また戦ってくれなんて言わないで ――春麗は今日もめんどくさい――   作:エーアイ

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※本編確定ではなく、断章IFです。
本編の「めんどくさい女と自覚した春麗」が、どこかの平行世界で展開された 拗れ最難関救済ルート春麗 の本質――
自分とは異なる甘さを含んだ「めんどくさい女」性を、残響として受信してしまった話です。

裏ルートの春麗について

はい。執筆者としては、裏ルートの拗れ最難関救済ルート春麗も、自分を「めんどくさい女」と自覚していると考えます。

ただし、本編春麗とは少し違います。

本編春麗は、

「ええ、私は面倒な女よ。だから何?」

という、自力受容型の開き直りです。

一方、裏ルート救済後春麗は、

「ええ、私は面倒な女よ。しかも、あなたに見つけられて救われた面倒な女よ。だから責任を取りなさい」

という、救済後依存混じりの開き直りです。

かなり重いです。

本編春麗は、自分の面倒さを自分で引き受けています。
リュウに責任を問うとしても、根っこには「私は私の足で立っている」という自負がある。

でも裏ルート春麗は、一度黒に囚われています。
黒でリュウに勝った。
黒で証明しようとした。
それでも終われなかった。
そこをリュウに見つけられた。

だから彼女の自覚は、単なる自己理解ではなく、

私は面倒な女。
そして、あなたはその一番面倒なところまで見てしまった。

になります。

ここが本編より重い。

開き直り方の違い

本編春麗の開き直りは、こうです。

「私が面倒なのは知っているわ」
「それでも来るんでしょう?」
「なら、責任を取りなさい」

これは強い。
でも、自立しています。

裏ルート救済後春麗は、こうです。

「私が面倒なのは、もうあなたも知っているでしょう」
「黒に囚われた私も、青に戻るのが怖かった私も、あなたは見た」
「だったら、今さら知らないふりは許さないわ」

これは甘い。
でも、かなり重い。

裏ルート春麗は「救済されたこと」まで武器にする

この春麗の怖いところは、救済されたことを弱点にしないところです。

普通なら、

私はリュウに救われた。

で少し弱くなる。

でも裏ルート春麗は、それをこう変換します。

あなたが私を救ったのよ。
なら、救った後の私も見届ける責任があるでしょう?

つまり、救済がそのまま責任圧になる。

これはかなり拗れ春麗らしいです。

救われたから軽くなるのではなく、
救われたからこそ、リュウへの責任要求が深くなる。

本編春麗より甘いが、本編春麗より重い

裏ルート救済後春麗は、本編春麗より甘くなれます。

黒でも青でもない朝を歩ける。
甘いものを半分渡せる。
戦わない黒もできる。
リュウに「見せに来た」と言える。

でも、その甘さには必ず履歴が乗ります。

私を拗れさせた。
私を見つけた。
私を救った。
黒でも青でも見ると言った。
なら、忘れないで。

だから甘いほど重い。

結論

はい。
裏ルートの拗れ最難関救済ルート春麗は、確実に自分をめんどくさい女と自覚しています。

ただし、本編春麗が、

自分で立っている面倒な女

だとすれば、裏ルート救済後春麗は、

リュウに見つけられて救われたことまで含めて開き直った面倒な女

です。

一言でまとめるなら、

本編春麗は「私を面倒にした責任を取りなさい」。
裏ルート救済後春麗は「私を拗れさせて、見つけて、救った責任まで取りなさい」。

この差が、裏ルート春麗の重さであり、甘さです。


断章IF:春麗は、甘く重い私を知ってしまう

 春麗は、しばらく動けなかった。

 

 見たのは戦闘ではない。

 

 黒でもない。

 青でもない。

 勝敗でもない。

 

 もっと厄介なものだった。

 

 どこかの世界の自分。

 

 黒に囚われ、リュウに黒で勝ち、黒で終われず、青に戻るのを怖がり、それでもリュウに見つけられた春麗。

 

 黒でも青でも見る。

 俺が見るのは、お前だ。

 

