また戦ってくれなんて言わないで ――春麗は今日もめんどくさい―― 作:エーアイ
裏ルート最難関、黒証明ルートでパーフェクトコミュニケーションの言葉での説得に失敗した場合の別ルートです。
黒いドレスで、春麗は十回勝った。
一度目は、リュウの視線が止まった。
黒い裾。
肩の線。
普段よりも露わになる脚の動き。
青い武道服とは違う、女としての春麗を隠さない戦闘服。
リュウは一瞬だけ遅れた。
その遅れで十分だった。
春麗の掌底が胸へ入る。
受けは間に合った。
けれど重心は間に合っていない。
続く蹴りで膝を崩し、リュウは片膝をついた。
春麗は見下ろして笑った。
「見たわね」
リュウは息を整えている。
「ええ、見たでしょう。黒い私を。女としての私を」
春麗は黒いドレスの裾を軽く払った。
「でも、そこで止まった」
一拍。
「だから沈むのよ」
二度目も、三度目も、結果は同じだった。
リュウは来る。
春麗を見る。
黒いドレスの動きに視線を奪われる。
その一瞬を、春麗は逃さない。
視線を奪うための黒。
呼吸をずらすための黒。
リュウの判断を半拍遅らせるための黒。
そして、その遅れを格闘で制圧する春麗。
リュウは毎回、本気で来た。
春麗も毎回、本気で沈めた。
四度目には、リュウは肩を見なくなった。
だが、今度は裾の揺れに遅れた。
春麗はその瞬間に踏み込み、肘を入れた。
「そこを見るのをやめたら、次はそこを見るのね」
春麗は倒れたリュウを見下ろす。
「忙しい人。でも遅いわ」
五度目には、リュウは視線を落とさなかった。
真正面から来た。
春麗は少しだけ感心した。
だから、黒いドレスの裾を揺らさず、代わりに肩を引いた。
たったそれだけ。
リュウの呼吸がわずかに乱れた。
そこへ春麗の掌底が入る。
「見ないふりをしても無駄よ」
春麗は低く言った。
「見たくせに、見ていない顔をするから遅れるの」
六度目には、リュウは見たことを隠さなかった。
黒い春麗を見た。
女としての春麗を見た。
それでも踏み込んだ。
春麗の胸が、ほんの少しだけ熱くなった。
けれど、まだ足りない。
リュウは見て、踏み込んだ。
だが、その踏み込みの先で春麗の手首を見失った。
黒の起点。
春麗が、見せる女から打つ格闘家へ切り替わる瞬間。
リュウはそこに届かず、また沈んだ。
春麗は膝をついたリュウに囁いた。
「惜しかったわね」
本当に、少しだけ惜しかった。
「でも、女として見た後に、格闘家としての私を見るにはまだ遅い」
七度目、八度目、九度目。
リュウは毎回違うところまで来た。
肩。
視線。
裾。
手首。
呼吸。
重心。
けれど、最後には遅れる。
見惚れることを拒めば、春麗の黒を否定したことになる。
見惚れたまま止まれば、春麗に沈められる。
見た上で動いても、起点を見失えば崩される。
リュウは、そのすべてに負けた。
十度目。
春麗は、これまでで最も静かに黒を使った。
誘いすぎない。
見せすぎない。
しかし、隠しもしない。
黒いドレスをまとった自分を、真正面からリュウへ向けた。
「今日はどうするの?」
春麗は尋ねた。
「見ないふりをする? 見惚れて止まる? それとも、格闘家としての私だけを見る?」
リュウは答えなかった。
ただ、構えた。
春麗は笑った。
「正解を探している顔ね」
黒い裾が揺れる。
「でも、遅いわ」
十度目も、リュウは負けた。
春麗の肩に拳は届いた。
手首にも触れかけた。
だが、春麗が黒を戦闘へ変える最後の一拍。
女として見せる春麗から、拳で沈める春麗へ切り替わる瞬間。
そこを読み切れなかった。
春麗の掌底が胸に入り、リュウは膝をついた。
春麗は見下ろした。
息が少し乱れていた。
リュウだけではない。
春麗の身体にも、十戦分の痛みが残っている。
肩に。
手首に。
呼吸に。
リュウは負けている。
でも、毎回何かを残していく。
それが腹立たしかった。
