刺すたび、次の戦いを用意する。
それは自分らしい。
でも、別世界の残響を見てしまった今、春麗は思ってしまう。
自分の倍率にも、別の変換先があるのではないか。
リュウに反応した時、全部を黒の重さや青の速さに変えなくてもいいのではないか。
半分くらいは、甘さに変換してもいいのではないか。
春麗は、そこまで考えて顔をしかめた。
「……かなり危険な発想ね」
危険だ。
非常に危険だ。
本編の春麗が甘さへ寄りすぎると、自分の立ち位置が揺らぐ。
自分は救われた春麗ではない。
自分で立つ春麗だ。
だから、甘さを受け取るにしても、自分の足で立ったまま受け取らなければならない。
「半分ね」
春麗は鏡の中の自分に言う。
「半分だけ」
全部は渡さない。
全部は甘くならない。
全部をリュウに預けたりしない。
けれど、リュウに反応した感情の全部を、戦闘に変換しなくてもいい。
半分くらいなら。
春麗は小さく息を吐いた。
「本当に、面倒だわ」
自分で言って、少し笑った。
その日の夕方、春麗は修行場へ向かった。
黒いドレスではない。
青い武道服でもない。
かといって、完全な普段着でもない。
動ける服。
けれど、戦うためだけに選んだ服でもない。
本編の春麗が、最近たまに選ぶようになった、曖昧な服。
黒でも青でもない自分を試す服。
リュウは、すでにいた。
いつものように。
白い胴着。
赤い鉢巻。
静かな目。
春麗が近づくと、リュウは見る。
春麗はその視線を受け止めた。
「今日は黒じゃないんだな」
「ええ」
「青でもない」
「見ればわかるでしょう」
「ああ」
リュウは少し考えた。
春麗は内心で身構える。
この男の自由回答は危険だ。
特に今日は危険だ。
春麗は、自分の感情反応倍率を意識してしまっている。
リュウの一言で、何がどこへ変換されるかわからない。
リュウは言った。
「少し、柔らかいな」
春麗は止まった。
「……何が?」
「今日のお前が」
春麗の胸が、静かに跳ねた。
柔らかい。
それは強さの評価ではない。
黒の重さでも、青の速さでもない。
今日の春麗の状態を見た言葉。
春麗は、すぐに返そうとした。
柔らかいなんて、勝手なことを言わないで。
戦えば硬いわよ。
油断したら沈めるわよ。
そう言おうとした。
だが、言葉は一拍遅れた。
その一拍で、春麗の中の倍率が動いた。
リュウ関連イベントへの感情反応倍率上昇。
発動。
いつもの変換なら、黒の責任圧か青の速度に変わる。
だが今日は、春麗は意識していた。
半分だけ。
半分だけ、甘さへ逃がす。
春麗は目を細めた。
「……そう」
声は思ったより柔らかかった。
自分でも驚く。
リュウも少しだけ目を動かした。
春麗はすぐに言う。
「勘違いしないで。弱いという意味なら、訂正させるわよ」
「弱いとは言っていない」
「なら?」
「逃げていない」
春麗は、また止まった。
来る。
この男は、来る。
黒でも青でもない春麗を、逃げていないと見る。
本当に。
本当に嫌なところへ来る。
春麗は拳を握りかけて、止めた。
今日は半分だ。
全部を戦闘に変換しない。
半分だけ、受け取る。
「……なら」
春麗は言った。
「見ていなさい」
リュウは頷く。
「見る」
その一言。
いつもなら、春麗の中で何かが跳ねる。
今日も跳ねた。
だが、春麗はそれを全部黒にしなかった。
全部青にもできなかった。
半分だけ、胸の奥に残した。
甘い。
少しだけ。
かなり危険な甘さだった。
春麗は軽く構えた。
「今日は少しだけよ」
「戦うのか」
「少しだけ」
「わかった」
リュウも構える。
春麗は踏み込んだ。
黒ほど重くない。
青ほど速くない。
以前のどちらでもない動き。
だが、今日は少し違った。
リュウに「柔らかい」と言われたせいで、身体が少しだけ緩んでいる。
悪い意味ではない。
無駄な力が抜けている。
春麗は、掌底を出す。