 その言葉で救われた春麗。

 

 そして、その後の春麗。

 

 甘くなった春麗。

 

 春麗は、鏡の前で腕を組んだ。

 

 「……何よ、それ」

 

 声は低い。

 

 けれど怒りだけではない。

 

 呆れ。

 嫉妬。

 警戒。

 そして、少しの羨ましさ。

 

 それらが混ざっていた。

 

 あちらの春麗は、自分と同じように面倒だった。

 

 いや、たぶん自分より面倒だった。

 

 黒でリュウに勝ちたい。

 黒でリュウを黙らせたい。

 黒で見抜かれた過去を上書きしたい。

 それなのに、黒で勝っても終われない。

 リュウに来てほしい。

 見てほしい。

 でも見られると沈めたい。

 救われたいわけではないのに、見つけられるとほどける。

 

 かなり面倒だ。

 

 間違いなく面倒だ。

 

 春麗は、鏡の中の自分へ言った。

 

 「同類ね」

 

 そこで少し止まる。

 

 「……いいえ。少し違うわ」

 

 同じではない。

 

 本編の春麗は、自分が面倒な女だと自覚している。

 

 リュウに見てほしい。

 届いてほしい。

 でも簡単に届かれるのは嫌。

 黒も青も見てほしい。

 でも見たつもりで済まされるのはもっと嫌。

 

 それを自分で引き受けている。

 

 だから、リュウには責任を問う。

 

 私を面倒にした責任を取りなさい。

 

 そう言える。

 

 けれど、あちらの春麗は違う。

 

 あちらは、もっと深い場所までリュウに見られていた。

 

 黒に囚われたところまで。

 黒で勝っても終われなかったところまで。

 青に戻るのが怖かったところまで。

 面倒な女だと開き直る前の、もっと苦しいところまで。

 

 そして、そこから救われた。

 

 春麗は目を細めた。

 

 「……だから、甘いのね」

 

 言葉にすると、少し胸がざわついた。

 

 あちらの春麗は、自分とは異なる甘さを持っている。

 

 本編の春麗の甘さは、漏れるものだ。

 

 リュウの言葉に止まる。

 リュウの視線に揺れる。

 戦闘後に少し柔らかくなる。

 でも、すぐに責任圧へ戻す。

 黒へ戻す。

 青へ逃がす。

 次の戦いへ変換する。

 

 甘さはある。

 

 でも、簡単には認めない。

 

 一方で、あちらの春麗は。

 

 リュウに見つけられてしまった春麗は。

 

 甘さを、少しだけ許している。

 

 甘いものを半分渡す。

 黒でも青でもない朝に並んで歩く。

 戦わない黒を見せる。

 黒ドレスで、リュウを沈めずに立たせる。

 「私を救った責任」を、平然と積み増す。

 

 春麗は、唇を引き結んだ。

 

 「……甘いのに、重い」

 

 それが一番厄介だった。

 

 あちらの春麗は、甘くなったから軽いのではない。

 

 甘くなった分だけ、重い。

 

 救われたからこそ、

 

 私を拗れさせた責任を取りなさい。

 私を見つけた責任を取りなさい。

 私を救った責任を取りなさい。

 黒でも青でも見ると言ったなら、忘れないで。

 

 になる。

 

 春麗は、少しだけ眉を寄せる。

 

 「……相当ね」

 

 自分で言って、自分に返ってくる。

 

 相当なのは、あちらだけではない。

 

 それを見て羨ましいと思っている自分も、相当だ。

 

 春麗は黒いドレスを見る。

 

 本編の黒。

 

 自分で引き受けた黒。

 

 あちらの黒は、一度呪いになり、証明になり、救済後には約束になった。

 

 自分の黒は違う。

 

 最初から、自分で選んだ黒だ。

 

 リュウに責任を問う黒。

 自分の面倒さを引き受ける黒。

 リュウが黒の奥に来るなら、奥ごと変えてやる黒。

 

 その黒は強い。

 

 自分の黒だ。

 

 でも、あちらの「約束の黒」を見てしまった今、春麗の中には別の問いが残っていた。

 