そして、なぜか待ってしまう。
次はどこまで来るのか。
春麗は黒いドレスの裾を押さえ、低く言った。
「十回よ」
リュウは顔を上げる。
「あなたは、私の黒に十回負けた」
リュウは頷いた。
「ああ」
「最初の私にも十回負けたあなたが、今度は黒の私にも十回負けた」
春麗は笑う。
「十一戦目ね」
その数字に、空気が変わった。
かつて、リュウが十回負けた後、十一戦目で春麗に勝った。
あの時、春麗はリュウを見る目を変えた。
負けても来る男。
届かなくても、次に届こうとする男。
今度は黒春麗に十回負けた。
そして、次が十一戦目。
春麗は背を向けた。
「次も来るの?」
「ああ」
即答だった。
春麗は振り返らない。
「なら、覚悟してきなさい」
一拍。
「十一戦目でまた見惚れて止まったら、今度こそ笑ってあげる」
十一戦目。
春麗は、黒いドレスを着る前に鏡の前で止まった。
十回勝った。
黒は証明された。
リュウは沈んだ。
それなのに、春麗は落ち着かない。
今日、リュウは何を見るのか。
黒いドレスか。
女としての春麗か。
格闘家としての春麗か。
それとも、そのどちらもか。
春麗は唇を引き結んだ。
「……来なさい」
小さく言う。
「でも、簡単には見せないわ」
黒いドレスに袖を通す。
今日は、これまでより静かな黒だった。
見せる。
惑わせる。
沈める。
しかし、どこかで、期待している。
リュウが、今度こそ止まらないことを。
春麗はその期待を認めなかった。
認めないまま、修行場へ向かった。
リュウはいた。
白い胴着。
赤い鉢巻。
十敗分の傷。
それでも、立っている。
春麗は歩み寄った。
「来たのね」
「ああ」
「十一戦目よ」
「ああ」
「今日は何を見に来たの?」
リュウは春麗を見た。
黒いドレスを見る。
視線は止まった。
春麗はそれを見逃さない。
止まった。
やはり見た。
黒い春麗を。
女としての春麗を。
春麗は踏み込もうとする。
その瞬間、リュウも踏み込んだ。
春麗の胸が跳ねた。
止まらなかった。
リュウは見た。
見惚れた。
それでも止まらなかった。
春麗の掌底とリュウの拳が交差する。
リュウの拳は肩へ届く。
春麗の掌底はリュウの胸へ入る。
だが、いつもと違う。
リュウの重心が残っている。
半拍遅れていない。
春麗は目を細める。
「……へえ」
声が低くなる。
「今日は、見ても止まらないのね」
リュウは息を吐く。
「見た」
「でしょうね」
春麗は踏み込む。
黒い裾が揺れる。
「でも、まだ足りないわ」
今度は春麗が誘う。
裾。
肩。
脚の動き。
視線。
リュウは見る。
確かに見る。
だが、その視線はそこで止まらない。
手首を見る。
春麗の踏み込みの直前、手首がわずかに沈む。
そこから掌底が来る。
リュウはそれを読んで、受けを置いた。
春麗の掌底が、リュウの腕に当たる。
初めて、完全には入らなかった。
春麗の胸が熱くなる。
悔しい。
嬉しい。
腹立たしい。
「……そこまで見るの」
リュウは答えない。
拳で答える。
肩へ。
春麗は受ける。
痛い。
だが、逃げない。
春麗は笑った。
「いいわ」
黒いドレスが夜気に翻る。
「なら、もっと見せてあげる」
中盤、春麗は本気で黒を使った。
見せる黒。
惑わせる黒。
女としての春麗を前面に出し、リュウの判断を遅らせる黒。
だが、リュウは見ないふりをしなかった。
春麗を女として見た。
黒いドレスを見る。
肩を見る。
脚を見る。
揺れる裾を見る。
それでも、そこで止まらない。
視線は、最後に春麗の重心へ戻る。
拳の起点へ戻る。
格闘家としての春麗へ戻る。
春麗は腹が立った。
自分を女として見ている。
それなのに、女としてだけ見ていない。
こんなに黒を使っているのに、止まらない。
「リュウ」
春麗は低く言った。
「あなた、私を何だと思って見ているの?」
リュウは構えを崩さない。