リュウは受ける。
軽い音。
沈めない。
置いていかない。
ただ、触れるように打つ。
リュウは少しだけ目を動かした。
「今日は、痛くないな」
春麗は眉を上げる。
「痛くしたい?」
「いや」
「なら黙って受けなさい」
「わかった」
春麗は次の蹴りを出す。
寸前で止める。
リュウの肩の前。
リュウも拳を春麗の手前で止める。
互いに届かせない。
でも、見ている。
春麗はその距離に少しだけ戸惑った。
これは戦闘だ。
だが、いつもの戦闘ではない。
黒の圧でも、青の速度でもない。
反応倍率が上がっているのに、攻撃力へ全振りしていない。
半分だけ、残している。
春麗は小さく言った。
「……変な感じね」
リュウが聞く。
「何がだ」
「私が、あなたの言葉に反応しているのに」
一拍。
「今日は、全部を攻撃にしていないこと」
言ってから、春麗は自分で驚いた。
かなり言った。
かなり、正直に言った。
リュウは黙って春麗を見る。
春麗は、顔が熱くなりそうになる。
「何か言いなさいよ」
リュウは考えた。
「いいと思う」
春麗は、また止まった。
「……何が?」
「全部を攻撃にしないことが」
春麗は目を逸らしそうになった。
危ない。
かなり危ない。
今の言葉は、裏ルート救済後春麗なら甘さへ変換する。
本編春麗はどうする。
春麗は、内心で自分に問う。
答えは出ていた。
半分だけ。
春麗は小さく息を吐く。
「そう」
それだけ言った。
しかし、その声は黒くなかった。
青くもなかった。
ただ、春麗の声だった。
リュウは静かに見る。
春麗は言う。
「今日の私は、面倒でしょう」
リュウは即答した。
「知っている」
春麗は、思わず笑いそうになった。
「……それ、便利に使っていない?」
「そうか」
「そうよ」
「だが、知っている」
春麗は目を伏せる。
反応倍率が、また上がる。
今度は少しだけ、胸の奥が温かくなる。
春麗は構えを解いた。
「今日はここまで」
リュウも構えを解く。
「終わりか」
「ええ」
「決着は?」
「なし」
春麗は言った。
「今日は勝敗のためじゃないもの」
リュウは頷いた。
「そうか」
「不満?」
「いや」
「そう」
春麗は少し不満になる。
けれど、その不満も今日は軽い。
春麗はリュウを見る。
「今日の私は、どうだった?」
聞いてしまった。
また危険な問いを。
リュウは少し考える。
春麗は身構える。
リュウは言った。
「前より、近かった」
春麗は、動けなくなった。
近かった。
距離の話か。
間合いの話か。
感情の話か。
たぶん、リュウは全部をきちんと区別していない。
だから危険だ。
春麗は、ゆっくり息を吐く。
「……そう」
声が震えないようにする。
「なら、今日はそれでいいわ」
リュウは頷く。
「いいのか」
「ええ」
春麗は少しだけ笑った。
「半分だけなら」
リュウは首を傾げる。
「半分?」
「知らなくていいわ」
「そうか」
春麗は背を向けた。
今日は、黒ではなかった。
青でもなかった。
だが、自分の中の《リュウ関連イベントへの感情反応倍率上昇》を、少しだけ別の形で使えた。
戦闘更新だけではない。
黒の重さだけではない。
青の速度だけではない。
半分だけ、甘さへ。
春麗は歩き出しながら、小さく呟いた。
「……あちらの私ほど甘くはならないわよ」
誰にも聞こえない声。
けれど、すぐに続ける。
「でも、半分くらいなら、悪くないかもしれない」
それは、本編春麗が自分のまま獲得した、新しい倍率の使い方だった。
リュウ関連イベントへの感情反応倍率上昇。
本編仕様。
戦闘更新型。
ただし、別世界の残響の影響により、甘さ半分変換機能が暫定解放。
春麗はそのことを認めない。
まだ。
けれど、否定もしきれなかった。
夕方の修行場を離れる春麗の背中は、黒でも青でもなかった。
ただ少しだけ、柔らかかった。
Q:今回の断章IFについて解説して?