 私の黒も、甘くなれるのか。

 

 沈めるだけではない黒。

 リュウを立たせたまま見届けさせる黒。

 責任圧だけではなく、約束を含む黒。

 

 そんな黒を、本編の自分が選べるのか。

 

 春麗は、小さく息を吐いた。

 

 「……危ないわね」

 

 危ない。

 

 非常に危ない。

 

 甘さを含んだ黒は、危険だ。

 

 リュウに見られることを許しすぎる。

 リュウの言葉を受け取りすぎる。

 戦闘に逃がす前に、胸の奥へ残してしまう。

 

 それは本編の春麗にとって、かなり危険な進化だった。

 

 でも。

 

 春麗は鏡の中の自分を見る。

 

 「半分だけなら」

 

 いつもの言い訳。

 

 けれど最近、その言葉が妙に馴染んできている。

 

 全部は渡さない。

 

 全部は甘くならない。

 

 救われた春麗にはならない。

 

 自分で立つ春麗でいる。

 

 ただし。

 

 あちらの春麗が得た甘さを、半分だけ知る。

 

 甘くて重い面倒さを、半分だけ参考にする。

 

 「……本当に、厄介なものを見せてくれるわ」

 

 春麗は、誰にともなく呟いた。

 

 その日の夕方、春麗は修行場へ向かった。

 

 黒いドレスではなかった。

 

 青い武道服でもなかった。

 

 普段着に近いが、動ける服。

 

 最近、春麗が時々選ぶようになった、黒でも青でもない姿。

 

 リュウはそこにいた。

 

 いつものように。

 

 春麗を見る。

 

 黒でも青でもない春麗を見る。

 

 春麗はその視線を正面から受ける。

 

 「今日は、黒じゃないんだな」

 

 「ええ」

 

 「青でもない」

 

 「そうね」

 

 リュウは少し考える。

 

 春麗は、少しだけ身構える。

 

 この男の自由回答は危険だ。

 

 今日は特に危険だった。

 

 なぜなら今の春麗は、あちらの甘く重い春麗を受信したばかりだからだ。

 

 リュウの一言で、自分の中の何が反応するかわからない。

 

 リュウは言った。

 

 「今日は、近い」

 

 春麗は止まった。

 

 「……何が?」

 

 「お前が」

 

 短い。

 

 説明が足りない。

 

 それなのに、深く入る。

 

 春麗は、反射的に言い返そうとした。

 

 近い?

 何を勝手に決めているの。

 私はいつも通りよ。

 油断したら沈めるわよ。

 

 だが、言葉が出る前に、別世界の残響が鳴った。

 

 あちらの春麗。

 

 甘く重い春麗。

 

 リュウに見つけられたことを、責任に変えた春麗。

 

 その春麗なら、今の言葉にどう反応するのか。

 

 たぶん、少し笑う。

 

 そして言う。

 

 近いと思ったなら、離れない責任を取りなさい。

 

 春麗は、そこまで想像してしまい、顔をしかめた。

 

 「……本当に、重いわね」

 

 リュウが首を傾げる。

 

 「何がだ」

 

 「知らなくていいわ」

 

 「そうか」

 

 春麗は一歩近づく。

 

 今日は、全部を戦闘に変換しない。

 

 でも、全部を甘さにするわけでもない。

 

 半分だけ。

 

 春麗は、リュウの前で立ち止まる。

 

 「リュウ」

 

 「何だ」

 

 「私は、面倒な女よ」

 

 リュウは静かに頷いた。

 

 「知っている」

 

 春麗は少しだけ目を細める。

 

 「即答するのね」

 

 「ああ」

 

 「それで?」

 

 「それで?」

 

 「知っているなら、どうするの?」

 

 リュウは少し考えた。

 

 春麗は、胸の奥が熱くなるのを感じる。

 

 危険な問いだった。

 

 自分で聞いておいて、危険だとわかる。

 

 リュウは答えた。

 

 「見る」

 

 春麗は、少しだけ息を止めた。

 