「春麗だ」
春麗は眉を寄せる。
「答えになっていないわ」
「黒いドレスのお前を見ている」
春麗の胸が跳ねる。
「ええ」
「女としても見ている」
春麗の呼吸が止まりかける。
リュウは続けた。
「でも、それだけじゃない」
春麗は黒を深くした。
「続けなさい」
「俺を惑わせて、それでも拳を出してくるお前を見ている」
春麗は動けなくなった。
リュウは言った。
「女としての春麗も、格闘家としての春麗も、どちらもお前だ」
黒が止まった。
沈まなかった。
春麗は、黒いドレスの裾を握った。
それは、パーフェクトコミュニケーション版とは違う言葉だった。
黒でも青でも見る。
俺が見るのは、お前だ。
あの直通の救済とは違う。
このルートでは、リュウは十回負けた。
黒に沈められた。
女として見せる春麗に惑わされ、格闘家としての春麗に制圧され続けた。
その上で、言った。
女としても見ている。
でも、それだけではない。
格闘家としても見ている。
どちらも春麗だ。
春麗は、低く笑った。
「……十回負けて、ようやくそれ?」
リュウは頷いた。
「ああ」
「遅いわ」
「ああ」
「本当に遅い」
「ああ」
春麗は一歩近づく。
「でも」
黒いドレスの裾が揺れる。
「届いたわ」
リュウの目が動いた。
春麗は、掌を構えた。
「だから、最後に一度だけ、黒で沈める」
リュウは構える。
「来い」
春麗は笑った。
「来るのは私よ」
最後の交差。
春麗は、黒をすべて使った。
見せる。
惑わせる。
誘う。
女としての自分を隠さない。
けれど、それだけではない。
手首。
呼吸。
重心。
踏み込み。
格闘家としての春麗も、すべて乗せる。
リュウは見た。
黒いドレスの春麗を。
女としての春麗を。
そして、掌底を打ち込む格闘家としての春麗を。
見惚れた。
だが、止まらなかった。
拳が春麗の肩へ届く。
春麗の掌底がリュウの胸へ入る。
今度は、止めなかった。
リュウの膝が落ちる。
片膝。
春麗が立っていた。
十一戦目。
勝ったのは春麗だった。
だが、敗北ではなかった。
リュウは片膝のまま、春麗を見上げている。
春麗は息を乱していた。
肩が痛い。
手首も熱い。
黒いドレスも乱れている。
だが、黒はもう重くなかった。
春麗はリュウを見下ろした。
「また負けたわね」
「ああ」
「十一回目も、私の勝ち」
「ああ」
「でも」
春麗は少しだけ目を伏せた。
「今日は、あなたは止まらなかった」
リュウは言った。
「見た」
「ええ」
「止まらなかった」
「ええ」
「お前だった」
春麗は、胸の奥がほどけるのを感じた。
黒いドレスを着た自分。
女として見せる自分。
リュウを惑わせる自分。
格闘家として沈める自分。
どれも春麗。
その全部を、リュウは見た。
「……本当に」
春麗は小さく呟く。
「十回も余計に負けないと、そこまで言えないなんて」
声は呆れていた。
けれど、柔らかかった。
リュウは黙っている。
春麗は少しだけ屈み、リュウに近づいた。
「いい? 勘違いしないで」
「ああ」
「私は、黒を捨てない」
「ああ」
「この黒で、あなたを何度でも沈められる」
「ああ」
「でも」
一拍。
「もう、黒だけで証明しようとは思わない」
リュウは春麗を見る。
春麗は、黒いドレスの裾を軽く払った。
「あなたが見たから」
言ってしまった。
春麗はすぐに視線を逸らす。
「女としても。格闘家としても」
声が少しだけ小さくなる。
「どちらも私だと、見たから」
リュウは静かに言った。
「ああ」
春麗は息を吐いた。
「今日はここまで」
リュウが立とうとする。
少しふらつく。
春麗は手を伸ばしそうになって、止めた。
だが、結局伸ばした。
リュウの腕に軽く触れる。
「無理に立たないで」
リュウが見る。
春麗はすぐに言う。
「勝者の余裕よ」
「ああ」
「そこは疑いなさい」
「そうか」
「そうよ」