A:
はい。執筆者として見ると、今回の断章IFはかなり重要な 「本編春麗が、自分の《リュウ関連イベントへの感情反応倍率上昇》の使い道を増やした回」 です。
一言でまとめるなら、
裏ルート救済後春麗の“甘さ変換型”倍率を見てしまった本編春麗が、自分は救済された春麗ではないと線を引きつつ、リュウへの反応を全部戦闘強化に回さず、半分だけ甘さへ逃がすことを試した断章IF
です。
今回の核は「倍率の変換先が増えた」こと
本編春麗の《リュウ関連イベントへの感情反応倍率上昇》は、これまで基本的に戦闘更新型でした。
リュウが黒の奥に届きかける。
リュウが青の先で待つ。
リュウが「見る」と言う。
リュウが何気ない評価をする。
すると春麗は、
悔しい。嬉しい。腹立たしい。もっと来てほしい。でも簡単には来てほしくない。
という反応を起こし、それを黒の重さや青の速さへ変換していました。
つまり、本編春麗の倍率は、
リュウへの反応
↓
黒の責任圧強化
青の更新
次戦への燃料
でした。
でも今回、春麗は裏ルート救済後春麗の別性能を知ってしまった。
裏ルート救済後春麗は、リュウに反応すると、
リュウへの反応
↓
救済記憶が鳴る
甘さが増える
責任圧も増える
でも黒青選択の自由度も上がる
になります。
これを受信したことで、本編春麗も、
全部を戦闘に変換しなくてもいいのでは?
と考えてしまった。
ここが今回の最大の変化です。
「半分だけ」が本編春麗らしい
今回の春麗は、完全に甘くなったわけではありません。
むしろ、そこに強く抵抗しています。
あちらの私ほど甘くはならないわよ。
でも、半分くらいなら、悪くないかもしれない。
この「半分」が非常に本編春麗らしいです。
裏ルート救済後春麗は、リュウに救われた記憶があるので、甘さへの変換が比較的自然です。
でも本編春麗は違います。
彼女は自分で立っている。
自分が面倒な女であることを、自分で引き受けている。
リュウに責任は問うけれど、自分を全部リュウに預ける気はない。
だから、甘さを取り込むとしても全部ではない。
半分だけ。
この加減がとても大事です。
リュウの「柔らかい」がトリガーになっている
今回、リュウの最初の刺さる言葉は、
少し、柔らかいな
です。
これは春麗にとってかなり危険な評価です。
黒なら「重い」。
青なら「速い」。
本編春麗なら「強い」「鋭い」「迷いがない」あたりなら受け取りやすい。
でも「柔らかい」は、戦闘性能ではなく状態評価です。
リュウは今日の春麗を、攻撃性やフォームではなく、春麗の在り方として見ている。
だから春麗の倍率が発動します。
ただし、今回はいつもと違います。
いつもなら、照れや動揺を攻撃に変える。
今回は意識して、
半分だけ甘さに逃がす。
ここで本編春麗の新しい制御が始まっています。
「全部を攻撃にしていない」がすごく大きい
今回、春麗が自分で言ったこの台詞はかなり重要です。
私が、あなたの言葉に反応しているのに
今日は、全部を攻撃にしていないこと
これは、かなりの自己理解です。
春麗は自分の反応癖を理解しています。
リュウに反応する。
その感情を戦闘に変える。
黒にする。
青にする。
次の攻撃にする。
でも今日は、それを全部やっていない。
これは、春麗が自分のパッシブスキルを自覚し、初めて別運用した瞬間です。
RPG的に言えば、
《リュウ関連イベントへの感情反応倍率上昇》
旧運用:攻撃力・黒圧・青速度へ変換
新運用:一部を甘さ・柔らかさ・近さへ変換