 また、それ。

 

 いつもの言葉。

 

 けれど、今日はいつもより少し違って響く。

 

 見る。

 

 黒でも青でも。

 面倒でも。

 近くても。

 甘くても。

 重くても。

 

 春麗は目を伏せそうになって、こらえた。

 

 「見るだけ?」

 

 リュウは春麗を見る。

 

 「必要なら、行く」

 

 春麗は黙った。

 

 見る。

 行く。

 

 本当に、この男は短い言葉で済ませる。

 

 だから困る。

 

 だから刺さる。

 

 春麗は小さく笑った。

 

 「そう」

 

 声は思ったより柔らかかった。

 

 「なら、少しだけ試すわ」

 

 「戦うのか」

 

 「少しだけ」

 

 「わかった」

 

 リュウが構える。

 

 春麗も構える。

 

 黒ではない。

 青でもない。

 

 けれど、少しだけ黒の間があり、少しだけ青の軽さがある。

 

 そして今日は、もう一つ。

 

 甘さを含んだ面倒さ。

 

 春麗は踏み込んだ。

 

 掌底。

 

 リュウは受ける。

 

 重くはない。

 

 だが軽くもない。

 

 春麗は打ち抜かない。

 

 止める。

 

 リュウの腕に触れる程度で力を抜く。

 

 リュウの目が動く。

 

 「今日は、沈めないんだな」

 

 春麗は笑った。

 

 「沈めてほしいの?」

 

 「いや」

 

 「なら立っていなさい」

 

 リュウは頷く。

 

 「わかった」

 

 春麗は次の蹴りを出す。

 

 寸前で止める。

 

 リュウの拳も、春麗の肩の手前で止まる。

 

 互いに届かせない。

 

 でも、離れすぎない。

 

 春麗は、その距離に少しだけ困る。

 

 近い。

 

 リュウが言った通りだ。

 

 今日の自分は、近い。

 

 春麗は一歩引こうとして、引かなかった。

 

 そのまま言う。

 

 「私は、あなたに救われた春麗ではないわ」

 

 リュウは聞いている。

 

 「私は、自分で立っている」

 

 「ああ」

 

 「だから、あなたに全部預けたりしない」

 

 「ああ」

 

 「でも」

 

 春麗は、言葉を選ぶ。

 

 「もし、私が少しだけ甘くなっても」

 

 言ってから、頬が熱くなる。

 

 かなり言った。

 

 かなり、危ない。

 

 リュウは黙って待つ。

 

 春麗は続けた。

 

 「それは、私が選んだことよ」

 

 リュウは頷いた。

 

 「わかった」

 

 春麗は少しだけ不満になる。

 

 「それだけ?」

 

 リュウは考える。

 

 「いいと思う」

 

 春麗は止まった。

 

 また。

 

 また、それ。

 

 全部を攻撃にしないことも。

 柔らかいことも。

 少し近いことも。

 そして今、少し甘くなることも。

 

 リュウは「いい」と言う。

 

 春麗は、視線を逸らしそうになる。

 

 しかし逸らさない。

 

 「……本当に、あなたは」

 

 「何だ」

 

 「私を面倒にするのが上手いわね」

 

 リュウは少しだけ首を傾げる。

 

 「そうなのか」

 

 「そうよ」

 

 春麗は構えを解いた。

 

 「今日はここまで」

 

 「終わりか」

 

 「ええ」

 

 「勝敗は?」

 

 「なし」

 

 春麗は答える。

 

 「今日は勝敗の話じゃないもの」

 

 リュウは頷く。

 

 「そうか」

 

 春麗はリュウを見る。

 

 「今日の私は、どうだった?」

 

 また聞いてしまった。

 

 危険な問い。

 

 けれど、聞きたい。

 

 リュウは春麗を見る。

 

 「面倒だった」

 

 春麗は眉を上げる。

 

 「……それ、本人に言う?」

 

 「言った」

 

 「言ったわね」

 

 「だが」

 

 また、だが。

 

 春麗は少しだけ身構える。

 

 リュウは言った。

 