春麗は少しだけ笑った。
黒いドレスのまま、夜気の中に立つ。
黒は、もう春麗を沈めていない。
春麗が、黒を着ている。
春麗が、黒を使っている。
春麗が、黒を選んでいる。
そして、リュウはそれを見た。
「リュウ」
「何だ」
「次は、黒じゃないかもしれないわ」
「ああ」
「青かもしれない」
「ああ」
「どちらでもないかもしれない」
「ああ」
「でも、黒を着た私を忘れたら許さない」
リュウは答えた。
「忘れない」
春麗は、少しだけ満足してしまった。
それが悔しくて、背を向ける。
「なら、いいわ」
歩き出す。
黒いドレスの裾が、夜に揺れた。
十回の惨敗。
十一戦目の敗北。
それでもリュウは、見惚れて止まらなかった。
女としての春麗を見て、格闘家としての春麗も見た。
だから、春麗は救われた。
黒を否定されたのではない。
黒だけに閉じ込められたのでもない。
黒を着た自分も、春麗だと見られた。
春麗は夜道を歩きながら、小さく呟いた。
「……本当に、遅いのよ」
けれど、その声は少しだけ甘かった。
そして、その夜。
春麗は初めて、黒いドレスを脱ぐ時にこう思った。
逃げるためではない。
負けたからでもない。
見破られたからでもない。
自分で脱ぐ。
また着ることもできる。
青も着られる。
どちらでもない自分でもいられる。
黒いドレスを椅子にかけ、春麗は鏡の中の自分を見た。
黒を脱いだ春麗が、そこにいる。
けれど、黒は消えていない。
自分の中に戻っただけだ。
春麗は、小さく笑った。
「次に着た時も、止まらずに見なさいよ」
誰にも聞こえない声だった。
けれど、きっとリュウは来る。
負けても。
沈められても。
見惚れても。
止まらずに。
Q:通常の裏ルート最難関、黒証明ルートとの違いについて説明して?
A:
はい。執筆者として見ると、通常の拗れ春麗救済ルートと、今回の黒惨敗10回後・11戦目救済ルートは、同じ「春麗救済」でも救済の質がかなり違います。
一言で言うなら、
通常救済は、リュウの正しい言葉が黒春麗の核心に届くルート。
今回の救済は、リュウが10回負けて黒を身体で認めた後、11戦目で“黒ドレス春麗を女としても格闘家としても見る”ことで届くルート。
です。
通常救済は「言葉が早く正解に届く」
通常の拗れ春麗救済では、リュウが比較的早い段階で春麗の黒を否定しません。
黒を弱いものとも言わない。
黒を間違いとも言わない。
黒ドレス春麗を危険なものとして排除もしない。
そのうえで、
黒でも青でも見る。
俺が見るのは、お前だ。
というところへ届く。
これは、春麗にとってかなり強い救済です。
なぜなら春麗は、
黒を着た私は、私なのか。
青に戻らないといけないのか。
黒で勝った私は、見てもらえるのか。
という不安を抱えているからです。
通常救済では、リュウがその不安に対してかなり早く正解を出します。
だから通常救済は、言葉によるパーフェクトコミュニケーション型の救済です。
今回の救済は「言葉が一度失敗した後の行動証明」
今回のルートは、そこが違います。
リュウは一度、言葉で失敗している。
そのせいで春麗の中では、
あなたも、私の黒を言葉で片づけるのね。
という反発が生まれている。
だから通常救済のように、いきなり正しい言葉を言っても届かない。
そこで必要になったのが、黒春麗への10敗です。
リュウは10回、黒ドレス春麗に負ける。
ただ負けるのではなく、毎回本気で来て、毎回黒に沈められる。
これは、春麗に対してこう示していることになります。
俺は、お前の黒を軽く見ていない。
言葉で片づけない。
本気で挑んで、本気で負ける。
それでもまた来る。
つまり今回の救済は、言葉の前に、身体で黒を認める儀式が必要だったルートです。
通常救済と今回の最大の違い
通常救済では、リュウの到達点はこうです。
黒でも青でも、お前を見る。