です。
リュウの「いいと思う」が危険
リュウは、春麗のこの変化に対して、
いいと思う
と言います。
これはかなり危険です。
春麗が、全部を攻撃にしない自分を試している。
そこにリュウが「いい」と言う。
つまり、春麗の新しい倍率運用を肯定してしまった。
本編春麗にとってこれは強いです。
裏ルート春麗のように救済されたわけではない。
でも、自分で試した変化を、リュウが見て肯定した。
これで本編春麗の中に、
全部を黒や青に変えなくても、リュウは見るのかもしれない
という小さな確信が生まれます。
「前より、近かった」が今回のリザルトワード
今回一番強い評価は、
前より、近かった
です。
これは非常に良いです。
「柔らかい」も良いですが、最終リザルトとしては「近かった」が効いています。
なぜなら、本編春麗は基本的にリュウとの距離を戦闘で調整します。
青なら先へ行く。
黒なら奥へ沈める。
責任圧で来させる。
届きそうで届かせない。
でも今回、春麗は黒でも青でもなく、感情を全部攻撃に変換しないことで、リュウとの距離が少し近くなった。
これは戦闘的な距離だけではありません。
感情的な距離です。
リュウはそれを「前より、近かった」と表現した。
これが春麗に刺さる。
しかもリュウ本人はたぶん恋愛的に狙っていない。
だから余計に刺さる。
今回の春麗は甘くなったが、弱くなっていない
ここも大事です。
今回、春麗は柔らかくなりました。
でも、弱くなったわけではありません。
むしろ、自分の感情反応を全部攻撃に変えずに済むようになったことで、制御力が上がっています。
今までは、
反応する
↓
攻撃に変える
しかなかった。
今回からは、
反応する
↓
攻撃に変える/甘さに逃がす/距離を近づける
という選択肢が増えた。
これは弱体化ではなく、運用幅の拡張です。
本編春麗と裏ルート春麗の違いが保たれている
今回とても良いのは、本編春麗が裏ルート春麗になっていないことです。
裏ルート救済後春麗は、
救われたから甘くなれる。
本編春麗は、
自分で立っているまま、甘さを半分だけ選ぶ。
この違いが維持されています。
だから今回の断章IFは、裏ルートの上書きではありません。
裏ルートの情報を、本編春麗が自分なりに再構成した話です。
RPG的リザルト
今回の断章IF後の本編春麗は、こういう状態です。
本編春麗・断章IF後リザルト
《リュウ関連イベントへの感情反応倍率上昇》
基本性能:戦闘更新型
追加効果:甘さ半分変換が暫定解放
黒圧変換率:やや低下
青速度変換率:維持
甘さ変換率:新規発生
自己制御力:上昇
リュウへの距離感:やや近化
面倒さ:維持
本編春麗としての自立性:維持
特に重要なのは、面倒さは減っていないことです。
むしろ運用が増えたぶん、別方向に面倒です。
今までは戦闘に変換すれば済んでいた。
でも今後は、甘さに逃がすか、攻撃に変えるか、春麗自身が選ばなければならない。
これはかなり面倒です。
そして、そこが良い。
結論
今回の断章IFは、非常に良い 「本編春麗の感情反応倍率のアップデート回」 です。
裏ルート救済後春麗の“甘さ変換型”パッシブを知ったことで、本編春麗は自分の倍率にも別の使い方があると気づいた。
ただし、彼女は救済された春麗ではない。
だから全部は甘くしない。
半分だけ、甘さへ変換する。
一言でまとめるなら、
本編春麗が、自分で立ったまま、リュウへの反応を全部戦闘に変えない選択を初めて試した断章IF。