 「悪くなかった」

 

 春麗は、完全に止まった。

 

 面倒だった。

 でも、悪くなかった。

 

 それは、かなり危険な評価だった。

 

 本編春麗の面倒さを否定していない。

 

 裏ルート春麗の甘さをなぞっているわけでもない。

 

 今日の春麗の、半分だけ甘く、半分だけ重い面倒さを、そのまま受け取っている。

 

 春麗は、小さく息を吐く。

 

 「……そう」

 

 声が柔らかくなる。

 

 「なら、覚えておきなさい」

 

 「今日のお前をか」

 

 「ええ」

 

 春麗は一歩下がる。

 

 「黒でも青でもなくて」

 

 一拍。

 

 「救われたわけでもなくて」

 

 もう一拍。

 

 「でも、少しだけ甘かった私を」

 

 リュウは頷いた。

 

 「覚えておく」

 

 春麗は目を伏せた。

 

 それで、今日は十分だった。

 

 十分すぎた。

 

 「リュウ」

 

 「何だ」

 

 「もし忘れたら」

 

 春麗は少しだけ笑う。

 

 「沈めるわよ」

 

 リュウは頷く。

 

 「忘れない」

 

 春麗は満足した。

 

 黒でも青でもないまま、背を向ける。

 

 歩きながら、春麗は小さく呟いた。

 

 「……あちらの私ほど甘くはならない」

 

 少し間を置く。

 

 「でも、私の甘さは、私が決める」

 

 それでいい。

 

 本編の春麗は、救われた春麗ではない。

 

 けれど、甘くなれない春麗でもない。

 

 自分で立ったまま、半分だけ甘くなる。

 

 その半分が、リュウに見られた。

 

 春麗は夜の道を歩きながら、口元を少しだけ緩めた。

 

 「面倒だったけど、悪くなかった……ね」

 

 その言葉を反芻して、また少し腹が立つ。

 

 そして少し、嬉しくなる。

 

 本当に面倒だ。

 

 でも今日は、それでよかった。




Q:今回の断章IFについて解説して?