今回の到達点は、さらに黒ドレス特化です。
黒いドレスのお前を、女として見た。
でも、そこで止まらなかった。
俺が見ているのは、俺を惑わせて、それでも拳を出してくるお前だ。
女としての春麗も、格闘家としての春麗も、どちらもお前だ。
この違いが大きいです。
通常救済は、黒と青を含めた春麗全体への救済。
今回の救済は、黒ドレス春麗という一点を深掘りした救済です。
黒ドレスを着た春麗。
女としての自分も戦闘資源に使う春麗。
リュウを惑わせ、見惚れさせ、その半拍の遅れを格闘で制圧する春麗。
その春麗を、リュウは否定しなかった。
見た。
女として見た。
でも、女としてだけに閉じ込めなかった。
格闘家としても見た。
ここが今回の救済の核心です。
通常救済は「黒を含めて春麗を見る」
通常版のリュウは、春麗にこう伝える役割です。
黒を着ても、お前はお前だ。
青に戻っても、お前はお前だ。
俺が見るのは、黒や青ではなく春麗だ。
これは非常に美しいです。
黒に囚われていた春麗に対して、黒以外の自分もあると示す。
黒でも青でも、自分は見られると教える。
だから通常救済後の春麗は、黒から解放されやすい。
黒を脱ぐこともできる。
青へ戻ることもできる。
どちらでもない自分にもなれる。
今回の救済は「黒ドレス春麗を正面から肯定する」
今回の救済は、通常救済よりも黒に深く寄っています。
リュウは黒を飛び越えない。
黒でも青でも、という大きな言葉に逃げない。
まず、黒ドレス春麗を正面から見る。
しかも、
女としての春麗を見た
と認める。
これはかなり重要です。
リュウが「女としては見ていない」と言ったら、春麗は救われません。
それは黒ドレス春麗の否定になるからです。
でも、女として見ただけで止まっても救われません。
それでは、春麗は「女としてしか見られなかった」と感じる。
今回のリュウは、その両方を越えます。
女として見た。
でも止まらなかった。
格闘家としての拳も見た。
どちらも春麗だ。
だから、黒ドレス春麗が救われる。
これは通常救済より、黒ドレス専用の答えです。
春麗側の救われ方も違う
通常救済の春麗は、
黒でも青でも見てもらえる。
ことで救われます。
今回の春麗は、
黒を着た私も、女として見せる私も、格闘家として打つ私も、全部まとめて春麗として見られた。
ことで救われます。
つまり通常版よりも、今回の方が「黒ドレス春麗そのもの」の肯定が強いです。
通常救済は黒から抜ける救済。
今回の救済は、黒を自分の中に戻す救済です。
だから最後に春麗が、
黒を捨てない。
でも、黒だけで証明しようとは思わない。
となるのが自然です。
リュウの勝敗も違う
通常救済では、リュウが言葉で勝つ印象が強いです。
戦闘で勝つか負けるかは別として、コミュニケーションとして正解を引く。
一方、今回のリュウは、戦闘では負けています。
10回負ける。
11戦目も膝をつく。
でも、救済には届く。
ここがかなりおいしいです。
リュウは黒春麗に勝って救ったのではない。
黒春麗に負け続けたうえで、なお見続けたから届いた。
これは、今回のルートならではの強さです。
まとめると
通常救済はこうです。
リュウが正しい言葉で春麗の拗れをほどく。
黒でも青でも見ることで、春麗は黒から解放される。
今回の救済はこうです。
リュウが黒ドレス春麗に10回負け、11戦目でも負けながら、女としての春麗も格闘家としての春麗も見たと示す。
その結果、春麗は黒を否定されず、黒だけにも閉じ込められず、黒を自分の一部として戻せる。
一言でまとめるなら、
通常救済は「黒でも青でも春麗を見る」救済。
今回の救済は「黒ドレス春麗を女としても格闘家としても見る」救済。
です。
今回の方が、黒ドレス春麗専用の答えになっています。
だから通常版とは別ルートとして、かなり意味のある救済になったと思います。