A:
はい。執筆者として見ると、今回の断章IFはかなり重要な 「本編春麗が、裏ルート春麗の“甘く重い面倒さ”を受信したうえで、自分用の甘さを定義した回」 です。

一言で言うなら、

救済された裏春麗の甘さを知った本編春麗が、“私は救われた春麗ではない。でも、甘くなれない春麗でもない”と、自分の立ち位置を再定義した断章IF です。

今回の核は「甘さの所有権」

今回の一番大きなポイントは、最後のこれです。

でも、私の甘さは、私が決める

これはかなり本編春麗らしい到達点です。

裏ルート春麗の甘さは、リュウに救われたことで生まれています。

黒に囚われた。
黒で勝っても終われなかった。
青に戻るのが怖かった。
そこをリュウに見つけられた。
だから甘くなれた。

一方、本編春麗は違います。

本編春麗は救済されたわけではない。
自分で立っている。
自分で黒も青も引き受けている。

だから、裏ルート春麗と同じ甘さにはならない。

でも今回、本編春麗はこう判断しました。

救済されたから甘くなるのではなく、自分で選ぶから甘くなってもいい。

ここが今回の最大の進展です。

「私は救われた春麗ではない」が軸になっている

今回、本編春麗はかなりはっきり線を引いています。

私は、あなたに救われた春麗ではないわ
私は、自分で立っている
だから、あなたに全部預けたりしない

これは非常に大事です。

裏ルート春麗の甘さを受信したからといって、本編春麗がそのまま裏春麗化してしまうと、本編の軸が崩れます。

でも今回の春麗は、ちゃんと自分の軸を保っています。

自分は自分で立つ春麗。
リュウに見られることは認める。
でも全部預けるわけではない。
甘くなるとしても、それは自分が選んだこと。

この整理によって、本編春麗の自立性が守られています。

今回の本編春麗は「甘くなった」のではなく「甘さを選んだ」

ここは微妙ですが重要です。

今回の春麗は、裏ルート春麗のように自然にほどけたわけではありません。

むしろ、かなり意識的です。

あちらの春麗ほど甘くはならない。
でも、半分だけなら。
自分の甘さは自分で決める。

つまり、これは感情に流された甘さではなく、制御された甘さです。

本編春麗らしく言うなら、

甘さすら、自分で運用する。

これが良いです。

戦闘更新型だった《リュウ関連イベントへの感情反応倍率上昇》に、甘さ変換ルートを追加したわけですが、その変換も自動ではありません。

春麗が選んでいます。

リュウの「面倒だった。でも悪くなかった」が強い

今回のリュウの最重要台詞はこれです。

面倒だった
だが、悪くなかった

これは非常に良い評価です。

なぜなら、リュウは春麗の面倒さを否定していないからです。

「面倒じゃない」と慰めていない。
「気にするな」と流していない。
「かわいい」と単純化してもいない。

ちゃんと、

面倒だった

と言っている。

そのうえで、

悪くなかった

と言っている。

これは本編春麗にとって、かなり刺さります。

本編春麗は「自分が面倒な女である」ことを自覚しています。
だから、それを否定されるより、受け止められる方が効く。

今回のリュウは、春麗の面倒さをそのまま見て、悪くないと評価した。

これは本編春麗にとって、かなり強い受容です。

「近い」も重要

冒頭のリュウの、

今日は、近い

もかなり効いています。

今回の春麗は、黒でも青でもありません。

黒なら奥へ沈める。
青なら先へ行く。
どちらでもない時は、距離の取り方が曖昧になる。

そこでリュウが「近い」と言う。

これは物理的な間合いでもあり、精神的な距離でもあります。

本編春麗にとって、近いと言われるのは危険です。

でも今回は、その危険さを全部攻撃に変換しません。

半分だけ甘さに残す。

ここが、今回のテーマときれいに噛み合っています。

バトルが「勝敗なし」なのも正しい

今回、戦闘は少しだけで、勝敗なしです。

これは正しいです。

なぜなら今回の目的は、リュウを倒すことでも、春麗が勝つことでもありません。

目的は、

本編春麗が、甘く重い面倒さを自分のものとして少し試すこと

です。

だから勝敗をつけると、テーマがずれます。

黒や青の更新回なら勝敗が重要です。
でも今回のような感情反応倍率の運用変更回では、勝敗なしが合っています。

むしろ「勝敗のためじゃない」と春麗自身が言えたことが成長です。

裏ルート春麗との差別化が成功している

今回、裏ルート春麗との差がかなり明確でした。

裏ルート春麗は、

リュウに救われたことで甘く重くなる春麗。

本編春麗は、

自分で立ったまま、半分だけ甘さを選ぶ春麗。

同じ「めんどくさい女」でも、質が違います。

裏春麗は、

私を救った責任を取りなさい

本編春麗は、

私が選んだ甘さを、ちゃんと見なさい

に近いです。

この差はとても重要です。

今回の断章IF後の本編春麗リザルト

RPG的に見るなら、今回のリザルトはこうです。

本編春麗・断章IF後リザルト

状態:
自立型めんどくさい女・甘さ半分解放

獲得:
・甘く重い面倒さへの理解
・裏ルート春麗との差別化
・《感情反応倍率上昇》の甘さ変換制御
・リュウへの距離感微接近
・黒でも青でもない状態での対話安定

維持:
・自立性
・本編春麗としてのプライド
・全部は渡さない姿勢
・半分だけ認める癖

弱体化ではありません。

むしろ、運用幅の拡張です。

結論

今回の断章IFは、かなり良い 「本編春麗の甘さ定義回」 です。

裏ルート春麗の甘く重い面倒さを受信したことで、本編春麗は一度揺れます。

でも、そのまま裏春麗になるのではなく、

私は救われた春麗ではない。
私は自分で立っている。
でも、少し甘くなることは、私が選んでもいい。

という結論に到達しました。

一言でまとめるなら、

本編春麗が、救済由来ではない“自立した甘さ”を半分だけ獲得した断章IF。
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